GC-IRによる薬物の法医学的構造解析

TM
DiscovIR-GC
Application Note 030
Deposition and Detection System
June 2009
薬物の法医学的分析
薬物の乱用は、私達の社会において破壊的な力をもつ。気晴らしのために使用される麻薬には300
以上もの種類が存在する。その中には、オピオイド鎮痛薬・向精神薬・刺激剤・幻覚剤など医薬品
の不法な使用も含まれる。また、一人の組織から大規模の犯罪組織が運営する高度先進化学品
加工施設も合わせ、何千にも及ぶ地下組織で製造された物質も含まれる。
米国では、都市・郡・州・国立の何百もの法医学研究所がネットワークを結び、取締機関の職員が
押収したサンプルを分析し米国の法廷に証拠物質を提示するという任務を負っている。また有効成分
や他成分(混和物・賦形剤・反応副産物)の識別といった任務もある。時が経つにつれて法廷は、薬
物の密造と違法使用に絡む公判で鑑定人として証明する科学捜査官に、より厳しい基準を課すよう
になった。刑事訴訟に絶対的な証拠を提出するために厳密な方法が要求されている。2008年現在、
米国のScientific Working Group for the Analysis of Seized Drugs (www.SWGDRUG. org/
approved.htm)は不確かさ原理が検査室の解析方法の選択に含まれていることを強調している。
赤外分光法は、異性体の識別における不確かさを減少させるのに適している。Spectra Analysis社
は、法医学研究所のワークフローのニーズを満たす装置を提供する; DiscovIR-GCは、オートサンプラ
で測定する高容量のサンプルに対応可能な”walk-up”装置である。薬物や禁制品の分析に必須の
感度を有する。赤外スペクトルによる識別は極めて特異的で、質量分析法を利用した識別不足を
補う。DiscovIRは、科学捜査に要求される大変な作業量をこなし、データの保存と復元、またスペク
トルデータベースの検索エンジンを利用して未知サンプルの速やかな識別を容易にする。
本アプリケーションでは、科学捜査におけるGC-IRの使用例と、(GC-MSでは容易ではない)DiscovIR
の異性体識別能力を明らかにする。
分析および
分析および識別方法
および識別方法
分析技術の
分析技術のカテゴリー
アメリカのSWGDRUGは、独立した識別法を複数併用することを要求している。現在使用されてい
る方法を3つにカテゴリー分けをしている; カテゴリーAは、最も効果のある識別能力を有する。
Table1.
SWGDRUG分析法
カテゴリーA
カテゴリーB
カテゴリーC
赤外分光法
キャピラリー電気泳動法
質量分析法
ガスクロマトグラフィ
比色試験
蛍光分光法
免疫学的検定
法
核磁気共鳴分光法
イオン移動度分析法
融点測定法
ラマン分光法
液体クロマトグラフィ
紫外分光法
微結晶性試験
薬事鑑定
薄層クロマトグラフィ
大麻のみ: 肉眼検査
顕微鏡検査
Spectra Analysis, Inc.
257 Simarano Drive, Marlborough, MA 01752 • Tel: +1.508.281.6232 • Fax: +1.508281.6238
Email: [email protected] • www.spectra-analysis.com
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次に、SWGDRUGから出されたガイドラインをいくつかを挙げる。
・分析による識別(カテゴリーAを含む)は、カテゴリーA・B・Cから少なくとも一つの別の方法との併
用を必要とする。カテゴリーAによる分析をしない場合は、少なくとも3つの異なる有効な方法を
採用しなければならない。
・分析法を併用することで特定の薬物を同定し、識別の偽陽性を排除する。
・カテゴリーAは、再検討可能なデータを提示するものとする。
・ハイフネーテッド技術(ガスクロマトグラフ質量分析、液体クロマトグラフ/ダイオードアレー紫外分
光など)を使用する場合、各々の結果が使用されるならば、個別の方法と見なされる。
法医学研究所での仕事量は多く、分析者はTable1に表示した方法全てを使用する技術を持って
いなければならないので、”walk-up”使い易さを備えた自動化された装置構成が支持される。結果
の解釈は、同様に迅速かつ容易でなければならない。結果の迅速なプロセシングおよびターンアラウ
ンドを得るためには、コンピュータ支援の解釈と材料データベースの使用が必要となる。データは、検
索可能な形式で保存されなければならない。法医学のサンプルを従来の赤外分光法で測定する
には、サンプル前処理が伴う。通常、検体の識別には、検体を精製する必要がある。KBr錠剤法
などのサンプル前処理法には、ミリグラム分量が必要である。一日に多くのサンプルが殺到する研究
室にとって伝統的な精製法は、感度の限界・途方もない時間・限られた生産量といった負担がとも
なう。
ハイフネーテッド法
ハイフネーテッド法の使用
違法薬物や処方薬のサンプルには、残留出発物質・不反応生成物・賦形剤・異性体型を含め
複数の成分が含まれている。高い識別能力のある分析技術は、明確な同定を実現するために検
体の単離と精製を必要とする。この分析には、伝統的なサンプル前処理法は莫大な時間のかかる
処置となる。また分析結果の速度・区別・精度に影響を及ぼす。高分解能クロマトグラフィと分光
法を直結すると一つの自動分析装置となり、これらの要求を満たす。
クロマトグラフィ-質量分析法
クロマトグラフィ 質量分析法
前述のカテゴリーAに掲げられている質量分析法は、前駆イオンとフラグメンテーションプロダクトの分
子量に基づいて同定を行う。クロマトグラフィ-質量分析法は、成分の識別に感度のよい迅速な方
法として一般に受け入れられている。
クロマトグラフィクロマトグラフィ FTIR分光法
赤外分光法は、分子構造に基づいて識別を行う。分子は独特の赤外吸収バンドをもっているので、
そのバンド位置と相対強度を測定する。クロマトグラフィと赤外分光法のハイフネーテッド法は、MSと
同様の利点を有する分析方法である。
赤外分光とMSの原理は異なるので、この2つの分光分析法は互いを補い合えると考えられる。たと
えば分子の異性体の識別においてMSは非常に限られた能力しか持ち合わせないが、FTIRは容易
にこなす。
ライトパイプ方式のFTIRが、ハイフネーテッド法として使用されている。しかし、1)感度の低さ、2)気相
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薬物の 法医学的分 析
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スペクトル特有のブロードなスペクトルバンドといった課題がある。このため、ライトパイプ方式の
GC-FTIRで類似性の高い構造物を識別するには限界がある。DiscovIRは、感度と識別能力に関
する課題を解消する。
SWGDRG Part IV C: 品質保証・
品質保証・不確かさ
不確かさ
2008年10月、SWGDRUGは品質保証・不確かさに関して勧告をした。不確かさは定性法の限界
をもたらす。SWGDRUGは、不確かさを理解することが結果の解釈と報告に必須であると見なし、
不確かさの概念がすべての分析結果に考慮されるように勧めている。
定性結果に対するガイドライン
・関係ある分析スキームの限界(異性体の識別ができないなど)は文書化するべきで、報告書に
記載する必要があるかもしれない。
・適切な分析スキームは、事実上、不確かさのない同定結果をもたらす。
赤外分光法の特異性は、異性体の同定における不確かさを減じる。つまり、規制物質の同定にお
ける不確かさを減じることとなる。
規制物質分析における
規制物質分析におけるニーズ
におけるニーズ
・SWGDRUGガイドラインとの適合
・サンプルのハイスループット率
・サブ-マイクログラム レベルの分析能力
・次の分析に備え最小限のクリーンアップ
・自動化
・ライブラリ能力
・再調査可能データ
・分析法のバリデーション能力
・カテゴリーAの他の分析法との互換性
・walk-up能力
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DiscovIR-GC:
法化学向け
法化学向け高感度識別装置
システム詳細
システム詳細
DisovIRは赤外分光計とガスクロマトグラフを連結した装置で、リアルタイムなデータフロー、コン
ピュータによる解析、無人操作に対応する統合されたオートメーション機能を有する。
Figure1.
The DiscovIR GC integrated chromatography spectroscopy platform
Figure1はDisocvIR-GCとガスクロマトグラフ
を接続した写真である。図はDiscovIR-GC
の動作概念を示す。ガスクロマトグラフは複
数のサンプルを自動処理し、カラム流出ガス
は加熱されたトランスファーラインを通り抜け
てDiscovIR-GCに到達する。キャリヤガスは
溶離物と一緒にデポジション・チップを貫流し、
溶離物は低温に冷却されたサンプル捕集
用のディスク上にデポジットされる。このディス
クは真空チャンバ内のデポジション・チップ
の下で回転/平行移動していて、溶離物
は螺旋状にトラックを描きながらデポジット
する。またディスクは冷却されているので、
溶離物は固相となってデポジットする。
サンプル・ディスクの材質は赤外に透明で
ある。干渉計からの赤外ビームは、サンプ
ル・ディスク上のデポジットしたトラックを通
過し、0.3秒間隔で赤外スペクトルが収
集される。トラックと赤外ビーム焦点の幅
は、約100µmで一致する。その結果、ナ
ノグラム量のサンプルから高品質のスペク
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薬物の 法医学的分 析
Application Note 030
トルを得ることができる。
このようにして、クロマトグラフによって分離された各サンプルから赤外スペクトルが生成される。従来
のライトパイプ方式とは違い、固相のスペクトルが得られるため、より解像度が高く、感度の良い赤
外スペクトルとなる。サンプル・ディスクには、分析に2日間かかる数百のサンプルをデポジットするス
ペースがある。操作とデータの取扱いはすべて自動化されているので、無人操作と日々大容量のサ
ンプル分析が可能である。DiscovIR-GCは、測定開始後サンプルキューへ新しいサンプルの注入を
行うオートサンプラに対応する。
DiscovIR-GCの
の特徴
・混合物検体の分離と同定を、一つの装置/一回の手順で行う。
・GC-FTIRハイフネーテッド法は、構造解析のためのSWGDRUGカテゴリーAの必要条件を満たす。
・GC-FTIRは、一操作で2つの分析手法をこなす。
・高分解能固相スペクトル
・水蒸気は問題にならない。
・自浄式サンプル・ディスク。手作業での不要なサンプルの洗浄が不要。
・リファレンススタンダード(ポリスチレンフィルム)とキャリブレーション・ソフトウェア
・オートサンプラ対応
・クロマトグラフ50時間分のサンプルをデポジット
・スペクトル検索および赤外スペクトルライブラリ
・FTIRとインターフェイスの統合システム。
・サブナノグラムの感度
・フロースプリット: 既存のGC/MSと連動可能。
・リアルタイムおよびpost-runデータ収集: デポジットしたサンプルの再分析が可能。
・高感度、高分解能: 従来のライトパイプ方式のGC-IRでは識別が困難なサンプルも対応。
性 能
実例1
実例
サンプル:
サンプル: Clan Lab SX
†
地下組織から押収した物質をGC-FTIRで分析した例を紹介する 。DiscovIR-GCで得た赤外クロ
マトグラムとそのクロマトグラムから選択したリテンションタイムの赤外スペクトルを例証する。成分の同
定は、既知のスタンダードから作成したスペクトルライブラリと比較をしておこなった。
測定条件と
測定条件と概要
Figure2に、サンプルが溶出している間に生成された赤外クロマトグラムと測定条件を表示する。
†
Spectra Analysis wishes to thank Alabama Department of Forensic Sciences, courtesy of Stephanie
M Fisher and J. Gary Wallace, Mobile Lab in providing the analytical data for the Clan Lab samples
-5and the comparative data for Oxymorphone / Dihydrocodeine.
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DiscovIR-GC
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Chromatography
Agilent 6890 Gas Chromatograph
DB-5 Column
Temp: 90ºC 1 min; 34ºC ramp 1min; 290ºC final temp
Flow split: 1:20
DiscovIR parameters
Window temp: -20ºC
Window speed: 3
Restrictor temp: 250ºC
FTIR detector: 4000-650 cm-1
MCT: 8 cm-1 res.
Figure2.
Infrared chromatogram of Clan lab sample
4つのピークのリテンションタイムは、2.79分、2.97分、3.57分、5.9分であった。DiscovIRは、測定中
に0.3秒間隔でスペクトルを収集する。Figure3に、最初の3つのピーク最大値から得たスペクトルを
表示する。
強いスペクトルが得られ、固相スペクトル特有の微細構造の細部を表している。
Figure3.
IR spectra from three of the Clan lab elution peaks
既知のスタンダードをDiscovIRで分析して構築した薬物のスペクトルライブラリが準備されていた。
Figure3に表示したスペクトルを、そのライブラリと比較した。2.79分のピークは、メタンフェタミンと同定
された(Figure4参照)。同様に他の3つのピークも薬物ライブラリと比較して、それぞれ同定をおこ
なった。2.97分のピークは、CMP [1-(1’,4’-cyclohexadienyl)-2-methylaminopropane]; メタン
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薬物の 法医学的分 析
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フェタミンの合成過程で形成される副産物と確定された。3つめのピークは偽エフェドリン、4つめは炭
化水素残留物と同定された。このように、成分は独立した2つの方法; 赤外スペクトルとクロマトグラ
ムのリテンションタイムによって同定される。
Figure4.
異性体の
異性体の識別:
識別
Identification of the 2.79 min peak as methamphetamine
GC-IRと
とGC-MS
質量分析は、前駆イオンの分子量とフラグメンテーションのパターンに基づき同定がなされる。赤外
分光は、分子が引き起こす特異な一連の吸収バンドに基づいて同定が行われる。分子内の分子
内共鳴のため、一見僅かなキラリティの相違がスペクトルに大きな相違を招く。以下に示す例は、同
じ分子量の類似化合物を赤外分光で分析した比較である。
法医学研究所で日常的に直面する類似分子構造をもつ3サンプルの分析を例証する。このような
薬物のサンプルは、個別の成分に容易に分離される。各成分は、分光学的検査を受けることがで
きる。成分の同定は、クロマトグラムのリテンションタイムと成分のスペクトルを基準に行われる。例示
した3つのケースは、類似した質量をもつ一対の異なる分析種がサンプルである。GC-MSデータを
GC-FTIRと比較した。実例1のように、既知スタンダードをDiscovIRで分析して構築した凝縮相のス
ペクトルライブラリと比較して同定は行われた。
以降の例は、類似または同一の分子量をもつ化合物の違いを容易に見極めるGC-IRの能力を実
証する。分子の類似性が増加する順に表示した。
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実例2
実例
オキシモルホンとジヒドロコデイン
オキシモルホンとジヒドロコデインの
ジヒドロコデインの分析
この化合物は、類似した構造のオピオイド鎮痛薬である。異なる分子構成をもつが、分子量はほ
ぼ同じである。これらは様々な投与形態で製造されている医療用医薬品で、両方とも不法使用
は制約されている。
Figure5.
Mass spectra of Oxymorphone and dihydrocodeine
Figure5は、MSスペクトルである。質量分析では、オキシモルホンとジヒドロコデインは大きい基準イ
オンと小さな二次イオンの両方を発生させる。基準イオンに基づいた同定は可能性がなく、二次イ
オンの限られたフラグメンテーションによる同定は極めて不確かである。
しかし、赤外スペクトルは顕著な違いを表すので、同定が容易に可能となる。それぞれのスペクトル
を、Figure6に表示した。オキシモルホンに存在するカルボニル基は1728cm-1付近で強い吸収を示
し、3500~3000cm-1領域の水酸基のブロードなピークがオキシモルホンで大きく表れている。芳香
族基などの共通した分子構造の官能基の強い吸収バンドが、明瞭に認められる。2000~
800cm-1領域で、2つの分子の分子内振動の相違がスペクトルに表れている。赤外スペクトルでは、
この2サンプルの構造が容易に区別でき、同定ができる。
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薬物の 法医学的分 析
Figure6.
Application Note 030
Infrared spectra from chromatograph of sample of oxymorphone and dihydrocodeine
実例3
実例
構造異性体;
構造異性体 フェンテルミンとメタンフェタミン
メタンフェタミンは、世界のさまざまな地下組織における主要産物の一つである。位置異性体である
フェンテルミンは、食欲抑制剤の用途で生産されている。アンフェタミンと同類で、米国統制薬物法
(Controlled Substances Act)で Schedule IV制御物質に分類されている。DiscovIRのサンプ
ル・ディスク上でクロマトグラフ分離したデポジットから、次のスペクトル(Figure7)が得られた。
この2つの物質は、同一の分子構成をもつ。質量分析では同一の前駆イオンを示し、フラグメントイ
オンにごく僅かな相違しかない。異性体の構造差は、赤外スペクトルに際立った違いとなって表れる。
第1級と第2級アミンに隣接したメチル基のメチル伸縮振動だけでなく、赤外の指紋領域にも明瞭
に異なる振動パターンをもたらしている。
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Figure7.
Infrared spectra from chromatogram of a mixture of methamphetamine and phentermine
実例4
実例
ジアステレオマー;
ジアステレオマー エフェドリンと偽
エフェドリンと偽エフェドリン
このジアステレオマーのサンプルは、類似したマススペクトルとリテンションタイムを表す。エフェドリンと偽
エフェドリンは、一般用医薬品および処方治療薬の両方に使用されている。地下組織の研究所で
もメタンフェタミンの前駆物質として使用されている。これら薬物の同定は、メタンフェタミン生成残留
物の科学捜査の鑑定に、また処理装置と材料の分析に役立つ。
このジアステレオマーは、2つのキラル中心をもつ。キラル中心上の立体配置が逆である鏡像異性体
(1R,2S)および(1S,2R)は、エフェドリンと指定されている。これに対し偽エフェドリンは、キラル炭素
上に同じ立体配置(1R,2R)、(1S,2S)をもつ。 分子式はOH基をもつ炭素のR/S表記が違うだけ
である。
Ephedrine
C10H15NO
Pseudoephedrine
FW 165.23
C10H15NO
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FW 165.23
薬物の 法医学的分 析
Application Note 030
気相のスペクトルでこの2つの化合物を識別するには問題がある。しかし固相サンプルからは高解像
度のスペクトルが得られるため、この2つの立体異性体の識別が容易に可能である。Figure8に、
DiscovIRで測定したエフェドリンと偽エフェドリンのスペクトルを表示した。異性体は分子内共鳴を起
こして、明確に異なるスペクトルのピークをもたらしている。指紋領域では、750cm-1付近のバンドだ
けでなく、1200~1100cm-1領域の主要な3つのバンドが一方のスペクトルから他方にシフトしている
のが見られる。この特徴によって、立体異性体の識別が容易となる。
Figure8.
Spectra from a separation of ephedrine and pseudoephedrine
結 び
Spectra Analysis社は、法医学の薬物分析研究のニーズに合った”ハイフネーション”システムを提
供する。無人自動運転、データのファイル保管、検体同定用ソフトウェアといった機能をもつ。日々
の処理能力は、数百サンプル程度をこなす。GC-IR法は、異性体とキラル分子の分析に特に有用
である。同一分子量の化合物をMSで識別するのは困難だが、この高分解能な固相スペクトルを
利用すれば容易である。本文で実例を挙げて、GC-IRとGC-MSの相補的な面を実証した。
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DiscovIR-GC仕様
システム概要
システム概要
動作原理
カラム溶出ガスを低温冷却ZnSeサンプル・ディスクに
direct-deposition後、順次FTIRで連続スキャン
検出方法
システム内蔵FTIR
赤外検出器
0.1x0.1 MCT
赤外波数範囲
4000~700 wavenumber
分解能
4 cm-1または8cm-1
データ収集
リアルタイム、post-run rescan
サンプル相
固相
スペクトルタイプ
透過
サンプル・ディスク
使用可能時間: ~50時間
温度コントロール: -100~-30℃、周辺温度~100℃
流量
0.1~3mL/min.
トランスファーライン温度
~300℃
感度
サブナノグラム
無人運転
12時間(オートサンプラ対応)
データステーション
プラットフォーム
デスクトップコンピュータ: Microsoft Windows OS
ソフトウェア
GRAMS/32 AI™組込みソフトウェア
リアルタイムおよびpost-runデータ収集
クロマトグラム/スペクトル解析
バンドクロマトグラム(化学的分類)
比率クロマトグラム(官能基の存在比の傾向)
ライブラリ検索
Spectral IDソフトウェア(GRAMSのAdd-onモジュール)
※ガスクロマトグラフは、ユーザー所有の装置に適合
お問合せ先: パンタレイテクノロジー株式会社 〒550-0006 大阪市西区江之子島1-7-3(奥内阿波座駅前ビル)
Tel&Fax: 06-6450-8329・ [email protected]・
URL: http://pantaray.co.jp
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