数学班 ● はじめに 近似値とは、無理数などの値を必要とされる誤差の範囲内で、その数を表していると思って構わない 数値のこと。ある数値に対して端数処理を施した値(数値を「丸め」たもの)すなわち、本当の値に近 い値を近似値という。 ● 目的・動機 現在小学校では、円周率を 3.14……として学習しているが、実際に円の面積など計算するときにはπ =3.14 や、π=3 として計算することがある。そこでいろいろな方面から円周率や誤差のことを調べた。 ● 研究 ①−研究内容と結果 半径 10cmの円において円周率をどの値に設定するかによって、円周の長さと面積にどのくらい差が出 るのか調べた。 円周率 面積 割合 円周率 面積 割合 3 300 0.95492966 3.1415 314.15 0.99997051 3.1 310 0.98676065 ・・・ ・・・ ・・・ 3.14 314 0.99949304 ・・・ ・・・ ・・・ 3.141 314.1 0.9549296 3.1415926 314.1592 0.99999998 −考察 πで割った値が 3.14 ですでに 0.999……なので、 当初予想していた値よりπとの値の差はなかった。 πを細かくしても値が大きく変わるわけではなかった。 ②−研究内容と結果 下の図のようにその曲線を適当なところでいくつかに分割しそれぞれの端から端までの直線距離を 測り合計する。また、長さのわかっている曲線をキルビメーターで測る。この二通りの測り方で測った。 (1つ目のやり方の例) 2分割 4分割 使用した曲線の長さは、9.4cm 5分割 6分割 キルビメーターでの測定結果 分割するやり方の結果 キルビメーター 2回目 3回目 9.5cm 4回目 9.4cm 5回目 9.4cm 8回目 100.00% 80.00% 9.7cm 9回目 9.8cm 10回目 9.1cm 6回目 9.6cm 7回目 120.00% 9.5cm 割合 1回目 実際の値との誤差 生徒1 の結果 生徒2 の結果 60.00% 40.00% 9.6cm 20.00% 0.00% 平均 2 9.5cm 9.5cm 3 4 6 8 12 16 32 64 分割 −考察 分割して図ったものは、2分割,3分割ではやはり真の値には近づかなかった。 6 分割では曲線の形に近づき、それより細かく分割すればするほど近い結果が出た。 逆に分割しすぎると、真の値から遠のいたり、100%を超える値が出たりした。これは図る回数が多い ため、一回一回の誤差が積み重なって真の値から遠のいたと思われる。 ③(ⅰ)−研究内容&結果 棒を地面に垂直に立て、右の図のθの角度 (今回は 30 度、45 度、60 度)を決めて、 測定者と棒の距離ⅹから三角比を使って高さ を求める。(目から地面までの高さも必要) 使用した棒の高さは 251cm 角度θを決めたときの測定結果 測定結果 265 棒の高さ(cm) 260 255 250 生徒1の 測定値 生徒2の 測定値 正確な値 245 240 235 230 30 45 θの値(度) 60 (ⅰ)−考察 人間の手で測ったものなので少々のブレが生じたが、実際には5%の差もなかった (ⅱ)−研究内容と結果 ・ 対象物と自分までの距離(前ページの図のⅹ)を決めて対象物を見上げ、見上げた角度から三角比 を使って高さを求める。 使用した測定物の高さは 921cm 棒 の 高 さ ( cm ) 1000 107% 106% 105% 104% 103% 102% 101% 100% 99% 98% 980 960 940 920 900 880 1000 1100 1200 1300 Xの値(cm) 1400 割合 測定結果および実際の長さとの誤差 測定結果 % 実際 (ⅱ)−考察 特定の角度が正確に測れるということはなかった 測定したものは、100%を超えるものばかりなので、この方法だと実際の値より大きくなるようだ。 ③全体の考察 この実験は、江戸時代の数学本である塵劫記を参考にしているのだが、高さの測定は誤差が出やすかっ たので、昔の人はかなり慎重に測定していたと思う。 (ⅱ)のほうが(ⅰ)より、素早く測定できるが三角比の表が必要なので、どちらにも長所短所がある。 ④−研究内容と結果 富山の海岸線の長さを測る 縮尺の違う富山湾の地図を用いて、それぞれキルビメーターで測る。縮尺を用いて値を求める。縮尺 よってどのくらいの誤差が出るのか調べた。 地図を図る(富山湾) 1 回目 2 回目 1:1000000 100km 98km 1:100000 107km 107km 1:50000 111km 110km 実際 117km 117km (ⅲ)−考察 縮尺が小さい五万分の一のほうが、真の値に近い結果が出た。 詳しいほうが港の窪みなどが細かいので、より正確な値になったのだと思う。 ⑤−研究内容と結果 一年六組、二年五組にアンケートをとり、人の感覚による誤差の許容範囲を調査した。 『円の面積や円周の長さを求めるとき現在小学校では 3.14 を使用しているが、πの値を3として計 算してもよいと思いますか?』という質問をして……… いいと思う…10 人 どちらでもいい…15 人 だめだと思う…34 人 『あなたにとって、いくつからいくつまでなら、1000 ぐらいという言葉を使いますか。』という質 問をして……… 950∼1050…0 人 900∼1100…48 人 800∼1200…6 人 ―考察 日常的に、10%ほどの誤差は起こっている。 ⑥−研究内容と結果 『近似値とはまず何か』ということを調べ、πを表す近似式を集め、またその式を使用してπの値を 求めていった。 下の式を、関数電卓を用いて計算を行った。 6/13 まで計算すると 3.132167 9/19 3.140578 12/25 3.141479 15/31 3.141579 18/37 3.141591 ちなみにπは 3.1415926…… 少数第 5 位まで一致 ―考察 近似式には複雑なものが多いが、上の式は簡単にみえたが、実際大変だった。 ● まとめ 自分達の最初の感覚では円周率を 3 で計算することは桁を今までの 3.14 から2桁も省略するので、 まったく違う値になると思っていた。しかし、研究を進めるにつれて 3 と 3.14 のそれぞれの場合での 値の差が小さく、人の誤差の許容範囲内だったのもあって、自分の中で円周率は 3 で計算しても変わり ないという意識が芽生えた。 長さを測定するとき細かく分割するほど正確な値へ近づいていくと思われたが、あまり分割しすぎる と実際の値から離れていったのは測り手のミスが大きく関係していると思った。 近似式で計算するとき、計算が無限に続き人の手で計算するにはあまりにも複雑で長すぎるので、誤 差の範囲内であればある程度近い値になったところでやめてもかまわないと思った 今後の課題として今回は身近なπについてでしたが、今度は私たちの身近にある√2などのほかの無理 数についても調べてみたいと思った。
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