学長からのメッセージ No.1 新年度を迎えて 2015.4.1 3 月

学長からのメッセージ
No.1
新年度を迎えて
2015.4.1
3 月 16 日付で学長を拝命しました岩渕です。どうぞよろしくお願いします。
新役員体制が平成 27 年 3 月 16 日に発足しました。新年度初日にあたり、新執行部の方
針を構成員の皆さんにお伝えしたいと思います。
学長を拝命して間もなく 3 月 26 日に文部科学省に出向き、高等教育局の義本官房審議官
(高等教育担当)と 40 分ほど懇談する機会を得ました。その際、最初の質問が、岩手大学
は 3 つの重点支援の枠組みの中でどの拠点を目指すのかという質問でした。1 つ目が世界最
高水準の教育研究拠点を目指す大学、2 つ目が特定分野での世界ないし全国的な教育研究拠
点を目指す大学、3 つ目が地域活性化の中核的拠点かつ特定分野での世界ないし全国的な教
育研究拠点を目指す大学です。私はやはり平成 16 年度の国立大学法人化以降、校是に掲げ
た『岩手の“大地”と“ひと”と共に』を基本として進めていきたいと思っています。た
だし単に“地域”ということだけでなく、様々な表現方法の中で私が最も好んで使うのは
“グローカル”という表現です。地域に根ざしつつ研究においても教育においても、色々
な意味で世界に発信していく大学にならなければならないことを、文部科学省幹部との懇
談の中で申し上げてきました。
そこで、私が考える岩手大学として当面すべきことと、ロングレンジで考えるべきこと
の、2 つに分けて今後のビジョンを説明いたします。様々ある当面すべきことの中で 3 つ挙
げると、1 つ目は大学院の改組。特に地域創生専攻についてしっかりと検討する必要があり
ます。2 つ目は第 3 期中期目標の策定です。6 月末までに素案を提出する必要がある中で、
これまでの検討案に新執行部がどのような色づけにしていくか検討しながら、成案が出来
次第、各部局等に評価してもらう予定で進めています。その大枠については、従来型の中
期目標・中期計画では、平坦な計画・目標となりがちでしたが、もう少し個性を打ち出す
ことを各担当理事・副学長にはお願いしたところです。3 つ目は、三陸復興推進機構です。
やはり岩手大学のこの 4 年間の活動の基軸は三陸の復興に尽きると言えます。これからも
復興にどのように貢献できるかが大学が浮沈する鍵になるだろうと思います。
震災後間もなく当時の高等教育局長が来学した際、地域にとって大学は本当に必要であ
ることの証明を、復興活動の中で岩手大学に求められました。被災直後は瓦礫の撤去作業
などのボランティアが緊急性の高いものでしたが、4 年が経過した今考えるべきことは、そ
れらを教育・研究にどう活かしていくか、これが岩手大学に課せられた復興の推進のあり
方です。当然のようにそれが地域創生専攻の中で大きなウェイトを占めていくと考えてい
ます。如何にして復興とリンクさせて新しい学部・専攻を作っていくかということが、文
部科学省をはじめとして地域からも期待されているところであり、これは確実に成し遂げ
たいと思っています。
ロングレンジで考えるべきことについては、基本的には地域にとって存在感がある大学
である必要があります。地域連携というキーワードが浮かびますが、従来型の地域連携で
は不十分です。以前は農学部や工学部などの理系の技術移転をどのように産学連携・共同
研究に繋げていくかということが非常に大きい役割でしたが、これからは違います。社会
人の学び直しや女性の視点など、多様な地域との関わり方があり、その中でどのように大
学として貢献していくかがこれからの地域連携です。菅原悦子理事に地域連携担当をお願
いした最大の理由です。科学技術・文化・芸術・スポーツも含め、あるいは男女共同参画
やグローバル化にも対応した新たな地域連携の形を創り上げ、それをもって地域を先導す
る大学にしたいと思います。
岩手大学は岩手県の中で非常に大きな“組織”です。そのような組織がそれらに対応し
ていくことで、岩手県庁をはじめとする様々な組織・団体が岩手大学に倣っていく、そう
いう意味で先導という表現を使わせていただきました。
もう一つは、岩手大学のアイデンティティです。秋田大学や弘前大学とは異なる岩手大
学の特徴は何でしょうか。それぞれの学部ではなく、岩手大学としての特徴です。このこ
とを一緒に考える、一緒に教育・研究の中に活かしていくことによって岩手大学への帰属
意識が醸成されるものと思っています。人材を育成する組織として、岩手大学出身という
誇りから大学としての同窓会が生まれ、それらが将来の大学の支援者になってくれます。
我々だけの努力では困難な課題に直面したとき、学外から卒業生を含めたステークホルダ
ーに如何にサポートしてもらえるかによって困難を乗り越えることができます。それらを
見据え、岩手大学のアイデンティティを創り上げて行きたいと思います。その一環として
卒業式において教育学部の高橋英輝君に学長特別賞を授与しました。4学部の全ての学生
が集う場で授与することで、学部の垣根を越えた仲間意識、大学への帰属意識が生まれて
いきます。このようなことを 1 つずつ積み上げて行くことで将来に向けた“岩手大学”と
いうアイデンティティを持つことに繋がるのではないかと思います。
以上述べたことにとどまらず、必要に応じて様々なことを提案し、実行していきたいと
思いますので、是非皆様の協力をお願いします。