いばらきデジタルコンテンツ・ソフトウェア大賞 2014<アプリ部門> アイデアソン開催レポート (ショートバージョン 3136 文字) 日立シビックセンター(茨城県日立市幸町1-21-1)で 2014 年 9 月 21 日(日) 、「い ばらきデジタルコンテンツ・ソフトウェア大賞 2014<アプリ部門>アイデアソン」が開催さ れました。 同イベントは、「いばらきデジ タルコンテンツ・ソフトウェア大 賞」に新設された<アプリ部門> のプレイベントとして翌週の 27 日(土) 、28 日(日)の両日に開 催されるハッカソンと共に、茨城 県、茨城県高度情報化推進協議会、 一般社団法人茨城県情報サービ ス産業協会の主催で開催されま した。 当日は、秋晴れの清々しい天気の中、大学生を中心に中学生から会社員まで約 40 人の多 様な人々が集まりました。参加者のうち、IT エンジニアは 10 名ほどで、ハッカソンの参加 経験者は 1 名だけでした。ほとんどの人がアイデアソン、ハッカソンの参加は初めての中、 個人で 3 つ以上のアイデアを考えだし、その中から 8 つのアイデアに絞りグループでアイ デアを発展させる作業が進められ、最後に参加者の投票により優秀アイデアが 3 つ選ばれ ました。 ファシリテーターは、数多くの アイデアソン、ハッカソンの運営 実績を持つ NPO 法人アイデア創 発コミュニティ推進機構の矢吹博 和さんが務め、茨城県内で ICT を 活用した地域課題解決に取組む非 営 利 コ ミ ュ ニ テ ィ Cord for Ibaraki が運営をサポートしまし た。 p. 1 イントロダクション 今回のアプリ開発のテーマは、「県北地域を再発見、楽しむためのアプリ」と「親子三世代 の絆を深めるアプリ」です。 アイデアソンを始めるにあたり、 まずは今回のアイデアソンの中で のアイデアの取り扱いについての 説明が行なわれました。多様なメ ンバーでアイデアを出し合い膨ら ませることに価値があること、今 日発表されるアイデアは公共財と して参加者の誰でもが利用できる ことが共有され、もし万が一とて も良いアイデアがあって他の人に 使われたくないなという場合は、 今日は心の中にしまっておくようにという話がされました。 個人でアイデア出し アイデアソンの最初のワークは、マンダラートという発想法を使い、個人でアイデアを 考えるところから始まりました。まずは縦横 3x3 の 9 マスに区切られた図が 9 個並んだ A4 用紙が配られました。中心のマスに自分が考えたいテーマを単語で書き入れ、その周り の 8 マスに連想される単語を書き入れていきます。さらに 8 つの単語を回りに配置された 3 x3 のマスの中心に転記し、再度 アイデアを考えながら周りの 8 つ のマスに単語を書き込んでいき ます。この作業を繰り返すことで、 アイデアが広がっていくといい ます。 最初のワークが終った時点で、 8 つのテーブルに別れた参加者は、 自分が考えているアイデアにつ いての話を交えながらお互いに 自己紹介を行ないました。その際 に、「一人一人の発表後は褒めてあげる」という事前のアドバイスがありました。拍手をし ながら、「ありがとうございます!」というと場が盛り上がるということです。ファシリテ p. 2 ーターの矢吹さんは、「アイデアを出していくには、場を盛り上げることが重要です。盛り 上がるとアイデアが出やすくなります」と説明しました。 グループでアイデア創発 続いて、グループでアイデアを 創発するペア・ブレストが行なわ れました。参加者は全員席を立ち 二重の輪を作ります。向き合って ペアをつくり、先ほど個人ワーク で考えたアイデアを 4 分間でお互 いに共有します。その後 1 分間の メモタイムを取り、話した中で面 白いなと思うアイデアをメモしま す。自分のアイデアをメモするだ けでなく相手のアイデアのメモで も良く、相手のアイデアから創発された新しいアイデアをメモしてもかまいません。次に 外側の人がずれて新しい人とまたアイデアを紹介しあいます。これを 5 セット繰り返しま す。 このワークでも、アイデアを出しやすくするためのルールとして「プレイズ・ファースト (Praise First )」が紹介されました。プレイズ・ファーストとは、話を聞くとき良いアイ デアに光をあて褒めて上げるということです。そうすることで、アイデアを言いやすくな り、頭の中の創造エンジンがかかってアイデアが湧いてくるといいます。どうしても、自 分には良いところが分らない場合でも、「独創的ですね!」など一言プラスのコメントを返 すことが重要だということです。 次に一旦自分の席に戻り、手元 のメモを見ながらアイデアを具体 化してまとめていきます。まずア イデアスケッチシートを用意し、 ヘッドラインにやってみたいアイ デアや、印象に残ったアイデアを 記入します。さらにその下に詳細 事項を 3 つ箇条書きにするか、絵 や図で説明を記入します。これを 約 10 分間で一人 3 枚作る作業が行 なわれました。 アイデアを書き出せたら、次は全員で評価を行ないます。面白いと思ったアイデア、広 p. 3 がる可能性があると思われるアイ デアの右上に星印を書き込んでい きます。 今回の評価では、12 票以上の星 を獲得したアイデアが 7 つあり、 情熱枠として推薦されたアイデア と合わせて 8 つのアイデアが選出 されました。選出されたアイデア のタイトルは、「昔の街と今の街写 真共有」、「僕が食べた最強の海鮮 丼」、「イノシシ狩りゲーム」、「ア リバイカメラ」、「県北シムシティー」、「寿司ログ」、「ロケ Tube」、「水郡線サイクリングマ ップ」です。 チームを作り発展ブレスト 最後に、8 つのアイデアを発展させるチーム作りが行なわれました。まず、各アイデアを 張り出し、やってみたいアイデアの前に集まります。自分が発表したアイデアでないとこ ろに入ってもかまいません。また、自分がもっているアイデアで、発表されたアイデアに 託して一緒に開発してほしいというアイデアがあれば、それをアイデアの下に貼り付けて 託すことができます。そのアイデアのチームに参加することもできますし、託すだけで他 のチームに参加してもかまいません。 チームが決まったら集まったメンバーで自己紹介をし、リーダーとチーム名を決めます。 次に、アイデアを広げるため、まず 2 つのことをディスカッションします。一つ目は、選 ばれたアイデアの面白いところはどこか。二つ目は、それをもっと面白くするにはどうす ればいいのかです。 アイデアが広がってきたら、次 に A3 用紙の体験スケッチボード を使って、アプリを使用するユー ザーに時間軸でどんな体験をして もらいたいのかをまとめます。そ の後、コンセプトシートにターゲ ットユーザーとコンセプトを記入 し、誰に使って欲しいのか、製品 サービスの利用シーンについて、 どんな困りごとに応えるのか、ど んな感動を与えて、何を提供する p. 4 のかということをまとめます。 チームでコンセプトシートがまとまった時点で、各チーム 2 分間の時間があたえられ、 プレゼンテーションを行ないました。最後に全員の挙手による投票行なわれ、「イノシシ狩 りゲーム」「寿司ログ」「ロケ Tube」の 3 チームのアイデアが優秀アイデアに選ばれ、記念品 として茨城県特産の干しいもが贈呈されました。 ハッカソンに向けて 最後に、ファシリテーターの矢吹さんから参加者に向けて、今日発表されたアイデアを 次ぎのハッカソンにつなげるために、是非翌週も参加するよう呼びかけがあり、8 チーム中 3 チームがハッカソンへの参加を表明しました。 参加者からは、「初めての体験で慣れていないため、ちょっと難しく、練習が必要な気が します。でもペア・ブレストのように身体を動かしながら考えるのは、アイデアを考える のに良いと思う」といった声が聞かれました。 最後のプレゼンテーションでは、発表内容に時折笑い声が上がるなど、約 3 時間という 限られた時間でアイデアを創発するイベントは和んだ雰囲気の中終了しました。 p. 5
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