宮崎県立看護大学 看護研究・研修センター事業年報 平成 2 4 年 度 版 (第2号) 平成25年 月 宮崎県立看護大学看護研究・研修センター ごあいさつ 日頃より関係機関の皆様、地域の皆様には、看護研究・研修センターの事業に関 しまして、ご理解とご協力をいただき、心より感謝いたしております。 看護研究・研修センターは、看護生涯学習に関して調査・研究および教育を行う とともに、広く地域との交流促進をはかり、地域社会の発展に寄与することを目的 として、宮崎県立看護大学に附設されています。運営は大学の教職員によって構成 された専門委員会が担当していますが、それぞれの活動は看護大学のすべての教職 員と学生が一緒になって取り組み、活気と生きがいのある健康な環境づくりをめざ して、地域の皆様と大学を結ぶ「かけ橋」としての役割を担いながら、地域貢献活 動をおこなっております。 大学の役割は教育と研究と地域貢献とされ、大学改革実行プランの中でも COC (center of community)機能の充実・強化があげられています。地域貢献の強化 を中期目標・中期計画にも掲げている本学は、宮崎県立看護大学地域貢献等研究推 進事業費の助成を受け、平成 24 年度も地域の課題を解し、県民の健康と福祉の向 上を目指す地域貢献活動に精力的にとり組んできました。そして、これらの地域活 動を通して、県民の皆様や看護職者とのネットワークが強化されてきていることを 実感しているところです。 今回、 1 年間の活動成果をまとめた第 2 号の年報をお届けすることとなりました。 お目通しいただき、ご意見をいただけましたら幸いです。 今後も地域の健康ネットワークの中で本学が担うべき役割を考えながら活動を 推進していきたいと思っています。この報告書が、関係者の皆様方には宮崎県立看 護大学がおこなう地域貢献について、ご理解・ご協力をいただくための媒体となり ますように、また、教職員にとっては、さらなる事業改善や活動の発展のために活 用されますことを心より祈念いたします。 平成 25 年 7 月 宮崎県立看護大学 看護研究・研修センター長 小野 美奈子 目 次 Ⅰ 事業報告 1. 看護生涯学習専門部会 1 1)県民連携事業 1-1)‐①親子で楽しく『輪ッハッハ!』教室 1-1)‐②宮崎における子育て支援事業 1-1)‐③思春期ヘルスケア開発事業−月経のヘルスケアプログラムの開発と実践− 1-1)‐④山間地域における低栄養高齢者の健康生活支援事業 1-1)‐⑤宮崎県、県北地区山間部における精神障がい者への理解促進事業 1-1)‐⑥一般公開講座 1-1)‐⑦老いも若きも“はつらつ赤江”つながり隊 2)地域看護職等連携事業 1-2)‐①看護職者のための看護力再開発講習会(技術演習コース) 1-2)‐②地域連携システム構築のための基盤づくり事業 1-2)‐③宮崎県内の医療機関に勤務する看護職者の看護実践能力向上のための実践・研究支援 1-2)‐④宮崎県内の急性期医療に携わる看護職者の看護実践力向上のための支援 1-2)‐⑤研修会講師等派遣・看護研究支援事業 3)官学連携事業 1-3)‐①口蹄疫被害地域における地域健康ネットワークと危機管理体制の構築 1-3)‐②保健師の力育成事業 4)地域学術研究振興事業 1-4)‐①現任看護職者のキャリアアップをはかる事業 県内の助産師のネットワーク作りとキャリアアップをはかる事業 2. 広報専門部会 37 2-1)年間広報計画の策定 3. コンソーシアム専門部会 41 3-1)コンソーシアム宮崎への支援 4. その他センターに関する重要事項 45 4-1)認定看護師教育課程(感染管理)開設準備事業 Ⅱ 研究報告 1. 大学に期待されるおもちゃを媒体とした子育て支援の活動 −「おもちゃ広場」に訪れた参加者への調査から− 2. 宮崎県内 2 地区における精神障がい者理解促進研修会の成果 ∼精神障がい者の理解促進のための要因∼ 3. 口蹄疫被災農家の復興を支えた地域の要因と支援を困難にした地域の要因 −K町における保健・医療・福祉の関係者への面接調査の分析から− 投稿規程 49 Ⅲ 資料 1. 教員の学外活動 2. 宮崎県立看護大学看護研究・研修センター概要 3. 宮崎県立看護大学看護研究・研修センター規程 4. 宮崎県立看護大学看護研究・研修センター運営委員会規程 77 Ⅰ 事 業 報 告 1.看護生涯学習専門部会 1.看護生涯学習専門部会 1-1)-① 親子で楽しく『輪ッハッハ!』教室 担当者:松本 憲子、壹岐 さより(宮崎県立看護大学) 他保健師 1 名・助産師 1 名・看護師 1 名・保育士 2 名 (1)事 業 計 画 目的: 子 ど も 、家 庭 及 び 地 域 社 会 の 相 互 の 連 携 を 図 る こ と に よ り 、母 親 の 育 児 不 安 等 に 関 す る 早 期 対 応 を 可 能 に し 、地 域 社 会 に お け る 子 育 て 支 援 の 基 盤 づ く り 。支 援 の 必 要 性 の 高 い と 思 わ れ る 親 子 15 組 程 度 を 対 象 と し て 開 催 す る 。 さ ら に 、親 子 と の 関 わ り を 通 し て 、家 族 全 体 の 免 疫 力 の 向 上 が 図 れ る よ う に 取 り 組 ん で い く 。ま た 、少 子 化 で 乳 幼 児 と の 関 わ り の 経 験 の 少 な い 学 生 が 、子 ど も た ち と触れ合える場を提供し、乳幼児の発育発達及び、子育てについての理解を促す。 対象:未就学児をもつ親子 内容: 1)参加親子を 1 年間継続して参加できることを条件に募集し、大学内にて月 2 回程 度の子育て教室を開催する。教室の内容として親子の触れ合い遊び・リズム、リ ラ ク ゼ ー シ ョ ン・読 み 聞 か せ・工 作・音 楽 遊 び・健 康 教 育 、近 況 報 告 な ど を 行 う 。 2)個別カウンセリング(輪ッハッハ!カフェ♪)の開催 3)宮崎県内の乳幼児を育てている母親の育児力調査 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1)子育て教室の開催について 継 続 的 な 関 わ り を 通 し て 母 親 の 育 児 力 の 向 上 が 図 ら れ た 。ま た 今 年 度 は 新 た な 親 子 の 参 加 が 多 か っ た 。他 の 育 児 支 援 で は 安 定 感 を 得 ら れ な か っ た 親 子 が「 こ こ だ と 安 心 で き る 」と 継 続 的 に 参 加 で き 、ま た「 来 年 も ま た 参 加 し た い 」い う 親 子 も 多 数 お り 好 評であった。 遠 足 と し て 企 画 し た 幼 稚 園 と の 交 流 に お い て も 、親 で 泥 ん こ 遊 び を 楽 し み 、自 然 の 中で身体を動かすことの大切さを感じ取る時間となっていた。 【参加世帯数】 参加数 ( 世 帯 数 ) 日時 1 2 3 4 5 6 7 8 6 6 7 8 8 9 9 10 月 月 月 月 月 月 月 月 8 22 6 10 24 7 21 12 日 日 日 日 日 日 日 日 20 20 23 20 21 20 23 23 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 参加数 (世帯数) 日時 9 10 11 12 13 14 15 16 17 11 11 12 12 1 1 2 3 3 月 月 月 月 月 月 月 月 月 2 16 7 22 11 25 8 8 19 日 日 日 日 日 日 日 日 日 17 21 19 19 19 17 17 15 20 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 世帯 2)個別カウンセリング(輪ッハッハ!カフェ♪)の開催 集 団 の 教 室 で は フ ォ ロ ー 出 来 な い 親 子 に は 、カ ウ ン セ リ ン グ を 行 い 、子 ど も と 子 育 ての問題にとどまらず、家族の健康生活への支援を行った。 ―3― 3 ) 宮 崎 県 内 の 乳 幼 児 を 育 て て い る 母 親 の 育 児 力 調 査 ( H23 か ら の 継 続 ) 宮 崎 市 の 1歳 6か 月 児 健 康 診 査 に て 母 親 の 育 児 力 調 査 を 行 っ た 。 調査結果は、現在分析中 4)研究の社会化 「幼児を育てる母親の育児力を構成する概念について」社会化した。 (3)今 後 の 展 望 大 学 を 拠 点 と し て 行 う 子 育 て 支 援 は 、地 域 の ニ ー ズ も 高 く 、専 門 家 が 関 わ る こ と に よ っ て 母 親 の 育 児 力 の 向 上 に つ な が る と 考 え ら れ る 。そ の た め 今 後 も 継 続 し て 活 動 を 行 っ ていく。 さ ら に 平 成 25 年 度 は 病 気 に な っ た 子 ど も に 関 わ る 母 親 の 育 児 力 に 焦 点 を あ て 、 そ の 実態や育児力の向上を目指した活動について考え、取り組んでいく。 ―4― 1-1)-② 宮崎における子育て支援事業 担当者:花野 典子、甲斐 鈴恵、末吉 真紀子、吉田 幸代 (宮崎県立看護大学:家族看護学Ⅰを担当する教員を中心) 片野坂 千鶴子(NPO法人:みやざき子ども文化センター代表) 真志喜 耕一(民間団体:グッドトイみやざき代表) (1)事 業 計 画 目的: 子 育 て に 不 安 を 感 じ る こ と な く 、楽 し ん で 子 育 て が で き る よ う 、場( お も ち ゃ 広 場 ) を 提 供 し 、助 言 ・ 支 援 を 行 い 、そ こ に 携 わ る 専 門 職 者( 看 護 職 者 ・ 保 育 士 ・ お も ち ゃコンサルタントなど)相互の連携を深める。 対象:宮崎県内の子育て中の子どもとその保護者 内容: 1.大学内および県内各地において、大学所有のおもちゃを使って「おもちゃ広場」 を開催し、子育て支援活動を行う。 2.NPO法人みやざき子ども文化センター江平イベントホールにおいて、常設のお も ち ゃ 広 場 を 開 催 し 、 月 2 回 ( 第 2・ 4 火 曜 日 ) は 大 学 の 教 員 に よ る 子 育 て 相 談 、 年 3 回は講師を招き子育て講座を行う。 3.みやざき子ども文化センターが中心に行っている子育てネット(民間団体の情報 交換の場)に参加し定期的に子育て支援検討会を行い、行政や民間団体が行って いる子育て支援の実際を情報収集し、今求められている宮崎県内における子育て 支援のあり方を考える。 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1 . 大 学 で は 1 年 に 2 回 、 計 5 日 間 の お も ち ゃ 広 場 を 開 設 し 、 子 ど も 168 名 、 大 人 166 名の参加があった。 「 移 動 お も ち ゃ 広 場 」は 、宮 崎 市 内 、清 武 、西 都 な ど 要 請 が あ っ た 地 域( 児 童 館 や 保 育 園 な ど )に お も ち ゃ を 持 参 し て 出 向 き 、今 年 度 は 12 回 実 施 し 各 地 区 で 7∼ 10 組 の 親 子 の 参 加 が あ っ た 。 こ の よ う な 活 動 を 通 し て 、 子 ど も が お も ち ゃ で 夢 中 で 遊 ぶ 姿 か ら「 こ の よ う な 機 会 を も っ と つ く っ て ほ し い 」 「どんなおもち ゃ を 与 え て よ い か わ か っ た 」な ど の 意 見 や 、 「予防接種の時期はどのように決めたら よいか」などの子育て相談もあり、おもちゃ広場が子育て支援や、母親相互の情報 交換の場となり、楽しい雰囲気の中で子育て支援ができ、好評であった。 「おもちゃ広場」 日時 参加数 参加数 (大人) (子ども) 1 6 月 19 日 2 6 月 22 日 60 人 52 人 3 6 月 23 日 45 人 57 人 台風により中止 日時 参加数 参加数 (大人) (子ども) 4 9 月 11 日 32 人 32 人 5 9 月 12 日 29 人 27 人 ―5― 「移動おもちゃ広場」 日時 参加数 参加数 (大人) (子ども) 日時 参加数 参加数 (大人) (子ども) 1 5 月 11 日 17 人 18 人 7 10 月 2日 15 人 14 人 2 5 月 25 日 11 人 15 人 8 10 月 23 日 12 人 9人 3 6月 8日 13 人 14 人 9 11 月 13 日 13 人 15 人 4 7 月 13 日 14 人 19 人 10 12 月 4日 5人 5人 5 8月 7日 4人 14 人 11 1 月 29 日 8人 9人 6 8 月 21 日 6人 28 人 12 2 月 26 日 12 人 15 人 2.NPO法人みやざき子ども文化センター江平イベントホールにおいて、常設のおも ち ゃ 広 場 を 開 催 し 、月 2 回( 第 2・4 火 曜 日 )は 大 学 の 教 員 に よ る 子 育 て 相 談 を 行 っ た 。 毎 回 5∼ 7 組 の 参 加 、 親 子 で 遊 び な が ら 子 育 て の 相 談 も あ り 、 支 援 を 行 っ た 。 3 .N P O 法 人 み や ざ き 子 ど も 文 化 セ ン タ ー 江 平 イ ベ ン ト ホ ー ル に お い て 、 「親子でコン サート」 「クリスマス会」 「 子 育 て 講 座 」な ど を 3 回 行 っ た 。コ ン サ ー ト に は 12 組 の 参 加 が あ り 、「 育 児 を 忘 れ て 楽 し い 時 間 で あ っ た 」「 親 子 で 楽 し め た 」 な ど の 感 想 が あ り 、ク リ ス マ ス 会 に は 11 組 の 親 子 が 参 加 し 、絵 本 の 読 み 聞 か せ 、手 遊 び う た 、プ レゼント交換など、親子で楽しんだ。 4.みやざき子ども文化センターが中心に行っている子育てネット(民間団体の情報交 換の場)に参加し定期的に子育て支援検討会を行い、行政や民間団体が行っている 子育て支援の実際を情報収集した。また今求められている宮崎県内における子育て 支 援 の あ り 方 を 考 え る た め 、「 未 来 み や ざ き 応 援 フ ェ ス テ ィ バ ル 2012」 に 企 画 か ら 参 加 し 、実 行 委 員 会 か ら の 要 請 で 11 月 3 日 、4 日 は お も ち ゃ 広 場 を 開 催 し 、約 4000 名を超える親子が来場し、おもちゃ遊びを楽しんだ。 みやざきアートセンターで 1 月 3 日∼2 月 3 日まで「森のおもちゃとアート展」が 開催され、そのうちの 2 日間をグッドトイみやざきと共同して、親子で楽しむ創作 活 動 の 場 と し て 「 流 木 で ア ー ト 」「 小 枝 鉛 筆 つ く り 」 に 参 加 し た 。 宮崎日日新聞に本実践が取り上げられたことで県民への広報効果があった。 (3)今 後 の 展 望 宮 崎 県 内 の 各 地 域 で「 お も ち ゃ 広 場 」を 開 催 し た が 、参 加 者 か ら「 育 児 を し て い る 保 護 者 の 心 の 支 え に な る の で 、 も っ と 多 く の 人 に 知 ら せ た い 」「 今 度 は い つ か 」 な ど と の 意見が聞かれ、地域住民からのニーズが高いことが伺えた。より多くの方々が開催日 時・場 所 の 情 報 を 得 や す い よ う に 、さ ら に 、広 報 活 動 に つ い て 検 討 す る( 大 学 ホ ー ム ペ ー ジ の 活 用 や チ ラ シ 配 布 の 場 所 、 新 聞 の 掲 載 な ど )。 ま た 、き よ た け 児 童 文 化 セ ン タ ー に お い て 、常 設 の 子 育 て 支 援 の 場 の 提 供 と し て 、お も ち ゃ の 部 屋 を 開 催 す る 。そ の う ち 、毎 週 火 曜・ 金 曜 は 、看 護 大 学 教 員( 看 護 師 、保 健 師 )、 お よ び 、 お も ち ゃ コ ン サ ル タ ン ト に よ る 子 育 て 相 談 ・ 遊 び の 支 援 を 行 う 。 こ れ ら ―6― の 活 動 の ニ ー ズ が 高 く 、今 後 も 継 続 し て 行 う た め に 、実 施 す る 支 援 者 の マ ン パ ワ ー の 育 成の必要性が望まれる。 また、宮崎県内の子育てのニーズを探り、講演会を開催する予定である。 ―7― 1-1)-③ 思春期ヘルスケア開発事業 −月経のヘルスケアプログラムの開発と実践− 担当者:長鶴 美佐子、壹岐 さより、長津 恵、田丸 喜代子、蚊口 理恵 (宮 崎 県 立 看 護 大 学 ) その他:学校関係者(主に養護教諭) (1)事 業 計 画 目的: 生活調整支援を中心とした思春期女性の月経ヘルスケアプログラムを開発し実践 することにより、宮崎県下の思春期女性の健康に貢献する。 対象:思春期女性とその保護者、養護教諭等の学校関係者 内容: ① 月経ヘルスケアプログラムの実践と検証 ・小・中・高校生への実践<継続>:長期休暇時の県内各地域での開催、依頼に より出前講座の実施 ・大学生への実践と peer supporter 育 成 <継続> ・効果の検証: 月経ヘルスケアプログラムの効果の検証を目的とした研究に着手 ② 初経教育の検討 … 研修を通して、そのあり方を検討する。 ③ 学校への広報と連携<継続>:本事業の広報を行うとともに、学校関係者(主に 養護教諭)との連携・協力関係のあり方を検討し活動基盤を築く。 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 ① 月経ヘルスケアプログラムの実践 公 開 講 座 関 係 10 回 、 出 前 講 座 関 係 6 回 ( 小 学 校 1 校 , 中 学 校 1 校 , 高 校 4 校 ) 実 施 し 、 参 加 者 は 761 名 ( 内 訳 : 生 徒 593 名 、 教 員 ・ 保 護 者 及 び 医 療 関 係 者 168 名 ) で あった。この運営に協力してくれた peer supporter は 61 名 で あ っ た 。 ま た 大 学 生 バ ー ジ ョ ン は 本 学 学 生 13 名 を 対 象 に 2 回 実 施 し た 。 ―8― ② 月経ヘルスケアプログラム実践の効果の検証 平 成 23 年 2 月 か ら 平 成 24 年 3 月 に 実 施 し た 本 プ ロ グ ラ ム の 参 加 者 の 内 286 名 ( 88.2% ) の 感 想 文 を 質 的 帰 納 的 に 分 析 し 、 そ の 一 部 を 宮 崎 県 母 性 衛 生 学 会 に 発 表 す る と と も に 、看 護 研 究・研 修 セ ン タ ー 事 業 年 報 の 平 成 23 年 度 版 第 1 号 に 論 文 投 稿 、 研究報告として掲載された。 ③ 初経教育の検討 小 学 校 ( 1 校 ) で 2 回 , 小 学 校 3∼ 6 年 生 と 保 護 者 を 対 象 に 月 経 ヘ ル ス ケ ア 小 学 校 バ ー ジ ョ ン を 作 成 し 実 施 。 生 徒 44 名 , 保 護 者 29 名 の 参 加 が あ っ た 。 ④ 学校への広報と連携 公開講座のポスターを県内すべての小・中・高校に配付した。また串間市の養護教 諭部会で講演を行い広報に努めるとともに養護教諭との連携を図った。 (3)今 後 の 展 望 三ヵ年計画の最終年であり月経ヘルスケアプログラムの改善と実践、ピアサポーター の育成、学校への更なる広報と連携により、長期的提供のための基盤を固める。 これにより、新規事業の学校版ヘルスケアプログラム作成事業につなぐ。 ―9― 1-1)-④ 山間地域における低栄養高齢者の健康生活支援事業 担当者:松本 憲子、中村 千穂子(宮崎県立看護大学) 田代 晶子 他 (南九州大学) 椎葉 邦子 他 (椎葉村役場) (1)事 業 計 画 目的: 宮 崎 県 に お け る 山 間 地 域 の 高 齢 化 率 は 非 常 に 高 く 超 高 齢 社 会 を 迎 え て い る 。こ の た め 高 齢 者 の 痴 呆 予 防 、転 倒 予 防 等 の 健 康 課 題 に 対 し 、行 政 で も さ ま ざ ま な 取 り 組 み が な さ れ て い る 。そ の 一 方 で 、実 際 に 寝 た き り に な る 原 因 の 一 つ と し て 、高 齢 者 の低栄養状態が指摘されている。 今 回 、 当 大 学 に お け る 4年 次 の 実 習 フ ィ ー ル ド に お い て 、 山 間 地 域 ( 椎 葉 村 ) の 低 栄 養 状 態 に あ る 高 齢 者 へ の 保 健 活 動 の 方 向 付 け が 課 題 と し て 残 さ れ た 。山 間 地 域 に お い て 、高 齢 者 が 低 栄 養 状 態 を ま ね く 要 因 を 考 え る と 、食 材 が 購 入 で き る 店 や 食 材 を 購 入 す る た め の 交 通 手 段 が 限 ら れ て い る と い っ た 地 域 レ ベ ル の 要 因 、高 齢 者 世 帯 の 増 加 、高 齢 者 の 一 人 暮 ら し と い っ た 家 族 レ ベ ル の 要 因 、高 齢 者 自 身 の 個 々 の 食 事摂取の問題といった個人レベルの要因が複雑に絡んでいることが考えられる。 今後も高齢化の一途をたどることが予測されるこのような山間地域に住む高齢 者 の 健 康 課 題 は 、単 に 椎 葉 村 だ け の 問 題 で は な く 、同 様 の 地 域 特 性 を 持 つ 町 村 に と っても重要な健康課題であるといえる。 そ こ で 今 回 、椎 葉 村 を モ デ ル 地 区 と し て 山 間 地 域 に 住 む 低 栄 養 状 態 高 齢 者 の 実 態 とその支援を行う。 対象:椎葉村内の低栄養高齢者 約 25 名 椎葉村内の高齢者を支援する保健・医療・福祉の関係者 約 30 名 内容: 1.実態調査後の高齢者支援担当者の意見交換会 2.低栄養状態の高齢者支援を担う保健・医療・福祉関係者の研修会開催 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1.実態調査後の高齢者支援担当者の意見交換会 実 態 調 査 の 結 果 を 健 康 づ く り 推 進 協 議 会 、精 神 保 健 協 議 会 、村 内 の 介 護 ヘ ル パ ー の 方 に 報 告 し た 。介 護 ヘ ル パ ー の 方 か ら 、研 修 会 に 加 え 、実 際 の 調 理 実 習 を し て 、介 護食の勉強がしたいとの要望が上がる。 2.低栄養状態の高齢者支援を担う保健・医療・福祉関係者の研修会開催 介 護 ヘ ル パ ー の 方 々 の 要 望 を 受 け 、保 健・医 療( 看 護 師 )・福 祉 関 係 者 を 対 象 と し た研修会及び調理実習を行った。 (3)今 後 の 展 望 低栄養高齢者の原因のひとつに高齢者の生きがいの持ちにくさがあることがわかっ た 。ま た 、要 介 護 高 齢 者 の 方 々 は 、タ ン パ ク 質 の 摂 取 量 が 少 な い た め 、缶 詰 で 出 来 る 食 事の調理実習を行った。これらの活動を村で継続していけると考える。 ― 10 ― 1-1)-⑤ 宮崎県、県北地区山間部における精神障がい者への理解促進事業 担当者:川村 道子、小笠原 広実、福浦 善友、河野 義貴、赤星 誠 (宮崎県立看護大学) (1)事 業 計 画 目的: 精 神 障 が い 者 地 域 生 活 へ の 移 行 を 促 進 さ せ て い く た め に は 、生 活 す る 場 で あ る 地 域 住 民 の 理 解 と 受 け 入 れ や 、地 域 生 活 を 支 援 す る 人 々 や そ の 関 係 者 の 理 解 が 欠 か せ な い も の と な る 。 し か し な が ら 、 平 成 20 年 度 に 宮 崎 県 障 害 福 祉 課 と 我 々 宮 崎 県 立 看 護 大 学 精 神 看 護 学 グ ル ー プ が 共 同 研 究 で 行 っ た 、宮 崎 県 内 全 域 を 対 象 と し た「 精 神 障 が い 者 の 地 域 生 活 移 行 に お け る 実 態 調 査 」に よ れ ば 、長 期 入 院 患 者 が 、家 族 の 承 諾 を 得 ら れ な い 、住 む と こ ろ が な い 、と い っ た 理 由 で 退 院 で き な い 現 状 が 続 い て い る こ と が 浮 き 彫 り と な っ た 。ま た 、支 援 し て い る 人 が 困 難 に 感 じ て い る 点 と し て 、 家 族 の 病 気 へ の 理 解 不 足 や 、地 域 に お け る 理 解・啓 発 が 不 足 し て い る と の 意 見 が あ げ ら れ て い た 。受 け 入 れ 施 設 な ど の 整 備 が 必 要 で あ る こ と は も ち ろ ん で あ る が 、そ の 確 保 だ け で は な く 、社 会 の 理 解 度 を 上 げ る こ と が 不 可 欠 で あ る と 考 え ら れ る 。特 に 、精 神 の 病 を 持 つ 人 と 接 す る 機 会 の な い 方 々 は 、病 気 や そ の 症 状 に つ い て 理 解 で き な い た め に 、受 け 入 れ を 不 安 に 感 じ て い る の で は な い か と 思 わ れ る 。そ こ で 、実 際 に そ の 方 々 の 持 て る 力 が 発 揮 さ れ て い っ た 具 体 的 な プ ロ セ ス を 紹 介 し 、精 神 障 が い に つ い て の 理 解 を 深 め 、さ ら に 、ど の よ う に か か わ れ ば よ い か 、具 体 的 な 手 段 を 知 る こ と が で き る 学 習 会 が 必 要 で あ る と 考 え 、平 成 21 年 度 に 、日 向・国 富・日 南 ・ 宮 崎・延 岡 の 5 つ の 地 区 で 精 神 障 が い 者 の 方 々 を 取 り 巻 く 地 域 住 民 の 方 を 対 象 に 学 習 会 を 開 催 し た 。そ の 際 、椎 葉 や 高 千 穂 な ど 県 北 山 間 部 で の 学 習 会 の 開 催 の 要 望 が あがっていた。 本 事 業 の 目 的 は 、 平 成 21 年 度 に 実 施 で き な か っ た 県 北 山 間 部 地 域 住 民 の 方 々 の 精神障がい者への理解促進を図ることである。 対象:県北地区山間部における精神障害者の支え手となっている方々 内容: 1)事業展開を行う前に現地での対象地区のニーズの確認、現地での協力者の確定 2)対象地区のニーズに合致したプログラムを再編成 3)現地協力者に再編成したプログラムを提示し、事業実施日時と場所を設定 4)現地でのプログラム実施 5)現地協力者と共にプログラム実施の評価を行う 6)次年度に事業成果を社会化できるように準備を進める (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1)事業展開を行う前に現地での対象地区のニーズの確認、現地での協力者の確定 北 山 間 部 で あ る 、高 千 穂 町 と 日 之 影 町 に 出 向 き 、精 神 障 が い 者 へ の 理 解 促 進 を 進 め るためには、だれにどのような形で何を伝えることが地域性と合致するかについて、 H24 年 6 月 18 日 、 8 月 22 日 に 宮 崎 県 高 千 穂 保 健 所 の 保 健 師 と 、 H24 年 5 月 8 日 、 6 月 6 日 、 7 月 31 日 に 日 之 影 町 保 健 セ ン タ ー の 保 健 師 と 協 議 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 高 千 穂 町 で は 、西 臼 杵 の 三 町 に 勤 務 す る 保 健 師 に 対 し て「 精 神 障 が い 者 の 理 解 を 看 護 の ― 11 ― 視 点 で 考 え る 」と い う テ ー マ で 研 修 会 を 開 催 し て ほ し い と い っ た ニ ー ド が キ ャ ッ チ で き た 。日 之 影 町 で は 、町 内 に 設 置 さ れ て い る 社 会 福 祉 協 議 会 が 設 置 母 体 と な っ て い る 就 労 継 続 支 援 (B 型 ) の事業所スタッフに対して「精神障がいを持つ人をどうみつ め 、ど う 支 え て い け ば い い か 」と い う テ ー マ で 研 修 会 を 開 催 、日 之 影 町 健 康 協 力 員 と 自 殺 対 策 予 防 対 策 関 係 者 を 対 象 に「 地 域 で 支 え る 心 の 健 康 」の テ ー マ で 研 修 会 を 開 催 してほしいといったニードをキャッチできた。 2)対象地区のニーズに合致したプログラムを再編成 当 該 地 区 で の ニ ー ド と 対 象 者 の 決 定 を 受 け 、事 業 組 織 メ ン バ ー 全 員 で プ ロ グ ラ ム の 検討を行った。検討を重ねてパワーポイントと配布資料を作成した。 3)現地協力者に再編成したプログラムを提示し、事業実施日時と場所を設定 高 千 穂 町 で は H24 年 8 月 22 日 午 後 に プ ロ グ ラ ム を 展 開 す る 研 修 会 を 高 千 穂 町 保 健 セ ン タ ー に て 、日 之 影 町 で は H24 年 8 月 9 日 の 午 後( 就 労 継 続 支 援 B 型 の 事 業 所 ス タ ッ フ 対 象 )、 と 夜 ( 日 之 影 町 健 康 協 力 員 と 自 殺 対 策 予 防 対 策 関 係 者 ) に プ ロ グ ラ ム を 展 開 す る た め の 研 修 会 を 、そ れ ぞ れ 就 労 継 続 支 援 B 型 の ぞ み 工 房 と 日 之 影 町 保 健 セ ン ター研修会館で実施することとなった。 4)現地でのプログラム実施 高 千 穂 町 で は 、西 臼 杵 の 三 町 に 勤 務 す る 保 健 師 と 国 見 ヶ 丘 病 院 の PSW の 計 17 名 が 「 精 神 障 が い 者 の 理 解 を 看 護 の 視 点 で 考 え る 」の テ ー マ で 開 催 し た 2 時 間 半 の 研 修 会 へ 参 加 し た 。日 之 影 町 で は 、就 労 継 続 支 援 (B 型 ) の 事 業 所 ス タ ッ フ 8 名 が「 精 神 障 が い を 持 つ 人 を ど う み つ め 、ど う 支 え て い け ば い い か 」テ ー マ で 開 催 し た 2 時 間 の 研 修 会 に 参 加 し た 。 ま た 「 日 之 影 町 健 康 協 力 員 と 自 殺 対 策 予 防 対 策 関 係 者 15 名 が 「 地 域で支える心の健康」のテーマで開催した 2 時間の研修会に参加した。 5)現地協力者と共にプログラム実施の評価を行う 研 修 会 終 了 後 に 参 加 者 に ア ン ケ ー ト を 実 施 し た ( 資 料 添 付 )。 結 果 の 共 有 を 行 い プ ログラムの評価を行った。 現 地 で の 協 力 者 で あ っ た 宮 崎 県 高 千 穂 保 健 所 の 保 健 師 と の 評 価 の 際 、町 内 に 立 地 し て い る 精 神 科 病 院( 国 見 ヶ 丘 病 院 )と の 何 ら か の 形 で 連 携 し て ほ し い と い う 声 が あ が り 、 今 後 の 活 動 の 方 法 を 探 っ て い く こ と と し た 。日 之 影 町 保 健 セ ン タ ー の 保 健 師 と の 協 議 を経て、のぞみ工房スタッフと研修後のフォローアップディスカッションを開催し た 。デ ィ ス カ ッ シ ョ ン の 中 で 、研 修 会 後 に ス タ ッ フ の 利 用 者 の 見 つ め 方 に 変 化 が 生 じ 、 ス タ ッ フ 間 の 連 携 や 意 志 統 一 な ど が 行 い や す く な り 、そ の 結 果 利 用 者 が 安 定 し て 作 業 に 取 り 組 め る よ う な 変 化 が 起 こ っ て い る こ と が 把 握 で き た 。今 後 も さ ら に 、学 習 会 を 重ねていきたいとの要望があがった。 (3)今 後 の 展 望 ① 今 回 の 事 業 成 果 を 丁 寧 に 振 り 返 り 、宮 崎 県 立 看 護 大 学 看 護 研 究・研 修 セ ン タ ー 事 業 年 報 へ の 投 稿 、あ る い は 第 21 回 日本精神障害者リハビリテーション学会での発表に 向けて準備を進める。 ② 国 見 ヶ 丘 病 院 と ど の よ う な 形 で 連 携 し て い け る か 模 索 す る 。の ぞ み 工 房 と は 定 期 的 な 学習会を継続開催する。 ― 12 ― 1-1)-⑥ 一般公開講座 担当者:川原 瑞代、大館 真晴(宮崎県立看護大学) (1)事業計画 目的: 大学の所有する専門的な教育・研究機能を開放・発信することにより,地域住民への学習機会 を提供する 対象:県民(一般住民) 内容: 1.夏講座:7-8 月に 4 回実施。健康づくりの基礎知識、セルフケア能力の向上に関することに ついて、講義や実技などを行う 2.秋講座:8−9 月に 5 回実施。楽しく学びながら、文化に親しむ (2)実施状況及び結果 <実施状況及び結果> 企画、広報 4 月:学内教員に対し公開講座企画案募集 5 月:テーマ、プログラム決定 6 月以降:広報(県政けいじばん、まなび野地区、希望ヶ丘地区回覧板 大学ホームページ) 1.夏講座 1)平成 24 年度夏講座テーマ 「食す・動く・憩う・休む」 2)実施結果 回 日 時 講座名 ウォーキン グ実践 7 月 18 日(水) −正しい姿 1 19:00∼21:00 勢と歩き方 − 夏の薬膳 7 月 30 日(月) (講話と調 2 10:00∼13:00 理実習) 3 8 月 11 日(土) わたしの 13:30∼15:30 「器」 8 月 20 日(月) 快 適 な 眠 り 4 15:00∼16:30 のために 講 師 講座概要 宮崎県立看護大学 教授 串間敦郎 宮崎県立看護大学 教授 菅野幸子 宮崎県立看護大学 准教授 Eric E.Larson 現代陶芸家 伊藤五恵 宮崎県立看護大学 准教授 長坂 猛 福岡県立大学 教授 田中美智子 場 所 参加者数/ 募集数 体組成の測定や姿勢 評価等の根拠に基づい ・多目的ホール てアンチエージングも ・屋外 目標にして、正しい姿 (雨天時体育館) 勢と歩き方について実 習。 12/20 夏バテ予防の薬膳に ・栄養学 ついて学び、緑豆の薬 実習室 膳カレー、サラダ等の ・中講義室3 調理実習、試食。 15/16 湯のみ、カップ、花 器などご自分だけの、 「器」の制作と「焼き ・小講義室4 物のお話」、手作りクッ キーで、お茶タイム。 13/20 自分の睡眠状態を見 直し、睡眠導入をスム ・家庭看護実習室 25/20 ーズにする方法(ケア) (和室) について。 ― 13 ― 3)講座後アンケート結果(回答者延べ 62 名) ①参加者の居住地 宮崎市内 95.2%、宮崎市外 4.8%であり、大学周辺地域からの参加者がほとんどであった。 ②年齢構成 60 歳代が 33.9%、50 歳代が 29.0%と多く、その他は 70 歳代 16.1%、40 歳代 9.7%、30 歳代 6.5%、 20 歳代 4.8%であった。 ③性別 女性が 95.2%でありほぼ女性の参加であった。 ④開催を知った情報源 新聞、回覧板がそれぞれ 35.5%と最も多く、知人から情報を得た者も 24.2%あった。 ⑤分かり易さ 「とても分かり易い」「分かり易い」をあわせて、88.7%であった。 ⑥面白さ 「とても面白い」「面白い」をあわせて、90.3%であった。 ⑦生活に役立つ内容 「とても役立つ」「役立つ」をあわせて、95.2%であった。 ⑧感想など ・VTR で自分の歩行を見ることができたので、特徴がわかり歩行改善のポイントが分かった(第 1 回) ・家族が夏バテで食欲がないので、今夜カレーを作って食べます(第 2 回) ・こういう企画に時間の許す限り参加したいので、まめに回覧とかの情報をみたい(第 3 回) ・昨日からドキドキして楽しい 1 日でした。次回も是非参加したい(第 3 回) ・枕の選び方が大変参考になった(第 4 回) ・地域の健康講座がもっと回数が増え、気楽に参加できるようになるといい(第 4 回) Ⅱ 秋講座 <実施状況及び結果> 1.平成 24 年度秋講座テーマ 「文化に親しむ講座」 2.実施結果 「文化に親しむ講座」の参加者は、回覧板、県政掲示板以外に知人からの紹介など口コミで情報 を得ていた。 いずれの講座も満足度は高く 8 割を超えていた。特に平成 24 年度は古事記編纂 1300 年目の年にあたり、日向神話への関心が高かった。 ― 14 ― 回 1 2 3 4 5 日 時 講 座 名 8 月 29 日(水) 短歌を楽しむⅠ 14:00∼16:00 9 月 5 日(水) 14:00∼16:00 (講話) 古事記を学ぶⅠ 9 月 12 日(水) 短歌を楽しむⅡ 14:00∼16:00 9 月 19 日(水) 14:00∼16:00 (実作、鑑賞) 古事記を学ぶⅡ 9 月 26 日(水) 短歌を楽しむⅢ 14:00∼16:00 (実作、鑑賞) 講 師 宮崎県立看護大学 客員教授 伊藤 一彦 宮崎県立看護大学 准教授 大館 真晴 宮崎県立看護大学 客員教授 伊藤 一彦 宮崎県立看護大学 准教授 大館 真晴 宮崎県立看護大学 客員教授 伊藤 一彦 講座概要 短歌の観賞 参加者 14 名 古事記の成立や時代 背景などの解説を行 12 名 った。 短歌創作の指導 日向神話についての 解説や観賞 短歌創作の指導 12 名 11 名 6名 [会場は、いずれも宮崎県立看護大学多目的ホール、受講料は無料] 3)講座後アンケート結果(回答者のべ 54 名) ①参加者の居住地 宮崎市内 92.6%、宮崎市外 7.4%であり、大学周辺地域からの参加者がほとんどであった。 ②年齢構成 60 歳代が最も多く 46.3%であり、50 歳代 22.2%、70 歳代 22.2%、80 歳代 9.3%であった。 ③性別 女性が 53.7%、男性 33.3%、未記入 13.0%であった。 ④開催を知った情報源 回覧板が 50.0%と最も多く、知人から情報を得た者も 26.0%あった。 ⑤分かり易さ 「とても分かり易い」「分かり易い」をあわせて、92.6%であった。 ⑥面白さ 「とても面白い」「面白い」をあわせて、94.4%であった。 ⑦生活に役立つ内容 「とても役立つ」「役立つ」をあわせて、92.6%であった。 ⑧感想など ・おかげさまで 2 年目になりました。楽しみになりました(第 1 回) ・とても豊かな講座でした。どの歌も楽しいステキな歌でした。感性が豊かですね。「つぼみすみ れの葉うら…」渡辺さんの受賞すばらしいです。 「江津の湖面、鬼やんま、先生のキラキラの月、 雨の中行くも楽しみました。(第 1 回) ・宮崎(日向)の地はすばらしい地だったのですネ。古事記に興味が以前より増してきました。 (第 2 回) ― 15 ― ・とっても良い時間でした。分かり易かったです。このような神話の話を継続して聞きたいです。 (第 2 回) ・一首一首いろいろ意見が出て、勉強になりました。ありがとうございました。(第 3 回) ・素晴らしいご講演であるのに、聴講生の少ないのは残念です。講演を実施する PR(広報・宣伝) を徹底すべきだと思います。(第 4 回) ・中央地区に出張して公開講座を開いてほしい(第 4 回) ・ずんずん引き込まれて 2 時間があっという間に過ぎました。神社へ行くのが楽しくなりました。よ くよく観察しようと思います。ありがとうございました。(第 4 回) ・補聴器を付けても、広いお部屋ではよく聞こえなくて残念です(第 5 回) ・ていねいにやさしく解説していただき楽しくて、これから「短歌」かじりたくなりました。ありが とうございました。(第 5 回) (3)今後の展望 公開講座参加者の評価は良好であるものの、参加者の多くが大学周辺の住民であり、定員制を設 けている講座も多い。また、内容面の評価は十分に行われていない。これまで主に大学内の教員を 中心に公開講座を実施してきたが、専門的である一方で、広く住民の関心や学習ニードを高めるこ とは限定的であったと考えられる。 現在、健康な生活を送るために、日常生活や現代社会の関心や課題、地域的課題に関し、看護の みならず多くの専門分野が取り組みを進め、また、地域社会の中で豊かな実践を積んでいる方々も 多く存在する。このことから、今後の大学の公開講座の試みとして、県民ニーズを的確に把握し地 域の人材や組織と協働して公開講座を実施していく。 ― 16 ― 1-1)-⑦ 老いも若きも“はつらつ赤江”つながり隊 担当者:川原 瑞代、小野 美奈子、串間 敦郎(宮崎県立看護大学) (1)事 業 計 画 目的: 赤 江 地 域 ま ち づ く り 推 進 委 員 会 事 務 局 か ら 、 平 成 22 年 度 4 月 に 、 地 域 の ま ち づ く り や 高 齢 者 の 健 康 づ く り へ 大 学 の 人 的・物 的 資 源 を 活 か し 参 加 し て ほ し い 、と の 要 望 が あ っ た 。そ こ で ① 本 学 学 生 や 教 員 が 赤 江 地 域 の ま ち づ く り に 参 加 し 、大 学 の 人 的・物 的 資 源 を 活 か し 地 域 と の 協 働 を 図 る 。② 高 齢 者 が 、自 分 の 体 の 状 態 に 気 付 く こ と が で き る 機 会 や 健 康 学 習 に 参 加 で き る 機 会 を 設 け 、健 康 的 な 生 活 に つ い て 考 え 実 践 で き る よ う に す る 。③ 高 齢 者 同 士 や 異 世 代 間 交 流 を 通 し て 、相 互 に 刺 激 し 合 い 、 い き い き と し た 楽 し み の あ る 日 常 へ つ な が る 機 会 を 増 や す 。④ 学 生 が 地 域 の ま ち づ く り 活 動 に 参 加 し 、看 護 の 学 び を 発 展 す る 、こ と を 目 的 に 本 事 業 に 取 り 組 ん で い る 。 対象:宮崎市赤江地区住民 内容: ①教員の赤江地域まちづくり推進委員会への参加(健康・福祉部会に所属) ②教員・学生有志・住民との話し合いで住民ニーズに合った事業の企画 ③夏・冬・春期休暇や講義の空き時間、休日等を利用し②の事業の実施 ④継続した活動につながるよう評価、次年度の検討 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 <実施状況及び結果> 計 画 ① :教 員 2 名( 小 野 美 奈 子 、川 原 瑞 代 )が 、赤 江 地 域 ま ち づ く り 推 進 委 員 会 健 康 ・ 福 祉 部 会 に 所 属 し 、委 員 会 に 出 席 す る と と も に 、赤 江 地 域 ま ち づ く り 推 進 委 員 会と、大学間の調整を行った。 計 画 ②:平 成 22・23 年 度 の 事 業 評 価 で は 、本 事 業 が 、 「 身 近 な 場 所 、利 用 し や す い 時 間 帯 で の 健 康 教 室 の 実 施 や 日 ご ろ の 健 康 チ ェ ッ ク の 機 会 、高 齢 者 同 士 や 異 世 代 と の 交 流 」に お い て 一 定 の 効 果 が あ る こ と が 認 め ら れ て い る 。そ こ で 、赤 江 地 域 ま ち づ く り 推 進 委 員 会 と 高 齢 者 の 介 護 予 防 事 業 等 に 実 績・関 心 の あ る 教 員 、学 生らの協働で“イキイキ健康茶屋”を企画した。 計 画 ③ : 平 成 24 年 9 月 12 日 、午 前 ・午 後 に 本 学 の 人 間 関 係 ・ 家 庭 看 護 実 習 室 、臨 床 実 習 室 3 を 会 場 に“ イ キ イ キ 健 康 茶 屋 ”を 実 施 し た 。内 容 は 、健 康 チ ェ ッ ク( 血 圧 ・ 身 長 ・ 体 重 ・ 体 組 成 ・ 握 力 ・ 長 座 位 立 ち 上 が り ・ 開 眼 片 足 立 ち ・ 骨 密 度 )、 臨 地 実 習 Ⅲ 地 域 領 域 選 択 学 生 に よ る ミ ニ 健 康 講 座 、医 師 に よ る 健 康 相 談 、地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー に よ る 生 活 機 能 評 価 、健 康 講 話〈 運 動 の 講 義 と 実 技 〉 (担当: 串 間 敦 郎 ) 等 で あ り 63 名 の 住 民 参 加 が あ っ た 。 計 画 ④ : 参 加 者 ア ン ケ ー ト ( 63 名 回 答 ) に よ る と 、 講 座 後 の 感 想 は 、「 非 常 に 満 足 」 ( 84.1% )、 「まあまあ満足」 ( 12.7% )で あ り 、参 加 者 に と っ て 満 足 で き る 内 容 で あ っ た と 評 価 し た 。 た め に な っ た 内 容 〈 複 数 回 答 〉 は 、「 測 定 コ ー ナ ー 」 ― 17 ― ( 93.7% )、「 学 生 に よ る ミ ニ 健 康 講 座 」( 73.0% )、「 講 義 と 実 技 」( 68.3% ) で あ り 、測 定 や 短 時 間 で は あ っ た が 学 生 の 健 康 教 育 が 好 評 で あ っ た 。ま た 、 「こん な 体 力 測 定 は 初 め て 」「 自 分 の 健 康 状 態 を 知 る 上 で 大 変 参 考 に な っ た 」「 来 年 も 元気で参加できるよう毎日続けたい」などの感想が多く、自分の体の状態への 気付きや健康的な生活について考え実践できるような機会の提供ができたと評 価した。一方、参加者から「新聞折り込みでの広報してほしい」など住民への 周知や運営方法などが今度の課題である。 (3)今 後 の 展 望 平 成 25 年 度 も 引 き 続 き 実 施 す る 。 受 講 希 望 者 が 多 く 、 リ ピ ー タ ー が 増 え て い る 状 況 から、開催回数、方法など検討し更なる充実を図る。 ― 18 ― 1-2)-① 看護職者のための看護力再開発講習会(技術演習コース) 担当者:栗原 保子 他 (宮 崎 県 立 看 護 大 学 ) 宮崎県看護協会ナースセンター 協働開催 (1)事 業 計 画 目的: 再 就 業 を 希 望 す る 未 就 業 看 護 職 者 に 対 し て 、自 己 の 潜 在 能 力 を 高 め ら れ る よ う 看 護 技 術 講 習 会 を 企 画・実 施 し 、再 就 業 を 支 援 す る 。本 事 業 は 、宮 崎 県 看 護 協 会 と の 合 同 企 画 で あ る 。看 護 職 能 団 体 と の 連 携 の 強 化 を 図 る こ と で 、県 内 の 看 護 の 質 の 向 上 に貢献する。 対象:未就業の看護職者 内容: 1)看護力再開発講習会(技術演習コース)の開催 ・午前中は、講義および演習形式で行い、午後よりモジュール方式による看護方 法実習書やビデオ教材等を使用して自主学習を行う。プログラム内容は別添資料 に示す。 2)講習会プログラムの検討 ・講習時の受講者の反応や感想等についてアンケートを実施しプログラム内容の 検討を行う。 3)再就業の支援 ・受講者の経験・離職年数等を把握し、希望する就職先とのマッチングを行う。 ・講習会終了 3 ヵ月及び 6 ヵ月後に、就業状況調査を行う。 4)報告書作成 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 今年度は、 「 看 護 力 再 開 発 講 習 会 -技 術 演 習 コ ー ス -」を 5 日 間 集 中 型 で 開 催 し た 。前 年 度と同様、単元別選択制にして、受講者が再就業を目指そうとする領域に必要な演習項 目 が 選 択 で き る よ う に 取 組 ん だ 。そ の 成 果 も あ り 定 員 30 名 に 対 し 、受 講 希 望 者 が 実 人 員 36 名 と 若 干 増 え た( 未 就 業 者 31 名 、就 業 中 5 名 )。受 講 終 了 後 の 演 習 に つ い て の 理 解 度 、 目標達成、満足度に関する調査において、どの単元においてもわかりやすかった、実践 に役立つ内容だった等、肯定的評価であり、満足度が高いことがわかった。また、受講 3 ヵ 月 後 の 就 業 状 況 調 査 で は 、 技 術 演 習 コ ー ス 受 講 者 で 未 就 業 者 31 名 の う ち 17 名 が 再 就業しており、約 6 割の達成率であった。また、今年度は、講義コース、本コースの開 催の後に、これらのコースで得た専門知識や技術をより深めるために、実習講習という 実地訓練の場も新しい試みとして開催した。各コース受講後間もなく実習を組むことが できたことは、実践に結びつきやすかったと好評であった。 未就業の理由は、以前として就業時間等の就業希望条件と応募条件の不一致や家庭の 事情等であった。中には、積極的に就業活動をしていても応募条件と自己の看護実践能 力の格差から就業に至っていないケースもある。今後も、宮崎県ナースセンターが窓口 と な っ て 、就 業 相 談 及 び 情 報 提 供 等 を 引 き 続 き 行 い 受 講 者 へ の 支 援 活 動 を 実 施 し て い く 。 平 成 24 年 度 看 護 力 再 開 発 事 業 報 告 書 を 作 成 し た 。 ― 19 ― (3)今 後 の 展 望 <評価・改善点> 以上の事業結果より、再就業を希望しながらも不安を抱えて就業に踏み切れない看護 職者の就業支援として本事業を継続して行なうことは意義がある。単元毎の選択制導入 は、受講生にとっては自由度があり講評であった。今後も引き続き、単元別選択制を導 入する。 看 護 力 再 開 発 講 習 会 ̶技 術 演 習 コ ー ス ̶を 継 続 し て 実 施 す る 。平 成 25 年 度 は 、5 日 間 集 中コース(1 回開催 選択制 )として開催する。 ― 20 ― 平成 24 年度 看護力再開発講習会 技術演習コース プログラム 【宮崎県立看護大学・宮崎県看護協会協働事業】 日時/会場 9:00 12:00 13:00 検査と看護(採血法) 9 月 10 日 (月) 宮崎県立 看護大学 臨床実習室Ⅰ 定員 30 名 ガ イ ダ ン ス 自主学習 診断・治療過程における検査の意義と看護の役割 を再認識する。本単元では、「採血」技術を修得 する。 宮崎県立看護大学 教授 栗原保子 中原由美子 他 モジュール方式による看護方法実習書(以 休 下、実習書)、ビデオ教材、モデル人形等を 憩 用いて各自の目的に応じて演習を行う。 助手 与薬と看護(注射法) 9 月 11 日 (火) 宮崎県立 看護大学 を修得する。 臨床実習室Ⅰ 古賀総合病院 看護主任 中角吉伸 他 定員 30 名 9 月 12 日 (水) 宮崎県立 看護大学 臨床実習室Ⅰ 定員 30 名 実習書、ビデオ教材、モデル人形等を用い 休 て各自の目的に応じて演習を行う 憩 助手 他 3 名 感染予防策の実際(感染防御) 情報技術演習 感染の知識を深め、正しい感染予防の実際を学ぶ。本 看護における情報システム化の過程を知る。 演習として、文書作成にチャレンジし、パ ソコンの操作技術を修得する。尚、その他 のソフト活用については、受講生のニード に適宜対応し演習を行う。 単元では、 「手洗い」等、感染予防に必要な基本技術を 休 修得する。 宮崎大学医学部附属病院 感染管理認定看護師 武田千穂 他 憩 宮崎県立看護大学 教員 毛利千祥 他 2 名 急変時の看護 9 月 13 日 (木) 自主学習 (急変時のフィジカルアセスメント・救急蘇生) 実習書、ビデオ教材、モデル人形等を用い 身体機能面から見た急変時フィジカルアセスメントの 宮崎県立 看護大学 とらえ方としてエビデンスに基づいた呼吸器・循環器 休 臨床実習室 Ⅰ・Ⅱ の理解と対処の仕方を学び、最新のガイドラインに基 憩 づく心肺蘇生の基本を修得する。 定員 30 名 他4名 自主学習 治療に伴う看護技術のうち、身体に直接影響を及ぼす 与薬について理解を深める。本単元では、 「注射」技術 15:30 て各自の目的に応じて演習を行う。 宮崎県立宮崎病院 救急看護認定看護師 図師智美 他 助手 他 2 名 移動の動作の援助 9 月 14 日 (金) 宮崎県立 看護大学 臨床実習室Ⅰ 定員 30 名 看護の対象者、看護者双方の安全、安楽を守るために 必要なボディメカニクスを確認し、移動動作の援助を 中心とした基本技術を修得する。 宮崎県立看護大学 自主学習 実習書、ビデオ教材、モデル人形等を用い 休 て各自の目的に応じて演習を行う。 憩 助手 他 2 名 教員 坂井謙次 他 ― 21 ― 1-2)-② 地域連携システム構築のための基盤づくり事業 担当者:小野 美奈子、川原 瑞代、米良 伊代(宮崎県立看護大学) 県内地域連携室看護師、県内地域包括支援センター保健師 (1)事 業 計 画 目的: 高齢化が進展、医療資源の偏在する本県において、施設と地域との連携を深め、 地域医療を受ける患者に切れ目ない看護ケアが提供できるシステムを構築するこ とは重要な課題である。 我 々 研 究 グ ル ー プ は 、 平 成 19 年 度 以 降 、 日 本 訪 問 看 護 振 興 財 団 訪 問 看 護 ・ 在 宅 ケ ア 研 究 助 成 、宮 崎 県 看 護 学 術 振 興 財 団 研 究 助 成 を 受 け 、地 域 連 携 シ ス テ ム の 基 盤 づ く り を 目 的 と し て 、地 域 連 携 会 議 の 開 催 に 向 け た 環 境 整 備 や 、地 域 連 携 を 実 践 で き る 人 材 の 育 成 を 目 指 し た 研 究 に 取 り 組 ん で き た 。 平 成 22 年 度 に お こ な っ た 県 内 の 病 院・有 床 診 療 所 、訪 問 看 護 事 業 所 を 対 象 と し た 調 査 で は 、地 域 連 携 を 円 滑 に 進 め る に は 、院 内 、院 外 の 保 健 ・ 医 療 ・福 祉 の 関 係 者 と の 連 携 ・情 報 共 有 、相 互 理 解 を深めることが重要であることが確認できた。 そ こ で 、本 年 度 か ら は 、保 健・医 療・福 祉 の 関 係 者 の 連 携 を 深 め 、相 互 理 解 を 深 め る た め の 取 り 組 み を 行 い た い 。ま ず 、医 療 圏 域 ご と の 個 別 な 地 域 連 携 室 の 活 動 に 焦 点 を 当 て 、地 域 連 携 を 担 う 専 門 職 が 、地 域 特 性 に 応 じ て 、ど の よ う に 地 域 連 携 を 行 っ て い る の か 、地 域 連 携 室 の 活 動 を 可 視 化 す る こ と に よ り 、地 域 連 携 の 必 要 性 に つ い て 相 互 理 解 を 促 進 す る 資 料 と す る と と も に 、地 域 連 携 が 促 進 さ れ る た め の 要 因 に つ い て 質 的 に 明 ら か に す る 。ま た 、医 療 機 関 退 院 後 の 高 齢 者 の 地 域 生 活 を 支 え る 上で重要な役割を果たす地域包括支援センター保健師の実践力向上とネットワー ク 化 を 図 る こ と で 地 域 連 携 の 要 と し て 活 動 で き る よ う 支 援 す る 。そ れ に よ り 、患 者 に切れ目ない看護ケアが提供できるための基盤を強化していくことを目的とする。 対象:県内看護職 内容: 1)看護職者に地域連携の実際についてインタビューし、地域連携室の活動を可視化 できるようにまとめる。 2)1)をもとに、地域連携を促進するための要因について分析する。 3)県内地域包括支援センター保健師の先駆的な活動をインタビューしてまとめる。 4 )県 内 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 保 健 師 の ネ ッ ト ワ ー ク 化 を 図 る た め の 会 を 組 織 化 す る 。 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1)看護協会主催の退院調整看護師養成研修会の運営やグループワーク支援の機会や、 地域や在宅ケアの勉強会 2 組織に参加し、地域連携室の活動の情報収集に努め、イ ンタビューする対象者の候補を検討した。実際のインタビューは来年度実施予定 2)日向市の地域包括支援センターの保健師の学習機会を提供するため、研修会を実施 し た 。 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 保 健 師 等 25 名 が 参 加 し た 。 3)地域包括支援センターの機能強化に関わる支援策を検討するための基礎資料を得る ことを目的とする実態調査結果をまとめ、報告書を作成し、県内の地域包括支援セ ― 22 ― ンター等、市町村、保健所に配布した。 4 )実 態 調 査 結 果 を も と に 、平 成 25 年 度 宮 崎 県 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 保 健 師 等 研 修 会 を 3 月 9 日 に 開 催 、 48 名 が 参 加 し 、 今 後 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 保 健 師 の 自 主 的 な 学 習 会をサポートするため、出前講座を実施することを伝え、地域包括支援センター保 健師のネットワークや継続支援のきっかけづくりをおこなった。 (3)今 後 の 展 望 県 内 の 地 域 連 携 室 の 看 護 師 の 先 駆 的 活 動 、地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 保 健 師 の 先 駆 的 な 活 動 を イ ン タ ビ ュ ー し て ま と め 、事 例 集 を 作 成 す る 。ま た 、県 内 地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー 保 健師の力量向上のために出前講座等を行い、自主的な学習活動を支援する。 ― 23 ― 1-2)-③ 宮崎県内の医療機関に勤務する看護職者の看護実践能力向上のための 実践・研究支援 担当者:阿部 惠子、山岸 仁美、新田 なつ子、寺島 久美、小笠原 広実、川村 道子 邊木園 幸、末吉 真紀子、山岡 深雪、毛利 聖子(宮崎県立看護大学) (1)事 業 計 画 目的: 宮 崎 県 立 看 護 大 学 の 開 学 以 来 、 15 年 間 、 県 立 宮 崎 病 院 を は じ め と す る 県 内 医 療 施 設 で ナ イ チ ン ゲ ー ル 看 護 論 に 賛 同 し た 看 護 組 織 と 県 立 看 護 大 学 の 教 員( 以 下 、教 員 と す る )と が 共 同 し て 事 例 検 討 会 を 継 続 し 、そ の 成 果 の 一 部 を 学 会 で 発 表 し た り 、 論 文 と し て ま と め て 報 告 し て き た 。現 在 、教 員 と 共 同 し て 事 例 検 討 を 重 ね て き た 看 護 者 た ち が 、各 組 織 で 中 心 と な っ て 事 例 検 討 会 を 推 進 し 、活 性 化 し て き て い る 。し か し 、す ぐ れ た 実 践 が 報 告 さ れ て も 、そ の 成 果 を ま と め て 社 会 化 し て い く に は 、よ り研究的な取り組みが求められ、研究者からの支援を得ることが必要である。 本事業の目的は、県内の医療機関に勤務する看護職者と教員とが共同・連携し、 組 織 的 な 事 例 検 討 を と お し た 看 護 実 践 の 成 果 を 研 究 と し て ま と め 、広 く そ の 成 果 を 普 及 さ せ 、県 内 の 臨 床 現 場 に 還 元 し て 県 内 の 看 護 職 者 の 看 護 実 践 能 力 を め ざ す こ と である。 対象:県内の医療機関 内容: ナ イ チ ン ゲ ー ル 看 護 論 に 基 づ い て 事 例 検 討 を 共 同 で 行 な う こ と を 呼 び か け 、共 に 事 例検討会の計画を立案し、会に参加して事例検討を推進する。 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 ナイチンゲール看護論に基づいて事例検討を共同で行なうことを呼びかけ、それに応 じ て 事 例 検 討 会 を 開 催 し た 施 設 は 6 施 設 で あ っ た 。 そ れ ぞ れ 1)県 立 宮 崎 病 院 -5 回 、 2) 県 立 延 岡 病 院 -3 回 、 3)県 立 日 南 病 院 -3 回 、 4)善 仁 会 ・ 市 民 の 森 病 院 -4 回 、 5)都 城 市 郡 医 師 会 -1 回 、 6)井 上 病 院 -2 回 開 催 し 、 延 べ 827 名 の 看 護 職 者 が 参 加 し た 。 県立日南病院では、提出検討をもとに、良い実践ができた事例をまず、3 年目ナース が宮崎県看護協会主催の看護研究学会で発表し、さらにその事例からの学びを別の事例 への実践につなげて、日本看護協会の学会で発表するよう、現在準備中である。 善仁会・市民の森病院では、会を重ねるごとに、参加者と提出事例が増えたため、緊 急に解決を要するものなど、優先度をつけて選別するようになった。その過程において 事例を吟味することによって、実践の問題点について討議することができ、核となる看 護師たちの事例の分析能力が高まった。 都城市郡医師会は、カルテの電子化や移転にともない、事例検討会を 1 回のみの開催 となった。 したがって、初年度として、ナイチンゲール看護論に基づいて事例を検討することに 興味をもち、日々の看護実践にその方法論をつなげることができたため、良い変化をつ くり出した実践の根拠が自覚でき、事例を提出した病棟は、看護が活性化した。 ― 24 ― (3)今 後 の 展 望 以上の結果より、初年度は事例検討会を開催して、その結果を病棟看護につなげるこ とはできたが、その中から研究としての取り組みにつなげることができたのは 1 施設に 留まった。今後、事例検討の成果をまとめるグループをつくって支援し、その実践知を 研究にまとめ、その成果を共有できるように事例検討から研究的に取り組み、結果を病 棟看護に還元できるようなサイクルをつくりあげていくことが必要である。 ― 25 ― 1-2)-④ 宮崎県内の急性期医療に携わる看護職者の看護実践力向上のための支援 担当者:寺島 久美、邊木園 幸、山岡 深雪、井上 理恵子、河野 美恵子、谷口 敦子 (宮 崎 県 立 看 護 大 学 ) 宮崎県内の急性期医療機関の看護職者 (1)事 業 計 画 目的: 宮 崎 県 内 の 急 性 期 看 護 実 践・教 育 に 携 わ る 看 護 職 者 が 、ナ イ チ ン ゲ ー ル 看 護 論 を 基 盤 と し て 急 性 期 看 護 に 係 わ る 最 新 か つ 高 度 な 専 門 知 識・技 術 を 学 び 合 い 、具 体 的 な 事 例 検 討 を と お し て 看 護 問 題 解 決 の た め の 方 略 を 探 っ て 実 践 に 生 か し 、か つ そ れ ら の成果を拡張させて県内の急性期医療を必要とする患者・家族の療養過程を支援 し、宮崎県の急性期看護の質の向上に寄与する。 対象:宮崎県内の急性期医療に携わる看護職者 目標: 急性期看護実践力向上のための支援事業の開始と周知 1) 急 性 期 看 護 領 域 で 実 践 し て い る 専 門 看 護 師 を 招 聘 し 、県 内 看 護 職 者 へ 広 報 し て 研 修 会を開催する。 2) 研 修 会 後 、 本 事 業 に つ い て 周 知 し 、 事 例 検 討 ・ 学 習 会 へ の 参 加 希 望 者 を 募 る 。 3) 急 性 期 看 護 に 関 わ る 事 例 検 討 ・ 学 習 会 を 実 施 ( 12月 、 2月 予 定 ) し 、 毎 回 の 事 例 検 討の内容をまとめて次の事例検討・学習会に生かす。 4) 全 国 で 行 な わ れ る 急 性 期 看 護 領 域 の 研 修 会 に 参 加 し て 最 新 の 情 報 を 収 集 し 、参 加 者 はその成果をまとめて事例検討・学習会で報告し、実践に活用する。 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1) NHK 番 組 「 プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル ・ 仕 事 の 流 儀 」 で 紹 介 さ れ 全 国 的 に 活 躍 中 の 急 性 ・ 重 症 患 者 看 護 専 門 看 護 師 の 北 村 愛 子 氏 に 講 演 を 依 頼 し 、平 成 24 年 11 月 3 日 14 時 ∼ 16 時 本 学 の 高 木 講 堂 で「 急 性 期 看 護 領 域 に お け る 患 者・家 族 援 助 ― グ ッ ド プ ラ ク テ ィ ス と 苦 痛 緩 和 ケ ア に 焦 点 を あ て て ― 」と い う テ ー マ で セ ミ ナ ー を 開 催 し た 。開 催 に あ た っ て 、 県 内 68 の 急 性 期 医 療 関 連 施 設 に 急 性 期 看 護 セ ミ ナ ー の 開 催 と 本 事 業 の 案 内 を 送 付 し 、 宮 崎 市 、日 南 市 、延 岡 市 、都 城 市 、高 千 穂 町 な ど 県 内 各 地 か ら 看 護 職 関 係 者 236 名( 学 生 75 名 ) が 参 加 し た 。 セ ミ ナ ー で は 、 講 師 の 専 門 看 護 師 と し て の 豊 富 な 実 践 に 基 づ い て 、 急 性 期 ケ ア の 目 標 と グ ッ ド の 感 覚 、 全 人 的 痛 み (Total Pain)の 考 え 方 と 看 護 、 ト ー タ ル ペ イ ン マ ネ ジ メ ン ト( 緩 和 ケ ア )の 実 際 と リ フ レ ク シ ョ ン に つ い て 講 演 が 行 わ れ た 。 ア ン ケ ー ト で は 、「 実 践 ( 現 象 ) と つ な げ な が ら 考 え る こ と が で き 納 得 で き た 。 得 た 知 識 を 視 点 と し て 明 日 か ら 活 用 し て い き た い 」「 日 頃 せ ん 妄 の 対 応 に 苦 慮 し て い る 。 せ ん 妄 の 前 兆 を 見 逃 さ ず に 、早 め に 対 応 を し て 患 者 家 族 ナ ー ス へ の 苦 痛 を 軽 減 し て い き た い 」「 ナ イ チ ン ゲ ー ル 看 護 論 が 根 底 に あ る こ と を 実 感 で き た 。自 分 の 実 践 を 理 論 に 照 ら し な が ら 振 り 返 る こ と で“ 看 護 ”が 見 い だ せ る と わ か っ た 」等 、日 頃 の 実 践 と つ な が っ て 看 護 者 と し て の 学 び が 多 く 、今 後 の 看 護 に 生 か し て い き た い と い う 感 想 が 数 多 く 寄 せ ら れ た 。学 生 か ら も「 患 者 さ ん が 今 何 を 一 番 の 価 値 と し て い る の か と い う こ と を 関 わ り の 中 で 見 つ け 、そ の 価 値 を 大 切 に し た い と 思 っ た 」な ど 、今 後 の 看 護 職 者 と し て の 目 標につながる感想が多く寄せられた。 ― 26 ― 2)上 記 の 急 性 期 看 護 セ ミ ナ ー 終 了 後 、文 書 を 用 い て「 宮 崎 急 性 期 看 護 事 例 検 討・学 習 会 」 について参加を呼びかけた。 3) 平 成 24 年 12 月 16 日 13:00∼ 16:00 本学で「第 1 回宮崎急性期看護事例検討・学習 会 」 を 開 催 し た 。 25 名 の 看 護 師 が 参 加 し 、 人 工 呼 吸 器 か ら の 離 脱 が 困 難 な 高 度 肺 機 能 障害の事例についてナイチンゲール看護論のモデルを活用しながら事例検討を行った。 終 了 後 、“ 全 体 像 を 描 き 直 す こ と で 患 者 が こ れ ま で ど の よ う に 生 き て き た の か 、 ど う い う状況にあるのかを捉えることができ看護の方向性や具体策を見いだすことができた。 明 日 か ら の 看 護 に つ な げ て い き た い ”“ 言 葉 は 発 す る こ と は で き な く て も 患 者 は 心 の サ イ ン を 出 し て い る 。 き ち ん と 受 け と め て い く こ と が 重 要 だ ”“ 命 の 現 場 だ か ら こ そ 、 そ の 人 ら し さ を 早 く 捉 え て 看 護 し て い く こ と が 大 切 ”な ど の 感 想 が 寄 せ ら れ た 。参 加 者 全 員 で 1 事 例 に つ い て 検 討 し 、全 体 討 議 を も っ た こ と で 理 論 を 適 用 し て 対 象 像 を 描 い て 看 護の方向性を導き出すプロセスの共有化がはかれた。 平 成 25 年 2 月 11 日 13:00∼ 16:00 本学で「第2回宮崎急性期看護事例検討・学習 会 」 を 開 催 し 、 19 名 が 参 加 し た 。 前 回 の 事 例 に つ い て そ の 後 の 実 践 報 告 を 行 っ た 後 に 心筋梗塞と診断された救急外来での事例をもとに全員で全体像をイメージしながら対 象 特 性 を 描 き 、看 護 の 方 向 性 を 導 き だ し た 。救 急 外 来 と い う 短 時 間 の 関 わ り で あ っ て も 看 護 理 論 に 照 ら す こ と で 、病 態 だ け に 着 目 す る の で は な く 全 人 的 に 対 象 を 捉 え る こ と が でき、継続看護につながることが確認できたという気づきが多く寄せられた。 4)2012 年 度 日 本 ク リ テ ィ カ ル ケ ア 看 護 学 会 教 育 セ ミ ナ ー( 於 福 岡 市 )に 事 業 組 織 メ ン バ ー の 1 名( 井 上 理 恵 子 氏 )が 参 加 し た 。集 中 ケ ア 認 定 看 護 師 、麻 酔 科 医 、認 定 看 護 師 教 育 課 程 専 任 教 員 に よ る 「 過 大 侵 襲 に 対 す る 生 体 反 応 の 理 解 と 看 護 の 考 え 方 」「 ク リ テ ィ カ ル ケ ア 領 域 に お け る 鎮 痛 ・ 鎮 静 の 基 本 的 知 識 と 最 新 の 管 理 」「 エ ビ デ ン ス に 基 づ く 人工呼吸器ウィニングへの援助」 「重症患者の栄養管理の考え方と実際」 「クリティカル な 状 況 に あ る 患 者 の 心 理・社 会 的 援 助 」に つ い て の セ ミ ナ ー で あ っ た 。< 重 傷 患 者 ケ ア においては看護ケアそのものが侵襲を伴うためケアの必要性を十分吟味し根拠に基づ いたケアを実施することが重要である><患者にとって快となる鎮痛鎮静を目指すた めにも日々更新される専門知識を獲得していく必要がある><人工呼吸器装着患者に 対 し て 、海 外 で は 自 発 呼 吸 訓 練 SBT が 盛 ん に 行 わ れ て お り 我 が 国 に お い て も 浸 透 し 始 め て い る 。24 時 間 患 者 の 側 で 観 察 や ケ ア を 行 っ て い る 看 護 師 の 果 た す 役 割 は 大 き い > 等 、 セミナー参加で得られた知識と気づきについて「第 2 回急性期看護事例検討・学習会」 で参加者に報告を行った。 5)そ の 他 と し て 、宮 崎 市 で 開 催 さ れ た 第 16 回 日 本 救 急 医 学 会 九 州 地 方 会 の「 イ ブ ニ ン グ セ ミ ナ ー 」 で 、「 急 性 期 領 域 に お け る 看 護 の 役 割 と は ー 科 学 的 看 護 論 を 基 盤 と し て ー 」 と い う テ ー マ で 事 業 メ ン バ ー ( 寺 島 ) が 講 演 を 行 っ た 。 約 200 名 が 参 加 し 、「 看 護 理 論 と 実 践 が つ な が っ た 」、 「 看 護 理 論 が 身 近 に 感 じ ら れ た 」、 「看護の視点で捉えることの重 要 性 や 自 分 た ち の 実 践 の 価 値 を 再 認 識 で き た 」、 「特定看護師問題等で看護界は揺れてい る が 、看 護 者 が 明 確 な 看 護 観 と そ れ に 基 づ く 看 護 の 視 点 を ゆ る ぎ な い も の と し て 持 っ て お く こ と が 大 事 だ と 思 え 、勇 気 を も ら え た 」な ど の 反 応 が 聞 か れ た 。引 き 続 き 、宮 崎 善 仁 会 病 院 で 同 じ 内 容 の セ ミ ナ ー を 開 催 し 、60 名 の 参 加 が あ っ た 。「 学 生 の 患 者 ・ 家 族 へ の 関 わ り を 聞 い て 感 動 し た 、こ れ が 急 性 期 看 護 で 大 事 な こ と だ と 改 め て 認 識 で き た 」な ― 27 ― どの感想が寄せられた。 (3)今 後 の 展 望 1 専 門 看 護 師 に よ る 急 性 期 看 護 セ ミ ナ ー は 、県 内 各 地 か ら 看 護 職 者 の 参 加 が 得 ら れ た こ と、アンケート結果から、急性期看護として新たな気づきを得ることができ看護の価 値を再確認した、実践につなげたいという感想が多く、質の高い急性期看護への動機 づ け に つ な が っ た と 思 わ れ る 。セ ミ ナ ー を も う 少 し 長 く し て ほ し い と い う 意 見 も あ り 、 次年度はさらに時間を拡大して急性期看護に係る内容のセミナーを継続したい。 2 急 性 期 看 護 事 例 検 討・学 習 会 は 、参 加 者 の 反 応 か ら 、看 護 理 論 を 意 識 し な が ら 時 間 を かけて1事例を全員で検討していくことでその事例に対する全人的かつプロセスとし て対象を捉える視点が形成されていることが伺える。この取り組みをさらに継続し、 実践現場で使える看護学的な視点の定着につなげていきたい。 目標:本事業の継続 平 成 24 年 度 と 同 様 に 、 講 師 を 招 聘 し て 研 修 会 を 開 催 ( 年 2 回 予 定 ) す る と 共 に 事 例 検討・学習会(年 3 回予定)を継続する。 1) 全 国 で 行 な わ れ る 急 性 期 看 護 領 域 の 研 修 会 に 参 加 し て 最 新 の 情 報 を 収 集 し 、そ の 成 果 を事例検討・学習会で報告し、実践に活用する。 2) 研 修 会 や 事 例 検 討・学 習 会 を 通 し て 、急 性 期 看 護 に 携 わ る 看 護 職 者 の 抱 え て い る 課 題 や必要な支援について把握し、翌年の事業計画につなげていく。 3) 事 例 検 討 を 通 し て 得 ら れ た 急 性 期 看 護 に 関 わ る 知 見 を ま と め て い く 。 ― 28 ― 1-2)-⑤ 研修会講師等派遣・看護研究支援事業 担 当 者 : 小 野 美 奈 子 (宮 崎 県 立 看 護 大 学 ) (1)事 業 計 画 目的: 地 域 に お け る 現 任 看 護 職 者 の 看 護 の 質 の 向 上 の た め 、地 域 住 民 の 健 康 の 維 持 向 上 の た め に 研 修 会 へ の 講 師 と し て 教 員 を 派 遣 す る 。ま た 、現 任 看 護 職 者 の 看 護 実 践 や 研 究の質の向上のために教員を派遣し研究を支援する。 対象:県内看護職、地域住民等 内容: ① 講 師 、研 究 指 導 者 の 派 遣 要 請 が あ っ た 場 合 は 、テ ー マ に そ っ て 教 員 を 人 選 し て 派 遣 する ②派遣実績を記録するとともに、課題等を明らかにしていく (2)実 施 状 況 及 び 結 果 看護研究・研修センターを通した新規の講師派遣の要請は、なかった。その理由とし て、開学以来の実績を踏まえて、教員の専門分野が看護協会等地域の人々に周知され、 直 接 依 頼 が な さ れ た た め で あ る 。平 成 24 年 度 は 延 べ 165 人 の 教 員 が 約 705 時 間 の 研 修 会 等 講 師 を 担 当 し て い た( 巻 末 資 料 参 照 )。講 師 実 績 は 年 々 増 加 し て き て お り 、地 域 の ニ ー ズに細やかに対応できていると評価できた。 ま た 、研 究 支 援 に 関 し て 、平 成 23 年 度 は 7 名 の 教 員 に よ り 9 団 体 に 対 し て 5 名 の 教 員 に よ り 25 回 の 研 究 支 援 が 行 わ れ た 。学 会 発 表 に つ な が る も の も あ り 、現 任 看 護 職 の 研 究 の質の向上に貢献できていると評価できた。地域貢献事業の中で人的資源のPRや現場 看護職のモチベーションに対する働きかけを行うことにより、研究についての動機づけ が図られ、活動報告の総括や共同研究、学会発表、大学院進学等に繋がった看護職者が 出ている。 (3)今 後 の 展 望 現任看護職者の看護実践や研究の質の向上のため、地域貢献事業の中で人的資源のP Rや現場看護職のモチベーションに対する働きかけを行う取り組みを継続していく。ま た、実践的研究の場への学生の参加方法を今後検討していくことで、研究成果の教育へ の還元を行うことが今後の課題である。 ― 29 ― 1-3)-① 口蹄疫被害地域における地域健康ネットワークと危機管理体制の構築 担当者:松本 憲子、小野 美奈子、米良 伊代、中村 千穂子、川原 瑞代 他 (宮 崎 県 立 看 護 大 学 ) 中井 裕子、原 陽子 (木城町役場) (1)事 業 計 画 目的: 口 蹄 疫 発 生 か ら 1 年 が 経 過 し 、被 災 地 域 で は 、復 興 を 目 指 し た 取 り 組 み が 進 ん で い る 。我 々 は 、災 害 発 生 時 、こ こ ろ と 身 体 の 健 康 支 援 チ ー ム に 参 加 し 、電 話 相 談 を 通 し て 、口 蹄 疫 被 災 農 家 の 心 身 の 健 康 障 害 の 発 生 を 予 防 す る 取 り 組 を お こ な っ た 。そ の 中 で 、被 災 農 家 の 健 康 を 守 る 継 続 的 支 援 と 、地 域 健 康 ネ ッ ト ワ ー ク 及 び 危 機 管 理 体制の整備が急務であることを痛感してきた。 そ こ で 、口 蹄 疫 発 生 か ら 1 年 を 経 過 し た 今 年 度 、被 災 農 家 を 対 象 に 、口 蹄 疫 被 害 を 受 け た 住 民 の 1 年 後 の 健 康・生 活 実 態 と 回 復 プ ロ セ ス 、及 び 関 係 者 の 支 援 の 実 際 を 把 握 し 、健 康 の 回 復 を 促 進 し た 個 人・家 族・地 域 の 要 因 を 明 ら か に し 、そ れ を も とに地域健康ネットワークと危機管理体制の構築をおこなうことを目的とする。 対象:口蹄疫被害を受けた畜産農家の方々 口蹄疫被害を受けた住民を支えた関係機関及び関係者の方々 内容: 1.口蹄疫被害地域の心と身体の健康・生活実態調査 (高鍋保健所管内市町村の被災農家の家庭訪問) 2.口蹄疫発生から終息、その後の回復期を支えた支援者・支援機関の支援内容の実 際を調査木城町の医療・保健・福祉関係者・関係機関への面接調査) 3.木城町地域健康ネットワークと危機管理体制検討会の開催 4.報告書の作成・配布 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1.口蹄疫被害地域の心と身体の健康・生活実態調査 口 蹄 疫 被 害 の 大 き か っ た 地 域 の 一 部 ( 対 象 ; 80 名 )、 木 城 町 全 戸 ( 対 象 ; 130 名 ) の 心と身体の家庭訪問を行った結果のまとめを行った。 2 .口 蹄 疫 発 生 か ら 終 息 、そ の 後 の 回 復 期 を 支 え た 支 援 者・支 援 機 関 の 支 援 内 容 の 実 際 を 調査(木城町の医療・保健・福祉関係者・関係機関への面接調査) 木 城 町 の 医 療・保 健・福 祉 関 係 者 と し て 6 名 の 方 を 対 象 に 半 構 造 化 面 接 調 査 を 行 っ た 結果の分析と地域の関係者が考える今後の災害に向けて必要な対応についてのまと めを行った。 3.木城町地域健康ネットワークと危機管理体制検討会の開催 木 城 町 の 医 療・保 健・福 祉 関 係 者 の 方 々 に「 口 蹄 疫 被 害 を 受 け た 住 民 の 1 年 後 の 健 康・ 生 活 実 態 」調 査 報 告 を 行 っ た 後 、木 城 町 に お け る 地 域 健 康 ネ ッ ト ワ ー ク と 危 機 管 理 体 制の構築にむけての検討会を行った。 ― 30 ― 4.報告書の作成・配布 平 成 24 年 度 宮 崎 県 立 看 護 大 学 地 域 貢 献 等 研 究 事 業 「口蹄疫被害を受けた住民の 1 年後の健康・生活実態調査報告書」の作成を行った。 (3)今 後 の 展 望 「口蹄疫被害を受けた住民の 1 年後の健康・生活実態」調査報告会の中で木城町地域健 康ネットワークと危機管理体制検討を行った。その中で、木城町では、今年度に災害発 生時の対応について検討していくことになっているということであり、今回の結果を活 用していきたいとの意見が聞かれた。また、高鍋保健所からも高鍋保健所管内の市町村 に危機管理について考えられるよう研修会等を継続して行っていきたいとのことであっ た。 木城町において、また、高鍋保健所管内において今後の危機管理体制強化につながっ ていくと考える。 ― 31 ― 1-3)-② 保健師の力育成事業 担当者:小野 美奈子、川原 瑞代(宮崎県立看護大学) 田中 美幸、水元 えり(宮崎県医療薬務課) 木 添 茂 子 ( 宮 崎 県 延 岡 保 健 所 )、 横 山 真 知 子 ( 宮 崎 県 都 城 保 健 所 ) 門 内 恵 子 ( 高 鍋 保 健 所 )、 山 内 裕 子 ( 宮 崎 県 後 期 高 齢 者 医 療 広 域 連 合 ) 日高 美加子、荒瀬 みえ、益留 真由美、中村 尚美、栗山 佐代子、谷口仁美 (宮崎県看護協会保健師職能) (1)事 業 計 画 目的: 県 内 の 保 健 師 の 現 任 教 育 に よ る 実 践 力 向 上 を 目 指 し 、現 任 教 育 マ ニ ュ ア ル 作 成 と 保 健師現任教育研修プログラムの実施・評価・開発を行う 対象:県内の現任保健師 内容: ①新任保健師研修会を高鍋保健所と共同で企画・実施・評価する(9 月∼2 月) ②新任保健師フォローアップ研修会を企画・実施・評価する(8 月∼2 月) ③中堅保健師研修会を企画・実施・評価する(6 月∼2 月) ④ 中 堅 保 健 師 フ ォ ロ ー ア ッ プ 研 修 会 を 企 画 ・ 実 施 ・ 評 価 す る (8 月 ∼ 2 月 ) ⑤リーダー保健師研修会を企画・実施・評価する(7 月∼3 月) ⑥①∼⑤の評価を行い、標準化した保健師現任教育プログラムを作成するとともに、 宮崎県における保健師現任教育研修マニュアル試案を作成する (2)実 施 状 況 及 び 結 果 宮崎県立看護大学地域貢献等研究推進事業の予算を得て計画的に取り組むことができた。 ① 14 名 の 新 任 保 健 師 に 対 し 6 回 の 新 任 保 健 師 研 修 会 を 高 鍋 保 健 所 と 共 同 で 企 画・実 施 し た 。 問 題 意 識 に 沿 っ た PDCA サ イ ク ル を 体 験 す る こ と で 保 健 師 活 動 の 手 応 え 感 を 得 る ことができていた。 ② 9 名の新任保健師フォローアップ研修参加者に対してアクションプランの企画・実 践 ・ 評 価 を 中 心 に 研 修 会 を 4 回 企 画 ・ 実 施 し た 。受 講 生 は 前 年 度 の 新 任 保 健 師 研 修 会 の学びを位置づけ、目的意識を持って参加しており到達度は高かった。 ③ 12 名 の 中 堅 保 健 師 に 対 し て 7 回 の 中 堅 保 健 師 研 修 会 を 企 画・実 施 し た 。市 町 村 保 健 師 の 参 加 も 半 数 あ り 、市 町 村 保 健 師 と 保 健 所 保 健 師 の 交 流 の 機 会 と も な っ た 。意 識 的 に 取り組んだアクションプランを通して保健師活動の成果が見られた。 ④ 3 名の中堅保健師フォローアップ研修参加者に対してアクションプランの企画・実 践 ・ 評 価 を 中 心 に 研 修 会 を 3 回 企 画 ・ 実 施 し た 。中 堅 保 健 師 と の 合 同 開 催 と し た 。昨 年 度 と り く ん だ ア ク シ ョ ン プ ラ ン を 発 展 さ せ た 内 容 で 、保 健 師 と し て の 成 長 が 見 ら れ た 。ま た 、中 堅 保 健 師 研 修 会 と の 合 同 開 催 で あ っ た た め 、中 堅 保 健 師 研 修 会 受 講 生 に とっては成長を示すモデルともなった。 ⑤ 8 名のリーダー保健師に対して 6 回のリーダー保健師研修会を実施した。保健師活動 を 発 展 さ せ る 研 究 へ の 組 織 的 取 り 組 み を 研 修 の 基 盤 に お い た が 、研 究 的 取 り 組 み の 過 程 そ の も の が リ ー ダ ー シ ッ プ の 育 成 や ,職 場 の 保 健 師 活 動 の 活 性 化 に つ な が る 人 材 育 成や関係機関との連携の強化が図られるという効果が見られた。 ― 32 ― ⑥ 5 回 の 現 任 教 育 マ ニ ュ ア ル 検 討 委 員 会 を 開 催 し 、平 成 24 年 度 実 施 の 保 健 師 現 任 教 育 研 修会の評価について検討すると共に、評価を踏まえたマニュアル試案を作成した。 ⑦ 新 任 ・ 中 堅 保 健 師 研 修 会 に 参 加 し た 受 講 生 の 指 導 を し た リ ー ダ ー 及 び 課 長 22 名 に 対 し 、現 任 環 境 整 備 に 向 け た 聞 き 取 り 調 査 を 実 施 し 、< 現 任 教 育 へ の 理 解 と 意 識 の 共 通 認 識 を 図 る 必 要 性 > と い う 課 題 が 抽 出 で き た 。課 題 解 決 に 向 け て 県 内 保 健 所 の 保 健 師 指 導 者 が 現 任 教 育 に 関 す る 共 通 認 識 が 持 て る よ う に 指 導 者 研 修 会 を 1 回 開 催 し た 。リ ー ダ ー 、 課 長 15 名 の 出 席 が あ っ た 。 (3)今 後 の 展 望 3 年 間 の 現 任 教 育 の 実 践 評 価 で 、宮 崎 県 に お け る 段 階 に 応 じ た 標 準 現 任 教 育 プ ロ グ ラ ム を 作 成 で き た の で 、そ れ を 元 に 現 任 教 育 マ ニ ュ ア ル を 作 成 し て い く 。ま た 、今 後 、保 健 所の人材育成機能を活用した現任教育体制が構築できるように、保健所指導者ととも に、体制整備を行っていく。 ― 33 ― 1-4)-① 現任看護職者のキャリアアップをはかる事業 県内の助産師のネットワーク作りとキャリアアップをはかる事業 担当者:菅沼 ひろ子、橋口 奈穂美(宮崎県立看護大学) 上原 えり子、森 伴子、田中 優子、水畑 喜代子(宮崎県助産師会) 目的: 県 内 の 助 産 師 活 動 の 連 携 や 相 互 の 浸 透 を 図 る 助 産 師 の ネ ッ ト ワ ー ク 作 り と 、助 産 師 活 動 を さ ら に 活 性 化 す る こ と を 目 的 と し て 研 修 会・研 究 会 を 開 催 す る 。宮 崎 県 助 産 師会と合同で企画運営し、県内助産師の助産活動の質の向上に貢献する。 対象:県内に就業している助産師 内容: 実施内容: プログラム 回 日時 テーマ 講師 1 4 月 22 日 (日 ) 産科医療における医療 安全について学ぶ 宮崎大学医学部付属病院長 池ノ上克氏 2 7 月中旬 妊娠糖尿病の管理と 指導について 日本看護協会常任理事 福井トシ子氏 3 12 月 中 旬 フリースタイル分 娩 に つ い て ほ の か 助 産 院 院 長 (都 城 市 ) 安藤直美氏 4 3 月 9 日 (土 ) 助産師と研究 宮崎県立看護大学 長鶴美佐子氏 参加者へのアンケート調査 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 <実施状況及び結果> 回 テーマ 4 月 22 日 (日 ) 13:00∼ 16:00 産科医療補償制度 助産師のためのリス クマネージメント 2 9 月 22 日 (土 ) 13:00∼ 16:00 妊娠糖尿病のケア 日本看護協会常任理 福井トシ子氏 59 名 85% 3 11 月 10 日 (土 ) 13:00∼ 16:00 アクティブバース ほ の か 助 産 院 院 長 (都 城 市 ) 安藤直美氏 41 名 75% 4 3 月 9 日 (土 ) 助産師と研究 宮崎県立看護大学 長鶴美佐子氏 23 名 100% 1 講師 参加人数 アンケート 回収率 日時 宮崎大学医学部付属病院院長 池ノ上克氏 ― 34 ― 宮崎県助産師会 森伴子氏 38 名 71% ・宮崎県助産師会会員へは会から、非会員へは助産師の仕事研究会を通して県内助産師 へ周知した。 ・ 毎 回 ア ン ケ ー ト を 行 い 参 加 者 の 意 見 を 確 認 し た 。 ア ン ケ ー ト 回 収 率 は 、 71∼ 100%で あ った。 ・ア ン ケ ー ト 結 果 に つ い て 、第 1 回 は「 変 化 し て い く 医 療 へ の 勉 強 を 怠 っ て は い け な い 」 「些細な事でも医療事故につながるので気を付けたい」 「責任をもってケアすることを 改 め て 感 じ た 」。 第 2 回 は 「 実 践 に 役 立 ち そ う 」「 具 体 的 指 導 を し て い る と 思 っ た が 、 ま だ ま だ 患 者 の 生 活 に 沿 っ た 指 導 が で き て い な い と 感 じ た 」。第 3 回 は「 明 日 か ら の 仕 事 に 活 か し て い き た い 」「 実 技 が あ っ て 、 疑 問 が 少 し 解 決 し た 」、 第 4 回 は 「 実 際 に グ ループワークしたことで、アンケート(自由記載)の集計の仕方が少し頭の中で整理 された気がする。今後の病棟の仕事に活かしたい。 「 短 時 間 で の 演 習 で し た が 、他 者 の 意 見・グ ル ー プ の 成 果 が ス ト ン と 落 ち て き ま し た 。」 「 具 体 的 内 容 が 良 か っ た 。活 用 し た い 。」等 あ り 、ど の 回 も こ れ か ら の 実 践 に 役 立 つ と 評価していた。 (3)今 後 の 展 望 ・アンケートには、他施設の助産師と意見交換ができて良いことや、他施設の実践内容 を参考にしたい等が見られていたので、今後も、グループワークの時間を設け県内助 産師の繋がりが深められるように企画していく。 ・演習や実技及び事例検討会を含め、5 回の開催を予定している。 ― 35 ― 2.広報専門部会 2-1) 年間広報計画の策定 担当者:大館 真晴(宮崎県立看護大学) (1)事 業 計 画 目的: 本 学 の 広 報 活 動 を 円 滑 な も の と し 、効 率 化 を 図 る た め 年 間 広 報 計 画 の 策 定 し 広 報 活 動行う。 1.広 報 誌 の 作 成 と そ の 配 布 前 年 度 よ り の 継 続 事 業 と し て 、広 報 誌「 看 護 大 か ら こ ん に ち は 」を 年 間 2 回( 秋・ 春)発行し、本学の活動を広く社会に発信する。 平 成 24 年 度 広 報 誌 編 集 員 大館真晴・川原瑞代・橋口奈穂美・荒木瑞夫・河野義貴 2.学 外 向 け ウ ェ ブ の 管 理 運 営 と 情 報 発 信 本 学 の 活 動 お よ び 研 究 内 容 を 広 く 社 会 に 発 信 す る た め 、学 外 ウ ェ ブ を 管 理 運 営 し 広報活動を行う。 担当者 大館真晴、小河一敏、堅田浩明 対象:広報専門部会員 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 1.「 看 護 大 か ら こ ん に ち は 」を 春 号・秋 号 の 年 間 2 回 発 刊 す る こ と を 計 画 し 、VOL13( 秋 )、 VOL14( 春 )を 発 刊 し た 。そ の こ と に よ り 本 学 に お け る 社 会 活 動 や 学 生 生 活 等 を 広 く 社 会に発信できた。 2.「 宮 崎 県 立 看 護 大 学 看 護 研 究 ・ 研 修 セ ン タ ー 事 業 年 報 平 成 23 年 度 版 」を 発 刊 し 、広 報活動を行った。 3.本 学 の 行 う 公 開 講 座 に つ い て 、 チ ラ シ や ポ ス タ ー を 作 製 し 広 報 活 動 を 行 っ た 。 4.学 外 向 け ウ ェ ブ の 管 理 運 営 と 情 報 発 信 に つ い て は 以 下 の こ と を 行 っ た 。 教育情報の公表のページ更新 教 員 担 当 ペ ー ジ の 更 新 日 程 決 定・締 め 切 り の 周 知・サ ポ ー ト( 説 明 会 実 施 を 含 む ) ・Pre 公開・公開。大学院の修士論文題目、博士論文要旨については公開継続、学内委員会 および研究科担当ページの更新。各種事業に関する案内・報告のページ公開。 (3)今 後 の 展 望 (2)の 内 容 1∼ 4 の 事 業 を 新 た に 創 設 さ れ た 広 報 委 員 会 に ス ム ー ズ に 引 継 ぎ 、継 続 す る 。 『宮崎県立看護大学看護研究・研修センター事業年報』を発刊し、さらなる広報活動の 充実を図る。 ― 39 ― 3.コンソーシアム専門部会 3-1) コンソーシアム宮崎への支援 担当者:串間敦郎(宮崎県立看護大学) (1)事 業 計 画 目的: コ ン ソ ー シ ア ム 宮 崎 の 各 事 業 へ の 支 援 を は か り 、本 学 と し て も 広 報 活 動 等 に 活 発 に 利用していく。 対象:高等教育コンソーシアム宮崎加盟機関の教職員、在学生、県内の中・高校生等 内容: 活 動 の 活 性 化 を 図 る た め 、各 部 会 に 担 当 者 を 配 置 し 、活 動 状 況 を 共 有 し た 全 学 的 協 力体制づくりをする。 (2)実 施 状 況 及 び 結 果 今年度は昨年同様教育・研究連携、学生交流、地域連携の 3 つの事業実施部会で、次 の事業を実施した。括弧内は担当者。 教 育 ・ 研 究 連 携 − FD 事 業 ( 末 吉 )、 単 位 互 換 ( コ ー デ ィ ネ ー ト 科 目 事 業 )( 川 北 、 工 藤 ) 学生交流 − 学 生 イ ン タ ー ゼ ミ ナ ー ル 事 業 (末 吉 )、イ ン タ ー ン シ ッ プ 事 業( 堅 田 )、 就職活動事業(岡村) 地域連携 − 合 同 進 学 説 明 会 事 業 ( 工 藤 )、 公 募 型 卒 業 研 究 テ ー マ 事 業 ( 橋 口 )、 県との連携強化(今年度各大学選出せず) ま た 事 業 を 機 動 的 に 進 め て い く た め に 、昨 年 同 様 企 画 会 議 で 事 業 の 企 画 や 運 営 に つ い て 協議され、実施部会長主導で事業が進められていった。 本学が今年度関連した各事業について以下にまとめる。 ・ FD FD 研 修 会 が 、 宮 崎 公 立 大 学 で 「 FD の 現 在 と コ ン ソ ー シ ア ム の 課 題 に つ い て 」 と い う テ ー マ で 3 月 2 日 に 開 催 さ れ た 。参 加 校 は 、宮 崎 大 、公 立 大 、看 護 大 、南 九 大 、産 経 大 、 国 際 大 、南 九 短 大 、学 園 短 大 、都 城 高 専 で あ っ た 。本 学 は 串 間 教 授 と 末 吉 講 師 が 参 加 し た。各大学の報告と事例発表が 6 大学から行われ、活発な討議が行われた。 ・コーディネート科目 今 年 も 宮 崎 公 立 大 学 を 会 場 に 10 月 27 日 か ら 12 月 8 日 ま で 「 宮 崎 の 郷 土 と 文 化 」 の テ ー マ で 実 施 さ れ 、 66 名 の 受 講 者 が あ っ た が 、 本 学 か ら は 履 修 は い な か っ た 。 15 回 の 授業のうち 1 回の授業については、本学より講師として「それぞれの日向神話−古事 記・日本書紀の比較から」という題目名で大館先生に担当して頂いた。 ・単位互換 本 学 か ら は 、「 宇 宙 地 球 科 学 」( 小 河 准 教 授 )、「 宮 崎 の 文 化 」( 大 館 准 教 授 ) の 2 科 目 を 提 供 し た が 、受 講 生 は い な か っ た 。ま た 本 学 の 学 生 で 、他 大 学 の 単 位 互 換 科 目 を 履 修 した学生は今年もいなかった。 ・合同進学説明会 授 業 体 験 会 を 12 月 8 日 (土 )に 、宮 崎 公 立 大 学 で 延 べ 1044 名 を 集 め 実 施 さ れ た 。ま ず 宮崎大学の藤墳准教授が「分野別学部学科マップ:県内でこれだけのことが学べます」 ― 43 ― と い う テ ー マ で 、参 加 者 全 員 に ガ イ ダ ン ス を 行 っ た 。そ の 後 、各 会 員 校 の 模 擬 授 業 を 実 施 ( 10 校 延 べ 37 講 義 )。 本 学 は 、 寺 島 教 授 が 「 消 化 管 を よ く 働 か せ て 健 康 度 を 高 め よ う 」 と い う テ ー マ で 講 義 し 、 2 コ マ 併 せ て 63 名 が 受 講 し た 。 (3)今 後 の 展 望 本学としては、コンソーシアムの事業に対して協力可能な事業には積極的に協力して い る 。コ ー デ ィ ネ ー ト 科 目 と 単 位 互 換 に 関 し て は 、今 年 も 本 学 学 生 の 参 加 は 無 か っ た が 、 次年度はコーディネート科目の事務担当校になっているため、担当にあたっての体制作 りが必要となる。 今年も企画会議を中心に、迅速に事業が進められていったようだが、会員校に対して の 連 絡 不 足 、遅 れ が あ っ た 。今 後 は 会 員 校 の 各 事 業 担 当 者 へ の 連 絡 の 徹 底 が 求 め ら れ る 。 ま た 、12 月 8 日 に「 合 同 進 学 説 明 会 」、「 学 生 イ ン タ ー ゼ ミ ナ ー ル 」、「 コ ー デ ィ ネ ー ト 科 目」の 3 事業が行われたことから、事業日の重複がないよう早期に調整を図るべきであ った。 ― 44 ― 4.その他センターに関する重要事項 4-1 ) 認 定 看 護 師 教 育 課 程 ( 感 染 管 理 ) 開 設 準 備 事 業 担当者:栗原 保子、小野 美奈子、島内 千恵子、邊木園 幸、毛利 聖子 寺島 久美、松本 憲子、川原 瑞代 (宮崎県立看護大学看護研究・研修センター) (1)事 業 計 画 目的: 医 療 関 連 感 染 の 予 防 と 管 理 に つ い て 熟 練 し た 看 護 の 知 識 と 技 術 を 用 い て 、看 護 実 践 が で き る 感 染 管 理 認 定 看 護 師 を 育 成 す る こ と は 、安 全 な 医 療 を 提 供 す る た め に 重 要 な こ と で あ る 。ま た 、医 療 機 関 に 感 染 管 理 認 定 看 護 師 を 専 従 又 は 専 任 で お く こ と で 感 染 防 止 対 策 加 算 が で き る 、と な っ て お り 、診 療 報 酬 上 も 感 染 対 策 を 推 進 す る た め の 役 割 が 期 待 さ れ て い る 資 格 で あ る 。感 染 管 理 分 野 の 認 定 看 護 師 教 育 課 程 は 、全 国 の 10 機 関 で 開 設 さ れ て い る が 九 州 管 内 に は な く 、 最 も 近 い 場 所 で 山 口 県 で あ り 、 県 内 の 看 護 職 が 受 講 し に く い 環 境 と な っ て い る 。 平 成 24 年 4 月 現 在 、 県 内 の 感 染 管 理 認 定 看 護 師 は 7 人 で あ り 、県 内 の 病 院 数 が 143 施 設 で あ る こ と や 、安 全 な 医 療 を 提 供 す る こ と が 施 設 に お い て 重 要 な 課 題 で あ る こ と を 考 え る と 、安 全 な 医 療 の 実 現 の た め に 、感 染 管 理 認 定 看 護 師 を 県 内 で 育 成 す る こ と へ の ニ ー ズ は 高 い 。以 上 の こ と か ら 、宮 崎 県 立 看 護 大 学 看 護 研 究・研 修 セ ン タ ー に お い て 感 染 管 理 分 野 の 認 定 看 護 師 教 育 課 程 を 開 設 す る こ と が で き れ ば 、県 内 の 医 療 機 関 の 看 護 職 の 質 の 向 上 が 図 ら れ る と と も に 、 県 民 の 保 健 医 療 福 祉 の 向 上 に つ な が る と 考 え 、 平 成 26 年 度 の 開設目指して準備に取り組む。 対象:県内看護職 内容: ①教育課程を編成する ②実習施設及び実習指導者を確保する ③教員の専門性の向上のために専任教員予定者を研修派遣する ④学生募集にむけた活動、広報等を行う ⑤教育環境整備を行う ⑥その他、教育課程開設に向けて必要なことを行う (2)実 施 状 況 及 び 結 果 認 定 看 護 師 教 育 課 程( 感 染 管 理 )開 設 準 備 部 会 設 置 要 綱 を 定 め 、教 育 課 程 編 成 班 、実 習 施 設 確 保 班 、教 育 環 境 整 備 班 の 3 つ の 班 を 編 成 し 、タ イ ム ス ケ ジ ュ ー ル に 沿 っ て 下 記 のように準備を進めてきた。 平 成 24 年 4 月 ・地域貢献等推進事業に「認定看護師教育課程(感染管理)準備事業」採択 ・教員予定者専門看護師コース派遣 6月 ・ 6/1∼ 6/29 県 内 ニ ー ズ 調 査 ( 医 療 薬 務 課 ) ・ 6/22 < 第 1 回 部 会 (全 体 会 ) > ― 47 ― *組織体制、役割分担、タイムスケジュールの検討合意 班会実施(担当毎に資料案の作成 7 月∼9 月) 9月 ・ 9/4 山 口 県 立 大 学 情 報 収 集 ・ 9/13 北 里 大 学 情 報 収 集 ・ 9 月 ∼ 11 月 実 習 施 設 確 保 訪 問 ・ 9/27 < 第 2 回 部 会 (班 長 会 ) > *視察情報の共有と全体会に向けた方向性の確認 10 月 ・県内ニーズ調査まとめ(教育課程編成班) 11 月 ・ 11/27 < 第 3 回 部 会 (全 体 会 ) > *教育課程案、実習施設案、教育環境整備案の検討、合意 12 月 ・ 12/12 衛 生 環 境 研 究 所 視 察 ・ 12/20 < 第 4 回 部 会 (全 体 会 ) > *収支予算の検討、合意 25 年 1 月 ・学長、協会長日本看護協会訪問 ・ 1/11 < 第 5 回 部 会 (班 長 会 ) > *県との協議内容検討 ・ 1/17 県 と の 協 議 ・ 1/25 < 第 6 回 部 会 (全 体 会 ) > *県との協議内容報告、開設年度、専用教室の合意 3月 ・ 3/2 宮 崎 県 看 護 研 究 学 会 に て ニ ー ズ 調 査 結 果 発 表 ・ 3/26 < 第 7 回 部 会 (全 体 会 ) > *班別準備状況の共有、申請様式に沿った検討 3 カ所の認定看護師教育機関への訪問、情報収集を行うと共に、各班での検討、7 回 の部会の開催、日本看護協会への相談 1 回、県との協議 1 回を行い準備を進めてきた。 平 成 26 年 度 の 開 設 を 目 指 し て 順 調 に 準 備 が 進 ん で い る 。 (3)今 後 の 展 望 8 月 申 請 に 向 け て 準 備 と 書 類 の 作 成 を 行 っ て い く 。認 定 看 護 師 教 育 課 程 受 験 者 の 底 上 げ を は か る こ と を 目 的 に「 平 成 25 年 度 感 染 管 理 ス キ ル ア ッ プ 研 修 会 」を 9 月 ∼ 11 月 で 実施する。 ― 48 ― Ⅱ 研 究 報 告 大学に期待されるおもちゃを媒体とした子育て支援の活動 −「おもちゃ広場」に訪れた参加者への調査から− キーワーズ:子育て支援 未就学児 母親のニーズ おもちゃ 大学の地域貢献 甲斐鈴恵、末吉真紀子、吉田幸代、花野典子(宮崎県立看護大学) Ⅰ.はじめに 近年、少子化が進み、地域社会の結びつきの希薄化もあり、子育てを身近に体験できな いまま母親となり、母親になってはじめて子どもの世話を経験する女性が増えている。加 えて、近年の子育ては情報が山積みされており、不必要な情報も多く、情報に振り回され 身近に相談する人もなく、子どもが思うように育たないために育児に不安をかかえる母親 が 増 加 し て い る 。宮 崎 県 は 2012 年 、合 計 特 殊 出 生 率 1.68( 全 国 1.39)、離 婚 件 数 2200 件 、 離 婚 率 22% (全 国 20% )で あ り 、 ひ と り 親 と 子 ど も か ら な る 世 帯 は 、 平 成 17 年 9.3% 、 平 成 22 年 9.8% と 増 加 傾 向 に あ る 。ま た 、県 内 ・ 県 外 の 転 勤 者 も 多 く 、近 く に 気 軽 に 相 談 で きる仲間がつくれず、孤立化している家族もいる。 本 学 で は 、地 域 貢 献 の 一 環 と し て 、2005 年 よ り 看 護 職 者 で あ る 小 児 看 護 学 教 員( 以 下 看 護教員とする)によるおもちゃを媒体とした「おもちゃ広場」を開催している。初夏と秋 に 2 回 /年 、8 年 間 継 続 し 実 施 す る 中 で 、多 く の 親 子 が 集 い 、子 ど も と ゆ っ く り 過 ご し 、子 どもと楽しむ様子や子育てについて語らう姿が観察されている。 こ れ ら お も ち ゃ 広 場 を 通 し た 看 護 実 践 の 中 か ら 、 2006 年 に 末 吉 ら 1 ) は 、 ス タ ッ フ で あ る教員が、来場した家族の様子を観察し、再構成した場面を分析し、育児支援におけるお も ち ゃ 広 場 の 役 割 を 意 味 づ け 、看 護 者 が 担 う 育 児 支 援 の 方 向 性 を 取 り だ し 、花 野 2 ) は 、子 育て支援に必要な実践上の指針を取りだすという研究的取り組みを行ってきた。それらの 方向性や指針を意識しながら、支援活動を行ってきたが、実際におもちゃ広場に参加して いる保護者が、看護教員による子育て支援活動に何を求めているのか、支援の方向性は合 致しているのか再確認することの必要性を感じた。 そこで、今回、おもちゃ広場に参加した保護者の感想、および、看護教員が観察した親 子の様子から、おもちゃ広場に求めている保護者の期待やニーズを明らかにしようと研究 に取り組んだ。 Ⅱ.研究目的 おもちゃ広場に参加している保護者の期待やニーズを探り、看護教員による子育て支援 の役割、おもちゃ広場の役割を明らかにする。 Ⅲ.研究方法 1.対象調査 平 成 24 年 9 月 11 日 、12 日 に 実 施 し た お も ち ゃ 広 場 に 参 加 し た 子 ど も の 両 親・祖 父 母 59 名への調査用紙、および、看護教員が観察した親子の様子。 2.データ収集方法 1) 「 お も ち ゃ 広 場 」の 参 加 回 数 、子 ど も の 年 齢 、開 催 に つ い て の 情 報 源 、参 加 動 機 、参 ― 51 ― 加 後 の 感 想 か ら な る 調 査 用 紙 を 作 成 し 、「 お も ち ゃ 広 場 」 入 室 時 に 、 利 用 の 仕 方 の 説明と同時に、記入を依頼し、退室までの間に提出された記入された調査用紙をデ ータとする。 2)看護教員が来場した家族の様子を観察し、子育て支援になり得たと思われた場面を 記録に残す。 3.分析方法 1)調査表の参加回数や参加動機等の項目は単純集計を行う。 2)調査表の自由記載の感想、および、看護者が観察して記録した場面については、得 られた文章を文脈ごとにカードに分け、意味内容を読み取る。 3)2)をもとに意味内容の共通性と相異性をもとに類別、カテゴリー化し、おもちゃ を媒体とした子育て支援の効果について分析する。分析に関しては、研究者間の合 意が得られるまで検討をくり返し信頼性の確保に努めた。 4.倫理的配慮 おもちゃ広場に参加している保護者に、看護職者による子育て支援の一環であること、 及び、研究の一環であること、おもちゃ広場活動中は育児支援に専念していること、研究 を拒否しても支援内容に影響することがないことを口頭で説明する。また、調査に関して は、回答を研究に使用すること、個人が特定されないよう配慮を行うこと、調査用紙記入 の参加は自由であることを説明し、記入された調査用紙の提出により、同意が得られたと 判断した。 Ⅳ.おもちゃ広場の活動の概要 地 域 子 育 て 支 援 事 業 の 一 環 と し て 、2005 年 よ り、子育て中の親(主に母親)が気軽に参加で き、個別な子育て相談にも応じる場として開催 している。母親が育児に対して不安や疑問を感 じやすい時期に支援の重点目標を置いているた め、対象者は、主に未就学児(学校に行ってい ない子ども)とその保護者であるが、親子の参 加であれば就学児も活用できる場としている。 スタッフとして看護師・保健師資格を持つ看護 教員、および、おもちゃコンサルタント、看護 学生を配置し、気軽に声がかけられ、子育て相 談を気軽に行えるように一緒に遊ぶ中で関係が 深まるよう配慮している。 実 習 室 を 一 時 的 に 開 放 し 広 さ 約 800m 2 の ス ペースにジョイントマットを広げ、おもちゃを 配置している。おもちゃは、看護大が所有して い る 市 販 の 250 点 と 、 県 内 の お も ち ゃ 作 家 に よ る木工創作玩具を使用。おもちゃの種類は、伝 「「おおももちちゃゃ広広場場」」のの場場面面 統的なもの、遊ぶ人がおもちゃに働きかけないと動かないもの(グットトイ認定玩具)を ― 52 ― 中心としている。 参 加 料 は 無 料 で 、例 年 初 夏 開 催 時 に は 200∼ 350 名 、秋 開 催 時 に は 40∼ 120 名 の 来 場 者 が いる。 Ⅴ.結果 1 . 調 査 に 賛 同 し 協 力 を 得 ら れ た 保 護 者 の 調 査 用 紙 は 44 名 で あ っ た 。( 回 収 率 74.5%) 2.参加者の背景 1)おもちゃ広場に参加した回数 「 は じ め て 」は 31 名( 70.5% )、 「 2 回 目 」は 7 名( 15.9% )、 「 3 回 目 」は 5 名( 11.4% )、 「 4 回 以 上 」 は 1 名 ( 2.3% ) で あ っ た 。 2)子どもの年齢(複数回答 可) 「 1 歳 未 満 」 は 5 人 ( 10.4% )、「 1 歳 以 上 ∼ 2 歳 未 満 」 は 22 人 ( 45.8% )、「 2 歳 以 上 ∼ 3 歳 未 満 」 は 12 人 ( 25.0% )、「 3 歳 以 上 ∼ 4 歳 未 満 」は 4 人 ( 8.3% )、「 4 歳 以 上 」 は 5 人 ( 10.4% ) で あ っ た 。 3 )「 お も ち ゃ 広 場 」 を 、 知 っ た き っ か け ( 複 数 回 答 可) 「 人 か ら 聞 い た 」 は 21 名 ( 47.7% )、「 新 聞 を み た 」 は 15 名 ( 34.1% )、「 チ ラ シ を み た ( 大 学 、支 援 セ ン タ ー 、文 化 セ ン タ ー・お も ち ゃ 屋 、病 院 、保 育 園 、回 覧 板 )」は 10 名( 22.7% )、 「 看 護 大 ホ ー ム ペ ー ジ を 見 た 」 は 6 名 ( 13.6% )、「 そ の 他 ( 回 覧 板 )」 は 2 名 ( 4.5% ) で あった。 4)参加したいと思ったきっかけ(複数回答 可) 「 子 ど も が 喜 び そ う だ か ら 」 は 43 名 (97.7% )、「 お も ち ゃ に 興 味 が あ っ た か ら 」 20 名 ( 45.4% )、 「 他 の 子 ど も・家 族 と も 仲 良 く な れ そ う だ か ら 」は 4 名( 9.1% )、 「子育てに関 す る 情 報 が 得 ら れ そ う だ か ら 」 は 2 名 ( 4.5% )、「 そ の 他 」 は 2 名 ( 4.5% ) で 「 周 り に 同 じ位の年の子がいない」 「 遠 く に 住 ん で い る マ マ 友 と 打 ち 合 わ せ を し て 、集 合 し て 遊 べ る か ら」であった。 5)参加した感想について 「 と て も 楽 し か っ た 」は 38 名( 86.3% )、「 楽 し か っ た 」は 6 名( 13.6% )、 「楽しくなか っ た 」 は 0 名 ( 0% ) で あ っ た 。 3.調査用紙の自由記載、および、看護教員が観察して起こした場面の結果 調 査 用 紙 の 提 出 さ れ た 44 名 の 感 想 の 自 由 記 載 を 文 脈 ご と に 分 け 、42 の 記 述 が 得 ら れ た 。 ま た 、看 護 教 員 が 観 察 し て 記 録 し た 場 面 か ら は 29 の 記 述 が 得 ら れ た 。そ れ ら の 意 味 内 容 を 読み取り、共通性と相異性をもとに類別、カテゴリー化し、おもちゃを媒体とした子育て 支 援 の 効 果 に つ い て 分 析 し た と こ ろ 、表 の と お り 11 個 の サ ブ カ テ ゴ リ ー 、3 個 の カ テ ゴ リ ー が 生 成 さ れ た 。以 下 、感 想 記 述 の 文 脈 を「 の様子を観察し得た記述を『 」、ス タ ッ フ で あ る 看 護 教 員 が 来 場 し た 家 族 』、 サ ブ カ テ ゴ リ ー を < >、カテゴリーを【 】で示す。 1)親と子どもがおもちゃを通して楽しみを共有体験できる場 感想から「木のおもちゃはとても温もりがあって、普段使わない分、新鮮でおもしろか った」 「 木 の お も ち ゃ は 温 も り が あ り 、安 全 な 上 、様 々 な 作 品 を 見 て 奥 が 深 い 」と い う 記 述 が 得 ら れ た 。 ま た 、 観 察 記 録 か ら は 、『「 ほ と ん ど が 木 の お も ち ゃ な ん で す ね 」 と 母 親 が 発 ― 53 ― した言葉を受け、自然のものに触れ合う感触を実感できるように、看護教員は展示してい るおもちゃの紹介を行う』などの記述が得られた。これらから、プラスチックでは味わえ ない木の温もりや適度な重さなどの感触を親子が体感していると思われ、<おもちゃの木 の温もりを親子が実感する>というサブカテゴリーを抽出した。 また、感想から「市販にない木のおもちゃに触れさせられる体験ができてありがたい機 会」 「 手 作 り の お も ち ゃ に 触 れ る 機 会 は は じ め て だ っ た の で い い 経 験 」と い う 記 述 が 得 ら れ た 。ま た 、観 察 記 録 か ら は 、 『 創 作 の 木 の お も ち ゃ に 関 心 を 持 っ た 親 子 に 、宮 崎 在 住 の お も ちゃ作家の紹介や、創作おもちゃの意図やどのように作られているかなどを説明する』な どの記述が得られた。これらから、おもちゃ作家による想像豊かなおもちゃに触れ合う体 験を実感していると思われ、<手作りの木のおもちゃに親子が驚き触れる>というサブカ テゴリーを抽出した。 また、感想から「家にはないおもちゃがたくさんあって楽しかった」という記述が得ら れ た 。ま た 、観 察 記 録 か ら は 、 『 子 ど も が 夢 中 に な っ て 遊 ん で い る と き に 、側 に い る 母 親 に 、 そのおもちゃの利点やスタッフが選んだ意図などを伝えると、改めて、おもちゃの良さに 気づく』 『 看 護 教 員 が 遊 び 方 の モ デ ル を 示 す と 、興 味 深 そ う に の ぞ き 込 み 、母 親 自 ら 楽 し そ うに遊び始める。その様子をみた、子どもが一緒に参加する』などの記述が得られた。こ れらから、日常とは違った様々な興味深いおもちゃに触れていると思われ、<子どもにと って、多種多様の興味深いおもちゃに魅惑され感動する>というサブカテゴリーを抽出し た。 また、感想から「毎回楽しそうに遊ぶのでおもちゃ広場大ファン」という記述が得られ た 。ま た 、観 察 記 録 か ら は 、 『 子 ど も だ け で な く 母 親 に も 触 れ て 遊 ぶ こ と を 促 す と 、母 親 も 夢中になって遊び始める姿もあった』 『 子 ど も の 興 味 を 誘 う か の よ う に 、母 親 が 遊 び の モ デ ル を 示 し 、子 ど も が お も ち ゃ に 導 か れ て 遊 び 始 め る 』な ど の 記 述 が 得 ら れ た 。こ れ ら か ら 、 子どものみでなく、親の心が動き楽しんでいると思われ、<親自身が楽しめる場>という サブカテゴリーを抽出した。 これらの 4 つの意味内容は、親と子どもが同じおもちゃや時間を共有し、感動を共にし ていることから、 【 親 と 子 ど も が お も ち ゃ 遊 び を 通 し て 楽 し み を 共 有 体 験 で き る 場 】と い う カテゴリーとした。 2)おもちゃ遊びを通して気づく子どもの成長・発達 感 想 か ら「 た く さ ん の お も ち ゃ が あ っ て 、自 分 の 子 ど も が ど ん な お も ち ゃ が 好 き な の か 、 知りたかったのでとてもよかった」 「いろいろなおもちゃと遊ぶことができて子どもの興味 のある遊びを知ることができて親子楽しい時間を過ごすことができた。子どもはいろんな 遊 び 方 を す る の だ と 思 っ た 」と い う 記 述 が 得 ら れ た 。ま た 、観 察 記 録 か ら は 、 『看護教員が、 子どもの年齢発達に応じたおもちゃを選び、興味を惹くような遊び方を行うと、その動き に導かれて笑顔で遊び始める』などの記述が得られた。これらから、おもちゃで遊ぶ姿か ら、日常では気づかなかった子どもの一面に気づいていると思われ、<親が子どもの様子 を観察し、新たな一面を発見する>というサブカテゴリーを抽出した。 また、感想から「前回のことを覚えていたり、前回より楽しめていたりして成長が感じ ら れ た 」 と い う 記 述 が 得 ら れ た 。 ま た 、 観 察 記 録 か ら は 、『「 去 年 は こ の お も ち ゃ が 好 き だ ― 54 ― ったのに、今年は見向きもしないね。今年は、これがヒットみたい」と我が子の遊び方の 変 化 を 実 感 』『「 自 分 よ り 小 さ い 子 に お も ち ゃ を 貸 し て あ げ て る 。 そ う い う こ と も で き る よ う に な っ た ん だ 」と 子 ど も 同 士 の 関 わ り を 見 て 話 す 母 親 』 『看護教員は子どもが上手にでき たことを喜び、母親が子どもの成長発達を再確認できる場となるよう導く』などの記述が 得られた。これらから、前回と今回の様子を比較するきっかけとなり、また、普段他の小 さな子どもと接する機会が少ないため年上的な思いやりの行動をとる我が子の様子を改め て感じる機会となっていると読み取り、<親が子どもの様子を観察し、成長している一面 の発見>というサブカテゴリーを抽出した。 また、感想から「久々に同年代の子ども達が遊ぶ場所に来れて、息子が楽しそうで私も 嬉しかった」 「 他 の お 子 さ ん と も 遊 べ て 、と て も 楽 し そ う に し て く れ た の で よ か っ た 」と い う 記 述 が 得 ら れ た 。ま た 、観 察 記 録 か ら は 、 『3 歳位の女児が 2 歳位の女児にお人形遊びを する仕草を見せていた。その後、2 歳位の女児が、真似をして上手にお人形遊びをしてい た』 『 身 近 に 子 ど も が い な い の で け ん か を す る 機 会 が な い た め 、同 じ お も ち ゃ を 取 り 合 っ た 。 少し見守った後に、子ども達を上手に導いてけんかとならないように声かけしている親の 姿があった』などの記述が得られた。これらから、子ども同士がお互いに刺激となって成 長し合っている様子から、<子ども同士が刺激となって育ちあう>というサブカテゴリー を抽出した。 これらの 3 つの意味内容は、おもちゃや子どもの遊び方を通して子どもの新たな一面や 成長の過程に気づき実感できていると思われることから、 【おもちゃ遊びを通して気づく子 どもの成長・発達】というカテゴリーとした。 3)場に安心し自然に相談が行われ、求めていた情報が得られる 感想から「日頃家事に追われて、ゆっくり遊んでやれないのでじっくり相手をすること ができてよかった」という記述があり、<遊びのために確保された場所で遊ぶ体験>とい うサブカテゴリーを抽出した。 また、感想から「とても気軽に参加出来た」という記述が得られた。また、観察記録か ら は 、『「 こ の 時 間 は 、 じ っ く り 、 こ の 子 と 遊 ぼ う っ て 思 っ て 、 ず っ と 前 か ら 調 整 し て き た んですよ」と笑顔で話される母親がいる』などの記述が得られた。これらから、このよう な場を楽しみに心から待ち望み、子どもと接していると思われることから、<リラックス してじっくり向かい合い参加出来る場>というサブカテゴリーを抽出した。 観 察 記 録 か ら 『「 看 護 師 さ ん な ん で す か ? で し た ら 、 聞 き た い こ と が あ る ん で す け ど・・・・・こ ん な こ と も 聞 い て い い ん で す か ? 」』 『「 ち ょ っ と し た 便 秘 や 食 事 の こ と は 大 きな病気ではないので、わざわざ相談のために時間をとり、病院に行くのもためらいがあ る 」な ど の 思 い が 表 出 さ れ た 』 『 子 ど も が 上 手 に 遊 ん で い る 様 子 を 共 に 喜 び 、暫 く 側 に い る と 、母 親 か ら 、予 防 接 種 の 受 け 方 や 食 事 や 排 泄 な ど に つ い て 、ぽ つ り ぽ つ り と 話 し 始 め た 』 などの記述が得られた。これらから、ふとした瞬間に、子どものことで気になっていたこ とを母親が話題にしていることから、<自然と心に留まっていたことが表出される場>と いうサブカテゴリーを抽出した。 観 察 記 録 か ら『「 一 般 的 に は 、こ の 位 の 子 っ て 、ど ん な こ と が 出 来 る よ う に な る ん で す か ? 」 と 子 ど も の 遊 ぶ 様 子 を 見 て 話 さ れ る 母 親 』『 近 く で 遊 ぶ 子 ど も の 様 子 を み て 、「 う ち の 子 は ― 55 ― あ の 子 と 同 じ く ら い な の か し ら 」 と 、 気 に か け た 母 親 の 様 子 が あ っ た 』『「 う ち の 子 と 同 じ 位の子に出会う機会がなくて・・・」と話される母親』などの記述が得られた。これらか ら、子どもに関する情報を求めていると思われ、<子どもの成長発達などについての情報 が 欲 し い 母 親 >と い う サ ブ カ テ ゴ リ ー を 抽 出 し た 。 これらの 4 つの意味内容は、子どもの遊ぶ様子を安心して見守り、そばに居る看護教員 に安心ができたときに少しずつ会話が始まりやり取りが始まることから、 【場に安心し自然 に相談が行われ、求めていた情報が得られる】というカテゴリーとした。 表 カテゴリ ー 親と子ど もがおも ちゃを通 して楽し みを共有 体験でき る場 サブカテ ゴリー おもちゃ の木の温 もりを親 子が実感 する 手作りの 木のおも ちゃに親 子が驚き 触れる 子どもに とって、 多種多様 の興味深 いおもち ゃに魅惑 され感動 する おもちゃを媒体とした子育て支援の効果についての分析 記述 ・木のおもちゃはとても温もりがあって、普段使わない分、新鮮でおもしろか った ・木のおもちゃは温もりがあり、安全な上、様々な作品を見て奥が深いと思い ました ・遊 ん だ こ と の な いお もち ゃ や 、木 の お も ち ゃ にと て も 楽 し く 遊 ば せ て もら い ました ・木の温もりがありよかった ・木のおもちゃがたくさんあったので嬉しかった ・木のおもちゃがたくさんあったのにびっくりした ・木のおもちゃは普段触れることがないので,遊んで親も楽しかった ・見たことがないような木のおもちゃもあり楽しかった ・木のおもちゃがたくさんあって楽しく遊べた ・木のおもちゃは本当によく考えて作ってあり、そして、子どもも夢中になっ て遊べるものばかりでよかったです ・木のおもちゃや、触れたことのないおもちゃがたくさんあり、とても楽しか ったです *「ほとんどが木のおもちゃなんですね」と母親が発した言葉を受け、自然の も の に 触 れ 合 う 感 触 を 実 感 で き る よ う に 、ス タ ッ フ は 展 示 し て い る お も ち ゃ の紹介を行う ・市販にない木のおもちゃに触れさせられる体験ができてありがたい機会 ・手 作 り の お も ち ゃ に 触 れ る 機 会 は は じ め て だ った の で い い 経 験 に な り まし た ・手作りの木のおもちゃがよかった * 創 作 の 木 の お も ち ゃ に 関 心 を 持 っ た 親 子 に 、宮 崎 在 住 の お も ち ゃ 作 家 の 紹 介 や、創作おもちゃの意図やどのように作られているかなどを説明する * 創 作 の 木 の お も ち ゃ の 遊 び 方 を 示 し 、親 子 が 楽 し く 遊 び を 展 開 で き る よ う に 導く *創作の木の感触に触れ合えて遊べるよう促す ・家にはないおもちゃがたくさんあって楽しかった ・家にはないおもちゃで遊ぶ姿が見られた ・いつもと違うおもちゃと遊べて喜んでいた ・おもちゃがたくさんあって(家にないおもちゃ)子どもが大喜び ・いろんなおもちゃがあるので、子どもが自由にできてよかった ・支 援 セ ン タ ー に な い よ う な お も ち ゃ が た く さ んで 子 ど も も 喜 ん で い た し親 も 楽しめた ・普段使うことのないおもちゃがたくさんあり刺激になる ・家にはないおもちゃで子どもを遊ばせることができて楽しかった * 子 ど も が 夢 中 に な っ て遊 ん で い る と き に 、側 にい る 母 親 に 、そ の お も ちゃ の 利 点 や ス タ ッ フ が 選 ん だ意 図 な ど を 伝 え る と 、改め て 、お も ち ゃ の 良 さ に気 づく * 看 護 者 が 遊 び 方 の モ デル を 示 す と 、興 味 深 そ うに の ぞ き 込 み 、母 親 自 ら楽 し そうに遊び始める。その様子をみた、子どもが一緒に参加する *子どもの興味を惹くように看護者がボールを穴に落として転がるボールを 見 せ る と 、子 ど も が お もち ゃ に 引 き 寄 せ ら れ 、夢中 に な っ て 遊 ぶ 姿 に 親 が喜 ぶ * 6 ヶ 月 の 月 齢 児 、1 歳 の 月 齢 児 、2 歳 の 月 齢 児 な ど に 応 じ た お も ち ゃ を 紹 介 し て遊べるよう促す ― 56 ― 親自身が 楽しめる 場 おもちゃ 遊びをを 通して気 づく子ど も の 成 長・発達 親が子ど もの様子 を 観 察 し、新た な一面を 発見する 親が子ど もの様子 を 観 察 し、成長 している 一面の発 見 子ども同 士が刺激 となって 育ちあう 場に安心 し自然に 相談が行 われ、求 めていた 情報が得 られる 遊びのた めに確保 された場 所で遊ぶ 体験 リラック スしてじ っくり向 かい合い 参加出来 る場 自然と心 に留まっ ていたこ とが表出 される場 ・毎回楽しそうに遊ぶのでおもちゃ広場大ファンです ・親子で楽しめた ・自身も楽しむことができた。また、来たい ・楽しめた。また、是非開催をお願いします ・子どもも楽しそうに遊んでいました ・定期的に実施してもらえたら嬉しいです * 子 ど も だ け で な く 母 親 に も 触 れ て 遊 ぶ こ と を 促 す と 、母 親 も 夢 中 に な っ て 遊 び始める姿もあった *子どもの興味を誘うかのように、母親が遊びのモデルを示し、子どもがおも ちゃに導かれて遊び始める ・た く さ ん の お も ち ゃ が あ っ て 、自 分 の 子 ど も が ど ん な お も ち ゃ が 好 き な の か 、 知りたかったのでとてもよかった ・い ろ い ろ な お も ち ゃ と 遊 ぶ こ と が で き て 子 ど もの 興 味 の あ る 遊 び を 知 るこ と が で き て 親 子 楽 し い 時 間 を 過 ご す こ と が で き ま し た 。子 ど も は い ろ ん な 遊 び 方をするのだと思った ・子どもがどんなことに興味を示すのかが分かってよかった ・子どもの興味のあるおもちゃが分かった ・ころころ転がるものが好きだった ・子どもが興味深そうに遊んでいて親としては満足だった * 看 護 者 が 、子 ど も の 年齢 発 達 に 応 じ た お も ち ゃを 選 び 、興 味 を 惹 く よ うな 遊 び方を行うと、その動きに導かれて笑顔で遊び始める *「そんなおもちゃが好きだったんですね。知らなかった」と子どもが家にな いおもちゃで遊ぶ姿を見て驚き喜ぶ母親 ・前回のことを覚えていたり、前回より楽しめていたりして成長が感じられた *「 去 年 は こ の お も ち ゃ が 好 き だ っ た の に 、今 年 は 見 向 き も し な い ね 。今 年 は 、 これがヒットみたい」と我が子の遊び方の変化を実感 *「自分より小さい子におもちゃを貸してあげてる。そういうこともできるよ うになったんだ」と子ども同士の関わりを見て話す母親 * 看 護 者 は 子 ど も が 上 手 に で き た こ と を 喜 び 、母 親 が 子 ど も の 成 長 発 達 を 再 確 認できる場となるよう導く * 穴 に 入 れ る こ と が で きた 、ボ ー ル を 握 る こ と がで き た な ど の 、で き た 出来 事 を脳の発達と重ねて母親にフィードバックする *「 こ の く ら い の こ と が出 来 る よ う に な っ た 。つい こ の 前 ま で で き な か った の に」と話す母親 ・ 久 々 に 同 年 代 の 子 ど も 達 が 遊 ぶ 場 所 に 来 れ て 、息 子 が 楽 し そ う で 私 も 嬉 し か った ・他のお子さんとも遊べてとても楽しそうにしてくれたのでよかった * 3 歳 位 の 女 児 が 2 歳 位 の 女 児 に お 人 形 遊 び を す る 仕 草 を 見 せ て い た 。そ の 後 、 2 歳位の女児が、真似をして上手にお人形遊びをしていた * 身 近 に 子 ど も が い な い の で け ん か を す る 機 会 が な い た め 、同 じ お も ち ゃ を 取 り 合 っ た 。少 し 見 守 っ た後 に 、子 ど も 達 を 上 手 に導 い て け ん か と な ら な いよ うに声かけしている親の姿があった ・日頃家事に追われて、ゆっくり遊んでやれないのでじっくり相手をすること ができてよかった ・とても気軽に参加出来ました *「この時間は、じっくり、この子と遊ぼうって思って、ずっと前から調整し てきたんですよ」と笑顔で話される母親がいる *「なかなか日頃はこんなふうに、子どもと遊んでいないですよね。今日は特 別です」と笑顔で子どもに向かいあう母親 *「 看 護 師 さ ん な ん で す か ? で し た ら 、聞 き た い こ と が あ る ん で す け ど・・・・・ こんなことも聞いていいんですか?」 *「 ち ょ っ と し た 便 秘 や食 事 の こ と は 大 き な 病 気で は な い の で 、わ ざ わ ざ相 談 の た め に 時 間 を と り 、病院 に 行 く の も た め ら い があ る 」な ど の 思 い が 表 出さ れた *子どもが上手に遊んでいる様子を共に喜び、暫く側にいると、母親から、予 防接種の受け方や食事や排泄などについて、ぽつりぽつりと話し始めた *「流行感染が多く受診している時期は、我が子が病気ではない場合、相談の ために病院に行くのをためらった」などの思いが表出された ― 57 ― 子どもの 成長発達 などにつ いての情 報が欲し い母親 *「 一 般 的 に は 、こ の 位 の 子 っ て 、ど ん な こ と が 出 来 る よ う に な る ん で す か ? 」 と子どもの遊ぶ様子を見て話される母親 * 近 く で 遊 ぶ 子 ど も の 様 子 を み て 、「 う ち の 子 は あ の 子 と 同 じ く ら い な の か し ら」と、気にかけた母親の様子があった *「うちの子と同じ位の子に出会う機会がなくて・・・」と話される母親 *「本には、こんなふうに書いてあったから・・・・」と話を続ける母親 「・」は母親の自由記載の感想 「*」は、看護者が観察して起こした場面 Ⅵ.考察 今回、子育て支援活動である「おもちゃ広場」に参加された保護者の心に残った感想や 看護教員が観察して記述した場面の分析を行った。調査用紙の記入は、参加された全ての 親の感想が得られたわけではなく、子どもの相手をしながら記入する時間が取れず記入で きなかった親、次の予定を頭に入れながら限られた時間ぎりぎりまで遊び、記入しそびれ た親もみうけられた。そのため、十分に書き記されていない親子の思いが含まれている可 能 性 、記 入 さ れ て い な い 親 に 、違 っ た 感 想 を も た れ て い る 可 能 性 が 否 定 で き な い 。そ こ で 、 看護教員が親子の様子を観察した内容を合わせて、分析を行った結果、われわれが行って い る お も ち ゃ 広 場 は 、親 と 子 ど も が お も ち ゃ を 用 い て 楽 し い 時 間 を 共 有 し 、子 ど も の 成 長・ 発達を再確認し、心が解放された親が子どもに関する相談を自然と行い、求めていた情報 が得られる場となっていると再確認することができた。 こ れ ら に つ い て 、看 護 教 員 に よ る 子 育 て 支 援 活 動 に 求 め ら れ て い る 役 割 に つ い て 、 「おも ち ゃ を 子 育 て 支 援 の ツ ー ル と す る こ と の 意 義 」「 子 ど も と 親 が 安 心 し て 楽 し め る 場 」「 子 育 てに関する情報提供の場」の視点から考察する。 1.おもちゃを子育て支援のツールとすることの意義 子ども本来のもてる力が表現され、親子にとって心地よい場となるには、親子とスタッ フが共に共有できる場が重要であると思われ、おもちゃを媒体とした子育て支援が最適だ と判断した。なぜなら、おもちゃを子育て支援のツールとして活用することで、子どもの みならず親の心がワクワク感動することや、子どもの成長・発達がひき出されると私たち 看護教員は考えたからである。そのためには、適切なおもちゃの選定が重要であり、初年 度 は 日 本 グ ッ ト ト イ か ら 、 100 点 近 く の お も ち ゃ を 借 り て 実 施 し た 。 そ の 後 、 看 護 大 所 有 の お も ち ゃ が 徐 々 に 増 え 、翌 年 か ら は 看 護 大 と 宮 崎 の お も ち ゃ 作 家 の 木 工 創 作 玩 具 の み で 、 企画・開催ができるようになった。 開設当時から、 「 み て 、ふ れ て 、感 じ て 」を 願 い 、子 ど も た ち が 展 示 さ れ た お も ち ゃ を 見 たり、触れたりしながら、心が動くことを子育て支援の重点としてきた。子どもや親との 関係を築く媒体としておもちゃが存在することで、家とは異なる環境でも、自然な子ども の様子や親子関係が発揮されるまでの時間が短縮できる。また、おもちゃに手を伸ばした り、ボールを入れたり、引っ張ったりなど具体的な働きかけがあり、会話が生まれる。さ らに、おもちゃ広場で準備しているおもちゃは、能動的な働きかけがないと変化しないお もちゃが多い。能動的に働きかけることで、おもちゃの形や音が変化し、その変化によっ て、心が動かされ驚きや感動につながっていく。さらにその驚きや感動を求めて、おもち ゃに働きかけ遊び続けることが可能となっている。 また、私たちが子育て支援の対象としている未就学児は、まさに、心身ともに成長期で ― 58 ― あ る 。脳 は 6 歳 ま で の 成 長 発 達 が 著 し く 、と く に 3 歳 ま で に 80% が 完 成 す る と い わ れ て い る。脳神経細胞のネットワークは、心が動き感動するという新たな刺激によってさらに構 築されるため、おもちゃ広場が脳への刺激となることを期待した工夫もしている。展示す る お も ち ゃ は 、 大 学 所 有 の 250 点 と い う 中 か ら 、 そ の 時 の 状 況 に 応 じ て 、 お も ち ゃ を 看 護 者の視点で厳選し準備している。また、宮崎のおもちゃ作家と共同して、想像豊かな両手 を広げた大きさの木工創作玩具も展示している。木のおもちゃは、高価であり家では買え ないものも多い。一度に多くのおもちゃに触れ合う機会、非日常的な、広く開放された、 感動をつくりだす場として、 「 お も ち ゃ 広 場 」が 存 在 し 、そ れ に よ り 子 ど も の 成 長 発 達 を 促 進する機会ともなっている。 さらに、おもちゃを通した遊びは、子どものみが単独で遊ぶのではなく、そこに共有で き る 人 (母 親 )が い る こ と で 喜 び が 倍 増 す る と と も に 、 他 者 が 介 入 す る こ と に よ っ て 、 子 ど もだけの遊び方とは違った、新しい遊び方へと変化が生まれる。そのバラエティ豊かな遊 び方を通して、会話が増え、人間形成の基盤である信頼関係も築かれる。そのような子ど もの姿を見た親は、子どもの一生懸命に遊ぶ姿に、新たな発見があり、思わずその場にい るスタッフと感動を共有することもある。このような親子関係が上手に作られている場合 は、スタッフが見守り後押しすることでよりよい関係が深まっていく。一方、少子化で他 の子が育つ機会を見ることが少ない親にとっては、どのように子どもと関係をつくったら よいか戸惑いが見受けられることもあり、看護教員がそのきっかけをつくり、関わり方の モデルを示すことで親子のより良い関係へと発展していく。看護教員は、親子の関わりを 見守り、その母親の思いに寄り添い、親と子がリラックスし安心して遊べる雰囲気や必要 に 応 じ た 支 援 を 行 っ て い る か ら こ そ 、「 木 の ぬ く も り を 感 じ て 楽 し か っ た 」「 親 子 で 楽 し め た」 「 子 ど も の 興 味 の あ る 遊 び を 知 る こ と が で き た 」な ど 心 豊 か に そ れ ぞ れ の 親 子 に 応 じ た 感動の場面が形成され親子が楽しめる場となっているのではないかと考える。これらのこ とからおもちゃをツールとした子育て支援は重要な意味を持つといえる。 2.子どもと親が安心して楽しめる場 今 回 、調 査 に 協 力 の 得 ら れ た 保 護 者 の 97% が 、子 ど も が 喜 び そ う だ と 期 待 し て 、お も ち ゃ 広 場 に 参 加 し て い た 。 ま た 、 45% の 保 護 者 が お も ち ゃ に 興 味 が あ っ た と 回 答 し て い る 。 このことから、親自身が、準備されているおもちゃや、おもちゃのある空間に期待を寄せ て 参 加 し て い た こ と が わ か る 。そ し て 、調 査 用 紙 を 提 出 し た 保 護 者 全 員 が 、 「とても楽しか った」 「 楽 し か っ た 」と 回 答 し て お り 、満 足 度 の 高 い 時 間 を 過 ご す こ と が で き て い た こ と が 確認できた。 親は日々、家事や育児、仕事などに追われ、ゆとりがなく生活している場合が多い。加 えて、親は子どもと向き合い完璧な子育てをしようと追い込まれ、親は自然な関わりから 子どものニーズを捉え上手に子育てができるべきだという固定概念に縛られている場合も 多 い 。そ の た め 、こ の よ う な 、 「 遊 ぶ 」こ と を 目 的 と し た 空 間 が あ る と 、子 ど も と 向 き 合 い たいと意識している親は、子どもと触れ合うことを狙いとして訪れる。また、乳児とその 上の兄弟と複数の子どもを連れて参加する家族もいる。普段自立を求められている上の子 と親が十分遊べる時間が確保できるよう、小さい子をスタッフが預かる場合もある。これ により、この時間・空間だけは親として子どもに向かい合うことが可能となり、親が子ど ― 59 ― ものみに集中でき、心身ともにリラックスして過ごすことができると、子どもにもその思 いが伝わり、子どもに笑顔が増えその笑顔に親が癒され自然と笑顔がこぼれてくる。この ような相互作用が繰り返されていることからも、おもちゃ広場が親子に居心地の良い空間 として感じられていると予測できる。岡田ら3)4)の大学を拠点とした子育て支援の研究 に お い て 、 参 加 者 が 参 加 し た 理 由 と し て 、「 広 い 遊 び 場 所 」 が 80% 以 上 を 占 め 、 他 に 「 安 全 な 遊 び 場 所 」「 子 ど も と 出 か け る き っ か け 」 な ど が あ っ た 。 渡 邉 ら 5 ) の 研 究 で は 、 大 学 に期待されている子育て支援の内容として、 「保護者と子どもが一緒に過ごせる開放された 遊びの場の設置」が最も多く、他に「大学のスタッフや学生の保護の下で遊べる施設」な どがあった。本学でも「いろいろなおもちゃと遊ぶことができて子どもの興味のある遊び を知ることができて親子楽しい時間を過ごすことができた」という保護者の感想から読み 取れるように、同様の結果が得られた。 おもちゃ広場への親子の支援に関して、看護教員は「家族が希望するスタイルで活用で きる場を提供しつつ、表出されにくい育児に関するニーズを汲み取り専門職者として常に こころをむけていることを伝える」6)ことを意識して関わっていた。また「支援の場は、 親 子 に と っ て 安 心 で き る 場 で あ る こ と 」7 ) を も と に 関 わ っ て い た 。こ の よ う に 支 援 者 と し て、親に看護教員による育児観を押しつけることなく、親子の関わりを見守り、必要に応 じて手を差し伸べ、親が求める形で支援を提供していたからこそ、参加していた保護者が 安心でき楽しいと感じる場になったと思われる。 3.子育てに関する情報提供の場 今の親世代は、幼少の頃に周りに子どもが少なく、他者との関わり合いの少ない状況で 育ってきた親が多いため、育児で困惑や不安に陥りやすい。また、親は、自宅での限られ た 1 対 1 の空間にいると、目の前のことのみに引き寄せられ周りのことが見えなくなるた め、狭い視野で子育てを行う危険性もある。そこで、親に、他からの新しい刺激や知識、 および、関わり方のモデルが情報として入ることで、子どもの新たな成長や、新たな子育 て 方 法 に 気 づ く な ど の 新 し い 発 見 に 繋 が る と 思 わ れ る 。船 越 8 ) ら の 研 究 で も 、大 学 教 員 に 支援を希望する具体的な内容は、子どもの発達や健康などを気軽に相談したい、最新の医 療 や 子 育 て の 情 報 も ほ し い 、 で あ っ た 。 今 回 の 研 究 で も 、『「 ち ょ っ と し た 便 秘 や 食 事 の こ とは大きな病気ではないので、わざわざ相談のために時間をとり、病院に行くのもためら い が あ る 」な ど の 思 い が 表 出 さ れ た 』 『 子 ど も が 上 手 に 遊 ん で い る 様 子 を 共 に 喜 び 、暫 く 側 にいると、母親から、予防接種の受け方や食事や排泄などについて、ぽつりぽつりと話し 始 め た 』な ど の 場 面 も 観 察 さ れ て い る 。子 育 て 支 援 の 場 に 、看 護 師 ・保 健 師 な ど の 専 門 職 者 がいる安心感と、気軽に相談できるというスタイルは、多くの親に支持されている理由の 1つである。特に、1 人目の子育てや、乳児期から幼児期前半にある子どもの子育てに携 わる場合には、めまぐるしい発達のため、親子共に新たな体験の連続であり戸惑いも多く 見 ら れ る 。 渡 辺 9 ) ら の 研 究 に お い て も 、 大 学 に 期 待 さ れ て い る 子 育 て 支 援 と し て 、「 専 門 的 な 知 識 の 提 供 」「 情 報 の 発 信 」「 学 習 の 場 」 が 求 め ら れ て お り 、 安 全 の 確 保 や 、 子 育 て に ついての不安や悩みなどが相談しやすい環境を、親が求めている証であると思われる。そ れらのことを意識しながら、今後も場の提供に取り組んでいきたい。 また、子どもと親の孤立化を防ぐため、同じ時期の子育てをしている他の親との情報交 ― 60 ― 換 の 場 づ く り が 重 要 で あ り 、親 も そ の よ う な 場 を 求 め て い る 。板 野 10) の 報 告 で も 、「 同 じ 立 場 の 人 (月 齢 児 )と の 情 報 交 換 が し た い 」 が 、 ニ ー ズ と し て 第 1 位 に 上 が っ て い た 。 こ の ことからも、育児サポート体制づくりとして、同世代若しくは、その前後の子どもとその 親が触れ合う機会づくりを行い、親同士のコミュニケーションがとれるような場としてお もちゃ広場を活用していくことが重要である。 さらに、われわれが行っている「おもちゃ広場」は、自由参加型のオープン的な活動の 場 で あ り 、気 軽 に 参 加 で き る メ リ ッ ト は あ る 。し か し 、 「 お も ち ゃ 広 場 」に 継 続 し て 参 加 さ れる親子の姿もあり、半年及び 1 年での子どもの成長発達が実感できる一方、継続型の子 育 て 支 援 の 必 要 性 に 気 づ く 場 合 も あ る 。子 ど も の 成 長 発 達 に は 幅 が あ る こ と を ふ ま え つ つ 、 子どもなりの成長を見守っていけるような支援を心がけていくとともに、必要に応じて、 学内で行っている継続型の子育て支援に適切につないでいくことも必要である。今後は、 学内での子育て支援の情報提供や連携の強化を行い、必要な人に必要な情報が行き届くよ うに工夫していきたい。 Ⅶ.おわりに おもちゃ広場に参加された保護者のニーズや期待を把握するために、調査および観察か ら得た場面を分析した結果、おもちゃを楽しむ親子の姿や、子育てに関する情報を求めて いる親の姿が明らかになった。支援の場は、親子にとって安心できる場であることを保障 しつつ、家族が希望するスタイルで活用できる場を提供し、表出されにくい育児に関する ニーズを汲み取り専門職者として常にこころをむけていることを伝えながら、子育て支援 活動を今後も取り組んでいきたい。 引用文献 1) 末 吉 真 紀 子 ,甲 斐 鈴 恵 ,花 野 典 子 他:看 護 者 に よ る 育 児 支 援 の 方 向 性 の 検 討 −おも ち ゃ 広 場 に 訪 れ た 家 族 の 様 子 か ら − ,日 本 小 児 看 護 学 会 (2006),第 16 回 学 術 集 会 p 120 2) 花 野 典 子:子 育 て 支 援 の 指 針 に 関 す る 研 究 ある子育て支援に看護者として参加した活 動 を 通 し て , 宮 崎 県 立 看 護 大 学 紀 要 , 8( 1), 28-39, 2008. 3) 岡 田 由 香 ,緒 方 京 ,神 谷 摂 子 他 :大 学 を 拠 点 と し た 子 育 て 支 援 の 継 続 性 ・安 定 性 を は か る 取 り 組 み ;大 学 と 地 域 と の 連 携 促 進 モ デ ル 事 業 の 活 動 報 告 (3),愛 知 県 立 大 学 看 護 学 部 紀 要 , 16, 41-47, 2010. 4) 岡 田 由 香 ,高 橋 弘 子 ,佐 久 間 清 美 他 :大 学 を 拠 点 と し た 子 育 て 支 援 の 継 続 性 ・安 定 性 を は か る 取 り 組 み ;大 学 と 地 域 と の 連 携 促 進 モ デ ル 事 業 の 活 動 報 告 (2),愛 知 県 立 大 学 看 護 学 部 紀 要 , 15, 33-38, 2009. 5) 渡 邉 照 美 、森 楙 、山 野 井 敦 徳 他:大 学 に 期 待 さ れ る 子 育 て 支 援 の 内 容 調査から,くらしき作陽大学 作陽音楽短期大学 6) 前掲書1) 7) 前掲書2) 8) 船 越 和 代 ,大 池 明 枝 ,三 浦 浩 美 地域のニーズ 研 究 紀 要 , 43(2), 41− 60, 2010. 他:地 域 の 子 育 て 支 援 活 動 に 置 け る 看 護 系 大 学 教 員 の 役 割 − 子 育 て 支 援 セ ン タ ー を 利 用 し て い る 乳 幼 児 の 母 親 対 象 の 調 査 か ら ー ,地 域 環 境 保 健 副 研 究 , 10( 1) , 48-52, 2007. 9) 10) 前掲書7) 板 野 美 紀:地 域 子 育 て 支 援 情 報 提 供 に 関 す る ニ ー ズ の 分 析 子育て中の母親へのグルー プ イ ン タ ー ビ ュ ー を 通 し て , こ ど も 家 庭 福 祉 学 , 6, 23-32, 2006. ― 61 ― 宮崎県内 2 地区における精神障がい者理解促進研修会の成果 ∼精神障がい者の理解促進のための要因∼ キーワーズ:地域移行 精神障がい者 理解促進 川村道子、小笠原広実、福浦善友、河野義貴、赤星誠(宮崎県立看護大学) Ⅰ.はじめに 日 本 に お け る 精 神 科 医 療 の 歴 史 を 振 り 返 る と 、欧 米 先 進 諸 国 で 精 神 障 害 者 の 脱 施 設 化 が 盛 ん に 叫 ば れ る よ う に な っ た 1960 年 ∼ 70 年 代 以 降 も 精 神 科 病 床 数 が 増 え 続 け 、人 口 1 万人あたりの精神科病床数が世界一の多さ 1) と な っ て い る 。「 平 均 在 院 日 数 も 320 日 2) ( 2006 年 )」 で 、 世 界 の 中 で は 群 を 抜 い て 長 い 。 こ う し た 状 況 を 改 善 す る た め に 2004 年 ( 平 成 16 年 ) 9 月 、 厚 生 労 働 省 は 「 入 院 中 心 か ら 地 域 生 活 中 心 へ 」 と い う 精 神 保 健 福祉施策の基本的方策を実現するための改革ビジョンとして, 「国民の理解の深化」 「精 神 医 療 の 改 革 」「 地 域 生 活 支 援 の 強 化 」 を 示 し た 。 あ わ せ て , 条 件 が 整 え ば 退 院 可 能 な 入 院 患 者 約 72000 人 の 地 域 移 行 も 今 後 10 年 間 で 進 め る 、 と 数 値 目 標 を 掲 げ た 。 宮 崎 県 で も 地 域 生 活 へ の 移 行 を 推 進 し て い る に も 関 わ ら ず 、在 院 患 者 数 は 10 万 人 あ た り 490 人( 平 成 20 年 ) と 全 国 で も ワ ー ス ト 3 3 ) と な っ て い る 。 精神障がい者の地域生活移行を促進させていくためには、生活する場である地域住民の 理 解 と 受 け 入 れ や 、地 域 生 活 を 支 援 す る 人 々 や そ の 関 係 者 の 理 解 が 欠 か せ な い も の と な る 。 し か し な が ら 、平 成 20 年 度 に 宮 崎 県 障 害 福 祉 課 と 我 々 宮 崎 県 立 看 護 大 学 精 神 看 護 学 グ ル ー プが共同研究で行った宮崎県内全域を対象とした「精神障がい者の地域生活移行における 実 態 調 査 」に よ れ ば 、10 年 以 上 の 長 期 在 院 期 間 の 患 者 が 29.6% を 占 め て お り 、現 行 の 精 神 科 医 療 の 流 れ に 沿 っ た 生 活 支 援 を 行 う こ と へ の 困 難 さ が 伺 え た 。さ ら に 、長 期 入 院 患 者 が 、 家族の承諾を得られない、住むところがない、といった理由で退院できない現状が続いて いることが浮き彫りとなった。また、支援している人が困難に感じている点として、家族 の病気への理解不足や、地域における理解・啓発の不足といった意見があげられていた。 受け入れ施設などの整備が必要であることはもちろんであるが、その確保だけではなく、 地域住民の理解度を上げることが不可欠であると考えられる。特に、精神の病を持つ人と 接する機会のない方々は、病気やその症状について理解できないために、受け入れを不安 に感じているのではないかと思われる。歴史的にさまざまなスティグマ(社会的烙印)を 負 わ さ れ 、偏 見 や 差 別 の 対 象 と な っ て 社 会 か ら 疎 外 さ れ 、現 在 で も 、 「精神障害者を特殊な 例 す る 事 で 排 除 し て 収 め よ う 」 4) と 、 精 神 障 が い 者 を 危 険 視 す る 風 潮 が あ る 。 そ こ で 、 実 際にその方々の持てる力が発揮されていった具体的なプロセスを紹介し、精神障がいにつ いての理解を深め、さらに、どのようにかかわればよいか、具体的な手段を知ることがで き る 学 習 会 が 必 要 で あ る と 考 え 、平 成 21 年 度 に 、県 内 5 つ の 地 区 で 精 神 障 が い 者 の 方 々 を 取り巻く地域住民の方を対象に学習会を開催した。その際、他地区から学習会の開催の要 望があがっていた。そこで県内 A 地区・B 地区を対象とし、その地域では、どのような対 象にどのような形で何を伝えていくことが必要なのかを把握したうえで、精神障がい者へ の理解促進を図ることを試みた。その結果を報告する。 ― 62 ― Ⅱ.研究目的 A 地 区・B 地 区 で 精 神 障 が い 者 の 支 え 手 と な る 方 々 の 、精 神 障 が い 者 へ の 理 解 促 進 を 図 る 取り組みの成果から、精神障がい者の理解促進のための要因を明らかにする。 Ⅲ.研究対象 精神障がい者の支え手となっている方々の研修会受講後のアンケート Ⅳ.研究方法 1)対象地区での協力者を確定し、協力者と数回にわたってディスカッションを行い、 地域特性にあったニーズの確認をしていく。 2)1)で確認されたニーズに合致した研修会プログラムを作成し、協力者とともにプ ログラムの吟味を行う。 3)研修プログラムを実施し、実施後には研修会への参加者にアンケートを配布、任意 提出してもらったものを集計(選択肢解答の設問は単純集計、自由記載欄へ記述された ものは質的帰納的に分析)し、研修会の成果を明らかにする。 4)3)の結果を踏まえ、精神障がい者の理解促進のための要因は何かという観点で考 察する。 Ⅴ.倫理的配慮 アンケートは無記名で記入してもらい、任意提出とした。提出に際して、分析対象に 同意されたものだけをデータとして取り扱うことを説明した。 Ⅵ.結果 1)事業展開を行う前に現地での対象地区のニーズの確認、現地での協力者の確定 対象地区に出向き、精神障がい者への理解促進を進めるためには、だれにどのような 形 で 何 を 伝 え る こ と が 地 域 性 と 合 致 す る か に つ い て 、H24 年 6 月 、8 月 に A 地 区 保 健 師 と 、 H24 年 5 月 、 6 月 、 7 月 に B 地 区 の 保 健 師 と 協 議 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 A 地 区 で は 保 健 師 に対して「精神障がい者の理解を看護の視点で考える」というテーマで研修会を開催し てほしいといったニードがキャッチできた。B 地区では、町内に設置されている社会福 祉 協 議 会 が 設 置 母 体 と な っ て い る 就 労 継 続 支 援 (B 型 ) の事業所スタッフに対して「精 神障がいを持つ人をどうみつめ、どう支えていけばいいか」というテーマで研修会を開 催 、さ ら に B 町 健 康 協 力 員 と 自 殺 対 策 予 防 対 策 関 係 者 を 対 象 に「 地 域 で 支 え る 心 の 健 康 」 のテーマで研修会を開催してほしいといったニードがキャッチできた。 2)対象地区のニーズに合致したプログラムを再編成 当該地区でのニードと対象者の決定を受け、事業組織メンバー全員でプログラムの検 討を行った。検討を重ねてパワーポイントと配布資料を作成した。それぞれの地区での 協力者との検討を重ね、地区のニードに合致したⅠ・Ⅱ・Ⅲのオリジナルのプログラム を作成した。プログラムのⅡの骨子を資料1に掲載した。 ― 63 ― 資料1 B 町での研修会プログラム「地域で支える心の健康」の骨子 1.こころの病をどのように受け止めるか 2.うつ状態と(日頃の落ち込み)とうつ病の違い・対処 3 . う つ 病 は <心 >の 病 か ? 4.うつ病の治療薬はどのような効果をもたらすのか 5.どのような考え方が自分を追い込むのか 6.うつ病の人へのかかわり方を考える 3)現地協力者に再編成したプログラムを提示し、事業実施日時と場所を設定 A 地 区 で は H24 年 8 月 に プ ロ グ ラ ム Ⅲ を 展 開 す る 研 修 会 を 保 健 セ ン タ ー に て 、B 地 区 で は H24 年 8 月 に プ ロ グ ラ ム Ⅰ( 就 労 継 続 支 援 B 型 の 事 業 所 ス タ ッ フ 対 象 )、プ ロ グ ラ ム Ⅱ (B 町健康協力員と自殺対策予防対策関係者対象)を展開するための研修会を、それぞ れ就労継続支援 B 型施設と B 地区保健センター研修会館で実施することとなった。 4)現地でのプログラム実施 A 地 区 で は 、保 健 師 と A 地 区 に 設 置 さ れ て い る 精 神 科 病 院 の 精 神 保 健 福 祉 士 の 計 17 名 が 、 プログラムⅠ「精神障がい者の理解を看護の視点で考える」の 2 時間半の研修会へ参加 し た 。B 地 区 で は 、就 労 継 続 支 援 (B 型 ) の 事 業 所 ス タ ッ フ 8 名 が プ ロ グ ラ ム Ⅲ「 精 神 障 がいを持つ人をどうみつめ、どう支えていけばいいか」の 2 時間の研修会に参加した。 ま た 、B 町 健 康 協 力 員 と 自 殺 対 策 予 防 対 策 関 係 者 15 名 が プ ロ グ ラ ム Ⅱ「 地 域 で 支 え る 心 の健康」の 2 時間の研修会に参加した。 5)研修会への参加者に対するアンケート集計 各 プ ロ グ ラ ム 終 了 後 の 参 加 者 へ の ア ン ケ ー ト を 集 計 し た 。回 収 率 は 100% で あ っ た が 、 B 地区プログラムⅡに関して自由記載欄をデータとして取り扱うことに同意されないも のが 3 件あり、集計から除外した。プログラムⅠでのアンケート集計結果を図 1 に示し た。同様にプログラムⅡ・Ⅲの結果をそれぞれ図2・3に示した。また、プログラムⅠ に 対 す る ア ン ケ ー ト の 自 由 記 載 欄 に 記 述 さ れ て い た 内 容 の 一 部 を 表 1 に 示 し た 。同 様 に 、 プログラムⅡ・Ⅲに対するアンケートの自由記載欄に記述されていた内容の一部を表 2・3に示した。 ― 64 ― 1・精神障がいを持つ人の見つめ方について 2・精神障がいを持つ人をどのように支え ていけばよいか、について これまでの考え方と同じだ が参考になった 12% これまでの考え方と同じだ が参考になった これまでの考え方と同じな ので参考にならなかった これまでの考え方と同じな ので参考にならなかった これまでの考え方と違い参 考になった これまでの考え方と違い参 考になった これまでの考え方と違った ので参考にならなかった これまでの考え方と違った ので参考にならなかった 3・精 神 障 が い を 持 つ 人 に と っ て の 社 会 生 活 を送るために必要な力について これまでの考え方と同じだ が参考になった 18% これまでの考え方と同じな ので参考にならなかった これまでの考え方と違い参 考になった これまでの考え方と違った ので参考にならなかった その他 図1 プログラムⅠ参加者に対するアンケート結果 1・心の病をどのように受け止めておけば よいかのか、について 2・うつ病の考え方について 参考になった これまでの考え方と同じで あった これまでの考え方 と同じであった その他 3・うつ病の人へのかかわり方について 参考になった これまでの考え方と同じ であった 図2 参考になった プログラムⅡ参加者に対するアンケート結果 ― 65 ― 1・精 神 障 が い を 持 つ 人 の 見 つ め 方 に つ い て 2・精 神 障 が い を 持 つ 人 を ど の よ う に 支 え ていけばよいか、について 参考になった 参考になった これまでと同じであった これまでと同じであった 3・精神障がいを持つ人にとっての社会生活 を送るために必要な力について 4・精神障がいを持つ人が回復していくた めになぜ仕事をする場が必要なのか?につ いて 参考になった これまでと同じであった 参考になった その他 図 3 プログラムⅢ参加者に対するアンケート結果 プログラムⅠに対して、 「 こ れ ま で の 考 え と 同 じ だ が 参 考 に な っ た 」と「 こ れ ま で の 考 え 方 と 違 い 参 考 に な っ た 」 と 回 答 し た 参 加 者 が 88% ∼ 100% %であり、プログラムⅡに対 し て 、 研 修 会 の 内 容 は 参 考 に な っ た と 回 答 し た 参 加 者 は 73% ∼ 100% %であった。プログ ラ ム Ⅲ に 対 し て 、研 修 会 の 内 容 が 参 考 に な っ た と 回 答 し た 参 加 者 は 75 75% ∼ 87% で あ っ た 。 さらに、自由記載欄について質的帰納的に分析していった。 表1 プログラムⅠ自由記載欄への記述(一部抜粋) ●地域以降支援前に入院しなくていい支援が必要であることを再認識した ●入院しないシステムをつくるということでは、いろいろな連携をとっていますがそれだけに事実確認や現状 把 握 に と ら わ れ 、 本 来 の “ 看 護 ” の 部 分 が 抜 け て し ま っ て い た 。“ 看 護 ” と い う 言 葉 が と て も 新 鮮 に 感 じ ら れ た。振り返る良い研修になった ●統合失調症について、改め いラ うム 見Ⅲ 方で 身る 体ア 疾ン 患の 1つ 図て 3心 のプ病ロとグ 参は 加あ 者っ にて対もす ケー トで 結は果な い か と い う 私 個 人 の 思 い で一致したことで、今後の関わり方を今以上にサポートする姿勢に活かしていきたいと感じた ●声のかけ方により、その人の悩みが解決出来ることが分かった ●今起こっている症状のみでなく、過去のプロセスについても再度確認して接していきたい ●すぐ入院をすすめるところ、そうではなく、入院前に何ができるかをもう一度考えたいと思った ●入院しなくてもよいシステム作り ●学生さんの実習の様子は、精神障がい者を見つめる時の基本だと痛感、初心にもどって… ●どのような環境で育ち、どのような気持ちや思いを持っている人なのかをしっかり見ることの大切さを感じ た ● 患 者 さ ん と の や り と り や 会 話 か ら 、 ど ん な 頭 (認 識 )を 持 っ て い て 、 そ れ は ど の よ う な 過 程 や 環 境 で 作 ら れ た ものなのかを、それぞれのケースでじっくり向き合ってこそ、看護の方向性や目標が見えてくるのだという ことがあらためて分かった ●生活レベルでみていくことの大切さを改めて実感した。地域で生活していくための仕組み作りが大切だなと 思った ●その人の人生経験や生い立ちなどのアセスメントを充分に行った上で、この人が求めているもの、何が必要 かを検討し、その人に寄り添った支援が必要だと感じた ●生活体験を充実させたいと思った ― 66 ― 表1に示したプログラムⅠに対する自由記載について分析したところ、1.入院に至ら ないで済むような支援体制を考えることが重要 2.どのようにして病に至ったのか というその人の生活体験に着目することで個別の支援方法が見えてくる 3.治療に乗 せるということではなく、生活者として生活体験を豊かにできるような方向でかかわる 4.その人の中に求めていること、困っていることがあるので、そこに迫って行けるよ うに の 4 項目の意味内容が含まれていると整理された。 表2 プログラムⅡ自由記載欄への記述(一部抜粋) ●援助者として自分自身を知ること うつ状態とうつ病の違い ●トリプトファンは体では作られないので食事で摂る ●リズム運動をすることによりセロトニン細胞を鍛えることを知った ●健康な時に特に気を付けておく事 ●考え込んでいる人がうつ病になりやすい人と思っていたが普通に過ごしている人でも病気にかかっていること があると初めに起こりやすい症状など少しでも分かった気がするので、今後仕事で役になっていけるのでは。 励まし過ぎてはいけないのが心に残った ●頑張りすぎなのに頑張ろう、一緒にやろう等と追いつめるような声かけをしたりしないように ● 抗 う つ 剤 の 即 効 性 が 少 な く 2∼ 3 週 間 時 間 が か か る … 周 囲 で 声 か け 等 を し て 気 を 配 る 声 か け を す る ●「今まで充分頑張ったよね」等の声掛けをしてあげる ●セロトニン細胞を鍛える方法がある事 ●リズム運動や日光浴が大切だという事、参考になった ●話を聞いてあげる時のポイントがわかった ●脳の神経伝達物資の事、セロトニン細胞を鍛える三原則のこと ●セロトニン細胞と抗うつ薬の働き、気分の変え方、見方を変える事は意識して変えていかなければいけないの だと思った ●自分自身に心のゆとりをもつことの大切さ 精神科に気軽に出かける事ができる社会づくり ●自分の良い所を見失う、自分をしばりすぎるといけないという事が分かった ●いつかは自分の事かもしれません。早めに気付くことができるように思う ●これからの仕事に今日の話を参考に生かしていきたい ●うつ病の早期発見…が大事だという事、食事が大切だという事、今まで、内服薬での治療が一番だと思ってい ましたがそうではなかった ●大変わかりやすく、うつ病の方の家族に是非聞いて欲しい 同様にプログラムⅡの自由記載欄の分析より、1.自己の客観視ができることで自分の 心の不調に早く気付ける 2.薬物ではなくセルフケア・セルフコントロールの方法が ある(トリプトファンを食事で摂取、リズム運動でセロトニン細胞を鍛える 自分を縛 り過ぎないといった物事の考え方)3.病に至った方への接し方とその根拠 の 3 項目 の意味内容が含まれていると整理された。 表3 プログラムⅢ自由記載欄への記述(一部抜粋) ●その人の今までの生き方を見つめる ●現在、住宅清掃の作業を請け負っていて担当の利用者さんが体調不良で作業できず、代理の利用者さんを入れ たところ、代理の方の方が作業がスムーズで正直比べてしまうところがあったけど、担当の利用者さんも精一 杯の力で作業をこなしているんだと良い方向に考えることが出来た。個々に個性がある様に精一杯の力も違う。 そこを比べず認めていこうと思った ●障害を持たれている方が何を求めているのか角度を変えて接してみようと思えた ●統合失調症は正直者が多いと言うのは意外だった。地域の疾患がある人に関わっていると時に適当にすごして いるのではと感じることがあったので改めてその人を見つめなおそうと思った ●精神障がいの人に今必要とされているという考え方を意識させることは大切だと感じた ●いろいろな側から見ていきたい ●悪い所ばかり見ない ●自分の中で利用者を比べたりするところがあったけど、そこがとても考えさせられた ●統合失調症の研修で一番勉強になった。とくに脳のシステム ― 67 ― プログラムⅢの自由記載欄の分析より、1.これまでの生活体験はどのようなものであ ったのか、その人の良い部分はどこにあるか、とその人の見つめ方が変化した の人は何を求めているのかをその人の位置で考えることが重要である 2.そ の 2 項目の意味 内容が含まれていると整理できた。 Ⅶ.考察 今 回 、2 つ の 地 区 を 対 象 に 、精 神 障 が い 者 へ の 理 解 促 進 を 図 る た め に は ど の よ う な 方 々 に対してどのような形で何を伝えていくことが必要なのかを把握していく作業から入っ た。協議を重ねていく中で結果的に A 地区では専門職の方、B 地区には専門職者ではな いが地域の中で毎日精神障がい者と接する職にある方、地域の中で住民の健康を見守る 役にあるが専門職ではない方、という 3 つの特徴を持った対象への研修を行うことにな った。そこで、それぞれ事前に把握されたニードに沿ったプログラムを作成して研修会 を実施したが、アンケートの集計によって、どのプログラムでの参加者も精神障がい者 への理解が進んでいると判断できた。そこで、自由記載欄の分析結果から、精神障がい 者の理解促進のための要因は何かという観点で考察を進める。 1 .〈 そ の 人 の 生 活 体 験 に 着 目 す る 〉 と い う 視 点 を 持 つ こ と プログラムⅠとⅢの自由記載欄の分析結果を見ると、 「どのようにして病に至ったのかと いうその人の生活体験に着目する」 「 こ れ ま で の 生 活 体 験 は ? そ の 人 の 良 い 部 分 は ? と 、そ の人の見つめ方が変化」といった〈その人の生活体験に着目する〉という共通性がある事 が わ か る 。こ の よ う な 視 点 を 持 つ こ と で 、 「 個 別 の 支 援 方 法 が 見 え て く る 」や「 治 療 に 乗 せ る事ではなく、生活者として生活体験を豊かに出来るような方向で関わる」といった分析 結果にあらわれているように、具体的なかかわりの方向性までが描かれていることがわか る 。ま た 、 「 入 院 に 至 ら な い で 済 む よ う な 支 援 体 制 が 必 要 」と い う 結 果 か ら も 、精 神 障 が い 者の方々を地域で生活して頂くことを支えることに繋がる考えに発展していると言える。 これは、厚生労働省が掲げている「入院中心から地域生活中心へ」というスローガンに合 致 し た と 言 え る 。本 学 の 看 護 学 教 育 の 中 で 貫 か れ て い る「 人 間 観 」 「健康観」 「 病 気 観 」は 、 作成したプログラムの根底に存在しており、精神の病も「その人の健康の法則に反した生 活をつづけ、知らず知らずのうちに細胞が衰えたり毒されたりして、結果として病気とい う 状 態 に 追 い 込 ま れ た 」 5 ) と い う 見 つ め 方 を 土 台 に 据 え た 内 容 で あ っ た 。そ の よ う な 視 点 を持つことで、精神障がい者にとっての地域生活の意味やそこで周囲の人々がどのように 支えると良いのか、と参加者の考えがつながっていくことが期待される。 2 .〈 そ の 人 の 位 置 に 近 づ く 〉 と い う 視 点 を 持 つ こ と プ ロ グ ラ ム Ⅰ .Ⅲ の 自 由 記 載 欄 の 分 析 結 果 に 共 通 し て い た こ と は 、 「その人は何を求めて いるのかをその人の位置で考えることが重要」 「 そ の 人 の 中 に 求 め て い る こ と 、困 っ て い る こ と が あ る の で 、そ こ に 迫 っ て 行 け る よ う に 」と い う 内 容 で あ っ た 。つ ま り 、 〈その人の位 置 に 近 づ く 〉と い う 観 点 で あ る 。一 般 的 に 、 「 心 の 病 気 は 表 面 に は 見 え に く い の で 、何 が 辛 い の か 、ど こ を サ ポ ー ト し て ほ し い の か わ か り に く い 」 6 ) と 言 わ れ る が 、「 周 囲 か ら は 一 見 不可解にみえる行動も、その背景にある〝不安″を理解して接することによって、本人の ― 68 ― 対 応 も 変 わ っ て く る 可 能 性 が あ る 」7) た め 、そ の 人 の 言 葉 に 真 摯 に 耳 を 傾 け 、ど の よ う 気 持ちで過ごしているのかを感じ取り、そこからどのような支援を求めているかを推測する ということが、地域生活を成立させるための支援を考えていく重要な観点であることを参 加者自身が気づいていると言える。 「 そ の 人 が ど こ で ど の よ う な 人 々 と の 関 係 の 中 で 、ど の ような生活体験をしてきた人なのかと関心を注ぐと、奇異な行動に見えていたことも、そ の 人 は そ う せ ざ る を 得 な い 気 持 ち な の だ と そ の 人 の 位 置 で 感 じ 取 れ る よ う に な る 」8 )の で 、 1 の 項 で 述 べ た よ う に 、そ の 人 の 生 活 体 験 に 着 目 す る と い う 視 点 を 持 つ こ と が 、 〈その人の 位置に近づく〉ことの助けにもなる。 3 .〈 精 神 の 病 も セ ル フ ケ ア ・ セ ル フ コ ン ト ロ ー ル 可 能 で あ る 〉 と い う 視 点 を も つ こ と プログラムⅡの分析から見えた、 「自己の客観視ができることで自分の心の不調に早く気 付ける」 「 薬 物 で は な く セ ル フ ケ ア・セ ル フ コ ン ト ロ ー ル の 方 法 が あ る( ト リ プ ト フ ァ ン を 食事で摂取、リズム運動でセロトニン細胞を鍛える 自分を縛り過ぎないといった物事の 考 え 方 )」や 、プ ロ グ ラ ム Ⅰ の 分 析 結 果 に み ら れ た「 生 活 者 と し て 生 活 体 験 を 豊 か に 」の 部 分は、精神の病にかかった場合には、病院に入院して薬物治療を行うことが絶対条件では な い と い う 視 点 で あ る 。「 入 院 は 必 ず し も 最 良 の 治 療 法 で は な い 。 患 者 を 病 院 外 に お い て 、 社会との接触を保たしめることこそ、精神科医の、そして精神病院全体の目的でなければ な ら な い 」 9 ) と 40 年 前 か ら す で に 言 わ れ て お り 、 生 活 の 場 で コ ン ト ロ ー ル 可 能 で あ る と いう病の見つめ方が存在している。病になった時にどうしよう、どのように関わればいい のか、と方策を考えるのではなく、身体の疾患と同様に生活の仕方の工夫次第でコントロ ールでき、どちらかというとその方策を皆が知っている、ということが重要であろう。今 回の研修会では、 〈 心 〉の 病 と 一 般 的 に 思 わ れ て い る 精 神 疾 患 も 実 は 身 体 の 一 部 で あ る〈 脳 〉 という臓器の働きの障害であり、神経伝達物質が健康の時とは違った形で存在してしまう に至る生活があったと考えることができると伝えていった。それによって、その神経伝達 物質が健康の時と同じように存在するような生活を行うための方策は何か、と考えること が出来、心は目に見えないからどうなっているのかわからず、素人では何もできないとい う発想ではなく、自らが心をコントロールしていき、能動的に心の健康を保つような生活 を作り出すことができるとの発想を可能にしたと考える。 Ⅷ.おわりに 宮崎県内の 2 地区での精神障がい者への理解促進を図る試みを行うに当たり、対象地区 では、どのような対象にどのような形で何を伝えていくことが必要なのかを把握したうえ で、3 つのプログラムを準備して研修会を開催し評価を行ったところ、精神障がい者の理 解促進を試みるための要因が考察できた。今回把握できたことを踏まえて、さらに地区を 拡大して精神障がい者への理解促進を図ることを継続していきたい。 ― 69 ― 引用文献 1 ) 武 井 麻 子 , 江 口 重 幸 , 末 安 民 生 他 : 精 神 看 護 の 基 礎 , 医 学 書 院 , 5 -6 , 2013 2 ) 大 熊 一 夫 : 精 神 病 院 を 捨 て た イ タ リ ア 捨 て な い 日 本 , 岩 波 書 店 , 28, 2010 3 ) 前 掲 書 1 ): 9 4 ) 月 崎 時 央 : 精 神 障 害 者 サ バ イ バ ー , 中 央 法 規 , 243, 2004 5 ) 薄 井 坦 子 : ナ ー ス が 視 る 病 気 , 講 談 社 , 10, 1997 6 )有 村 律 子 、三 橋 良 子 、丹 羽 真 一 他:統 合 失 調 症 を 生 き る ,日 本 放 送 出 版 協 会 ,147,2008 7 ) 前 掲 書 5 ): 224 8)川村道子,小笠原広実,阿部惠子:宮崎県立看護大学研究紀要 9 ) 縣 田 克 躬 , 加 藤 正 明 : 社 会 精 神 医 学 , 医 学 書 院 , 2009 ― 70 ― 7( 1), 42, 2007 口蹄疫被災農家の復興を支えた地域の要因と支援を困難にした地域の要因 ―K町における保健・医療・福祉の関係者への面接調査の分析から― キーワーズ:口蹄疫 被災農家 1 年後の生活実態 関係者の支援 危機管理体制づくり 小野美奈子、松本憲子、米良伊代、中村千穂子、川原瑞代(宮崎県立看護大学) Ⅰ.はじめに 口蹄疫注)発生から 3 年が経過し、被災地域では、復興を目指した取り組みが進んでいる。我々は、 災害発生時、こころと身体の健康支援チームに参加し、電話相談を通して、口蹄疫被災農家の心身の健 康障害の発生を予防する取り組みをおこなった1)。その中で、被災農家の健康を守る継続的支援と、地 域健康ネットワーク及び危機管理体制の整備が急務であることを痛感してきた。災害からの復興期にあ る現在、地域住民の健康を守る保健師の立場からは、被災農家の健康や生活の復興状況を確認すると共 に、災害時の支援活動の評価を行うことにより、危機管理体制づくりにいかしていくことが必要である。 そこで、今回、K町における口蹄疫発生から終息、1 年間の復興期を支えた保健・医療・福祉の関係 者に、口蹄疫被災農家への対応や支援の実際を聞き取り、地域の関係者の支援の在り方を明らかにし、 口蹄疫被災農家の復興を支えた地域の要因、支援を困難にした地域の要因を抽出するとともに今後の災 害に備える対応への示唆を得ることを目的に本研究に取り組んだ。 注)口蹄疫とは:口蹄疫は口蹄疫ウイルスによる家畜伝染病で、人への感染はほぼ認められないとされて いる。接触や空気によって伝搬力が強く、人も含め車両や物資の移動が媒体になる可能 性が大きい。 Ⅱ 研究方法 1.研究対象 口蹄疫発生時にK町住民への支援を行った主な保健・医療・福祉施設の支援者の支援経過。保健セ ンター保健師と相談の上、訪問看護ステーション所長、A老人介護施設長及び事務長、Bクリニック看 護師、地域包括支援センター保健師、保健センター保健師、産業振興課畜産担当者を面接対象とした。 2.調査方法 1)調査期間:平成 23 年 3 月 2)調査方法:看護大学教員が 2 名ペアとなり、所属施設を訪問し、①口蹄疫発生時の支援内容、②口 蹄疫発生時の対応や支援においての困難、③口蹄疫発生時の関係者・関係機関の連携の ありようと変化、④復興に向けた1年間の住民への思いや支援、について、半構造化面 接調査を行う。 3)分析方法 (1)逐語録を作成した上で精読し、①∼④の項目毎に内容を示すキーセンテンスを抽出し、キーセン テンスの共通性を検討し、カテゴリー化する。 (2)(1)を元にカテゴリー間の共通性を検討し、口蹄疫被災農家の復興を支えた地域の要因、支援 を困難にした地域の要因を抽出するとともに今後の災害に備える対応への示唆を得る。 ― 71 ― 3.倫理的配慮 研究目的、個人情報保護することを明記した依頼文書を示し、口頭で目的、内容、面接内容を録音さ せていただきたいこと等を説明し同意を得た関係者に面接した。記述にあたっては、個人が特定されな いよう、配慮した。 Ⅲ 結果 ①口蹄疫発生時の支援内容の逐語録からは、<産業振興課の対応や消毒の対応も早かった。町長自身 も率先した訪問を行った><保健師も自分たちで全戸訪問した>など 38 のキーセンテンスが抽出でき た。それらの共通性を検討したところ、①(1)産業振興課に対策本部を置き、町長自ら現場に出向い たり、各課の課長で構成された班員が役割分担を行いながら全庁あげて取り組む体制が取られた。①(2) 消毒ポイントの設置や消毒作業への取り組みについて、早期から対応するとともに、施設や事業所の自 主性に任せず対策本部が介入、指導し、消毒を徹底した、など 13 のカテゴリーに類別できた。 ②口蹄疫発生時の対応や支援においての困難の逐語録からは、<発生場所を情報提供していたが、他 町で発生した場合は、県が教えてくれず情報が得にくいことが困難であった><県庁に招集されて会議 で明日からワクチンを打つ同意を市町村でとってくださいと言われた>など 19 のキーセンテンスが抽 出できた。それらの共通性を検討したところ、②(1)国・県からの市町村への情報伝達・公表が不足 していたり、時期が遅かった、②(2)消毒ポイントの位置について、町外サービス事業所への情報提 供が不足していた、など 6 つのカテゴリーに類別できた。 ③口蹄疫発生時の関係者・関係機関の連携のありようと変化の逐語録からは、<日頃から月に 1 回役 場と社会福祉協議会、町外の居宅、Bクリニック、薬局が病院に集まって情報交換していた><受診や 病院への搬送に困る場合は、消防、包括、社協、役場福祉課などその時々で連携をとりながらスムーズ に対応できた>など 9 のキーセンテンスが抽出できた。それらの共通性を検討したところ、③(1)月 1 回Bクリニック、社会福祉協議会、各居宅支援事業所、地域包括支援センターなどからなる地域カン ファレンスを開催し、関係性ができているので情報交換をしながら変わりないサービスを提供でき、口 蹄疫終息後も変化はなかった、など 3 つのカテゴリーに類別できた。 ④復興に向けた1年間の住民への思いや支援の逐語録からは、<発生予防のための消毒を現在も継続 している消毒薬を予算化して農家に配布し、消毒を徹底してもらうように依頼した>など 10 のキーセ ンテンスが抽出できた。それらの共通性を検討したところ、④(1)発生予防のための消毒薬の予算化 や消毒作業の継続、など 4 つのカテゴリーに類別できた。 これら 26 のカテゴリーを元に共通性を探り、口蹄疫被災農家の回復を支えた地域の要因、支援を困 難にした地域の要因を表の通り検討した。 口蹄疫被災農家の回復を支えた地域の要因としては、 ①災害対策にあたる指揮系統の明確化と全庁対応の組織体制がとれ、初動が早く適切だった。 ②情報伝達方法の工夫による役場職員間の共有ができた。 ③相談窓口・健康管理窓口の明確化ができた。 ④日頃からの地域住民及び関係者間の連携があり、協力しあって対策を進めることができた。 ⑤住民の立場にたった対応ができた。 ⑥保健・医療・福祉のサービス提供を最小限の中止にとどめることができた。 ⑦介護保険利用者への臨機応変なサービスの変更や対応ができた。 ⑧被災者や災害により状態が悪化した人への 1 年後までの保健・医療・福祉活動の中での継続支援と ― 72 ― 地域住民への復興過程の見守り支援ができた。 ⑨災害の再発防止への評価と対応ができた、ことが抽出できた。 支援を困難にした地域の要因としては ①対応マニュアルの未整備と保健所の支援体制不足 ②情報伝達、共有の困難さ ③災害対策にあたる職員への健康管理体制の不十分さ、が抽出できた。 表 口蹄疫被災農家の回復を支えた地域の要因、支援を困難にした地域の要因 要因 災害対策にあたる指揮系統の明 確化と全庁対応の組織体制がと れ、初動が早く、適切だった 伝達方法の工夫による役場職員 間の共有ができた 相談窓口・健康管理窓口の明確化 ができた 回 復 を 支 え た 地 域 の 要 因 日頃からの地域住民及び関係者 間の連携があり、協力しあって対 策を進めることができた 住民の立場にたった対応ができ た 保健・医療・福祉のサービス提供 を最小限の中止にとどめること ができた 介護保険利用者への臨機応変な サービスの変更や対応ができた 被災者や災害により状態が悪化 した人への 1 年後までの保健・医 療・福祉活動の中での継続支援と 地域住民への復興過程の見守り 支援ができた 災害の再発防止への評価と対応 ができた ①∼④の面接項目の逐語録の分析から得られたカテゴリー ( 数字 はインタビュー項目、 (数字)はカテゴリー項目) ①(1)産業振興課に対策本部を置き、町長自ら現場に出向いたり各課の課長で構 成された班員が役割分担を行いながら全庁あげて取り組む体制が取られた。 ①(2)消毒ポイントの設置や消毒作業への取り組みについて、早期から対応する とともに、施設や事業所の自主性に任せず対策本部が介入、指導し、消毒を徹底 した。 ①(3)対策本部から全庁メールで発生状況や消毒ポイントの情報を発信し共有し た。保健センター保健師からは対策にあたる職員へメールで健康管理への注意喚 起を行った。 ①(6)役場保健師全員が消毒から除外され、健康管理や相談窓口としての動きに 専念できた。 ①(8)介護保険等のサービス提供者、子供の通園施設からの問い合わせに保健セ ンター保健師が相談窓口となり、産業振興課の助言を受けながら消毒の方法等の 指導を行った。地域住民には広報で周知を図った。 ①(5)日頃の産業振興課と畜産農家との関係性を元に、畜産農家の協力を得なが らワクチン接種から殺処分までの段取りを短期間で計画的に進めることができ た。 ①(11)地域包括支援センター保健師・看護師等と保健センター保健師で一人暮ら し、二人暮らしの高齢者を全戸訪問した。 ①(13)日頃から対住民、対関係機関ともに良い関係性ができていたので災害時も 臨機応変な対応が可能であった。 ③(1)月 1 回Bクリニック、社会福祉協議会、各居宅支援事業所、地域包括支援 センターなどからなる地域カンファレンスを開催し、関係性ができているので電 話で情報交換をしながら変わりないサービスを提供でき、口蹄疫終息後も変化は なかった。 ③(2)役場内では保健センター、地域包括支援センターが連絡を取りながら要支 援者をフォローし、口蹄疫終息後も変化はなかった。 ③(3)被災畜産農家支援では JA、畜産農業協同組合、農業共済組合、畜産農家 と密に連携し、対応にあたったので、その後の関係性も深まった。 ①(4)産業振興課が管内での口蹄疫発生当初から全畜産農家に直接電話をかけ、 消毒呼びかけや不安の解消への支援を行った。 ①(12)「自分の町におきた災害」という支援者の強い思いから住民の立場に立っ た対応がとれた。 ①(7)管内地域で口蹄疫が発生した時点で施設内で中止すべきサービス、継続す べきサービスを検討し、継続が決定した保健・医療・福祉のサービスについては 消毒を徹底することを条件に平常通りのサービスを提供し続けた。電話での見守 りも行った。 ①(9)介護保険の利用者に関しては、家庭や地域の状況に合わせてケアプランを 修正したり訪問を変更したり、対象や家族の負担が増大しないようにサポートし た。 ①(10)被災農家のこころの健康相談対象には保健センター保健師と地域包括支援 センター保健師が2人ペアとなり、全戸訪問を殺処分終了後から3ヶ月毎に評価 しながら半年間フォローした。 ④(2)復興を目指す地域住民への見守りと精神的支援 ④(3)被災農家の心身の健康状態や生活状況を健診の場等の日頃の保健・医療・ 福祉活動の中で支援したり、要フォロー対象者としての継続訪問 ④(1)発生予防のための消毒薬の予算化や消毒作業の継続 ④(4)1 年後全戸訪問により援助の在り方を評価 ― 73 ― 支 援 を 困 難 に し た 地 域 の 要 因 対応マニュアルの未整備と保健 所の支援体制不足 ②(4)ワクチン接種、殺処分の実施方法など具体的な作業について国や県から指 示されず市町村に任され、対応マニュアルがなかったので手探りで行った。 ②(5)地域住民の健康管理について、保健所が市町村の相談窓口となる体制が整 っておらず、支援マニュアルもなかったので、手探りで行った。 情報伝達、共有の困難さ ②(1)国・県からの市町村への情報伝達・公表が不足していたり時期が遅かった。 ②(2)消毒ポイントの位置について、町外サービス事業所への情報提供が不足し ていた ②(3)産業振興課からメールである程度の情報は得られたが、住民の問い合わせ にすべて回答できるだけの情報は不足していた。 ②(6)サービス提供者も被災者であり、心身の負担が大きいなかで支援を行った。 苦情や直接的な住民窓口となる中で大きなストレスを感じた。 Ⅳ 考察 災害対策にあたる職員への健康 管理体制の不十分さ K町における口蹄疫災害 1 年後の被災農家への健康生活実態調査によれば、現在の生活満足度として、 暮らしや健康等に不満、やや不満と答えた人は1割∼2 割にとどまり、回復プロセスをたどっていると いえる2)。この回復プロセスを支えた保健・医療・福祉の関係者の支援内容から、口蹄疫被災農家の復 興を支えた地域の要因、支援を困難にした地域の要因を見出すことができた。このことを踏まえ、今後 の災害に備える対応の在り方を考察する。 1)災害対策マニュアルの整備と危機管理体制づくり 今回の災害で、災害対策にあたる指揮系統が明確であったこと、全庁対応の組織体制がとれたこと、 初動が早く、適切であったこと、情報の役場職員間の共有ができたことなど、災害時の体制を早期に構 築し、機能できたことが復興を支えた地域の要因として抽出できた。一方、情報伝達、共有の困難さが 支援を困難にした要因として最も多くあげられた。地域健康危機管理ガイドラインによれば、「地方公 共団体は健康危機が発生した場合には、対応体制の確定、正確な情報の把握、原因の究明、医療の確保 等を行い、住民の健康被害の拡大防止に努めることが必要となる」としている3)。今回は口蹄疫という 家畜伝染病であったため、K町においては産業振興課が対策本部となったが、自然災害等、災害の種類 によっては対策本部となり得る担当課も異なってくると思われる。災害に備え、町における防災計画の 点検と評価、見直しをし、災害ごとの対策本部の権限、指揮系統初動について、各課の協力体制、情報 発信の在り方と住民窓口等を盛り込んだ災害対策マニュアルの整備と危機管理体制づくりをしておく ことが必要である。 2)災害時要援護者対策の充実と関係者のネットワークの構築 1 年後の健康・生活実態調査によると、口蹄疫発生前後で、心身の状況について 8 割前後が変わらな いと答え、悪化した人は 1 割未満であった4)。これは、保健・医療・福祉のサービス提供を最小限の中 止にとどめることができたことや、介護保険利用者への臨機応変なサービスの変更や対応ができたこと、 被災者や災害により状態が悪化した人への 1 年後までの保健・医療・福祉活動の中での継続支援と地域 住民への復興過程の見守り支援ができたこと、など災害弱者といわれる要援護者への対応が適切であっ たことによると思われる。その背景として、まずK町では日頃から関係者間の地域カンファレンスが定 期的に開かれており、災害時にも密に連携を取りながら要援護者の支援ができたこと、そして、保健師 が口蹄疫発生直後のこころと身体の電話相談の結果を受けて、殺処分終了後の被災農家の全戸訪問、3 ヶ月後、6 ヶ月後と継続訪問による支援を行ってきたという活動を行ってきたことが影響していると考 えられる。災害時の支援は平常時から地区活動を基盤においた活動がベースにあることが非常時の活動 の成否を大きく左右すると言われている5)。このことから、現在ある地域ケアカンファレンスを土台に、 ― 74 ― 役場総務課、消防、保健所、医療機関等を追加したネットワークを構築していくと共に、災害弱者名簿 の整備と支援方法の決定、災害発生時の役割分担等について、保健師が関係機関の連携の調整役として 役割を果たしつつ取り組んでいくことが必要である。 3)災害対策にあたる職員への健康管理体制と保健所の市町村支援体制の整備 今回の研究で、支援を困難にした要因の一つとして、災害対策にあたる職員への健康管理体制の不十 分さが抽出された。K町の支援者は畜産農家を営む者も多く、自らが災害の被災者でもあり、その中で 支援活動を営まなければならない環境がストレスをさらに増強させていた。被災農家への対応を優先し、 支援者の健康管理が後回しになった現状の中で、支援者の健康障害の発生がなかったのは幸いであった。 今回の反省を踏まえ、災害対策マニュアルの中に、支援者の健康管理の在り方について明記しておくこ とが必要である。 また、今回の災害が家畜伝染病であり、農政関係の部署が対策本部となったこと、及び移動制限があ り、他地域から災害発生地域にでむく活動が制限されたことから、自然災害発生時のような保健所の支 援は少なかった。今回の調査で、保健所の支援をもっと得たかったという要望も語られ、災害時、地域 の危機管理の中心である保健所の支援に対する市町村への期待は大きいことがわかった。前述した支援 者の健康管理などは、専門職を擁する保健所から得たい支援の一つであるとも思われる。今後は、災害 発生時に保健所と市町村がどのような連携を取るのか、どのような支援を保健所が行うのかについて、 日頃からの保健所管内市町村との連携会議の中でお互い協議しておくことが必要である。 Ⅴ 結論 口蹄疫発生時にK町住民への支援を行った主な保健・医療・福祉施設の支援者の支援経過の分析から、 口蹄疫被災農家の回復を支えた 9 つの地域の要因、支援を困難にした 3 つの地域の要因が抽出できた。 このことから、今後の災害に備える対応として、1)災害対策マニュアルの整備と危機管理体制づくり、 2)災害時要援護者対策の充実と関係者のネットワークの構築、3)災害対策にあたる職員への健康管 理体制と保健所の市町村支援体制の整備が必要であることが示唆された。 謝辞 お忙しい中、本調査にご協力くださいましたK町の保健・医療・福祉施設の支援者の皆様に深く感謝 いたします。 引用文献 1)門内恵子,松尾祐子:口蹄疫被害を受けた住民へのこころのケア対策,保健師ジャーナル 67(3) P191-195,2011 2)宮崎県立看護大学、木城町役場:平成 24 年度宮崎県立看護大学地域貢献等研究推進事業 口蹄疫 被害を受けた住民の 1 年後の健康・生活実態調査報告書,P8,平成 25 年 3 月 3)厚生労働省:地域における健康危機管理についてー地域健康危機管理ガイドライン,P9,2001 4)前掲書2) :P4 5)奥田博子:災害時における保健師の役割, 保健師ジャーナル,67(3),P186-190,2011 ― 75 ― 年報研究報告投稿規程 1 対象とする原稿 1)看護研究・研修センターの地域貢献事業に関する研究であること。 2)倫理的に配慮された研究内容であり、その旨が明記されていること。 3)他の学会誌に投稿していないこと。学会等に発表した報告に加筆して作成したものは その旨を記すこと。 2 投稿手続き 執筆要領に沿って作成後、看護研究・研修センター事務局に提出する。 3 執筆要領 1)Microsoft word で作成する。 2)書式のレイアウト(ツールバーのページのレイアウト)は下記のとおり。 ①余白 : 上・下 20 ㎜ ②文字方向 : 1段組 ③行数:40 左・右 20 ㎜ 横書き 文字数:40 ④フォント : 文章内は MS 明朝を使用 ⑤ページ数:ページ数は問わない 3)ページの上部に表題(12P) 、キーワーズ(10.5P) 、研究者氏名・所属(10.5P)を 記載し、1 行あけて本文を書き始める。 4)本文中の項目立ては、投稿者に一任する。 5)原稿はそのまま印刷するため、図、表、写真等は白黒印刷で判別できる明瞭なものと し、該当する位置に挿入して作成する。 6)その他、論文作成上の一般的なルールに沿って作成する。 4 投稿原稿の採否 投稿原稿の採否は、本誌編集委員会の審議により決定する。投稿原稿は原則として 返却しない。 平成 24 年 5 月 22 日 ― 76 ― Ⅲ 資 料 1.教員の学外活動 宮崎県立看護大学では、地域貢献の一環として、教員が研修会講師等の依頼に対応したり、各 種委員会の委員、役員として活動しています。平成 24 年度の実績を以下に示します。 平成 24 年度委員会等の学外活動 〈研修会等講師〉 対象 時間 延べ 主な内容 教員数 がん化学療法を受ける患者の看護 リーダー保健師研修会「保健師活動を発展させる研究の方法」 宮崎県看護協会:看護研究研修「看護研究−基礎編−」 看護職 398.1 59 退院支援看護師養成研修 日向市地域包括支援センター等研修会 看護職者のための看護力再開発講習会「技術演習コース」 急性期看護セミナー 日本文学 等 講義 日之影町保健センター研修会「心の健康について」 緊急サポートネットワーク講習会 一般住民 73.2 23 「子どもの身体と心の成長発達とその過程におこる病気」 公開講座 「ウォーキング実践―正しい姿勢と歩き方―」 がん予防講演会 等 宮崎学園高等学校:模擬授業「その人の持てる力を引き出す看護」 宮崎県立小林高校:模擬授業「看護の仕事とその魅力」 小中高生 親・教員 宮崎県立大宮高校:性教育講話 52.9 48 「あなた、そして私を大切にすること∼性と生の問題から∼」 都城市立西中学校:性教育講演 「輝く人になりましょう∼思春期のみなさんに伝えたいこと∼」 宮崎県国富町立八代小学校薬物予防教育「アルコールの害について」 養護教諭 保健主事 看護学生 看護教員 大学院生 等 小児救急医療研修会 3.5 2 西都市教育委員会養護教諭合同部会「健康の法則」 60.7 4 都城洋香看護専門学校「保健医療論Ⅱ」 都城洋香看護専門学校専任教員研修会 「看護教員に課せられること」 72 1 等 宮崎公立大学スポーツ健康科学実習 JICA地域別研修 中東地域 その他 44.3 28 女性の健康支援を含む母子保健方策「子ども虐待について」 宮崎県社会福祉協議会研修会「健康な食生活 宮崎いきいき健幸体操専門研修会 計 704.7 165 ― 79 ― −食物アレルギー−」 等 〈研修会等講師以外の学外活動〉 対象 時間 延べ 主な内容 教員数 急性期看護事例検討学習会 看護職 277.7 37 看護力再開発講習会(技術演習コース)「与薬と看護」の支援 看護科学研究学会宮崎例会「事例検討会」 等 在宅ケアシンポジウムコーディネーター 一般住民 153.3 20 月経ヘルスケアプログラム「生理のみかた☆輝く女性へ」 子育て支援「おもちゃ広場」 小中高生 等 進路説明会 250.2 55 8.8 1 日南地区小学校・中学校養護教諭研修会 「保健室における救急法」の演習指導 97.5 1 タイ チェンマイ大学 国際交流委員会事業「学生短期研修プログラム」の現地指導 その他 3 1 宮崎県保育事業研究会の助言 計 790.5 115 親・教員 養護教諭 保健主事 看護学生 看護教員 思春期移動相談(赤江地域まちづくり推進委員会事業) 等 〈各種委員・役員〉 回数 教員数 主な内容 医の倫理委員会(宮崎大学医学部)委員 宮崎市国民健康保険運営協議会委員・会長 みやざき被害者支援センター理事 宮崎県プライマリ・ケア研究会学術広報委員 宮崎県看護協会地域・在宅ケア推進委員会 県内 委員役員 274 63 九州ブロック保健師等研修会運営委員 宮崎県男女共同参画審議会委員 宮崎市民プラン評価委員 宮崎県社会教育委員 宮崎県母性衛生学会理事 平成 24 年度宮崎市高齢者福祉計画等推進協議会委員 等 古事記学会理事 県外 委員役員 日本感染看護学会評議員 68 23 ナイチンゲール研究学会理事 日本小児学術交流推進員 日本看護研究学会九州地区評議員 計 342 86 ― 80 ― 等 2.宮崎県立看護大学看護研究・研修センター概要 1. 目 的 センターは、全学の協力のもとに、看護生涯学習に関して調査、研究及び教育 を行うとともに、地域との交流の促進を図り地域社会の発展に寄与することを目 的とする。 2.業務内容 1)地域における看護生涯学習活動の推進に関すること。 2)広報・学外協力に関すること。 3)高等教育コンソーシアム宮崎に関すること。 4)その他センターに関する重要事項に関すること。 3.組織構成 看護研究・研修センター センター事務局 看護研究・研修センター運営委員会 セ ン タ ー 長:教授 小野美奈子 副センター長:准教授 長坂 委 猛 員:教授 串間敦郎,准教授 小河一敏,准教授 大館真晴 准教授 川北直子,准教授 川原瑞代,講師 末吉真紀子 講師 橋口奈穂美 事務局長 山内武則 看護生涯学習専門部会 広報専門部会 コンソーシアム専門部会 専門部会長:橋口奈穂美 専門部会長:大館真晴 専門部会長:串間敦郎 委員:小野美奈子 委員:川北直子 委員:川北直子 串間敦郎 長坂猛 末吉真紀子 川原瑞代 小河一敏 橋口奈穂美 栗原保子 川原瑞代 小野美奈子 壹岐さより 橋口奈穂美 長坂猛 長鶴美佐子 山内武則 岡村義隆 松本憲子 堅田浩明 堅田浩明 甲斐鈴恵 野津原功 工藤るり子 新田なつ子 川村道子 寺島久美 堅田浩明 ― 81 ― 1 3.宮崎県立看護大学看護研究・研修センター規程 (趣旨) 第1条 この規程は、宮崎県立看護大学学則第3条の2第2項の規定に基づき、宮崎県立 看護大学看護研究・研修センター(以下「センター」という。)の組織及び運営に関し必要 な事項を定める。 (目的) 第2条 センターは、全学の協力のもとに、看護生涯学習に関して調査、研究及び教育を 行うとともに、地域との交流の促進を図り地域社会の発展に寄与することを目的とする。 (所掌事務) 第3条 センターの所掌事務は、次のとおりとする。 (1)地域における看護生涯学習活動の推進に関すること。 (2)広報・学外協力に関すること。 (3)高等教育コンソーシアム宮崎に関すること。 (4)その他センターに関する重要事項に関すること。 (職員) 第4条 センターに、次の職員を置く。 (1)センター長 (2)副センター長 (3)専任教員 (4)兼任教員 (5)その他センター長が必要と認める者 (センター長) 第5条 センター長は、センターを統括する。 2 センター長は、本学専任の教授の中から学長が教授会の意見を聞き選考する。 3 センター長の任期は 2 年とし、再任を妨げない。 4 センター長に欠員を生じた場合の後任者の任期は、前任者の残任期間とする (副センター長) 第6条 副センター長はセンター長を補佐する。 2 副センター長は、教員の中からセンター長の推薦により学長が委嘱する。 3 兼任教員の任期は 2 年とし、再任を妨げない。 4 兼任教員に欠員を生じた場合の後任者の任期は、前任者の残任期間とする (専任教員) 第7条 専任教員の選考については、別に定める。 (兼任教員) 第8条 兼任教員は、センター長の推薦により学長が委嘱する。 2 兼任教員の任期は 2 年とし、再任を妨げない。 3 兼任教員に欠員を生じた場合の後任者の任期は、前任者の残任期間とする。 ― 82 ― 67 (事務局) 第9条 センターに事務局を置き、大学事務局職員を充てる。 (センター運営委員会) 第10条 センターの運営に係る事項を審議するためにセンター運営委員会(以下「委員会」 という。)を置く。 2 委員会に関し必要な事項は、別に定める (委任) 第11条 この規程に定めるもののほか、センターの運営に関し必要な事項は委員会の議 を経て学長が定める。 附 則 この規程は、平成15年4月1日から施行する。 附 則 この規程は、平成21年4月1日から施行する。 ― 83 ― 68 4.宮崎県立看護大学看護研究・研修センター運営委員会規程 (趣旨) 第1条 宮崎県立看護大学(以下「本学」という。)に、宮崎県立看 護 大 学 教 授 会 規 程 第 8 条 及 び 宮 崎 県 立 看 護 大 学 看 護 研 究・研 修 セ ン タ ー 規 程 第 1 0 条 第 2 項 の 規 定 に 基 づ き 、宮 崎 県 立 看 護 大 学 看 護 研 究・研修センター運営委員会(以下「委員会」という。)を置く。 (所掌事務) 第2条 委 員 会 は 、宮 崎 県 立 看 護 大 学 看 護 研 究・研 修 セ ン タ ー( 以 下 「センター」という。)の運営に関する次の事項を審議し、実施す る。 (1)地域における看護生涯学習活動の推進に関すること。 (2)広報・学外協力に関すること。 (3)高等教育コンソーシアム宮崎に関すること。 (4)その他センターに関する重要事項に関すること。 (組織) 第3条 委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。 (1)セ ン タ ー 長 (2)本 学 の 専 任 教 員 の 中 か ら 学 長 が 指 名 す る 者 若干名 (3)事 務 局 長 2 前項第2号の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。 3 第 1 項 第 2 号 の 委 員 に 欠 員 が 生 じ た 場 合 の 後 任 者 の 任 期 は 、前 任 者の残任期間とする。 (委員長及び副委員長) 第4条 2 委員会に委員長及び副委員長を置く。 委 員 長 は セ ン タ ー 長 を も っ て 充 て 、副 委 員 長 は 副 セ ン タ ー 長 を も って充てる。 3 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。 4 副 委 員 長 は 、委 員 長 を 補 佐 し 、委 員 長 に 事 故 あ る と き は 、そ の 職 務を行う。 5 委 員 長 及 び 副 委 員 長 共 に 事 故 が あ る と き は 、委 員 長 が 指 名 す る 委 員が委員長の職務を行う。 (定足数) 第5条 委 員 会 は 、委 員 の 過 半 数 が 出 席 し な け れ ば 、会 議 を 開 く こ と ができない。 (議決) 第6条 委 員 会 の 議 事 は 、出 席 者 の 過 半 数 で こ れ を 決 し 、可 否 同 数 の ときは、議長の決するところによる。 (委員以外の者の出席) ― 84 ― 69 第7条 委 員 長 は 、必 要 が あ る と 認 め る 場 合 は 、委 員 以 外 の 者 を 会 議 に出席させ、意見を聴くことができる。 (専門部会) 第8条 委員長の所掌事務を実施するために所掌事務ごとに専門部会を置く。 2 委員長が教職員の中から指名する者をもって組織する。 3 委員長は、専門部会で実施した結果を委員会に報告するものとする。 (事務) 第9条 委員会の事務は、事務局総務課において処理する。 (委任) 第10条 こ の 規 程 に 定 め る も の の ほ か 、委 員 会 の 運 営 に 関 し 必 要 な 事項は、委員会の議を経て学長が定める。 附 則 この規程は、平成21年4月1日から施行する。 ― 85 ― 70 宮崎県立看護大学看護研究・研修センター年報(第 2 号) 発行日 平成 25(2013)年 7 月 編 集 宮崎県立看護大学看護研究・研修センター年報編集委員会 発 行 宮崎県立看護大学看護研究・研修センター 〒880−0929 宮崎市まなび野 3 丁目5番地1 Tel 0985-59-7833 Fax 0985-59-7878 E-mail [email protected] 印 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