知識経営:ナレッジマネジメントとは KNOWLDGE MANAGEMENT ADVISORY GROUP 組織目標の達成には、組織が目標達成に充分な知識を保有していることが不可欠です。 An introduction to the concept of Knowledge Management 価値生産の三要素の変化について 知性 (Intelligence) 企業等の組織体は、計画された予算と期間で組織の目標を 達成することがステークホルダーに対する使命として求め られます。この3っつの条件からなる使命を達成するため に、多くの経営リスク管理に関する学術的研究がなされ、 知性とは、ある事柄について経験や学習を通じて得た外界のデータか ら物事を理解し,考え、判断する思考能力。知識は学習や経験で獲得 したデータを理解し、考え、判断した結果と考えられる。 情報 (Information) 深い知識が求められる理論や専門用語が生まれました。 また、組織目標を達成するためのコンピュータソフトウェアや研修・訓 練などの人材育成の仕組も、長年に亘って研究開発されてきました。 そのため、現在の組織リーダーが組織を率いて目標を達 成するためになすべき課題は、極めて複雑かつ広範な知 識と経験が求められるようになったと考えられます。 例えば、近年成長が著しいインターネットサービス事業は、情報 を必要とする組織や人と、それを保有する組織や人を結びつける 情報とは「知識とデータ」からなる、ある物事の記録。文字、数値、画 像、映像、等で紙や電子データなどに記録できる。媒体に記録可能なた め「形式知」と呼ばれる。形式知は「組織が所有」することができる。 ナレッジマネジメント (Knowledge Management) 英文「Knowledge Management」の日本語訳は 「知識管理⇨知 識を管理する」と理解されやすいが「知識経営⇨知識を経営資本とす る」と訳す「知識経営」が本来の意味。 サービスの仕組みを幹として価値を生み出しており、従来の価値 生産の三要素(土地、資本、労働)を(サービスの仕組み、資本、 情報「知識とデータ」)に移行させつつあると考えられます。 このような事業における価値のパラダイムシフトの根底には、知識 が資本として重要な位置付けになりつつあることが感じられます。 本紙は、そのような観点から事業におけるナレッジマ ネジメントについて、私達の考え方を紹介します。 ナレッジキャピタル (Knowledge (based) Capital) 英 文 「 K n ow l e d g e ( b a s e d ) C a p i t a l 」 の 日 本 語 訳 は 「 知 識 資本」。OECD(経済協力開発機構)が提唱する企業の無 形資産によって生み出された、株主資本の簿価に対する市 場価値の超過部分の価値を資本と捉える考え方。例えば、 ・ 知識、ノウハウに基づいて超過収益力を生み出す企業の能力。 ・ 会計面の数字で測ることが難しい企業の潜在的な事業遂行能力。 (用語の説明) 知識 (Knowledge) 「形式知」と「暗黙知」 知識とは、ある事柄について経験や学習などを通じて人の脳に記憶し た意味を持つ文の集合。 コンピュータのメモリに電気信号として記録 (コード化)された文字や数字に類似していると考えられる。 形式知とは言葉として伝達可能な知識。 文字で記録が可能。暗黙知と は個人の脳に記録されている知識。一部は形式知化が可能。その他は 運動能力等、体験と訓練による。 ナレッジマネジメントは、組織が有する知識を資本として最適に管理・統制し「組織の価値を高める」 知識は、人が学習や経験を通じて脳に獲得した判断論理 経営の仕組み と考えられます。そのような、個人が脳に獲得している属 経営課題とそれに関連する情報処理課題の例。 資本:事業に必要な基金 人的知識は「暗黙知」と呼ばれ、それを発話や文字により デューデリジェンス (Due Diligence) 知識資本:事業に必要な知識 コーポレートガバナンス (Corporate Governance) 紙などの媒体に記録した時、記録された知識は「形式知」 コンプライアンス (Corporation Compliance) 呼ばれます。 暗黙知の形式知化は人類の歴史を通じて紙などの媒体に記 録として行われてきました。それは、記録を管理すること で知識を管理する方法を編み出した古代人の知性(インテ リジェンス)によるものと考えられます。 内部統制 (Internal Control) 知識資本の「管理」 (主な管理課題) ・知識資本のモニタリング ・知識資本の識別と価値評価 ・知識資本の獲得状況 ・知識資本の利用状況 ・知識資本の伝承状況 等 顧客関係管理 (Customer Relationship Management) 投資家向け広報 (Investor Relations) 企業の社会的責任 (Corporate Social Responsibility) 人材育成 (Human Resource Development) 力量管理 (Competency Management) 現在、一部を除き情報処理システムが記録を管理するこ ERM (Enterprise Risk Management) とが一般的です。そのため、情報処理システムによる記録 GTM (Global Talent Management) の管理技法が非常に複雑化してきました。知識資本の管理 BPM (Business Process Management) BI (Business Intelligence) を行うための情報処理システム利用技術革新は、ナレッジ ERP (Enterprise Resource Planning) マネジメントを実現する重要な課題と考えられます。 知識資本の把握 ECM (Enterprise Contents Management) SNS, IoT, Big Data/Total Data, Deep Learning, AI 知識資本の 「獲得と利用」 (各部門の課題) 組織内外の知識資本を 獲得して整理・共有。 知識資本の利用 知識資本の追加 知識資本の 「管理」 (情報システム部門の課題) 知識共有プラットホーム の構築。 図1 知識資本管理の4要素 属人的知識の伝承 知識資本の 「伝承」 (人材育成部門の課題) 従来の人材育成の仕組みに 知識伝承を追加。 whitepaper – 12152015 知識経営:ナレッジマネジメントとは KNOWLDGE MANAGEMENT ADVISORY GROUP 目的:組織が有する知識を資本として管理する仕組みを構築すること。 組織価値の増大に向けた経営の管理監督 知識資本は、組織の活動を管理監督する各種 コーポレートガバナンス の仕組みに共通な基盤となる「達成能力=知 識の充実度」が価値を生み出す資本とする考 組織における知識資本の位置付け え方です。 内部統制 組織の知識資本 品質マネジメント 業務の管理監督 製品やサービスの品質を管理監督 人材育成/知識伝承 知識管理支援ITインフラ 属人的業務知識 ・ ノウハウの維持管理 組織が保有する形式知を管理 ・ 共有 図2 知識資本とその管理が重視される五つの経営課題の観点 知識資本 ガバナンスの観点 内部統制の観点 品質マネジメントの観点 人材育成の観点 ITインフラの観点 貨幣により測れるモノや財 務の価値とは別 の「知識 の価値」を管理して企業価 値を高める。 業績予想等の達成可能性に ついて、知識の観点から事 業遂行能力を評価してガバ ナンスを強化。 業務に必要な知識を資本と して管理し、企業価値を向 上する仕組みを構築して内 部統制を強化。 業務プロセスに求められる 知識の重要度を識別して、 知識を品質マネジメント指 標に具体化。 ベテランの退職等に伴う知 識 ・ ノウハウを、 後継者 に伝承する仕組みを構築し て人材育成を強化。 サーバや個人のPCに分散 しているコンテンツを組織 の知識資本として管理する ことを支援。 文書などの記録(形式知) を知識資本として管理し、 組織が保有する知識の価値 を具体化。 ステークホルダーによるマ ネジメントの力量管理を強 化してガバナンスを強化。 規程類等、文書化された制 度を、社員が業務遂行知識 として身につける仕組みを 構築して内部統制を強化。 業務プロセスの遂行に求め られる知識を共有する仕組 みを構築して品質マネジメ ント体制を強化。 属人的知識(暗黙知や個人 が有する記録など)を管理 する仕組みを構築して人材 育成手法を強化。 組織横断的知識管理プラッ トホームを整備し、古いシ ステムの廃止/再利用を行 いTOC*1を削減。 ブランド力やベテランのノ ウハウなどの暗黙知を知識 資本として管理し、知識資 本の価値を具体化。 事業の成長等に必要な外部 の知識を把握してM&Aや 他社との協業等を強化し、 ステークホルダーに有利な 戦略を強化。 業務監査の具体的な指標に ついて業務遂行知識の観点 から管理・監視し実力面か ら内部統制を強化。 需要やトレンドの変化に応 じて外部から知識を獲得し て業務に反映する仕組みを 構築して品質マネジメント を強化。 集 合 研 修 / 訓 練 、 e-Learning 及び OJT な どで学習し獲得した力量を 管理し、最適な人材育成活 動を支援。 業務遂行に必要な知識の 充実度を管理職がモニタリ ングするダッシュボードを 実現して管理の効率化を 支援。 *1:Total Operation Cost (総運用費) ナレッジマネジメントの仕組み構築は、大きく ステークホルダー ナレッジマネジメントの仕組み構築の課題。 「制度系」、「人間系系」、「IT系」に分けて、 ガバナンス 現状と制度適用にかかる課題や要件等を分析し、 経営に知識資本の管理の仕組みを構築するため には、大きく以下の課題を明確にする必要があ それらの適合性、整合性を最適化する検討から開 ると考えられます。 始することが適当と考えられます。 経営トップ ① 目的とゴールは何か ② 何から始めるべきか (課題の例) 制度系 ③ どのように進めるべきか (制度:内部統制、 ガバナンス対応) ・ 知識資本の管理制度 ④ どのようなIT環境が必要か ・ 知識資本の獲得・管理・共有の文化 など ⑤ 仕組み構築に要するコストと期間はどれほどか (課題の例) (業務における知識資本の管理) 人間系 ・ 知識資本管理体制(委員会、連絡会、業務プロセス) ・ 品質マネジメント(ISO9001:2015年版の要求) ・ 個別業務遂行にかかる知識資本の充実度管理 ・ 人材育成・知識伝承の推進(特に暗黙知の伝承)など (知識資本の管理を支援するIT環境の例) ・ シ ン グ ル プ ラ ッ ト ホ ー ム に よ る 知 識 の 管 理 / 共 有 環 境 の 構 築 ( E C M *2) ・ 形式知の分析サービスの実装(Big Data Analytics) IT系 (課題の例)・ 知識資本の充実度モニタリングダッシュボードの実装 知識、ノウハウに基づいて超過収益力を生み出す企業の能力を表示。 会計面の数字で測ることが難しい企業の潜在的な事業遂行能力を表示。 など *2: Enterprise Contents Management 免責事項:本ホワイトペーパーは、テーマに関連する情報と next-intelligence.net の考えを掲載したものです。 next-intelligene.net は掲載内容に注意を払っておりますが、掲載内容の完全性、正確性、適用性、有用性等いかなる保証も行っておりません。 掲載内容は予定なしに変わる(変更・削除等)ことがあります。 whitepaper – 12152015
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