兵庫農技研報(農業)B u l l .HyogoP r e .A g r i .I n s t .( A g r i c u l t u r e )5 0,33-36 ( 2 0 0 2 ) 3 3 有機質資材の 1 1年間運用による水田土壌の変化と水稲の収量 青山喜典場・大塩哲視*・松浦克彦彬本・津高寿和・ 饗 約 細粒黄色土(造成棺)の水田における堆杷の連用効果について,水稲を対象として 1 1年間にわた って調査した. 1 オガクズ入り牛ふん域把(以下、堆肥と略す)連用により,試験終了時の断面調査では,作土 j 欝の増加を認めたが, {反比重,子し掠率の差は僅かで,干し掠率が僅かながら低下した. 2 水稲の平均収量は,堆肥無施用思(稲わらほ場還元)に対して士制巴 1t区は 1%,堆肥 2t区 0 0 k g区は 4%増加した i 在日巴による増収効果は当初 3年が特に高か は 2%,堆把 1t.ケイカル 2 ったが,その後低下した. 3 堆肥施用監の腐植含量は,堆肥無施用(稲わらほ場還元)より高くなったが,連用による増加 は{濃かであった.堆肥無施馬区(稲わらほ場還元〉の麗植含量はほとんど抵下せず,水稲単作の 半湿田では,稲わらのほ場還元で土壊の腐植含量をほぼ維持できるものと考えた. ChangesofSoilPropertiesandYieldofRicewithSuccessive OrganicMatterApplicationstoPaddyFields. YoshinoriAOYAMA,TetsushiOSHIO,KatsuhikoMATSUURA andToshikazuTSUTAKA Summary Wer e s e a r c h e dt h ee f f e c to fs u c c e s s i v eo r g a n i cm a t t e ra p p l i c a t i o n st opaddyf i e l d sons o i l p r o p e r t i e sandp r o d u c u t i v i t yo fr i c eo v e r1 1y e a r s . ( 1 ) Compostedo r g a n i cm a t t e ra p p l i c a t i o n so f2t/10a/y e a ri n c r e a s e dt h et h i c k n e s so ft h e p l o w e dl a y e r .Butt h eb u l kd e n s i t yandt h ep o r o s i t yd i dn o tc h a n g eb e t w e e n0tand2to f compostedo r g a n i cm a t t e ra p p l i c a t i o n s . ( 2 ) Ther i c ey i e l d from composta p p l i c a t i o n sd u r i n gt h ef i r s t 3y e a r s,was h i g h e rt h a n w i t h o u tcomposta p p l i c a t i o n .A f t e r4y e a r st h ed i f f e r e n c ei nr i c ey i e l dd e c r e a s e db e t w e e n c o n t i n u o u scomposta p p l i c a t i o n so f1 2t/10a/yearandn oc o m p o s t . ( 3 ) Witha p p l i c a t i o no fc r o pr e s i d u e( r i c es t r a w ),t h ec o n t e n to fs o i lo r g a n i cm a t t e rwas m a i n t a i n e dw i t h o u tcomposta p p l i c a t i o n .Thec o n t e n to fs o i lo r g a n i cm a t t e ri n c r e a s e dwith composta p p l i c a t i o no f1 .2t/10ad u r i n gt h ef i r s t6y e a r s .Buta f t e r7y e a r s,t h ec o n t e n to f s o i lo r g a n i cm a t t e rd i dn o ti n c r e a s ew i t ht h ec o n t i n u o u sa p p l i c a t i o no fc o m p o s t . 司 キーワード:水田,有機費資材,稲わら,腐様,窒素,水稲 象作物等により大きく異なる. 緒 オガクズ入り牛ふん堆肥等の有機質資材や肥料の長期 先に,著者らは,有機質資材の転換熔への影響を報告 連用が,作物収量や土壌に及ぼす影響の把援は,土壌生 したり.本報は,水田(水稲)におけるオガクズ入り牛 産力の維持ないし増強に重要である.また,近年,土壌 ふん堆把の効果を取りまとめたので報告する. や水質に対する環境保全や資源の有効利用が重視されて おり、環境への負荷を軽減させる土壊管理対策をたてる 9 8 7 試験は中央農業技術センター内の水稲単作ほ場で 1 ことが不可欠である. 0 0万tもの家畜ふん尿が排出されて 県下では,年間 2 おり 2 ) 材料及び方法 資源利用と環境保全の両面から,有機質資材と ~97年の 11年間行った.土壌型は細粒黄色土造成相で, 表土は成色の埴壌土,下j 欝土は黄褐色の埴土(表土 2 0 c m して適正な施用が求められている. しかし,有機質資材 は県下に広く分布する 7) 沖積水田表土)である.近隣の の長期的な効果は,その種類,投入量,年数,土壌,対 福崎気象観測所(兵庫県福崎町)の年平均気温は 1 4 . 1C, 0 , 4 3 0 r n 聞で、あった ω . 向 , 試 験 7年間の 年平均降水量は 1 1 9 9 3年は抵温寡照, 8年自の 1 9 9 4 年は高温皐越で‘あった ω . 2 0 0 1年 8月初日受理 *中央農業技術センター **北部農業技術センター 試験肢は,無窒素区,士制巴 o t (堆肥無施用) ¥Z,堆 3 4 兵庫県農業技術センター研究報告〔農業編〕第 5 0号 ( 2 0 0 2 ) 杷 1t 区,堆肥 2t lZ,堆肥 1t・ケイカル 2 0 0 k g区の計 5 低下した. 藍を設置した. 2 堆肥の連用が土壌の化学牲に及ぼす影響 試験区の規模は 1区5 0 r r f, 1連制で,試験区の施肥量, 土壌の腐描,全窒素及び可給態窒素含量を図 4~6 に 施用肥料名,使用したオガクズ入り牛ふん堆肥の分析値を 示した.騎植含量は当初から 3.0%で,堆肥 Ot区でも稲 表 1に示した.尚,稲わらは全産ともほ場還先した. わら施用によりほぼ伺水準を維持した.堆肥連用区は, 栽培概要は,品種「日本晴J( 1 9 9 1年のみ「あじまる J ), 堆肥及びケイ酸苦土石灰(ケイカル)施用 5月中旬,播種 5丹下旬,代かさ,移植 6丹中伺,栽糠皆度3 0 c 殴 X 1 6 c m, 腐植,全窒素及び可給態窒素含量が増加したが,増加割 合は僅かであった. 土壊養分の変化を図 7~13 に示した.土壌の pH 及び 基肥は移植醸後表層施肥,中干し 7 丹下旬 ~8 丹上旬, 交換性石炭は,無窒素区と堆H E・ケイカル区がやや高く 穂肥 8月上旬,収穫 1 0丹上旬に行い,収穫後年内に「秋 なり,交換性カりは堆肥施用 I Zでやや高くなったが,陽 すき J(稲わらほ場還元)を行った.生育調査は2 0株,収量 イオン交換容量,交換性苦土,可給態リン酸は各誌に大 調査は 4 r r f刈を試験区内の生育中庸なところで行い,水稲 きな義は認められなかった.可給態ケイ酸含量は,ケイ 収穫後,土壌物理性は採土管法で,土壊の化学性は風乾 駿苦土石炭 2 0 0 k g 施用院のみ高かったが,試験後半に増 細土を常法で測定した. 加傾向は認められなかった. 3 堆杷の連用が水稲の生育,収量に及ぼす影響 水稲の生育,収量を[2Q1 4, 1 5に示した.堆肥の路用に 結 果 1 堆肥の連用が土壌断蕗と土犠の物湿性に及ぼす影響 より,水稲 1作毘(19 8 7年)の収量は, 2~4 割増加し 土壌断面の柱状歯を鴎 Iに示した.下層土は i 痕土で, 3作固まで増収したが,その後増収効果は低下した. 7 ち密度が高く透水性が謀く,水稲 1 1作後の下層土には膏 作自の 1 9 9 3年は多雨,寡照の異常気象で,生育が 1週間 灰色のグライ層が生じ,透水性が惑いことを示していた. ほ ど 遅 れ , 無 窮 素 の 収 量 (4 79kg/10a) が一番高く, 作土層は,堆肥 Ot院 1 5 c m,堆肥 2t底 1 7 c mで,土佐肥の 土佐肥施用区は 1~2 割減収した.堆目白施用により全期間 施用により作土層の増加と土壌硬度の低下が認められた. 1 1年間の平均で,堆肥1t誌は 1%,土佐肥 2tI Zは 2% , 土壌の f 反比重,孔隙E容を圏 2, 3に示した.仮比鷺, 堆肥・ケイカル区は 4% 増収し,、ケイ酸菅土石灰施用の 孔隙率の区間差は健かで,孔線E 容は全I Zとも僅かながら 効果が認められた. 1 試験匿名 堆肥の肥料成分議 N P2 05 K20 有機質資材等施舟議 ①無窒素 ②堆肥 Ot ③堆肥 1t @堆杷 2t @堆肥・ケイカル ( k g / 1 0 a ) ( t / 1 0 a ) O O O O O O O O オガクズ入り牛ふん堆肥 1 7 . 0 4 . 7 5 . 1 オガクズ入り牛ふん堆肥 2 0 . 1 1 4 . 0 . 4 1 9 オガクズ入り牛ふん堆肥 1ケイ般若土石灰 0 . 2 4 . 7 5 . 1 7 . 0 P2 05 K20 ( k g /lOa ) . 6( 3 . 2 ) 6. 4 9 . 6( 3 . 2 ) 9 . 6( 3 . 2 ) 6. 4 9 . 6( 3 . 2 ) 9 . 6( 3 . 2 ) 6 . 4 9 . 6( 3 . 2 ) 9 . 6( 3 . 2 ) 6 . 4 9 9 . 6( 3 . 2 ) 6. . 6( 3 . 2 ) 4 9 N 。 備 考 ( )内は穏偲震稲わらは金震ほ場還元 堆肥の成分〈乾物当たり平均値) T C: 4 2 . 3 %,T N・1.2%,T-P,O.:1 .3% ,T-K ,O:1 .8% ,水分:6 1% 基肥 無釜索復;苦土入りリン酸カリ化成4 0号 ( 02 02 0 ),その他の区甑加リン安 0 4 1 4 1 4 ) 穂肥熊釜紫区;塩化カ 1 ),その他の区;様索入り NK化成 0 6心輔 1 6 ) “ 同 叩 1 9 9 8年堆肥試験 o t 区 終 了後 調 試 験 査 時 区 期 名 1 9 8 7年 試 験 跨 始 前 九 日 罪 事 昔 話 基 51!) @ 5 5 f g 2 0斗 → 4 0 8 0---.J @ 議 議 11) 告F 弘(認語主 5 / 5 ) 日 心ふj 灰色 ( 5 1 4 /1 .5 ) 斗 6 0ー 四 65 い~ñß議出16) 」義色 ( 2 . 5 Y 7 / 7 ) 尚 i 在色語読議選) ⑮ 度 色 (7m/o q7 言辞令見(謀議題 4 ) 島 2 5 1 9 9 8堆 年E 試 E験 2t 終 区 了後 言 F 参 抑 留2 ) 色 ~~'JV省) 度色長謀議選) 4 在灰集品器製1 ) × 口 4 5 画 町 『 陣 帽 # 帥 陶 輔 軸 6 5 酬 軸 柑 榊 棉 幅 四 ⑮ × 口 書 許 寺 尾( j i講 話3) 5 f g 言語道) 灰 参 与 ? 信2 ) 図 1 土壌断面柱状図 0:数字はち密度(山中式硬度計による依岡田,口は 2 0 m m超) 青山事典・大埠哲視・松浦克彦・津高寿和・有機質資材の 1 1年関連用による水国土壊の変化と水稲の収量 ①無窪索 ②堆s . E O t m t- 扇情 聞吋 tfイカル 。撃 1t 噂 2 t ⑤堆 i , i 魁①無笠5 韓国②堆D I ' !O t~③地 E巴 1t 1 0 0 1 .4 3 5 ~④堆DI'! 2t 口⑤堆 HI'!",.イカル i 側 近1.2 場 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 図 2土壌の仮比鍾の変化 1 9 9 6 1 9 9 1 1 9 9 7 図3 - J ①無E 霊祭 @鴻H I ' !1 1 @堆n . E2 t ⑤堆』巴・ケイカf I ' !O t ③堆D ①無 E 華索 ②堆肥O t ③堆H . E1t ④堆 H I ' !2 t ⑤堆D I ' !"H カJ v -IB- 白 e - ! ヨ 目 h u + ー 臨, m 0 . 2 6 . . .0 . 2 4 伊 a a‘ -+- 4 穏3 . 5 1 燦 ーす・ 』骨・ "口 2 浜 之三守刊¥ 盛 時 0 . 2 時 折 多 民 謡 今 津f t3 4 t l0.18 2 . 5 1 9 8 71 .9 8 81 9 8 91 9 9 01 9 9 11 9 9 21 9 9 31 9 9 41 9 9 5 1 9 9 61 9 9 7 図4土壌の腐績合最 0 . 1 6 19871988198919901 9 9 11 9 9 2 1 9 9 31 9 9 41 9 9 51 9 9 6 1 9 9 7 留 5 土壌の金銭索含量 m a nnwFu 句 SE! レ ヶ 品 、 . . . " " ¥ ノ ー → z i J J l ヂヰ弓辛口之島 ブ 「 幸司可み " o o n u d HU υ nnuu un'hw's‘ 内 仏・向‘ SM¥加盟)幣制緩相幡宮 ( 凶 ①無窪索 ②堆H . EO t ③犠E 巴1 t ④堆H . E2I ⑤堆 D . E' 1 1 j j J f 掬 ー ・ 同 岡田" ーケ -8.. -':- ①然霊草索 @糊巴O t @堆H t ③堆肥 1 . E2 t ⑤堆D I ' !" 1 イ カf J ー回ー 伽-+召ー ベト 1 9 9 1 ① !F E 素 1~~~ 1~ 日 4 関8 可給態援策 ② 土 佐H I ' !O I ③域総 1 1 四+句、-・ 1 9 9 5 1 9 9 6 図7 土壌pHの変化 ①然E 軍楽 ②域n t @堆肥 2t ⑤堆E 巴. ' J イ カf J . E Ot ③主張肥 1 @準21 錦町イhiJ + 叩 ・ ・ 鶴 岡 一色γ ー モ ヨ 日 一+ー ご と1 4 国 通131 .a ノ-~ニ':":~ ..--.6・-.~ま苧背 議12ト 骨 I._.~ ・ 4 ン恥てさ?一子一平工手議ま:iて五二司 令 1 1~炉吐王寺戸一~画一回圏、ー当---~ 名/一 一 議1019871988198919901991199219931994199519961997 Bi j h G 5 i j l v t 五品恥軒率二;ニごr 区 !~~I~靖之助泊菌、 --11 .一幹ニ司 図9 交換性石灰含量 ①然笠索 @沌D t @堆E 巴2t ⑤耳l l n. E' 1イ カf J . E O t ③堆』芭 l 闇隊" t伺 = ・ 句匂 一 一 会 一 ①主要窪楽 G沌 H t @堆D I ' ! O t ③堆肥 l . E2 1 ⑤犠n. E・9イ カJ v ~40 -+- 山岳山・ -e- コ 、 、 < : : > 慰 + 130 初 1 同吋 ~2 5 C 1 ゐ3 5 ~ 、~ ..--.~宅島,::~面、町一一四一一一一一-~.,....\‘ 説凶 一モ営ヰ針子??手当 器2019871988198919901991 19921993199419951996 19~7 ①然愛紫 @ t @堆H . E O I ③堆肥 1 J 韓H . E2 t ⑤犠D . E. Hカf J 田園 同-+一錦町 -em : : :1 5 ~.~~→.ごø-"昨日『日一一日~匂ー.-B..可ー・間 な百三会宅一一号、 ト E ご 、 向 、‘・切切切-+ 説 。 1987 1988 1989 1990 1991 19921993 1994 1995 1996 1997 図1 1 交換性カリ含蚤 bD < : : > t @堆肥 2I ⑤堆D . E' 1 イ カ) v ①然主主索 @堆肥O t ③楼肥 l 凶 IB- + ー 「ケ-!ヨ~一 : : :5 0 連ザ G 入 I & t . : 寄 ヘ 量 51~:='~. ! i M ¥ i ' - ' I B--寸畠ご、←ーす甑ご瓦町二 . . . . . -1晶、可一一一ジ 瞥1"。 曽 ト 幽 -IB 宍 1 5 切 、J 怨 、<!>-.色、、 ー 守町、己最官「ヰザ+ー..晶戸一~~--・ 4 組 連.:~句、、 通10I H 犯と・・モヨー'-8.. 2 0 図 10 交換性普土合最 bD < : : > ー ~ !~2 j 心 1 4 0I 図 8陽イオン交換容最 幽盟ー 一 r l t o~:ミ喜三牛ヰぷ;;~暴時駐さ噂守主議ミミ噂 鎖3 0 2 0 ~!;t 官 019871988i98915901991199219931994199519981g97 図1 3 可給態ケイ酸含量 兵藤県農業技術センター研究報告〔農業編〕第 5 0号 ( 2 0 0 2 ) 3 6 湿 ① 無 安 楽 霞 ② 堆H E !O I ~③堆HE! II ~@堆隠れ口⑤堆肥 . r { 妙 ①無室主語 1 . 2 幽 圏 一 ②堆E 巴0 1 ③堆s t : !1 1 @堆肥2 1 堆肥・ケイカ) v 一・-て~.. --&~. ; : i [ 汐 Jず も 持 勾 1 9 8 71 9 8 81 9 8 91 .9 9 01 9 9 11 9 9 21 9 9 31 9 9 41 9 9 51 9 9 61 9 9 7 図1 4 水稲の収量 平均 考 察 0 . 4 1 9 8 71 9 8 81 9 8 91 9 9 0 U91 1 9 9 21 9 9 31 9 9 41 9 9 51 9 9 61 9 9 7 平均 図1 5 もみ/わら比(1987,8 8年は欠測) 減少したものと考えた. 1 堆肥の連用が土壌断面と土壊の物理性に及ぼす影響 連周年数が多くなる程,堆肥施用の効果が減少したの オガクズ入り牛ふん堆肥の連用により,作土層の増加 は,堆肥の施用の有無に関わらず施肥量を一定にしてい と土壌硬度(ち密度)の低下が認められた.有機質資材 Zはトータノレで、の窒素施肥量(堆肥+ るため,堆肥施用 I の施用効果として仮比重の低下,孔隙率の増加が指摘さ 化学肥料)が多く,過繁茂となり倒伏し易くなり,わら しかし,本試験では仮比重,孔隙率の差は 重の増加ともみ/わら比や収量の低下を招いたものと考 僅かで,水稲を連作するにつれ孔隙率は僅かながら低下 えた.稲わらのほ場還元を毎年行っている水田連作ほ場 れている 1) した.試験ほ場は,土性が CL~LiC の粘質で減水深が (半謹白)で,堆肥そ施用する場合,施用量は 1~ 2t/ 1 0 r n r nの排水不良也(半程毘〉であるため,堆肥を施用し 1 0 aにとどめ,堆肥の連用に従って,堆肥や稲わらから て耕転じても代かき後,土壌子し線が少なくなり孔隙塁手の の窒素供給量を考慮しで減肥する必要があると考えた. 増加につながらなかったものと考えた. 2 堆肥の連用が土壌の化学性に及(~す影響 水田連作ほ場の場合,基本的には稲わらほ場運先で十 分である. しかし近年,水回転作が増加し,焔転換によ 本試験は,水稲収穫後稲わらそほ場還元して行った. る腐植等の消耗と,稲わらをほ場還元できないほ場が増 堆肥連用区は,堆肥無施照底より腐植,全霊素含量が 加している.そのような場合には,稲わらにかわるもの やや高くなったが,連用による増加割合は僅かで,堆肥 として堆肥 1~ 2t/10aの施照が有効と考えた. 無施用区でも,関植合聾は当初の約3.0%をほぼ維持した. 水稲に対する堆肥連用試験で 5. 6) 稲わらをほ場外に 引用文献 少が認められている. しかし,本試験と同様に稲わらほ ( 1 ) ニ見敬三ら 有機質資材の多面的な特性と複合的施 9 5 ):土眠誌 6 6, 1,6 5 7 0 用技術(19 場還元した場合,無堆肥でも腐槌及び全窒素含量が維持 ( 2 ) 近畿農政局兵庫統計構報事務所縞:第4 8次兵康農林 持ち出した場合,堆肥無施用では瀦植や企窒素含量の減 でき,堆肥を施用する腐植含量がさらに増加している. 土壊有機物の消耗の少ない水由連作ほ場(半湿田)で は,稲わらのほ場還元で,腐植合景の維持ができ,堆肥 水産統計年報(平成1O~11) ,兵庫農林統計協会, 2 0 0 0 ( 3 ) 神戸海洋気象台兵庫県気象月報 1 9 8 7 1 9 9 7 ( 4 ) 大塩哲視・三貯昭宏・青山事典・松浦克彦・粛藤教 の上乗せ施用で腐植含量は増加するものと考えた. 子・津高寿和 ( 2 0 0 0 ):有機繋資材の連用による転換 3 堆肥の連用が水稲の生育,校量に及ぼす影響 畑の土壌変化とタマネギの収量 堆肥路用により,水稲 l 作悶 (1987年)の収震は 2~ 4割増加し 3作自まで増収したが,その後増収効果は減 少した. 牛尾 8) は,稲わらのほ場還元(秋すき〉による増収 効果を示している.また,稲わらほ場還元十堆肥路用十 標準施肥では,当初 2~3 年は多収であったが,それ以 兵庫農技研報 4 8, 2 2 “2 7 9 9 ): ( 5 ) 柴原藤善・武久邦彦・小松茂雄・波部恒昭(19 水稲に対する有機物および土づくり肥料の連用効果 ( 第 l報)水稲の生脊収量,養分吸収および土壊の化 学性の変化滋賀農試研報 4 0 ,5 47 7 醐 ( 6 ) 津高美子和・砂野 正・堀江滋雄・田中平義 ( 1 9 8 6 ): 降,過繁茂になり倒伏や病害虫の多発による低収を報告 水稲 l こ対する有機物の連用効果と土壌養分の推移 しでいる. 庫農総セ研報 試験当初,堆肥施用区(堆肥施用十稲わらほ場還元) は,土壌物理性や土壌養分が改善されて堆肥無施南区よ 3 4,令 1 2 (7)津高寿和(19 8 7 ):兵庫県下に分布する水田土壌の 8 2 0,兵庫黒農業総合センター 種額とその特徴, 1 り増収した. しかし,水稲を連作し:毎年稲わらがほ場還 ( 8 ) 牛尾昭浩(19 9 9 ):農業技術大系土壊杷料編 元されることにより,秋すきの効果が現れて,堆肥無施 6 ①巻, 2 0の lの 2 5,農山漁村文化協会東京 Zでも土壌養分が富化し,土佐肥施用匿との収量の農が 用I 兵 第
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