ドクターおぐちのつぶやき - おぐちこどもクリニック

こどもの城通信 vol.21
∼ わ ん だ ぁ ら ん ど
2006
May ∼
ゴールデンウィーク目前、お出かけの予定は立てましたか?
ご存知の方も多いと思いますが、Dr.おぐちは散歩好き。
ゆえにたくさんの身近なハイキングコースやお散歩コースを知っています。
どこかに出かけたいけどまだ予定が・・・というかたは、
是非 Dr.おぐちに聞いてみてください。
ドクターおぐちのつぶやき
∼小児科医のなり手がいないって・・・本当?∼
最近新聞紙面に小児科医が足りない。若い医学生が小児科を選ばな
どんなに感染症が減って、医療が進んでも、障害を持って生まれ
い・・・という記事を良く見ます。小児科医になって良かったと心
てくる子ども達の数は減りません。
から思っている私は複雑な心境です。解る様な気もするし、何故?
そして現在のように小児医療の進歩により、救われ、元気になっ
とも思います。子どもの数も減っているし、子供達の栄養状態と同
てゆく子ども達も増える反面、必然的に超重症児も増え、この子
様に社会の衛生状態が飛躍的に改善したこともあり、子供が病気に
達は地域で育ってゆきます。この子たちが地域で育ってゆくため
なることが昔に比べて遥かに少なくなっています。私が生まれた
には病院小児科のみならず開業小児科も必要となってくるので
1951 年の乳児死亡率は 1000 出生に対して 60 人で、誕生前に
す。感染症などの病気が減って子供達の健康状態は非常に良くな
沢山の乳児が亡くなっていたのです。また医者になった 30 年前の
ったのに、自閉症、注意欠陥多動を始めとした発達障害児あるい
1975 年頃、病棟には肺炎、髄膜炎など重症感染症の子ども達が
は不登校、神経症など心の病を抱えている子ども達の数は明らか
沢山いましたし、新生児期の病気も重い子が多く、未熟児も今ほど
に増えています。この子達にも街の小児科医は臨床心理士の協力
助かりませんでした。しかも出生数は今の倍の 250 万人でした。
を得ながら、発達援助あるいは心の健康を取り戻すお手伝いが出
小児科医は点滴がうまいくらいで、颯爽とメスを握る格好良い外科
来るのです。
系の医者のように技術がありません。お礼などといった副収入は一
健診や予防接種は健康な乳幼児に接するよい機会です。単に健診
切ありませんし、一般的に給料も安いのではないでしょうか?世間
で正常と異常の区分けをすることではなく、お母さんの子育てに
の人は小児科医の大半は風邪っぴきを診ている位にしか思ってい
関わる不安を取り除き、アドバイスをする場になるのです。そし
ないようです。経験の深い優れた小児科医は重症な病気を一目で見
て健診を終わったお母さん達が待合室や 4 階の
抜き、適切な処置が出来ます。そして技術が余りない分、経験をつ
で話し込んで、子育ての喜びと苦労を共有し、仲良しになると良
みながら小児科医として長く働けます(颯爽たる外科医も年をとり
いな・・と願っています。忙しい診療の最中、疲れたときなど、
目が利かなくなり、手が震えるようになるとおしまいです?外科の
子ども達が見せてくれる 天使の微笑み は、私にとって強力な
先生ごめんなさい!)。毎日の何気ない診療の中で子供たちとお母
疲労回復剤になります。病気の子供が訪れるはずの我がクリニッ
さんから学ぶことの何と多いことでしょう!常に新たに学んでゆ
クは、何故かいつもとても明るい雰囲気に満ちています。クリニ
く姿勢さえあれば、小児科医は一生成長し続けることが出来るよう
ックは母子にとって癒しの場、元気をもらえる場でなくてはなら
に思います(ボケたらダメですが・・)。小児科が素晴らしい医療
ないと、最近思います。そのように願って私達スタッフは子供た
であるゆえんは、医療技術だけではなく、そして病気を診るだけに
ちに接しています。実際、家ではグッタリしていたのに、子供た
留まらず、子ども達の成長発育に関わる全人的医療であることだと
ちはクリニックに来ると元気そうになり、ニコニコして帰ってゆ
思います。そして障害がある子どもであるほど小児科医の力は発揮
きます。このように考えてみると、小児科医ほど楽しい医療専門
されるのではないでしょうか?
職は無いように思いますが・・・如何でしょうか?
こどもの城
子どもの健康コラム
クリニックあれこれ
こどもの事故防止
病気以外に、子ども達の脅威は事故です。病気予防のために予防接種が
ク リニッ ク 情 報
ありますが、事故予防には予防接種はありません。家庭でのちょっとし
ピアカウンセリング
皆さん ピアカウンセリング ってご存知ですか?ピアと
は「仲間」という意味。ピアカウンセリングとは、何らか
の共通点(同じような環境や悩み)を持つ(又は経験した)
グループ間で、対等な立場で同じ仲間として行われるカウ
ンセリングです。仲間からサポートされていると感じる場
に居ることで、効果的に援助し合ったり、悩みの解決につ
ながったり出来るのです。クリニックから始まったママ達
の集いがいくつかあるのですが、これがピアカウンセリン
グの役割を果たしていると思います。このワンダーランド
にもよく登場する「あすなろ会」。一卵性双生児の「さく
らんぼの会」
。まだ 2 回目の開催予定は立っていないので
すが、
「アトピ子の会」。子どもについての相談や心配事は
病院で相談することも大切ですが、同じ立場にある仲間や
先輩方の話を聞くことは病院でのアドバイス以上のサポ
ートになることも多いと思います。これからもクリニック
やバンビを通じていろんな仲間が集ってくれることを願
パターンは決まっているので、そのポイントを押さえ、予防するのです。
昨年、続けざまに火傷の子が 3 人受診しました。テーブルの上のコー
ヒーや味噌汁に手を伸ばしてひっくり返して、手や胸に火傷したので
す。子どもが引っ張るようなテーブルクロスは使わない、飲みかけのコ
ーヒーカップなどはデーブルの隅に置かない・・といったポイントを抑
えるのです。紙面が足りないので、詳しいパンフレットを作ってありま
すので、持ち帰って読んでください。そして事故予防対策をしっかり始
めましょう。事故と虐待の間のような乳児揺さぶり症候群って知ってい
ますか?6 ヶ月頃の乳児が泣き止まないので、困った親が発作的に赤ち
ゃんを激しく揺すった結果、脳内出血を起こし、重度な場合は死亡する
ことがあります。多くの場合、虐待していると言う意識は親にはありま
せん。確か、昔私も泣き止まない我が子を小児科医なのにイライラして
胸をつかんで揺すったことがあるような気がします。幸いなことに大事
には到りませんでした。どうか皆さん、乳児揺さぶり症候群のことをち
ょっと頭の片隅においてください。そうすれば、発作的な揺さぶりは絶
対にしないと思います。これも予防です。
っています。
恵子のたまひよ日記
た注意により事故を未然に防ぐことが出来ます。そうです事故が起きる
【第 2 日記】
着々とすすむ準備
たくさん本を読み、体験記を読み、生まれくるベビーと二人で頑張ることで痛みを喜びにかえることの素晴らしさを知り、
自宅分娩を決意した恵子さん。その後どんな準備を進めているのか・・・
恵子さんはマタニティのヨガを始めた。目的のひとつはお産に向けての体づくり。そしてもうひとつは、第3子ともなると日々の生活に追われてお腹の
ベビーに気が向かなくなることが多いため、ヨガをしながらベビーとのひとときをつくるため。お腹のベビーは、自分に気持ちが向けてもらえないとす
ねてしまうらしく、また二人のお産を経験した母もお産に対する気構えが緩み、トラブルが起こることが多いのだそうだ。恵子さんも
こん
と二人、
ヨガをしながらいい時間を過ごしているらしい。もうひとつの準備は、病院探し。お産は自然なものだとは言っても、100%の安全はない。助産師さん
では対応できない「もしも」に備えて、駆け込むことのできる病院を探し、定期的に検診を受けに行くことになった。さらに次なる準備は、カラーセラ
ピー。なぜお産にカラーセラピーか・・・?自宅分娩ということは、お部屋のどこで出産するかを考えなければならない。恵子さん家は結構広く、お部
屋もたくさんあるが、中でも明るさや水周りの便のよさからリビングを選んだ。が、毎日二人のこどもと共に生活している場である。お産に備えて当然
まず片づけをしなくてはならない。どうせ片付けるなら、お産をする環境を整えるなら、自分の力が出せるよう、そしてリラックスしてお産にのぞめる
ような部屋にしたい。こんなときこそ色使いが大切!ということで、自分らしい色探しのため、バンビでカラー講座をやっている小林先生にカラーセラ
ピーを受けることに決めたらしい。そして恵子さんらしい色はというと・・・グリーンとピンク。どんなお部屋になるのか楽しみ・・・
さてさてもうじき 8 ヶ月に入る恵子さん。順調に準備がすすんできているが、ここでちょっとした問題発生。長女のまこぴーが自宅出産に少し不安を感
じているらしい。祖父母が自宅出産に難色を示した様子を見ていたまこぴーは、もしも何かあったら、ママがいなくなってしまったら、と不安を感じて
いるようなのだ。まこぴーは小 4。もう学校では性教育も始まっている。この機会に命の尊さを教えたい。これから恵子さんは、娘とお産についてじっ
くり話し合っていくつもりである。つづく・・・
【土曜の診療時間変更のお知らせ】
5 月より、土曜日の午後の診療はなくなります。土曜日の診療時間は
9:00∼13:00 です。