ICD-10 と ICD-O-3 ICD-10とは *腫瘍に限らず 全ての疾病、傷害、死因の分類 国際疾病分類-腫瘍学(ICD-O) International Classification of Deseases for Oncology ICD-O-3とは *腫瘍(新生物)のためにつくられた分類 (ICD-10の関連分類) *腫瘍の局在(部位)と 形態診断(病理組織診断)の組み合わせで 用いる。 国立がん研究センター がん対策情報センター がん登録センター 1 ICD-O-3の構成 国際疾病分類 腫瘍学 第3版(ICD-O-3) International Classification of Diseases for Oncology 3rd Edition 目次 まえがき 使用上の注意(日本版のみの項目) 謝辞 歴史 番号順リスト(局在、形態) 索引(日本語、英語) 付録 2000年 WHOが改訂〈Revision〉 (2003年に日本語版出版) 形態コードの改訂 主に血液腫瘍(特に骨髄性白血病) 2012年 WHOが改正〈Update〉 (2014年に日本語版(2012年改正版)を出版 一般向けとしては国立がん研究センター(NCC)監修版) 形態コードの改訂 主に血液腫瘍(リンパ腫等) 院内がん登録では2012年版を2015年症例から適用 2 ICD-Oのコード構造 3 局在コードの構造 C## . # 局在コード(T分類・4桁コード) C##.# 臓器・組織 詳細部位 形態コード(M分類・6桁コード) (M-)####/## がん登録では、 完全なコード構造は 局在コード+形態コードの10桁 C##.# ####/## 〈例〉 C16.0~.9 胃 原発部位を表現する C16.0 C16.1 C16.2 C16.3 T/M分類という表現は、病期分類と混同しやすく、使用しないこと 形態コードの「M-」という表現も、がん登録では使用しない 4 (2012年版 p.79) 噴門 胃底部 胃体部 胃前庭部 5 形態コード(第1~4桁目) 〈組織型〉 形態コード全体の構造 ####/## (M-)####/# # 4桁の数字で、特定された組織型を示す 多くの場合、 組織/細胞型 形態コード 性状 上3桁で 大きな分類を 下1桁で より詳細な組織型を表現 分化度など 〈例〉 8010~8046 上皮性新生物 8011 上皮腫 8050~8084 扁平上皮性腫瘍 8070 扁平上皮癌 8076 扁平上皮癌、微小浸潤性 性状コード 分化度コード [形態コード p.117~] [性状 p.110~] [分化度 p.112~] 6 形態コード(第5桁目) 〈性状コード〉 コード /0 /1 性状を表す表現 良性・悪性の別不詳 境界悪性 低悪性度 /3 上皮内 非浸潤性 非侵襲性 悪性、原発部位 /6* 悪性、転移(続発)部位 /9* 悪性、原発・転移の別不詳 形態コード(第6桁目) 〈異型度・分化度〉 (p.51) ★固形がん などの場合 (英語) Benign 良性 上皮内がん /2 (p.47) 7 1 分化度 高分化型 異型度 Ⅰ 分化型、NOS 2 異型度 Ⅱ 中等度分化型 3 異型度 Ⅲ 低分化型 4 異型度 Ⅳ 退形成 6桁目 Uncertain whether benign or malignant Borderline malignancy Low malignancy potential Carcinoma in situ Intraepithelial Noninfiltrating Noninvasive Malignant, primary site Malignant, metastatic (secondary) site Malignant, 9 uncertain whether primary or metastatic site * がん登録では /6, /9は使用しない 異型度 中分化型 中程度の分化 未分化型 (英語) Well differentiated Differentiated, NOS Moderately differentiated Moderately well differentiated Intermediate differentiation p.oorly differentiated Undifferentiated Anaplastic 異型度/分化度が未決定、未記載、または適用外 9 8 形態コード(第6桁目) 〈免疫学的表現型〉 ★リンパ腫・白血病(いわゆる血液腫瘍)の場合 6桁目 5 6 リンパ系細胞の種類 T細胞 B細胞 前B細胞 B前駆細胞 7 ヌル細胞 8 NK細胞 9 非T・非B細胞 ナチュラルキラー細胞 細胞型が未決定、未記載、 または適用外(リンパ球系以外) (p.52) (英語) 細胞型から形態コードを決定する場合 診療記録を元に決定すること コードに含まれる情報から、6桁目を決定しない T cell 慢性リンパ性白血病 → 索引で引くと 9823/3 → 番号順リストを見ると、「B細胞性」 → 9823/36 情報がないのにB細胞と決めつけない! → 9823/39 B cell p.re B cell Precursor B cell Null cell Non-T/Non-B cell 9823/3 NK cell Natural killer cell B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ 球性リンパ腫(M-9670/3も参照) 慢性リンパ球性白血病、B細胞型 (BCLLのすべての変異体を含む※2) 慢性リンパ球性白血病 慢性リンパ性白血病 10 11 性状コード「/2」の6桁目の扱い 組織型により6桁目が決定されるもの ~2015年症例 組織型に分化度を含んだ形態コード 性状コード「/2」の場合は、 分化度等を表す6桁目コードは、 「適用外」に該当するので、「9」をつける。 組織型 (英語) Carcinoma, undifferentiated 2016年症例~ 性状コード「/2」でも、分化度等を表す情報があれば、 6桁目に「1、2、3、4」を用いてよい。 ★ 6桁目(分化度)は、悪性のものに適応するというルール 組織型 (日本語) 形態コード 2016年以降の 院内がん登録ルール ~2015年症例 8020/34 8020/39 Follicular 高分化型 adenocarcinoma, 濾胞腺癌 well differentiated 8331/31 8331/39 Liposarcoma, 高分化型 well differentiated 脂肪肉腫 8851/31 8851/39 未分化癌 ※ (未分化型:6桁目)+未分化癌のように重複する表現となるため 「/2 上皮内」 と 「/3 悪性」 という分類だったので、 組織型の表現に含まれる分化度等の情報によって、 形態コードの頭4桁が決定される組織型については (~2015) 「/2」に対して6桁目は「9」 → 上皮内であっても、分化度が表現されるようになったので、 → 表現に含まれる分化度は6桁目には反映させない (2016~) 「/2」の場合も「9」以外OK 組織学的Gradeと6桁目の対応表 6桁目の部位特異的決定基準 自施設で用いられているGradeで判断する 腎実質癌は、 Fuhrman Nuclear Gradeの4段階分類 乳腺/前立腺腫瘍は、特殊な対応をする 2段階 表 現 Low grade High grade 3段階 表 現 Low grade Intermediate grade High grade 4段階 表 現 GradeⅠ / Well differentiated GradeⅡ / Moderately differentiated GradeⅢ / Poorly differentiated GradeⅣ / Undifferentiated 6桁目 乳 腺 /前立腺 2 4 1 3 6桁目 乳 腺 /前立腺 2 3 4 1 2 3 6桁目 乳 腺 /前立腺 1 2 3 4 1 2 3 4 軟部組織は、FNCCLCC分類 軟部組織以外から発生した肉腫は、 記載されているGradeをそのまま用いる 14 完全なコードの構造 15 番号順リストの配列例 C##.# ####/# # 第一選択用語(見出し語) 同義語 同等語 〈例〉 肺上葉の低分化型扁平上皮癌 C16.0 噴門,NOS 胃噴門 噴門食道接合部 食道胃接合部 胃食道接合部 8460/3 乳頭状漿液性のう胞腺癌 ←第一選択用語 乳頭状漿液性腺癌 ←同義語(同じ意味) 微小乳頭状漿液性癌 ←同等語 =10桁コード (poorly differentiated squamous cell carcinoma, upper lobe of lung) C34.1 肺 上葉 8070/3 3 扁平上皮 原発悪性 低分化 16 ←第一選択用語(太字) ←同義語(同じ意味) ←同等語(別のコードを振るほど違わない) ←同等語の同義語 ←同等語の同義語 17 NOS(Not Otherwise Specified)の意味 索引の形式 「他(のコード)に特定されていない」という意味 修飾語を伴っていない場合 広い(一般的な)意味で用いられている場合 その分類に現れていない修飾語を伴っている場合 英語索引 p.336左 Adenocarcinoma(see also carcinoma) 腺癌(癌腫も参照) NOS 8140/3 NOS 転移性 8140/6 metastatic, NOS NOS 肝内胆管原発の場合 8160/3 NOS, 《C22.1》 好酸性 8280/3 acidophil 腺房 8550/3 acinar ・・・ ・・・ ・・・ 中略 ・・・ 8570/3 with squamous metaplasia 日本語版索引 《局在用語索引》 《形態用語索引》の二つに分かれている ※ ヘッダーの違いで確認できる、 英語版索引 局在・形態が一体になった構成となっている ※ 局在用語か形態用語か分からなくても、 索引から引くことができる 扁平上皮化生を伴うもの 18 日本語索引 《局在用語索引》 19 日本語索引 《形態用語索引》 形態用語索引 p.260右 局在用語索引 p.207 胃: ・NOS ・リンパ節 ・~後壁,NOS(C16.0-C16.4 移行上皮癌 ・ NOS ・ 上皮内 ・ 肉腫様 ・ 乳頭状(C67. _) ・ 乳頭状,非浸潤性(C67._) ・ 微小乳頭状(C67._) ・ 紡錘形細胞 C16.9 C77.2 C16.8 に分類されないもの) ・~小弯,NOS(C16.0-C16.4 に分類されないもの) C16.5 ・食道~移行部 C16.0 ・・・ 中略 ・・・ ・境界部病巣(73ページの注も参照) C16.8 8120/3 8120/2 8122/3 8130/3 8130/2 8131/3 8122/3 20 英文索引利用の注意点 英文索引 (アルファベット順) ALPHABETIC INDEX p.335 ○○, ××という記述は、 「××という○○」を意味している A C76.2 Abdomen NOS C47.4 autonomic nervous system C49.4 C49.4 C47.4 C44.5 C49.4 connective tissue muscle peripheral nerve skin subcutaneous tissue 腹部 NOS 自律神経系 急性骨髄性白血病に伴うものという異常骨髄好酸球 → 異常骨髄好酸球を伴う急性骨髄性白血病 「see SNOMED」 結合組織 筋 末梢神経 皮膚 皮下組織 M-8822/1 M-8822/1 Abdominal desmoid Abdominal fibromatosis 腹部デスモイド 腹部線維腫症 C49.4 C15.2 C77.2 C49.4 Abdominal aorta esophagus lymph node vena cava 腹部の 大動脈 食道 リンパ節 大静脈 21 SNOMED(病理学的な分類)を参照すること (腫瘍だけでなく、炎症や変性などもコード化されている) M-9871/3 M-9871/3 M-8075/3 M------M------22 Abnormal marrow eosinophils, acute myeloid leukemia with (includes all variants) Abnormal marrow eosinophils, acute myelomonocytic leukemia with (includesall variants) Acantholytic squamous cell carcinoma Acanthoma, clear cell (see SNOMED) Acanthosis nigricans (see SNOMED) 23 付録 ICD-O-2からO-3の時に変更 付録 O-3 2012年改正版で変更 付録1 ICD-O-3で新しく設けられたコード p.471~p.485 付録7 新しく設けられたコード p.511~p.513 付録2 新しい形態用語及び類義語 p.486~p.499 付録8 新しい形態用語及び類義語 p.514~p.519 付録3 形態コードが変更された用語 p.500~p.504 付録9 形態コードが変更された用語 p.520 付録4 腫瘍様病変から 新生物に変更された用語 p.505 付録5 ICD-O-3から削除された用語 p.506~p.507 付録6 性状コードが変更された用語 p.508~p.510 付録10 削除された用語 p.521 付録11 性状コードが変更された用語 p.522 第一選択用語から 同義語に変更された用語 p.523 付録12 25 24 上皮内癌 及び 診断根拠が病理組織学的でない(顕微鏡的確認がない)時に 用いてよい形態コード (日本のがん登録でのルール) CINⅢ (p.59) 子宮頸部の異型度Ⅲ(CINⅢ) 子宮頸部上皮内腫瘍、 異型度Ⅲ 形態コード 上皮内癌と高度異形成の両方を含む 膣(VAINⅢ) 外陰(VINⅢ) 肛門(AINⅢ) 異型度Ⅲの形態コードは 8077/2 → 上皮内癌 (/2)として扱う CIN Ⅲの記載のない子宮頸部の高度異形成は、 SNOMEDに従って 他の部位の高度異形成と同様にコード → 性状コード /1 形態コード 8000 新生物・腫瘍,NOS 9140 カポジ肉腫 膵内分泌腫瘍など 9350 頭蓋咽頭腫 8154 膵内分泌・外分泌細胞 混合腫瘍 9380 グリオーマ 8160/3 胆管細胞癌* 9384/1 上衣下巨細胞性 アストロサイトーマ 8170 肝細胞癌 9500 神経芽細胞腫 8270‐8281 下垂体腫瘍 9510 網膜芽細胞腫 8720 黒色腫 9530-9539 髄膜腫 8800 肉腫,NOS 9732 多発性骨髄腫 8960 腎芽腫 9761 ワルデンストレーム マクログロブリン血症 9100 絨毛癌 9800 (インスリノーマ・・・ガストリノーマ) (嫌色素性腺腫・・・好酸性腺腫など) 削除 * 胆管細胞癌は日本独自ルール(それ以外はIARCチェックルールに準拠) 9050 9650 中皮腫 26 組織診断名 8150‐8153 追加 なども同様 組織診断名 白血病,NOS ホジキンリンパ腫 27
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