パラグアイ経済報告(2014年12月) 概要 (1)国内経済 4日,下院は

パラグアイ経済報告(2014年12月)
概要
(1)国内経済
●4日,下院は2015国家予算案を66.7兆グアラニー(約14,243
百万ドル)可決した。
●19日,ドイツ資本の自動車部品メーカーLeoniAG 社がサン・ロレンソ市にお
ける工場の建設を開始した旨公表した。2015年2月には従業員の研修を開
始し,5月には工場の操業を開始する見込み。
(2)対外経済
●8日~9日,カルテス大統領は第24回イベロアメリカ・サミット出席のた
めメキシコ・ベラクルスを訪問し,また,ペニャ・ニエト・メキシコ大統領と
の会談を行い,通貨の安定性や法的安定性等のパラグアイの投資先としての魅
力を伝えるなど経済関係を中心に意見交換を行った。
●11日,カルテス大統領はカピアタ市の工業団地を視察した。既に本工業団
地の造成及び施設の整備は始まっており,スミデンソウ・パラグアイ社(当地
社名)が進出し,有名メーカーに供給する自動車ケーブルを製造する。
●17日,カルテス大統領はアルゼンチン・パラナで開催された第47回メル
コスール首脳会合に出席した。なお,右会合の前日16日に加盟各国外相参加
の下,メルコスール共同市場理事会が行われ,ボリビアのメルコスール正式加盟
につき議論が行われたものの合意には至らなかった。
1 国内経済
(1)投資
●12日,米州開発銀行(IDB)はパラグアイにおける研究開発に対する投資が
対 GDP 比0.1%以下でありラ米において最下位である旨公表した。
●19日,ドイツ資本の自動車部品メーカーLeoniAG がサン・ロレンソ市におけ
る工場の建設を開始した旨公表した。2015年2月には従業員の研修を開始
し,5月には工場の操業を開始する見込み。
●21日,英国発の人気レストランチェーンであるハード・ロック・カフェが
アスンシオン市中心街のグアラニーホテル内にオープンした。
(2)官民連携法(APP法)による事業
●19日,ロハス蔵相は官民連携法により実施される最初の5事業として,①
国道2号及び7号線の複線化,②シルビオ・ペティロッシ空港のハブ化,③パ
ラナ川の浚渫,標識設置及び航路の維持管理・運営,④ウパカライ湖流域21
自治体の下水網及び処理施設の整備,⑤国道7号線(①とは別区間)の複線化
及び維持・管理・運営,改修を挙げた。なお,企画庁は今後5年間に同法によ
り3,000百万ドルの事業実施を見込んでいる旨述べた。
(2)農牧業関連
●4日,外務省はパラグアイ産牛肉の対 EU 輸出が,ローカルでの手続きが完了
されれば開始される見込みである旨公表した。
●10日,パラグアイ穀物・油糧作物輸出協会(CAPECO)は大豆輸出につき,
数年以内のパラグアイからの輸出開始に向け,中国側と交渉している旨述べた。
●パラグアイ畜産協会は,ロシアの経済状況の悪化及び通貨ルーブルの下落の
影響が現れており,ロシア側からオファーされている取引価格につき,9月に
は4,700ドル/トンを付けていたものの,12月に入り3,300ドル/
トン程度まで下落している旨公表した。
(2)予算・財政状況,インフレ率,GDP成長率,為替相場,等
〈予算・財政〉
●4日,下院は2015国家予算案を66.7兆グアラニー(約14,243
百万ドル)可決した。同予算案は公布のため行政府に提出される。なお,同予
算案における財政赤字は約1,200百万ドルと GDP の3.4%程度であるが,
上院においてソブリン債については当該年の赤字に含めないことを条文に盛り
込んだことで,財政赤字を GDP の1.5%以下とする目標を定めている財政責
任法への抵触を避けた。なお,政府は予算案の増嵩の理由として,人件費,公
共投資,学校給食,医薬品の確保,治安対策及び優先される社会プログラムの
コスト増を挙げている。
●11日,税務庁は2015年1月1日より青果物に対する付加価値税を法律
第5061/2013号に基づき,0%から5%に引き上げる旨公表した。な
お,右課税については年間売り上げが65百万グアラニー以下の小規模小売り
業者や小規模生産者には適用されない。
●18日,ロハス蔵相は,2015年における新たな増税は行わない旨述べた。
また,2014年において,税圧は GDP の13%であるものの,還付分を考慮
すれば実質11%と低いが,他方で,税収の内94%が人件費等の固定費用に
使用されており,こうした状況を改善する必要がある旨述べた。
〈インフレ率〉
●中銀は11月の月間インフレ率が0.7%となる見込であり,同数値に基づ
くと2014年の年間インフレ率は4.2%となる旨公表した。右は牛肉の輸
出増加による取引価格の上昇等によるもの。
●17日,中銀は2015年の年間インフレ率の目標を5.0%から4.5%
に引き下げた。
〈GDP成長〉
●19日,Dende 財団は当国の2015年 GDP 成長予測が4.0%となる見込み
である旨公表した。右は中央銀行の予測する4.5%よりも0.5ポイント低
い値。なお,他機関による予測値は,国際通貨基金(IMF)が4.5%,ラテン
アメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL)が4.0%,BBVA が4.3%,PWC 社が
2.1%となっている。
(3)貿易・税関・密輸関連
●22日,商工省は,2014年,当国マキラ制度の下,自動車部品関連の製
造において新たに1,584人(前年比46.2%増)の雇用が創出された旨
公表した。右はヤザキ・パラグアイ社及び THN パラグアイ社による従業員の増
加による。
●16日,中銀は本年1月-11月期の輸出額が約9,131百万ドル,輸入
額が約10,324百万ドルと,それぞれ前年同期比で2.7%増,0.2%
減となった旨公表した。輸出が増加した要因は牛肉,加工食品及び工業製品等
の輸出が伸びたこと等による。
対外経済
(1)対日関係
●11日,カルテス大統領はカピアタ市の工業団地を視察した。既に本工業団
地の造成及び施設の整備は始まっており,スミデンソウ・パラグアイ社(当地
社名)が進出し,有名メーカーに供給する自動車ケーブルを製造することとな
っている。なお,右視察に同行したレイテ商工相は,同工業団地が,8,00
0~10,000人の雇用を創出し,地域住民が裨益するほか,若者にとって
良い機会を与える旨述べた。また,森井スミデンソウ・ド・ブラジル社長はパ
ラグアイの比較優位性及び若年労働力の豊富さを理由にパラグアイへの投資を
決定した旨述べた。
(2)対外関係
〈カルテス大統領の第24回イベロアメリカ・サミット出席〉
●8日~9日,カルテス大統領は第24回イベロアメリカ・サミット出席のた
めメキシコ・ベラクルスを訪問し,同首脳会合においてステートメントを行な
い,持続可能な発展を達成するためには,産業の多様化が不可欠である旨述べ
るとともに,自身の政権の3本の柱が,持続可能な発展,民主主義,そして社
会的包摂である旨強調した。また,世界的な生産性の向上,産業化,完全雇用,
賃金の上昇により,周期性の成長から持続的な成長に移行させなければならな
い旨述べた。
●8日,カルテス大統領は,ペニャ・ニエト・メキシコ大統領との会談を行い,
経済関係を中心に意見交換を行った。同会談の中でカルテス大統領は,通貨の
安定性や法的安定性など,パラグアイの投資先としての魅力を伝えた。これに
対し,ペニャ・ニエト大統領は,通信会社Claroなど,対パラグアイ投資の例に
言及するとともに,メキシコにおいて,パラグアイ政府が投資誘致セミナーを
実施することを提案した。同日,カルテス大統領は,スペインのラホイ首相と
の会談を行い,遅々として進んでいないメルコスール-EU・FTA締結交渉に
つき,意見交換を行った。同会談の中でラホイ首相は,現在米国及び日本がE
UとのFTA締結に向け交渉を粘り強く進めている旨述べ警笛を鳴らした。
〈カルテス大統領の第47回メルコスール首脳会合出席〉
●17日,カルテス大統領はアルゼンチン・パラナで開催された第47回メル
コスール首脳会合に出席し,同首脳会合において,個々の利益や互いの相違を
棚上げし,地域統合体としての理想を追い求めるべきである旨のステートメン
トを行った。
●また,16日,加盟各国外相参加の下,メルコスール共同市場理事会が行われ,
ボリビアのメルコスール正式加盟につき議論が行われたものの,合意には至ら
ず,2015年前半に議長国ブラジルの下で,議論を継続することが決定された。
ボリビアの正式加盟にかかる議定書は,パラグアイが資格停止を受けていた間
に署名されたものであり,パラグアイ政府は,加盟各国が,ボリビアの正式加
盟にかかる新たな議定書に署名することを求めている。
●なお,17日,本会合に際しロイサガ外相とオスカル・パストーレ・メルコ
スール事務局長(パラグアイ人)との間でFOCEM(メルコスール構造格差
是正基金)を通じたコスタネラ2(アスンシオン川流域北部開発計画)にかか
る資金協力協定の署名が行われた。本件計画の総額は約1億2,000万ドル
であり,8,300万ドルをFOCEMが負担し,残りをパラグアイ政府が負
担する。今後,公共事業通信省が入札手続きを開始することになる。