JCM_MN_RoI_ver01.0 1 二国間クレジット制度 (JCM) 実施規則 「日

※本資料は、モンゴルにおける二国間クレジット制度文書「実施規則 ver01.0(Rules of Implementation ver01.0)」に基づき OECC が独
自に仮訳したものです
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二国間クレジット制度 (JCM)
実施規則
「日・モンゴル低炭素発展パートナーシップ」に述べられている JCM 合同委員会は、ここ
に JCM 実施規則を以下のように定める。
A.
1.
JCM の目的
JCM には以下の目的がある:
(a)
優れた低炭素技術、製品、システム、サービス及びインフラの普及や緩
和行動の実施を加速し、途上国の持続可能な開発に貢献すること;
(b)
途上国で実施される緩和行動を通じた、先進国からの温室効果ガス (以
下「GHG」という) 排出削減又は吸収への貢献を定量的に適切に評価し、
それらの排出削減又は吸収を活用して関係諸国の排出削減目標を達成す
ること;
(c)
地球規模での排出削減又は吸収行動を促進することにより、国連気候変
動枠組条約 (UNFCCC) の究極的な目的の達成に貢献すること。
B.
2.
定義
GHG とは、二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、一酸化二窒素 (N2O)、ハイドロフ
ルオロカーボン (HFCs)、パーフルオロカーボン (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6) 及
び三フッ化窒素 (NF3)の気体である。
3.
クレジットは、JCM の下での GHG 排出削減又は吸収プロジェクト活動 (以下
「JCM プロジェクト」という) の実施でのプロジェクト参加者の貢献によって達
成される GHG 排出削減又は吸収量に基づいて発行される。
4.
JCM は取引を行わないクレジット制度としてその運用を開始する。日本側とモン
ゴル側 (以下「両国」という) は JCM の実施状況を踏まえ、取引可能なクレジッ
ト制度への移行のための協議を継続し、可能な限り早い段階で結論を得る。
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C.
合同委員会
5.
両国は、両国の代表者からなる合同委員会を設置する。
6.
合同委員会は、JCM の実施に必要な以下を含む (ただし必ずしもこれらに限定さ
れない) 実施規則及び他の規則とガイドラインを策定又は改定することができ
る:
(a)
合同委員会運営規則;
(b)
方法論開発のためのガイドライン;
(c)
方法論;
(d)
第三者機関指定のためのガイドライン;
(e)
妥当性確認のためのガイドライン;
(f)
モニタリングのためのガイドライン;
(g)
GHG 排出削減又は吸収の検証のためのガイドライン;
(h)
登録簿共通仕様;
(i)
プロジェクト設計書 (以下「PDD」という)、JCM プロジェクトの登録申
請書、モニタリング報告書、排出削減又は吸収の検証申請書等のための
用紙
7.
合同委員会は第三者機関を指定する。
8.
合同委員会は、プロジェクト参加者が提出した JCM プロジェクトの登録申請書に
基づいて、第三者機関により妥当性確認が実施された JCM プロジェクトを登録す
る。
9.
合同委員会は、プロジェクト参加者が提出した各国へのクレジット発行通知申請
に基づいて、第三者機関により検証されたクレジットの発行を両国に通知する。
10.
合同委員会は JCM の実施状況に関する報告書を作成し、必要に応じて JCM の運
営及び管理に関する事項について検討する。
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11.
合同委員会の会議に際して、両国は JCM の関連する施策についての政策協議をお
こなう。
12.
合同委員会は JCM の実施のために事務局を設置する。
D.
13.
各国
各国は、合同委員会が策定した規則及びガイドラインに基づき、及び/又は JCM
実施のための各国の関連する国内法令に従って:
(a)
方法論案を準備し、それらを合同委員会に提出し;
(b)
合同委員会で策定された、登録簿共通仕様に沿った登録簿を設置・運用
し;
(c)
合同委員会によるクレジット発行通知に基づき (参加者間のクレジット
配分を含む)、通知されたクレジットの量を登録簿に発行する。
14.
各国は、JCM の下でのクレジットの発行について合同委員会に迅速に通知する。
15.
各国は、JCM の実施における透明性を確保するために必要な措置を講じる。
16.
ダブルカウントを回避するため、いずれの側も、JCM の下で登録された緩和事業
を他の国際的な気候緩和メカニズムの目的のためには使用しない。
17.
日本側は、JCM の下でのプロジェクトの促進スキームについて、そのスキームの
開始後速やかに、モンゴル政府に通知する。
E.
18.
第三者機関
合同委員会により指定される第三者機関は:
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(a)
プロジェクト参加者の要請に基づいて、プロジェクト参加者が作成した
PDD に記載されているプロジェクトの妥当性を、合同委員会が策定した
妥当性確認のためのガイドラインに従って確認し、その妥当性確認結果
をプロジェクト参加者に通知し;
(b)
プロジェクト参加者の要請に基づいて、プロジェクト参加者が作成した
モニタリング報告書に記載されている JCM プロジェクトによって達成
された GHG 排出削減又は吸収量を、合同委員会が策定した GHG 排出削
減又は吸収の検証のためのガイドラインに従って検証し、その検証結果
を検証報告書に記録し、その報告書をプロジェクト参加者に送付する。
F.
19.
プロジェクト参加者
プロジェクト参加者は:
(a)
方法論案を作成し、承認のために合同委員会にその方法論案を提出し;
(b)
PDD 案を作成し、妥当性確認のために第三者機関にその PDD 案を提出
するとともに、合同委員会に通知し;
(c)
第三者機関により妥当性確認が実施された PDD を、プロジェクト登録
のために合同委員会に提出し;
(d)
PDD に従って JCM プロジェクトを実施し、モニタリングを行い;
(e)
モニタリング報告書を作成し、検証のためにその報告書を第三者機関に
送付し;
(f)
第三者機関が作成した検証報告書を合同委員会に提出し、各国への JCM
の下でのクレジット発行通知を申請する。
G. 方法論の策定
20.
各国又はプロジェクト参加者は方法論案を作成し、合同委員会に提出する。提出
された方法論案は、完全性が確認された後、パブリックコメントが実施される。
21.
合同委員会は、とりわけ受け取ったコメントを考慮に入れて、方法論案の承認又
は却下を決定し、適切に各国又はプロジェクト参加者に結果を通知する。合同委
員会は、承認された方法論の関連情報をウェブサイトを通して公開する。
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H. 第三者機関の指定
22.
申請者により提出される第三者機関指定申請を受けて、合同委員会は第三者機関
指定ガイドラインに従って第三者機関を指定し、指定された第三者機関の関連情
報をウェブサイトを通して公表する。
23.
不正行為、違法行為又は不適格が判明した場合は、合同委員会はその第三者機関
の指定を停止又は辞退することができる。
I.
24.
妥当性確認
妥当性確認とは、合同委員会が策定した妥当性確認ガイドラインに対して、提案
された JCM プロジェクトをその PDD に基づいて第三者機関が独自評価するプロ
セスである。
25.
プロジェクト参加者は用紙への記入により PDD を策定し、提案された JCM プロ
ジェクトの妥当性確認を第三者機関に依頼する。
26.
第三者機関は、合同委員会が策定した妥当性確認のためのガイドラインに従って、
PDD に記載されている提案された JCM プロジェクトの妥当性確認を実施し、そ
の結果をプロジェクト参加者に通知する。
登録
J.
27.
登録とは、妥当性が確認されたプロジェクトが、JCM プロジェクトとして合同委
員会に正式に認められることである。
28.
プロジェクト参加者は、第三者機関により妥当性確認が実施された PDD を合同
委員会に提出し、登録を申請する。
29.
プロジェクト参加者からの登録申請を受けて、合同委員会はプロジェクトを登録
し、各国に登録を通知し、その JCM プロジェクトの関連情報をウェブサイトを通
して公表する。
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K. モニタリング
30.
プロジェクト参加者は、JCM プロジェクトを実施し、PDD に基づいて JCM プロ
ジェクトによる GHG 排出削減又は吸収をモニタリングする。
L.
31.
検証
検証とは、検証期間における第三者機関による登録された JCM プロジェクトの、
モニタリングされた GHG 排出削減又は吸収の、定期的な独立したレビュー及び
事後的な確定のことである。
32.
プロジェクト参加者はモニタリング報告書を作成し、第三者機関に検証を依頼す
る。
33.
第三者機関は、合同委員会が策定した GHG 排出削減又は吸収の検証のためのガ
イドラインに従って、プロジェクト参加者が提出したモニタリング報告書に基づ
いて GHG 排出削減又は吸収量を検証し、検証報告書を作成し、その報告書を検
証を依頼したプロジェクト参加者に送付する。
M. クレジットの発行
34.
各国はクレジットの記録及び使用のために登録簿を設置する。
35.
JCM プロジェクトのプロジェクト参加者は、参加者間でクレジット配分を協議し、
決定する。
36.
プロジェクト参加者は、プロジェクト参加者間で決定したクレジット配分と検証
報告書に基づいて、登録簿内のそれぞれの口座にクレジットを発行するように各
国へ通知することを合同委員会に申請する。
37.
合同委員会は、プロジェクト参加者間でのクレジット配分を含む申請に関する完
全性確認を実施し、その結果を各国に通知する。
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38.
合同委員会はクレジット発行の関連情報をウェブサイトを通して公表する。
N.
39.
クレジットの使用
各国が発行したクレジットは、両国の排出削減目標を達成するために使用するこ
とができる。
40.
各国はクレジットの発行及び使用状況を確認し、第 16 項に記載されているクレ
ジットのダブルカウントがないことを確保する。
O. その他
41.
2013 年 1 月 1 日以降に運営が開始されたプロジェクトは、JCM プロジェクトとし
て検討の対象となる。
42.
JCM は UNFCCC の下での新たな国際的な枠組が効力を生じ得る時点までの期間
を対象とする。両国は、とりわけ、国連の下での気候変動に関する交渉の進展を
踏まえつつ、あり得る JCM の延長につき検討し、その期限までに結論を得る。
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