ダイジェスト版 43号

日本語ダイジェスト
No 43 - March 2010
2010 年 4 月 2 日発行
バイオエネルギー · インターナショナル (BI) 日本語ダイジェストは、記事の中から特に興味深いいく
つかのトピックスを選んで日本語で要約する、Bioenergi Förlag 社の合意のもとにペレットクラブが作る
刊行物です。
今号には世界中の 350 社以上のバイオエネルギー関係の機器メーカーのリストが掲載されています。い
くつかについては記事と写真も載っています。残念ながら、日本のメーカーは見当たりませんが、お隣の
韓国と中国からは出ています。11 頁に掲載されているオーストリアでボイラー兼用のペレットストーブを
製作している Windhager 社の記事にはストーブ製作の工程の写真が多く載っていて、ながめているだけで
興味をそそられます。この記事は詳しく取り上げてみます。
日本関係では、27 頁に三菱商事と Weyerhaeuser 社がアメリカでペレット工場を手がける合意に達した
という記事が載っています。これもあとで詳しく取り上げます。また、25 頁グリーンカラムにトヨタ自動
車が 2010 年度 Zayed Future Energy 賞を受賞したという記事が載っています。この賞は再生可能エネル
ギーへの貢献を讃えるために 2008 年に設立されたそうです。トヨタの第 3 世代プリウスが革新的技術を開
発して高効率を実現したことが認められたそうです。
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オーストリア Windhager 社(11-13 頁)
Windhager 社はオーストリア北端の Seekirchen
にある。モーツアルトで有名なザルツブルグの北 15
キロにある小さな町だ。1921 年に薪ストーブから始
めた会社だが、今ではペレットボイラー、ストーブ、
給湯器製造の主要な企業だ。Seekirchen にある二つ
の工場で主力の 3-26kW の 2 種類のペレットボイラー
を製造している。これらの機種は熱効率のよい新築
住宅にも適しているし、カスケード方式で 78kW の
出力も出せるので古い建物にも使える。高出力が必
要な場合は Bio Win Plus カスケード方式がよい。例
えば、Bio Win ペレット燃焼機を 3 台連結して使え
ばよい。
他にもペレットストーブの利点は薪ストーブのよう
な大がかりな煙突が不要なことだ。
三菱商事と Weyerhaeuser 社(27 頁)
三菱商事と Weyerhaeuser 社がバイオマスのエネ
ルギー化を合弁で探ろうという合意書を締結した。両
社が特に推し進めたいのは、最初の段階として 2011
までにアメリカでのペレット工場への投資と運営を
合同で行うことだ。将来はさらに拡大したいと思っ
ている。予備調査の結果次第では世界的規模にした
い。ペレット生産はアメリカの原料を使い、製品は発
電所や工場に販売される。今回の合意は二つの主要
企業を引き合わせ、お互いが相手をてこ入れするも
のだ。つまり、Weyerhaeuser 社が所有する再生可能
主力製品である Bio Win と Fire WIN の組み立
森林からの大量のバイオマス資源と、三菱商事が持
てはほとんど自動で行われる。生産ラインにはほと
つ世界ネットワークおよびエネルギー部門とペレッ
んど作業員が見当たらない。かわってロボットが働
ト生産の経験、との協力だ。
いている。Seekirchen 工場には約 500 人が働いてい
三菱商事は現在日本で 2ヶ所のペレット工場を操
るが、その多くは管理部門、営業、開発で働いてい
る。ストーブや太陽熱装置やボイラーなどの製品の 業し、ドイツ有数のペレット工場を所有する Vis Nova
うちおよそ 60%は輸出される。もともとドイツやス 社の運営にも積極的にかかわっている。一方、Weyイスやイタリアが主だったが、最近ではフランス、 erhaeuser 社は再生可能エネルギーの開発に取り組ん
アイルランド、イギリスとの取引が盛んになってき でいる。「この試みは北アメリカに再生可能エネル
た。おかげで最近の不況の影響は受けていない。し ギーを広めるよい機会であり、地域にグリーン産業
かし、ボイラー販売はいまだにスカンジナビア地域 の仕事を生み出す。と同時に当社の価値を高める」と
に偏っている。当社の製品は今ではヨーロッパ中で Weyerhaeuser 社 CEO の Dan Fulton 氏は述べた。
販売されている。北米への進出も試みられているが
「バイオマスによって石炭火力発電所からの温室
まだ軌道にのっていない。
効果ガスの排出を減らせるので、ペレット市場の将
来は明るい。今回の Weyerhaeuser 社との取り組みは
我々のアメリカでのペレット生産を確立させ、進行
中の日本とヨーロッパでの投資に加えて、世界的な
安定した供給の確保を可能にする」と三菱商事の小
島社長は述べた。三菱商事は日本最大級の総合商社
で、世界中 80ヶ国に 200 以上の支店を持つ。500 以
上あるグループ企業と合わせて、55,000 人以上の多
国籍従業員を有する。これまで世界中でエネルギー、
金属、工作機械、化学物質、食料、一般物資など、あ
りとあらゆる分野での取引を行ってきた。
地下室設置用の Bio WIN Plus ペレットボイラー
と同じようにリビング設置用の全自動の Fire WIN の
最新モデルは革新的技術だ。いくつかの自動機能が
ついている。新しい清掃機能が付いているので、保
守点検の間隔は長い場合 5、6ヶ月でもよい。必要な
量のペレットは貯蔵室から全自動で、清潔にストー
ブに送られる。全面にある二つのドアからはほどよ
い放射熱が効率よく出てくる。暖かい季節には、当
社で独自に開発されたシールド板を差し込むことが
でき、放射熱を遮ることができる。大きな利点は特
別にボイラー室を必要としないことだ。熱発生やボ
イラー循環などに必要な圧力系統はすべて Fire WIN
装置の中に収まっている。さらにこの製品は床暖房
も出来るし、太陽熱や他の装置と合わせて使用する
こともできる。5 年間の部品と作業コストの保証、お
よび 15 年間の予備部品備蓄保証も付いている。この
一方の Weyerhaeuser 社は 1900 年に設立された
世界最大級の森林生産物の会社だ。2008 年度の売上
は 80 億ドルに達した。10ヶ国にオフィスを持ち、世
界中で取引をおこなっている。主な仕事は森林の栽
培と伐採、森林製品の生産と輸送と販売、不動産開
発だ。
この刊行物は Bioenergi Förlag 社 (www.bioenergyinternational.com) の合意のもとに作られています。購読に関するお問い合
わせは、ペレットクラブ事務局まで([email protected] または Tel: 026-252-7506)、内容に関するお問い合わせは、ペレット
クラブ BI 誌担当阿部まで([email protected] または Tel: 029-852-7476)。
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