第4号 コーディネーター コーディネーター部通信 平成23年10月21日発行 北海道新篠津高等養護学校 ℡0126-58-3280 発行責任者 発行責任者:校長 山崎 龍弥 昼下がりの公園。ベンチには若い い母親たちが世間話に興じている。そこに草花を を手に した女の子が満面の笑みで駆け寄ってくる ってくる。が、石につまずいて転んでしまう。ひざ ひざ小 僧をすりむき、今にも泣き出しそうな しそうな女の子。そこに母親の声「痛くない!」 「泣 泣かな い!」 、その声を聞いてかろうじて いてかろうじて泣くのを我慢した女の子、そこに再び母親の声「 声「エライ!」 、ほかの母 親たちも口をそろえて「えらいわねぇ えらいわねぇ」 。こんな光景を見たことはありませんか?痛 痛いのを我慢して泣かな かった女の子、確かにえらいと思うのですが うのですが…。東京学芸大学で教育心理学を教える える大河原美以先生はこ んな場面に出くわすと「この子はいずれキレる はいずれキレる」と感じるそうです。先生は人間の の感情を大きく二つに分 類しています。ひとつは楽しい、うれしい うれしい、面白いといった正の感情、もうひとつはつらい もうひとつはつらい、痛い、悲し いといった負の感情です。このうち うち正の感情を受け入れるのはとても容易ですが、 、負の感情を受け入れる のは難しいことなのだそうです。私 私たちも確かにつらいことや悲しいことが起こるとどうしていいのかわ こるとどうしていいのかわ からなくなることがありますが、楽 楽しいことではそんなことにはなりません。転んだとき んだとき、子供は痛みや ショックを泣きじゃくることで表現 表現し、感じたストレスを発散します。ところが大人 大人はその痛みをうった えるどころか、転んでしまった事態 事態を笑ってごまかすことまでするのです。私たちは たちは大人になる過程で「痛 い」 「つらい」という負の感情を泣き き叫ぶという衝動的な方法以外で表す、もしくはそんな もしくはそんな感情を表さない 術を身につけたのです。ただそのためには ただそのためには自分自身に様々な負の感情があり、その その感情を衝動的に表して しまうことは人間としてふさわしくないことを としてふさわしくないことを自覚しなければならないのです。 子供にとって「転 転ぶ→痛い・びっくりする→泣く→大人(親)に守 守ってもらう」のは当然 のことで、そのときに そのときに守ってくれる大人(親)に「痛かったね」 「びっくりしたね びっくりしたね」と受け 止めてもらうことで めてもらうことで負の感情は育つそうです。負の感情に限らず らず正の感情も本能的に身 についているものではなく についているものではなく、学習してはじめて身につけるもの。 。自分に負の感情がある ことを知った子供 子供がその感情を発達段階に応じて整理できるようになるのだそうです できるようになるのだそうです。 負の感情を無理に に抑え込んだり、年齢に見合わない我慢をほめること をほめること(子供は親の期待 に応えようとするものです えようとするものです)は負の感情の発達を阻害します。 負の感情が育てられなかった てられなかった子供は(大人も)いやなこと、つらいことがあった つらいことがあった時、 その感情を整理できずに一気に爆発 爆発させてしまう、つまりキレることになるのです つまりキレることになるのです。 人間の感情の需要の方法は発達段階 発達段階によって異なり、発達に応じた大人の適切なかかわりがあって なかかわりがあって豊か な感性を育むことができるようです むことができるようです。 大河原研究室の web は http://www.u-gakugei.ac.jp/~ohkawara/ http://www.u です。そこには そこには保護者の皆様、先生 方のヒントになる情報があります。 ( (早川) 「数字 数字と踊るエリ」 臨床心理士であり、テレビのコメンテーターとしても テレビのコメンテーターとしても活躍している矢幡洋氏の、自身 自身と 娘の成長を綴ったノンフィクションの ったノンフィクションの著書となっています。娘が自閉症という診断を受 受けて からの、父としての療育への取り組みと みと心情について書かれています。娘エリの様子が が詳細 に書かれており、実際に描いた絵なども なども載っており、とても読みやすい内容です。是非 是非、手 にとって読んでみてください。 「親自身の生活、仕事など色々なものが なものが折り重なる中に、療育を中心として家庭で行うことの うことの難しさを一人の親 として改めて考えさせられました。親 親は自分の子供のことを客観的に見ることは難しい しい。初めての子育てであれ ばそれはなおのこと。障がいがあればなおのこと がいがあればなおのこと。保護者の悩みや苦しみを感じとって じとって、一緒に考えながら励ま し、生徒と関わっていきたいと改めて めて感じました。 (数土) 」
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