その名はデュークモン! 真なる究極進化

デジモンテイマーズ
第35話
その名はデュークモン!
真なる究極進化
第三稿
脚 本 /小 中 千 昭
/
08
12
Animation Play by Chiak J. Konaka
/
2001
登場人物
留姫︹ルキ︺
(10)
(10)
(07)
松 田 啓 人 ︹ タ カ ト ︺ (10)
健 良 ︹ ジ ェ ン リ ャ ︺ (10)
牧野
樹莉
李
加藤
博和
(10)
塩田
北 川 健 太 (10
小春︹シウチョン︺
李
メギドラモン
(14)
↓
ラピッドモン
遼
グラウモン
↓
秋山
テリアモン
キュウビモン
クルモン
レオモン
ロップモン
ベルゼブモン
マクラモン
スーツェーモン︵声のみ︶
李
鎮宇
サイバードラモン
李
柳瀬 >
麻 由 美 (42)
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ジェンの母
<
連杰︹リンチェイ︺
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ジェンの父親
(40)
李
嘉玲︹ジャアリン︺
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮チーフ・オペレーター
(26)
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮オペレーター
(23)
⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮ネット管制室長
(32)
⋮⋮⋮⋮⋮声無し
)17)
⋮⋮⋮⋮⋮声無し
(15)
李
麗花
山木満雄
鳳
小野寺恵
﹁クルモンを求めて、ついにタカト達は四聖獣の領域にま
○前話モンタージュ︹効果音バック︺
N
で踏み込んだ。しかしそこには、悪魔の契約を交わして
進化したインプモンの究極体、ベルゼブモンが待ち受け
ていた。タカトの怒りとギルモンの怒りが重なった時、
!
、より巨大な姿、より禍々し
デジタル・ワールドをも脅かす危険な進化が始まった﹂
進化⋮⋮﹂
い姿へ変容していくメガログラウモン。
紅蓮の業火の中で
○前話リプライズ/南大門前
タカト﹁
最早、巨獣の咆哮しか聞こえない。
赤黒い炎の中から、その姿を現す究極の姿
極の姿。
僕が
、僕が望んだから、こんな姿に⋮⋮﹂
知性、理性を失い、絶対的な強さのみを獲得した究
メギドラモン﹁ぐおおおおおおおおおおおおおおんんんん!!﹂
タカト﹁
無数の鋭い牙が並ぶ口蓋を開き、粘液を滴らせ
、僕が
﹂
メギドラモンはベルゼブモンを食らおうと
僕が
莉﹁やめてぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!﹂
タカト﹁
樹
□サブタイトル
暗い夜空に、中央公園よりまっすぐ空に伸びる赤い
光の筋。
宇﹁︵オフ︶ちょ、ちょっと出かけてくる!﹂
○西新宿
鎮
○李家/リビング
1
こちらに背を向け座り込んで、小春の服を畳んでい
る麻由美。
いいかな。今香港て気温どうなの?﹂
宇﹁︵それどころではなく︶聞こえたのか?
出かけてくる
麻由美﹁︵背オフ︶ちょっと待って。ね、小春にどの服送ったら
鎮
からなっ﹂
行こうとする鎮宇。
止まる鎮宇。
麻由美の声﹁︵強く︶待ってよ!﹂
宇﹁
すまない⋮⋮﹂
、ジェンリャと同じところに
おかしいわよ、やっぱり。あたし、夢で
。あの子
︵目を見る事が出来ない︶
行っちゃったんでしょ?﹂
見たもの
っているの?
麻由美﹁︵涙を浮かべ︶シウチョン、本当にあなたの御実家に行
鎮
宇﹁
後でゆっくり、話す﹂
麻 由 美 ﹁ 何 で !? 何 で ウ チ の 子 ば っ か り ! ﹂
子ども部屋から覗き見るリンチェイとジャアリン。
鎮
鎮宇、出ていく。
麻由美﹁今度っていつよ!!﹂
閉じられるドアの音。声を上げ泣く麻由美。
春﹁こわいいいいいい﹂
ズズズズズズズ
空が坩堝の粘液の如きにうねり、
地が震える。
デジタルな雷光か走る。
ゴオオオオオ!
皓々と赤く輝かせ、咆哮する。
メギドラモン、胸のデジタル・ハザード・マークを
○デジタル・ワールド/四聖獣の領域/南大門前
小
ロップモン、健気に小春を護ろうと脚を掴んでいる。
メギドラモン﹁ぐわおおおおおおんんんんんんん﹂
あれが
ギルモンの究極体⋮⋮﹂
満身創痍のキュウビモン、目を細めて見つめる。
キュウビモン﹁
方耳、方肩を壊したラピッドモンも見つめる。
2
ラピッドモン﹁ギルモンはウィルス種
。
っちゃうなんて⋮⋮﹂
そのPOV
デジモン⋮⋮﹂
。ウィ
。だけど、あんなにな
メギドラモン
考えた
、やっぱり究極体だ!﹂
ジェン﹁︵ハッとDアークを見て︶
ルス種、究極体
僕の
呆然と見つめるタカト。
タカト﹁あれが、ギルモン?
、頭から噛みつこうとする!
必死にそれを腕で阻止するベルゼブモン。
動きを封じた上で
メギドラモン、蛇状の尾をベルゼブモンに絡ませ、
メギドラモン﹁ぐおおおおおおおんんんんんんん!﹂
莉﹁
加藤さん⋮⋮﹂
顔を覆う樹莉。
もう嫌だ!﹂
に、ベルゼブモンの顔、躰を溶かす。
ベ ル ゼ ブ モ ン ﹁ な っ 、 何 だ こ い つ は ! く そ ! 強 過 ぎ る !!
﹂
ベルゼブモンの顔に滴るメギドラモンの唾液。酸性の様
樹
タカト﹁
﹂
、あいつを倒せ、あいつを消してしまえっ
タカト、再びメギドラモンを見上げる。
僕が
ギルモンは
地が割れていく!
ドドドオオオンンン!
過呼吸気味になり、顔が青ざめるタカト。
って思ったから
姫﹁!
タカト﹁
留
ど う し た の !? 何 が 起 こ っ て い る の !?
﹂
地に深い亀裂が入っていく! 子ども達、別々の島
に離れていく。
﹂
!?
あのマークはそ
この進化は、デジタル・ワールド
メギドラモンのデジタル・ハザード・マークが激し
く明滅。
春﹁ジェン兄ちゃーん!﹂
ういう意味だったのか
そのものにまで危機をもたらすんだ!
ジェン﹁ハザード・サイン
小
ジェン﹁小春!﹂
ジェン、小春のいる島へジャンプ。
3
ラピッドモン、方翼ながら急速接近
しかしそこはあまりに小さい島。徐々に周囲が崩れ
ていく。
ジェン﹁し、しまった!﹂
キィィィン!
し、ジェン、小春、ロップモンを拾い上げて、大き
な島へ運ぶ。
ジ ェ ン ﹁ ラ ピ ッ ド モ ン ! 大 丈 夫 !?
﹂
まだまだ僕は負けないよ!﹂
ラピッドモン﹁
○都庁舎外観
強大なパワーが現れ、レイヤー自体を揺るがしているの
です﹂
何故今なのだ!
世界
﹂
。彼らはこれまで、大人の
間に合わないなんて⋮⋮﹂
の仲間と連携して、子ども達を救い出すアークを作って
いるところなのに!
私は彼らを信じます
しかし、しかしこの異変は
我々ではとても不可能な事をやってこれた﹂
宇﹁そう、そうとも!
木﹁
宇﹁︵自分の額を拳で叩き︶何故!
らの行動が関係しているのは間違いないでしょう﹂
宇 ﹁ ジ ェ ン リ ャ 達 は !?
﹂
︵沈痛に被りを振り︶連絡がとれません。多分、彼
木﹁
宇 ﹁ 何 が 起 こ っ て い る !?
﹂
木﹁不明です。デジタル・ワールドの一番深いレイヤーで、
飛び込んでくる鎮宇。
埋め尽くされている。鳴り響く警報。
ヒュプノスの画面がデジタル・ハザード・マークに
○ネット管理局/管制センター
鎮
山
鎮
山
鎮
山
鎮
禍々しい輝きのハザード・サイン。
○物理レイヤーの荒野
サイバードラモンと共に旅を続けていたリョウ
4
リョウ﹁
○南大門前
タカト﹁
地表から無数に伸びる赤く細い光の筋。低い地鳴り。
何が起こってるんだ⋮⋮?﹂
ハッと振り向くリョウ。
数キロ程離れたところで、赤く太い光の筋が地下よ
り頭上のリアル・ワールド球に向かって貫いている。
メギドラモンの胸のハザードマークが明滅。
どんどん周囲の地を陥没させていく。
もうやめる
それでもメギドラモンはベルゼブモンを食らおうと
、 も う や め て !! ギ ル モ ン !
覆い被さっていく!
もう
んだ!﹂
その声はメギドラモンには届かない。屈していくベ
ルゼブモン。もう後は、地に伏し、メギドラモンに
、ただ俺を喰う為だけに生まれたの
喰われるのを待つばかり。
ベルゼブモン﹁こいつは
か⋮⋮。こんな奴に俺は⋮⋮﹂
!
淀む空に一閃の光。
メギドラモン﹁ぐあおおおおおんんんん!﹂
その時
ベルゼブモンのすぐ脇に、プラズマ球電が現れる。
こんな戦いを続けていたら、
その中にいるマクラモン。
マクラモン﹁何をしておるのだ!
この我らが神の領域のみならず、この世界そのものまで
をも破滅させてしまうぞ!﹂
ベルゼブモン﹁う、うるせぇ⋮⋮﹂
マクラモン﹁愚かなるチャツラモンめ。こんな異常進化までさせ
﹂
うるせぇって言ってんだろうが!!!﹂
て兵を造るなど
ベルゼブモン﹁
お前は神の力で進化させてもら
ベルゼブモン、ぐっ、と腕を伸ばし、マクラモンを
掴む。
マクラモン﹁なっ、何をする!
っただけの、卑しいデジモンでしかないのだぞ!﹂
5
ベルゼブモン﹁
︵ニヤ︶﹂
ベルゼブモンの目が光り、口を大きく開いて叫ぶ!
ベルゼブモン﹁ぐああああああっっっ!﹂
、お前は⋮⋮﹂
掴まれたマクラモンの躰、量子分解していく!
姫﹁︵唖然︶
﹂
デーヴァをロードした⋮⋮﹂
駄目!
そんな躰で
﹂
量子分解したデータを飲み込むベルゼブモン。
マクラモン﹁神の使い、デーヴァを
留
姫﹁キュウビモン!
キュウビモン、飛び立つ!
キュウビモン﹁最早あれは、悪魔
留
ラピッドモン!﹂
ラピッドモンも飛び立った。
ジェン﹁よせっ!
ラピッドモン﹁このまま戦いを続けたらこの世界が壊れちゃう!
タオモン!﹂
マトリックス・エボリューション
そう、そうなんだよね!﹂
だとしたら、あいつを止めなきゃいけないんだ!﹂
﹂
姫﹁︵強い顔になって︶
ジェン﹁
留
姫﹁カードスラッシュ!
○カード・スラッシュ
留
!﹂
○タオモン進化
キュウビモン﹁キュウビモン進化!
○南大門前
マクラモンをロードし、身を震わせているベルゼブ
モン。メギドラモンはベルゼブモンを仰向けに押し
倒し、噛みつかんとしている。
そこに飛来してくるキュウビモンとラピッドモン。
ラピッドモン﹁ゴールデン・トライアングル!﹂
6
、指をガッと開く!
ラピッドモン、タオモンを捕える!
あいつはマクラモンをロードしている!
逃げろラピッドモン!﹂
﹂
その力を
マクラモンを運んできた青い光の筋が掌から伸びて
見上げたベルゼブモン
タオモン﹁梵・筆・閃!﹂
ジェン﹁!
自分で使えるんだ!
ラピッドモン﹁に、逃げられない
、腐食する様に消えてしまう。
タオモン﹁オン︵ =
梵字!︶﹂
タオモン、九字を切り自己の周囲に曼陀羅円を描く
くが
喰って喰って、俺は最強
の周囲が量子分解を始める。
姫﹁タオモン!!!﹂
くそ
、すっ、
、︵ハッ︶﹂
青い光に捕らえられたラピッドモンとタオモン、躰
のデジモンになるんだぁぁぁっ!﹂
ベルゼブモン﹁お前らも喰ってやる!
留
ジェン﹁このままじゃロードされちまう!
エイリアスのカード!﹂
カードを一枚抜くジェン。
ジェン﹁留姫!
留
エイリアス!﹂
姫 ﹁ え っ !? 分 身
?︵得心しハッとなり︶﹂
腰のカードホルダーからサッと束を抜いて
留姫﹁カード・スラッシュ!
+
○カード・スラッシュ
ジェン
○南大門前
青い光の中のラピッドモンとタオモン
とそれぞれテリアモンとレナモンの分身が生まれ、
離脱。
しかしラピッドモンとタオモンは完全に量子分解し、
ベルゼブモンに喰われていく。
落下する二体。
テリアモン﹁ふー⋮⋮、助かったけど⋮⋮﹂
7
レナモン﹁完全体の力、全て奴に⋮⋮﹂
ぐっ、メギドラモンの顎を掴んで
ベルゼブモン!
﹂
。
、
、立ち上がる
全身を激しく震わせ、躰にアウラが包み
ベルゼブモン﹁うがあああああああああああっっっっっっ!﹂
タカト﹁
呆然と見つめるばかりのタカト
ベルゼブモン﹁がっがっがああああっ!﹂
躰の中に制御しきれない程のパワーを溜め込んだベ
突き出るも無理矢理
体内からラピッドモンの腕が!
ルゼブモン、時折、不自然な痙攣を起こしている。
グワッッッ!
タオモンの肩ウィングが!
押さえ込むベルゼブモン
ベルゼブモン﹁うぐぅ⋮⋮ウガアアアアア!﹂
ガン!
ガン!
立ちはだかるベルゼブモン!
ガン!
拳でメギドラモンの頭部を強打。
莉﹁やめてぇぇぇ
﹂
!! や め て よ ォ ォ ォ ォ ォ !!!!
メギドラモン﹁ぐおおおんんんんんんんん﹂
樹
ビシッ!
ハザー
俊敏に後ろ回し蹴りでメギドラモ
ベルゼブモン﹁うがががががっ!﹂
ゲシッッッッ!
、
ンのハザード・マークを撃打!
ド・マークが割れ
﹂
地に伏す、メギドラモン。
メギドラモン﹁おおおんんんんんんんん
ズズーン!
あああああっ!﹂
ベルゼブモン、昂奮の余り、身を震わせ、首をガク
ぐあっ!
ンガクンと振りながら咆哮。
ベルゼブモン﹁ああああっぐっ!
、
、
慄然とそれを見つめる、ジェン、テリアモン
留姫とレナモン
小春とロップモン
8
。
、最強のデジモンになったの
ヒロカズ、ケンタとガードロモン
ほんとにあいつ
︵樹莉に向いて︶
無意識に後退る樹莉。
加藤、さん⋮⋮﹂
もう、もうやめて、こんな事、こんな
﹂
﹂
そして、タカトと樹莉、やや離れて立ち尽くす。
かよ⋮⋮﹂
ヒロカズ﹁
莉﹁
タカト﹁
樹
、こんな戦い
ポロポロと泣きだす樹莉。
僕だって
、あんなに可愛かったギルモンち
近づこうとするタカト。
莉﹁来ないで!!﹂
タカト﹁
樹
莉﹁ギルモンちゃんを
タカト﹁︵衝撃︶﹂
樹
ゃんが⋮⋮﹂
タカト﹁︵より強い衝撃︶﹂
タカト、力無く、目を閉じ、地に伏せているメギド
ラモンの方を見る。
○ネット監視センター
ヒュプノスのスクリーン、ハザードマークが徐々に
消えていく。
﹁ネットワーク最深部レイヤーの異常、停止した模様です﹂
助かった、のだろうか⋮⋮﹂
恵
宇﹁
︵スクリーンを見上げ︶何が起こっているのかすら
小さく溜め息をつく鎮宇。
鎮
木﹁
。こんな物を作って有頂天になっていた
山
も判らない
宇﹁
自分があまりに愚かしい⋮⋮﹂
鎮
木﹁︵内省︶⋮⋮。ワイルド・バンチの皆さんが作っておら
これからさ。これからだよ、山木君﹂
山
鎮
木﹁ヒュプノスのメインフレームを使って下さい﹂
宇﹁基本設計はもう出来ている。しかし計算が膨大で
﹂
れるアーク、方舟はあとどれくらいで完成するのですか﹂
山
宇﹁
ありがとう⋮⋮。急がねばならない。あの子達はお
鎮
9
○南大門前
タカト﹁
タカト﹁
そらく、自分達も知らず、この世界を救おうとしている
のかもしれない⋮⋮﹂
。時折震えが全身に走
破壊された南大門の脇で、がくりと膝をつき、頭を
垂れているベルゼブモン
る。体内のパワーを御しきれない。
ヒロカズらとジェン、同じ島に集まろうと手を伸ば
、おそるおそる、伏しているメギドラ
し合っている。
タカトは
モンの頭部の前へ来る。
メギ、ドラモン⋮⋮﹂
答えないメギドラモン。
タカト、膝をついて、そっとメギドラモンの閉じた
、いけなかったんだ⋮⋮。全部、僕が⋮⋮﹂
目の前に。
僕が
デジモンがとっても好きで
、ネ
以下、タカトの台詞に合わせて適宜フラッシュ。
タカト﹁︵淡々と︶僕は
ットの中とか、カードの中だけじゃなくって、ホントに
﹂
僕と一緒に遊んだり出来たらとっても楽しいのにって、
ずっと思ってて
▼ギルモンとの出会い
▼学校でのギルモン騒動
▼公園脇を歩くタカトとギルモン
、ホントに夢がかなったっていうか、僕がそ
でも、デジモンはデータ⋮⋮﹂
▼ちびっこ広場の滑り台の上のタカトとギルモン
▼グラウモンに進化するギルモン
うなって欲しい事が魔法みたいに起こって⋮⋮﹂
タカト﹁だから
タカト﹁
▼ SHIBUMI図 書 館 に て 、 タ カ ト の 前 に 現 れ る も う 一
体のギルモン。
それを慄然と見ているタカト。
タカト﹁魔法なんかじゃなかった⋮⋮﹂
10
▼タカトに笑いかけているギルモン
タカト﹁︵唇を噛む︶﹂
メギドラモンの目は閉じられたまま
ねぇ加藤ってば!
。
こっちに来なよ!
ヒロカズとケンタ、樹莉に呼びかけている。
ケンタ﹁加藤!
ってばそこに一人じゃ﹂
危ない
Dアークを握
しかし樹莉は心を喪いつつあり、反応しない。
ぎゅっ、と両手でレオモンとの絆
りしめている。
ヒロカズ﹁しょうがねーな。まあ無理ないけど⋮⋮。俺、連れて
くる!﹂
その時!
ヒロカズ、地の亀裂をジャンプしようと後退する。
と!
ベルゼブモンの唸り﹁ぅぅぅううううううああああああああっ!﹂
ヒロカズ﹁︵よろけて︶!﹂
おおおおおおっっ!﹂
ベルゼブモン、ユラリと立ち上がった!
ベルゼブモン﹁うぐぅおおおおっ!
俺は勝った!
俺は最強のデジモンにな
全身に力を漲らせ、奮い立つ。
ベルゼブモン﹁俺は
ったんだぁぁぁっ!﹂
ジェン﹁まずい、あいつはタオモン達のデータも自分のものにし
てしまったらしい!﹂
春﹁ロップモン、進化してあいつやっつけて﹂
テリアモン﹁なんて奴!﹂
小
ええーん、ええーん﹂
ロップモンに無理を言うな!﹂
春﹁だって、だってみんな危ないんだよ!﹂
ロップモン﹁︵困り顔︶我、進化はもう許されない⋮⋮﹂
小
一緒﹂
春﹁ええーん!
ええええーん!﹂
テリアモン、ガードロモン、みんな、まだあたしたちと
姫﹁︵屈んで︶小春、大丈夫。みんなもいるよ。レナモンや
﹁しまった﹂と頭をかきむしるジェン。
春﹁︵泣きだす︶だってーっ!
ジェン﹁小春!
小
留
小
11
ケンタ﹁あいつ!﹂
ベルゼブモン、ゆっくりとジェン達の方を見る。
、契約は契約
。俺はもう、神では
ええええんん!﹂
両腕に銃が装着される。
春﹁うわあああんん!
ジャキッ!
歩きだすベルゼブモン。
なく悪魔になってるんだ﹂
だ。お前達人間も喰ってやるぜ
ベルゼブモン﹁神なんてもう俺には関係ねぇが
小
激しく泣く小春。
ジェン、小春とロップモンを後ろに回し
ジェン﹁くそっ!﹂
姫 ﹁ タ カ ト ! タ カ ト ! 何 し て ん の !? 逃 げ て ! ﹂
感情を喪い、立ち尽くす樹莉
。
留姫、ハッとタカトの方を見る。
留
姫﹁樹莉!﹂
足音を立て、こちらに向かってくるベ
、背後に構わず
だって、だっていくら元がデータだからって、僕
︵違うと首を振り︶こんなの、こんなの間違ってる
タカトは
ルゼブモン。
ズズーン!
留
タカト﹁
よ!
、ギルモンはギルモンだも
ずっと一緒に遊ん
、戦ってきた!﹂
僕たち、ずっと友達だった!
が考えたデジモンだって
の!
で、話して、笑って
ベルゼブモン、脇を見やる。
ベルゼブモン﹁胸くそ悪い奴め、まだそこにいやがったか。まず
は貴様からだ﹂
ギルモォォォォォン!!!﹂
メギドラモンの頭に抱きつくタカト。
タカト﹁︵聞こえていない︶
タカトの呼びかけ、この世界中に染み渡る。
。
メギドラモンの閉じられた瞼が、ゆっくりと開く。
未だ赤黒い輝きだけの眼
12
両手の銃口をタカトもろともメギドラモ
ベルゼブモン﹁消えっちまえっ!﹂
ジャキ!
ンに向けるベルゼブモン。
。
早く逃げて早く!﹂
そこから離れろ!﹂
口々に︵クロストーク︶
逃げろ!
早く!
バカヤロオオオオ!﹂
姫﹁何してんのタカト!
ジェン﹁タカト!
留
ヒロカズ﹁タカト!
タカトーッ!﹂
、低く、極端にゆっくりに
、僕の友達
﹂
赤い眼がタカトを見つめている。
ギルモン
、赤から
。
、黄色に変わり
タカトに向かって叫んでいる子ども達
虚空を停止しているかの様にゆっくりと進む銃弾。
否、時間が、タカトの時間の進行が停止していく。
発射される銃弾。スローモーション
ド・ッッゴォォォォォォォン
彼らの声
テリアモン﹁タカトーっ!
タカト﹁
メギドラモンの眼
、瞳が現れる。
メギドラモン﹁︵くぐもった声︶タ⋮⋮カ⋮⋮ト⋮⋮﹂
タカト﹁ギルモォォォン!﹂
弾丸は止まっていない。ゆっくりとではあるが、タ
カト達の方に向かって突き進んでくる!
ベルゼブモン﹁︵超低速声︶うええええおおおおっっ!﹂
○タカトの部屋︵リアル・ワールド/過去時制︶
ポツン、と部屋の真ん中に立っているタカト。
壁に貼られた、アグモンのポスター。
﹁何故僕は今、ここでこれを見てるんだろう⋮⋮?﹂
13
タカト﹁
、自分の机に駆け寄って座り
しかしタカト、アグモンを見ている内に笑顔になっ
て
メモ帳に描き出す。
彼自身の、彼が自分で考える、デジモンの絵。
熱中して描いていたタカト
ふっ、と色鉛筆を止める。
僕だって、データなんだ⋮⋮。だって、デジタル・
ワールドにいるんだよ、僕⋮⋮﹂
涙が、零れてくる。
。僕たちは、ずっと、
。僕たちが一緒に感じた気持ち
、僕がギルモンと一緒に過ごしてきた時間は、
涙が、ギルモンの絵に落ちて、滲む。
タカト﹁だけど
絶対にリアルだった
は、本物だった⋮⋮﹂
﹂
そうだよ、タカト
ややあって
友だち
ギルモンの声﹁
タカト﹁
﹂
!!!!
ハッと顔を上げるタカトの眼前に
赤と黒がマーブル状に混
赤と黒のヴォルテクス。
、恒星の誕生の如く輝き、
グオオオオオオオオッ!
ざった、力強い光球
タカトに迫って
ギル
ギルモォォォン!﹂
ギル
ギル
ギル
ギル
ヴォルテクスが無数のパーティクルに変化し
ドオオッッッ!
︵深呼吸︶
その中心に呆然と立つタカト
ギドラモンの内部。
それは、巨大なデータとエネルギーの塊となったメ
グオオオオオオオッ!
○﹃ギルモン・クエイサー﹄内
タカト﹁
タカト﹁!﹂
ギル
ギルモン達。何百もの、ギルモン達。生まれたての
14
ギル
ギル
ギル
ギル
ギルモン達が無数にそこにいる。
ギル
タカトに無関心に歩き回るギルモン達。
その中でタカトは
僕のギルモンは、たった一人!
どんなにデー
タカト﹁ギ、ギルモンが、いっぱい⋮⋮。︵力強く首を振り︶
違う!
タで増えたって、ギルモンは、僕と一緒にいたギルモン
。それに呼応して
、ふっ、と
タカトの眼前に一本の赤い道︵七話参照︶が浮かぶ。
タカトの叫び
はたった一人しかいないんだぁぁぁぁぁっ!﹂
タカト﹁!﹂
ギルモォォォォン!﹂
その道の先に、ぐったりと横になっているギルモン
がいる!
タカト﹁ギルモン!
駈けだすタカト。
無数のギルモンの脇を駆け抜けていく。タカトが通
過している毎に他のギルモン達は量子分解していく。
、眼を、開
タカト﹁ギルモンギルモンギルモンギルモンギルモォォォン!﹂
横たわっていたギルモン、耳を立て
けて
ギルモン﹁タカト⋮⋮?﹂
○南大門前
の頭を抱いていた。
︵力無く、しかし笑んで︶ぼくはここにいるよ﹂
ギルモン⋮⋮﹂
タカトの躰よりは大きい
タカトは、ギルモンを、小さいギルモン、それでも
タカトの叫び﹁ギルモォォォォン!﹂
タカト﹁
ギルモン﹁
、徐々に、極
タカト﹁⋮⋮︵嬉し涙︶うん、うん⋮⋮、いてくれて、ありがと
。
、無音の場であったそこに
う、ギルモン⋮⋮﹂
と
低の﹃音﹄が帰ってくる
ハッと振り向くタカト。
15
留
、元に戻りつつある!
、こちらに向かってくる無数の弾丸。
向こうに立つベルゼブモン。
そして
その微速な進行が
幻の様な、不明確な巨大なメギドラモンの
、銃弾を弾き飛ばす。
タカト、一緒に戦おう﹂
姿のパワーが留まっていた。
ギルモンの躰の周囲には、未だ、あの巨大な究極の
立ち上がるギルモン。
尾が振り下ろされ
ブン!
ギルモンの眼、強い光になって
姫﹁︵リアルタイム︶タカトォォォォ!﹂
ギルモン﹁
タカト﹁一緒に⋮⋮。そう、いつだってそうだった。そうだよね
ギルモン!﹂
苦渋の顔のベルゼブモン。
ギルモンと一緒
そんなにこの爪で引き裂かれたいかよ!﹂
でも、どうしたら一緒に戦える?
鋭い爪をガッと開く。
ベルゼブモン﹁くっ!
タカト﹁
僕は、もうギルモンの後ろにいるんじゃ、ない!﹂
て思えば、きっとなれるよ!﹂
に 戦 う っ て 、 ど う や っ て !?
﹂
ギルモン﹁ギルモン判んないけど、でも、タカトが一緒になるっ
タカト﹁
ブン!
タカトの躰の周囲を半透明の球体が包む。同時にデ
本当の!
本物の究極進化!﹂
、
ジタルテックな帯がタカトを包む球内に走る。
タカト﹁ギルモン!
、力強いパワーに満ち
ギルモン進化ァーッ!﹂
タカト自身がその姿に重なり
成熟期、完全体の姿が重なって
ギルモンの躰
○デュークモン進化
ギルモン﹁
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その姿、真なる究極の姿へ
デュークモン﹁デュークモン!!!﹂
○南大門前
。
、本当の、究極進化の姿⋮⋮﹂
唖然と見つめる子どもたち、デジモンたち。
あれが
タカトはどこに⋮⋮?﹂
、龍騎士・デュークモン。
姫﹁︵呟く︶タカトは⋮⋮?
ジェン﹁
留
立ち上がる
すっ、とグラムを横に振る。
な、何だ手前は⋮⋮﹂
︵憤怒︶許せねぇだと
!? 俺 自 身 の 存 在 を 、
。絶対に許す訳にはいかない!﹂
ベルゼブモン、悪魔に魂を売り、自ら悪魔と
ベルゼブモン﹁︵唖然︶
デュークモン﹁
なった者
ベルゼブモン﹁
許 せ ね ぇ だ と !? そ ん な 台 詞 は
﹂
ダッシュするベルゼブモン!
ダッ!
ベルゼブモン﹁俺を倒してからほざけッッッ!﹂
デュークモン、サッとグラムを振り上げて構え
ベルゼブモンに向かって駈けだす!
ベルゼブモン﹁であああああああああっ!﹂
デュークモン﹁うぉおおおおおおおおっ!﹂
激突!
以下次回
、
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