ホワイトペーパー「消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置」

消費電力の削減:
効率性に優れた電源装置
デルの高効率電源装置は、データセンターの運用費と消費電力の節約に貢献します。
Mark Muccini
Wayne Cook
消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置
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2012 年 2 月 | Rev 1.0
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消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置
目次
はじめに .................................................................................................................................................................. 4
電源装置の効率性 ................................................................................................................................................... 4
電源装置の電力損失 ................................................................................................................................................ 5
電源装置の構成 ....................................................................................................................................................... 6
効率性の向上........................................................................................................................................................... 7
まとめ ..................................................................................................................................................................... 8
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消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置
はじめに
昨今のデータ処理量、通信量、財務トランザクション件数、デジタル記録ストレージは増加の一途を
たどっており、それゆえ、官民を問わず組織の IT 機器に対するニーズも増大しています。しかし、
IT 機器が増えれば増えるほど、必要となる動力源も増えるため、こうしたニーズの高まりは、デー
タセンターの電源インフラに重い負担をかけるようになりました。もし、データセンターの電力消費
を抑えることができれば、運用費の削減につながり、ひいては、さらなる IT 拡充の道も開けます。
一般的な IT システムの消費電力とは、プロセッサー、ハードドライブ、メモリ、冷却、ネットワー
ク、電源装置のロス、その他に使用されるエネルギーを合算したものです。本書は、サーバ内の
AC/DC 電源装置 (PSU) で発生する電力損失について解説していきます。まず、典型的な PSU 性能
と、従来のシステム電源構成にまつわる課題について概要を述べ、次に、PSU の効率性と適切なサ
イジングに触れながら、世代交代に伴うデル PSU の性能向上について説明します。
電源装置の効率性
電源装置の消費電力をできる限り削減するために、解決すべき課題を知るには、まず、一般的な
AC/DC PSU の効率性が何によって決まるのか理解する必要があります。電源装置の効率性とは、あ
る負荷ポイントでの、入力電力に対する出力電力の比率で表わされます。図 1 は、出力負荷の推移に
対する、デルの第 9 世代 (9G) 電源装置の典型的な効率性をグラフにしたものです。この図では、電
源装置の負荷が 50% より大きくなると効率性が最大になることに注目してください。これらの旧世
代サーバでは、効率性というと、電源から引き込む電力を減らすことよりも、サーマルパフォーマン
ス (熱性能) の方に関心が寄せられていました。
図 1. 負荷に対する第 9 世代 PSU の効率性
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消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置
電源装置の電力損失
前述のとおり PSU の効率性は、入力電力に対する出力電力の比率 (= Pout/Pin) で表されます。した
がって、電源装置に入力された総電力は、PSU から出力された電力と PSU の電力損失 (電力散逸ま
たはワット損) を合算したものに等しくなります (Pin = Pout + Pdissipation)。PSU の出力電力はシス
テムの負荷に応じて変わってしまうため、電源装置の性能を見るうえで注目すべきなのは、電力損失
です。電源装置の電力損失を削減できれば、より効率的な電源装置となり、電源供給源から引き込む
電力を削減することができます。図 2 は、負荷ポイントの違いによる PSU の電力損失量を表したも
のです。負荷の増加に伴い、電力損失も増加しています。
図 2. 第 9 世代 PSU の出力負荷に対する電力損失
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消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置
電源装置の構成
これまでは、1 台の電源装置の電力損失について説明してきました。しかし、エンタープライズ環境
で採用されるサーバは、サーバシステムに冗長電源装置を構成することが多くなります。この種の構
成では、電源装置あたりの負荷が減ることから、システムの効率性が下がります。PSU を 1+1 の冗
長構成にすると、1 台の PSU が動作不能に陥っても、システムは稼働を存続できます。正常稼働時
は両方の電源装置が負荷を共有するので、1 台あたりの稼働負荷は 50% 未満になります。典型的な
冗長構成では、各電源装置の負荷が定格の 20% 程度にしかなりません (図 3)。
図 3. 第 9 世代 PSU を 1+1 で冗長構成したときの稼働域
図 3 を見ると、この PSU の効率性が最も高くなるのは、定格荷重の 50% を超えてからですが、1+1
の冗長構成では、通常稼働時に負荷がこの領域に達することはありません。
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消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置
効率性の向上
かつて電源装置の効率性は、負荷が最大になる範囲に合わせて最適化されてきましたが、これは、典
型的な稼働範囲ではありません。このようなアプローチを取っていたのは、電源装置の温度を一定の
範囲内に収める、という目標のもと、最大負荷時の電力損失 (発熱) を低減することに重きが置かれ
ていたからです。したがって、電源装置への入力電力を減らすことにはあまり配慮されていません。
デルは、この課題に対処するため、サーバの稼働範囲での効率性を高めながら、PSU の温度を一定
に保つための包括的な取り組みを実施してきました。図 4 と図 5 を見ると、第 9 世代の電源装置か
ら始まった効率性の改善は、世代を重ねるごとにゴール (負荷の軽いときも高効率を達成すること)
に近付き、現在の第 12 世代サーバに至っていることがわかります。たとえば、750W の冗長電源装
置で典型的な 20% 稼働に注目すると、40W だった電力消費は、7.5W にまで削減できました。シス
テムに 2 台の電源装置を搭載する冗長構成では、この効率化によって、サーバあたり 70W もの電力
が節約できることになり、さらに、電源装置にかかる負荷条件が高くなれば、節電効果は一層高まり
ます。以上のようにデルサーバは、典型的な稼働域において、AC/DC 電源装置の電力損失を効果的
に削減できるようになりました。
図 4. 世代別 PSU の効率性
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消費電力の削減: 効率性に優れた電源装置
図 5. 世代別 PSU の電力損失
まとめ
データセンターや小~中規模ビジネスでのサーバ運用で、消費電力全体を削減するには、効率性の高
い AC/DC 電源装置が必須となります。長年にわたって改良を重ねてきたデルの電源装置は、次を提
供することで、データセンターの省電力に貢献します。

高い効率性を誇る AC/DC 電源装置ソリューション

典型的な負荷の範囲で高効率を発揮するよう最適化された電源装置

冗長電源構成をサポートすると同時に、高い効率性を維持

設備投資と運用費の節約
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