冒頭2P(48KB) - 月刊テレコミュニケーション

ビジネス最前線
Business Frontline
5年後には1000万超える市場に成長
設置するだけで1回線ごとに毎月最
ポテンシャル秘めたモバイルM2M
導入できる企業は限られる。かとい
図表2
国内M2Mモジュール市場累計数予測
1340万
低数百円のコストがかかるのでは、
って事業者側にも、望むままに価格
を 下 げ て 導 入 が 進 んだとしても、
機器と機器をネットワークで繋ぐM2Mビジネス。2014年には1340万契
獲 得 先 として 法 人 契 約 、中 でも
約に達するとの予測もあり、各社の期待は大きいが、まだブレークには至
「M2M通信モジュール」市場への期
っていない。鍵は価格と顧客認知度だ。
文◎池辺紗也子(本誌)
待は膨らみつつある。
きないというジレンマがある。
250万
NTTドコモ
250万
KDDI
200万
ソフトバンク
また、1個1万∼数万円というモジ
07年末の国内M2Mモジュール市
ュール本体の価格も導入への高い
150万
100万
ウィルコム
全体
M2M(Machine to Machine、また
ティ状況や子供の位置をいつでもチ
場規模は約250万契約(図表2)
と推
ハードルとなる。販売奨励金も入ら
はMachine to Management)
とは、
ェックできるような「安心・安全」。ド
計される。携帯電話・PHSの法人契
ず、ユーザーは本体価格をそのまま
ネットワークで繋がれた機械同士が
ライバーの運転管理、荷物のトレー
約数は約1000万と言われているが、
支払わなければならない。その価
相互に情報交換・制御を行う通信形
サビリティ、建設機械の盗難防止な
その4分の1を占めている計算だ。
格以上の収益やコスト削減、業務効
態のこと。
どの「動態管理」。タクシーのクレジ
米メリルリンチは、日本のM2M市場
率化が望めない限り爆発的な成長
ットカード決済や無人駐車場の課金
は2014年時点で1340万契約まで成
は難しい。
通信モジュールを取り付け、遠隔か
装置管理といった「業務支援」まで、
長すると大胆な予測をしている。非
各事業者はコスト削減の努力を重
まで法制度を理由に導入できなかっ
も多い」
と語る事業者がいるように、
ら自動的に使用量をチェックしたり、
その用途は幅広い
(図表1)。
常に大きなポテンシャルを秘めた市
ねてはいるものの、大きな技術革新
た、もしくは導入が必要ではなかった
通信モジュールを利用すればこんな
場と言って差し支えないだろう。
がない限り現時点でこの問題の解決
ビジネスで一気に需要が発生するケ
ことができるという啓蒙活動と意識
は難しいと言える。
ースもある。一例として、たばこ自動
改革、そして必要性の提案がM2M
「制度・規制」の問題もある。例え
販売機への成人識別機能の搭載義
市場の拡大には非常に重要なファク
「今のままでは、じわじわと増え続け
ば、防犯・セキュリティサービスを例
務化などが挙げられる。ここは、うま
ターだと言えるだろう。
たとしても、爆発的に増えることはな
に取ると
「警備業法」など法の縛りが
く狙えば一大市場なだけに、各社虎
どれも一朝一夕には解決できない
い」と予測する関係者もいる。高い
あり、固定電話であれば認可の下り
視眈々とチャンスをうかがっている。
問題だ。しかし、それらの問題を差
ポテンシャルを実際にビジネスに結
るビジネスも、移動体では認可され
最後に、何よりも一番大きなハード
し引いたとしても、今存在するM2M
びつけるにはなんらかのブレークス
ないケースがあるという。
ルは「M2Mの認知度」の低さだ。
「コ
ビジネスの需要を十分に掘り起こし
しかし、逆に見れば、法改定や規
スト以前に、自社の業務や製品、サ
きれていると考えている事業者はお
制緩和のタイミングで大きなビジネス
ービスに通信モジュールを利用して
らず、各社ともにM2Mへの積極的な
チャンスが生まれるとも言える。これ
みようという発想を持っていない企業
取り組みを明言している。
例えば、ガスや水道のメーターに
不便な場所にある自動販売機の在庫
携帯電話・PHSの契約数がすでに
を確認し、不足しそうな時だけ補充
1億を超え、各事業者が個人契約者
しかし、とはいっても現在はまだ市
のために職員を向かわせるといった
の新規獲得から囲い込み施策へと
場の開拓段階に過ぎない。中には、
「手間・コスト削減」。自宅のセキュリ
戦略を移しつつある今、新たな契約
図表1
M2M市場の広がり
遠隔制御
・パーキング
・工業機械
・家電製品
etc.
遠隔監視
M2M
モジュール
遠隔検針 ・ガスメーター
・水道メーター
・電力メーター
etc.
・エレベーター
・ビニールハウス
・無人施設
・セキュリティ
(ホームセキュリティ)
・ユビキタスカメラ
etc.
在庫管理
・自動販売機
・プリクラ
・コピー機
etc.
・盗難防止
・エコドライブ
etc.
業務支援
配送管理
ルーが必要ということだ。それは何
だろうか。
価格と知名度が普及の鍵
M2Mの普及に一番大きな壁として
立ちはだかるのは、やはり
「価格」だ。
例えば、NTTドコモのM2Mモジ
運行管理 ・トラック、タクシー
・トレーサビリティ
・国際物流
etc.
・電子マネー
・クレジット決済
・電子POP
etc.
ュール用プランは、プランSの月額使
用料が840円(無料通信分800パケッ
ト)、プランMの月額使用料が1680円
他社も大きく変わらない価格水準だ。
割引が大幅に入るとは言うものの、
テレコミュニケーション_February 2008
50万
0
2004
2007
・・・・
2007年以前、電気通信事業者協会(TCA)の
データを基に編集部推計
2014
2014年、出典:メリルリンチ
ここからは、現時点での各事業者
「FOMAユビキタスモ
ジュール UM01-KO」
( 日 立 国 際 電 気 製 )。
災 害 発 生 時 などの 通
信混雑時にもパケット
通 信 を 利 用しや す い
「FOMAユビキタスモ
ジュール UM01-F」
(富
士通製)
も
のM2Mへの取り組みを個別に見て
みよう。
安心・安全からB2B2C市場へ
NTTドコモ・ユビキタスサービス
部ユビキタスサービス企画担当部長
の伊倉雅治氏は「他社に先駆けて10
(無料通信分8000パケット)の2段階。
もちろん、回線契約数や期間による
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ARPUがどんどん下がるのは歓迎で
NTTドコモ
ユビキタスサービス部
ユビキタスサービス企画担当部長
伊倉雅治氏
年以上もM2Mモジュール市場に取
り組んでいる経験があり、その経験
が何よりの武器だ」と胸を張り、
「今
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