電子情報通信学会ワードテンプレート (タイトル)

社団法人 電子情報通信学会
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS
信学技報
TECHNICAL REPORT OF IEICE
携帯端末で機能をカスタマイズできる健康増進サービス
山下 一樹†
王 質輝†
木竜 徹†
†新潟大学大学院 自然科学研究科 〒950-2181 新潟市五十嵐 2 の町北 8050
E-mail:
†{kazuki, wzh, kiryu}@bsp.bc.niigata-u.ac.jp
あらまし 最近の携帯端末の性能向上と普及はめざましく,様々な分野で利用が広がっている.健康増進サービ
スの分野では在宅のユーザとスポーツドクターやトレーナーをネットワークで結ぶ様々なサービスが開発されてき
ている.しかし,PC,PDA,携帯電話など様々な通信形態に個別に対応したものが多く,なかなか健康サービスが
普及するまでには至っていないのが現状である.そこで,本研究では携帯端末搭載の Java 環境を使用し,携帯電話
端末による健康増進サービスを構築することにした.この際,個人個人で情報提示に対する理解の違いを解消する
ために,表示項目をカスタマイズできる機能を重視した生体情報閲覧アプリケーションとして開発した.
キーワード 健康増進,携帯電話端末,カスタマイズ,Java
Health Promotion Service with Customization Functions by Mobile-phones
Kazuki YAMASHITA†
Zhihui WANG† and
Tohru KIRYU†
†Graduate school of Science and Technology, Niigata University 8050, Ikarashi 2, Niigata 950-2181, Japan
E-mail:
†{kazuki, wzh, kiryu}@bsp.bc.niigata-u.ac.jp
Abstract Recently, the performance of mobile phones has improved remarkably, and they become popular and are widely
used in various fields. In health promotion, various services have been developed for home-based users to easily communicate
with sports doctors or exercise trainers via the networks. However, current services are depending on individual facilities, e.g.,
PCs, PDAs, and mobile phones, and therefore, users cannot take advantage of these services conveniently. In this paper, we
present a health promotion system by using mobile phones embedded with Java runtime environment. To eliminate individual
differences in understanding of the information display, the system, as a biosignal browsing application, emphasized the
development of different customization functions of display items.
Keyword health promotion,mobile-phone,customization,Java
1. は じ め に
ることで,健康増進サービスの高機能化を検討した.
健康増進を目的とした運動において重要になるの
すなわち,生体情報の閲覧を実現するため,携帯電話
は,自身の体の状態を知り,適切な負荷を設定するこ
端 末 に 搭 載 さ れ て い る Java 環 境 を 利 用 し ,専 用 ア プ リ
とである.体力には大きな個人差があり,また日によ
ケーションを開発した.特に開発にあたっては情報提
って体の調子は異なる.そして負荷に対する主観と客
示に対するカスタマイズ機能を付与した.
観 指 標 に は ,ず れ が あ る 場 合 も あ る [1].そ の た め 運 動
の際は,自身の運動の状態を専門家(スポーツドクタ
2. 設 計
ー)が客観的に確認し,専門家の指導を受けることが
2.1. データ取 得 までの流 れ
望まれる.しかし,常に専門家の元で指導を受けるこ
携帯電話端末を用いた生体情報閲覧システムの構
とは物理的にも時間的にも困難である.そこで,一般
成 を 図 1 に 示 す . ユ ー ザ は 運 動 時 に 計 測 ユ ニ ッ ト [3]
家庭においてネットワークを介して指導を受ける健康
を装着し,生体情報や負荷情報を計測する.計測ユニ
増 進 サ ー ビ ス が 開 発 さ れ て き て い る [2].も ち ろ ん ,携
ッ ト は 無 線 LAN を 通 じ て ネ ッ ト ワ ー ク に 接 続 さ れ て
帯電話によるサービスがよく話題となる.
おり,運動終了後,計測された各情報はネットワーク
携帯電話端末は情報端末として世代に問わず広く
上の専用サーバに自動的にアップロードされる.
普及し,様々な分野に利用されてきている.その性能
ネットワーク接続された環境にいるスポーツドク
向上はめざましく,高機能・マルチプラットフォーム
タ ー は , PC の Java ア プ レ ッ ト [4]を 通 じ て サ ー バ 上 の
で あ る Java の 実 行 環 境 も 搭 載 さ れ て い る .そ こ で 本 研
生体情報や負荷情報を取得し閲覧する.そして指導内
究 で は ,携 帯 電 話 搭 載 の Java ア プ リ ケ ー ジ ョ ン を 用 い
容 を , Java ア プ レ ッ ト を 通 じ て 入 力 し , 専 用 サ ー バ に
再びアップロードする.
で,提示情報に対する個人の理解の違いを埋めること
ユ ー ザ は あ ら か じ め 専 用 の 閲 覧 Java ア プ リ ケ ー シ
ができると考えている.すなわちカスタマイズ可能な
ョンをサーバ上からダウンロードしておき,運動後そ
環境を提供することで,ユーザ自身が一番使用しやす
のアプリケーションを起動する.アプリケーションは
い,理解しやすい環境に最適化できるようにする.
自動的にサーバ上の各情報をダウンロードし,表示す
直感的な理解を促すために,絵文字の利用を挙げた.
る .ユ ー ザ は Java ア プ リ ケ ー シ ョ ン に よ っ て 携 帯 電 話
しかし,ユーザすべてが使用した絵文字に対して同じ
端 末 上 で 計 測 情 報・指 導 結 果 を 閲 覧 す る こ と が で き る .
解釈や意味付けをしているとは限らない.絵文字は個
人によってその解釈や意味付けが大きく異なる.した
携帯電話端末
計測ユニット
できるようにすることが必須となる.また計測情報の
生体情報
表 示 に つ い て ,色 を 使 用 し た グ ラ フ の 提 供 を 提 案 し た .
負荷情報
閲覧用
Java
application
指導結果
がって,使用する絵文字をユーザ自身がカスタマイズ
しかしユーザによっては,提示情報をより分かりにく
無線LAN
く感じさせる場合もある.そのため,グラフスタイル
は複数用意し,ユーザ自身が一番理解しやすいグラフ
⑤計測データ,指導結果
のダウンロード
④Java applicationの
ダウンロード
① 計測データの
アップロード
スタイルを選択できるようにする.
カスタマイズによって操作回数が最小にするメリ
Internet
ットがある.例えば選択式のメニューにおいて,ユー
ザが過去に選択した頻度から項目配置の順序を動的に
③指導結果の
アップロード
WEBサーバ
変化させる.選択頻度の高い項目ほど上位に配置する
DB
ことで,使用頻度の高い項目ほど操作回数を最小にし
②計測データの閲覧
生体情報
閲覧用
Java
application
負荷情報
指導結果
スポーツドクター
てアクセスすることができる.しかし,これもユーザ
によっては,使用するごとに項目配置の順序が変化す
ることがかえって操作に混乱をもたらすことがある.
そこで,項目配置の順序は動的にすることも,配置順
序を設定して固定にすることもユーザの選択によって
図 1 システムの構成
2.2. 直 感 的 理 解 のための表 示
携帯電話端末はディスプレイ面積が極めて小さい.
変更できるようにする.
3. 実 装
運 動 の 対 象 を 30 分 間 の 負 荷 制 御 自 転 車 エ ル ゴ メ ー
そのため一度に表示できる情報量が限られる.特に文
タ運動として生体情報閲覧アプリケーションの開発を
字情報は情報量と読みやすさがトレードオフとなって
行った.負荷制御自転車エルゴメータは運動時に計測
しまう.本システムにおいて提示データはグラフ化さ
される心拍数・筋活動情報から疲労を推定し運動負荷
れ表示される.変化量をみるだけの線グラフでは,表
を制御する健康増進機器である.
現できる情報量がまだ限られるので,直感的にも分か
りやすくするために配色したグラフを提供する.
また,携帯電話端末の特徴的な機能である絵文字を
サ ー バ は , OS が Solaris 9, WEB Server が Apache
1.3.27 で あ る . サ ー バ 上 に は 運 動 時 に ウ ェ ラ ブ ル 計 測
ユ ニ ッ ト で 計 測 さ れ た 心 拍 数 ,γ A RV- M P F [5], 負 荷 制 御 値 ,
利用する.絵文字はキャリヤによって違いはあるが,
自 覚 的 運 動 強 度 で あ る Borg の RPE[6]の 各 デ ー タ が 保
顔やオブジェクトを1バイト文字に表したもので,さ
存されている.心拍数は自転車エルゴメータ付属の光
らに多彩な色づけがなされたものである.絵文字は
学式脈波センサを耳朶に取り付け,ペダルの 5 回転を
様々な意味をシンボリックな1文字で表すことができ,
1 フレームとして,フレーム毎に計測した.また,電
情 報 を 圧 縮 し て 表 示 で き る .ま た「 絵 」で あ る た め に ,
極 間 隔 10 mm の 4 線 ア ク テ ィ ブ ア レ ー 電 極 を 右 脚 外 側
文字情報よりも直感的にユーザに項目を理解させるこ
広筋に添付し,3 チャンネルの表面筋電図を 1 フレー
とができる.
ム 毎 に 計 測 し た . こ れ を 増 幅 度 60dB, 5.6Hz− 1.2kHz
の 帯 域 で 差 動 増 幅 し た 後 , サ ン プ リ ン グ 周 波 数 5kHz,
2.3. カスタマイズ性
量 子 化 ビ ッ ト 数 12bit で A/D 変 換 し , 1 フ レ ー ム 毎 に
リソースの限られた携帯電話端末において,より効
整 流 化 平 均 値( ARV:Averaged Rectified Value)と 平 均
果的な機能端末にするために,提示情報のカスタマイ
周 波 数 ( MPF: Mean Power Frequency) を 推 定 し た .
ズ性を高くする.またカスタマイズ性を付与すること
各 フ レ ー ム で の ARV の 算 出 式 は 次 式 と な る .
arv(m) =
1
te ( m ) − t s ( m )
password を 入 力 す る . 入 力 さ れ た ID と password か ら
te ( m)
∫
S (t )・dt
( 1)
SSL を 用 い て サ ー バ に 問 い 合 わ せ を 行 い , 個 人 認 証 を
t s ( m)
行う.認証が完了すると,閲覧できる運動データの履
た だ し ,S( t)は 筋 電 図 信 号 ,t s( m), t e( m)は そ れ
歴 一 覧 が 表 示 さ れ る( 図 2( a)).ユ ー ザ の 氏 名・年 齢 ・
ぞれ m 番目のフレームの開始時刻,終了時刻である.
性別と共に,運動の日時,運動の種類が表示される.
一 方 , 各 フ レ ー ム に お け る MPF は , 周 波 数 を f, 対 象
ユーザは一覧の中から閲覧したい履歴データを選択す
フ レ ー ム で の パ ワ ー ス ペ ク ト ラ ム を P( f; m) と し て
ると,メニュー画面が表示される.メニューには「心
以下のように与えられる.
拍 数 」,「 筋 疲 労 」,「 負 荷 制 御 値 」,「 主 観 」,「 指 導 」 の
項 目 が あ る . 筋 疲 労 は γ A RV- M P F を 表 示 す る . 負 荷 制 御
∞
mpf (m) =
∫
f・P( f ; m)df
( 2)
0
∞
∫
値は自転車エルゴメータの負荷値を表示する.主観は
P( f ; m)df
0
RPE を 表 示 す る .指 導 は ス ポ ー ツ ド ク タ ー に よ る 指 導
結果が表示される.ユーザはこの各項目から,閲覧し
たいデータの種類を選択する.
こ こ で は さ ら に , 24 フ レ ー ム を 1 ブ ロ ッ ク と し , 1 フ
レ ー ム ず つ シ フ ト し な が ら ,ブ ロ ッ ク 毎 に ARV と MPF
の 相 関 関 数 γ A RV- M P F を 筋 疲 労 指 標 し て 算 出 し た .
負荷制御値は自転車エルゴメータのペダルにかか
る実際の負荷値で,これも 1 フレーム毎に記録した.
そ し て RPE は 1 分 毎 に 調 査・記 録 し た .こ れ ら の 各 デ
ータは通信コストを最小限にするため1つのファイル
(a) メニュー
(b) 心拍数
(c) 筋疲労
(d) 負荷制御値
(e) RPE
(f) 指導結果
に ア ー カ イ ブ さ れ 保 存 さ れ て い る .デ ー タ サ イ ズ は 30
分 の 自 転 車 エ ル ゴ メ ー タ 運 動 に 対 し て ,約 15 kByte と
なった.一方,計測結果に対するスポーツドクターに
よる指導結果もテキストファイルとして保存されてい
る.テキストファイルのデータサイズは指導内容にも
よ る が , 数 kByte で あ る .
携 帯 電 話 端 末 は NTT Docomo 社 の mova 505iS シ リ ー
ズ 環 境 を 対 象 と し た .デ ー タ 通 信 速 度 は 28.8 kbps で あ
図 2 Exercise Information Viewer
り , 30kByte ま で の Java ア プ リ ケ ー シ ョ ン を 実 行 で き
る . NTT Docomo 社 の 携 帯 電 話 端 末 に 提 供 さ れ る Java
心 拍 数 は 図 2( b)の よ う に 閲 覧 で き る .グ ラ フ は 横
環 境 は , 通 称 「 i ア プ リ 」 と 呼 ば れ , Sun Microsystems
軸が時間,縦軸が心拍数である.グラフは線グラフだ
社により開発された家電製品・組み込みデバイス向け
けでなく,色付けを行い直感的に理解できるようにし
Java プ ラ ッ ト フ ォ ー ム J2ME CLDC と , ユ ー ザ イ ン タ
た .安 静 時 が 青 で あ り ,心 拍 数 が 上 が る に つ れ て 水 色 ,
ー フ ェ ー ス や HTTP 通 信 な ど 携 帯 電 話 端 末 用 に 作 成 さ
緑 , 黄 色 , 赤 と 変 化 す る . 筋 活 動 指 標 で あ る γ A RV- M P F
れ た i ア プ リ API に よ り 構 成 さ れ て い る . ま た デ ー タ
を 図 2( c)の よ う に 閲 覧 で き る .タ イ プ に よ っ て も 差
の 保 存 領 域 が 用 意 さ れ て お り , そ の 容 量 は 200kByte
異 が あ る が ,一 般 的 に は γ A RV- M P F が − 1 に 近 づ く ほ ど 筋
である.
肉が疲労していると言われる.−1 に近い部分ほどグ
開 発 し た 生 体 情 報 閲 覧 i ア プ リ は , Exercise
ラフの背景色濃度を濃くすることで,筋疲労の状態を
Information Viewer( EIV) と 名 付 け た . EIV の デ ー タ
色 の 濃 度 で 表 現 し た .運 動 時 に 与 え た 負 荷 値 は 図 2( d)
サ イ ズ は 20 kByte で あ る .EIV は HTTP と SSL を 用 い
のように閲覧できる.負荷制御自転車エルゴメータの
て WEB サ ー バ 上 か ら 計 測 デ ー タ の ア ー カ イ ブ さ れ た
ような運動では負荷が常に変動するために,負荷の上
ファイル,及びスポーツドクターの指導結果が記載さ
昇 時 と 減 少 時 に つ い て 色 分 け を 行 っ た .RPE は 棒 グ ラ
れたテキストファイルをダウンロードし,ユーザに提
フ の 形 で 閲 覧 で き る( 図 2( e)).最 適 な 運 動 強 度 と い
示する.
わ れ る 無 酸 素 性 代 謝 閾 値 ( AT: Anaerobic Threshold)
の 部 分 ( RPE: 12− 14) [7]を 色 で 区 分 け し , 比 較 し や
4. 結 果
すいようにした.指導結果はテキストとして表示され
EIV を 起 動 す る と , ま ず 認 証 画 面 が 表 示 さ れ る . ユ
る . 図 2( f) は 心 拍 数 ,筋 疲 労 , 負 荷 制 御 値 ,RPE か
ー ザ は あ ら か じ め サ ー バ に 登 録 し て あ る ID と
らスポーツドクターが総合的に診断した結果である.
個人差解消に一定の効果があったと考えられるであろ
う . し か し , ま だ γ A RV- M P F が 分 か り に く か っ た と い う
意見があった.データの提示方法についてはまだまだ
改良の余地があると考えられる.また,本研究ではア
ンケート調査のみで評価を行っており,カスタマイズ
による有用性を定量的に評価していない.今後は階層
化 意 志 決 定 法 ( AHP) に よ り ユ ー ザ の 好 み と カ ス タ マ
(a) 色と線
(b) 線
(c) 他の種類との同時表示
図 3 グラフスタイルのカスタマイズ
使用されている絵文字は,ユーザ毎に自由にカスタ
イズ結果を比較するなど,評価手法を検討する必要が
あるだろう.
6. ま と め
マイズすることができる.また,データの種別を選択
携帯電話端末はその操作性や機能性の面で健康増
す る メ ニ ュ ー 画 面 に お い て( 図 2( a)),各 項 目 の 配 置
進を目的とした端末として最適であり,携帯電話端末
順序はカスタマイズされる.項目順序は選択回数の多
を 用 い て ユ ー ザ は「 い つ で も 」,
「 ど こ で も 」,
「簡単に」
い順に動的に配置され,ユーザが使用する頻度の高い
運動時の自身の健康状態を確認することができた.ま
項目ほど,少ない操作で高速にアクセスできる.もち
たカスタマイズ機能を加えることで,ユーザによる提
ろんこの項目を特定の順序で固定することも可能であ
示情報の理解差を解消できる環境を提供した.これに
る.グラフスタイルも図 3 のようにカスタマイズする
よって健康増進サービスの利便性がより向上した.
ことができる.様々なグラフスタイルを提供し,それ
しかし,カスタマイズできる機能がまだ限定的であ
を選択できる.また他の種類のデータと同時表示して
る.特に計測データの表示方法について,より柔軟性
比較することもできる.図 3 は心拍数の表示について
の高いカスタマイズを可能にすることで,より多様な
選ぶことのできるグラフスタイルの例である.図 3
ユーザがより効果的に情報を理解できるインタフェー
(c)は負荷制御値と同時表示したもので,色で心拍
スを目指したい.
数を,線で負荷値を提示している.
文
5. 考 察
心 身 共 に 健 常 な 20 代 の 男 性 5 名 , 女 性 1 名 に 対 し
て,本システムを使用してもらった.運動対象を 1 日
1 回 30 分 間 の 負 荷 制 御 自 転 車 エ ル ゴ メ ー タ と し ,運 動
後 EIV に よ っ て 運 動 結 果 を 閲 覧 し て も ら っ た .こ れ を
1 人につき 6 日間計 6 回行った.そして全ての実験終
了後,被験者に対しアンケート調査を行い,感想を聞
いた.
「運動時の自身の体の状態を確認する上で,これは
役 立 っ た か 」の 問 い に 6 人 全 員 が 役 立 っ た と 回 答 し た .
被験者は自身の携帯電話端末において,自由な時間に
EIV を 体 験 し て も ら っ て お り , 誰 で も い つ で も 簡 単 に
運動時の自身の健康状態を確認できたといえる.
操作性については,6 人全員が「使いやすい」と回
答した.しかし被験者の中には「若者には使いやすい
が,お年寄りとなるとなんともいえない」という意見
がなされた.今回試用した被験者は,初めてでも難な
く使いこなすことができたといえる.しかし被験者は
いずれも若い世代であり,実際の場面を想定すると中
高齢者に対する評価も必要であると考えられる.
提示された情報については理解できたかという質
問に対しては,6 人中 5 人が「理解できた」と回答し
た.カスタマイズ性の付与によって,提示情報理解の
献
[1] T. Kiryu, I. Sasaki, K. Shibai, and K. Tanaka,
"Providing appropriate exercise levels for the
elderly," IEEE Eng. Med. Biol. Mag., vol. 20, no. 6,
pp. 116-124, 2001.
[2] Jinwook Choi, et al., “MobileNurce: hand-held
information system for point of nursing care,”
Computer Methods and Programs in Biomedicine
(2004) 74, pp. 245-254, 2004.
[3] 田 村 直 喜 , 木 竜 徹 , 王 質 輝 , "ウ ェ ア ラ ブ ル 生 体
信号計測制御ユニットを用いた自転車エルゴメ
ー タ の 負 荷 制 御 法 ," 第 7 回 日 本 電 気 生 理 運 動 学
会 講 演 論 文 集 , 2004.
[4] Z. Wang and T. Kiryu, "Development of evaluation
utilities for the Internet-based wellness cycle
ergometer
system,"
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EMBS
Asian-Pacific Conf. on Biomed. Eng., Keihanna,
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[5] 佐 々 木 績 , 木 竜 徹 , 芝 井 桂 介 , 田 中 喜 代 次 , 丸
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methods," Med. Sci. Sports Exercise, vol. 5, pp.
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下多段階漸増負荷による自転車運動中の自覚的
運 動 強 度 を 利 用 し た 全 身 持 久 力 体 力 測 定 法:一 般
若 年 男 性 の 検 討 , 体 育 学 研 究 , vol.43 , no.2 ,
pp.102-116, 1998.