BMW Motorrad World News 2006 Vol. 9

2006 年 4 月 12 日
BMW Motorrad World News 2006 Vol. 9
* 以下のニュースは BMW AG 発行のニュースレターの翻訳であり、日本市場への導入とは
関係の無い場合があります。
u 英連邦大会で F 650 GS が主役に
u R 90 S – 時代を超えたクラシック
u R 1100 S、快走
【英連邦大会で F 650 GS が主役に】
英連邦大会(
Commonwealth Game )
は世界有数のスポーツ及び文化のイベントであり、日本
では馴染みが少ないが、連邦加盟国 (
歴史的、文化的に英連邦とつながりの深い国)
にとって
はオリンピックに匹敵する一大イベントだ。今年はオーストラリアのメルボルンで 12 日間にわ
たり開催され 、連邦加盟国 71 カ国から6,000 人を越える参加者が集結した。
今年で 18 回目を数える大会は 、1956 年のメルボ
ルン・オリンピック会場でもあったクリケット場で 3
月 15 日、劇的な開会式で幕を開けた。大会への
道がスタート
したのは 12 ヵ月前、エリザベス女王
がロンドンのバッキンガム宮殿で、聖火の代わりを
果たす“
クイーンズ・
バトン”を手渡した時だった。バ
トンには、女王が 開会式で読みあげる開会宣言の
メッセージが入っていた。そのバトンは全 71 カ国を
周り、1 月 24 日にオーストラリアに到着した。
バトンはメルボルンの開会式場に向かうまでにオ
ーストラリア国内を21,500km 走り、その道中を伴
走したのは、今大会用に特別に揃えたカラーデザ
インに身を包んだ、4 台の BMW F 650 GS だった。
F 650 GS は、BMWが誇る多目的か
つ燃費の優れたバイクだ。クイーンズ・
バトンのメンバーに選ばれた、前 大会の
スター選手 3,500 人のランナーを先導
するには最良の選択であり、コミュニテ
ィのメンバーがオーストラリアの旅にこ
のバイクを選んだのだった。
大会期間中 は、今大会用に特別に揃えたデザインを身にまとった BMW F 650 GS が 11 台
出走した。その露出度は極めて高く、何千人もの観客が様々な会場で目にし、数百万人がテレ
ビで鑑賞した。
マラソン、トライアスロン、ロード・
サイクリング、マウンテンバイクなど全てのロード・
イベントの
公式伴走車 に F 650 が採用され、さらに大会の公式バイクにも選ばれた。取り扱いが簡単で
使い勝手が良い F 650 GS は、12 日間に及ぶ大会のあらゆるタスクに適していたのだ。
BMW Motorradオーストラリアの
国内セールス&マーケティング・
マネージャーのキャメロン・
カットヒ
ルは、「BMW Motorrad は、メル
ボルンで開かれる、これまでで最
大のイベントに携わることができ
非常に興奮しています。始まりは
1996 年、アトランタ・
オリンピック
の聖火リレーに併走して世界中を
回ったことでした。それが 2004
年のアテネ・
オリンピックでもバイ
クを提供することにつながり、そし
て今回に至ったのです」
と語って
いる。
競技会場やメルボルン近郊を走っていたのは、F 650 GS だけではなかった。ビクトリア警察も
BMW R 1150 RTの白バイに乗り、大きな存在感を放っていた。
【R 90 S – 時代 を超えたクラシック】
R 90 S の歴史と、R 90 S がいかに BMW の成功に貢献したかについて、イアン・
ファルーンが
執筆した本で初めて語られた。イアンは、バイクの歴史に詳しい著者として世界的に知られて
おり、これまでに様々なモデルのバイクの本を20 冊出版している。R 90 S は、BMW モデル
の 4 冊目だ。
『
BMW R 90 S』
は、ホワイトホース出版から出さ
れている、モーターサイクル・
コレクターズ・
シリー
ズであり、1925 年の BMWスポーツモーターサ
イクル R 37(
1923 年の R 32 から派生)
の誕生
に始まり、R 90 S の成功、そして R 100 S 及び
CS までを網羅している。
BMW R 90 S は、BMW 初のモーターサイクル
であるR 32 から50 年後の 1973 年 9 月、パリ
モーターショー において始めて公開された。それ
は世界を震撼させ、瞬時に成功を収めた。さらに
R 90 S は BMWの新たな一面を見せつけ、真
面目で保守的なイメージを払拭した。偉大なるモ
ーターサイクル史に残るスーパーバイクであった。
(
本文より)
BMW R 90 S は、美しいシルバースモークの 塗
装、時計と電圧計を備えたコックピットのフェアリ
ング、リアカウル付きのシート、ツインのフロントブレーキディスクなど、それ以前の BMWマシ
ンとは全く異なるものだった。スタイルとパフォーマンスを兼ね備えたニューフェイスは、即座に
クラシックとしての地位を確立した。67 馬力、898cc のエンジン(
“
ポンパー”
と呼ばれた
Dell'Orto 製のツイン・
キャブレターを搭載)
の最高時速は 200km/h。これらは、快適性と信頼
性というBMWの伝統的な特性を損なうことなく実現されたのだった。
R 90 S が生産されたのは 1973 年から1976 年までで、R 100 RS 及び R 100 S がその後継
となった。その後引き続き開発が行われ、新色のデイトナ・
オレンジも発表された。そして生産
台数の 累計は 17,465 台に達した。
R 90 S は BMW の象徴的なバイクであり、熱心な愛好家の間では今でも根強い人気を誇る。
その多くは新品同様にレストアされている一方、オリジナルの状態のままで“
駆けぬける歓び”
を与え続けているものもある。その走りは未だに色あせず、乗りがいのあるバイクだ。さらに、
BMW のモービルトラディション部門のおかげで、歴代のモデルの部品もBMW Motorrad ディ
ーラーネットワークを介してすぐに入手できる。これは歴代 BMW バイクのオーナーに絶大な
人気を誇る、BMW独自のサービスだ。
イアン・
ファルーンの本では、エンジン及び外装の変遷を年代順でモデル別に記載している。文
章と写真、そしてエンジン番号と生産年月の リストで全てを網羅しているので、その違いは一目
瞭然だ。この本の執筆に当たり、イアンは調査のためにあちこちを旅して回った。また、過去か
ら現在に至るまでの歴史的にも貴重で未発表の写真を数多く提供してくれたのは、モービルト
ラディション部門のフレッド・
ヤコブスだった。
R 90 S のレース成功への道は、ヨーロッパと
アメリカから始まった。1976 年、スティーブ・
マクローリンが第 1 回デイトナ・
スーパーバイ
ク・
レースに R 90 S で優勝し、同年にレグ・
プ
リッドモアが第 1 回 AMA スーパーバイク・チ
ャンピオンシップで第 2 位となった。この勝利
によって BMW の認知度が上がり、R 90 S
の地位を押し上げた。スティーブ・
マクローリ
ンのマシンは、現在 BMW モービルトラディシ
ョンのコレクションに加わっている。ヨーロッパ
では、マン島でヘルムート・
ダーネが R 90 S
を世に知らしめ、彼のバイクも BMW のコレク
ションに加わっている。
このエレガントなスポーツマシンに対する賛辞とも言える 128 ページのハードカバー本は、
BMW オーナー、メカニック、愛好家の皆さんにとって有益な参考資料となるだろう。
『
BMW R 90 S』
の詳細は、ホワイトホース出版のウェブサイト
(
http://www.whitehorsepress.com/product_info.php?products_id=5334)
で確認できる。
【R 1100 S、快走 】
ファン待望の 122 馬力の R 1200 S の発売の準備は着々と進んでいるが、その前作の R
1100 S は、今もなおスポーツバイク・
ファンを惹きつけ、サーキットで“
仕事をしている”。
1976 年、スティーブ・
マクローリン
がデイトナで開催された第 1 回
AMA スーパーバイクレースにおい
て、R 90 S で歴史的な勝利を収め
てから30 年。BMW のライダーが
世界屈指のスビードウェイで息をの
むような接戦を制し、その 30 周年
を見事勝利で飾った。
あらゆる予想を覆し、アメリカ人ライ
ダーのネイト・
カーンは ASRA ナシ
ョナル・
サンダーバイクの 10 ラッ
プ・レースにおいて、R 1100 S で
他のライダーを大 きく引き離し、第 2 位に 19 秒という大差をつけて優勝を果たした。
ネイトはペンシルバニア州のデボンにある BMW ディーラー、Main Line BMWを経営しつつ、
その傍らレースに出走している。彼は R 1100 S でデイトナのライトウェイト・
グランプリ、スーパ
ーバイク、スーパースーツ、そして GT ライトレースと4 勝を成し遂げ、次なる目標は一流の
ASRA ナショナル・
サンダーバイクレースの予選を通過することだった。予選では 、彼のバイク
は他のマシンより 35Kgも重く、パワーも20 馬力ほど少なかった。さらにスタート順を間違えて
しまい、後方からのスタートを余儀なくされた。
これについてネイトは、「
この素晴らしいマシンを披露できる大きなチャンスをふいにしてしまっ
たかと思った。でも、周りのみんなが“お前ならできる”
って繰り返し励ましてくれたし、会場にい
た BMWバイクの愛好家たちの応援で、どんなことでも可能だと思えた。だからフィールドを駆
け抜けて、なんとか 2 周目の終わりまでにトップに立つことができたんだ。そこからはもう決して
振り返らずに、各ラップでリードをさらに広げるべく前進し続けて、最終的に 19 秒の差をつけて
レースに優勝できたんだ!R 1100 S でこの走りだから、新しい R 1200 S はどう走るのか、考
えるだけでもワクワクするよ」
と語っている。
世界有数の ボクサーカップシリーズ
においても、R 1100 S はここ数年
にわたりトップのレース成績 を残し
ている。BMWマシンが十分な経験
を積んだことがこれで証明されたの
で、R 1200 S にも期待が 寄せられ
る。
シャシーの強度が増し、パワー/ウェイト・
レシオが著しく向上した R 1200 S は、アマチュアレ
ース及び世界中のサーキット・
デーのイベントで、ライバルの日本車やイタリア車と競うことにな
っている。
とても魅力的な R 1200 の映像や使用 については、ウェブサイト(
www.bmw -motorrad.com)
にて確認でき、さらに壁紙のダウンロードもできる。