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事業者向けコンセプト集
スロー
∼深みと親しみをもった共感型ビジネス∼
「スロー」とは
スローは可能性です。
「ファストフード」は世界を席巻し、どんな途上国に行っても同じハンバーガ
ーが食べられるようになっているのが現代です。これに対して「スローフード」は、口から入る食べ物
を通して自分と友、家族、地域、自然、地球のつながり方を問い続ける運動でもあるのです。
スローなライフスタイルが見直される中で、
新しいビジネスが生まれる可能性があります。
それは、
少ない消費で、より大きな満足を得るためのビジネスで、従来型の「より早くより沢山のモノ」を求
めるビジネスとはまったく逆の発想といってもいいでしょう。成果よりもプロセスを大切にするスタ
イルは、コミュニティ・ビジネスにマッチしているといえます。
コンセプトの背景
■ ドッグイヤーのビジネス
・人間の1年分が約7年に相当する犬の時間感覚で、ビジネスが猛スピードで変
化展開していく様を比喩的に表現したのが「ドッグイヤー」である。
・業績とスピードを常に求められているビジネスマンは、
景気低迷で受注量が落
ちているにもかかわらず、労働時間が伸びて疲れている。
■ イタリアの片田舎から派生したスローフード運動
・1.消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。
2.質のよい素材を提供する小生産者を守る。
3.子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。 の3方針を掲げて1986年にイ
タリアのブラという片田舎からスタートしたのがスローフード運動である。
■ スローを保証するITや先端技術
・ITの発達で、居場所に囚われず必要な人とのコミュニケーションが取れるよう
になり、余った時間を使って有意義な人生のプロセスを楽しむ時代が来ている。
・先端技術を活用してスローテクノロジーやスローライフに生かす試みが行わ
れている。
関連キーワード
◎スローフード
ファストフードとは違い、食を通して関わる農家、
加工業者、調理者、食卓を囲む仲間などとの交流の
プロセスを大切に味わう食事のあり方。
◎スローライフ
家族、友人、地域、社会、自然、地球とかかわるを
プロセスをじっくり味わい楽しむライフスタイル。
◎スローテクノロジー
新規性や革新性ばかりを追う先端技術でなく、人や
地域や自然との親和性を追究する技術。
◎スローデザイン
自然のデザインを謙虚に学び、模倣する行為から生
活や技術の基本が発見でき、本質が見えてくる。
◎パーマカルチャー
有機農業を中心とする持続可能な自給的生活を実
践する運動。オーストラリアのビルモリソンが提唱。
◎有機工業
技術を自前主義で囲い込むのでなく、生産者と消費
者が手を結んで非電化製品をつくる事業。
事業者向けコンセプト集
コンセプトの構造
C.Bへの活用例
◎・・・・・・・
「スローフード・レストラン」
有機農業を営む農家など小規模生産者から安全・安心の食材を購入し、消え
ゆく恐れのある伝統的な料理を中心としたメニューでレストランを経営する。
風土に合った食生活を次世代に残すことを目的としたレストランです。
◎・・・・・・・
「スローホーム建築」
便利な住宅設備に依存した生活感覚を萎えさせる住居でなく、自然との調和
や伝統的な居住形態を参考に風土に合った「生活の場」として、人や自然との
親和性が高い素材を使った住宅を施主とプロが一体となって建築する事業です。
◎・・・・・・・
「スローツーリズム」
乗り物をチャーターし、観光スポットを巡り、お土産を買うための観光ツア
ーは飽きられつつあります。そうではなく、行く先々の生活者と出会い、交流
して、ゆっくりと旅の本質を味わうツアーのニーズは高まっています。
◎・・・・・・・
「フェアートレード」
途上国などの生産者に公正な貿易対価を支払うことで、彼らの収入源となる
仕事の機会を提供すると同時に、そこで生じた利益を地域的な発展のための活
動の資金として還元する運動です。また、消費者が製品の背景を知ったうえで
より良い「選択」ができるよう啓発することもフェアートレードの役割です。
事業自立のポイント
■共感型ビジネスのプロセスに参加を促す
スロービジネスは共感型ビジネスの典型です。効率や生産性はさておき、利
用者をいかに事業のプロセスに参加させるか、また、いかに共感を得て世論を
形成するまで一体となれるかがビジネス自立の要件です。
■「新しさ」よりも「親しさ」でファンづくり
利用者とプロが共につくるコンセプトの事業だけに「新しさ」でつながるの
でなく「親しさ」でつながることができます。
「親しさ」はファンにつながり、
口コミで仲間が増えるように企画していくことが大切でしょう。
地域での役立ち分野
■コミュニティを取り戻す切り口
「新しさ」や「差異」でなく、「親しさ」や「共感」を人々にもたらすのが
「スロー」だとすれば、断絶してしまったコミュニティを取り戻す切り口とし
て、絶好のビジネスになるはずです。
■取り去るところがない完璧さに次世代への可能性
付け加えるところがない完璧さでなく、
取り去るところがない完璧さを追究
する「スロー」は、持続可能な社会を構築するにあたって重要なメッセージを
秘めているビジネスコンセプトになるでしょう。