平成 22 年 9 月 15日 韓国研修視察事業報告 (社)福井県繊維卸商協会 事務局 河 野 喜 澄 [1] 参加者名簿 添付参加者名簿参照 [2] 日程表 9 月 1 日(水) 10:30 福井発 13:30 中部国際AP着 15:05 中部国際AP発 16:35 プサン着 17:00 プサン発 19:30 テグ着 テグ泊まり 9 月 2 日(木) 09:00~12:00 韓国繊維開発研究所(KTDI)訪問・聴講 Korea Textile Development Institute 「韓国繊維業界の現状報告」 ㈱中源E&Ⅰ 代表 文中鉉氏 「KTDIの活動報告とテグ慶北繊維産業の現況」 韓国繊維開発研究院長 季春埴氏 13:00~14:30 沅昌㈱ One Chang 訪問 ナイロン関係 14:30~15:30 暁星物産染工場 Hyosung Corporation 訪問 15:30~16:00 星安㈱ Seong An 訪問 ポリエステル薄地 織物関係 16:55 東テグ発 18:39 ソウル着 ソウル泊まり 9 月 3 日(金) 08:30~10:00 ラマダホテル会議室にて会議・聴講 「韓国経済・繊維業界の現況報告」 ㈱伊原代表理事 金成勳氏 〃 理事 林弘錫氏 10:00~12:00 熊進化学㈱ Woongjin Chemical Co,Ltd 訪問 13:00~14:30 Huvis 訪問 14:30~17:00 Preview In Seoul 2010 見学 ソウル泊 9 月 4 日(土) 09:30~12:00 ロッテホテル売り場見学 13:00~14:30 東大門生地売り場・ファッションセンター見学 15:00~16:00 アブクジョン高級プデイック街見学 ソウル泊 9 月 5 日(日) 12:35 仁川発 14:20 中部国際AP着 15:00 中部国際AP発 17:50 福井着 1 [3] 訪問目的 韓国経済は 08 年度末のリーマンショックからいち早く脱却して、2010 年 1~6 月のGDPは前年同期比 7.8%の伸び率であった。又繊維産業も輸出を中心に好調で あり 2010 年度上半期は 10 年ぶりの好況だと言われている。他方日本経済は依然と して低迷を続け、繊維産業は今年に入り一部の用途にて回復がみられるものの先行 きは不透明であり、特に円高問題と国内川上原糸メーカーのファッションビジネス の縮小・撤退は今後の悪影響が危惧されている。これまで韓国と日本の繊維産業界 は長期に亘って競合関係にあった。しかし、FTA・EPA の進展によりボーダーレス化 が加速され、中国・インド等アジア諸国がこれからの世界経済発展の中心になるこ とが確実視された今日、これまで世界のテキスタイル供給基地として激しい競争を 続けてきた両国は、互いの強弱を認め合い補完し合って中国との住み分けを意識し て連携を強めながら、世界の合繊産業の高機能、高感度分野をリードすべき時が来 たと思われる。それらを背景にして、今回我々は次の様な目的で調査を実行した。 ①韓国経済・繊維業界の現況調査 ②韓国原糸メーカー・川中業者との連携を探る ③韓国繊維業界との人脈構築 [4] 韓国の一般経済 2009 年度の韓国経済は 257.7 兆ウオン(前年比 17,2%増)もの財政支出を 早期に実施した結果、予想より早くリーマンショック後遺症から脱却して景気回復 基調にある。 2009 年度末において韓国主力産業の世界市場シエァーは、 半導体 61.1%、 携帯電話 30%、自動車 7.3%となり過去最高値となった。2010 年に入ってからは、 特に輸出が好調で主要企業の業績が改善されて、国内個人消費や設備投資などの内 需が伸びて景気が回復して拡大局面を迎えている。 2010 年度上半期(1~6 月)のGDP伸び率が前年同期比 7.8%増となりこの 伸び率は 2000 年の 10.8%に次ぐものである。この間半導体・液晶デバイス等の IT 関連商品・自動車・機械・金属等の輸出が好調、国内消費、設備投資額も増加中で ある。2010 年上期の自動車輸出額は前年同期比 18%も増加して韓国の輸出を牽引し ている。IT 関連商品の輸出も好調で 4~6 月は 1~3 月比 7%増加となった。 2010 年通期 GDP 予想成長率は 5.9% (IMF 予想 6.1%) 2011 年度は 4.5%予想である。 韓国経済好調の要因は政府の大規模かつタイムリーな景気浮揚策にある。257.7 兆ウオン(約 20 兆円)の財政支出を 2010 年度初期に実施、金利の据え置き、FTA, EPA の積極推進等がそれである。日本の総理大臣とは比較にならない程に韓国大統領 の権限が大きいとは言え現在の日本政府の景気対応策は余りにもお粗末である。同 時に韓国国民の勤勉さ、上昇志向、愛国心の高さも好調韓国経済の一因である。 2 [5] 韓国経済のトピックス ①高速鉄道網拡大・・・2020 年までに 100 兆ウオン(約7兆円)を投入して、全国土の 95%の駅間を最高時速 200 キロ超の高速鉄道網で結ぶ計画。延べ 230 万人の雇用創 出、年間 90 兆ウオン(約 6 兆 4000 億円)の沿線地方都市の生産増加、温暖化ガス削 減を目指すもの。 ②主力企業の好業績 三星電子の 2010 年上半期(1~6 月)売上 72 兆 5000 億ウオン(5兆4千万円) 、営 業利益9兆4千億ウオン(約 7000 億円) 。現代自動車 2010 年上期売上 17 兆 9,783 億ウオン(約1兆 3300 億円)純利益 2 兆 5170 億ウオン(約 1,880 億円)いずれも 過去最高となった。 ③過去最高の外貨準備高 2010 年 7 月末外貨準備高 2,859 億ドルで過去最高となった。2010 年度末予想貿易収 支額 300 億ドル黒字予想 ④デパート売上好調 ロッテデパート 2010 年上半期売上 5 兆 200 億ウオン(約 3800 億円)前年同期比 14% 増加。新世界、現代など大手デパートは何れも史上最高売り上げが予想されて、特 に衣類や高級品の売り上げアップが目立っている。 [6] 韓国経済の問題点 拡大基調に入っている韓国経済であるが①南北間緊張による投融資の停滞②貧富格差 拡大③世代間・東西間の意思疎通の悪化④ウオン高への移行等が懸念されている。 [7] 韓国輸出入動向 世界的な景気低迷、貿易量収縮が進む中でも 2009 年の韓国輸出額は 3,635 億ドル (日本の 2009 年輸出額約 6,020 億ドル・1 ドル=90 円換算)となり世界 9 位で貿易 収支額は 404 億ドル+(日本は 129 億ドル-) 。 2009 年度は船舶、液晶商品が輸出を牽引して、国別では中国向けが全体の 24%を占 めて第1位である。次いで,EU・米国・日本の順である。 【輸出入額の推移】単位:億ドル 1990 年 2000 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 ‘10 年1~6 月 輸 出: 650 1,723 3,225 3,715 4,220 3,653 2,215 輸 入: 698 1,605 3,094 3,658 4,853 3,231 2,038 * 2010 年度貿易額が前年度(2009 年度)比大幅アップ予想 3 [8] 韓国の統計指標 ①GDP成長率(2010 年 2~4 月)7.2% (2009 年)0.2% ②GNI(2009 年)19,231 ドル (2008 年)21,695 ドル ③外貨準備高(2010 年 7 月)2,859 億ドル ④失業率(2010 年 7 月)3.7% ⑤設備投資増減率(2010 年 6 月前年同期比)+24.2% ⑥推定人口(2009 年末)48,746,000 人 ⑦自動車登録台数(2010 年 6 月)17,648,000 台 ⑧製造業平均賃金 2,688,000 ウオン(約 20 万円)/月 ⑨2011 年の最低賃金 4,320 ウオン(約 320 円)/1 時間 [9] 韓国繊維産業の現状 ①韓国の製造業全体に占める繊維産業の割合(2008 年) 企業数 従業員数 製造業全体 58,495 社 生産額(10 億ウオン) 輸出額 2,454,000 人 1,122,986 6,035〃 173,000〃 35,495 率 10.3% 7.1% (福井県) 531 社 繊維産業 比 12,493 人 3,685(億$) 116 〃 3.2% 3.2% 2,095 億円 ②全繊維輸出入金額推移(単位:100 万ドル) 1990 年 輸 出 14,766 輸 入 2,316 1995 年 2000 年 2008 年 2009 年 18,656 18,783 13,317 11,634 6,597 7,407 4,364 5,214 4,788 8,800 ‘10 年上期 ③アイテム別輸出入実績(単位:億ドル) 【輸 出】 2008 年 2009 年 10 年上期 【輸 入】2008 年 2009 年 10 年上期 原 料 10.1 7.9 5.1 2.2 2.1 1.1 原 糸 13.5 11.7 7.2 17.0 15.1 11.1 織 物 80.4 71.2 40.5 15.4 12.6 7.7 製 品 29.2 25.5 13.1 53.4 44.3 23.7 ④織、編み物輸出実績(単位:100 万ドル) 2007 年 2008 年 2009 年 合繊長繊維織物 1,729 1,857 1,595 編 3,160 3,263 3,158 み 物 4 ⑤国別繊維品輸出額(単位:100 万ドル) 2008 年 中国 2623 越南 1310 米国 1506 インドネシア 901 ホンコン 793 日本 662 2009 年 〃2273 〃 1311 〃 1108 〃 870 〃 646 〃 624 ⑥化合繊糸生産量(単位:1000 トン) 1996 年 ポリエステルF 2000 年 1,088 ナイロンF 2007 年 2008 年 2009 年 1,484 709 679 671 291 144 131 132 267 ⑦化合繊糸輸出実績(単位:1000 トン) 1996 年 2000 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年上期 ポリエステルF 291 359 217 197 196 102 41 479 66 60 65 32 ナイロンF ⑧韓国化合繊メーカー生産能力(単位:トン/1 日 実生産は下記数字の 80%予想) ポリエステルF ナイロン F 暁星 553 暁星 256 Tk.CHEMICAL 435 KOLON.F.M 135 HUVIS 287 泰光産業 90 KOLON.F.M 220 KP.CHEMTEC 55 星安合繊 211 合 WOONGJIN CHEMICAL 180 大韓化繊 150 TORAY 尖端素材 123 TK.CHEMTEC 合 計 536 91 計 2,250 ⑨大邱・慶北地区設置織機台数 韓国全体の設置織機台数発表なし。韓国全体では下記数字の 10%アップ予想。 WJL AJL RPL 2001 年 31,105 台 6,893 9,116 7,099 54,213 2005 年 17,316 6,171 6,611 3,621 33,719 2007 年 15,181 5,612 5,697 3,576 30,066 5 FLY 合 計 ⑩大邱・慶北地区染色加工機設置台数 韓国全体の発表なし。全体は下記数字の 10%アップ予想。 糸染機 織物染機 捺染機 加工機 テンター 合 計 2005 年 416 台 2,687 265 1,270 257 4,845 2007 年 399 1,597 108 1,173 226 3,503 ⑪綿糸・綿織機設備錘・台数推移 1990 年 2000 年 2008 年 精紡機錘数 3,667,708 1,816,596 1,135,204 1,144,724 2,194 313 285 綿織機台数 22,892 2009 年 *織物、編物の生産量の発表なし。 * 韓国繊維産業は全製造業の中で企業数では全体の 10.3%、従業員数で 7.1% 生産額では 3.2%を占める重要産業である。 * 2010 年上期繊維業界全体では、(1)ウオン安により輸出ビジネス堅調(2)国内 購買力旺盛(3)政府の積極的輸出振興策・・FTA・EPA推進(4)業界全 体の構造調整の進行(4)自販、ストックビジネスへの挑戦等により好転中。 * 韓国繊維産業は原材料の1/3を輸入し、製品の2/3は輸出をしていて海外 依存度が高く依って為替変動の影響を受けやすい。2008 年末~2009 年上期 は 1400~1500 ウオン/1$が現在 1150 ウオンまで上昇、2012 年度は 900 ウオン台が予想されて採算悪化が危惧される。 * しかしながら 2009 年度は 2008 年度末のリーマンショックの影響で繊維関係 輸出額で約 13%前後下落したが 2010 年初頭より回復基調に入り 2010 年(1~ 6 月)は前年同期比約 15%増になった。 * 編み機の設置台数およびその推移は発表されていないが近年ソウル地区中心 に丸編み機中心に急増中で編み物の輸出総額は化合繊長繊維織物を上回り、 2009 年度においては織物、編み物総輸出額の 44%をしめている * 韓国化合繊原糸メーカーは、世界的設備過剰による競争激化・老朽設備化・ 非収益事業からの撤退等により 2000 年以降 2009 年まで 10 年連続して生産が 減少したが(ポリエステルフイラメント生産は 2000 年 1,484 千トンが 2009 年 度には 671 千トン、55%減少となった)、その後設備廃棄・縮小・合併吸収 差別化原糸生産への移行・政府指導による構造調整(ワークアウト)等を繰り返 し、ウオン安による織・編み物輸出好転・国内消費好転、ニット生産設備急増 に伴うマシン需要の増加等により 2010 年上期は 10 年ぶりの活況となった。 6 その結果、1998 年星安化繊の増設以来 12 年ぶりに、大韓化繊、暁星等が増設 を計画中で両社の増設による生産増は日産 140 トン(全体の 6%アップ)である。 また同時に綿紡績業界でも増設気分が高まり今後 2 年間で業界全体で 17 万錘 の先端設備を増設予定であり、2009 年度の 15%ものアップになる。 この様 に韓国原糸メーカーは品質アップと高効率生産を狙って先端設備導入に積極 的であり、競争国である中国、インド、パキスタン等との住み分けをめざして いる。また倒産して休眠中の合繊メーカーをインド系や香港系の化学会社が再 稼働を試みているようである。 * 暁星は 2011 年 4 月稼働を目標に現在スパンデックス 10,000 トン/年間の新 工場をブラジルにて建設中である。この工場が完成すると暁星のスパンデック ス生産量は、韓国・中国・ベトナム・トルコの各工場と合わせて 87,000 トン/年間となり世界最大のスパンデックスメーカーになる。今後中国との熾 烈なシェアー争いが予想される。 * 織機台数推移 韓国全体の織機台数の確認は困難であるが、大邱・慶北地区の織機台数が韓 国全体の約 90%を占めていると言われている 大邱・慶北地区の設置織機台数推移(単位:台) WJL AJL RPL 有筬機 合 計 2001 年 31,105 6,893 9,116 7,099 54,213 2005 年 17,316 6,171 6,611 3,621 33,719 2007 年 15,181 5,612 5,697 3,576 30,066 設置織機台数の推移は上記であるが、現在はWJL等の革新織機台数は、2009 年末には 20,000 台以下まで減少していると思われている。又、現在稼働して いる織機のうち 80~90%が設置後 10 年以上の老朽設備だと言われている。 * 大邱・慶北地区の現在の生産アイテムは、ジャガード織物・コードュロイ・ 中東ブラック・アセ/レーヨン交織織物・複合織物等であり現在日本の主力 アイテムである後加工用薄地高密度織物の生産は極めて少ない。タテ糸準備の 困難さ、織機の老朽化がネックとなっているようである。 * 韓国繊維類輸出実績表(単位:百万ドル) 2010 年 4 月 2010 年 2 月 2010 年 1 月 2009 年 12 月 2008 年平均 1,285 880 923 1,138 1,110 上記のように韓国の繊維類輸出は今年に入って回復基調にあり大邱・慶北地 区の 2010 年上期の繊維類輸出合計は 13 億 9380 万ドルで前年同期比 27,8% 増である。今後韓国の合繊織物業界は、ウオンの先高、原油代上昇、設備の 7 老朽化 、技術者不足等の問題を抱えてはいるが少なくても今年一年は好調 を維持するものと思われる。 * 今回の調査では韓国のニット業界の実態把握は殆ど出来なかったが 2003 年度 の調査では韓国全体で丸編機が 6,888 台、縦編機が 1,184 台であった。近年 大邱地区にて織布業者が丸編み機導入に積極的であり本来の丸編み産地であ る京畿北部地区丸編み業者との競争が激化していると言われている。 [10] 訪問企業の内容報告 ①韓国繊維開発研究院(Korea Textile Development Institute KTDI) 繊維生産技術の研究開発・繊維関係人材の育成を進めながら韓国繊維産業の 構造高度化と国際競争力向上を目指して 1996 年に創設された。20,394 平米の 敷地に研究員 92 名,重合機・紡糸機・織り編み機・染色機等 426 種・939 点 の生産設備を持って初期開発から中量産テストまで行っている。 中小企業はもとより川上原糸メーカーからも委託を受けながら各種研究開発 を行って、年間経費 172 億ウオンのうち約 140 億ウオンをこれら一般企業か らの委託費収入や自主的な小ロット生産販売収入で賄っている。 「ミラノプロジェクト」の一環として設立された当院は漸くにして本来の機能 を発揮し韓国繊維業界の底上げや個々の企業の研究開発費削減に寄与してい る。最近は非衣料繊維、高機能繊維、高機能後加工研究開発が中心である。 ②㈱沅昌(One Chang Texco CO. ,LTD) 1976 年設立。米国 DUPON 社のナイロン糸、T-400 糸(高収縮糸)、韓国ナイロ ン糸・ポリエステル糸等使用の超高密度織物、超軽量織物、綿交ストレッチ 織物およびそれらの高機能後加工商品を得意とするSPA企業。 トヨタ AJL128 台、津田駒 WJL84 台保有し月生産数量 250 万ヤード。現在 津田駒 WJL を 40 台増設中。 独自ブランド「ZENIN」を持ってアクティヴ、アウトドアー、スポーツ用の 高機能織物を世界中で展開中でありノースフエイス、アデダス等著名スポー ツメーカーとの取引実績を持つ。ニューヨーク・ホーチミン・香港・上海・ 東京に営業支社を置いている。筆者は過去約 40 年間に多くの韓国川中企業を 視てきたが開発力・生産能力・品質管理力・販売力等すべての点で当社は抜 群であった。北陸産地の高機能後加工と当社のナイロン織物や高機能織物と のコラボは大変興味深い。当社は下記東京営業支社持っている。 東京都台東区台東 1-13-2 松本ビル 301 号室 TEL-03-5356-7781 営業所長島田成一氏 8 ③暁星物産染め工場(Hyosung Corporation) 暁星物産㈱グループの染工場。従業員 138 名。ラッピド染色機 22 台、ジガ -染色機 20 台、パッド染色機 1 台、テンター3 台、起毛機 2 台、カレンダー 機 2 台、タンブラー機 1 台などを設置して月産250万 yd。賃加工 100%。 ナイロン織物 60 万ヤード、複合織物(綿/ナイロン、綿/レーヨン、 、レーヨン /ウール、アセテート/ナイロン etc)30 万ヤード、ポリエステル織物 100 万 ヤード、その他クリーナー・マイクロスエード等 60 万ヤード生産。加工賃は 推定日本価格の 50~70%と思われる。 ④㈱星安(Seong An CO. ,LTD) 韓国を代表する原糸-織・編み-染一貫ポリエステル織編み物輸出工場。 年間売上 193 百万ドル(2007 年)、95%輸出、5%国内販売。当社のポリエステ ル薄地撚糸物がP下及び染品で日本に輸入されている。北陸産地にてポリエ ステル薄地強撚織物の生産が困難になってきたので当社との取り組みが必要 な場面もあると思われる。当社独自テキスタイルブランド「STARTEX」を持ち ポリ長薄地強撚織物生産を得意としているが、なかでも当社オリジナル濃染 糸を使った中近東ブラックアイテムは価格、品質両面にて興味深い。価格は 日本品の約70%(日本までの運賃込み)前後予想。 *今回我々は8社の韓国ポリエステル原糸メーカーの内後述の2社を訪問し た。この2社は高機能・高感度ポリエステル糸の開発と継続的生産に意欲的 であり、自らがそれらを駆使したテキスタイルの開発と拡販に注力していて 世界のファッション動向にも敏感である。日本国内原糸メーカーが差別化ポ リエステル糸生産を縮小している状況ではあるが、高機能・高感度織物の開 発・生産を強いられている北陸産地はこの2社との取り組みが大変重要にな ってきた。但し実際の取引においては需給ロットの調整が必要である。 ⑤熊進化学㈱(Woongjin Chemical Co、Ltd) 1972 年設立の化学品メーカー。2009 年度売上 8032 億ウオン、経常利益 217 億ウオン。ポリエステル長繊維糸・短繊維糸・それらのテキスタイル、チッ プ・フイルム・水処理膜等を生産。内ポリエステルフィラメント糸は年産7 万tのキャパを持つ。最近日本国内メーカーが生産縮小、撤退したポリエス テル差別化糸を継続生産中である。その中でも ISCRA-S(PTT/PET コンジュゲ ート糸)、LUMIPOL(フルダル糸)、MONOWIN(モノフイラメント糸) 、SPY(z -10 タイプストレッチ糸)等、及びそれらを使った織物がお薦めか。 9 当社の「MONOWIN」モノフイラメントはブライト異形・フルダル・高収縮糸・ 難燃糸などバリエーションも多く繊度も8/1から 320/8 まで 17 種を揃えて いる。インテリヤ・インナー・シースルーファブリックの開発・生産には最 適素材と思われる。 ⑥Huvis Chemical Corporation 2000 年 11 月 Samyang と SK Chemicals が合併してできたポリエステル原糸メ ーカー。ポリエステル長繊維年産 10 万トンの生産キャパ。ポリエステル短繊 維糸生産は年産 54 万トンキャパで世界第 4 位。RENOVA(帝人ミルパタイプ)、 JUNE(フルダル異収縮混繊糸),FISTO/SSY(ユニチカZ-10 タイプ) MC(クラレ SN-2000 タイプ)、MEMORY(PTT 糸) 、ESPOL(INVISTA T-400 タイ プ)、XN Light(染色可能 PP 糸)、ZEROXY(難燃糸),A-10(三菱 AHY タイプ) 等多彩な差別化糸を展開中である。染色可能な PP 糸「XN Light」に注目すべ きか。PP(ポリプロピレン)糸は軽量・吸汗速乾・保湿等のマルチ機能を持ち、 スポーツ素材として最適素材ではあるが分散染料で染める事が不可能なため に流通量が少なかったが染色可能 PP 糸あれば様子が変わってくる。 ⑦PREVIEW IN SEOUL 2010 ソウル国際繊維素材見本市 9 月 1 日~3 日ソウル市国際会議・展示会場(COEX)で 231 社(内中国・インド・ インドネシア・パキスタン等海外からの参加約 50 社)が参加。機能性・エコ ロジー・リサイクルをテーマにしてファイバー・テキスタイル・皮革製品・ アクセサリー等多彩な展示であった。期間中は海外からの来場者も多く韓国 繊維業界が国を挙げて周辺諸国、インド・インドネシア・タイ・パキスタン そして中国さえも取り込んで、FTA・EPA を存分に活用しながら世界のテキス タイル供給基地再生へ向かって動き出したものと思われる。 ⑧ロッテデパート、東大門市場、東大門ファッションセンター 訪問した日が土曜日のためか大変な人混みであった。特にファッショナブル な服装をまとった若い人たちが多くみられた。売り場では韓国製の韓国若手 デザイナーのオリジナルブランド商品が人気で価格も日本品と大差がなかっ た。欧米の高級ブランド品の売れ行きも好調で日本のデパート、高級品売り 場の不調とは雲泥の差を感じた。 10 ⑨まとめ 我が国や韓国では少子化が続いているが世界の人口は年間約 8 千万人も増加 すると同時に環境問題が加速する中で衣料・非衣料両分野にて繊維需要は継 続的にそして確実に増加している。繊維は決して斜陽産業では無く成長産業 である。これからの繊維はただ単に身を包む衣料だけではなく、人類の生活 をより安全に、そして快適にするための重要な道具になってきた。そこで繊 維先進国日本、韓国の重要性が増してきた。繊維用途がどんどんと拡大し専 門化する中で日本、北陸だけでその要求を満たすことは不可能になってきた。 北陸と韓国は古来より人々や文化の交流も多く両者はわずか 1 時間半のフラ イト時間の距離にある。両者は連携しながら世界の高機能・高感度テキスタ イル供給基地としてその責任を果たしながら世界の繊維業界をリードする時 が来たと思われる。 今回の韓国調査では、現地にて㈱中汶 Trading の文中鉉社長、㈱伊原の金成 勲代表理事、林弘錫理事の 3 氏の全面的サポートを頂きました。又(社)福 井人絹倶楽部と福井市商工労働部マーケット戦略室の多大なご支援を頂きこ の調査を行う事が出来ました。ここに厚く御礼申し上げます。 11
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