社会保障協定、新興国に拡大へ 先進国を中心に締結している社会保障協定(以下、「年金協定」)の対象を新興 国に拡大する方向で検討されています。日本企業の新興国進出が急拡大してい ることを踏まえ、駐在員らが国内と海外で二重に公的年金の保険料を払う事態 を解消するのが狙いです。 年金協定とは、外国で働く日本人や日本で働く外国人の年金に関する取り決め のことで、協定がないと海外で払う年金保険料は、一定期間に達しないかぎり 年金の受給権を得られず、掛け捨てになるのが一般的です。 年金協定を結べば、日本で保険料を払い続けながら数年など短い期間、海外に 駐在する社員などは外国での保険料を払わなくても済むようになります。また、 海外で勤務し、その国の保険料だけを払っていた人が帰国。厚生年金などに加 入すると、海外で保険料を納めた期間を日本での加入期間とみなせるようにな ります。 ◎現地法人から給与が全額支給される場合は、厚生年金を一旦喪失することに なりますが、協定を締結していない外国に駐在する場合、海外で保険料を納め た期間を日本での加入期間とみなされないため、年金の受給資格を得るため国 民年金の任意加入をする必要があります。 社会保障協定の締結状況(2011.5 月 発効年 国 現在) 名 2000 年 ドイツ 2001 年 英 国 2005 年 韓 国、米 国 2007 年 ベルギー、フランス 2008 年 カナダ 2009 年 オーストラリア、オランダ、チェコ 2010 年 スペイン、アイルランド 2011 年 ブラジル、ルクセンブルク (2011 年国会で承認予定) 主な国で今後締結を予定している国 インド、中 国 なお、上記年金事務に係る詳細は、事業所を管轄する年金事務所へお問い合わ せください。 社会保障協定を締結している健康保険の資格の特例について 健康保険の適用事業所に使用される者であって、重複適用の回避に関する規定 (以下、「適用調整規定」)に該当する次に掲げるものは、健康保険の被保険者 としないこととされています。 ① 日本国の領域内で就労する者であって、適用調整規定により相手国法令の規 定の適用を受けるもの。ただし、アメリカ合衆国との場合は、当該者並びに その配偶者及び子のすべてが日本国の領域内において受ける療養に要する 費用の支出に備えるための適切な保険契約を締結していることにつき合衆 国実施機関により証明がされた者に限る。 ② 相手国の領域内で就労する者であって、適用調整規定により相手国法令の規 定の適用を受けるもの。 ③ 日本国の領域内及び相手国の領域内において同時に就労する者であって、適 用調整規定により相手国法令の規定の適用を受けるもの。ただし、アメリカ 合衆国との場合は、当該者並びにその配偶者及び子のすべてが日本国の領域 内において受ける療養に要する費用の支出に備えるための適切な保険契約 を締結していることにつき合衆国実施機関により証明がされた者に限る。 事業主の皆様へ 何れの場合であっても、健康保険の適用事業所に使用される者(賃金の支払が あるもの)を前提としているため、上記①から③の理由により、被保険者とし ない場合は、相手国実施機関が発給する適用証明(相手国で健康保険に加入し ていることが分かる書類)を入手しておいてください。
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