2013 年電子情報通信学会通信ソ サイ エ テ ィ 大会 B-5-89 IEEE802.11 無線 LAN における干渉電力測定に基づいて チャネルを棲み分ける動的チャネル配置の実験的検討 Experimental Study of Interference-Aware Channel Segregation Based Dynamic Channel Assignment in IEEE 802.11 Wireless LANs 松村祐輝 1 天間克宏 1 石原 浩一 2 ヒランタ アベーセーカラ 2 熊谷 智明 2 安達文幸 1 Yuki Matsumura1 Katsuhiro Temma1 Koichi Ishihara2 B. A. Hirantha Sithira Abeysekera2 Tomoaki Kumagai2 Fumiyuki Adachi1 1 東北大学大学院 工学研究科 通信工学専攻 1 Dept. of Communications Engineering, Graduate School of Engineering, Tohoku University 2 2 日本電信電話株式会社 NTT 未来ねっと研究所 NTT Network Innovation Laboratories, NTT Corporation 1.まえがき 図 3 に実験結果を示す.まず,AP#1 と AP#2 のみ起動さ せ,IA-CSDCA により自律的にチャネル選択を行わせたと ころ,AP#1 と AP#2 はそれぞれ CH#1 と CH#6 を選択した (図 3(a)参照). 次に,AP#3(固定 CH 割当)を起動し,AP#3 に CH#1 を強 制的に割当てた.この時点では AP#1 と AP#3 が同じ CH#1 を使用している(図 3(b)参照)が,AP#3 が起動してから約 130 秒が経過した後,AP#1 が使用チャネルを CH#1 から CH#11 に変更した(図 3(c)参照).これは,AP#1 が強い CCI を避けて自律的にチャネルを選択したためである.また, AP#3 の起動後約 130 秒が経過した後に,AP#1 が使用チャ ネルを変更したのは,AP が CCI テーブルを参照してチャ ネルを更新する周期を 90 秒に設定していたことと,市販 AP のチャネル変更のための再起動時間に数十秒を要した ためである. AP#1 がチャネルを CH#11 に変更してから十分な時間が 経過した(約 1 時間)後の各 AP の使用チャネルを図 3(d)に示 す.図 3(d)より,各 (固定CH割当) AP の使用チャネル は図 3(c)の状態で安 AP#1 AP#2 AP#3 定していることがわ 1m 1m かる. 無線 LAN では,限られたチャネルを地理的に離れたア クセスポイント(AP)で再利用しなければならないため,同 一チャネル干渉(CCI)がスループットに大きな影響を与え てしまう[1].我々はこれまで,そのような環境において強 い干渉を受けないチャネルを自律的に選択できる,干渉電 力測定に基づいてチャネルを棲み分ける動的チャネル配置 (IA-CSDCA)を提案してきた[2].本論文では,IA-CSDCA を IEEE802.11 無線 LAN[3]に適用し,AP が強い CCI 電力 が存在するチャネルを避けるように自律的にチャネルを選 択できることを実験により示している. 2.IA-CSDCA 実験装置 図 1 に,試作した IA-CSDCA 実験装置系列を示す.IACSDCA 実験装置の上に Buffalo 社製 AP(WAPM-APG300N) が接続されている.各 IA-CSDCA 実験装置は PLANEX 社 製のアンテナ(GW-USFang300)を用いて,周辺 AP が送信す るビーコンを観測し,全チャネルの瞬時 CCI 電力を測定す る.全チャネルの平均 CCI 電力を忘却係数 β の一次フィル タを用いて求め,CCI テーブルを 3 秒周期で更新する.第 m 番目の AP(AP#m)に接続された実験装置での第 ch 番目の チャネル(CH#ch)の平均 CCI 電力(真値)の更新は,次式のよ うに行った. I APm ,ch (t ) (1 β ) I APm ,ch (t ) β I APm ,ch (t 1) 図2 (1) 3 台の AP を用いた実験環境 AP#1 AP#3 AP#2 AP#1 AP#2 ここで, I APm ,ch (t ) は,AP#m に接続された実験装置が時刻 t で観測した CH#ch の瞬時 CCI 電力(真値)である.各 IACSDCA 実験装置は,90 秒間隔で CCI テーブルを参照し, 最優先度(平均 CCI 電力最小)のチャネルと現在使用してい るチャネルが異なる場合は,AP に使用チャネルを最優先 度のチャネルに変更するように命令する(なお,AP の使用 チャネル 変更のた めには市 販 AP を再 起動させ る必要が あり,こ の動作に 数十秒を 要した). AP#3 CH#1 CH#6 CH#11 (a) AP#3 起動前(AP#1, AP#2 起動済) AP#3 AP#2 AP#1 CH#1 CH#6 CH#11 (c) AP#1 チャネル変更直後 CH#1 CH#6 CH#11 (b) AP#3 起動直後 AP#3 AP#2 AP#1 CH#1 CH#6 CH#11 (d) チャネル変更から 1 時間経過後 図 3:IA-CS-DCA によるチャネル選択動作 4. むすび 本論文では,IA-CSDCA を IEEE802.11 無線 LAN に適用 すれば,AP が強い CCI を避けるように自律的にチャネル を選択できることを実験により示した. 謝辞 図 1:試作した IA-CSDCA 実験装置系列 3.IA-CSDCA の実験評価 実験により,IA-CSDCA が強い CCI を避けるようにチャ ネルを自律的に選択する様子を観測した.図 2 に示すよう に,実験では IA-CSDCA を用いて自律的にチャネルを選択 する AP#1 および AP#2 と,干渉源として固定チャネルを 使 用 す る AP#3 を 直 線 上 に 配 置 し た . 全 て の AP は IEEE802.11g モードで動作し,CH#1,CH#6 および CH#11 の 3 チャネルを使用可能とした.忘却係数は β=0.9 とした. 本論文の一部は,総務省の「情報通信ネットワークの耐 災害性強化のための研究開発」(平成 23 年度一般会計補正 予算(第 3 号) ) による委託を受けて実施した研究開発によ る成果である. 参考文献 [1] M. Elwekeil, et al., Proc. EUSIPCO, Aug 2012. [2] Y. Matsumura, et al., Proc. ICCS, Nov 2012. [3] Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications, IEEE Std. 802.11, May. 2012. 452 2013/9/17 〜 20 福岡市 ( 通信講演論文集 1 ) Copyright © 2013 IEICE
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