沖縄県・隠れた賃貸住宅投資先進地 - 一般財団法人 日本不動産研究所

第 1 回 全国 住まい・地元 再発見
住宅新報 2013 年 5 月 28 日号(18 面)掲載
沖縄県・隠れた賃貸住宅投資先進地
~ストック、着工とも断トツ~
日本不動産研究所 那覇支所
不動産鑑定士 干場 浩平
【盛んなアパート投資】
沖縄の住宅と聞いて人々がイメージするのは、ゆったりした庭がある赤瓦屋根の平屋建
の木造住宅かもしれない。しかし、沖縄の住宅は鉄筋コンクリート造の住宅が中心であり、
また賃貸アパートも非常に多くなっている。総務省の住宅・土地統計調査によると、沖縄
県内の住宅ストック総数に占める賃貸住宅の割合は 49%であり、全国平均の 36%を大幅に
上回っている。また、国土交通省の住宅着工統計によると、沖縄県における住宅着工件数
の総数に占める賃貸用住宅の割合は 65%と、全国平均の 36%を大幅に上回り、断トツの全
国ナンバー1 となっている。沖縄でアパート投資が盛んな理由として、需要者側の事情とし
ては、出生率が高く若年層の持ち家率が低いことがあげられ、供給者側の事情としては、
沖縄県内では上場企業が少ないこと等から株式投資があまり浸透しておらず、不動産以外
にめぼしい投資先がないことがあげられる。
「沖縄のアパートは鉄筋コンクリート造り 3~4 階建てで、エレベーター無しが標準的」
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第 1 回 全国 住まい・地元 再発見
住宅新報 2013 年 5 月 28 日号(18 面)掲載
住宅着工件数に占める各利用関係の割合(2012年)
100%
90%
7.4%
0.7%
28.0%
80%
70%
分譲住宅
0.7%
60%
50%
64.9%
36.1%
給与住宅
貸家
40%
持家
30%
20%
35.3%
27.0%
10%
0%
全国
沖縄県
※「国土交通省住宅着工統計」のデータを基に作成
【安定しているアパートの賃貸市場】
一方で沖縄の所得水準は全国最低レベルであり、そのうえ県内の失業率も非常に高い。
沖縄でのアパート経営はさぞ大変なのではないか…、と考えるかもしれないが、一概にそ
うとも言えない。確かに沖縄のアパートの賃料水準は他県と比較して割安であるが、総務
省の住宅・土地統計調査によると、沖縄県内の賃貸住宅空室率(借家総数に占める賃貸用
住宅の空家数)
は 13%と東京都を引き離した断トツの全国最低水準であり、
全国平均の 23%
を大きく下回っている。
沖縄県内の人口は 2020 年代まで増加し、世帯数については 2030 年代以降も増加するこ
とが見込まれるため、今後もアパートの市場規模は拡大することは確実であり、人口減少
に伴う空室増加に悩む他の地方圏とはかなり様相が異なる。
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住宅新報 2013 年 5 月 28 日号(18 面)掲載
「アパートが立ち並ぶ郊外の区画整理地域」
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第 1 回 全国 住まい・地元 再発見
住宅新報 2013 年 5 月 28 日号(18 面)掲載
【低下傾向にある利回り】
低い空室率・人口増加を背景にした賃貸需要増大への期待から、県内では個人投資家に
よるアパート投資がさらに活発化している。直近では、金融緩和によって予想されるイン
フレへの備え、消費税増税前の駆け込み需要、相続税増税に対する資産防衛策として、投
資用アパートの需要はますます高まっており、賃貸アパートの取引利回りは低下傾向にあ
る。
県内のある不動産業者によると、「利回りの低下は限界まで来ているのではないか。現在
市場で取引されている利回りではリターンが少なすぎてリスクに見合わない。今後のアパ
ート投資は既存物件のコンバージョンや、ウィークリー物件への取り組みなど、工夫を加
えないと事業としての投資は成り立たないのではないか。」とのことである。沖縄のアパー
ト投資は賃貸市場が安定しているからと言って楽なものではなく、常に経営努力が必要な
事業といえるだろう。
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