目 次 - 経済法令GROUP

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目 次
第 1 章 デリバティブ取引の特徴
1 デリバティブとは何か …………………………………………………2
2 デリバティブの種類 ……………………………………………………14
第 2 章 有価証券および金利の上場先物・オプション
1 国債先物 …………………………………………………………………26
2 国債先物オプション ……………………………………………………44
3 金利先物 …………………………………………………………………53
4 株式の先物とオプション ………………………………………………58
5 取引所取引の仕組み ……………………………………………………78
第 3 章 為替デリバティブ
1 為替フォワード(先物為替) …………………………………………86
2 為替オプション …………………………………………………………98
3 バリア・オプション …………………………………………………115
第 4 章 オプションの基礎
1 オプションの基本事項 ………………………………………………124
2 オプション取引のストラテジー ……………………………………133
3 オプション価格の算出 ………………………………………………150
4 オプション価格の構成要素 …………………………………………160
第 5 章 金利スワップ
1 金利スワップの基本 …………………………………………………170
2 金利スワップの利用例 ………………………………………………177
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3 金利のトレーディング ………………………………………………183
4 その他の金利スワップ取引 …………………………………………188
第 6 章 通貨スワップ
1 通貨スワップの基本形と取引例 ……………………………………194
2 通貨スワップのバリエーション ……………………………………200
第 7 章 スワップ取引の価格計算
1 金利の計算ベース ……………………………………………………212
2 現在価値の計算 ………………………………………………………216
3 先物金利の計算 ………………………………………………………221
第 8 章 金利オプション
1 スワプション(Swaption) …………………………………………224
2 キャップ(Cap)とフロア(Floor) ………………………………236
第 9 章 いろいろなデリバティブ
1 クレジット・デリバティブ …………………………………………252
2 コモディティ・デリバティブ ………………………………………263
3 ウエザー・デリバティブ ……………………………………………267
第 10 章
デリバティブのリスク管理
1 デリバティブ取引のリスク …………………………………………274
2 市場性リスクの管理 …………………………………………………277
3 法務リスクの管理 ……………………………………………………289
4 デリバティブの信用リスク管理 ……………………………………297
5 デリバティブの会計(概論) ………………………………………303
6 その他のリスク管理−新商品の導入にあたって …………………309
第3章 為替デリバティブ
為替フォワード(先物為替)
学
習
上
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ポ
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2つの通貨を 換する為替取引を原資産とする先物取引
として,為替フォワードと為替フューチャーがある。
フォ
ワードは相対取引,フューチャーは取引所取引である。
為替フォワードを利用したアービトラージ(裁定)取引
の仕組みも理解しよう。
1
為替直物(スポットFX)
第 3章では,為替を原資産とするデリバティブを取り上げる。デ
リバティブの話に入る前に,現物である為替直物取引の条件をまと
め て お こ う。為 替 の 直 物 取 引 は,ス ポ ッ ト FX(FX は Foreign
Exchangeの略)とも呼ばれる。
海外旅行で「1ドルを 85円で買う」という形の,2つの通貨を
換する取引を経験したことのある人も多いと思うが,為替直物取引
は,1ドル=○○○円でドルを買う(または売る)
,という2つの異
なる通貨の
換取引である。通常,直物取引は契約締結の 2営業日
後を決済日とする 。組合せは米ドルと他通貨の 換が多いが,必ず
しも米ドルを介在する必要はなく,特に最近では巨大通貨ユーロの
生で1ユーロ=○○○円という表示をよく見かける。1ドル=85
円という表示ではドルが基準通貨(Base Currency)であり,1ユ
ーロ=1.3200ドルという表示ではユーロが基準通貨となる。
1 為替フォワード(先物為替)
は小数点以下 2桁が市場慣行である。今では実際には
用すること
のない貨幣単位である銭(1銭=0.01円)が,ここでは生きている。
$1=85.00円の為替レートは,1ドルと 85円 00銭との
換を意味
する。
また,為替レートの提示には常にオファー(売値)とビッド(買
値)の区別がある。基準通貨の売りか買いかで値段が異なるのであ
る。たとえば,A 銀行にドル円為替レートを 1,000万ドル ,法人
間取引で聞いてみると,
「85円 35−40銭です」という答えが返って
くる。これは,A 銀行は 85円 35銭であればドルを買い,85円 40銭
であればドルを売る取引をしてくれるということである。この場合
には,85円 35銭が A 銀行にとってのビッド(ドル買いの「買値」
)
であり,85円 40銭がオファー(ドル売りの「売値」
)である。同じ
ように,ユーロの売買レートを聞いて「1.3270-75」と言われれば,
A 銀行は 1.3270米ドルで1ユーロを買い(ビッド)
,1.3275米ドル
で 1ユーロを売る (オファー)取引をすることになる。オファー
(売
り),ビッド(買い)という言葉は,常にレートを提示する側の立場
での表現となるため,顧客の立場ではドル買いやユーロ買いを行う
場合には,A 銀行のオファー価格での取引となる。
よく新聞報道やニュースなどで,
「円安」
「円高」という表現を見
るが,これはわが国にとっての自国通貨である円を中心に えた表
現である。$1=85.00円であった為替レートが,$1=90.00円に変
化すればそれはドル高であり,$1=80.00円に変化すればドル安と
通貨によっては決済日の慣行が翌営業日である場合もあるが,米ドル,
円,ユーロなどの主要通貨は2営業日後を決済慣行とする。
「営業日」
とは,土・日・祝日その他の銀行休業日を除いた銀行の営業日を意味す
る。したがって,金曜日に約定した為替直物取引は,祝日がないかぎり
土・日を抜かして月曜日と火曜日を 2「営業」日と数え,火曜日決済と
なる。
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価格表示の桁数は,原則として小数点以下 4桁,日本円について
第
3
章
為
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デ
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第3章 為替デリバティブ
2007年
問12
2008年
問12
200 年
問12
2010年
問12
問13
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
過去問題
表現するのが市場では一般的であるが,
これを円の側から えると,
$1=90.00円になったときに円安,$1=80.00円になったときに円
高と表現することになる。
2
為替フォワード
直物取引が2営業日後の決済を標準とするのに対して,それ以外
の決済日をもつ為替取引を為替フォワード(FX Forward)取引と
呼ぶ。前章で見た国債先物は,取引所取引であるフューチャーの一
種であったが,為替フォワード取引は相対取引である。為替にも取
引所上場のフューチャーがあるが,これについては後述する。以下
は,決済日が 1年後の為替フォワードである。
フォワード取引の例(アウトライト取引)
輸出企業 A
銀行 B
取引約定日
決済日
ドル売り(円買い)
ドル買い(円売り)
xxx 1年 10月 1日
xxx 2年 10月 3日(取引約定日から数えて 2営
業日後である xxx 1年 10月 3日のさらに 1年
後)
約定金額
10,000,000ドル
約定価格
1ドル=84.66円
(スポット・レート:1ドル=85.00円)
為替フォワード(先物為替レート)の理論値を計算してみよう。
ここでも,債券先物理論値の計算 で ったアービトラージ(裁定)
の え方を用いる。
① 手持ちのドルをドルのままで 1年間運用する(1年物ドル金
利=0.8%とする)
② 手持ちのドルを為替直物取引(直物為替レート$1=85.00円)
第 2章第 1参照
1 為替フォワード(先物為替)
ード取引(先物為替レート$1=X円)で買い予約しておく。1
年後に円で運用した元利合計額(1年物円金利=0.4%とする)
を,予約していた先物為替レート($1=X円)でドルに換える。
裁定が働いていれば,ドルのままで運用する①と,いったん円に
転換して運用し,これをドルに再転換する②は,経済効果が同じに
なるはずである。
先物為替レートの計算
① $1×(1+0.8%)
=$1.008
② $1×85=85 円(ドルを売って円に換える)
85円×
(1+0.4%)=85.34円
(円で 1年間運用した元利合計)
85.34円÷X (円の元利合計を,先物為替レート X でドルに
換える)
①=②なので,$1.008=85.34円÷X
これを解いて X=84.66となる。
これを 式に直すと,以下のようになる。
直物為替レート×(1+円金利×年数)
先物為替レート=
1+ドル金利×年数
この計算式に従っていろいろな先物為替レートを計算してみる
と, 基準通貨の金利が非基準通貨の金利より高ければ,先物為替レ
ートは直物為替レートより小さくなる」
という法則が導き出される。
計算例では,ドル(基準通貨)金利が円金利より高いので,先物為
替レートは直物為替レートよりドル安になるのである。
新聞報道などで「低金利の円を売って高金利のドルを買う動きが
活発化して円安・ドル高になった」という需給面からの市況解説が
よくなされるが,先物為替レートの理論からいうと,金利差に相当
する だけ高金利通貨には常に下落圧力が加わっているのであるか
ら,金融当局が円安政策をとり続けるといった円安要因がほかにな
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で売って円に換えると同時に,1年後決済のドルを為替フォワ
第
3
章
為
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第3章 為替デリバティブ
2007年
問13
2008年
問13
2009年
問13
………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
過去問題
いと,中長期的には高金利通貨を買っても期待した利益を得るのは
難しいと思われる。
3
為替フューチャー
⑴ 取引所取引の為替先物取引
先日付決済の為替先物取引には,取引所取引の為替フューチャー
もあり,シカゴ商業取引所(CME)では米ドル・日本円の先物取引
が行われている。限月取引は3,6,9,12月の6限月,取引単位
は 1,250万円で,価格は円を基準通貨とした1円当たりの米ドル相
当額で表示される (1ドル=85円なら,1円=0.011765ドルとな
る)。最終決済日は第3水曜日で,決済は米ドルと日本円を 換する
方法で行われる。
取引最終日は限月第3水曜日の2営業日前である。
このような為替の先物取引は,かつてはわが国の東京金融取引所
でも行われていたが,現在では制度が全面的に改められ,いわば“取
引所取引版”の外国為替証拠金取引になっている。
⑵ 外国為替証拠金取引とは
外国為替証拠金取引とは,為替レートを原資産(参照指標)とす
る当日期限の一種の先物取引(フォワードまたはフューチャー)で,
当日の期限までに反対売買(または両 を相殺)して差金決済しな
かった場合には, 玉(約定したまま未決済の状態にあるポジショ
ン)が翌日期限の先物の 玉としてロールオーバー( 改)される
取引をいう。
ロールオーバーにあたっては,正常の場合,2通貨間の金利差相
当額がスワップポイントとして算出され,
「高金利通貨買い・低金利
通貨売り」の場合には加算,
「高金利通貨売り・低金利通貨買い」の
場合には減算されて,反対売買時に売買差金とともに授受される。
外国為替証拠金取引は,名目上は当日が期限であるが, 玉のロ
1 為替フォワード(先物為替)
取引といえる。したがって,取引の実態は,約定元本の一部 に相
当する金額を証拠金(5%∼10%程度)として差し入れて行う差金
決済方式の外国為替取引であるといえる。近年では,個人投資家が
行う外国為替証拠金取引が,東京外国為替市場の値動きにも影響を
及ぼすようになっているといわれている。
① 相対取引
外国為替証拠金取引は,相対取引と取引所取引の双方で行われて
いる。わが国では,1998(平成 10)年の外国為替取引業務の完全自
由化以降,商品先物取引業者が先鞭をつけ,個人投資家を相手とす
る相対取引の形態で拡大した。相対取引であることから,取引所の
取引時間や最低取引単位などの制限がなく,これまで企業間取引が
中心であった為替のトレーディングを個人投資家まで普及させたと
いう点では画期的であったが,取扱業者 によっては顧客に対する情
報開示が不十 であったためにトラブルになった事例も多い。
外国為替証拠金取引は,金融商品取引法においてデリバティブ取
引と規定されており,業者は金融商品取引業の登録を受けることが
義務づけられているが,業者の経営破綻時において,顧客から預託
を受けた証拠金が適切に区 管理されていなかったことにより,顧
客被害も発生している。このため,2009(平成 21)年8月に「金融
商品取引業等に関する内閣府令」が改正され,ロスカットルールの
整備と証拠金の金銭信託が義務化された。
また,近年,内外金利差の縮小等を背景に高レバレッジ化が進展
していたが,高レバレッジでの取引は,①顧客保護(ロスカットが
十 に機能せず,顧客が不測の損害を被るおそれがある),②業者の
リスク管理(顧客の損害が証拠金を上回ることにより,業者の財務
すべての業者が問題を起こしているわけではない。
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ールオーバーが制度として行われることから,実質的には無期限の
第
3
章
為
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バ
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ブ
<執筆協力>
増田 広
★本書の内容等に関する訂正等の情報★
このたびは本書をご購入いただきありがとうございます。
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銀行業務検定試験
〔受験対策シリーズ〕
デリバティブ3級
2011年3月 20日 第1刷発行
2011年6月受験用
編
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発 行 者
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制作/経法ビジネス出版㈱・大沢竜典
Keizai-hourei Kenkyukai 2011
印刷/あづま堂印刷㈱
ISBN978-4-7668-4192-3
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