平成18年度 (事業実施期間 18.07~19.06)

国際ボランティア貯金寄附金の
配分事業完了報告書集
平成 19 年度版
(平成 18 年度寄附金配分事業)
独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
《
目
次
》
宮 城
宮城国際支援の会 ························································································································1
埼 玉
エクアドルの子どものための友人の会 ·················································································2
千 葉
特定非営利活動法人 観照ボランティア協会 ···································································3
ブッディ バンガラ ネパールの歯科医療を支援する会 ···············································4
ベトナムの「子どもの家」を支える会 ······················································································5
神奈川
梅本記念歯科奉仕団 ···················································································································6
特定非営利活動法人 エル・エンジェル国際ボランティア協会 ·································7
東 京
特定非営利活動法人 アジア教育・文化・自然環境保護日本支援センター ·······8
特定非営利活動法人 アジア地域福祉と交流の会 ·······················································9
特定非営利活動法人 幼い難民を考える会 ·································································· 10
特定非営利活動法人 環境修復保全機構 ····································································· 11
特定非営利活動法人 ジャパン バングラデシュ ファンデーション ···················· 12
特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会 ···················· 13
スランガニ基金 ····························································································································· 14
特定非営利活動法人 地球の友と歩む会 ······································································ 15
特定非営利活動法人 難民を助ける会 ············································································ 16
日本・バングラデシュ文化交流会 ························································································ 17
特定非営利活動法人 日本紛争予防センター ······························································ 18
特定非営利活動法人 ヒマラヤ保全協会 ········································································ 19
特定非営利活動法人 ブリッジ エーシア ジャパン ·················································· 20
マダガスカルの社会福祉と環境保全を支援する会 ····················································· 21
ラリグラス・ジャパン ···················································································································· 22
愛 知
特定非営利活動法人 自立のための道具の会・TFSR Japan ························· 23
スリヤールワ スリランカ ········································································································· 24
特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 ··························································· 25
特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会 ································································ 26
三 重
DIFAR ············································································································································· 27
京 都
特定非営利活動法人 リボーン・京都 ··············································································· 28
大 阪
アイユーゴー -途上国の人と共に- ··············································································· 29
社団法人 アジア協会アジア友の会 ·················································································· 30
ラルパテの会 ································································································································ 31
兵 庫
特定非営利活動法人 アジア眼科医療協力協会 ························································· 32
ベトナム視覚障害児の夢と未来を支える会 ···································································· 33
岡 山
特定非営利活動法人 アムダ ······························································································· 34
ザ・トゥース・アンド・トゥース ···································································································· 35
広 島
特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構 ······················································ 36
ひろしまルソン友好協会 ··············································································································37
愛 媛
特定非営利活動法人 東洋歯学友好会 ·················································································· 38
国・地域別索引 ····················································································································································· 39
宮城国際支援の会
ネパール
(宮城)
事業名:住民のための診療所の運営指導
配分額:2,727,000 円
あち
背景と目的
事業対象地域であるカガチ村は首都カトマンズの北西約 20km にある人口 5 千人ほどの集
落である。カトマンズ近郊に位置しながら、最近まで村外に通じる道路がなかったため、
近隣の村々との交流もなく、現代社会から隔離されたような生活を続けており、行政によ
る支援もほとんど届いていない。
住民は衛生や栄養に対する知識が低く、軽症な病気でさえ対処知識がないために死亡率
が高く、平均寿命はおよそ 50 歳と言われている。
当団体は、カガチ村を含む周辺 11 村(人口約 2 万人)の住民を対象として、平成 16 年に
診療所を開設し、疾病治療のほか、栄養・衛生・予防医学などの指導を行ってきた。
平成 18 年度も引き続き、診療所の運営や住民に対する保健衛生指導を行うこととした。
王実施状況
診療所では、現地の医師、看護師、検査技師を雇用し、毎週月・水・金の週 3 回の診療
を 1 年間続け、毎月 150 名から 200 名が受診した。妊産婦が安全な出産を迎えられるよう
に、個別の無料相談を行ったほか、毎月 1 回、医師によるワークショップ(講習会)を開催
し、栄養や衛生状態等の改善指導を行い、毎回約 200 名が参加した。
今年度の寄附金配分により発電機を設置したことから、停電によるレントゲンの使用不
能が回避できるようになり、夜間の緊急診療など診療能率は向上した。
日本からは、平成 18 年 10 月 1 日から 10 月 7 日までの間、11 月 26 日から 12 月 2 日まで
の間、平成 19 年 2 月 18 日から 2 月 27 日までの間、5 月 15 日から 5 月 22 日までの間の計
4 回スタッフを派遣し、診療所の運営状況や学校給食の実施状況、診療所の水源確保、薬品
の確保などを行った。また、日本人スタッフの滞在中に村民会議を開催し、住民の生活環
境、衛生・健康状態等の調査を実施した。
効果と現地の反響
住民からは、「発電機の導入により、いつでもレントゲン撮影が出来るようになり、安心
できる」「診療所の運営のほか、勉強会を開催してもらい、病気や衛生、栄養に対する知識
が向上した」「妊産婦に対して無料相談が行われ、安心した」「毎月 2 回定期的に学校給食が
実施してもらえるようになり良かった」「医者の診察を受けた経験がなく、診療代を取られ
ることは知らなかった。無償にしてもらいたい」など、感謝や要望の声が寄せられた。
-1-
エクアドルの子どものための友人の会
エクアドル
(埼玉)
事業名:農民のための農業技術指導及び植林
配分額:649,000 円
背景と目的
対象地域であるピチンチャ県カヤンベ郡は、標高 2,500mから 3,500mの高地に位置する
農村地域である。この地域は降雨量、強風、低温など自然環境が厳しく、農作物の安定し
た収穫が難しいため、農業後継者である子どもたちは、現金収入を得るため大都市へ働き
に出て行き、地域農業の衰退が問題となっている。
当団体では、平成 15 年度から地域の農業高校や小学校 4 校において、学校内の土地を利
用して、現地の農業技術指導者のもと、生徒や教師、地域住民を対象とした農業技術指導
を行ってきた。
実施状況
今年度も引き続き学校菜園において農業実習を行った。現地の農業技術指導者が、マシ
ュア、オカ、メジョコ、キヌアなどの伝統作物の栽培及び管理方法、植林の効果や管理方
法などについて指導した。
平成 18 年 11 月から平成 19 年 6 月までの間に計 5 回、国立サレシアーナ大学と協力し、
農業実習を指導する学校の教師や地域住民を対象とした講習会を実施した。延べ 72 名参加
し、食の安全、伝統作物の利用方法などについて講習した。さらに、子どもたちを対象と
した人形劇のワークショップを開催し、子どもの権利に対する意識・環境、地域への愛着
などについて講習をし、延べ 300 名が参加した。また、平成 18 年 10 月に事業実施地域の
子どもたちによって 2,000 本の苗木を植林した。
日本からは平成 18 年 10 月 2 日から 12 月 3 日までの間スタッフを派遣し、地域住民への
聞き取り調査や、事業運営に関する関係者との協議を行った。
効果と現地の反響
伝統作物の栽培を通して、地域住民や生徒や教師に作物についての知識や技術の定着に
貢献した。農業実習で収穫した作物は学校給食用として提供され、ビタミンの摂取ができ
るなど子どもたちの栄養改善に役立てられた。
学校菜園事業の普及のため、地域教育機関との関係を強化した結果、地域への広がりが
促進され、今年度は新たに事業実施校以外の 3 地域でも、学校菜園事業が実施された。
ピチンチャ県教育文化部長からは「各学校で実施されている学校菜園で、伝統作物やアン
デスにおいて絶滅した作物の耕作を、地域住民に広め、学校において生徒の教育の一環と
して行われたことに、心より感謝いたします」生徒たちからは「多くの種類の種をまき、多
くの作物を再生産し、たくさんの仕事を楽しみました。そして、作物は学校給食として役
立ちました」など感謝の手紙が届いた。
-2-
特定非営利活動法人 観照ボランティア協会
フィリピン
(千葉)
事業名:農民のための炭焼き施設の再建及び炭焼き技術指導
配分額:360,000 円
背景と目的
当団体は、平成 11 年よりフィリピン・ケソン州において、地域住民の経済的な自立と熱
帯林の資源保護を目的とした炭焼きの技術指導を実施してきた。炭窯の建設と日本の炭焼
き技術の指導や講習会を行う一方、窯で作った炭を土壌改良剤として用いた植林を続けて
いる。
平成 16 年 11 月末から 12 月初旬にケソン州を大型台風が襲い、この大豪雨により事業を
実施しているインファンタ地域ナカル及びポリロ島に建設した炭窯は、2mを超える冠水で
一時は完全に水没するなど甚大な被害を受け、炭焼き事業ができない状態となっていた。
今年度は被害を受けた 2 つの炭窯と付帯設備の修理を行い、
復旧を目指すこととなった。
実施状況
平成 18 年 9 月 3 日から 9 月 13 日までの間、日本人スタッフ 1 名を派遣し、台風によっ
て被害を受けた炭窯修理復旧に向け、現地協力団体 IPS(振興開発センター)、大工などの関
係者と具体的な作業日程・内容、作業者や物品の手配等について協議した。
ポリロ島の炭窯復旧作業は、平成 18 年 10 月 10 日から 15 日までの間、現地炭焼き指導
者、大工 3 名によって修理が行われ完成した。現地協力団体からは、食事や宿泊場所の提
供、周辺土砂運び、道具類の調達などの協力があった。
また、平成 19 年 2 月 13 日から 2 月 21 日までの間、日本人スタッフ 1 名を派遣し、事業
点検、炭焼き技術指導を行った。復旧された炭窯でのテスト焼きは現地農民と共に実施し、
窯の内部温度は適正温度(250℃)にほぼ達成することができた。
しかし、ナカルの炭窯復旧作業については、最近のエネルギー事情の変化や、炭焼き職
人の払底、コストの低迷等の理由により、現地農民組織に炭焼き継続の意思がないことが
確認できたため、やむを得ず事業を断念することとした。
効果と現地の反響
ポリロ島の炭窯の復旧作業は予定通り修復し、村人たちは積極的に利用している。今回
の補修によって炭焼き活動は一層活発化することを期待している。
村人からは、木酢液等燃料以外で付加価値の高い炭の利用方法や詳しい技術指導を望む
声が多く、講習会の受講希望者が増えてきた。
当団体としては、炭を取巻く現地の事情を一層検証し、より効果的な支援活動ができる
ようにしたいと考えている。
-3-
ブッディ バンガラ ネパールの歯科医療を支援する会
ネパール
(千葉)
事業名:住民の口腔衛生向上のための口腔衛生指導者、歯科衛生士・技工士の育成
及び医療器材修理技術指導
配分額:1,478,000 円
背景と目的
ネパールでは歯科医療従事者や口腔衛生指導者など歯科医療に携わる専門家が不足して
おり、歯科医療施設の整備も遅れている。また、経済的な理由により歯科医療を受けられ
ない住民も多いため、口腔衛生について指導ができる人材を育てることが急務である。
当団体は、平成 14 年よりカトマンズの「カンティプール歯科衛生士学校」の支援を行って
いる。今年度も引き続き、歯科衛生士や技工士を育成するとともに、容易に歯科治療を受
けることができない住民に口腔衛生知識を広めることを目指し支援活動を行った。
実施状況
平成 18 年 8 月 2 日から 8 月 17 日までの間と、平成 18 年 12 月 20 日から平成 19 年 1 月
20 日までの間に、日本から歯科衛生士 2 名を 2 回派遣した。歯科衛生士学生 160 名、歯科
衛生士・助手スタッフ 25 名、歯科学校卒業生 16 名に対して、歯周組織に関する講義、正
しいブラッシング方法や歯科医療器械、歯科材料の扱い方、歯周病のチェック方法等の口
腔衛生指導を行うとともに、歯科衛生士 10 名を対象に歯科衛生セミナーを実施した。また、
学生や現地スタッフと共に、住民及び小学校の児童に対してデンタルキャンプ(無料歯科検
診)を行った。
平成 19 年 4 月 28 日から 5 月 7 日までの間に、歯科技工士 1 名を派遣し、現地の歯科技工
担当者 3 名、スタッフ 25 名を対象に模型の作成方法等について技術指導研修を行った。
また、平成 18 年 8 月 6 日から 8 月 17 日までの間と、平成 19 年 4 月 28 日から 5 月 7 日ま
での間に、歯科医療器械修理技術者 1 名を派遣し、実際の歯科医療器械・器具のメンテナ
ンスを行いながら、現地の器械技術者 3 名に対して技術指導を行った。
効果と現地の反響
学生たちは歯周病予防の実習や歯科医療器械・器具の扱い方について大変興味を示し、
一生懸命学んでいた。また、地域住民や小学校の児童を対象に行ったデンタルキャンプに
おいても、実にいきいきと口腔衛生指導を行い、学生自身指導を行うことに意義を感じて
いた。
歯科検診を受けた住民たちは、口腔衛生知識や自分の状況を知ることができて、大変喜
んでいた。
今年度、国際ボランティア貯金の寄附金配分を受け 5 年が経過した。指導者の育成は成果
をあげているが、ネパール側からは引き続き、日本からの歯科衛生士・技工士、歯科医療
器械修理者の派遣を強く望まれている。
-4-
ベトナムの「子どもの家」を支える会
ベトナム
(千葉)
事業名:障害をもつ子どもたちのための医療センターの運営
配分額:1,684,000 円
背景と目的
当団体は、ベトナムの中部に位置するフエ市内に「子どもの家」を建設・運営し、数多く
いるストリートチルドレンの自立を目指してきた。
また、これまで貧困等により教育やリハビリテーションを受けられず、家庭内に放置さ
れていた障害児を支援するため、平成 14 年に「フエ市障害児父母の会」を設立した。また、
活動の拠点として、フエ市人民委員会と協力して「フエ市障害児医療センター」を開設した。
毎月医師を派遣し、障害児へのリハビリテーション、生活支援を行うほか、社会から孤立
し、生活苦と子どもの将来を案じ苦しんでいた親の悩み相談などを行なっている。
実施状況
「フエ市障害児医療センター」は 3 名の医師と 2 名のスタッフで運営され、平成 18 年度は
42 名の障害児の医療相談、アドバイス、生活支援活動を行った。
「フエ市障害児父母の会」はフエ市内の 25 か所で開催され、延べ 600 名の障害児とその父
母が参加し、リハビリテーションの方法、家庭生活上の注意、障害児の父母としての心構
え、医療上の問題など、医師からの指導や情報交換などを行っている。
現地には年間を通して日本人スタッフ 2 名が常駐し、プロジェクト調整、進捗管理を行
ったほか、専門家 1 名を日本から派遣し、障害児医療センターの運営指導を行った。
効果と現地の反響
「フエ市障害児医療センター」によって多くの障害児がリハビリテーション、通学、医療
サービスを受ける機会を得られた。また、同時に障害者を抱えた家族、特に母親の医療上
の悩み、子どもたちの将来の悩みなどの相談にあたり、精神的な負担を軽減することがで
きた。
この事業は、地域の行政や住民からも高い評価を得ている。医療センターの評判を聞い
て、フエ市のみならず周辺地域から多くの障害児の家族が訪れ、ベトナム中部地域にはな
くてはならない障害児支援施設となっている。
平成 18 年 12 月末に行われたフエ市人民委員会の新年祝賀集会では、カオ市長から「国際
ボランティア貯金による支援で行われている障害児支援活動に感謝する」との言葉があっ
た。
-5-
梅本記念歯科奉仕団
タイ
(神奈川)
事業名:ハンセン病患者等のための巡回歯科診療及び口腔衛生教育指導等
配分額:1,795,000 円
背景と目的
タイにおけるハンセン病患者は、これまで経済的な理由等により歯科医療を受けること
が難しく、また、タイ国内では義歯製作技術を持つ歯科技工士が不足している状況であっ
た。
当団体はタイ東北部 4 か所のハンセン病療養施設の患者およびその家族、地域の住民を
対象として、巡回歯科診療や義歯作成、口腔衛生指導を行ってきた。
当地域において同事業を開始し 5 年が経ち、完了予定時期を迎える本年度も、日本から
歯科医師、歯科技工士を派遣し、現地の医師とともに巡回診療を実施するとともに、歯科
技工士に義歯作成の技術移転等を行った。
実施状況
日本からは平成 18 年 8 月 17 日から 8 月 24 日までの間、平成 18 年 11 月 21 日から 11 月
27 日までの間、平成 19 年 4 月 29 日から 5 月 4 日までの間の 3 回、医師・歯科技工士等 12
名を派遣し、15 日間、31 回の巡回診療を行った。
巡回歯科診療は、派遣した歯科医師 6 名、歯科技工士 6 名と、現地歯科医師 6 名、看護
師および助手 8 名、臨時雇用者 22 名等により実施された。4,759 名の住民に歯科治療や義
歯装着・調整、歯科衛生指導を行うとともに、現地歯科技工士を対象とした義歯作成技術
指導を行った。また、日本人スタッフにより、近隣の集落に義歯サンプル持ち込んで見せ、
義歯の必要性の啓蒙を行った。義歯製作は 3 年間で 450 床を作製する目標としていたが、
517 床作製することができた。歯科医療技術、義歯製作技術の技術移転はほぼ終了し、特殊
なケースを除いては自立が可能となった。また、巡回歯科診療とともに歯ブラシ、歯磨材
を 2,863 セット、フッ素洗口剤を 1,210 本配付し、歯科衛生教育を行った。
今後も患者や住民の治療状況のモニタリングを続け、必要に応じた技術支援、限定的な
資金提供を行っていく。
効果と現地の反響
巡回診療は患者や家族にとって、唯一の歯科診療を受ける機会となっている。活動を重
ねるごとに、義歯に対する現地の人々の認識は確実に高まっており、義歯の着脱に関して
は初期の頃に比べ、新患においても理解の速度が速い傾向にあり、巡回歯科診療は円滑に
進めることができた。
当団体の活動に対し、コンケン県立シリントン病院の Kitcha Sorranaruk 医師から感謝
状が贈られた。
-6-
インド
特定非営利活動法人 エル・エンジェル国際ボランティア協会
(神奈川)
事業名:路上生活者のための収容施設の建設及び運営指導
配分額:2,461,000 円
背景と目的
インドでは貧富の差が激しく、貧しい低カースト者や近隣からの難民の中には、路上で
生活する人が数多くいる。中でも高齢者は移動が難しく、路上で横たわる人も多い。
当団体は、インド南東部に位置するアーンドラ・プラデーシュ州スリカークラム地域に
路上生活者の生活支援や居住場所として、30 名収容できる収容施設「エル・エンジェルホー
ムレスセンター」を建設し、州政府から建設地の提供を受け、高齢の路上生活者に食事や医
療サービスなどの提供を行い、安寧なる老後の生活が送れるよう支援することとした。
実施状況
収容施設建設に先立ち、州政府からは利用希望者が急増しているため、敷地・建物面積
を拡張し、収容人員を 50 名に増やして欲しい旨の申し出があった。種々協議を重ね、建設
費用の増額にかかる費用は州政府が負担することとなった。
工事は平成 18 年 9 月 21 日に着工し、敷地面積 1,978 ㎡、建物面積 190 ㎡、50 名収容の「エ
ル・エンジェルホームレスセンター」が平成 19 年 5 月 17 日完成した。
建設されたホームレスセンターの運営経費は州政府が負担、運営指導は当団体が行い、
職員 12 名、給食調理員 3 名、作業員、ガードマン各 1 名で運営し、利用者の健康管理は看
護師 2 名、医師(非常勤)1 名で行うこととした。
日本からは平成 18 年 7 月 12 日から 7 月 18 日までの間、平成 18 年 11 月 16 日から 11 月
23 日までの間、平成 19 年 5 月 13 日から 5 月 20 日までの間の計 3 回、スタッフを派遣し、
建設計画の変更協議、躯体工事の進捗確認、ホームレスセンターの運営協議を行った。
効果と現地の反響
スリカークラム地域の路上生活者の生活環境の改善を目的とした「エル・エンジェルホー
ムレスセンター」が完成し、男女各 25 名が収容された。
開所式は州政府高官、地域住民など約 70 名が出席し、同地域の市長から、国際ボランテ
ィア貯金の世界的な援助活動に、敬意と感謝の言葉が述べられた。
ホームレスセンターの職員からは「高齢者が元気で楽しく過ごしていただけるよう全員
で努力していきます」との言葉があった。
また、ホームレスセンター入居者からは「素晴らしいホームが出来て、これからは暑さや
雨が凌げ、この施設で生活できることが幸せです。日本の皆様方のお陰で夢のような生活
が出来ます。とても感謝しています」との言葉があった。
-7-
スリランカ
特定非営利活動法人 アジア教育・文化・自然環境保護日本支援センター
(東京)
事業名:貧困地域の住民のための井戸の設置
配分額:3,664,000 円
背景と目的
「光輝く島」という意味を持つ国スリランカは、過去 20 年にも及んだ民族戦争、経済不安
などから貧富の差が拡大し、市街地で暮らす余裕のない人々が、市街地から離れた地域に
移り住んでいる。それらの地域は、行政の手が届かないことから、ライフラインの整備も
進まず、住民は飲料水を得るため遠くまで水を汲みに行っている。特に乾期には、少ない
水で過ごさねばならず、不衛生で不便な生活を送っている。
当団体は、そのような地域に安全な飲料水を確保できる井戸を建設し、住民の生活環境
の改善を支援することとした。
実施状況
行政による水路計画発足や治安問題などの理由により、当初の計画を全面的に変更し、
より水源を必要とするパナハドゥワ村、ゴダガマ村、カルワラガハワッタ村の 3 村に井戸
を設置することとした。
工事は平成 18 年 10 月に着工し、途中長雨による中断や現地の技術不足のため難航した
が、平成 19 年 6 月に直径 20 フィート、深さ 35 フィートの井戸が完成した。その後、井戸
の使用について住民と取り決めを行い、「1 年間は水量や水質を知るため、月に 1 回は井戸
の状況を連絡すること」「飲料水用の井戸のため、井戸の付近で洗剤の使用や水浴びや洗濯
をしないこと。一度に大量の水の持ち帰りなどは行わないこと」などのルールを決めた。
日本からは平成 18 年 8 月 26 日から 9 月 2 日までの間、平成 18 年 9 月 28 日から 10 月 6
日までの間、平成 19 年 2 月 19 日から 2 月 26 日までの間、平成 19 年 6 月 11 日から 6 月 18
日までの間の計 4 回スタッフを派遣し、井戸工事の進捗状況の確認や協力団体との調整、
住民に対する説明、代表者との協議などを行った。
効果と現地の反響
3 つの村では、多くの住民が安心して使える井戸が完成し、大変喜んでいる。水質、水量
とも問題なく、遠くまで水汲みに行かなくても飲料水が入手できるようになった。今後は
農業などで、経済的な自立や村の発展に期待が持てるという声が聞かれた。
現地の新聞に当団体の活動が紹介され、「飲料水の確保で非常に困っている村、特に乾燥
した地域と雨が少ない地域から、苦しい環境にある人々がいる村を選び、必要な量の飲料
水を提供できる井戸を作ることは、本当に素晴らしい活動である。この活動により井戸が
建設された村だけでなく、周辺の村の住民約 7,000 世帯が、1 年のうち多くの時間を水の確
保に費やさなければならなかったが、その厳しい生活にピリオドを打ち、現地の人々から
大変感謝されている」などと高い評価を得た。
-8-
特定非営利活動法人 アジア地域福祉と交流の会
マレーシア
(東京)
事業名:知的障害者のための自立生活訓練
配分額:987,000 円
背景と目的
事業対象地域であるマレーシアのペナン州バリックプラウ地区では、知的障害者に対す
る福祉サービスはほとんど行われておらず、また、知的障害者にとっては、周囲の人たち
の支援や理解が不可欠であることを十分に認識されているとはいえなかった。
当団体では、平成 12 年 1 月に知的障害者のための職業訓練施設「ステッピングストーン」
を開設した。平成 15 年 8 月には新たに「自立生活支援センター」が完成し、職業訓練施設
の他に、「IL Home(自立準備ホーム)」を併設した。
本年度は、地域住民と知的障害者との共生を目指し、標準的地域住民としての生活を獲
得することを目的とし、知的障害者の生活改善を図りながら、知的障害のある成人を対象
とした自立活動準備施設として、クラブハウス(地域内の借家)を設置することとした。
実施状況
平成 18 年 7 月から平成 19 年 6 月までの 1 年間、日本人スタッフ 1 名がペナンに常駐し、
現地スタッフ 2 名と共に本事業に取り組んだ。
平成 18 年 11 月に知的障害のある成人の会「ムティアラ・ボイス・クラブ(会員 16 名)」の
活動拠点となるクラブハウスが設置された。これを利用することにより、メンバー同士の
連帯感が強められ、クラブ運営費捻出のための織物やロウソク等の製品製作の話し合いや
製品制作、会員募集の準備等活動は活発化している。
生活改善への取り組みは、知的障害者 19 名が保健衛生など基本的な生活習慣(シャワー
時の石けんの使い方、歯磨き、洗濯、食事調理等)を、「IL Home」を利用して体験し、自立
に向けた訓練を行っている。
効果と現地の反響
定期的なバザー、イベントなど地域行事への参加等、地域住民との触れ合いを通じて、
センターの活動や知的障害者に対する理解は徐々に深まっている。また、知的障害者は自
らの可能性に挑戦し、できることを積み重ねることで自信へとつながり、次へのステップ
の機会を得ることにつながっていくことを実感している。将来的には、クラブハウスの管
理・運営が自主的に行えることを目指し、支援していく。
知的障害者の家族からは、「自立生活訓練を通して日常生活習慣が改善されたことを実感
しています。また、同時に家族とのコミュニケーションも良くなっています」との声が聞か
れ、自立訓練ホーム職員からは、「障害者が地域で自分らしく暮らすための多大なご支援に
心から感謝します」との言葉が寄せられた。
-9-
特定非営利活動法人 幼い難民を考える会
カンボジア
(東京)
事業名:農村地域の女性に対する自立のための織物技術指導
配分額:3,644,000 円
背景と目的
カンボジアの首都プノンペンから車で約 1 時間半かかるタケオ州及びカンダール州は、
住民の 90%が農業に従事している。カンボジアの農村では、女性が農業以外の仕事で現金
を得る機会はほとんどない。
このため、当団体は平成 15 年 7 月に、タケオ州トロピエンクラサン地区に織物研修セン
ターを開設し、地域住民を対象とした織物や染色の研修を行ってきた。農作業や家事、育
児の合間に製作することができる織物は、貴重な現金収入源となっている。
本年度は、一人でも多くの女性に現金収入の道を開くため、織物研修を続けるとともに、
修了生を対象として、より質の高い織物を製作できるよう、技術フォローアップ研修を実
施し、農村女性の安定した生活を支援することとした。
実施状況
織物研修センターでの研修は 6 ヶ月の無地織りコースと 1 年間の絣織りコースを設け、
平成 18 年 7 月から平成 19 年 6 月までの間に、研修生延べ 24 名に対し、週 5 日、1 日 8 時
間の研修を行った。研修生はセンターに泊まりこんで共同生活を送りながら、化学・草木
染め、無地織り、括り、かすり織り等の技術だけではなく、研修修了後の自主制作・販売
のために経糸(たて糸)の数と長さの計算方法などの理論についても学んだ。
修了生に対するフォローアップ研修は平成 18 年 10 月 25 日と平成 19 年 3 月 26 日の 2 回
行い、38 名が参加した。修了生が難しいと感じている草木染め、樹皮と鉄媒染め、かすり
柄の括り方、孔雀の模様の作り方など指導し、修了生の家庭訪問も月 1 回、5~6 名を対象
に行い、個別指導を行った。また、地域の伝統技術の伝承や織物従事者の技術向上のため
のワークショップを開催した。
日本からは年間を通し、スタッフ 1 名が現地に駐在したほか、平成 18 年 8 月 7 日から 8
月 18 日までの間、平成 18 年 9 月 10 日から 9 月 28 日までの間、平成 18 年 10 月 23 日から
10 月 31 日までの間の 3 回、東京事務所からスタッフ各1名を派遣し、事業の運営や進捗管
理を行った。
効果と現地の反響
研修修了時に実施したテストでは、ほとんどの研修生が緯糸の束の数の計算、括り方を
習得しており、更に高度な技術の要請が多く関心の高い。修了生には織機を貸し出し、1 年
以上続けて織物に従事した場合は、寄贈した。多くの研修修了生は自宅に戻って家事や農
作業の合間に織物を続け、織物仲買人に販売できるまでになってきた。修了生達は仲買人
から絹糸を借り、織りあがった製品から絹糸代などを差し引き、労賃を得ている。
研修修了生のオイ・セレイさんからは、「1 年間の研修期間で、全ての織物の工程と染色
について勉強しました。研修資金や機材、食事など提供していただき、安心して研修を受
けることが出来ました。資金を提供してくださった方々や指導してくださった先生方に感
謝します」と感謝の言葉が寄せられた。
- 10 -
特定非営利活動法人 環境修復保全機構
タイ
(東京)
事業名:農民のための環境保全型農業の技術指導
配分額:3,420,000 円
背景と目的
タイ国スコタイ県キリマット地区では、化学肥料や農薬に依存した農業が展開されてお
り、乾期には作物残渣の火入れも行われているため、土壌の劣化とともに池沼等の富栄養
化による水質汚濁が深刻な状況にある。そのため、土地生産性の回復と水環境の修復保全
を進めることが緊急課題となっている。また、化学肥料の高騰が農業経営を圧迫し、現地
農家も化学肥料の購入量を削減できる有機農業に関心があるものの、知識や資金不足によ
り、具体的取組には至っていない。
平成 17 年度は堆肥槽 10 槽を設置し、有機農業の啓蒙活動や現地農家と協働での堆肥づ
くりに取り組んできた。本年度は、堆肥槽増設や環境保全効果の高いペレット堆肥の製作
機設置を行い、堆肥化を軸とした有機農業を指導し、現地農家が自立して環境保全型農業
を営める環境の構築を目指すこととした。
実施状況
ワークショップ「有機農業に取り組もう」を平成 18 年 8 月及び 12 月に開催し、キリマッ
ト地区の農家約 110 名が参加した。また、有機農業に関するパンフレット(タイ語 3 頁、英
語 1 頁)を 1,000 部作成し、ワークショップ参加者やキリマット地区の農家に無料配布した。
昨年度は堆肥槽の数が少なく、十分な堆肥の確保が出来なかったため、本年度は堆肥槽
を 51 槽(コンクリート製 47 槽、木製 2 槽、竹製 2 槽)設け、ペレット堆肥作成機は 10 台設
置し、良質な堆肥が確保できるよう支援した。
農家グループのリーダーを育成するため、現地指導者養成研修を平成 18 年 12 月 23 日と
24 日に開催し、68 名が参加した。また、現地農家主導型座談会等により、環境問題や有機
農業に対する理解度を調査した。
日本からは博士(農学)や有機農業の専門家を延べ 6 名、平成 18 年 8 月、12 月、平成 19
年 2 月、3 月に派遣し、延べ 139 日活動した。ワークショップの開催や堆肥づくりの指導の
他、現地農家の環境意識と有機農業に対するアンケート及び聞き取り調査等を行った。
効果と現地の反響
ワークショップに参加した現地農家は有機農業に強い関心を示し、活発な意見が出され
た。さらに、本年度は堆肥槽を増やし、農家グループ毎に堆肥槽を設置したことにより、
積極的に有機農業に取り組む農家が増えた。しかし、一方で有機農業に関心はあるものの、
有機農業に切り替えることによる収穫量の低下等を懸念する声もあった。
今後は、有機農業モデルファームづくりを通して有機農業の普及を図り、堆肥づくりの
拠点となる堆肥加工センターを設置することが望まれている。更により多くの現地農家と
の対話を通して、環境保全型農業の啓蒙と技術指導を進めることが重要である。
- 11 -
バングラデシュ
特定非営利活動法人 ジャパン バングラデシュ ファンデーション
(東京)
事業名:貧困地域の住民のための養魚技術指導
配分額:2,165,000 円
背景と目的
バングラデシュの首都、ダッカから約 160 ㎞離れているパブナ地方チャットマハルアム
リタクンダ村周辺では、働く場所もなく、多くの人々は 1 日単位の雇われ仕事で収入を得
ている。
当団体はこのような状況を打開するため、平成 14 年から現地において魚の養殖事業を実
施している。現地住民をスタッフとして雇用しながら養魚技術を指導することで、就労の
機会を提供し、住民の経済的自立を目指しているものの、毎年発生する洪水により、養魚
池の護岸が崩壊し、魚が逃げ出す被害を受けていた。
このため、本年度は養魚池を補強するとともに更に池を増やし、魚の養殖事業を拡大し
て住民の生活環境の改善を支援することとした。
実施状況
平成 18 年 7 月に新しい池の賃貸契約を結び、住民 50 名の参加により池の整備、清掃を
行い、新しい養魚池を設置した。洪水で崩れた池の補強工事は、平成 18 年 7 月から 8 月に
かけて、住民 40 名が参加し実施した。工事は護岸を全面コンクリートにすることが望まし
かったものの、資金の関係で、今年度は必要最低限の部分の補強を行うにとどまった。
日本からは、平成 18 年 11 月 22 日から 12 月 4 日までの間と、平成 19 年 5 月 13 日から 5
月 20 日までの間の計 2 回、専門家とスタッフを派遣した。魚の養殖事業の運営指導、池の
管理技術、その他住民 40 名に養魚技術の指導及び、住民の生活状況の調査などを行った。
本年度事業の結果として、シルバーカープ(鯉より少し小さい水魚)の成魚を 2,300kg、ル
イ(鯉に類似した淡水魚)の成魚を 2,800kg 出荷することが出来た。
効果と現地の反響
本事業により、住民の働く場所が確保され、学校に通える子どもたちが増えた。年々地
域の環境が良くなり、生活環境も充実してきている。「この事業のおかげで、お父さんが仕
事をすることが出来、そして、学校で勉強が出来るようになってうれしいです」と感謝の言
葉が寄せられている。
当事業は住民の栄養改善も目的としており、住民からは、「市場ではとても高くて買えな
い魚が安く手に入り、子どもたちに食べさせてあげることが出来て、とてもうれしい」と感
謝の言葉があった。
また、チャットマハルアムリクンダ村の村長からは、「こんなにも町や村の人たちのため
になる活動は、他にはありません。今後私自身がもっとしっかりして村を引っ張って行か
なければならないと強く心に決意し、非常に責任を感じています」と、感謝の手紙が届いた。
- 12 -
バングラデシュ
特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会
(東京)
事業名:ストリートチルドレンのための基礎教育及び施設の運営
配分額:3,008,000 円
背景と目的
平成16年にバングラデシュ政府はストリートチルドレンの実態調査を行い、バングラデ
シュ全土で429,813名のストリートチルドレンが存在することを公表した。また、当団体の
支援地域であるバングラデシュの首都ダッカ市内南東部にあるサエダバッド、ジャットラ
バリ地区には8,290名が存在することが判明している。
当団体は平成 15 年度から寄附金配分を受け、貧困や両親との死別などにより路上で生活
することを余儀なくされている子どもたちを支援してきた。本年度も引き続き現地の NGO
「オポロジェヨ・バングラデシュ」との協力体制のもと、ストリートスクール(青空学級)と
ドロップインセンター(24 時間利用できる施設)を運営し、適切な教育や基礎医療、職業訓
練を通じて、子どもたちが安心して生活できるよう支援することとした。
実施状況
サエダバッドバスターミナル内で開催しているストリートスクールでは、簡単な読み書
きや計算、保健衛生などの授業を行い、今年度は午前 120 日間、午後 112 日間、年間延べ
735 名が参加した。また、子どもたちが安心して宿泊でき、生活習慣を身につける場所とし
てジャットラバリに開設したドロップインセンターでは、簡単な基礎教育や給食、病気の
応急処置や簡単な治療、寄生虫の駆除薬の投与を 192 日間行い、延べ 672 名が参加した。
これらストリートスクールやドロップインセンターで学ぶ子どもたちの中から、33 名が
正規の教育を受けるため外部の公立学校へ編入し、12 名が NGO による職業訓練校に入学し
た。
また、地域住民に対してストリートチルドレンへの理解を深めてもらう活動として、平
成 18 年 6 月 28 日、12 月 13 日、平成 19 年 2 月 27 日に 54 名の住民を対象とした子どもの
権利研修・ミーティングを行った。
日本からは 2 名のスタッフを 1 年間ダッカ事務所に駐在させた他、平成 18 年 9 月 15 日
から 9 月 27 日までの間と、平成 18 年 12 月 9 日から 12 月 20 日までの間、1 名のスタッフ
を派遣し、現場スタッフとのミーティング、問題提起、進捗管理など行った。
効果と現地の反響
12 歳のマリジナは家計を助けるためにダッカへ働きに出たが、雇い主の暴力のため逃げ
出し路上で生活していたところを保護され、ドロップインセンターに入所した。彼女は様々
な勉強をすることを強く望み、他の少女たちが学校に通うのを見て、学校へ入学したいと
望んでいる。マリジナは、教育を受けながら裁縫を学び、裁縫技術で第一人者になること
を夢見ている。
- 13 -
スランガニ基金
スリランカ
(東京)
事業名:津波被災者のための診療所の建設及び運営指導
配分額:3,705,000 円
背景と目的
スリランカの東部州バティッカロア郡のヴァッダァワン村は、スマトラ沖大地震による
津波で被害を受けたものの、首都から 350km 離れているため支援が届きにくく、また内紛
の影響もあり復興が遅れている。
当団体は、平成 17 年度から津波被災者のためのプレスクールを建設し、子どもたちの心
のケア支援を行っている。平成 18 年度も引き続きこの支援を継続するとともに、医師や保
健師による定期検診、栄養指導、母子健康診断等を行う診療所「ブルー・バード・ネスト セ
ンター」を建設し、住民の医療環境の改善と健康づくりを目指すこととした。
ア実施状況
平成 19 年 5 月 1 日に、部屋数 6 室、収容人員 50 名の診療所「ブルー・バード・ネストセ
ンター」が完成した。診療所の建設は、整地作業や草刈りを住民やプレスクールの保護者、
子どもクラブの協力を得て行い、施工業者は村人や国内避難民を雇用して作業にあたった。
診療所の完成に伴う第 1 回の定期健診は、平成 19 年 7 月に実施された。その後、医師 2
名は月 1 回、保健師 1 名は 2 週間に一度、住民 200 世帯、国内避難民 3 家族を対象に一般
検診、乳幼児・妊産婦の定期健診、栄養指導等を継続して行っている。
平成 18 年 7 月から平成 19 年 6 月までの 1 年間、当団体代表が現地に常駐し、事業全体
の調整や指導、フォローアップを行った。また、平成 18 年 8 月 19 日から 9 月 24 日までの
間、公衆衛生の専門家 1 名を派遣し、事業の補佐、会計シートの作り方などを現地スタッ
フに指導し、事業対象地域では衛生指導に関する意識調査や家庭訪問を実施した。
今後は 5 年をめどに、管理運営を村出身のスタッフに移行していきながら、月謝を集め
るクラスの開催やホールの貸し出し、農地から収入を得るなどして、事業を村に徐々に移
行させていく。
()
効果と現地の反響
診療所「ブルー・バード・ネスト センター」が村に完成したことにより、住民からは「妊
産婦検診が充実したため、出産月まで安心できる」「屋根のある心地よい環境で診察が受け
られる」「小さい子どもを連れて、バスや自転車で移動しなくてもよくなり便利になった」
「栄養に関する講習会に出て、食と水について考えるようになった」などの感謝の声が聞か
れた。
医師や保健師からは「これまで国内避難民のトタン屋根仮設住居で移動診療を行ってき
たが、机があり、施錠でき、備品が管理できる場所を得て診療行為がスムーズに行えるよ
うになった」との言葉があった。
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特定非営利活動法人 地球の友と歩む会
インドネシア
(東京)
事業名:農民に対する有機農業技術指導及び協同組合等の運営指導等
配分額:1,005,000 円
背景と目的
インドネシアの首都ジャカルタから南東に約 300 ㎞のジャワ州にあるタンジュンカラン
村は、標高 800mの未舗装の道路が続く丘陵に広がる小さな農村であり、農民は穀類や豆類
を栽培するほか、ヤシから黒砂糖を作るなどして、わずかな現金収入を得ていた。
当団体は、平成 15 年度から農民の経済的な自立を支援するため、有機農業技術指導を行
うほか、人材育成、組織強化にも力を入れてきた。
本年度は、これらの活動から生まれた経済協同組合や女性生活協同グループの、安定的・
持続的な運営の確立を目指すこととした。
実施状況
有機農業の技術研修会は、平成 18 年 12 月、平成 19 年 2 月、5 月の計 3 回、各 2 日間か
けて行い、延べ 208 名が参加した。また、共同有機農業実習地において、各グループから
選抜された 6 名のリーダーに無農薬、土壌改良や輪作等を取入れた総合的な病虫害対策に
ついての知識や実践力を身につける研修を実施した。リーダーは村内における技術アドバ
イザーとなり積極的に有機農法・減農薬の実践を行うようになった。
経済協同組合による「種・肥料の貸付プログラム」は運営委員の発案による「アルバシア
(マメ科の木)」の種を育苗し、販売するなど活動が拡大した。女性生活協同グループによる
生活必需品の共同購入プログラムは、一括購入により住民の生活必需品の購入費や、購入
にかかる交通費が削減された。
農民グループのほとんどが毎月会合を開き、作付け計画や作業日程の決定等については
継続して議論を行い、会合を持って物事を決定するという習慣が出来てきた。また、共同
実習地において積極的に各農民グループを率いて有機・減農薬農業に取り組むリーダーは
現在約 10 名。うち女性がグループを率いているケースは、市場での販売価格変動をにらん
で作付け計画に取り組むなど、非常に積極的な傾向が見られる。
日本からはスタッフが 1 年間現地に常駐したほか、平成 18 年 9 月 2 日から 9 月 8 日まで
の間、平成 18 年 10 月 2 日から 10 月 7 日までの間、平成 19 年 3 月 17 日から 3 月 23 日ま
での間にスタッフ 1 名を派遣し、事業の調整や推進管理を行った。
効果と現地の反響
女性グループ「マワール」の運営委員のエラスさんとエリンさんから「私たち 34 名は毎月 1
人 1, 000 ルピア(約 11 円)を拠出し、34,000 ルピアを資本に生活必需品を共同購入・販売
を行ってきました。その資本が今では 945,000 ルピアとなり、多くの品物を購入出来るよ
うになりました。私たちマワールグループ会員は皆様に何千回も感謝の意を表しても足り
ないくらい感謝しています」と感謝状が届き、各グループからも感謝の言葉があった。
- 15 -
特定非営利活動法人 難民を助ける会
ミャンマー
(東京)
事業名:障害をもつ人々のための職業訓練
配分額:2,251,000 円
背景と目的
ミャンマー(ビルマ)の経済状況は厳しく、障害者とその家族は貧困層の中でも特に厳し
い生活を強いられていた。障害者は働きたくとも技術がない、偏見があるなどの理由から
仕事に就くことが難しく貧困を余儀なくされていた。
このような状況を改善するため、当団体は、身体障害者を対象とした洋裁、美容・理容の
職業訓練を行い、3か月半の訓練期間で経営のノウハウや社会性なども身に付けさせること
により、障害者が経済的・社会的に自立できるよう支援を行うこととした。
実施状況
平成 18 年度は 4 期(平成 18 年 5 月より 3 か月半ごとに計 4 回)の洋裁訓練校と理容美容
訓練校を開講した。合計 113 名が職業訓練校に入学し、技術を習得し、経営等を学んだ。
就業率は洋裁コースが 78%、美容・理容コースが 80%であった。卒業生に対してもカウン
セリングや職業紹介サービス等さまざまなサポートを行い、9 名の就職を成立させた。
洋裁モデルショップ2店(職業訓練の課程を終了した卒業生たちが実地経験を積む場所と
して当団体が経営)では、12名が実地研修を受け、理髪モデルショップ1店では9名の卒業生
が実地研修を受けた。モデルショップでは集中して研修を行うことで、技術・接客・小規
模店運営能力が飛躍的に伸びた。平成18年度中にモデルショップで実地研修を受けた卒業
生の就業率は100%であった。
日本からは1名を現地に常駐させ、プロジェクトの運営管理・調整、スタッフ管理、関連
諸機関との調整を行ったほか、平成18年9月24日から9月29日までの間に洋裁の専門家を派
遣し、現地スタッフ・指導陣に洋裁技術・指導法の指導を行った。
効果と現地の反響
本年度、美容理容コースを卒業したティンニラウィン氏より「この訓練校に入学前、私は
あまり他の人と交わることが少なく自分に自信がありませんでした。しかし、皆と一緒に
訓練を受け、職業技術だけでなく、ビジネス知識、社会で生きていくこと、心の持ち方な
どを学んだので、今は輝かしい将来を歩んでいけると思うようになりました。先生は大変
忍耐強く指導してくれました」と卒業式での訓練生代表スピーチで感謝の言葉が寄せられ
た。
また、当団体が開いた理髪店(モデルショップ)では、「一度髪の毛を切ってもらった際の
仕上がりにとても満足し、以来いつも来ています」と来店 5 回目のお客様より嬉しい言葉を
いただいた。
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バングラデシュ
日本・バングラデシュ文化交流会
(東京)
事業名:農民のための大豆栽培指導
配分額:2,242,000 円
あ背景と目的
バングラデシュのジェソール地方シャシャ郡は、首都ダッカから約 300km 離れたインド
国境に近い農村地帯である。電気・ガス・水道等、生活インフラの整備が遅れた地域が多
く、学校などの施設も少ない。また、住民は、栄養不足、細菌性下痢、眼病、乳幼児の発
育不良、井戸水のヒ素汚染など、衛生や医療に関する知識不足が原因で起こる問題を数多
く抱えている。
当団体は、平成 9 年度から国際ボランティア貯金の寄附金配分を受け、バングラデシュ
で活動を実施している。平成 15 年度からは農民を対象とした大豆栽培技術指導と、大豆の
栄養価を生かした食用普及に取り組んできた。平成 18 年度も引き続き、栄養価の高い大豆
栽培の指導を行い、住民の栄養改善や乳幼児の健やかな発育を支援することとした。
実施状況
平成 18 年 8 月 4 日から 8 月 25 日までの間、日本人スタッフ 2 名を派遣し、現地スタッ
フを対象とした大豆栽培や大豆の栄養・調理についてのトレーニングを行った。
平成 18 年 9 月から平成 19 年 3 月までの間に、「大豆栽培セミナー」を 6 村で 6 回、住民
に対する「大豆調理セミナー」を 6 村で 6 回開催し、延べ 871 名が参加した。また、大豆栽
培経験のない農民に対し、大豆の有効性を知ってもらい、大豆栽培の動機付けを行うため
のワークショップにも力を入れた。15 回開催し、延べ 969 名の参加者があった。
今年度は 58 名が大豆栽培を行い、9,500kg 近い収穫があった。
効果と現地の反響
この地域で 3 年間大豆栽培を提案してきた結果、住民は大豆を摂取することの有効性、
日々の食事に取り入れていくことの必要性や、大豆が病気の予防に役立ち、良質なタンパ
ク質を豊富に含む栄養食品であることを理解してきた。
今後は、大豆栄養を至急必要としている人々へのアプローチを行うとともに、市場の開
発にも力を入れ、生産、加工食品の開発、販売へと発展させ、経済的な自立を目指してい
く。
今回初めて大豆を栽培した、モハマド アラウッディン氏からは「121kg の収穫がありまし
た。107 ㎏はバザール(市場)の店に売り、残りは家族のために保存しました。大豆栽培によ
り土地も肥えました。私はまたこの土地で大豆を栽培することを決めました。そして土地
を肥やします。大豆を色々な料理で食べて、タンパク質不足を補いたい」との感想が寄せら
れた。
- 17 -
特定非営利活動法人 日本紛争予防センター
カンボジア
(東京)
事業名:少数民族のための識字教育、教師の養成
配分額:1,431,000 円
背景と目的
カンボジア北東部山岳地帯のラタナキリ州には、独自の言語、生活様式、慣習を持った
少数民族が数多く居住している。これまで公的教育を受ける機会に恵まれなかったため、
公用語であるクメール語の識字率は極めて低く、読み書きが出来ないために社会生活にお
いて不利益を被ることも多い。
当団体は平成 13 年から現地住民を対象とした識字教育を行ってきた。本年度は、オーチ
ェン郡のサムキ地区、ポイ地区、ラオーク地区の 3 地区 9 か村において識字教育を実施し
た。教員の養成にも力を入れ、学校修復など教育資機材の支援をするとともに、住民が自
主的に学校の管理を行えるよう指導することとした。
実施状況
9 か村の識字学校では、6 歳以上の住民を対象に、月曜日から土曜日まで午後 7 時から 9
時の毎日 2 時間、クメール語(発音、読み書き)、算数(計算問題)、理科、社会科の授業を
行った。夜間に行うことで、昼間働いている成人も参加できるようにした。各教室とも、
1 年間平均 220 回の授業を行い、480 名の住民が学んだ。
教員は教育トレーナー及びスーパーバイザーが村長と相談して村人の中から選出した。
教員養成訓練は、教員 11 名、補助教員 9 名の指導能力向上を目指し、平成 18 年 10 月 24
日から 10 月 28 日までの間、平成 19 年 2 月 12 日から 2 月 15 日までの間、平成 19 年 5 月
22 日から 5 月 25 日までの間の計 3 回、州都バンルン市に教員を集めて集中研修を行ったほ
か、平成 19 年 3 月、5 月、6 月には各村において個別指導を行った。また、スーパーバイ
ザーは週に一度各村を訪問し、教員、村長、村人から識字教室の状況を調査し、プノンペ
ン事務所に報告した。
住民による識字学校の自主運営に向け、各村にて学校の資機材や備品の点検、修繕方法
など管理運営方法の指導を 6 回実施し、古くなった校舎の屋根や壁の補修、机の修理や不
足している机の製作などを住民が行った。
日本からは首都プノンペンにスタッフ 2 名を常駐させ、各村の識字教育状況の確認や住
民からの聞き取り調査、問題点の把握など事業運営を行った。
効果と現地の反響
地方政府は、ラタナキリ州のすべての子どもたちが学校に通えるようにしたいとの願い
を持っているが、実際に教育を普及させるのはいまだ困難な状況にある。当団体の識字教
室は、政府の手が届きにくい僻地に住む人々に教育の機会を提供していることから、政府
からも高い評価を得ている。
当団体の指導の下、住民が中心となって学校を建設し、住民の中から教員を選び、電灯
など備品の管理を行う等、住民が積極的に学校運営に参加している。授業に参加する住民
たちの一生懸命勉強する姿や、勉強が楽しいという声を聞けたことは大きな励みとなった。
今後は、住民たちが自立して教室を運営・管理できることを目標としていく。
- 18 -
特定非営利活動法人 ヒマラヤ保全協会
ネパール
(東京)
事業名:住民のためのゴミ集積場の建設、ゴミ分別の指導
配分額:369,000 円
背景と目的
ネパールは、ヒマラヤ山脈の南に位置し、標高数十メートルの亜熱帯から、8,000m を超
える極地高山帯がおよそ 200km の幅の国土に展開する、中国とインドに囲まれた陸封国で
ある。
ネパール山村における伝統的な自給自足による村人の生活基盤は、急速に進む近代化の
中で変容し、日常生活の中にこれまで生じなかった乾電池、ビニール、ペットボトル、ガ
ラスビン、アルミ缶、ゴムなどの生活廃棄物が多量に発生するようになった。また、ゴミ
は、村の周辺にあるトレッキングコースを訪れる観光客からも発生している。
当団体は、平成 17 年度に引き続き、住民のためのゴミ集積場の建設、ゴミ分別の指導を
おこない、住民の生活改善を支援することにした。
実施状況
日本人専門家(環境科学)1 名の派遣を 3 回実施した。第 1 回目は、平成 18 年 7 月 14 日か
ら 7 月 29 日までの間、活動地であるオカレニ村において、村長ら村の関係者と年間計画お
よび、ゴミ集積場建設・ゴミ箱作成・ワークショップの内容に関する打ち合わせを行った。
第 2 回目は、平成 18 年 8 月 19 日から 9 月 5 日までの間、事業地の詳細な現地調査・視
察、環境分析を行った。その結果をふまえて、関係者および住民と協議し、年間事業計画
の詳細を確立し、事業の意義と計画を住民に広報し、事業の推進を住民に周知した。
第 3 回目は、平成 19 年 4 月 8 日から 5 月 7 日までの間、
プロジェクトをモニタリングし、
ゴミ集積場が適切に建設され、使用されていることを確認した。また、ワークショップの
効果があがり、事業地が適切に美化されていることも確認した。
なお、平成 19 年 3 月 29 日から 3 月 31 日に開催されたワークショップでは、ネパールの
環境問題、ゴミ問題等についての講義を行い、予想を上回る、47 名の住民の参加が得られ
た。
効果と現地の反響
ワークショップ参加者は、村の美化に関する知識とノウハウを身につけることができた。
参加者からは「ゴミを散らかすことにより、土壌・河川・地下水などに有害物質が浸透して
しまうことが理解できた」「これからは、できるだけプラスチック製品は使わないようにし
たい」などの声が聞かれ、住民からは、「今後は、村の生活ゴミ委員会が中心になって、村
の環境保全や美化に取り組んでいきたい」など多くの反響があった。
- 19 -
特定非営利活動法人 ブリッジ エーシア ジャパン
ベトナム
(東京)
事業名:貧困地域の住民のための公衆衛生教育指導
配分額:3,388,000 円
背景と目的
ベトナム・フエ市の北の玄関口に位置するフービン地区は、フエ市内で最も貧しい地区
である。とりわけ王宮城壁沿い地域や水上生活地域に住む住民は、水道などの生活インフ
ラが整備されておらず、劣悪な環境での生活を強いられている。衛生的な水の利用が限ら
れており、体を洗う場所がないため身体を清潔に保つことが出来ず、また、性感染症への
感染率が高いことが問題となっている。
当団体は、性感染症の治療、地域住民や子どもたちを対象とした公衆衛生に関する啓発
活動、水道設備などのインフラ整備を行い、地域の衛生環境の向上、公衆衛生に対する理
解促進を図り住民の健康改善を目指すこととした。
実施状況
平成 18 年 7 月から平成 19 年 6 月までの間に、2 地域で共同水道設備の修繕、8 か所の公
共水浴び場建設、2 か所に簡易浄化槽を設置し、生活インフラの整備がひとまず完了した。
性感染症の診察・治療は、住民を対象に週 3 回実施した。252 名のうち 175 名が感染症(感
染率 69.4%)にかかっていた。治療を継続した結果、平成 19 年 6 月末現在 84 名が治癒し、
感染率は 36.1%に減少した。
地域住民を対象としたワークショップは、性感染症の症状、予防、治療等に関する基礎
知識、公衆衛生に関するセミナーや、エコクッキングコンテストなど、毎月 1~4 回、年間
合計 28 回開催した。
地域の公衆衛生環境に対する取り組みとしては、中学生を対象とした 10 の環境グループ
により活動した。年間を通して毎週木曜日に植樹、川の水質調査、フービン市場のゴミ収
集、フービン小学校のゴミ分別活動、環境・交通安全ポスター作り、児童公園作り、フー
ビン小学校の衛生施設改善の 7 つの公衆衛生改善活動を実践し、その成果を発表した。
日本からは、スタッフ 2 名が常駐し業務調整等を行った。また、平成 19 年 1 月 5 日から
1 月 14 日までの間と、平成 19 年 2 月 9 日から 2 月 16 日までの間、及び平成 19 年 5 月 20
日から 5 月 31 日までの間にスタッフ 3 名を現地に派遣し、事業全体の管理運営を行い、現
地スタッフに指導方法や事業プログラムの計画・改善、施設建設の技術指導を行った。
オ効果と現地の反響
生活インフラが整備されたことにより、これまで高価で購入していた水道水が通常の料
金で、家の周りで手に入り、住民たちの大きな喜びとなっている。性感染治療及び公衆衛
生啓蒙活動はフービン地区人民委員会及び市医療センターから高い評価を得た。子どもた
ちによる環境衛生活動の取組が地元のフエテレビで取り上げられ放映された。
- 20 -
マダガスカルの社会福祉と環境保全を支援する会
マダガスカル
(東京)
事業名:貧困地域の農民のための農産物の保存・加工技術の指導、訓練
配分額:794,000 円
背景と目的
マダガスカルの南部に位置するチュリアール州ベラランダ地域は、降雨量が少なく砂地
であり稲作ができないため、近郊の農村ではサツマイモやキャッサバ、豆類等を栽培して
いる。サツマイモは毎年 5 月頃苗を植えつけ、9 月から 10 月に収穫するが、保存できるの
は 3、4 か月間が限度である。また、住民は保存や加工技術が未熟なため、余剰農産物の有
効活用が出来ず、慢性的な貧困状況にある。
当団体は、農作物の保存、加工技術指導を行い、農産物の多様な調理法を紹介するとと
もに、付加価値をつけた商品を市場で販売することにより現金収入の手段を得て、住民の
経済的な自立と地域の活性化を目指すこととした。
う実施状況
食品加工技術指導と商品化の試作は、平成 18 年 7 月から平成 19 年 6 月の間に 36 回行な
った。主材料は入手しやすいサツマイモを利用し、「スイートポテト」や現地のお菓子をア
レンジした加工品の作り方を住民に指導した。
ベラランダ地域住民約 500 世帯の中から参加者を募集したところ、地域外の住民も 6km
の距離を歩いて参加するなど、当初予定していた 20 名を大幅に上回り 80 名を越えたため、
2 つのグループに分けて講習会を開催した。
日本からは、事務局長 1 名が常駐したほか、平成 18 年 10 月 5 日から 10 月 24 日までの
間に専門家を派遣し、農産物の保存、食品加工技術の指導を行った。
お 効果と現地の反響
食品加工技術指導は、当初は 72 回実施する予定であったが、天候不順による原材料の入
手困難や、大統領選挙期間の一時中止により、結局 36 回行うに止まった。指導回数は減少
したものの、参加者の中には、独立記念日のイベントや路上マーケットで販売し、現金収
入を得た者もいた。
ベラランダ地域では、基礎教育を受けていないために、読み書きが出来ない参加者が多
く、器具の使い方にも戸惑うことがあった。また、材料として使用していた油や砂糖が高
価のため入手できないという声が聞かれるなど、実際に指導を行って初めて気が付いた点
も多かった。
ベラランダ地域の助役からは、「食品加工技術を実演して指導してくれたのは、日本人が
初めてで、今後も地域として続けていきたい」と感謝された。また、訓練修了時に訓練生が
お金を出し合い、2 羽の鶏をスタッフにプレゼントしてくれるなど、本事業に対する住民の
期待の高さが伺えた。
- 21 -
ネパール
ラリグラス・ジャパン
(東京)
事業名:障害をもつ子どもたちに対する機能改善のための理学療法、介護法の技術指導
配分額:744,000 円
あ背景と目的
ネパールのラリトプル地方ゴダワリ村は山がちで土壌の不毛な地域であり、住民の大半
は農業に従事し、経済的に厳しい生活を送っている。保健衛生、教育、水道といった社会
インフラは整備されておらず、公共の交通機関が全くない。また、公的な医療支援制度が
ないため、経済的にもこの地域の障害者が医療サービスを受けることは非常に困難である。
当団体では平成 15 年から現地 NGO(ネパール障害者女性協会)と連携し、障害をもつ子ど
もたちの機能回復のため、リハビリテーションプログラムの支援を行ってきたが、現地ス
タッフの専門知識や技術不足により、障害児への適切なリハビリテーションや介助の提供
が困難な状況にあった。本年度は日本から専門家を派遣し、現地スタッフに障害をもつ子
どもたちの機能改善のための理学療法や介護方法の技術指導を行い、障害に対する正しい
理解と障害児をもつ家庭の自立を支援することとした。
実施状況
日本から障害児教育の専門家を平成 18 年 8 月 27 日から 9 月 5 日までの間と、平成 19 年
3 月 4 日から 3 月 13 日までの間にそれぞれ 2 名派遣し、現地のリハビリテーションスタッ
フや障害児をもつ親に向けて、介護、リハビリテーション、障害の特性などを指導した。
指導はスタッフ 4 名、親 10 名に対して行われ、自閉症児、脳性麻痺児のコミュニケーショ
ン能力の高め方や障害のメカニズム、各障害の特性、食事の介助方法、負担の少ない座り
方、歩行器、平行棒を使った筋力のつけ方などの指導を行った。また、障害をもつ子ども
たちの家庭を訪問し、機能回復プログラムを作成するための個人データの作成や、訓練計
画を立てた。
「ペアレンツミーティング(保護者の会)」を毎月開催し、障害の種類ごとの特徴や保護者
として何をすればよいかなどを検討した。周辺地域の村ではワークショップ(講習会)を
開き、障害をもつ子どもの親や、地域の福祉ボランティア、ソーシャルワーカーなどが参
加し、障害に対する理解を深めることにより、意識改革を行った。
効果と現地の反響
今回の指導で一番反響があったことは、自閉症児に対する理解促進の指導であった。
現地では自閉症という障害が認識されておらず、自閉症児が何故パニックを起こすのか理
解できないでいたが、説明により原因を認識し、なるべく刺激の少ない環境を作るなど対
処するようになった。
また、毎月行った「ペアレンツミーティング」により、親たちは子どものために出来るこ
とがあることに気がつき、隣近所の人々の意識改革も親たちが行うようになった。
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特定非営利活動法人 自立のための道具の会・T F S R J a p a n
スリランカ
(愛知)
事業名:住民のための食料保存技術指導
配分額:879,000 円
背景と目的
スリランカの中央州マータレー地区、南部州タンガッラ地区は高温多湿であり、多雨期
と乾期に分かれている。地方の貧しい地域においては、電気冷蔵庫などを置くことが出来
ない人が多く居て、魚や肉など生の食材を長期に保存することが難しい状況にある。
現地には食用としたヤシの実の残りのヤシ殻が多量にあることから、当団体は平成 15 年
からスリランカにおいて、燃料としての炭焼き指導を行うほか、その炭を利用した飲料水の
浄化や食料保存としての燻製技術の指導を行ってきた。
本年度は「ワークショップ(講習会)」を開催し、炭焼きの知識や技術、魚や鶏肉の燻製技
術を指導して、住民の食生活の改善と経済的な自立を支援することとした。
実施状況
ワークショップは炭焼きと燻製作りについて行った。タンガッラ地区ではタンガッラ漁
業航海工学大学で 8 日間行い約 60 名が参加し、マータレー地区ではマータレー伝統文化セ
ンターで 6 日間行い約 20 名が参加した。
炭焼きワークショップは炭焼き窯の作り方やヤシ殻炭の作り方、ヤシ殻炭を飲料水のろ
過剤として使用する方法や、炭焼き時にできる木酸酢を害虫防除や土壌改良剤など農業に
使用する方法なども指導した。燻製ワークショップは魚、鶏肉、卵などの燻製作りを指導
した。
また、炭焼き窯の作り方、燻製機の作り方、それを用いた炭や燻製の作り方のマニュア
ルを現地語(シンハラ語)で作成し参加者に配付した。
日本からは平成 18 年 9 月 2 日から 9 月 11 日までの間、炭焼き職人を 3 名、平成 19 年 2 月
5 日から 2 月 13 日までの間、燻製職人と炭焼き職人を 3 名現地に派遣し、現地でワークシ
ョップを開催し、炭焼きや燻製を指導した。
効果と現地の反響
タンガッラ漁業航海工学大学においてのワークショップは、漁業を学ぶ学生や漁業関係
の女性たちが参加し、漁業を学ぶ学生は魚の燻製作りに非常に興味を持った。
また、ヤシ殻炭作りを指導した地域を調査した結果、住民が自主的に自分たちでヤシ殻
炭を数回作るなど、積極的に活動をしていた。
ドラム缶を用いた簡易燻製窯を作り、ヤシ殻炭を熱源にして現地の魚などを燻製にする
方法を指導した地域では、電気のない集落での食物長期保存や、燻製販売により女性の経
済的自立の一助となることが期待されている。
- 23 -
スリヤールワ スリランカ
スリランカ
(愛知)
事業名:津波被災者のための託児所の運営指導及び保健室の増設
配分額:990,000 円
背景と目的
平成 16 年 12 月のスマトラ沖地震の津波の被害を受けたスリランカの南部ハンバントタ
地区は乾燥地域である。住民は津波以前から経済的に厳しい生活を送っていたが、津波避
難民の流入でますます経済が悪化し、男性でも仕事に就くことが難しい状況にある。
当団体は、緊急支援を行うため、被災地を視察し、現地関係者と復興支援に何ができる
かと話し合った結果、働き手を失った女性たちが安心して働ける環境を整えることが必要
とされていることが分かったため、平成 17 年度から託児所を開設し、平成 18 年度も引き
続き充実した託児所の運営を目指すことにした。
実施状況
本年度は、託児所の運営のほか、設置が義務付けられている保健室の増築を行った。子
ども用ベッドと救急箱を設置して保健室としてすべて整った。また、経済的に厳しい家庭
の子どもに給食を提供することにより、栄養面での改善が見られた。
入園申込者が、昨年 11 月時点ですでに 20 名の定員の倍以上の 50 名となり、結局 25 名
を受け入れた。日本人が運営する託児所ということで、特に人気が高いようだが、親たち
の幼児教育に対する期待の高さが伺える。今後は幼児教育のレベルアップも重点目標とし
ていく。
日本からは、代表と事務局長を、平成 18 年 7 月 8 日から 7 月 15 日までの間、9 月 23 日
から 9 月 30 日までの間、平成 19 年 4 月 2 日から 4 月 14 日までの間の計 3 回派遣し、現地
代表・スタッフに園児の託児指導・今後の託児所運営についてのミーティング等を行った。
効果と現地の反響
託児所開設当初からの保育士の方からは、「これまで言葉使いも悪く、子ども同士で仲良
く遊ぶことすらできない子どももいましたが、今は違います。子どもたちは手をつなぎ、
歌ってダンスもできるようになりました」との声が寄せられた。
また、保護者の方々からは、「私の子どもは託児所に行くことを大変楽しみにしています。
私は子どもが 2 名の先生の下で学ぶことを非常に嬉しく思います。この託児所が子どもた
ちの能力を引き出し、学んだ子どもたちの成長の素晴らしさは誰もが知っているところで
す」「先生たちは強い信念を持って子どもたちの教育にあたっておられ、私たちの子どもの
発たちに素晴らしい影響を与えてくださいます。踊りや音楽のレッスンはたくさんの子ど
もを楽しませ、教育を高めています。すべての活動はとても評価できます。皆さまに心か
らの感謝を申し上げます」との感謝の声が寄せられた。
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特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構
チュニジア
(愛知)
事業名:口唇口蓋裂患者の診療、医療従事者に対する技術指導
配分額:902,000 円
背景と目的
チュニジアの首都チュニスの病院は施設や設備が整っているが、多くの小さな町や村に
は十分な施設を持つ病院はない。また、口腔外科分野に関する機材が配備されている病院
はほとんどなく、口唇口蓋裂の治療を受けることの出来ない患者が数多くいる。
当団体は、経済的な理由等により治療を受けることが出来ない口唇口蓋裂の子どもたち
の無料手術、治療を行っている。
本年度は口唇口蓋裂児の無料診察は 40 名、無料手術は 20 名を目標に治療行うとともに、
医療機材の援助や現地医療スタッフに対する技術移転を行い、チュニジアにおける治療体
制の基盤を築くこととした。
実施状況
平成 19 年 4 月 13 日から 4 月 27 日までの間に、医師 6 名、看護師 1 名を派遣し、76 名の
患者の診療と 41 名の患者の手術を行った。
手術や治療はスース市のサホウル大学付属病院において行った。スース市周辺から約 80
名の患者の来院があり、プライマリー(初期)症例、難症例などを基準に 41 名の手術患者を
選考した。
手術はチュニジア人医師が助手として参加することを原則とし、一部の手術は医局に設
置されたモニターに放映され、チュニジア全土から集まった医師に放映された。
手術終了後、講演会が開かれ、日本からの派遣医師が「上顎の仮骨延長について」を演題
に、症例報告を現地の医師や医療スタッフに行った。
その後、サホウル大学付属病院の口腔外科スタッフと今回の診療の反省点や来年の医療
活動についてミーティングを行い、医療活動を終了した。
センター「ウミード」の開
効果と現地の反響
大学病院の施設内は、建物も古く、掃除は行き届いていない。廊下にはタバコの吸殻や
ゴミが散見され、病室にはベッドが可能な限り入れられるなど、日本と比べ、衛生、環境
面でははるかに劣っている。しかし、現地医師の関心、熱意、志は強く、新しい知識や技
術、情報などを吸収しようと積極的であり、今後も引き続き診療隊の派遣を要望する声が
多数聞かれた。
チュニジアの口唇口蓋裂の医療レベルは、アフリカの中ではかなり高いものであること
が今回の医療活動により推察された。日本をはじめ各国の専門家のチュニジア人医師に対
する助言や、お互いの意見交換によりチュニジアが北アフリカの口唇口蓋裂治療体系のモ
デルに発展しつつあることを強く実感した。
- 25 -
特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会
ミャンマー
(愛知)
事業名:口唇口蓋裂患者の診療、医療従事者に対する技術指導
配分額:3,435,000 円
背景と目的
ミャンマーでは、経済状態が回復せず年々住民の生活が圧迫されて、医療サービスを受
けたくとも、治療費用や病院までの交通費が工面できない人々が多く存在する。また、噛
たばこの習慣があることなどから潜在的に口腔疾患が多いが、その治療法は確立されてお
らず、医療施設も充分ではないため、患者は放置されているのが現状である。
当団体では、ヤンゴンとマンダレーにおいて、経済的な理由で治療を受けることができ
ない口唇口蓋裂患者や口腔疾患患者の無料手術を実施するとともに、現地医療従事者へ口
腔疾患の手術手技や最新医療知識の技術移転を行うこととした。
実施状況
平成 19 年 3 月 11 日から 4 月 1 日までの間に 6 名の日本人医療専門家を派遣し、ヤンゴ
ン歯科大学附属病院で、口唇裂患者 28 名、口蓋裂患者 14 名、斜顔裂患者 1 名、口腔癌患
者 1 名の合計 44 名に対し無料手術を行うと共に、医療従事者(口腔外科医、看護師等)20 名
に対し技術指導を行った。
平成 19 年 3 月 15、16 日の 2 日間、ヤンゴン市内にある「Girls & Boys Teaching School
Yangon」において、児童 64 名を対象に、現地歯科医師 5 名と共に歯列印象採得、介助を実
施し、小児科歯科診療の技術指導を行った。
また、平成 19 年 3 月 19 日には、ヤンゴン歯科大学の教官及び学生約 150 名に対し、手
術の基本や手術器具の手入れ、詳細な手術手技・工夫などの講義を行った。
円効果と現地の反響
口唇口蓋裂患者 44 名に対する無償手術等により、
口唇口蓋裂の審美的な障害は改善され、
患者の日常生活の動作や生活の質を高めることができた。患者本人または家族から感謝の
言葉を受け深謝された。
また、この活動に対しヤンゴン歯科大学から感謝状が授与された。
ミャンマーでは、医療物資が入手困難なことや手術希望患者が多くいるため、当団体が
行っている診療活動に対する期待がますます高まってきている。
ミャンマー連邦国医療省大臣、医療教育局長、ヤンゴン歯科大学大学長からは「海外から
の医療支援は重要なサポートである」と今後の支援に対する要望を受けている。
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DIFAR
ボリビア
(三 重 )
事業名:衛生環境向上のためのトイレの設置及び衛生教育指導
配分額:1,427,000 円
背景と目的
ボリビアの第 2 都市であるサンタクルス市より西に 250km の渓谷地帯にあるコマラパ市
周辺の村では、上水道の設備はなく、川の水は流域に住む住民たちの飲料水をはじめすべ
ての生活用水として利用されている。トイレは普及しておらず、川の近くで用を足してい
るため、川の水は汚染されている。現地では腸チフス菌やサルモネラ菌、コレラ菌などに
よる感染症の罹病率が高く、保健医療施設へのアクセスも十分でないことから、5 歳未満児、
特に乳幼児の死亡率が高い。
当団体は 3 年前からコマラパ市周辺の保健衛生環境の改善を目指し、環境を汚染しない
ドライ堆肥化トイレ「エコサントイレ」の建設を行ってきた。本年度は、サンイシドロ川と
コマラパ川上流地域に住む 85 家族を対象としてエコサントイレを建設するとともに、衛生
教育指導を行うこととした。
実施状況
トイレの建築工事は、平成 18 年 9 月から平成 19 年 2 月の間に行った。日本からの資金
と、現地市役所の協働でトイレの基礎部分(便層部分)を左官屋にて完成させ、壁部分と労
働力は受益者が負担した。合計で 93 基のエコサントイレを建設し、完成後 93 戸の家族に
対し毎週 1 回のペースで使用方法や処理方法に関するフォローアップを行った。
また、トイレ建設を行う前に、受益者を対象とトイレの構造や使い方、環境汚染と病気
などについて家庭訪問によるトレーニングを実施した。
平成 18 年 7 月から平成 19 年 6 月までの 1 年間、日本人スタッフが常駐した。今までト
イレのない生活を送っていた住民がトイレを使う習慣を身に付けるのは難しく、特に年配
の人ほど適応意欲が低い。また、「掃除をしない」のではなく、「掃除の仕方を知らない」の
だと理解でき、巡回指導は一緒に掃除をすることから始めた。これからも、押し付けるの
ではなく、トイレの必要性を理解し、長く使ってもらえるトイレの普及を推進していく。
効果と現地の反響
平成 19 年 4 月 18 日に行われたコマラパ市役所主催の「環境の日」にエコサントイレの紹
介を行い、多くの学生や住民がトイレについての理解を深めた。また、この場で市長から
当団体の活動について紹介があった。
村人からは、「この村はコマラパ川の上流に当たるので、トイレを使うことで汚水を下流
に流さないですみます」「トレーニングで手を洗う、水を沸騰させて使うなど教えていただ
き、これを守れば子どもたちの下痢も少なくなります。」などと、喜びの声が聞かれた。
- 27 -
特定非営利活動法人 リボーン・京都
ラオス
(京都)
事業名:農村地域の住民のための職業訓練
配分額:955,000 円
背景と目的
対象地域であるビエンチャン県ヒンフープ郡ビエントーン村は、首都ビエンチャンから
国道 13 号線を北へ 100km、さらに西へ 2km 入ったところに位置する農村である。ベトナム
戦争の戦禍を逃れて移住した人々が興した村で、自給自足に近い生活を営んでいる。
現金収入を得る機会はほとんどなく、不安定な生活を支えるために、昔から女性たちは
農作業や家事の合間に織物を織ってきた。2 世代ほど前までは、伝統的な草木染を行ってい
たが、化学染料が普及してきたため、その手間のかかる伝統技術が受け継がれなくなった。
そこで、織物や洋裁の技術訓練を行い、伝統技術を生かした市場価値を生む製品を製作
して販路を開拓することで、現金収入を得る機会を作り、住民の生活向上を目指すことと
した。
実施状況
織物及び染色技術指導訓練は、平成 19 年 1 月 14 日から 1 月 30 日までの間、日本から織
物専門家 1 名、染色専門家 1 名、指導補助兼調製員 1 名を派遣し、村の女性 28 名(16 歳か
ら 50 歳)を対象としてビエントーン村の集会所で実施した。
訓練生は色止め技術、色彩感覚、デザイン性、織りの仕上げなどを丁寧に学んだ。また、
古い着物地を細く裂き、よりをかけてよこ糸にして織る「裂織(さきおり)」の技術も習得
した。訓練期間中に、手織りランチョンマット 21 枚、手織りテーブルクロス 3 枚、手織り
スカーフ 11 枚、服地用の裂織 8 点、草木染め帯あげスカーフ 27 枚の作品を完成させた。
洋裁技術指導訓練は、平成 19 年 4 月 18 日から 5 月 4 日までの間、日本から洋裁専門家 2
名を派遣し、村の女性 20 名を対象としてビエントーン小学校で実施した。訓練生は洋裁道
具の使い方、採寸方法、ミシンを使った基礎的な縫い方などの技術指導を受けた。訓練期
間中に、パジャマ上下(4 着)、部屋着(6 着)、ブラウス(8 着)、ポケット付きらくらくパン
ツ(5 着)、裂織トートバック(10 個)の作品を製作した。
効果と現地の反響
女性リーダーから、「草木染、織物、洋裁の技術を学びたい女性はまだ多数います。この
プロジェクトのお陰で、子どもの学費が出せるようになったなど、多くの村人が喜んでい
ます」との声があった。
また、村長からは、「厳しく指導してください。もっと勉強させて技術を向上させたいで
す。一村一品運動のような、何か村を代表する製品が出来ることを期待しています。リボ
ーンの支援事業は村人の自立に結びつく、村はじまって以来の出来事です」と感謝の言葉が
寄せられた。
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アイユーゴー -途上国の人と共にー
タイ
(大阪)
事業名:少数民族のための農業技術指導及び畜産技術指導
配分額:1,185,000 円
背景と目的
タイ北部の最大都市、チェンマイから北西へ約 120km のミャンマー国境沿いにあるメー
ホンソン県クンパトゥング村は、四方を高い山々に囲まれている。度重なるミャンマー国
内の紛争により、国境を越えてこの地域に逃れてきた少数民族・リス族の多くは、電気や
水道などの設備も、耕作地もない山の傾斜地で、自給自足に近い生活を送ってきた。
当団体は、これまでタイの山岳地帯に住む少数民族の多くが行っていた移動式の焼畑農
業から、家畜を飼育して自分たちで有機肥料をつくり、土地の生産力を維持しながら作物
を栽培する定住式の有畜農業への移行に努めてきた。本年度はさらなる知識と技術の向上
に努め、少数民族の生活向上と経済的自立を目指すこととした。
実施状況
平成 18 年 7 月 10 日から 7 月 14 日までの間と、平成 18 年 12 月 17 日から 12 月 23 日ま
での間に、日本から有畜農業専門家 1 名を派遣し、有機栽培の指導や作物の育成状況を調
査し、実地指導を行った。
平成 18 年 7 月から平成 19 年 4 月までの間に、6 回にわたり日本人スタッフ 1 名を派遣し、
事業の責任体制の確認・資機材購入および会計管理・事業遂行の問題点などの検討と指導
を行った。
また、現地の農業専門家が頻繁に村を訪れ、村の一角に整地した共同農地で開墾から苗
植え、肥料作りなど、有畜農業の実践的な技術指導に取り組んできた。
効果と現地の反響
日本人専門家の指導が集団農営を活発にさせ、収穫後に野菜を販売し現金収入を得るこ
とが可能であると理解させたことにより、村民の意欲が高まった。農作物の残りや家畜の
糞を用いて、安全で持続可能な農業に欠かせない有機肥料作りにも積極的に取り組んでい
る。自然とともに生きることを理解し、ハーブを使った害虫駆除を行うことにも抵抗はな
かった。また、集団農法の経営方法をローテーションシステムで全農民が学ぶことにより、
全体に理解が深まり、経済的な自立への契機が高まっている。
現在では、家族の安全と収入を得るために有畜農業を続けたいという村民がほとんどで、
他の地区からの見学、視察が増えたことも、村民に自信を与えた。さらに、地元政府が「有
機農法と少数民族」というテーマのコミュニティベースの観光業の対象にした。このこと
により、有畜農業が持続でき、経済的発展にも大きく影響を与えてくれるだろうと期待し
ている。
- 29 -
社団法人 アジア協会アジア友の会
ネパール
(大阪)
事業名:住民のためのバイオガスプラントの設置及び管理指導
配分額:1,615,000 円
背景と目的
ネパールでは、森林伐採による自然破壊が進んでいる。これは住民が日々の暮らしで必
要な燃料を薪に依存していることが大きな要因になっている。また、森林伐採規定やコミ
ュニティーフォレスト(住民参加型林業)の形成により、「森から集めてくるもの」であった
薪が「購入するもの」に変化してきた。薪に代わる燃料を簡単に手に入れることが困難な中、
薪の値段は高騰し、現金収入の少ない専業農家の生活を逼迫している。
当団体は、平成 13 年から家畜の堆肥を利用したバイオガスプラントの設置を行ってきた。
ネパールの農村の生活改善と安定を目指し本年度も、対象地域の住民からバイオガスプラ
ント設置の希望者を募り、建設・設置するとともに、地域環境保全のための啓蒙トレーニ
ングを行うこととした。
悪性
実施状況
バイオガスプラントは、住民の申し出により設置場所の変更はあったものの、バグマテ
ィ県バグダプール地区 15 基、ダーディン郡 10 基、ルンビニ県ノールパラシィ郡ピトゥリ
村 15 基、バグマティ県カトマンズ郡チュニケル村に 2 基の合計 42 基を設置した。
日本からは平成 18 年 8 月 9 日から 8 月 18 日までの間、平成 18 年 10 月 14 日から 10 月
30 日までの間、平成 18 年 12 月 23 日から平成 19 年 1 月 7 日までの間、平成 19 年 4 月 2 日
から 5 月 12 日までの間の 4 回、農村開発の専門家を派遣し、バイオガスプラントの設置状
況の確認、環境指導、植林活動などを行った。
住民を対象とした環境保全に対するトレーニングは、村の小学校などで行い、「木と私た
ちの暮らし、自然との共存」をテーマとした。身近な自然の「木」の大切さや、木の役割、植
林、土に還らないゴミなどの話や公共の場所のゴミ拾いをし、合わせて約 760 名が参加し
た。また、バイオガスプラントの啓蒙トレーニングは、設置予定者を中心に行い、トレー
ナーや設置技術者がバイオガスのシステムや使用法、管理方法などについて指導した。
あんおびと
効果と現地の反響
バイオガスプラントの設置に伴い、トイレ設置が普及した。設置者は全世帯トイレも作
りバイオガスに接続することで、排泄物を活用できると同時に、衛生状態が改善される。
また、ネパールにおける燃料の高騰に伴い、更にバイオガスが注目されることも期待で
きる。バイオガスプラントを設置すると 1 年に 9,500 ルピーの節約できるといわれている。
バクタプール地区スダル村ボランティアグループの代表からは、「これまで、料理には薪
を使っていましたが、薪は大抵近隣の森や自宅の敷地内から取ってくるため、森林伐採が
進んでしまいます。バイオガスが設置されたことにより、大変楽に料理をすることが出来、
堆肥のおかげで農業の生産高が上がりました。バイオガスプラントの建設・設置を支援し
てくださった皆さまに心から感謝します」と感謝状が届いた。
- 30 -
ラルパテの会
ネパール
(大阪)
事業名:障害をもつ人のためのリハビリテーション技術指導
配分額:1,215,000 円
背景と目的
ネパールにはリハビリテーションを続けることにより、かなりの機能が回復される障害
者がいるにも関わらず、保護者のリハビリに対する知識不足や経済的理由のため、治療を
受ける機会のない障害者が数多くいる。
また、ネパール国内には理学療法士や作業療法士を養成する機関がないため、作業療法
に関する知識や経験のある専門家はほとんどいない状況であった。
当団体は、平成 15 年度からネパールでリハビリテーションプログラムの支援を実施して
きた。本年度は、首都カトマンズのバラシュ地区にある地域センターで、障害児・者のた
めのリハビリテーション技術指導を行うこととした。
実施状況
平成 18 年 8 月 1 日から 8 月 25 日までの間、日本から作業療法士 1 名を派遣し、リハビ
リテーションプログラムの作成、障害に合わせた特製イスの製作、家庭におけるプログラ
ム作成等さまざまな指導を行った。また、家庭訪問を行った際には、地域の障害者にリハ
ビリへの参加を呼びかけた。
平成 18 年 11 月 18 日から 11 月 28 日までの間は、日本人スタッフ 2 名を派遣し、家庭訪
問、地域の学校の見学、バラジュ地区の農家視察等を行い、障害者の状況を確認した。
また、平成 19 年 3 月 20 日から 4 月 1 日までの間、日本人スタッフ 2 名を派遣し、トレ
ーニングがどのように行われているかを確認したほか、専門家・アシスタント・保護者な
どと懇談し、成果や課題を確認した。
平成 18 年 11 月 1 日から平成 19 年 6 月 3 日までの間、
パラジュの地域センターにおいて、
ヨモギスチームバスを使用し、マッサージ、鍼灸などによる治療と訓練をあわせて 60 回行
った。
効果と現地の反響
この事業も今年度で 4 年目を迎えた。日本から作業療法士を派遣し指導を行うことによ
り、リハビリの概念のなかったスタッフや保護者に意識改革が進み、技術移転が図られた。
これまで、歩けなかった子どもが歩けるようになった、全く表情のなかった子が笑うよ
うになったなどの効果が出てきたことで、リハビリの方法を体系的に教えて欲しいとの希
望が出てくるまでになった。また、リハビリトレーニングに保護者が参加したことにより
親同士のネットワークが構築され、子どもたちの心配事や悩み事を相談し、助け合うこと
ができるようになったことは、大変有益であると高い評価を得た。
コーディネーターのプラティバ リジャール氏より「リハビリテーションプログラムによ
り、子どもたちの身体には明確な効果が現れました。その中の一人は普通学校で学べるま
でになり、さらに来年は 2 名の子どもが普通学校へ通うことが出来る予定です。子どもた
ちの身体能力の改善に加えて、このリハビリのプロジェクトは子どもの中に信頼という感
覚を芽生えさせるのに役立ちました」と、感謝のメッセージを寄せた。
- 31 -
特定非営利活動法人 アジア眼科医療協力会
インド
(兵庫)
事業名:チベット難民居住区における眼科医療、医療従事者に対する技術指導
配分額:1,478,000 円
背景と目的
対象地域であるヒマチャル・プラディッシュ州カングラ地区ダラムサラはインド北西部
ヒマラヤ山麓最西部の斜面(標高 1,200m~2,000m)に位置する辺境の町で、チベット難民が
居住する地域である。
ダラムサラ及び周辺のチベット難民居住区には白内障患者が多く存在する。チベット難
民コミュニテイには亡命政府が直轄してきたデレク病院があるが、ここには眼科医師がい
ないため治療が受けられない。また、インド政府立の Zonal 病院に眼科医師はいるが、特
に年配のチベット難民には言語や文化の違いから治療を受けない患者が多くいる。
当団体は平成 12 年から白内障患者の開眼手術などの眼科医療支援を実施してきた。本年
度も引き続き失明防止のためのアイキャンプ(白内障患者の開眼手術)を実施し、チベット
難民および周辺にすむ貧困層のインド人に手術治療の機会を提供するとともに、医療従事
者への技術指導を行うこととした。
実施状況
平成 18 年 12 月上旬にチベット人眼科助手 1 名とインド人眼科医 2 名により、患者約 400
名の中から白内障手術が必要な患者を選別するスクリーニングを 9 箇所で実施した。
平成 18 年 12 月 16 日から平成 19 年 1 月 2 日までの間、日本から眼科専門医師 3 名、看
護師 1 名、薬剤師 1 名、スタッフ 2 名を派遣した。事前スクリーニングで選別された患者
を含む 310 名の診察を行い、患者の白内障の程度を見極め、本人・家族の希望を考慮しな
がら手術適応性のある患者を選別し 70 名の白内障患者の手術を実施した。
白内障患者の開眼手術活動にはデレク病院から眼科助手 1 名、看護師 5 名、ボランティ
ア 5 名が参加し、Zonal 病院からインド人眼科医師 1 名が参加した。この診療活動を通して、
両者の関係が人的交流により親密になることが期待される。
効果と現地の反響
アイキャンプの実施により、白内障を手術受けたチベットの人たちは非常に喜んでいる。
また、貧困層にある地元のインドの人たちも多くの恩恵を受けた。
白内障患者の術後のフォローアップは現地医療従事者によって行われ、合併症もなく経
過は良好であると報告があった。白内障患者の治療効果もさることながら、アイキャンプ
活動を通じて、インド人眼科医とチベット人眼科助手に眼科知識と技術移転を図れたこと
が大きな成果である。
- 32 -
ベトナム視覚障害児の夢と未来を支える会
ベトナム
(兵庫)
事業名:視覚障害児のための職業訓練学校の運営と技術指導
配分額:2,314,000 円
背景と目的
ベトナムのホーチミン市では、盲学校で視覚障害児の職業的自立を目的としたマッサー
ジ指導を行っているが、教材不足、指導者の経験不足などにより、十分な知識や経験を積
むことができず、卒業後の就労には結びつかない状況にあった。
当団体では、視覚障害児の経済的な自立を目指し、平成 16 年に視覚障害児のマッサージ
技術指導学校を建設し、2 年コースの訓練を開始した。本年度は 4 年目を迎え、2 期生が卒
業する。
本年度は、付属マッサージセンターを開設した。卒業生の就業モデルとなるばかりでな
く、教育訓練に始まって、就労、継続的な運営へとながる重要な事業となることが期待さ
れている。
実施状況
マッサージ訓練は日本のマッサージ師養成カリキュラムを参考に 2 年コース、週 5 日の
授業とし、1 年生 8 名に 190 日、2 年生 8 名に 185 日の指導を行った。
日本人専従指導員 1 名が常駐して指導したほか、現地の講師も 4 名配置した。午前は 1
年生のマッサージ技術指導、午後は 2 年生の臨床実施指導を行った。教材として点字によ
るマッサージの教科書を作成し、学習効果の向上に努めた。また、教育内容を充実させる
ため、1 年間に 5 回専門家を派遣し、日本あん摩特別セミナーを開催した。
マッサージセンターは治療室 1 室、治療ベッド 5 台、スチーム室 1 室を設け、平成 18 年
9 月 18 日から営業を開始した。1 期生 3 名を就職させ、194 日間の営業で、患者総数は 781
名であった。残念ながら、ホーチミン市当局から正式な営業許可が下りず、仮営業となっ
たため、事業収入は運営費の 13%程度にとどまった。
効果と現地の反響
視覚障害児を対象とした 2 年制のマッサージ技術指導学校は、ベトナムでは過去に例が
なかった。学校はホーチミン市内のキークワン寺の境内に建設され、寺の大僧正から「日光
(ニャックワン)盲学校」の愛称が与えられた。
卒業生のホアさんからは、「2 年間いろいろな事を教えて頂きありがとうございました。
体の中の様子は模型を使ってとても良くわかりました。このような環境を作ってくれた日
本の皆さまに感謝します。私たちは勉強したマッサージを使った仕事をしていきます。自
立できるようにがんばります」と決意が寄せられた。
卒業式には、地区人民委員会、教育省、福祉省などからの来賓があり、日常の訓練時に
も、ベトナムの視覚障害者教育の関係者が見学に訪れるなど高い関心が寄せられている。
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特定非営利活動法人 アムダ
ホンジュラス
(岡山)
事業名:青少年のための HIV・AIDS 予防教育及び性感染症患者への医薬品配布
配分額:2,387,000 円
背景と目的
ホンジュラスは中南米で最も HIV の感染率の高い国の一つであり、25 歳以前の感染者が
半数に上っており、若年層の間での感染拡大が深刻な課題となっている。
また、首都テグシガルバ市内のサンミゲール地区は経済的に恵まれない住民が多く、教
育や保健衛生など様々な問題を抱えており、同地区の小中学校においては、HIV/AIDS につ
いて正しい知識を得る機会はほとんどない。
当団体は小中学生や青少年のための HIV/AIDS の予防教育を行うとともに、同地区のヘル
スセンターを受診する性感染症の患者に医薬品を提供し、青少年に対しリプロダクティブ
ヘルス(性と生殖に関する健康)知識の普及や HIV/AIDS の予防活動を行うこととした。
実施状況
HIV/AIDS の予防教育は、小中学校と地域の青少年を対象として行った。小中学生に対す
る教育は、地区の 4 校でワークショップを開催し、5 年生以上の生徒 346 名が参加した。各
校では、1 日 4 時間・5 日間、自己認識、青少年と性、将来展望と学業、HIV/AIDS 予防、人
生設計などについて指導した。また、非就学者や地域の青少年に対し、地区の 2 つの教会
で同様のワークショップを開き、42 名が参加した。
同世代の仲間に HIV/AIDS 予防の啓発を行う、「青少年リーダー育成ワークショップ」を毎
月開催し、最大で 35 名のリーダーが参加した。参加した青少年が中心となり、ビデオやパ
ンフレットを用いて、「エイズ予防トーク」を 7 か所で 10 日間行い、延べ 638 名が参加した。
また、エイズ予防キャンペーンとして、「世界エイズデー」、「ホンジュラス青少年週間」に
パンフレットの配布、寸劇、サッカー大会、メッセージの放送などを行った。
サンミゲールヘルスセンターでは性感染症の治療薬を提供し、50 名の治療を支援したほ
か、毎月1回、ビデオ上映とパンフレット配付を通じたエイズ予防啓発を 763 名に行った。
日本からは、1 年間看護師を現地に常駐させたほか、平成 19 年 5 月 22 日から 6 月 11 日
までの間スタッフを派遣し、HIV/AIDS の予防啓発を指導した。
効果と現地の反響
HIV/AIDS の予防教育を受けた 6 年生からは、「性について考えるだけでなく、自分自身を
考えるきっかけになった」。また、教師からは「リプロダクティブヘルスについて授業で行
うべきだが、教材には限りがある。この予防教育は、興味を引く教材を使用しているので、
生徒が喜んで授業を受けている」などの声が寄せられた。
- 34 -
ザ・ トゥース ・ アンド ・トゥース
カンボジア
(岡 山 )
事業名:貧困地域の子どもたちのための小学校の運営指導及び教師の育成
配分額:1,709,000 円
背景と目的
当団体は 3 年前から、プノンペン近郊にある「竹と風の小学校」の児童に対し巡回歯科診
療、小学校校舎の建て替え建設、文房具の支援活動を行ってきた。また、同校は教員が不
足しているが、月 1 ドルの授業料の支払いができる家庭は 4 割ほどで、経済的に余裕がな
い状況である。また、什器備品、教員の給与、教材などの費用の確保ができず、大きな悩
みとなっている。このため、今年度は、経済的に余裕がない子どもたちに勉強の機会を与
えるため、教員の採用、什器備品の整備、教科書を作成して教育環境を整備することとし
た。
実施状況
平成 18 年 8 月 24 日から 8 月 28 日までの間、日本人専門家 2 名を派遣し、新学期カリキ
ュラムの作成、教員採用面接、什器備品・学用品の手配などを実施した。
平成 18 年 9 月に「いす 120 脚(20 人×6 教室分)」「黒板及び扇風機、6 教室分」を教室に配
置し「教科書 960 冊」、文房具などの学用品を取り揃えた。教科書は平成 18 年 10 月の新学
期に第 1 回目、平成 19 年 4 月に第 2 回目の配布を行った。
平成 18 年 11 月 22 日から 11 月 27 日までの間は、日本人専門家 3 名を派遣し、学校運営
の状況確認を行うとともに、採用した教員 3 名に対し、授業の進め方、子どもたちの理解
力の向上、子どもたちの生活習慣改善などの研修を行った。平成 19 年 2 月 16 日から 2 月
20 日までの間は、日本人専門家 2 名を派遣し、教員に対し研修を行うとともにカリキュラ
ムの修正を実施。平成 19 年 5 月 18 日から 5 月 22 日までの間は、日本人専門家 3 名を派遣
し、学校運営の状況確認を行うと共に教員に対し研修を行い、平成 19 年 6 月 27 日から 6
月 30 日までの間は、日本人専門家 2 名を派遣し、学校運営の打合せ及びカリキュラムの確
認を行うとともに教員の研修を実施した。
あれたあれた
効果と現地の反響
建て替えの小学校校舎が完成し、教員 3 名の採用、教室に、いす、黒板及び扇風機の設
置が完了し、教科書が配布されるなど勉学ができる環境が整った。10 月から新学期がスタ
ートし、住民から大変感謝されている。また、定員以上の入学希望者が待機していること
から、学校の規模拡大が望まれている。
学校開きの模様が現地の新聞で報道された。日本の援助によって建設され、貧しい子ど
もたちが勉強できる環境が整ったとの記事が掲載された。
厚生労働大臣からは、「子どもたちは勉強できる環境が整い、勉学に励むことにより貧し
さからも解放され、将来、国の発展のために役立ちます」と感謝の言葉をいただいた。
- 35 -
特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構
ベトナム
(広島)
事業名:ストリートチルドレンに対する歯科診療、口腔衛生指導
配分額:4,255,000 円
背景と目的
ベトナムのホーチミン市には経済的に恵まれず、歯科診療を受けることの出来ない人々
が数多くおり、ストリートチルドレンや障害をもつ子どもが歯科診療を受ける機会はほと
んどない。
当団体は、平成 15 年から国際ボランティア貯金の寄附金の配分を受け、子どもたちに無
料歯科診療を行ってきた。歯科診療・予防活動を推進することで、生活習慣の改善や歯科
予防の自己管理が出来るようになることを目指している。現地協力機関「ホーチミン孤児障
害児支援協会(HASHO)」内に無償歯科診療所を開設し、現在週に 3 日・半日間現地の歯科医
師が診療にあたっている。また児童保護施設「タオダン」でも定期的に検診を行い、その他
の診療を必要としている保護施設へは、HASHO と連携を取り巡回診療を実施している。
今年度も約 700 名の子どもたちに対し、歯科の無料診療と口腔衛生指導を行うこととし
た。
実施状況
平成 18 年 7 月、9 月、10 月、11 月(2 回)、平成 19 年 3 月、6 月の 7 回、日本から歯科医
師延べ 25 名、歯科衛生士延べ 14 名、その他、大学教授や一般医療の医師、学生など延べ
15 名の合計 54 名を派遣して行った。検診人数は合計で 1,661 名、抜歯や充填やサホライド
(虫歯を防ぐ予防薬)貼付などの処置は 1,075 名に行った。
無料歯科診療および口腔衛生指導は、ホーチミン市のストリートチルドレン・孤児・障
害者に対し、歯科診療所内、保護施設内、また学校など地域の施設を借りて行った。毎回、
現地学生がボランティアで多数参加し、患者の整理や受付などを手伝ってくれた。
歯科衛生士は紙芝居を用意し、ベトナム語で子どもたちに健康や口腔衛生、ブラッシン
グの指導を行い、大変好評を得た。
効果と現地の反響
ホーチミン市近郊で日本人の歯科医師による無料診療は高く評価され、7 回の診療全てに
おいて多くの患者が訪れた。また、たくさんの子どもたちや住民に歓迎された。
どの診療場所においても検診や治療を必要とする子どもは多かった。医師たちも全ての
子どもたちを公平に診療したいという考えで努力したが、携帯用の治療機器の故障なども
あり、満足の出来る処置が出来なかった場面もあった。次年度に向けて機器の点検などの
課題が残った。
今後もホーチミン市の厚生局や現地協力機関との連携を密に、歯科治療を必要としてい
る場所に、積極的に出向いていく。
- 36 -
ひろしまルソン友好協会
フィリピン
(広島)
事業名:地滑りによる災害防止のための植林及び管理指導
配分額:1,059,000 円
背景と目的
ルソン島の北部のサンタフェ町バクネン地区の山の斜面には、平成 2 年に起きたバギオ
大地震で全てを失った住民の仮設住宅が建っている。住民は、国有地の山の木を切り、畑
として開墾し、生活を支えているが貧しさからは抜け出せていない。
山に木はほとんどなく、土地の保水力は失われ、雨期には洪水、乾期には渇水状態が続
いている。また、地滑り事故が多く、政府はこの地を地滑り事故多発地域とした。
当団体は平成 16 年から、この地で植林を続け、現在までに約 86,000 本の植林を行い、
森林の再生、保全事業に取り組んできた。
本年度も地滑り災害防止のため、30,000 本の植林を行い、その管理方法を指導するとと
もに、苗や樹木の灌水、生活水確保のため、老朽化したウォーターシステム(水源からのパ
イプライン)の建替えを行うこととした。
実施状況
本年度は、日本からは 1 年間、1 名の専門家が現地に常駐し、ナラやアカシア、マホガニ
ーなど 37,000 本を植林した。また、来年度の植林に向けて約 10 万本の苗木作りを行った。
植林地のメンテナンスは、今までの植林地約 10ha の手入れを行った。樹木や森を育てるた
め、間伐や下枝を払い、その枝や間伐材は薪として利用した。
平成 18 年 8 月 21 日から 8 月 29 日までの間に学生などによる植林隊を 13 名派遣し、現
地協力団体「サンタフェ・グリナーズ」とともに植林活動に携わった。また、平成 18 年 11
月 3 日から 11 月 12 日までの間に 2 名のスタッフを派遣し、植林の指導を行った。
ウォーターシステムの補修立替工事は平成 18 年 11 月 27 日から始め、平成 19 年 1 月 31
日に完成し、3 月から 5 月の乾期に大活躍した。
効果と現地の反響
地域住民は、木を植えても大きくなり利用できるまでには 10 年以上かかると思っていた
が、苗木が順調に生育すると、3 年目には間伐材や枝を薪として利用できることを実際に目
にして意識が変わった。住民は植林により生活が目に見えて変化したことで、自分も木を
植え、森を守り、育てようという意識が強くなった。
また、ウォーターラインが完成したことにより、水量が増え、乾期でも断水することが
なくなった。
「サンタフェ・グリナーズ」の代表マルティーナ ブルータス氏からは、「乾期でも水が十
分ある。苗木への散水、生活水が確保出来て大変素晴らしい。地域住民も驚いている」との
感謝のメッセージが寄せられた。
- 37 -
特定非営利活動法人 東洋歯学友好会
ベトナム
(愛媛)
事業名:貧困地域の住民のための巡回歯科診療及び歯科医師への医療技術指導
配分額:492,000 円
背景と目的
ホーチミン市内及び周辺の貧困地域にある地区病院は、設備、器具、薬品などが整って
おらず、住民もまた経済的理由や医療施設まで遠いなどで治療を受けられない人が多数お
り、圧倒的な需要に対して地域の歯科医療の供給は質、量ともに不足している。
当団体は、平成 15 年からベトナムにおいて無料歯科診療及び歯科医療機器や医薬品の供
給などの支援を行ってきた。
本年度は、ホーチミン市内(ゴバップ、ツヅウック、タンフー、クチ地区)及びホーチミ
ン市郊外(ビンジュン、テインヤン、モカイ地区)の 7 地区を対象として、巡回歯科診療を
展開し、現地地区病院歯科スタッフと協働して、貧困患者の治療を行うとともに、地区病
院の医療設備及び歯科技術移転の支援を行うこととした。
あい
実施状況
平成 18 年 7 月 8 日から 7 月 17 日までの間、平成 18 年 11 月 18 日から 11 月 27 日までの
間、平成 19 年 2 月 3 日から 2 月 11 日まで間の計 3 回、日本人歯科医師 1 名を派遣し、地
区病院巡回歯科治療活動を実施した。
第 1 回「地区病院巡回歯科治療」では、初日に 7 地区の病院の歯科医師 30 名に対し研修会
を実施した。その後、現地地区病院歯科スタッフと協働し、7 地区の病院で巡回歯科治療及
び歯科技術移転を行った。期間中 109 名の患者に対し歯科治療を行った。第 2 回は、医師
を対象とした研修会と 5 地区で 70 名の患者に対し歯科治療を行った。第 3 回は、5 地区で
50 名の患者に対し歯科治療を行った。
治療は、「1 地区・1 日・7~8 時間」と限定したため、1 人で数箇所の治療を必要とする場
合、多くの患者を診ることが出来なかった。また、治療と技術移転を同時に行うのは難し
いなどの問題があったが、地区病院の歯科医師が助手として治療に立会ったことで、歯科
材料の効率的な使いかたや、通常ならば抜歯に至る末期的な歯を資源として蘇らせる画期
的な技術を伝授できたことは、最高の技術指導となった。
円 効果と現地の反響
モカイ県医療センター長グエン クオン ヒエン氏からは、「歯科治療の奉仕をしてくださ
ったことに心から感謝申し上げます。まだまだモカイ県には歯科治療が受けられない人々
が沢山おります。引き続き支援を継続してほしいと」と感謝状が授与された。
現地の医療関係者は、治療や技術指導に関して感謝してくれているものの、器械や医薬
品を寄附して欲しいという要望が切実である。地区病院のスタッフと協働すればするほど、
物質面の充足の必要を感じ、今後の活動を継続する上での大きな課題となった。
- 38 -
国・地域別索引
ア ジ ア
〔インド〕
神奈川
特定非営利活動法人 エル・エンジェル国際ボランティア協会················· 7
兵庫
特定非営利活動法人 アジア眼科医療協力会·············································32
〔インドネシア〕 東京
特定非営利活動法人 地球の友と歩む会······················································15
〔カンボジア〕
東京
特定非営利活動法人 幼い難民を考える会··················································10
東京
特定非営利活動法人 日本紛争予防センター ·············································18
岡山
ザ・トゥース・アンド・トゥース···················································································35
東京
特定非営利活動法人 アジア教育・文化・自然環境保護日本支援センター······ 8
東京
スランガニ基金 ···········································································································14
東京
特定非営利活動法人 自立のための道具の会・TFSR Japan··········23
愛知
スリヤールワ スリランカ ························································································24
神奈川
梅本記念歯科奉仕団································································································· 6
東京
特定非営利活動法人 環境修復保全機構·····················································11
大阪
アイユーゴー -途上国の人と共に- ······························································29
宮城
宮城国際支援の会 ······································································································ 1
千葉
ブッディ バンガラ ネパールの歯科医療を支援する会 ······························ 4
東京
特定非営利活動法人 ヒマラヤ保全協会 ·······················································19
東京
ラリグラス・ジャパン ··································································································22
大阪
社団法人 アジア協会アジア友の会 ·································································30
大阪
ラルパテの会···············································································································31
〔バングラデシュ〕 東京
特定非営利活動法人 ジャパン バングラデシュ ファンデーション ······12
東京
特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会 ····13
東京
日本・バングラデシュ文化交流会········································································17
千葉
特定非営利活動法人 観照ボランティア協会·················································· 3
広島
ひろしまルソン友好協会··························································································37
千葉
ベトナムの「子どもの家」を支える会····································································· 5
東京
特定非営利活動法人 ブリッジ エーシア ジャパン ··································20
兵庫
ベトナム視覚障害児の夢と未来を支える会····················································33
広島
特定非営利活動法人 日本歯科ボランティア機構····································36
愛媛
特定非営利活動法人 東洋歯学友好会··························································38
〔スリランカ〕
〔タイ〕
〔ネパール〕
〔フィリピン〕
〔ベトナム〕
- 39 -
〔マレーシア〕
東京
特定非営利活動法人 アジア地域福祉と交流の会······································ 9
〔ミャンマー〕
東京
特定非営利活動法人 難民を助ける会 ···························································16
愛知
特定非営利活動法人 日本口唇口蓋裂協会················································26
京都
特定非営利活動法人 リボーン・京都 ······························································28
〔ラオス〕
アフリカ
〔チュニジア〕
愛知
特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構 ···········································25
〔マダガスカル〕 東京
マダガスカルの社会福祉と環境保全を支援する会·····································21
中 南 米
〔エクアドル〕
埼玉
エクアドルの子どものための友人の会 ······························································· 2
〔ボリビア〕
三重
DIFAR ···························································································································27
〔ホンジュラス〕 岡山
特定非営利活動法人 アムダ ··············································································34
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