第35節 阿蘇火山爆発対策計画

第35節
1.総
阿蘇火山爆発対策計画
則
阿蘇火山が爆発し、または爆発するおそれがある場合、登山者、または地域住民の生命、身体財
産を保護するため、県、町、村及び防災関係機関は協力して災害予防、災害応急対策を実施するも
のとする。
1.阿蘇火山に係る町村及び地域
(1)
阿蘇火山に係る町村は、阿蘇郡一の宮町、阿蘇町及び白水村(以下「関係町村」という。)と
する。
(2)
阿蘇火山に係る地域は次の区域とする。
阿蘇郡一の宮町大字宮地字東小堀の区域
阿蘇郡阿蘇町大字黒川字阿蘇山、字古坊中及び字打越堂の区域
阿蘇郡白水村大字中松字古坊中の区域
2.防災体制の整備
(1)
県
県は火山現象の規模、または被害の状況等から、災害対策の万全を期するため、必要がある
と認める場合は第 3 章第 1 節組織計画により災害対策本部、または災害対策現地本部及び地方
災害対策本部を設置するものとする。
(2)
関係町村
①
阿蘇火山防災対策推進のため、災害対策基本法第 17 条第 1 項の規定による阿蘇火山防災
会議協議会を設置するものとする。
②
災害対策を実施するうえで、必要があると認められるときは、阿蘇火山防災計画の定める
ところにより災害対策本部を設置するものとする。
(3)
防災関係機関
火山災害の特殊性にかんがみ、県及び関係町村と連携を図りながら防災対策に万全を期する
ものとする。
3.火山観測
火山観測について、福岡管区気象台は、震動、地殻変動(傾斜、GPS)、表面現象(遠望、空
振)の観測を実施するものとし、阿蘇山測候所は現地観測を実施するものとする。
4.防災対策事業等の推進
(1)
県
県は、火山災害による被害を防止し、または軽減するため必要に応じ次の事業等の推進を図
るものとする。
①
火山現象の調査、研究及びその成果の普及
②
火山噴火予知のための観測施設の整備促進
③
関係町村が行う事業等に対する必要な助言、または指導
(2)
関係町村
関係町村は、火山災害による被害を防止し、または軽減するため、必要に応じて次の事業等
の推進を図るものとする。
①
阿蘇火山防災計画に定められた防災対策の推進
②
避難施設(退避壕、避難路、ヘリポート、警報装置等)の整備
③
防災訓練の実施
2.災害予防対策
1.火山情報
(1)
火山情報等の定義
①
火山情報
火山現象に関する観測成果等に基づき、火山現象の状況を一般及び関係機関に周知し、防
災に資するため発表する情報をいう。
②
火山活動度レベル
火山活動の程度と防災対応の必要性を0∼5の6段階の数値で表したもの。
(2)
火山情報の種類等
①
火山情報
火山現象に関する情報は、気象業務法(昭和 27 年法律第 165 号)第 11 条及び活動火山対策
特別措置法 (昭和 48 年法律第 61 号)第 21 条第 1 項の規定に基づき制定された「火山情報取
扱規則第20条」による「緊急火山情報、臨時火山情報、火山観測情報」をいう。
②
火山活動度レベル
火山活動度レベルの区分けは、次のとおり。
阿蘇山の火山活動レベル
火山の状態
レベル
噴火の形態
過去事例
長期間火山活動の兆候なし。
0
長期にわたり、噴気活動、火山性地震
噴火可能性なし。
観測開始以降事例なし。
噴火可能性低い。
通常のレベル。
・微動の発生もほとんど見られない状
態。
静穏な火山活動。
火口内は緑色の全面湯だまりで、少量
1
の噴気活動や火山性地震・微動が発生
するものの、噴火の兆候がない状態。
2
火山活動の高まりを示す異常現象を検
噴火活動期への移行段
出。
階 の 可 能 性 が あ る 。 火 2002 年 8 月 11 日∼ 9 月 18 日の活動
火山性地震・微動の増加、湯だまりの
口 内 に と ど ま る 小 規 模 で孤立型微動、火山性地震が増加等。
変化、小規模の土砂噴出、少量の有色
な土砂噴出等の可能性
噴煙等、火山活動がやや活発化してい
はある。
る状態。
小規模噴火が発生または可能性。
3
小 規 模 噴 火 に よ り 火 口 1977 年の活動等(土砂噴出、降灰、
噴石等が火口縁周辺に飛散もしくは飛
縁周辺(火口から 1km 噴石)
。
散する可能性がある状態。
未満)に噴石等が飛散
する可能性がある。火
口に近い地域は注意。
4
中規模噴火が発生または可能性。
中 規 模 噴 火 に よ り 火 口 1933 年 2 月 24 日の爆発(窓ガラス
噴石等が火口からある程度離れた地域ま か ら あ る 程 度 離 れ た 地 破損、噴石飛散距離約 1.3km)。
で飛散もしくは飛散する可能性がある状 域(火口から 1km 以上) 1958 年 6 月 24 日の爆発(死者 12、
態。
に 噴 石 等 が 飛 散 す る 可 家屋全壊 5、噴石飛散距離約 1.3km)。
能 性 が あ る 。 火 口 か ら 1965 年 10 月 31 日の爆発(建物被害、
あ る 程 度 離 れ た 地 域 で 噴石飛散距離約 1.2km)。
も警戒。
1979 年 9 月 6 日の爆発(死者 3、建
物被害、噴石飛散距離約 1.2km)。
1990 年 4 月 20 日の噴火(多量の火
山灰により電力(絶縁不良)被害、
農作物被害、交通災害、噴石飛散距
離北側約 1.0km)。
大規模な噴火が発生または可能性。
5
大規模な噴火により広
有史以降、事例はないが、中岳以外の
域 に 噴 出 物 等 に よ る 影 有史以降事例なし。
噴火を含めた大規模噴火が発生、また
響の可能性がある。広
は発生する可能性があり、広域災害の
域で厳重な警戒。
可能性がある状態。
(3)
火山情報の発表
ア .緊急火山情報の発表は、火山現象による災害から人の生命及び身体を保護するため次の各
号の一に該当し、必要と認める時に福岡管区気象台が行うものとする。
(ア)
火山の噴火に伴う溶岩、噴石、火山れき、強酸性の湧水、有毒ガス等の噴出により、直
接人体に被害が生じ、または生ずるおそれがある場合
(イ)
火山の噴火に伴う溶岩、噴石、降灰等により人が居住し、または滞在する建物等に損傷
を加え、そのため人体に被害を生じ、または生ずるおそれがある場合
(ウ)
火砕流、溶岩流、泥流を伴う火山噴火により、人体に被害を生じ、または生ずるおそれ
がある場合
(エ)
前各号のほか 、火山性地震 、地盤変動 、その他火山現象の推移により人体に被害を生じ 、
または生ずるおそれがある場合
イ .臨時火山情報の発表は、防災上注意喚起のため、次の各号の一に該当し、必要と認める時
に福岡管区気象台が行うものとする。
(ア)
火山現象について異常を認めた場合
(イ)
市町村長から火山に関する異常な現象の通報を受けた場合
(ウ)
国土交通省の機関、その他の機関から火山に関する異常な現象の情報を入手した場合
ウ .火山観測情報の発表は、緊急火山情報又は臨時火山情報の補完等のため、必要と認める時
に、福岡管区気象台が行うものとする。
*解説資料の公表は福岡管区気象台が定期的( 毎月1回 )に又は必要に応じて行うものとする 。
(4)
火山情報本文の内容
火山情報本文の内容は、おおむね次に掲げる事項を内容とする。
ア、火山性地震、火山性微動、火山の噴火及び火山噴出物の状態
イ、火口、噴気地帯等の状態
ウ、火山噴火予知連絡会が行った火山現象についての総合判断の内容
エ、その他必要と認める事項(火山活動に関する解説、火山活動の推移等)
(5)
火山情報の発表及び通報
ア、火山情報の発表は、福岡管区気象台が行うものとする。
イ、緊急火山情報の通報は熊本地方気象台が行うものとする。
(6)
火山情報の通報及び伝達
火山情報の通報及び伝達は、次の系統図によるものとする。
ア、活動火山対策特別措置法第 21 条第 1 項の規定による緊急火山情報の県知事への通報
福岡管区気象台
熊本地方気象台
阿蘇山測候所
県防災消防課
イ、火山情報の伝達系統図
環境省自然環境局九州地区
自然保護事務所
一 の 宮 警 察 署
高
森
警
察
署
NHK阿蘇通信部
記
者
ク
ラ
ブ
九州産業交通株式会社
阿蘇山ロープウエー事務所
登
(財)自然公園財団
阿蘇支部
山
阿蘇町山上事務所
者
東阿蘇観光開発株式会社
・
一 の 宮 町 役 場
阿 蘇 町 役 場
(阿蘇火山防災会議協議会)
熊
本
地
方
気
象
台
地
阿蘇広域行政事務組合
消
防
本
部
域
白
住
県 防 災 消 防 課
水
村
役
場
熊 本 県 警 察 本 部
民
陸 上 自 衛 隊
第8師団司令部第2部
阿蘇地域振興局保健福祉環境部
阿 蘇 地 域 振 興局 総 務 部
NHK熊本放送局
三 角 海 上 保 安 部
国土交通省各事務所
(7)
熊
本
市
T
K
U
R
K
K
異常現象発見者の通報義務及び通報先
ア、関係町村は、火山の異常現象を発見した者の通報義務及び通報先に関する事項を阿蘇火山
防災計画に定め、住民に周知徹底するものとする。
イ、関係町村は、火山の異常現象を予知した場合における通報先、通報すべき内容及び通報手
段に関する事項を阿蘇火山防災計画に定めておくものとする。
2.火口現地観測
関係町村は、火口の活動状況をは握するため、火口現地観測を実施するものとする。
3.災害危険予想区域のは握等
(1)
災害危険予想区域のは握
ア、関係町村は過去の噴火の状況等に基づき、災害の予想される区域をは握しておくものとす
る。
イ、関係町村は、本計画に係る区域における登山者及び地域住民の人命、身体を災害から保護
するため 、登山注意 、登山規制及び登山規制解除の措置をとるとともに 、次の系統図により 、
これらの措置を伝達するものとする。
阿 蘇 山 測 候 所
熊本地方気象台
福岡管区気象台
阿蘇地域振興局保健福祉環境部
阿 蘇 地 域 振 興局 総 務 部
消 防 庁 防 災 課
県防災消防課
陸上自衛隊第八師団司令部
一 の 宮 町 役 場
白
水
村
役
場
阿
一 の 宮 警 察 署
蘇
高
町
阿 蘇 町 山 上 事 務 所
役
森
警
察
警察本部警備二課
署
九州産業交通株式会社
阿蘇山ロープウエー事務所
登
山
者
及
地
域
住
民
環境省自然環境局
九州地区自然保護事務所
場
N H K 阿 蘇 通 信 部
記
者
ク
ラ
ブ
阿蘇広域行政事務組合消防本部
ウ 、「ア 」.「イ」に関する事項は、阿蘇火山防災計画に定め、あらかじめ、登山者及び地域住
民に対し、周知徹底させておくものとする。
4.避難施設等の整備
関係町村、県及び防災関係機関は、避難施設(退避壕、ヘリポート等)及び救出、救助に要する
設備、通信、放送設備、警報装置等の整備に努めるものとする。
5.避難路、避難場所の設定
関係町村は、災害の想定に基づき、実態に応じた避難路及び避難場所を設定しておくものとす
る。
6.防災訓練の実施
関係町村は、災害の想定に基づき、各種の応急措置が円滑に実施されるよう防災関係機関の協
力を得て必要な訓練を実施するものとする。
3.災害応急対策
1.災害情報収集及び被害報告
災害応急措置の円滑化を促進するため、関係町村、県(本庁)及び阿蘇地域振興局は、災害情報
の収集及び被害報告等について、次により実施するものとする。
(1)
関係町村
関係町村は、被害が発生した場合は直ちに阿蘇地域振興局、一の宮警察署、阿蘇山測候所等
に通報するものとする。
なお、阿蘇地域振興局への被害報告は、本計画の第 3 章第 7 節情報収集及び被害取扱計画に
より行うものとする。
(2)
阿蘇地域振興局
阿蘇地域振興局は、情報及び被害報告を受けた場合は、直ちに県防災消防課へ通報するもの
とする。
(3)
県(防災消防課)
県防災消防課は、情報及び被害報告を受けた場合は、直ちに知事及び部長に報告するととも
に、特に関係のある各課に対し連絡するものとする。また必要がある場合は、すみやかに第 3
章第 7 節情報収集及び被害報告取扱計画の定めにより報告を行うものとする。
2.警戒避難
(1)
避難の勧告及び指示
関係町村は、火山現象により災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、登
山者及び地域住民の生命、身体を災害から保護し、災害の拡大を防止するため必要があると認
めるときは避難先を明示して立退勧告又は指示をするものとする。
(2)
避難場所、連絡及び手段並びに誘導の方法等
関係町村は、あらかじめ避難場所、経路及び手段並びに、誘導の方法等について、阿蘇火山
防災計画に定め、その内容を登山者及び地域住民に周知しておくものとする。
(3)
警戒区域の設定
関係町村は、災害が発生し、または発生しようとする場合において登山者、また地域住民の
人命、身体に対する危険を防止するため、特に必要があると認めたときは、警戒区域を設定す
るものとする。
3.交通規制
関係町村は、被災者の救出救助のための交通路の確保について、道路管理者、警察署に対し、
交通規制を求めるものとする。
4.阿蘇火山爆発に伴う緊急災害警備措置要領(県警察本部)
事案発生に際しては 、「熊本県警察災害警備実施要領」に基づき対処する。