14-4B-12-04 通し番号 3885 分類番号 (成果情報名)冬咲き性

通し番号
3885
分類番号
14-4B-12-04
(成果情報名)冬咲き性スイートピー新品種‘リップルショコラ’
[要約]‘リップルショコラ’は旗弁は白地に暗紫赤の、翼弁は白地に暗紫赤の吹きか
け模様が入り、これまでの栽培品種にない特徴をもつ。花径は約 5cm で花弁の波打
が大きい。開花の習性は冬咲き性で、早晩は早生。春先も草勢が衰えにくく、比較的
長い切り花が得られる。
(実施機関・部名)神奈川県農業総合研究所
生物資源部
連絡先
0463-58-0333
[背景・ねらい]
神奈川県はスイートピー栽培発祥の地であり古くから栽培が行われている。近年、新興
産地の台頭により産地間競争が厳しくなっている。そこで優位性を持たせるため県内での
栽培に適した冬咲き性で花色に新規性をもち、高品質なスイートピー品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
1
育成経過
1996 年に当所育成冬咲き系統と夏咲き性品種‘Wiltshire Ripple’の交配を行い、その自
殖後代から草型は高性、花色は白地に暗紫赤の吹きかけ模様をもち、開花の習性は冬咲き
性のものを選抜して固定を図り、2002 年に形質の安定した系統を得た(図1 )。
2
品種の特性
開花の習性は、8月下旬播種で 11 月下旬から収穫できる冬咲き性で、花色は旗弁・翼
弁ともに地色は黄白、吹きかけ状斑は暗紫赤で花色に特徴をもつ。花径は 5cm、花柄長は 、
40cm 程度で1花柄に4∼5輪の小花をつけ、花弁の波打程度は大きい。天候不順時には
落蕾が発生するが他栽培品種と同程度である。
生育はやや弱いから普通で、春先の収穫後期に草勢の衰えが少ないため、安定した長さ
の切り花が得られる(表1∼2及び図2∼3)。
[成果の活用面・留意点]
1
品種登録出願を予定しており、栽培には許諾契約が必要である。
[具体的データ]
イースターパレード
F4 (375-1 ④)בWiltshire Ripple’の交雑後代(F7 )
ダイアナ
図1‘リップルショコラ’の育成経過
表1
‘リップルショコラ’の主要な特性①
開花※ 1
系統・品種名
リップルショコラ
冬咲き性
エミリー(対照)
冬咲き性
リップルラベンダー(対照)
冬咲き性
旗弁色※ 2
黄白(暗紫赤)
2701(9710)
鮮紫ピンク
9204
黄白(明紫)
2501(8604)
翼弁色※ 2
舟弁色 ※ 2
黄白(暗紫赤)
2701(9710)
鮮紫ピンク
9204
黄白(浅紫)
2501(8603)
黄白
2701
黄白
2701
黄白
2701
花径
(mm)
輪数※ 3
(輪)
51.8
4.7
52.5
5.6
49.7
5.5
※1:開花の習性、※2:日本標準植物色票色名( )は吹きかけ状斑色、※3:1花房あたりの小花数
表2
‘リップルショコラ’の主要な特性②
系統・品種名
リップルショコラ
エミリー(対照)
リップルラベンダー(対照)
草丈※ 1
(cm)
花柄長
(cm )
83.0
91.3
81.6
39.8
41.1
52.3
花柄径
(mm)
3.2
3.4
3.5
葉柄部※ 2
の着色
波打 ※ 3
無
有
無
中
中
中
葉型
卵形
卵形
卵形
※1:下から 15 番目の着生葉が展開したときの草丈、※2:葉柄着生部のアントシアンの発現の有無、※3:葉の波打程度
cm
400
リップルショコラ切り花本数
エミリー切り花本数
リップルラベンダー切り花本数
リップルショコラ累計
エミリー累計
リップルラベンダー累計
1200
70
12
1000
60
10
300
︵本/旬︶
200
0
0
12月上旬 12月下旬 1月上旬
1月下旬
2月上旬
2月下旬
3月上旬
3月下旬
4月上旬
︵本︶ )
800 切
り
花
600 本
数
累
400 計
50
8
切 40
り
花
長 30
小
6 花
数
4
20
10
エミリー切り花長
リップルラベンダー切り花長
リップルショコラ輪数
エミリー輪数
リップルラベンダー輪数
2
0
0
12月上旬 12月下旬 1月上旬
1月下旬
2月上旬
2月下旬
3月上旬
3月下旬
4月上旬
時期
時期
図2 リップルショコラおよび対照品種の切り花本数の
推移 ( 50 株当たり)
( H14.12~H15.4)
リップルショコラ切り花長
︵輪/本︶︶
旬
ご
と
切
200
り
花
本
数
100
図3 リップルショコラおよび対照品種の時期別切り
花長および小花数の変化 ( H14.12~H15.4 )
[資料名] 平成14年度試験研究成績書(花き・観賞樹)
[研究課題名]
花き類の新品種育成
スイートピーの新品種育成
[研究期間]平成9∼16年度
[研究者担当名]栁下良美