感動的な詩です 読んでみてください!!

坂戸市立入西小学校
学 校 だ よ り
平成 28 年 6 月 1 日
おもしろいこといっぱい!うれしくなる学校を目指して
校長
土井雅弘
感動的な詩です 読んでみてください!!
数年前の資料を探していたら、かつて私が埼玉県立塙保己一学園(県立盲学校)を
訪問した際、当時の校長先生が、「感動的な詩です。ぜひ読んでみてください」と渡
された詩が出てきました。
おこられた
なにもひとりで できなくなった
でも みんな やさしくしてくれた
だれも おこらなくなった
手をひいてくれた 給食のじゅんびをしてくれた
うれしかった
盲学校にきて おこられた
給食のじゅんびをさせられた
点字を泣くまでやらされた
ひとりで歩かされて 物にぶつかって転んだ
文句を言ったら おこられた
苦しかった
でも 自分でやれることが 増えた
この詩は、塙保己一学園の卒業生が在校中に書いたもので、この生徒は小学校に通
っているときに失明し、塙保己一学園(盲学校)に転校してきたそうです。
途中失明したこの生徒の気持ちを考えると胸が詰まります。盲学校に来てからの努
力は想像を越えるでしょう。しかしそれを乗り越えて、「苦しかった。でも、自分で
やれることが増えた」と言えるようになったこの生徒に感動を覚えます。
また、教師ある私は、それ以上に、この生徒を支えたというより厳しく指導された
盲学校の先生方に尊敬の念を抱きます。この生徒の 10 年先、20 年先、将来を見通し
て、一人でできることを増やそうと、正に、自立させようと努力した先生方に、教育
の意味と必要性を教えられたと考えるからです。
「可哀想だから、優しくする」は大事な気持ちです。しかし、将来社会に出る子供
を育てる教師が、可哀想だからといって甘くしてしまったら、「何もできない大人」
を育てることになります。自立できなければ、大人になった時に困り、充実した人生
が送れないのは目に見えています。この生徒は、今、社会人となり生き生きと働いて
いるそうです。
私は、この詩を読み返しながら、自分自身が教師として、盲学校の先生方のように、
本当の意味での愛情をしっかり持って子供達に接していかなければならないと、改め
て考えさせられた次第です。
「メンドウクサイ」 と 「はい、喜んで!」 を考える
「黒板を写すのがメンドウクサイ!」
「漢字を書く、計算するのがメンドウクサイ!」
「外で遊ぶのがメンドウクサイ!」
子供達の中には、こんなことを言う子がいます。面倒くさい気持ち
のまま勉強したり、外遊びしたりするのです。これでは、毎日、イヤイヤ勉強したり、
遊んだりする癖をつける勉強をしているようなものです。
一方、ある居酒屋では、客の注文を受けると「はい、喜んで!」と応対します。マ
ニュアル通りということでしょうが、客としてはイヤイヤ注文を受けられるよりは、
気持ちがいいものです。働いている人にとっても、「はい、喜んで!」と言って働い
ているうちに、仕事が楽しくなってくるかもしれません。楽しく働ければ、これほど
幸せなことはありません。
私は、子供を教育する上で大切なことの一つは、子供を「その気」にさせることだ
と思っています。その気になって取り組んだことは、身に付くだけでなく楽しいもの
です。学校は、将来への準備をさせる場です。子供達が将来大人になって様々な職業
に就いたとき、イヤイヤ仕事をするのは辛いことです。例えば、炊事や洗濯にしても
必ずやらなければならない仕事です。どうせやるなら、イヤイヤでなく楽しくやれた
方がいいに決まっています。
私は、子供達が小学校のうちから「メンドウクサイ病」にかからないようにしたい
と思います。何事にも「はい、喜んで!」と取り組める子供に育って欲しいものです。
学校としても心して取り組んでいきたいと思います。ご家庭でもご協力ください。
2030年の社会と子供達の未来
次期学習指導要領の策定に当たり、昨年 8 月に文部科学省から出された論点整理の
報告に 14 年後の未来予想図が記されています。それは、次のようにまとめています。
①2030 年には、少子高齢化が更に進行し、65 歳以上の割合は、総人口の 3 割に達
する。
②生産年齢人口は、総人口の約 58%にまで減少する。
③世界の GDP に占める日本の割合は、現在の 5.8%から 3.4%に
まで低下する。
(日本の国際的な存在感の低下も懸念されている)
④子供達の 65%は、将来、今は存在しない職業に就く。
⑤今後 10 年~20 年程度で半数近くの仕事が自動化される可能性が高い。
⑥2045 年には、人口知能が人類を越える「シンギュラリティ」に達する。
14 年後は、6 年生が 25 歳、26 歳に、1 年生が 20 歳、21 歳になります。正に社会人
になる時期です。私はこれまで以上に、子供達に学ぶ力、人間力を育てなければなら
ないと強く思います。特に、授業においては、「考える力」、「議論する(話合う)
力」の育成が極めて重要です。各先生方には、「教えて考えさせる授業」「話し合い
ながら考える授業」を積極的に取り入れてほしいと指示しているところです。これか
らの学校の役割を考えながら、日々の教育活動を展開していきたいと思います。