2014年6月14日 第20回家族性腫瘍学会 がん相談来談者を対象とした 遺伝性腫瘍拾い上げの取り組み 堀尾留里子 田口淳一 東京ミッドタウンクリニック 先端医療研究所 当院での遺伝医療 医療相談室 紹介 当院でのフォローアップ がん相談から の拾い上げ サーベイランスプランの提示 医療者からの アプローチ 遺伝子検査 院内外来紹介 希望者に遺伝カウンセリング HP問い合わ せフォーム 必要に応じて電話・面談で情報収集と提供 電話申込 遺伝カウンセラーによる評価 遺伝カウンセ リング外来 受診希望者 からの アプローチ がん相談:がんセカンドオピニオン+免疫療法相談 1)担当医師:消化器外科医 3名、総合内科医 2名(うち臨床遺伝専門医 1名) 放射線科専門医 1名、歯科・口腔外科医 1名 2)標準治療は最優先で併用療法に関して相談。漢方サポート療法なども 3)相談数:1161名 樹状細胞ワクチン作成数: 578名 (2010.4 – 2014.6) Vaccell: 樹状細胞ワクチン(テラ社) 施設 単施設 解析対象がん 種 症 例 数 掲載誌 年・巻・頁 膵がん n=4 9 Pancreas 41:195-205, 2012. 肺がん n=6 2 Eur J Cancer 49:852-859, 2013. 頭頸部:10、 膵がん:8、 肺がん:4、 食道がん:3 子宮がん:3、 その他:12 n=4 0 Mol Clin Oncol 1:649-654, 2013. 胆嚢がん・胆 管がん n=6 5 J Gastrointest Surg 17:1609-1617, 2013. 膵がん ・切除不能例 n=2 55 Cancer Immunology, Immunotherap y acceptable ・セレンクリ ニック (東京、名古屋、 神戸、福岡) 膵がん ・術後再発例 n=7 9 論文準備中 単施設前 向き試験 膵がん ・切除不能・ 術後再発 n=1 1 ・セレンクリ ニック東京 単施設 ・セレンクリ ニック東京 単施設 ・名古屋市立 大学 信州大含む全国20医療機関 多施設 ・セレンクリ ニック (東京、名古屋、 神戸、福岡) 多施設 ・信州大学病 院 ・長崎大学病 院 ・札幌北楡病 院 ・東京慈恵会 医科大学病院 Clin Cancer Res (Class IIヘルパー抗 原使用) in revision がん相談における遺伝性腫瘍拾い上げの流れ 治療/紹介 がん相談 終了 なし・来談機会なし 説明希望なし なし がん相談 受診 問診票 記入 遺伝性腫瘍 の可能性 あり GCからの 説明希望 なし 医師/看護師 から再確認 あり 詳しい遺伝的リスク評価 *GC:遺伝カウンセラー 希望者は 遺伝カウンセリングへ 説明希望あり がん腫別来談者割合 その他 21% 膵臓がん 21% 大腸がん 15% 子宮体がん1.7% 前立腺がん3% 胃がん 5.8% 卵巣がん 4.5% 肺がん 12% 乳がん 6.2% がん相談来談者には、膵臓がん・大腸がん・肺がん罹 患者が多い 遺伝性のがんに関する問診票 全てのがんのうち 5~10%は遺伝要因が強く影響して発症すると推測されています。ご家系の中で、①がんに罹った人が特に多い、②若くして(50歳未満)がんに罹った人がいる、③何度もが んに罹った人、様々な部位にがんができた人がいる などの場合には、がんに罹りやすい体質が受け継がれている可能性があります。 病歴・家族歴は、ご家系全体の医療管理を行う上で非常に重要な情報となります。以下の問診票にご記入をお願い致します。 父母、子ども、兄弟姉妹、祖父母、孫、おじ、おば、おい、めい、いとこ の範囲でお答え下さい ① ご家系の中で 乳癌 ・ 卵巣癌 ・ 大腸癌 ・ 子宮体癌 と診断された方はいらっしゃいますか? 第3度近親までの 親族について記載 1.いない 2.わからない 3.いる → 以下に続柄を記入し該当する病名と診断年齢に○を付けて下さい *例) 続柄 ( 父方おば ):乳癌(片側・両側)・卵巣癌・大腸癌・子宮体癌 診断年齢 ( 43 歳 ) ・続柄 ・続柄 ・続柄 ( ( ( ) : 乳癌 ( 片側・両側 )・ 卵巣癌・ 大腸癌・ 子宮体癌 ) : 乳癌 ( 片側・両側 )・ 卵巣癌・ 大腸癌・ 子宮体癌 ) : 乳癌 ( 片側・両側 )・ 卵巣癌・ 大腸癌・ 子宮体癌 診断年齢 ( 診断年齢 ( 診断年齢 ( 歳・ 不明) 歳・ 不明) 歳・ 不明) ② ご家系の中で上記以外のがんと診断された方はいらっしゃいますか? 膵臓がん、スキルス性胃がん、スキルス性以外の胃がん、甲状腺がん、肉腫(骨肉腫・軟部肉腫など)、副腎皮質が ん、脳腫瘍、前立腺がん、白血病、リンパ腫など 1.いない 2.わからない 3.いる →以下に記入して下さい ・続柄 ・続柄 ・続柄 ( ( ( ) : 病名( ) : 病名( ) : 病名( ) 診断年齢 ( ) 診断年齢 ( ) 診断年齢 ( 歳・ 不明) 歳・ 不明) 歳・ 不明) ③ その他ご家系の中で何か気になる病気はありますか? 1.特にない 2.ある →以下に記入して下さい ④ 問診票の内容から家族性腫瘍(遺伝性のがん)が疑われる場合は、遺伝カウンセラーによる電話連絡と、 詳しい情報提供が可能です。遺伝カウンセラーからの連絡を希望しますか? (電話連絡に料金はかかりません) 1.連絡を希望しない 2.家族性腫瘍が疑われる場合、電話連絡を希望する* →下にご希望の連絡先と時間帯をご記入下さい こちらから連絡しても良い連絡先 電話番号: 希望連絡時間帯(希望に○:複数可) ・10~12時 (自宅・勤務先・携帯) ・12~13時 ・13~15時 *電話連絡には、日数がかかる場合がありますのであらかじめご了承ください。 ・15~17時 ご協力ありがとうございました カウンセラーから 遺伝性腫瘍に 関する情報提供 希望の有無を記入 来談者数とリスク評価対象者数 45 40 35 来談者の11%が 1次拾い上げ基準を満たした 30 来談者:454名 拾い上げ症例 :50名 リスク評価:22名 25 20 15 10 来談者 5 RA対象 者 RA実施 0 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2012年 2013年 一次拾い上げ基準 対象疾患 基準 遺伝性乳がん卵巣がん 症候群 NCCN Version 1. 2014 Hereditary Breast and/or Ovarian Cancer Syndrome 「testing criteria」 Lynch症候群 ミッドタウンクリニック基準 (Extended Bethesda Guidelines ) リ・フラウメニ症候群 Chompret診断基準 拾い上げ項目別統計 遺伝性乳がん卵巣がん症候群拾い上げ基準 項 目 1 45歳以下で乳がんと診断 50歳以下で乳がんと診断+乳がんの家 2 族歴 3 乳がん+若年乳がんの家族歴 4 卵巣がんの病歴 5 膵がん+複数の乳がん家族歴 6 家族歴のみ FDRが基準に合致 症例数 割合(%) 平均初発 BRCAPRO >10% 年齢 13 38.2 36.8 5 1 2.9 49.0 1 2 13 1 4 5.9 38.2 2.9 11.8 65.0 53.9 78.0 66.0 0 3 0 0 リンチ症候群拾い上げ基準 症例数 1 50歳以下で大腸がん/子宮内膜がんと 診断 2 同時性・異時性のLS関連腫瘍 割合(%) 平均年齢 MMRPro >5% 11 73.3 40.9 2 2 13.3 76.5 0 3 大腸がん/子宮内膜がん+若年LS関連 腫瘍の家族歴 1 6.7 52.0 0 4 大腸がん/子宮内膜がん+複数のLS関 連腫瘍の家族歴 1 6.7 62.0 0 拾い上げ症例の内訳 LFS拾い上げ症例 LS拾い上げ症例 希望しない 他院を選択 1例(2%) 2 1 15例(30%) 来院せず 5 リスク評価実施 7 HBOC拾い上げ症例 リスク評価実施 15 34例(68%) 来院せず 遺伝性乳がん卵巣がん症候群の 15 死亡 1 他院でGT 1 他院を選択 GCを希望しない 1 1 リスク評価実施例中 1名が遺伝子検査を受検 ↓ BRCA遺伝子変異検出 BRCA1/2変異陽性者のサーベイランス 診療科 乳腺外科 検査法 視触診 1/6カ月 マンモグラフィ 1/6カ月 乳房超音波検査 1/6カ月 乳房MRI 婦人科 泌尿器科 間隔 1/1年 (内診) 1/3カ月 経膣(or経直腸)超音波検査 1/3カ月 CA125値 1/3カ月 骨盤部MRI 1/6カ月 直腸診・PSA測定(男性) 1/1年 まとめ がん相談来談者の11%が遺伝性腫瘍の1次拾い 上げ基準を満たし、一般がん診療における家族 歴問診の重要性が示唆された 1次・2次医療機関への積極的な遺伝医学的知識 の啓発が必要 一般外来で遺伝性腫瘍の拾い上げを可能にする ようなツールの開発が望まれる
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