向 ぐる技術動 - 日本アジアグループ株式会社

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圃氣郭論
I S S N 0285-5 60
2013
ELECTRICAL REVIE
ホームページ http://
特集
.eonet.ne.jp/、ehyo
送電設備をめぐる技術動向
メガソーラ及拡大の,と決すべき課
天,、、ガスの現状、そして今後の展
、
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想一卜介
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用'装の新たな故判定方法の
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力改革こついて思、うこと
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C02排出を実ゼロ以下にできる1
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一、
解説
メガソーラ普及拡大の意義と解決すべき課題
賢
JAG国際エナジー株式会社
一株の太陽光発電事業について
日本アジアグループ嫁の太陽光発電事業は,2010
本
^
郎*
1
1.日本アジアグループ妹yJAG国際エナジ
橋
星が浦ソーラーウェイ<1.5MW>
.稼働中土、___
音別ソーラーウェイ<0.7MW>
2013年3月末¥、_ー_
現在
中札内ソーラーウェイ<1.5MW>
1
8
年3月に運転を開始した宮崎ソーラーウェイにさか
MW>
のぼる。宮崎ソーラーウェイは,宮崎県がエネルギ
一問題や環境問題に対応するために進めていた「み
やざきソーラーフロンティア構想」に基いて2008年
に行ったメガソーラ開発の公募によるもので,リ
二.
白石ソーラーウェイ<2.OM、Y>
粋触ソーラーウェイ<2.OM、V>
アモータカー実験線を活用し,約3.9kmの高架上に
パネル12,962枚を設置した世界でも類を見ない細長
い.出力約1,050kWのメガソーラである。
その後,東日本大震災の発生により,東京電力脚
管内における20Ⅱ年夏の電力需給逼迫が見込まれた
ことから,電力需給改善ヘの貢献の助として,群
馬県館林市に0.5NNの太陽光発電所を計画からわ
ずか4ケ月という短期間で建設した実結がある。
さらに,2012年7 刀からスタートした「再生可能
エネルギーの固定価格買取制度」(以下,「全量買取
制度」)をきっかけに,・日本アジアグループは,太
坂出ソーラーウェイⅡ<2.OMW>
1、、.1二
鹿屋ソーラーウ1イ<0.5Ⅵ圦>
日本アジアグルーフ太陽光発電事業の実績
(国内・売電)事業
陽光事業を手がけるJAG国際エナジー株を設立.
塩田跡地を活用した香川県における初のメガソーラ
「坂出ソーラーウェイ」(出力:約 2N則)を皮切りに,
今年2月には北海道において,3件を稼動させた。
現在は副7.25MWが稼働中で,着手済みの案件の合
計は12.9N則に上る(図 1)。
ミュニティ」の実現に耳又組んでいる。
2.太陽光発電の意義一将来性
2.1 再生可能エネルギー供給量をめぐる状況
資源エネルギー庁によると,日本における再生可
また,日本アジアグループは,東口本大震災で得
能エネルギーは,2003年に,電力会社に一定量の再
た教訓とグループの持つ防災技術の強みを生かした
生可能エネルギーの活用を義務づけるRPS制度が
「災害に強い都市基盤」を開発コンセプトのーつに
導入されたことで,再生可能エネルギーによる電力
掲げ,仙台市田子西地区において.太陽光発電や工
供給量は倍増,さらに,20佃年には住宅用太陽光の
ネルギーマネジメントシステムを導入した.「スマ
分野が余剰買取制度の導入により,同制度導入後3
トヴィレジ街区」を2013年5月にオープンさせた。
年問で導入量は倍増した。
このように,日本アジアグループは,低炭素で安全
しかし,水力発電を除く再生可能エネルギーが日
安心な人と地球に優しいまちづくり「グリーン・コ
本の電源構成に占める割合は,20]0年度でわずか12
%にとどまっており,再生可能エネルギーのさらな
*はしもと
けんいちろう技術本部長
JAGエナジーア七ツトマネジメント株式会社
取締役
IE 会〔 i平言兪
2013.8
る普及には.高コストが課題となっていた。一方で,
再生可能エネルギーには.まだまだ潜在力があるこ
とから.2012年7月に固定価格買取制度を導入し,
表1
一般電気事業者の排出係数
(実排出係数kg・CO ・kwh)
これをきっかけに大幅拡大の道筋をつけることとな
事業者名
20Ⅱ年度
0353
0.485
0.429
0.547
0375
0.464
0.473
0.518
0.423
0641
0311
0.450
0.728
0.657
運営してきた。これに対して,再生可能エネルギー
は,出力が安定しないゆえ,周波数維持のための調
北海道電力
東北電力
東京電力
中部電力
北陸電力
関西電力
中国電力
四国電力
九州電力
沖縄電力
2012年度
0326
0.552
0385
0.525
0935
0932
整電源が必要になること,電力会社の送配電系統に
出所)環境省
イコ、、0
2.2 太陽光発電の供給力ヘの貢献の可能性
電気事業法により.供給義務を課せられているー
般電気事業者にとっては,ベース電源および調整用
電源として,水力.火力,原子力の電源を建設し,
いわゆる「逆向き」の潮流を発生させる
ことから,電力会社は再生可能エネルギ
1,200
ーの受入れにあたってさまざまな制限を
1,000
2013年2月末時点
設けた。
しかし,東日本大震災により,供給力
( 800
茎
を大きく減少させた東京電力株が.震災辻600
直後に迎えた夏季需要における供給力確
400
保のため,太陽光発電をはじめとする再
生可能エネルギーも含めたあらゆる供給
200
冒頭に述ベたように.日本アジアグルー
プの群馬・館林太陽光発電所もそのーつ
0
北岩秋福栃埼東新石山岐愛
二 下田島 木玉京潟川梨阜知
県県県 県県都県県県県県
出所)資源エネルギー庁ホームページ
であった。再生可能エネルギーが供給力
に貢献していることの証左である。再生
可能エネルギーが供給力としての意義があるとする
沖縄県
宮崎県
熊本県
佐賀県
'知県
香川県
山口県
岡山県
鳥取県
奈良県
大阪府
滋賀県
力を確保していたことは記憶に新しい。
図2 再エネ設備認定状況
事業者が留保することも可能だが.事実上は.サー
理由は,電力会社が太陽光発電の電気を,回避可能
チャージ(賦課金)を代行して回収している一般電
原価にて購入している事実があるからである。この
気事業者が全需要家に等しくメリットを配分してい
点については.次章「メガソーラ普及にあたっての
る。つまり,一般電気事業者としては,火力発電の
課題」にて詳述する。
増加によるCO.排出量の増加を抑制する一方策とし
また,全量買取制度においては,特定規模電気事
て,全量買取制度から買取る再生可能エネルギーを
業者も買取が可能な仕組となっているが.新たな発
引受けるインセンティブを有している。一般電気事
電所の建設が困難な中,特定規模電気事業者による
業者は,自社あるいはグループ全体でもメガソーラ
再生可能エネルギー買取の重力きも出てきている。
事業を展開しており,電気事業の形態にとらわれず.
全量買取制度に基く太陽光発電をはじめとする再生
2.3 環境面ヘの貢献
一般電気事業者各社(沖縄電力を除く)は,東日
本大震災を境に供給力の大幅な変更を余儀なくされ
たことで.排出係数を悪化させている(表1)。
排出係数については,集計上,2年前の数値が公
可能エネルギーの環境価値を再評価し,積極的な拡
大策を採るべき時期に来ている。
3.メガソーラ普及にあたっての課題
3.1 電力系統連系に南たっての工事費負担金
表されており,表はあくまで20Ⅱ年度の数値である。
(1)工事費負担金のルール
2012年度はさらに増加していることは想像に難くな
メガソーラ事業の今後のさらなる拡大のカギのー
つが,電力会社系統に接続する際の工事費負扣金の
し、
全量買取制度に基く再生可能エネルギーによる排
出係数改善のメリットは,再生可能エネルギー発電
電気評論 2013.8
存在である。
太陽光発電等,再生可能エネルギーを電力会社系
統に接続する際に,既存の送配電線の張
スノ\イン
替や,新たな送配電ルートの新設が必要
項目
{動
となる場合が多い。メガソーラの適地は,
相応の広さの士地が必要となり,いわゆ
系統増強
日射量の多い地域であることはもちろん,
る都市部以外の立地が主となる。このよ
5万V程度
以
うな地域は電力需要が少ないこともあり,
十分な送配電線が敷設されておらず,連
6 15万V
程度
DS0負担
経済的に不合
理な方法での
連系は行わな
TS0負担
DS0負担
し、
増強費用のうち
発電事業者の
起因分を当該
事業者に負担
割当,残りは配
電系統運用者
①SO)負担
発電事業者負担
出所)次世代配電制度システム検討会資料
系に当たって対策工事等が必要となる。
図3 各国の系統連系に係る費用負担の扱い
工事費負担金の負扣者については,経
済産業省次世代配電システム制度検討会において,
系統運用者の負担としている事例もある(図3)。
発電事業者の負担とする案と,電力会社の負担とし
つつ負担金が一定基準を超過する場合は.電力会社
全額を系統運用者の負担とする方式では.本節①
が接続を拒否できる案が議論されたが,負担金の上
メガソーラの円滑な普及の障害となる可能性がある
で述ベたように,負担額の上限値の設定が難しく,
限額の設定が難しいことなどから,発電事業者の負
ことから,英国の事例を参考に,発電事業者の起因
担とする方式が採られることとなった。
分のみを負担とする方式を中心に,全量買取制度に
(2)現行負担ルールの弊害
おける工事費負担金ルールの早急、な検討が望まれる。
この発電事業者負担となっている工事費負担金は.
特別高圧連系の場合では数億円単位,高圧連系の場
合でも1億円を超過するケースも出ている。初年度
3.2 電力会社の検討,'情報開示等のあり方
(1)電力会社の検討期間
全量買取制度に基く一般電気事業者ヘの売電を希
の買取単価はlkwh あたり42円仟兇込)で設定さ
れてぃたが,数億円規模の工事費負担金は,この買
望する場合,再生可能エネルギー事業者は,「簡易
取単価をもってしても,採算性を大きく損なうもの
検討」,「接続検討」,「本申込」の手続を経る必要が
で,事業断念に追込まれたケースは少なくない。
ある。
電力会社は,自らの発電所や送配電線の新増設に
「簡易検討」とは,連系を希望する電力会社の送
伴う工事費用を,需要家すなわち総括原価料・金に基
く電気料金から漏れなく回収している。電力会社は,
配電線の元となる変電所に受入れ容量があるかどう
電気事業法に基く供給義務を課されているため,発
一事業者が申請してから,電力会社が回答するまで
電所にかかるコストも含めて電気料金からの回収を
の検討期問は標準1ケ月となっている。
かを机上で検討するものであり.再生可能エネルギ
行っているが.家庭用以外ヘの供給は自由化されて
簡易検討で変電所に受入れ容量ありの回答があっ
おり,白由化対象需要ヘの供給が大部分を占める現
た場合,再生可能エネルギー事業者は.次に「接続
状,少なくとも発電所にかかるコストについては,
検討」の申込を行う。接続検討は,連系を希望する
総括原価料金に含まれるべきかどうかは議論が必要
送配電線の許容電流や,必要に応じて,配電柱,送
な時期に来ている。
電鉄塔の建替,新設,電圧降下対策等の必要性を検
(3)今後の課題解決に向けて
討するものである。事業者は,接続検討の申込にあ
上述した次世代配電システム制度検討会の議論で
たり,21万円の検討料・を支払ケ必要があり,電力会
は,発電事業者負担方式とすることにより,再生可
社の検討期問は標準で3ケ月となっている。接続検
能エネルギーの適地に計画的かつ効率的な設置が順
討により,電力会社側の対策工事とその工事内容を
調に進まないといった場合には,政策的に,一定の
踏まえた.事業者が負担する工事費負担金額が算定
区域に系統増強が進むような支援策を採ることとし,
される。
必要に応じたルールの見直しを行うことと整理され
ている。
海外では,系統増強の費用については,英国のよ
この接続検討までで,合計4ケ月を要する。しか
も.接続検討における検討結果は,工事費負扣金を
含めて,あくまで仮のもので.本格設計は「本申込」
うに,発電事業者の連系が起因となった分を切り分
を受付けて始めて行うため,「接続検討」で算出さ
けている事例や,ドイツ,フランスのように.全額
れた工事費負担金も大きく変動する,と電力会社は
電気評論
2013.8
1ケ月目
2ケ月目
3ケ月目
4ケ月目
5ケ月目
6ケ月目
フケ月目
その内訳がよりきめ細かく事業者に提示
8ケ月目
されるようになった。事業者の予見性や,
簡易検ヨ寸
系統利用にあたっての透明性向上に寄ラ
接続検言寸(机上設言十)
するもので,高く評価したい。
本検言寸(現場設計)
着工
4.政策の動向
図4
電力会社ヘの申請の流れ
4.1 買取価格
全量買取制度の買取単価は,導入され
予め断っている。
た2012年度は,太陽光発電については,1kwhあた
(2)電力会社の運用
り42円仟兇込)でスタート,2013年度はちょうど10
この簡易検討,接続検討だが,電力会社によって
%低下の同37.8円lkwh となった。
呼び方はまちまちであることはもちろん,運用が大
きく異なる。
この買取単価の算定については.太陽光発電につ
いては太陽電池パネル,発電した電気を電力系統の
接続検討については,上述したように送配電線の
交流に変換するパワーコンディショナの機器類.事
許容電流等を計算しているものであるが,電力会社
業用地の取得費用等のコストに一定の収益率を加え
によって,現地確認して設計する場合と机上で設計
て算定することが法律で明記されている。2013年度
する場合とまちまちである。
の買取単価の決定にあたっても,算定フォーミュラ
接続検討時に現場確認、による設計が行われている
は同様で,各種機器等のコストの妥当性が,買取価
ケースでは,本申込を行った際,系統の状況に大き
格算定委員会で審議された。しかし,再エネ特措法
な変化がなく,書類の不備がなけれぱ,接続検討時
は2012年7月から導入されたば力巾の制度であり,
の設計内容がそのまま用いられる。机上のみで設計
普及が一気に拡大したと言っても,実績を踏まえて,
した場合は,本申込を受けて改めて現場確認を含め
平均コストを算定できるだけの十分な量が導入され
た設計を行うため,その分の期間を改めて要するこ
ていないことから,太陽電池パネル,パワーコンデ
とになる。
この対応は,同一電力会社内でも異なる場合があ
イショナの費用のみが変更の対象とされ.この結果,
買取価格は10%の引下げとなった。
リ,事業者としては.予見性に乏しいため,工期見
通し策定等を困難にさせる要因となっており.事業
展開の大きな障害のーつとなっている。
4.2 電力取引価格の動向と取引価格 国民負担の
緩和
資源エネルギー庁は,再生可能エネルギー事業者
Ikwhあたり42円(税込)の買取単価の水準は,
導入支援のため,特に再エネ特措法導入から最初の
による電力系統ヘの接続の際の,事業者の予見性を
3年問を政策的に高い水準に設定することとなって
(3)情報開示
高める等の観点から,系統ヘの連系可能容量,系統
いるが,この水準については,各電気事業者問の卸
に接続するためのコスト・工期等について,よりー
電力取引の実態とも比較考量する必要がある。
層の情報の公表が必要となったことを受け,2012年
Ⅱ月.「系統情報の公開の考え方」を公表した。
これを受け,一般電気事業者各社は,今年3月よ
リ,自らの送配電系統の系統情報を自社ホームペー
小売事業者が,予定していた電気を用意できなか
つた場合に一般電気事業者から請求される不足料金
信モ送供給約款での用語は,変動範囲超過電力料金)
を示す(表2)。
ジ,託送サービスセンター等を通じた閲覧を可能と
この変動範囲超過電力料金は,卸電力取引価格の
する対応を行っている。情殺公開は,特別高圧であ
事実上の上限価格となっており.実際,日本卸電力
る電圧154kV以上についてはきめ細かいが,再生
取引所のスポット取引市場における取引価格が,
可能エネルギー.特にメガソーラの多くは高圧連系
の上限値を超えることはない。
で.特別高圧連系の場合でも66kv,フ7kV までであ
リ,一層の普及のためにも,情殺公開のさらなる工
2005年4月の同取引所の開設後しぱらくは,供給
力の大部分を有し,かつ十分な余力を有する一般電
夫がなされることを期待したい。
気事業者が取引所から調達するケースは少なかった
また.工事費負担金についても,事業者に対する
電気評論 2013.8
、^
が,2007年の中越沖地震を境に様相は一変する。同
回避可能原価の基本的な考え方
一般電気事業者の変動範囲超過電力料金と
表2
回避可能原価
変動範囲超過電力料金
(電力会社が取引所等
から調述する際の最高
価格)
北海道電力
東北電力
東京電力
中部電力
北陸電力
関西電力
中国電力
四国電力
九州電力
回避可能原価
(電力会社の実際の
調述価格)
33.別円
6.24円
592円
51.73円
998円
40.20円
6.57円
36.71円
4.33円
四37円
3929円
5.09円
4233円
4.82円
47.65円
5.10円
33.72円
電力
需要家
負担
ーー^
この総額を電力需要量で
割った値がサーチャージ
単価となり.需要家の負担
となる。
電力丑社力
負担を回避
出来た金額
・^・・
この総額を電力需要量で
割った値が回避可能原価
となる。
買取総額
636円
制度開始時需要家負担増加需要家負担減少
出所)環境竹低炭業社会づくりのためのエネルギーの低炭
出所)各電力会社託総供給約款.再エネ特措法施行規則
素化に向けた捉言
図5 全量買取制度の買取総額と需要家の負担額の
推移イメージ
取引所の監視報告書によれば.中越沖地震により供
給力を大幅に停止した東京電力株が調達を増加させ
たとあり,影糾で,同取引所のスポット価格は,当
MW)以上の発電所については,電気主任技術者を
時の東京電力株の変動範囲超過料金の水準となって
選任し,保安規定とともに経済産業大臣に届出する
いる。
ことが義務付けられている。
所のスポット価格は.しばしぱこの「上限価格」に
再エネ特措法施行後,出力INNから2N則のい
わゆるメガソーラの参入が相次いだ中,ある箇所で
到達している。
選任された電気主任技術者は.他の発電所の電気主
また,東日本大震災以降の供給力の影響で,取引
任技術者を兼任することができないため,電気主任
これは一般電気事業者が,スポット市場から「上
技術者の不足が深刻化していた。
限価格」すなわち,1kwhあたり50円前後の水準で
この実態を受け,経済産業省は,2013年6月,電
調達していることを意味する。
全量買取制度の2012年度の買取単価 akwhあた
り42円)のうち,供給力として一般電気事業者が対
気主任技術者の選任および届出を2NN以下の発電
価として支払っている金額は,回避可能原価である
行った。
設備につぃては外部委託も可能とするルール改正を
もちろん,ルール緩和後も,再生可能エネルギー
(図5)。
この回避可能原価を適正水準に引上げていけぱ,
発電設備も電気事業法の事業用工作物であり,保安
全ての電力需要家から回収しているサーチャージ
上の責任は厳然と存在するが.特にメガソーラの普
(賦課金)は減少していくので,回避可能原価の適
及拡大を後押しする施策として,行政の取組を評価
正化が必要である。
したい。
再生可能エネルギーについては,出力が安定しな
いデメリットが強調されがちであるが,全量買取制
4.4 変電所バンク逆潮流問題
メガソーラ普及にあたって大きな障害のーつとな
つてぃたのが,変電所バンクの逆潮流禁止ルールで
度下においても,一般電気事業者は,上記のように,
供給力として,安価に調達しているのが実態である。
ある。これは,電力会社の変電所からの電線路にお
一般電気事業者各社は.料金値上げ申請にあたって
はあらゆるコストダウン策をとることを表明してい
ることから,再生可能エネルギー電源についても,
いて,直近の過去1年問の最低需要電力を,再生可
その一方策として積極的に採り入れられるべきもの
能エネルギー等の分散型電源の発電容量の合計が上
回ってはいけないというルールであり,「電力品質
である。
確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」等にお
いて定められている。
実際に.全量買取制度の導入から1年が経たない
4.3 電気主任技術者選任要件の緩和
中,2N則規模のメガソーラが数件集中しただけで,
現行の電気事業法施行規則では,出力1,oookw (1
電気評論 2013.8
59
変電所バンクの容量に達し,電力会社ヘの連系が不
可能となり.事業化を断念したケースが多発してぃ
る。
して再生可能エネルギーの普及拡大支援策が盛込ま
れるなど,日本国経済ヘの貢献も期待されてぃる。
一方で,メガソーラは.化石だ群斗こそ消費しない
この問題を受けて資源エネルギー庁は今年5月末,
変電所バンク逆潮流を禁止したルールの改正を決定
した。これにより,逆潮流対策としての保護装置の
設置費用等が事業者側の工事費負担金として追加さ
が,高圧あるいは特別高圧の電気設備を有する,電
気事業法上の事業用電気工作物でもあり,安全義務
も他の発電所と同様に有している日本のエネルギ
一供給の一端を担う以上.社会的貞任も生じてぃる
ことを今一度認識する必要がある。
れることとなるが,本ルール改正により,この変電
所バンク問題が原因で,事業化を断念するケースが
減少することが予想され.歓迎される。
全量買取制度をきっかけにメガソーラが一気に普
及,拡大したことで,太陽光産業は一産業としての
一方で.保護装糧の設置費用が工事費負扣金の扱
地位を確立しつつぁり,長きに亘って著しい改善が
いとなっており,事業者の負担は増加することから,
みられない太陽光パネルの発電効率等の技術革新が
事業者負担のあり方,工事費負担金のあり方につぃ
て.丁寧な議論がなされることを期待したい。
一気に進む可能性もある。繰返しになるが,規制.
5.おわりに メガソーラの今後
再生可能エネルギーの拡大は,かねてから,資源
枯渇問題.政治りスクに常にさらされている化石燃
料ヘの依存低減策として進められてきたものである。
国際エネルギー機関 qEA)も報告書において,東
日本大震災以前から,エネルギーセキュリティの向
上策のーつとして,再生可能エネルギーの意義にっ
いて言及している。
日本においても,総合資源エネルギー調査会基本
問題委員会等を通じて.新しいエネルギーミックス
の議論がなされてきた。メガソーラについては,全
量買取制度の導入を機に一気に拡大し,一部地域で
は導入の制限がなされる状況となっている。これは,
メガソーラが電力供給における一定の役割を果たし
ルール等の改善も必要であるが.一産業の地位を確
保しつつぁるメガソーラ事業者の自立,社会的責任
の意識向上も,今後のさらなる普及拡大にあたって
重要である。
参考文献
1)次世代送配電システム制度検討会第27ーキンググルー
プ:f全量買取制度に係る技術的課題等につぃて一参考
資料・ー」経済産業省 2010年Ⅱ打
2)「再生可能エネルギーの固定価格買取制度について」資
源エネルギー庁新エネルギー対策課 2012年7月
3)「日本卸電力取引所取リ1監視・取引検,正四半期報告
平成19年度夏捌」Ⅱ本卸電ノJ取引所 2007午Ⅱ河
4)Πせ力品質確保に係る系統述系技術要件ガイトラインJ
資源エネルギー庁 20叫年10H 1日
5)「低炭素社会づくりのためのエネルギーの低炭索化に向
けた提蔀(平成23年度)」環境省地球温暖化対策に係る
中長棚口ードマップ検討会 2012年3月
ていることの現れでもある。
6 )「contribution of Renewables to Energy securiw」 1EA AprⅡ
さらに,2013年5月29日に,政府・産業競争力会
議が公表した「成長戦略の基本的考え方」において.
フ)「成長戦略の基本的老え方」産業競争力会議 2013年5
20俳
月29日
クリーン゛蹴斉的なエネルギー需給の実現のーつと
.0.0.0.0.0.0.0.0゛を0'点0.0.0.06Ξ0'餌0.0→0.00"0畷0.0.0.0→0畷0奄0'玉0.0.0
電気評論 2013.8