- 1 - 梅雨に入り、雨にぬれた草木や紫陽花が一段 と美しい季節となり

梅雨に入り、雨にぬれた草木や紫陽花が一段
と美しい季節となりました。あわただしくスタ
ートした平成22年度も、各種行事や定期考査の
実施等、早一学期の終盤を迎えています。
さて、教育改革の大きな流れに沿って内部改
革が図られている学校現場では、昨年度に続く
教育課題に新たな課題を加え、さらには自校独
自の課題を前に、多忙感を抱きながら課題解決
への具体的方策の検討・実施に奮闘しているこ
とと思います。校舎改築中の本校も、設計・解
体・着工と改築工事が進む中、小学校を仮校舎
に課題ある教育環境を「不自由という教材」と
して生かしながら、移行措置2年目の教育課程
の編成・実施とOJTによる人材育成を喫緊の
課題とし、右往左往しながら対応しています。
その中でも、本校は人事構成上の問題から、
若手教員の育成は学校運営の最重要課題であり、
若手教員の個々にもつ資質・能力を見極め、計
画的に能力開発を進めるとともに分掌組織にお
いて積極的に主任や委員長に抜擢する等、適材
適所の配置を行いました。その際に、教員の意
識改革よりも行動改革をモットーとして、自己
の職務内容の理解と実践方法を工夫して具体的
に成果を求めるよう指導しています。
これまで、教育改革を推進する上で、改革を
具現化するのは教員であり、教員の意識改革は
大きな課題とされてきました。勿論その考えは
今も同じであり、本年度は全教員の授業研究を
実践していますが、個々の教員の意識の変容に
よる成果を見取ることは容易ではありません。
よって、様々な課題がほぼ同時に提示され、速
いテンポで展開される現状においては、直接指
導により課題解決力を身に付け、成功体験を積
ませながら、行動変革を試みることが有効であ
ると考えました。具体的に
は、『「目的意識」ではな
く明確な「目的」をもち、
「課題意識」ではなく
「課題」を提示させ、
課題解決のための方策を
自ら考え「実践」する。』
このような体験を地道に積
み重ねていくことを大切にしたいと思います。
そこで、自己申告の面接では、個々の能力・資
質に応じて面接を行うように心がけ、その際、
PREP法(プレッツ法)を意識して行っています。
これは、論理的かつ明晰に話すための方法で、①
結論を示し(Point)、②理由を述べ(Reason)、
③具体例を述べ、相手を納得へ導き(Example)、
④再度結論を示す(Point)といったことを順序
だてて考え、まとめ、発表させる論法です。若い
うちからこのような発表力をトレーニングする
ことで、日常的に学校生活を観察し、諸問題を発
見・分析し、解決方法を探り出し、実行するよう
になることを期待しているのです。少なくとも、
あと数年で主任教諭・主幹教諭・A選考を受験す
る可能性がある人材です。日頃から、学校の実態
に即した人材育成を意図的・計画的に実践するこ
とで、若手教員の成長の一助になればと思います。
企業では、サラリーマンを「会社に仕事に行く
人」
、ビジネスマンを「会社に結果を出しに行く人」
といい、
「時間内に仕事をしても結果が出なければ、
その努力を賞賛しても報酬には値しない」そうで
す。学校も仕事をこなすより創造する仕事を大切
に人材育成を図る必要があります。
「企業はトップ
で変わる」ならば、
「学校は校長で変わる」と言い
切れるように、毅然と校長のリーダーシップを発
揮していきたいと思います。
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■代表者会・代表者連絡会
日 時 平成22年6月4日(金)
場 所 全日本中学校長会館会議室
内 容 区市等校長会長連絡会記録参照
(4) 子供の体力推進本部会議
目標は、3年後には全国平均値に、10年後には30
年前の水準にまで基礎体力を向上させる。
(5) 人事部との協議会(7月8日)
■区市等校長会長連絡会記録参照
日 時 平成22年6月17日(木)午後3時
場 所 新宿コズミックセンター 中研修室
3.情報提供
(1) 年度途中における転入学に関する調査につい
て。
未提出の地区は郵送で台東区立上野中学校 関
本校長宛提出。総務部・私学協会との話合い等で
調査を活用する。
(2) 副校長の業務処理研究事業(仮称)について
スケジュールは、6月に業者選定 9~10月:一
次調査 12月:二次調査 1~2月:まとめ。こ
れでは来年度の予算に間に合わない。ファクター
は地域差バランス、学校規模、副校長の力量等。
中学校では10校サンプル調査を行う。三町副会長
が担当。
(3) その他
3月18日以外の卒業式実施地区の調査。
1.行政説明「都教委の教育施策などについて」
東京都教育庁指導部義務教育特別支援教育指導課
課長 伊東 哲 氏
○公立学校美術展覧会は平成22年11月3日(水)~
6日(土)に、都立産業技術高等専門学校を会場に
して開催。
○個に応じた指導の充実:
・「小1問題・中1ギャップの予防・解決のための
教員加配の効果検証」を7月に抽出で実施。
・「児童・生徒の学力向上を図るための調査の実
施」として「読み解く力に関する調査」を新たに
小5と中2を対象に平成22年10月26日・5教科で
実施(悉皆)。昨年度サンプル問題を配布済み。
実施に要する時間は1時間程度。
2.会長あいさつ
牛島 正廣会長
6月は毎年、大きな事故・事件が起きやすい、
学校が揺れやすい時期。ここできっちり対応して
おかなければならない。都校長会総会・研究大会
は大田区で準備していただいて無事終了した。各
部会・委員会も年間計画に基づいて充実した活動
になるようご協力をお願いしたい。
(1) 全日中理事会
ア 全日中教育ビジョンを示したが学校から発す
る教育改革としてビジョンの進行について各区市
でご支援いただきたい。
イ 第61回全日中研究協議会高知大会における
「文部科学省への質問事項」の意見聴取依頼。
(2) 関東甲信越地区中学校長会第62回研究協議会
栃木大会参加者 158名参加
(3) インクルーシブ教育について
学校教育関係者の委員不在のままに、議論が進め
られている。全日中は専門家の参画等を盛り込ん
だ要望書を提出している。
4.各部・各委員会
(1) 総務部
来年度春期定期総会・研究発表会は武蔵野文化会
館において平成23年4月26日(火)に開催。
(2) 会計部
未納の地区は次回持参か振込。
(3) 教育対策部
人事及び予算・施設に重点化して調査。前半は「平
成23年度中学校教育関係要望書」を、後半は「平成
24年度の要望の調査報告書」を作成。
(4) 研究部
教育課程の編成実施に関する内容として「部活動
の実施上の課題と対応」、経営課題・教育課題に
関する内容として「若手教員の育成とOJT」を
研究。
(5) 生徒指導部
年間4回の研修会を計画。6月18日・7月16日・
10月19日・2月17日。
(6) 事務局
地区代表者会 7月8日(木) 15時~
新宿コズミックセンター 5階 大研修室
今年度の会場は、6・7・10月は新宿コズミック
センター、他は日本赤十字社東京都支部。
・「日本教育会東京都支部」 22・23年度は中学
校が事務局を務め、堀米副会長が支部長。
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《大会概要》
第1日目
□あいさつ
全日本中学校長会会長
岩瀬 正司
□祝辞
文部科学審議官
清水
潔 様
東京都教育庁理事
岩佐 哲男 様
□議事
(1) 平成 21 年度会務報告
(2) 平成 21 年度決算
(3) 平成 22 年度役員
新会長 新藤久典(新宿区立西戸山中学校)
(4) 平成 22 年度活動方針
(5) 平成 22 年度予算
(6) 平成 23 年度第 62 回全日中研究協議会埼玉大
会について
<研究協議会主題>
未来を切り拓く豊かな人間性と創造性を備えた
日本人を育てる中学校教育
<分科会研究題と研究の視点>
1 創意工夫に満ちた特色ある教育課程の編成・
実施(関東甲信越地区)
○ 中・長期的展望に立った学校経営
○ 知・徳・体のバランスのとれた特色ある教育
課程の編成・実施
○ 小・中学校の円滑な接続を目指す教育課程の
工夫・改善
2 「確かな学び」を保証する指導の充実(中国地
区)
○ 基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得と
活用を図る指導の工夫・改善
○ 学ぶ意欲を高める指導と評価の工夫・改善
○ 家庭と連携した学習環境づくり
3 特色ある教育活動の充実(北海道地区)
○ 「総合的な学習の時間」の質の向上
○ 伝統や文化の理解・継承・発展を図る教育活
動の推進
○ 家庭や地域の教育力を生かした教育活動の充実
4 豊かな人間性や社会性をはぐくむ道徳教育の
推進(近畿地区)
○ 心に響く道徳の時間の充実
○ 規範意識の向上を目指した指導の充実
○ 豊かな心をはぐくむ教育環境の整備と活用
5 健やかな心身をはぐくむ教育の推進(九州地
区)
○ 不登校や学校不適応生徒への対応の在り方
○ 家庭・地域社会・関係諸機関と連携した生徒
指導の充実
○ 健康・安全教育や部活動の充実
6 社会的な生き方を希求する進路指導の充実
(四国地区)
○ ガイダンス機能を生かした進路指導の充実
○ 勤労観、職業観を育てる「キャリア教育」の
充実
○ 職場体験学習を中心にした社会体験活動の充実
7 教師力の向上を目指した研修の充実(東海北
陸地区)
○ 創造性豊かで使命感に満ちた教職員の育成
○ 教職の専門性と資質・能力の向上を図る研修
の推進
○ 教職員一人一人を生かす組織マネジメント能
力の向上
8 時代の要請に応える学校経営の充実(東北地
区)
○ 特別支援教育の推進体制の整備と保護者への
啓発
○ 学校評価の充実と学校評議員制度等の活用
○ 校務のICT化と情報管理システムの構築
第2日目
□講演
<演題>
「当面する初等中等教育上の諸課題」
<講師>
文部科学省初等中等教育局長
金森 越哉 様
□文部科学省行政説明
※「皇居特別参観」は、第1日目に行われました。
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○ 全国学力・学習状況調査について
○ 学校における転落事故等の防止について
○ 学校・家庭・地域の連携協力の推進について
栃木県日光市の「きぬ川ホテル三日月」を会場
として、
関東甲信越地区1都8県から約860名の校
長が参加して開催されました。
《大会概要》
1日目
〔開会式〕
□挨拶
関東甲信越地区中学校長会第62回研究協議会
栃木大会実行委員長 清水昭二様
□祝辞
栃木県副知事 麻生利正様
栃木県教育委員会教育長 須藤 稔様
日光市長 斎藤文夫様
全日本中学校長会総務部長 大江 近様
□文部科学省説明
「当面する初等中等教育の課題」
文部科学省初等中等教育局教育課程課
教育課程企画室長 梶山正司様
<概要>
○ 公立高等学校の授業料無償化及び高等学校
等就学支度金の創設
○ 学習指導要領の円滑な実施について
○ キャリア教育の推進について
○ 生徒指導の充実について
○ 教員が子供と向き合う時間の確保と新学習
指導要領の円滑な実施のための指導体制整備
について →4200人純増
○ 教員の資質向上方策の抜本的見直しについて
○ コミュニティ・スクール(学校運営協議会
制度について)
○ 学校評価の推進について
○ 学校現場の負担軽減について
○ 指導が不適切な教員に対する人事管理について
□全体協議会
<研究協議題>
未来を切り拓く豊かな心と創造性を備えた人間
を育てる中学校教育
<研究の視点>
家庭・地域との連携を図った創意ある教育活動
を展開し、確かな学力と豊かな心をはぐくむ中
学校教育の創造
<提案者>
栃木県宇都宮市立城山中学校長 富田友子
<研究の概要>
1 経営的発想への転換
(1) ねらいや目標を変える
(2) 地域観、連携観を変える
(3) 学校組織観を変える
(4) 指導観を変える
(5) 評価観を変える
2 校長のリーダーシップ
(1) 連携に向ける校長の方策とビジョン
(2) フットワークのよい組織とミドルリーダー
の活用
(3) 組織を動かすコーチングの工夫
3 組織マネジメントを支えるミドルリーダーの育成
(1) 企画・立案へのサポート
校長は、課題を共有し、協働的な取組を生み出
す「仕掛け」を工夫する。
(2) 円滑な組織運営の整備へのサポート
校長は、経営を決する3要素(プラン、人材、
実行プロセス)を備える。
(3) 評価力を発揮させるサポート
校長は、問いかけを工夫して、問題点の指摘と
改善すべき具体案の助言をする。
<事例1> 特色ある教育活動
伝統を生かし、地域に根ざした特色ある教育活
動の推進を図る学校経営の在り方
<事例2> 食育の推進
地域性をとらえて、家庭と協力した食育の推進
を図る学校経営の在り方
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<事例3> 学校図書館教育
家庭や地域の教育力を生かした学校図書館教育
の推進を図る学校経営の在り方
<事例4> 確かな学力の向上
学校と家庭がともに指導力を高め合い、確かな
学力を育てるための学校経営の在り方
<事例5> 地域・保護者の力
学校を愛する地域・保護者の力を生かす学校経営
の在り方
□記念講演
<演題>「不揃いの木を組む」
<講師> 鵤工舎舎主 小川三夫様
<概要>
昭和22年、栃木県矢板市生まれ。
昭和41年、栃木県立氏家高等学校卒業。修学
旅行で訪れた法隆寺の五重塔に感動し、
卒業後、
西岡常一棟梁の門を叩くが一度は断られる。文
化財建造物日御碕神社、酒垂神社で修復工事に
携わる。44年に西岡常一棟梁の内弟子になる。
法隆寺三重塔、薬師寺金堂、同西塔の再建に
副棟梁として従事。
昭和52年、寺社建築技法の伝承を根幹とする
「鵤工舎」を設立。
以後、後進の指導育成に努め、全国各地の寺
院の再建・修復工事を行っている。
著者に「木のいのち木のこころ 地」
「不揃い
の木を組む」
「棟梁」などがある。
第2日目
□分科会協議
第1分科会【教育課程】
<研究協議題>
特色ある教育課程の編成・実施
<研究の視点>
A:特色ある教育課程の編成・実施にかかわる
校長のリーダーシップ
B:地域の教育力を活用した教育課程の編成
第2分科会【基礎基本】
<研究協議題>
確かな学力の確立を図る学習指導
<研究の視点>
A:学ぶ意欲を高める学習指導の充実と家庭と
の連携を図った学習習慣の形成
B:基礎基本の確実な定着を図る授業の実践と
個に応じた指導の充実
第3分科会【探究活動】
<研究協議題>
自ら学び自ら考える力をはぐくむ教育活動
<研究の視点>
A:実践的・体験的活動を取り入れた教育活動
B:調べ学習や課題解決など問題解決能力をは
ぐくむ教育活動
第4分科会【道徳教育】
<研究協議題>
豊かな心や感性をはぐくむ道徳教育
<研究の視点>
A:家庭・地域との連携を図った道徳教育
B:豊かな体験活動を取り入れた道徳教育
第5分科会【生徒指導】
<研究協議題>
規範意識や判断力をはぐくむ生徒指導
<研究の視点>
A:小・中学校間の連携を図った生徒指導の充実
B:家庭・地域・関係諸機関と連携した生徒指
導の充実
第6分科会【進路指導】
<研究協議題>
自ら生き方を希求する態度をはぐくむ進路指導
<研究の視点>
A:系統的なキャリア発達を支援する進路指導
B:小・中学校の連携を図った進路指導
第7分科会【職員研修】
<研究協議題>
教職員の資質・能力の向上を図る校内研修
<研究の視点>
A:教職員の指導力を高める校内研修
B:教職員の意識改革を図る学校評価
第8分科会【経営課題】
<研究協議題>
組織力を高める学校経営
<研究の視点>
A:課題解決が図れる組織力の向上
B:新たな職種(主幹教諭、指導教諭等)を生
かした学校経営
第9分科会【条件整備】
<研究協議題>
地域との連携を生かした学経経営
<研究の視点>
A:小学校や地域と連携した学校経営
B:地域の特色を生かした学校経営
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1 はじめに
の学校経営計画を策定する。その際、年3回の
3年前に区内の都立高等学校から昇任し、近
教職員との面接、企画調整会議、主幹会議での
隣中学校である現任校へ赴任した。異校種間の
コミュニケーションを大切にしている。情報は
異動であり、「見るもの」、「聞くもの」がすべ
単に伝えるだけでなく、咀嚼し、計画の必要性
て新鮮だったが、毎日が暗中模索状態だった。 などを丁寧に伝える。教職員は、従来の「指示
こうした中で3年間、なんとか学校経営ができ
命令型」から、協働的な「育成型」のコミュニケ
たのも校内の教職員の協力はもとより、区教育
ーションを求めている。質問によるコミュニケ
委員会、区内校長会の多大なる支援があったか
ーションをもとに、従来の「上意下達」から「部
らだと感謝している。
下が主役」になれること、「解決策」について
校長が投げ掛け、考えさせ、部下の考えを引き
2 学校経営
出すことに心掛けている。自分が聞きたいこと
現任校は、近隣の2つの中学校が統合し、創
立8年の歴史の浅い中学校である。現在は、各
を聞くのではなく、教職員が聞いてもらいたい
ことにも配慮している。
学年4クラス全生徒433人(平成22年5月1日
このことで経営計画を共有し、目標達成のた
現在)の中規模の学校である。学区域内と学区
めに教職員が一丸となって取り組んでいける。
域外の生徒の割合は、1対1である。「生徒に
そして、生徒がたくましく成長していくと考え
よる授業評価」
「学校評価アンケート」
(保護者、 ている。
地域住民対象)から分析すると、大部分の生徒
は学校生活が楽しく、落ち着いていることが分
かる。また、保護者、地域住民は学校に非常に
協力的であり、学校に対する信頼は高い。
3 おわりに
「三方よし」の理念にあるように、商取引に
おいては、当事者の売り手と買い手だけでなく、
しかし、
「学力向上」
、「進路指導」など学校に
対する要望も大きい。
その取引が社会全体の幸福につながるもので
なければならないとう意味での、
「売り手よし」
、
年度初めに「学校経営計画」を提示する。
「家
庭学習時間」
、「年間読書数20冊以上」
、「授業満
「買い手よし」、
「世間よし」という「三方よし」
は、学校経営にも繋がる。
足度80%以上」、
「学校満足度80%以上」や「基
学校教育、家庭教育、社会教育の役割をより
礎的・基本的事項の60%以上の習得」を数値目
明確にし、課題を共有し、協力し、将来、大き
標としてあげている。年間をとおして、目標の
く社会貢献できるような生徒の育成を今後も
進捗状況の把握や課題を抽出しながら、次年度
継続して目指していく。
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校長の職務は様々あるが昔から変わらぬ課題に
には醤油というものがある。醤油はお刺身や冷や
人材育成がある。団塊の世代の大量退職と新規採
奴などを食べるときの付け味にもなるが、煮物な
用教員の急激な増加。学校内での世代構成のアン
どを作るとき、
素材が持っているよさを引き出す、
バランスなど学校事情が様々ある中で、校長の学
引き出し味にも使われる大変便利なものである。
校経営方針を具現化する教員の育成、リーダーの
日本料理の国際化の中で、醤油も国際的な調味料
育成は最重要課題である。
として認知されており、醤油を使ったフランス料
理もある。
その人材育成に関連して話を二題。
その(一)
その(二)
食に関する教育が推進され、学校給食のメニュ
かつて私が三年生の担任だった頃、進路希望調
ーもここ 10 年間を振り返ってみても豊かに、バラ
査の保護者欄に、親の希望、本人の希望それぞれ
エティーに富んだものとなってきている。食の国
にありますが、本人が行ってよかったと思える進
際化の中、季節に合わせた日本料理はもとより、
路を歩ませてやりたいと前段に書き、そして、
『人
中国料理、韓国料理、フランス料理、イタリア料
参にはゴボウの味が出せないように、人参のよい
理、インド料理と普段、家庭でも食べないような
味を活かせる自分自身に努力をして欲しいと願っ
メニューも沢山ある。先日本校では、サッカーワ
ています。』と結んであった。我が子を人参に例え
ールドカップの開催に合わせてアフリカ料理が出
ながらも我が子を愛おしむ親の姿が垣間見られる
たが、生徒には不評であった。料理がその土地そ
コメントに心が温かくなったことを覚えている。
の土地の生活や風土によって作られてきたもので
さて、
人材育成についてであるが、
各種研修会、
あることを改めて考えさせるいい機会にはなった。 人事考課制度、OJT等様々な人材育成の施策が
さて、料理に関してだが西洋料理とりわけフラ
あるが、教員のライフステージに合わせた人材育
ンス料理と日本料理の違いはどこにあるか。色々
成、能力開発が必要である。昨今、素材そのもの
な観点があるが、その一つに、素材をいかに作り
に疑問を感じることもあるがそれはさておき、校
替えるかというのがフランス料理であり、素材の
長として、メンタル面にも配慮してそれぞれの教
持っているよさをいかに生かすかというのが日本
員が持っているよさ(いい味)を引き出せる醤油
料理である。かといって、どちらも素材を大事に
の様でありたいと願っている。
する点では同じである。その二つの料理の違いを
ところがそれがなかなか難しい。よい点を活か
あらわすものにフランス料理のソースがある。レ
し伸ばすことは出来ても、不足している面を一定
ストランのメニューには素材名や調理法と同時に
レベルに引き上げるには時間がかかる。骨太の教
ソースの名前が記されている。そして、フランス
員が少なくなってきたなと思うと同時に、骨太の
料理はこのソースの種類が実に多い。このソース
管理職がいなくなってきたのかなと、我が身を振
というのは付け味である。これに対して日本料理
り返る今日この頃である。
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1 国立市の概要
会や研修会まで、すべて小中合同で行っています。
2
国立市は、人口7万人余り、面積は 8.15km 、
どんな会合にも 11 校からの出席者が顔をそろえ
東西 2.3km、南北 3.7km というコンパクトな街で
ます。
(言い換えると中学校3校だけでは、有効な
す。JR国立駅から南へ真っすぐ伸びる大学通り
活動が難しいとも言えます。)
は幅が約 44mもあり、まちのメインストリートで
す。その道の両側のグリーンベルトには、桜とい
(2)小中連携の推進
ちょうが交互に植えられ、春には桜の花びらのカ
国立市では、中1ギャップ等の問題に対処する
ーテンがまちをピンク色に染めて、秋にはいちょ
ため、小中連携を推進しています。小学生を中学
うの葉が黄金色の輝きを放ちます。この景色は新
校の合唱コンクールに招待する、中学校の先生が
東京百景にも選ばれ、国立の象徴となっています。
小学校に出前授業に出向く、中学生の職場体験の
体験先として小学校にも生徒を派遣する、といっ
2 文教都市国立
た活動が行われています。また、年1回ですが、
国立駅前のロータリーには、国立文教地区の看
すべての小中学校の教員がブロックごとに分かれ
板が掲げられています。この文教地区の由来は、
て相手校を訪問し、授業参観やグループ協議を行
単に大学や学校の数が多いからではありません。
う「小中連携推進協議会」を実施しています。
1950 年代の町を二分する大論争の末に、文教地区
指定を議決し、都に申請。昭和 27 年に文教地区の
(3)土曜授業の推進
国立市では、授業時数の確保のため、土曜授業
指定を受けました。
文教地区指定運動は、単なる歓楽街の進出反対
を年に8回程度実施しています。これらは、すべ
運動ではなく、開発以来の理想の学園都市づくり
て公開となっており、毎回多くの保護者や地域住
の再選択の運動であったといえます。この運動で
民が参観に訪れます。また、小中の先生が互いに
国立市民は、学校、行政と一丸となって「開発」
参観に出向くということも始まっています。なお、
より「環境」のまちづくりを選択しました。これ
長期休業日期間の短縮と言った対応は行っていま
は、その後の国立のまちづくりの方向を市民が決
せん。
定づけたことであり、住民自治の先駆的事例とし
(4)人的支援の充実
ての歴史的意義は大きいといえます。
国立市では、全ての小中学校に図書嘱託員、特
3 国立市の教育の特色
別支援教育指導員(スマイリースタッフ)が配置
(1)国立イレブン
されています。また、教員1人1台のパソコンの
国立市には、8校の小学校、3校の中学校、合
導入や生徒用パソコンの台数増に対応するため、
わせて 11 校があり、
これを国立イレブンと称して
学校ICT支援員も配置されています。このよう
います。
に、人的な支援が充実していることも国立の教育
国立市では、校長会、副校長会を始め、各主任
の一つの特色と言えます。
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