発泡プラスチック板の熱溶着を効率化し溶着品質を⾼める薄板ヒータ 情報⼯学部 情報システム⼯学科 教授 中川 貴 分野 ⽣産⼯学 キーワード プラスチックの熱溶着 ⾃動⾞部品や電⼦部品等を運搬する通い箱には発泡プラスチック板が多⽤ されている。 従来は、その組み⽴てで1kW超の熱⾵加熱器を⽤いて1カ所に1分間くらいかけて熱溶着 する。この場合、熱溶着1カ所あたりの所要熱エネルギーは60kJである。 本研究室では(株)コンドーマシナリーとの共同研究で、薄いステンレス板におよそ8Vの 電圧で40A程度の電流を流して強⼒な輻射熱を発⽣させ熱溶着する⽅式を開発した。 1カ所 の溶着に5秒間程度の通電を⾏なうので、熱溶着1カ所あたりの所要熱エネルギーは1.6kJ (熱⾵⽅式の2.7%)となり、⼤幅な省エネ効果が得られる。 また、⾃動化しやすいので、実⽤化すれば、溶着の品質も向上する。 ⽣産性も、作業員1⼈で2台を交互に作業することで6倍程度に向上する⾒込みである。 (1台につき、5秒加熱、5秒冷却、10秒でワーク交換の場合) 研究概要 プラスチック板 ヒータ板 ヒータを取り去って圧接 プラスチック板 プラスチック輻射熱溶着⽅式の概念 帯ヒータによる加熱 プラスチック板の保持⽅法 利点・特徴 1.帯ヒータとその使い⽅ 帯ヒータは0.1mm厚の⼯作⽤ステンレス板を2cm幅の帯状に 切って電極につないだものである。30〜40Aの通電で⾚熱し、 両側に強⼒な輻射熱を放射する。昇温の時定数は2〜3秒で、 溶着のたびにON-OFFする使い⽅ができる。 2.プラスチック板の保持⽅法 発泡プラスチック板の内部には気泡があり、輻射熱で加熱 された側は膨張するので、曲がろうとする。これを防ぐには、 多数の⽳が開いた吸盤の箱を⽤いて吸引して固定するのが便利 である。 ・帯ヒータは⾯光源なので、ニクロム線と異なり⼗分な放射熱を与えることができる。 ・電源は⾼速スイッチングとインダクタによって軽量⼩型化が可能。 ・250時間以上の⻑寿命(※5秒加熱、15秒間休⽌の試験による) 応用分野 発泡プラスチック板を⽤いた⾃動⾞部品や電⼦部品等運搬⽤の通い箱の加⼯ 特許情報 特許第5093491号(2012年登録、㈱コンドー・マシナリーとの共有特許) 「熱可塑性プラスチック材の溶着装置および溶着⽅法」
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