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論 文
独居高齢者の行動パターンに注目した非日常状態の検出
非会員
青木 茂樹∗
正 員
大西 正輝∗∗
正 員
小島 篤博∗∗∗
正 員
福永 邦雄∗∗∗∗
Detection of a Solitude Senior’s Irregular States Based on Learning and Recognizing of
Behavioral Patterns
Shigeki Aoki∗ , Non-member, Masaki Onishi∗∗ , Member, Atsuhiro Kojima∗∗∗ , Member,
Kunio Fukunaga∗∗∗∗ , Member
Recently, attention is paid to monitoring systems that watch behavior of a solitude person in home as the
population of solitude seniors has increased. This paper proposes a monitoring system focused on behavioral
patterns of a solitude senior. In general, the number of behavioral patterns are limited in the case of aged
person in a room. It is possible for a system like a HMM to learn the frequently appeared behavioral patterns.
By utilizing HMMs to deal with behavioral patterns, the system can detect irregular pattern by the degree of
likelihood in the case when non-daily behavioral patterns appeared. Such a case could be an irregular state
of the living life of the person. Soon after, the system reports an alarm of occurrence of the irregular state
according to demand.
キーワード:行動パターン,焦電型センサ,HMM
Keywords: Behanioral Pattern, Infrared Sensor, HMM
イッチを被介護者に配布し,緊急時に被介護者がそのスイッ
1. まえがき
チを押すことによって介護者に異常を通報するシステム (1)
近年の高齢者人口の急速な増加を背景として,介護支援
や,被介護者が毎日血圧や体温,脈拍などのヘルスデータ
システムが注目されている。特に,少子化の影響もあって,
を保健センターに送信し,そのデータに応じて保健師やヘ
一人暮らしの高齢者が急増していることから,独居高齢者
ルパーなどを派遣するシステム (2) が実用化されている。こ
などの要介護者を対象とした介護支援システムに対する需
れらのシステムでは,被介護者自身が緊急事態を知らせる
要が高まりつつある。
ことや,医療スタッフが脈拍などの医療データを確認する
ことが可能であるため,被介護者の状況を的確に把握する
要介護者の介護支援システムとしては,ペンダント型ス
ことができる。しかし,“スイッチを押す”,“脈拍を測る”
∗
∗∗
∗∗∗
∗∗∗∗
熊本電波工業高等専門学校 電子制御工学科
〒 861–1102 熊本県菊池郡西合志町須屋 2659–2
Department of Electronic Control Engineering, Kumamoto
National College of Technology
2659–2, Suya, Nishigoshi, Kikuchi, Kumamoto 861–1102
理化学研究所 バイオ・ミメティックコントロール研究センター
〒 463-0003 名古屋市守山区下志段味穴ヶ洞 2271–130
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2271-130 Anagahora, Shimoshidami, Moriyama-ku, Nagoya,
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大阪府立大学 総合教育研究機構
〒 599–8531 堺市学園町 1–1
Faculty of Liberal Arts and Sciences, Osaka Prefecture University
1–1, Gakuen–cho, Sakai, Osaka 599–8531
大阪府立大学 大学院工学研究科
〒 599–8531 堺市学園町 1–1
Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University
1–1, Gakuen–cho, Sakai, Osaka 599–8531
電学論 E,125 巻 6 号,2005 年
など被介護者自身が情報を通知する必要があり,スイッチ
を押すことが難しい状況では対応できないことや,長期間
に亘ってヘルスデータを送信しなければならないことに対
して,煩わしさを感じることなどの問題があった。
これに対して,被介護者に負担を強いない方法として,
被介護者を無意識下でモニタリングし,状況を通知するシ
ステム (3) や,無意識下でのモニタリング結果を基に異常を
検出するシステム (4)∼(8) が提案されている。文献 (3) では
被介護者が使用する電気ポットの使用状況をインターネッ
トで介護者に知らせるサービスが提案されている。これは,
家族などの介護者が被介護者の状況を直接見守るため,被
介護者の状況を的確に把握することができるものの,緊急
事態の通報は考慮されていない。文献 (4) では居間や風呂,
トイレなどに設置した赤外線センサを利用したシステム,
文献 (5) では家庭電気機器のオン・オフを監視するシステ
259
ム,文献 (6)∼(8) では赤外線センサと電気機器のオン・オ
以下,2 で人物の行動パターンを抽出する手法について
フを監視するシステムが提案されている。これらのシステ
述べ,3 で行動パターンを学習し,人物の非日常状態を検
ムでは,被介護者がトイレや風呂に長く留まっている場合
出する手法について説明する。その後,4 で実験と考察を
や,朝起きてこない場合などに,異変が発生したことを介
行い,5 でまとめる。
護者に自動的に通知することができる。しかし,被介護者の
2. 人物の行動パターンの抽出
健康状態や精神状態の変化から生じる行動パターンの変化
〈2・1〉 人物行動の検出
を把握したい場合には,どの時刻に人物がどこにいるかを
人物が家の中でどのような
示す図 1 のような被介護者の行動パターンの表示を家族な
行動を行っているかを知るためには,人物の位置情報や家
どの介護者が直接確認する必要があると考えられる。上記
電製品の動作状況などが重要であると考えられる。例えば,
のシステムでは,家族らが被介護者の行動パターンをチェッ
人物が寝室にいる場合には “就寝” という行動が行われた
クして,異常がある場合に被介護者に連絡したりすること
と考えることができるし,テレビが動作している場合であ
で,被介護者と介護者の絆が深まり,被介護者の独居の寂
れば,“テレビを見る” という行動が行われたと捉えること
しさが紛れたりすることなどの効果が期待できる反面,家
ができる。そこで,本研究では玄関,居間,風呂など人物
族らが常にチェックし続けることは負担が大きく,保健師
の行動を把握するために重要な位置に焦電型センサを設置
やヘルパーがチェックをする場合には,プライバシーなど
して,人物の位置情報を検出する。また,テレビや冷蔵庫
の点で問題が生じる可能性がある。
などに稼働モニタを取りつけることによって,家電品の動
作状況を検出する。
一方,人物の行動パターンを自動的に分類して学習する
(9) (10)
では,全方位視覚センサから得られる入力画像
本論文では,高齢者在宅データアルゴリズムコンテス
を用いて,人物の位置や姿勢の情報をもとに人物の動作や
ト (12) で公開されているデータを用いて,独居高齢者の行
行動パターンを行動パターン毎に分類して学習し,観測さ
動パターンを抽出する。データは,独居高齢者の行動把握
れた行動パターンの日常性を計測することができる。この
に重要と思われる箇所に設置した 24 種類のセンサが動作
手法では,全方位視覚センサを用いているために,人物が
した時間を 2001 年 1 月 1 日から 2001 年 7 月 26 日まで
部屋の中で比較的短い時間内に行う動作や行動を詳細に知
の 207 日間に亘って記録したものである。なお,本データ
ることができる反面,風呂やトイレなどカメラを設置する
の獲得は被験者に対し,文書ならびに口頭にてその内容・
ことが難しい環境では適用が難しいことや,一日や 1 週間
目的について説明し,同意を得た上で行われている。各セ
単位など比較的長い時間間隔で行われる人物の大局的な行
ンサの設置箇所を表 1 のセンサ名の項目に示し,焦電型セ
動パターンへの適用が難しいことなどが課題となっていた。
ンサの配置図を図 2 に示す。図中の “S” が設置した焦電型
手法
そこで本論文では,焦電型センサや電気機器から得られ
表 1 各センサ名と対応づけたラベル
Table 1. The sensors and the labels to detect the
behavior of the person.
る情報を用いて人物の行動パターンを抽出し,抽出した行
動パターンを行動パターンの種類毎に分類して学習 (9) する
ことによって,観測された人物の行動が日常的であるか非
Label
A
日常的であるかを判断する手法を提案する (11) 。本手法で
は,被験者の手を煩わせること無く取得した情報を用いて,
B
自動的に人物の行動パターンの日常性を,設定した単位時
C
D
E
F
G
H
H
J
K
間毎にチェックすることができるため,プライバシーや人
的負担などの問題が生じない介護支援システムの構築が可
能となる。
Sensor
Entrance1, Entrance2, Kitchen Door1, Kitchen Door2
Refrigerator1, Refrigerator2, Refrigerator3, Refrigerator4
Bibcock, Microwave Oven, Gas Cooker
Living Room
Bedroom1, Bedroom2
Washing Machine
Washroom, Lavatory
Dressing Room, Bathroom
Buddhist Altar
Sunroom1, Sunroom2
TV
Table
The Behavioral Pattern of Mr. A
3/ 5
3/ 6
3/ 7
3/ 8
図1
Fig. 1.
S
6767676 7 *+
232 3
-, ./././././. / 0 0 2323(
4
:
:
:
:
(((
9
12
15-, ./././.18
232 3 (
44 0 4
44 4544 ;
:: 3;
:: ;
:: ;
:: ;::: 66767676 7 +*
00 1100 23221
(
/./. / 1
3(
5
1
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(
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55
1
45
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00 1100 2323(
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54
5
54554 ;
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C
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F
B
D
E
D
E
D
E
D
E
D
E
D
E
G
C
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CB DEDEDEDEDED E GF
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A@A@A@A@A@A@A@ A Bedroom
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'
@A@A@A@A@A@A@A@ A Living Room %
$ %
$ %
$ %$ Entrance '
'
& &'
& &'
& '& Bathroom
S
Sunroom
Dressing
Lavatory Room Bathroom
Kitchen
S
S
S
Living Room
Bed Room
S
S
行動パターンの表示例
Fig. 2.
sensors.
The example of the behavioral patterns.
260
Entrance
図 2 焦電型センサの配置図
The arrangement figure of the infrared
IEEJ Trans. SM, Vol.125, No.6, 2005
独居高齢者の行動パターンに注目した非日常状態の検出
センサを示している。ただし,冷蔵庫などその他のセンサ
ンを A∼K, A’∼K’ の 22 種類のラベルにより長さ 144 の
の設置位置については公開されたデータ中に記述されてい
記号列で表現する。
ない。データの収集期間中に対象者は 2 回 (5 月 21 日,7
3. 人物の非日常状態の検出
月 26 日) 体調を崩しており,対象者の行動パターンの変化
2 で抽出した人物の行動パターンを用いて,行動の非日
を調べることによって,体調を崩した日を検出する。
〈2・2〉 行動パターンの抽出
一般に,人物の行動に
常性を判定する。人物の行動が日常的か非日常的かを判断
は 1 日単位で規則性や習慣性が存在すると考えられる。そ
するとき,それまでに観測された全ての行動パターンと現
こで,センサから収集される人物の行動を 1 日毎にまとめ
在の行動パターンの類似度を測定する方法が考えられる。
1 日単位で行動パターンを抽出する。
ここでは表 1 のセンサ名の項目に示す通り,冷蔵庫に 4
しかし,長期間のモニタリングを行う場合,得られる行動パ
つのセンサを設置しているなど,きめ細かくセンサを設置
究では,記号列パターンの認識などに用いられている Hid-
ターンの数が膨大となるため現実的ではない。そこで本研
してデータを収集しているため,人物の詳細な動作を検出
den Markov Model (HMM) によって,行動パターンを学
することができる。しかし,同一の行動を行っている場合に
習する。HMM は,時間軸方向の移動・伸縮にロバストな
反応するセンサが多数あるために,センサから出力される
ため,本手法のように個人差の大きい記号列の学習に適し
情報をそのまま用いると,正しく行動を検出できない可能
ている (13) (14) 。
〈3・1〉 行動パターンの学習
性が考えられる。例えば,“炊事” という同一の行動を “電
人物の 1 日の行動パター
子レンジ” を使用する場合と,使用しない場合で異なる行
ンを記号列で表現した時,人物が同じようなパターンで行
動と識別する問題が生じる。また,2 つのセンサの間で人
動した場合には類似した記号列が観測され,異なるパター
物が行動した場合などに 2 つのセンサが交互に反応し,収
ンで行動した場合には,当然ながら異なる記号列が観測さ
集したデータ中にノイズ成分が含まれる可能性がある。こ
れる。例えば,朝起きてから同じように振る舞った複数の
のため,人物が移動していないにもかかわらず移動したと
日の行動を記号化すると類似した記号列が観測されるが,
判断してしまい,正しい行動パターンが得られない可能性
外出しない日と外出した日のように,行動が異なる場合に
が考えられる。また,人物の行動パターンを長期間に亘っ
は,異なる記号列が観測される。一般に HMM を用いた認
て観測する場合,局所的に行われた “動作” よりも大局的
識手法では,モデル毎にあらかじめ用意した学習用記号列
で HMM を学習させておき,入力記号列を最も高い出力確
に行われた “行動” が重要であると考えられる。
率で出力する HMM のモデルを認識結果として選択する手
一般に,人物が行う行動には何らかの目的が存在し,行
動の目的毎に人物の位置や使用する家電製品が異なると考
えられる。そこでまず,同一の行動を行っている時に反応
START
すると考えられるセンサを,センサの設置位置を考慮して
Seq 1 = All strings
Seq 2 =
まとめ,それらのセンサに同一のラベルをつける。ここで
は,被験者の一日の行動を “外出”,“炊事”,“くつろぎ 1”,
“就寝”,“洗濯”,“排泄”,“入浴”,“礼拝”,“ くつろぎ 2”,
“テレビ鑑賞”,“食事” の 11 種類に分類して考え,それぞ
< Loop 2 >
< Loop 1 >
Compose a HMM using Seq 1 strings.
Calculate each likelihood of Seq 1.
れの行動によって反応すると考えられるセンサに対して表
1 に示すように A∼K のラベルを割り当てている。例えば,
ラベル A では “外出” という行動を表すセンサとして,“玄
関 1”,“玄関 2”,“勝手口 1”,“勝手口 2” の各センサをま
とめている。ここで,“くつろぎ” という行動については,
センサの設置位置の距離が離れているために,同じ “くつ
ろぐ” 行動でも目的や行動を行うタイミングが異なる可能
性が大きいと考え,2 種類に分割している。
No
The likelihood
under threshold exists.
Yes
The string(s) is/are deleted from Seq 1 .
The string(s) is/are added to Seq 2 .
Seq 2
Seq 1
The HMM is added to the behavioral pattern.
Seq 1
次に,観測単位時間毎に単位時間内のセンサの反応回数
をセンサに与えたラベル毎に調べ,反応回数が最大のラベ
No
ルがその単位時間の行動を最も反映していると考えて,そ
のラベルによって人物の行動パターンを表現する。ただし,
Seq 2
Yes
単位時間内に反応したセンサが存在しない場合は,前の時
END
間に出力したラベルに関係する行動を継続中であると考え
図 3 行動パターンの学習アルゴリズム
Fig. 3. The learning algorithm of the behavioral
pattern.
て,前の時間のラベルにダッシュをつけた値を用いる。こ
こではノイズの影響などを考慮し,観測単位時間を 10 分と
している。以上の処理によって,人物の 1 日の行動パター
電学論 E,125 巻 6 号,2005 年
261
( |N |
γi = |Mi |
0
法が用いられている。しかし,一般的な環境下で行われる
行動パターンを認識する場合には,人物の行う行動の種類
が膨大となるためにそれらすべてのモデルをあらかじめ作
if N ⊂ Mi
otherwise
· · · · · · · · · · · · · · · · · · (1)
成しておくことは現実的ではない。また,一般には人物が
ここで,|Mi | は集合 Mi の要素数を示している。例えば,
何種類のパターンで行動を行っているかは個人差があり既
保存している HMM の出力パターンが Mi = {1, 2, 3, 5}
知でないため,あらかじめ作成しておくべき HMM の数も
で観測記号列を出力する HMM の集合が N = {2, 3, 5} の
既知ではない。そこで,図 3 に示すアルゴリズムを用いて
場合, |Mi | = 4, |N | = 3 であり,γi は 0.75 となる。
そして,保存している全ての出力パターンについて γi を
人物の行動パターン毎のモデルを順次作成していくことに
求め, γi が最大の行動パターン i を認識結果とする。た
よって,行動パターンを学習する。
だし,最大の γi がしきい値未満の場合は,人物が日常的
このアルゴリズムは 2 つのループで構成されており,図
3 中の hLoop 1i で単一の行動パターンに対応する HMM
を作成し,hLoop 2i で注目している日までに人物が行った
各行動パターンに対応する HMM を作成する。hLoop 1i
では,まず,全ての記号列の集合 Seq 1 を学習データとし
て HMM を作成する。この HMM で学習に用いた全記号
に行わないようなパターンで行動を行ったと判断する。
列の出力確率を求め,最も高い出力確率で各記号列の出力
て,人物行動の非日常性を検出することができる。
以上の処理によって,人物の行動パターンを各行動パター
ン毎に自動的に分類して学習し,人物がどの行動パターン
で行動を行ったかを認識することができる。さらに,過去に
観測された行動パターンとの類似度を算出することによっ
確率を割った値が,しきい値以上となるような記号列のみで
4. 実験および考察
Seq 1 を更新し,改めて HMM を作成する。以上の処理を
Seq 1 の全ての学習記号列が出力可能になるまで繰り返す
ことによって,一つの行動パターンに対応する HMM を作
成する。hLoop 2i では,hLoop 1i で削除した記号列の集合
Seq 2 を学習データ Seq 1 として,同様の処理を繰り返す
ことによって人物の各行動パターンに対応した HMM を作
成している。そして,以上の処理で作成した全ての HMM
〈4・1〉 実
本手法の有効性を確認するために
実験を行った。まず,注目している日の直前の 30 日間に
観測された記号列 (記号列長 144) を学習用記号列として
HMM で人物の行動パターンを学習した。ただし,30 日を
過ぎるまでの間は直前の日までに得られた全ての記号列を
学習用記号列に用いている。学習に用いた HMM の出力シ
ンボル数はラベルの総数の 2 倍,状態数は 16 とした。ま
を行動パターンの学習結果として保存しておく。
〈3・2〉 日常行動の表現
験
HMM を用いて人物の行動
た,HMM の学習には Baum–Welch アルゴリズムを用い,
パターンを表現する時,ある行動パターンの記号列が別の
記号列の出力確率は Viterbi アルゴリズムで算出したシン
行動パターンの部分記号列である場合には,両方の行動に
ボル出力確率を系列長で正規化した値を用いた。次に,作
対応する HMM から観測された記号列が出力され,人物が
成された全ての HMM で学習に用いた全ての記号列を出力
どちらの行動パターンで行動を行っているかを判断できな
させて,HMM の出力パターンを調べた。その後,作成し
い場合があった。そこで,
〈3・1〉で行動パターンの学習に
た HMM と HMM の出力パターンを用いて,注目してい
用いた全ての記号列を行動パターンの全ての HMM で出
る日の注目している時間までの行動パターンが日常的であ
力し,各記号列毎にしきい値以上の確率で出力する HMM
るか非日常的であるかを 2 時から 24 時まで 1 時間毎に調
を調べる。そして,出力する HMM の集合により人物の
べた。
日常的な行動パターンを表現する。つまり,HMM 1, 2 で
図 4 に実験結果の例を示す。図 4 中の帯グラフの左に
同時に出力される記号列は全て同一の行動パターンと考え,
示す数字は何日のデータであるかを表しており,帯グラフ
HMM 2, 3 で同時に出力される記号列は,HMM 1, 2 で
は 2 の手法で記号化した人物の 1 日の行動パターンを各
同時に出力する行動パターンとは異なる行動パターンであ
センサに与えたラベル毎に濃淡値を変えて表したものであ
ると考える。そして,出力する HMM の集合 {1,2}, {2,3}
る。その下に示す “O”,“X”,“?” の系列は,以下の基準にし
を保存し,これを HMM の出力パターンと呼ぶ。
たがって判断した人物の状態を示している。
以上のように一つの記号列で同時に出力する HMM の
“O” 式 (1) で求めた値がしきい値以上であり,日常的
集合を保存しておくことによって,部分記号列の影響を受
な行動パターンと判断したもの。
“?” 式 (1) で求めた値はしきい値未満であるものの,
観測記号列を出力する HMM は存在し,日常的であ
けずにどの行動パターンで行動が行われたかを認識するこ
とができる。
〈3・3〉 非日常状態の検出
人物の行動パターンを,
るか非日常的であるかを判別しにくいもの。
〈3・2〉で調べた HMM の出力パターンを用いて認識する。
“X” 観測記号列を出力する HMM が存在しないため,
まず,観測された記号列を行動パターンの全ての HMM で
非日常的な行動パターンであると判断したもの。
出力し,観測記号列を出力する HMM の集合 N を調べる。
実験の結果より,学習データの少ない 1/11 頃までは頻繁
次に,得られた HMM の集合 N と保存しておいた日常の
に “X” や “?” が表示されているが,それ以後は 1/12∼1/14
行動パターン i の出力パターン Mi を次式で比較する。
などのように過去のパターンと類似している場合に “O” を,
262
IEEJ Trans. SM, Vol.125, No.6, 2005
独居高齢者の行動パターンに注目した非日常状態の検出
1/ 2
1/ 3
1/ 4
1/ 5
1/ 6
1/ 7
1/ 8
1/ 9
1/11
1/12
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
1/13
XX?????????????????????
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
1/14
???????????????????????
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
1/20
XXXXX?XXOOOOOOOOOOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
1/21
OOOOOOOO?????OOOOOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
1/22
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
1/23
??????OOOOOOOOOOOOOOOOO
1/10
XOO??????????XXXXXXXXXX
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOO?XX
1/24
XOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
5/17
5/18
5/19
5/20
5/21
5/22
5/23
7/25
7/26
XXXXOOOXOOOOOOOOOOOXXXX
OOOXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
O?OOOOOOXOXXXXXXXXXXXXX
O??XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
O?OO??OOOO?????OOO?O???
OOOOOXXXOOOOOOOOOOOOO??
OOOOOOOOOOO????????????
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
XO?OOOOOOOOOOOOO??O?O??
図 4 実験結果の例
Fig. 4.
Examples of experimental results.
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1/ 3
図5
Fig. 5.
2/ 1
3/ 1
4/ 1
5/ 1
6/ 1
は,センサの誤反応や,初めて外泊した日などを検出して
いると考えられる。
図 5 中の 5/2 頃から 5/30 頃までの間で,全体的に低い
値となっていることが確認できる。これは,被験者に体調
の変化などがあり,行動パターンが激しく変化したために
日常的と判断できる時間帯が減少したためだと考えられる。
この結果は,高齢者在宅データ解析アルゴリズム開発コン
テストで公表された被験者の体調が悪化した日である 5/21
7/ 1
の前後となっている。図 4 の 3 列目上部には 5/17 から 5/23
行動パターンの日常性の検出結果
The sum of regular time zone of one day.
までの行動パターンを認識した結果を示している。この結
果から,被験者の体調が悪化した 5/21 には “X” は出力して
いないものの,“?” を頻繁に出力しており,また,5/21 の
1/23,1/24 のように過去に観測されていない非日常的なパ
ターンの場合に “X” を正しく出力できていることが確認で
前後で “X” や “?” を多数出力していることが確認できる。
同様に,7/6 から 7/10 でも低い値が連続しており,この
きる。
期間にも体調の変化や,外泊があったものと考えられる。
図 5 に各日毎に日常的であると判断した時間帯の合計を
調べた結果を示す。図は横軸に何日のデータであるかを示
また,図 4 の 3 列目下部に示した 7/25,26 の結果から,被
し,縦軸に日常的と判断した時間帯の総数を示している。例
験者が入院した 7/26 には “O” や “?” を多く出力してい
えば,すべての時間帯で “X” が出力されている 1/3 や 1/24
るものの,前日の 7/25 には “X” を常に出力していること
などは最小値の “0” となり,1/12∼1/14 などのようにす
を確認できる。
さらに,一日のうち 8 割以上の時間帯 (18 時間以上) で
べての時間帯で日常的であると判断した場合は 2 時から 24
“X” を出力している日を “非日常日” と設定して “非日常
日” を検出する実験を行った。実験の結果,“非日常日” と
検出された日を表 2 に示す。ただし,学習が十分でないと
考えられる 1/11 以前については,実験結果中に含めてい
時までの間で “O” が出力されるため,最大値の 23 となる。
この図からも,十分な学習データが得られている 1/12 以
降からは安定して被験者の行動パターンを識別できている
ことが確認できる。1/24 や 2/5 頃,5/3 などの値が 0 の日
電学論 E,125 巻 6 号,2005 年
263
表2
Table 2.
考えられるが,今後の課題とする。
非日常日の検出結果
(4) 予め用意した学習セットを用いて学習させたモデルを
Results of detection of irregular day.
1/24
2/5
2/11
2/17
4/6
5/3
5/9
5/10
5/11
5/14
用意するのではなく,注目している日の前日までの行動パ
5/18
5/20
5/30
6/15
6/24
7/1
7/4
7/7
7/16
7/25
ターンを自動的に分類して学習し,注目している日の行動
パターンの日常性を検出する手法を明らかにした。学習期
間中に観測された被介護者自信の行動パターンを用いてい
ない。この結果から,“非日常日” として検出された日は 20
るため,被介護者に固有の情報を考慮することができ,予
日あり,被験者が体調を崩した日の近傍 (5/3 ∼ 5/30, 7/1
めモデルを与えておく手法よりも高精度に非日常状態を検
∼ 7/25) で “非日常日” を多く検出できていることが確認
出することができると考えられる。
(5) 本手法では,人物の行う行動のパターンに注目して
できる。
〈4・2〉 考
本論文では,独居高齢者などの要介
いるため,人物が動作を行った場合には,位置などの順序
護者を対象とした,非日常状態の検出手法を提案した。以
性を基に日常性を判別できる。しかし,トイレなどのよう
下,提案手法の特徴について考察する。
に日常的に行う時間が決まっていないような行動を行わな
察
(1) これまでに提案されている様々な手法では,トイレや
い場合には,非日常状態を検出することは難しい。これに
風呂に留まっている場合や,起きてこない場合など長時間
対しては,センサの反応時間を調べるような従来の手法と
行動が行われない場合に警報を出すことを目的としていた。
本手法を組み合わせて使用することで解決できると考えら
これに対して本手法では,被験者の手を煩わせることなく
れる。
収集した情報を用いて人物の行動パターンを学習し,行動
(6) 本論文では,高齢者在宅データ解析アルゴリズムコ
パターンが日常と異なる場合に,非日常的であることを自
ンテストで公開されたデータに対して本手法を適用して実
動的に検出し介護者に通知することができる。行動パター
験を行い,被験者の体調が悪化した 5/21 の前後で非日常
ンの非日常性をチェックしているため,センサの反応の有
状態を検出することができた。被験者が入院した 7/26 は
無をチェックするだけでは分からない,独居高齢者の体調
“非日常日” として検出していないものの,前日の 7/25 に
の変化なども捉えられると考えられる。
は非日常状態を検出している。一般に入院する必要がある
(2) 行動のパターンに注目した従来手法では,パターン
場合のように大きく体調を崩す時には,体調変化の予兆が
の変化を家族などの介護者がチェックすることを前提とし
あると考えられ,提案手法を用いることで体調変化によっ
ていた。そのため,介護者の負担が大きくなる可能性が高
て変化する行動パターンを検出できた可能性がある。また,
く,負担を軽減するためにパターンのチェックを保健師や
実際に入院した 7/26 は外出した場合のパターンなど過去
ヘルパーなどに依頼する場合には,プライバシーなどの点
のパターンと類似したために非日常状態を検出しなかった
で問題が生じる可能性があった。本手法では,被介護者の
ものと考えられる。
行動パターンの変化をシステムが自動的にチェックするこ
今回の実験では,1 日の 8 割以上の時間帯で “X” を出力
とができるため,介護者の負担を軽減することが可能であ
した場合を “非日常日” と設定し,被験者が体調を崩した
ると考えられる。また,非日常状態を検出したときのみに
日 (5/21, 7/26) の近傍で “ 非日常日” を検出することがで
通知するような運用を行うことなどによって,被介護者の
きた。しかし,学習期間内に非日常的な行動パターンが含
プライバシーに配慮したシステム設計も可能であると考え
まれる場合,正しく検出できない可能性も考えられる。ま
られる。
た,被験者によっては “非日常日” の設定を変更した方が
(3) 人物の大局的な行動パターンを知るために,設置さ
より高精度に非日常状態を検出できる場合も存在すると考
れたセンサの位置と行動の関係を考慮して,センサのラベ
えられる。このような問題に対しては,非日常状態を検出
ルづけを人手で行い,さらに観測単位時間 (10 分間) におけ
した時に被験者や介護者に連絡し,体調を崩している場合
る反応回数が最も多いセンサのラベルを用いて行動パター
や外出している場合など,日常の行動パターンと異なる場
ンを表現した。観測単位時間を 10 分としているため,10
合には,学習データから除外することや, “非日常日” の
分間隔で被介護者の行動パターンの日常性を検出すること
設定を変更することなどで解決できると考えられる。
ができ,緊急事態が生じた場合にも対応可能であると考え
一方,1/24 や 5/3 などのように被験者が体調不良を訴え
られる。ただし,本論文では可読性を高めるために 1 時間
ていない場合にも非日常状態を検出している。これは,文
間隔で,非日常性を検出する実験としている。観測単位時
献 (15) でも述べられている通り,被験者が気づかない体調
間内における反応回数が最大のセンサを用いているために,
不良を検出している可能性も考えられるが,提供されてい
センサの反応回数が少なくても重要な行動を見落とす可能
るデータのみで検証することは難しい。このような問題に
性がある。また,焦電型センサと家電品の稼働センサなど
対しては,文献 (16) で提案されているように,センサなど
出力特性の異なるセンサを同様に扱って行動パターンを表
から得られる情報だけでなく,被験者の心理状態などに関
現した。各センサの出力特性を考慮した記号化を行うこと
するデータも蓄積し,相関を調べることによって検証でき
で,更に高精度に非日常性を検出することが可能になると
ると考えられるが,今後の課題とする。
264
IEEJ Trans. SM, Vol.125, No.6, 2005
独居高齢者の行動パターンに注目した非日常状態の検出
付
5. む す び
録
高齢者在宅データ解析アルゴリズムコンテスト
本論文では,独居高齢者宅に設置したセンサから得られ
る情報を基に高齢者の行動パターンを学習し,高齢者の行
本論文で使用したデータは,電子情報通信学会「ME と
動パターンが日常的か,非日常的かを判断する手法を提案
バイオサイバネティクス研究会」が主催した「高齢者在宅
した。今後の課題としては,さらに多くの高齢者宅での実
データ解析アルゴリズムコンテスト」によって公開された
験を行い,本手法で非日常状態を検出したときの被験者の
データである。全てのデータは,実験に際し被験者に対し
状況を詳しく調べることなどが挙げられる。
て文書ならびに口頭でその内容について説明を行い,同意
を得た上で獲得されている。また,図 2 に示す赤外線セン
謝 辞
サの配置図は文献 (12) を参考に作成した。
本論文で用いたデータを公開して頂いた,電子情報通信
学会「ME とバイオサイバネティクス研究会」,日本 ME
学会,計測自動制御学会システム情報部門「生体・生理工
青
学部会」をはじめとする関係各学会,関係諸氏に感謝致し
木
茂
樹 (非会員) 1975 年生。1998 年 3 月大阪府立大学
総合科学部卒業。2004 年 3 月同大大学院工学研
ます。
究科博士後期課程修了。同年熊本電波高専電子制
(平成 16 年 7 月 30 日受付,平成 16 年 12 月 22 日再受付)
御工学科助手,現在に至る。コンピュータビジョ
ン,パターン認識に関する研究に従事。工博。電
子情報通信学会,日本ロボット学会各会員。
文
献
( 1 ) 東北電気通信管理局:“在宅福祉支援システム,”
“http://www.ttb.go.jp/tetuduki/catv/usage/
kitaonmaki.html”
( 2 ) 東北電気通信管理局:“滝野町 CATV ネットワーク事業,”
“http://www.ttb.go.jp/tetuduki/catv/usage/takino.html”
( 3 ) 象印マホービン:“みまもりほっとライン,”
“http://www.mimamori.net/”
( 4 ) 太田 茂:「高齢者のためのモニタリングシステム」,情報処理,
vol.41, No.6, pp.639–643 (2000)
( 5 ) T. Matsumoto, Y. Shimada, K. Shibasato, H. Ohtsuka, and S.
Kawaji: “Creating behavior model of a senior solitary life and
detecting an urgency”, Proc. International ICSC Congress on
Intelligent Systems & Applications (ISA2000), vol.2, pp.234–
238 (2000)
( 6 ) 山口晃史・上山直浩・山越憲一・菅原康博・八木沢博史・金戸正人:
「高齢者の生活支援情報計測・運用システムの開発」,第 38 回日本
ME 学会大会要項集,p.134 (1999)
( 7 ) 上山直浩・山口晃史・山越憲一・菅原康博・八木沢博史・金戸正人:
「人感センサによる行動モニタリングシステム」,第 38 回日本 ME
学会大会要項集,p.376 (1999)
( 8 ) 菅原康博:「介護支援情報システム」,計測制御,vol.40, No.5,
pp.379–383 (2001)
( 9 ) 青木茂樹・大西正輝・小島篤博・福永邦雄:
「HMM による行動パター
ンの認識」,信学論 (D–II),vol.J85-D-II, No.7, pp.1265–1270
(2002)
(10) 青木茂樹・岩井嘉男・大西正輝・小島篤博・福永邦雄:
「人物の位置・
姿勢に注目した行動パターンの学習・認識と非日常状態検出への応
用」,信学論 (D–II),vol.J87-D-II, No.5, pp.1083–1093 (2004)
(11) 青木茂樹・大西正輝・小島篤博・福永邦雄:
「人物の行動パターン
の学習・認識と独居高齢者の非日常状態検出への応用」,第 18 回
生体・生理工学シンポジウム論文集,3B1-3,pp.311–314 (2003)
(12) 中島一樹・南部雅幸・田村俊世:
「データベースの構造および利用
などに関する説明」,第 17 回生体・生理工学シンポジウム論文集,
2C4-5, pp.295–298 (2002)
(13) Andrew D. Wilson and Aaron F. Bobick: “Parametric Hidden Markov Models for Gesture Recognition”, IEEE Trans.
Pattern Analysis and Machine Intelligence, vol.21, No.9,
pp.884–900 (1999)
(14) B. Clarkson, K. Mase, and A. Pentland: “Recognizing User
Context via Wearable Sensors”, ISWC2000, pp.69–76 (2000)
(15) 南部雅幸・田村俊世・木竜 徹・野城真理:
「高齢者在宅データ解
析アルゴリズムコンテストに関する報告」,第 18 回生体・生理工
学シンポジウム論文集,3B101, pp.303–306 (2002)
(16) 松岡克典:
「住宅内行動の長期蓄積に基づく異常検知手法の検討」,
信学技報,MBE2002-128 (2003)
電学論 E,125 巻 6 号,2005 年
大 西
正
輝 (正員) 1973 年生。1997 年 3 月大阪府立大学
工学部情報工学科卒業。2002 年 3 月同大大学院
博士後期課程修了。同年理化学研究所バイオ・ミ
メティックコントロール研究センターフロンティ
ア研究員,現在に至る。ロボットの認知・知識処
理に関する研究に従事。工博。電子情報通信学会,
日本ロボット学会,映像情報メディア学会各会員。
小
島
篤
博 (正員) 1967 年生。1990 年 3 月大阪府立大学工
学部電気工学科卒業。1992 年 3 月同大大学院博
士前期課程修了。同年富士通 (株) 入社。1996 年
9 月より同大総合情報センター助手。現在同大総
合教育研究機構助教授。画像情報から自然言語へ
の変換に関する研究に従事。工博。電子情報通信
学会,情報処理学会,人工知能学会各会員。
福
永
邦
雄 (正員) 1945 年生。1967 年 3 月大阪府立大学工
学部電気工学科卒業。1969 年 3 月同大大学院修
士課程修了。同年同大学工学部電気工学科助手。
現在同大大学院工学研究科教授。コンピュータビ
ジョン,グラフ理論とその応用などの研究に従事。
工博。情報処理学会,人工知能学会,システム制
御情報学会,IEEE 各会員。
265