福井県国民健康保険団体連合会 第二次中期経営計画

福井県国民健康保険団体連合会
第二次中期経営計画
平成 27 年 3 月
福井県国民健康保険団体連合会
目
Ⅰ
次
中期経営計画策定の主旨
1
1
計画策定の主旨
1
2
計画の期間
1
Ⅱ
基本理念と基本方針
2
1
基本理念
2
2
3つの基本方針
2
Ⅲ
1
2
現状、課題と具体的な施策
精度の高い審査および確実な支払サービスの提供
診療報酬審査の充実による適正請求の推進
3
(2)
介護給付適正化事業の充実
4
(3)
電送請求の推進
6
保険者サービスの提供
(1)
電算共同処理事業の実施
(2)
第三者行為損害賠償求償事務の収納率向上
②効果的な保健事業の推進
(1)
Ⅳ
1
3
(1)
①共同事業の的確な推進
3
3
効率的な疾病予防対策に向けた保険者支援
持続可能な組織運営
8
8
8
10
11
11
13
(1)
手数料の適正化
13
(2)
職員の資質向上
14
(3)
情報セキュリティの管理
16
計画の評価
18
計画の評価
18
Ⅰ 中期経営計画策定の主旨
1 計画策定の主旨
福井県国民健康保険団体連合会(以下「当連合会」という。)では、保険者の
共同体として信頼と安心をいただける良質なサービス提供を行うため、平成2
0年2月に基本理念を制定し、平成21年には計画期間を平成25年度までの
5年間とした中期経営計画を策定して事業を推進してきたところである。この
計画では、基幹業務である審査支払事業をはじめ、各事業で取り組みに関する
目標とその達成年度を定めて取り組んだほか、職員定数や課体制など組織の在
り方も計画として定めて、環境の整備からサービスの向上までとした全体的な
計画として推進した。
今回策定を行う第二次中期経営計画では、第一次計画での成果をもとにして
事業の更なる発展を目指すこととなるが、市町国保を取り巻く環境としては平
成30年度に財政運営主体が都道府県に移管することが決定しており、当連合
会への影響がどのようになるか未知数であることも多いことから、今回の計画
では計画期間を平成27年度から平成29年度までとし、対象とする業務を主
な事業に限定し策定した。
また、事業の取り組みに関する具体的計画を策定するに当たっては、保険者
が抱える課題解決への貢献と更なるサービス向上を図るために、3つの基本方
針「精度の高い審査および確実な支払サービスの提供」
「保険者サービスの提供」
「持続可能な組織運営」を当連合会が目指すべき姿とし、取り組み内容を明確
にして目標を設定した。
なお、施策の取り組み状況や目標達成の状況に関しては保険者の職員で構成
する会議に報告のうえで評価を受けるものとし、その評価結果と諸情勢の変化
を併せて適時に内容の見直しを行うものとする。
2 計画の期間
平成27年度から平成29年度までの3年間とする。
- 1 -
Ⅱ 基本理念と基本方針
1 基本理念
当連合会は、国民健康保険制度が国民皆保険体制の中核として地域住民の医
療確保と、健康の保持増進に資するという制度発足以来の目的を常に念頭に置
き、保険者の共同体としての責務を十分に認識し、信頼と安心を基盤とした良
質な保険者サービスを提供する。
2 3つの基本方針
基本方針1 精度の高い審査および確実な支払サービスの提供
基本方針2 保険者サービスの提供
(1)共同事業の的確な推進
(2)効果的な保健事業の推進
基本方針3 持続可能な組織運営
- 2 -
Ⅲ 現状、課題と具体的な施策
1 精度の高い審査および確実な支払サービスの提供
(1) 診療報酬審査の充実による適正請求の推進
【現状】
平成25年度の平均査定率は 0.236%であり、当該年度の数値目標 0.200%を上
回った。また、支払基金福井支部(以下「基金支部」という。)との比較におい
ては、連合会 0.236%に対して基金支部 0.181%となっており、こちらも上回る結
果となっている。
(※社会保険診療報酬支払基金HP統計情報より【H25.5~H26.4審査分】
)
平成26年度の数値目標は平成25年度の上位 10 連合会の平均査定率を踏ま
えて 0.260%とし、事務共助体制の強化のため以下のように取り組んでいる。
1.高点数レセプト(60,000 点以上)の重点審査
2.医療顧問による事務共助職員育成
3.審査補完システムの点検項目の精緻化および拡充
4.審査委員、医療顧問、外部講師による研修体制の強化
【課題】
国保保険者の県単位化や保険者による事前審査という状況の変化に対応する
ために競争力の強化を図ることが必要である。具体的な強化ポイントとして職
員個々の事務共助能力および審査補完システムによる機械的チェックがあり、
これらの計画的な推進が必要となる。これに加えて、十分な審査事務共助期間
の確保をはじめとする、高いレベルの審査事務共助体制を維持するための環境
整備も必要である。
【今後の取り組み(方向性)】
・査定率の目標を表1のとおり定める。
・事務共助能力の強化・向上のため、研修体制を体系化し、育成におけるPD
CAサイクルを「研修計画立案→研修実施→効果判定→研修計画見直し」とし
て実施する。
・審査補完システムの平成26年12月時点でチェック項目数は 2,900 項目で
あり、当該月の査定率は 0.268%となっている。今後もこのチェック項目の追加
を前提とした精緻化を進めるとともに、査定と項目数の関連を分析し、効果的
なチェックとなるように努める。
- 3 -
・事務共助能力を高位平準化するため、職員毎の共助状況を疑義附箋の貼付傾
向や事務査定結果から把握し、職員間で相互に補完し合える体制を構築する。
また、医療機関毎の請求傾向や査定状況を月次で取りまとめ職員間で共有可能
なデータベースを構築する。
・審査事務共助期間を最大限確保できるようスケジュールを見直し、保険者に
信頼される審査共助体制を構築するため、職員配置の見直しによる審査事務共
助に特化した組織づくりと、業務細分化による人員の最適化を行う。
【表1】適正請求の推進に関する取り組み
項目
平成27年度
主なイベント
査定率の向上(目標値)
システムチェック
の強化
審査事務
共助体制
の強化
職員の能力向上
平成28年度
平成29年度
診療報酬改定
0.260%
0.270%
0.282%
3,000項目
3,100項目
3,200項目
・突合点検の精度向上
・診療報酬改定を踏まえた点検項目の精緻化
・査定とチェック項目の関連分析
PDCAサイクルを用いた研修の実施
検証種別:医療顧問研修、外部研修、内部研修、実地研修など
保険者ニーズ把握のた
めの企画部門の強化
事務局組織体制
の見直し
審査事務共助機能強化
のため、審査部門と請
求支払部門分離
(2) 介護給付適正化事業の充実
【現状】
介護保険者における介護給付適正化事務の支援に資するため、平成15年度
から介護保険者に適正化関連帳票の提供を開始し、うち、
「縦覧点検」の一部の
帳票については、平成21年度から共同処理業務の委託を受け、当連合会で事
業所に対し請求内容の確認作業を行い、その結果を保険者に提供している。
また、平成21年度以降も「縦覧点検」にかかる確認帳票の拡大および「医
療情報の突合」の一部の確認作業を開始するなど、適正化事業の拡大に努めて
いる。
なお、平成26年度からは新たにカスタマイズシステムを導入し、
「給付実績
- 4 -
を活用した情報提供」の一部の帳票も対象帳票に追加し、事業所への確認から
過誤調整までの一連の作業を当連合会で行うなど事業を拡充している。
【表2】当連合会が作成する適正化帳票一覧
種類
(
縦
全
覧
9
点
票
)検
と医
の療
突情
合報
(し給
付
全た
実
4 情
績
5 報
を
票提
)供活
用
目的
帳 票 名
居宅介護支援請求におけるサービス実施状況一覧表
重複請求縦覧チェック一覧表
算定期間回数制限縦覧チェック一覧表
居宅介護支援再請求等状況一覧表
単独請求明細書における準受付チェック一覧表
入退所を繰り返す受給者縦覧一覧表
不当請求等
に直結する 月途中要介護状態変更受給者一覧表
医療給付情報突合リスト
情報
(医療保険の入院と介護サービスが重複請求)
医療給付情報突合リスト
(医療保険で「在宅時医学総合管理料」、介護保険で「居宅療養管
理指導料(Ⅰ)」が重複請求)
(医療保険で「訪問看護療養費」、介護保険で「訪問看護サービス
費」が重複請求)
実地指導が
必要な事業 認定調査状況と利用サービス不一致一覧表
所の抽出
等、傾向を
把握できる
その他(44票)
情報
連合会点検開始年月
平成21年4月
平成25年10月
平成26年10月
平成26年10月
平成24年4月
平成26年10月
未点検
【課題】
当連合会で事業所からの請求内容の確認を行う中で、介護報酬の算定要件が
明確化されていないなどから、事業所の算定方法(解釈)にバラつきがある。
また、平成27年度には制度改正および報酬改定が行われることから、新た
な算定要件に対応したシステム改修が必要となる。
そのほか、事業所の傾向を確認する「給付実績を活用した情報提供」の中に
も不適正な請求が確認される帳票があるため、効果的な活用方法を検討する必
要がある。
【今後の取り組み(方向性)】
・介護報酬の算定要件については、国の参酌を基準にするなど県内統一した取
り組みが必要となる場合には、介護給付費審査委員会に諮り、事業所に周知す
る。
・平成27年度の制度改正および報酬改定に対しては、国保中央会と連携して
システム対応を行い適正な事務処理に努める。
・当連合会における適正化支援業務の更なる拡充に向けて、
「給付実績を活用し
た情報提供」の中にも不適正な請求が確認される場合があることから、平成2
7年度から帳票内容の精査を行い、効果的な活用方法を検討する。
- 5 -
【表3】適正化事業の取り組みに向けたスケジュール
年度
平成27年度
算定要件の
統一
平成28年度
平成29年度
随時介護給付費審査委員会で検討および事業所への周知
帳票内容の検証および
活用方法の検討
4月~9月
カスタマイズ
システム設計
適正化支援
介護給付費 業務の拡充
の適正化
10月~11月
カスタマイズ
システム開発
12月~2月
点検開始
4月~
制度改正・
報酬改定へ
の対応
システ
ム改修
4月
(3) 電送請求の推進
【現状】
当連合会で取り扱う診療報酬等の請求関係の情報は表4のとおりであり、そ
れぞれの請求媒体の種類は表のとおりとなっている。
平成26年12月の診療報酬請求にかかるレセプトの電送率は、医科 61%、歯
科 15%、調剤 97%、介護給付費の請求は 72%であるが、その他のものに関して最
も低いもので 0%となっている。
【課題】
診療報酬等の請求に関して審査および請求額の集計等は電算システムで行わ
れており、紙による請求はシステムに取り込むために電子情報化の処理が生じ
ている。
また、磁気媒体による請求もシステムに取り込むための作業が生じており、
効率性やセキュリティ面の問題がある。
【今後の取り組み(方向性)】
- 6 -
・対象となる医療機関等に対し、電送化によるメリットと方法を提示し、訪問・
電話連絡・パンフレット送付による勧奨を随時行う。
【表4】電送化率の一覧
種類
電送化率
媒体種類
平成27年度
平成28年度
平成29年度
医科
電送・磁気媒体・紙
62.9%
64.7%
66.5%
歯科
電送・磁気媒体・紙
16.7%
18.8%
20.8%
調剤
電送・磁気媒体・紙
98.4%
98.5%
98.6%
柔整・鍼灸
紙
―
―
―
訪問看護
紙
―
―
―
出産育児一時金
磁気媒体・紙
―
―
―
介護給付費
電送、磁気媒体・紙
75.0%
80.0%
85.0%
主治医意見書
磁気媒体、紙
―
―
―
障害者総合支援給付費
電送
100.0%
100.0%
100.0%
特定健康診査
電送・磁気媒体
8.0%
10.0%
12.0%
特定保健指導
電送・磁気媒体
8.0%
10.0%
12.0%
福祉医療費助成事業
電送・磁気媒体・紙
15.0%
20.0%
25.0%
- 7 -
2 保険者サービスの提供
①共同事業の的確な推進
(1) 電算共同処理事業の実施
【現状】
国保における電算共同処理事業は一般業務(全保険者)および特別業務(希
望保険者)として受託しており、国民健康保険中央会(以下「国保中央会」と
いう。)の開発した国保総合システムで処理を行っている。
介護保険は介護保険一拠点化システムによって審査および適正化関連帳票な
どの処理を行っている。
これらのほか、特定健診等データ管理システム、障害者総合支援システムな
どのシステムでも共同処理を行っており、これらのシステムは全て国保中央会
の開発した標準システムを基本として運用しているが、県下で統一した対応が
必要な場合にはカスタマイズにて対応している。
さらに福祉医療費助成事業に関しては、当連合会が独自に導入したシステム
で処理を行っており、これらの電算処理システムによって保険者の業務の中の
共通的な部分を効率的に実施している。
【課題】
国保中央会の開発するシステムは全国の保険者に共通した業務を処理するた
めのものであり、県内保険者が共通する要望の実現などのために、当連合会で
独自の処理が必要な場合は、カスタマイズによる対応が必要となる。このカス
タマイズの是非については、標準システムの機能等について、保険者と十分な
情報共有を図りながら検討するのはもとより、カスタマイズには当初の一時的
な経費はもちろんのこと、法改正などによる継続的な経費も必要となることか
ら、慎重な検討が必要である。
また、制度の新規施行や改正なども頻繁であり、これに伴う対応も万全に行
うことが必要である。
このほか、国保中央会の開発するシステムは5年から6年程度を周期として、
機器等の更改が生じるため、この入れ替えに伴う機器の設置、システム導入お
よび稼働試験が1年から2年程度必要な状況となっており、安定した保険者サ
ービスを提供するために万全な体制での更改実施が重要である。
- 8 -
【今後の取り組み(方向性)】
・保険者サービスの充実のため、共同事業推進委員会などを年3回の開催を基
本として定期的に開催し、制度改正などに伴う変更点の説明や共通的な要望の
集約と対応を行う。
また、次期国保総合システムの内容については、保険者への情報共有を図り、
意見集約およびカスタマイズの検討を行う一方、国保中央会には標準システム
への機能追加を適宜求める。
・平成28年度から次期国保総合システムの機器更改が始まり、平成29年度
末に本稼働を行うこととなるため、平成27年度中に更改計画を作成のうえ、
システム導入業者の選定を的確な時期に速やかに行い、万全で無駄のない導入
体制を構築する。
また、その後はシステム運用の試行を十分に行い、円滑で確実な次期システ
ムの本稼働を行う。
【表5】電算共同処理の取り組みについて
対象保険等
処理システム
平成27年度
制度改正など
国民健康保険
介護保険
国保総合システム
平成28年度
平成29年度
年3回開催
(6月、2月、予備)
年3回開催
(6月、2月、予備)
機器導入開始および
導入業者選定
運用試行
年2回開催
(8月、2月)
年2回開催
(8月、2月)
次期システムに関する保険者
との協議(適宜)
説明会、要望集約 年3回開催
(6月、2月、予備)
など
機器等更改
更改計画作成
(下半期)
制度改正など
制度改正・報酬改定
介 護 保 険審 査支 払等 説明会、要望集約 年2回開催
システム
(8月、2月)
など
機器等更改
平成31年頃予定
制度改正など
障害者総合支援
特定健康診査
障 害 者 総合 支援 給付 説明会、要望集約 年2回開催
支払等システム
(8月、2月)
など
年2回開催
(8月、2月)
機器等更改
平成31年頃予定
制度改正など
消費税率改定対応
特 定 健 診等 デー タ管 説明会、要望集約 年2回開催
理システム
など
(5月、8月)
年2回開催
(5月、8月)
機器等更改
制度改正など
福祉医療費助成事業
年2回開催
(8月、2月)
年2回開催
(5月、8月)
平成31年頃予定
難病対象疾病拡大
(7月施行)
福 祉 医 療費 助成 事業 説明会、要望集約 年1回開催
共同処理システム
(5月)
など
年1回開催
(5月)
機器等更改
年1回開催
(5月)
予定なし
- 9 -
(2) 第三者行為損害賠償求償事務の収納率向上
【現状】
平成9年4月から医療費等の適正化と保険者事務の軽減を目的に、交通事故
を対象に共同処理を開始しており、平成25年4月からは交通事故以外の案件
にも対象範囲を広げた。
近年は、交通事故数の減少の影響もあり取扱件数および求償額とも減少傾向
にある。
【課題】
交通事故の減少により取扱件数自体が減少している。
また、交通事故以外の案件(ケンカ等)や、掘り起しによる被害者の過失割
合が高い(不利な)案件も取り扱うことから、多様な案件への対応が求められ
るが、判例のない案件など、過失割合の判断が困難な場合や高度な交渉技術が
求められる。
【今後の取り組み(方向性)】
・求償額の目標を表6のとおりとする。
・次の取り組みを行うことで、事故案件の減少率より求償額の減少率を緩やか
に抑え医療費の適正化に努める。
■介護保険の掘り起し強化(求償システムによる介護突合機能の活用)
■各保険会社の協力による案件の掘り起し体制の構築
・求償専門員配置等により交渉技術の向上を図り、医療費適正化へ取り組むと
ともに、平成28年度を目途に、保険給付の範囲を明確にするための示談にお
けるガイドラインを作成する。
【表6】福井県内の事故状況と求償額の目標
平成27年度
交通事故負傷者数(福井県) ※
前年度比 ※
収納見込件数
収納見込額(平均66万円/件)
平成29年度
2,768 人
2,577 人
93.12%
93.12%
93.12%
305件
284件
264件
201,300,000 円
187,440,000 円
174,240,000 円
24件
30件
36件
介護突合による掘り起し目標件数
掘り起しによる見込額(平均78万円/件)
求償額目標
平成28年度
2,972 人
18,720,000 円
23,400,000 円
28,080,000 円
220,020,000 円
210,840,000 円
202,320,000 円
※福井県警統計資料「交通事故発生状況」の平成21年度~25年度の減少率(前年度
比)からの推計。
- 10 -
②効果的な保健事業の推進
(1) 効率的な疾病予防対策に向けた保険者支援
【現状】
平成25年度から従来の医療費統計資料の提供に加えて、情報活用および国
保データベースシステム(以下「KDB」という。)の稼働に伴い、年4回程度
の生活習慣病予防対策研修会を実施し、KDBから提供されるデータを保健事
業につなげるプロセスについて、各保険者の保健師等が習得する機会を提供し
ている。
また、県健康増進課の「わがまち健康づくり推進プロジェクト研修会」と連
携し、研修会の合同開催を行っている。
【課題】
当連合会が行う医療費等データの提供およびその活用方法に関する研修会の
開催については、県健康増進課が主催する「わがまち健康づくり推進プロジェ
クト研修会」と一部内容が重複しており、今後、県との連携強化を進めること
により、保険者にとってより効果的な研修会となるよう検討する必要がある。
また、KDB導入では、国保中央会への負担金や運用のためのコストが新た
に生じており、現行では審査支払手数料を財源としているが、これらの財源を
明確にするため、保険者からの負担金徴収などを検討する必要がある。
これらのほか、保健事業は費用対効果が見え難いということや、各保険者の
ニーズに合わせた連絡調整、モデル支援の実施などといった個別性の高い事業
が多く、要望の集約調整や経費の負担を保険者に求めるのが難しいという課題
がある。
【今後の取り組み(方向性)】
・保険者が、健康・医療情報を活用してPDCAサイクルに沿った効果的かつ
効率的な保健事業を展開できることを目標とし、平成27年度からは、KDB
を活用した医療費等データの提供とともに、データを活用して既存事業の現状
分析を行い、それらの分析結果を踏まえて効果的な保健事業を展開できる研修
を実施する。
さらに、平成28年度からは、保険者が実施した保健事業データを用いて評
価するためのスキルアップを目的とした研修を実施する。
また、保険者間や制度間における被保険者の異動に応じた継続的な保健事業
が実施できるよう、県健康増進課が行う研修事業との連携を強化する。
- 11 -
・各保険者から保健事業に関する経費を徴収するためには、経費負担に対する
保険者の合意が得られるように要望に合い且つ質の高いサービス提供が求めら
れることから、定期的な要望集約と事業評価による満足度の可視化を図り、ニ
ーズに応じた事業展開に努める。具体的には、平成27年度に要望集約や評価
に関する手法を確立し、平成29年度からの経費徴収の実現に向けた合意形成
を図る。
- 12 -
3 持続可能な組織運営
(1) 手数料の適正化
【現状】
審査支払手数料等は平成24年に実施した手数料見直し結果の保険者報告の
際に、以降は3年ごとの見直しをすることで同意を得ており、平成25年度か
ら平成27年度までの国保診療報酬審査支払手数料、後期高齢者医療給付審査
支払手数料および介護給付費審査支払手数料は表7のとおりである。
また、手数料見直し時期以外の年度においても、7月の決算後に財務分析を
実施し、10月頃に保険者等に対して分析結果の報告を行っている。
後期高齢者医療に関しては、広域連合に保険者等とは別途に報告を行ってお
り、その中で次年度手数料を申し合わせている。
【表7】審査支払等手数料
年度
単価
国保
後期高齢者
介護保険
平成25年度
62円81銭
95円00銭
87円25銭
平成26年度
62円81銭
88円00銭
87円25銭
平成27年度
62円81銭
85円00銭
87円25銭
【課題】
保険者の財政状況が非常に厳しいことから、当連合会としてもコストの削減
に努め各種手数料の見直しを図らなければならない。
また、当連合会として安定的経営を行うことも必要であり、消費税率の引き
上げや国保中央会への負担金増加など今後も経費の増加が想定されることから、
保有する積立金資産の運用、経費削減の強化、実施する事業の数やレセプト件
数の動向など全体的な状況を踏まえて手数料を検討することが必要である。
そのほか、厚生労働省の昭和56年通知の指導により、手数料の設定をコス
ト相当額で行うことの徹底を求められており、剰余金が生じた場合の対応を的
確に行う必要がある。
【今後の取り組み(方向性)】
・経費の削減のために業務の効率化および経費の抜本的検討に取り組み、適正
な手数料の設定を行う。
・平成27年度に次の3か年の手数料を設定することから、この検討時には収
入の予測と想定される経費の把握を的確に行うほか、取り組むべき業務の効率
化や見直すべき経費の洗い出しを徹底し、各年度の事業立案時にはこの対応を
- 13 -
図った予算作成に努める。
・平成28年度および平成29年度は、当連合会の経営状況を把握するため、
財務諸表等を活用した決算分析および次年度に必要となる経費の算出を行い、
安定的な運営と状況に応じた対処を図る。
・決算時に剰余金が生じた場合は、収益状況の判定を行い、その結果、収益が
生じていた場合は、厚生労働省の指導に基づき実費弁償方式により保険者への
手数料請求額から剰余金分を相殺する。
【表8】手数料設定と経営分析の実施
平成27年度
平成28年度
平成29年度
コスト分析
9月まで
手数料設定
保険者への報告
10月頃
手数料決定
2月末
財務分析
前年度決算確定
前年度決算確定
7月末
7月末
経営とコストの分析
経営とコストの分析
9月まで
9月まで
結果報告
結果報告
10月頃
10月頃
(2) 職員の資質向上
【現状】
国保中央会等が毎年実施する職責ごとの年齢階層別研修、広報・国保制度に
関わる専門研修に計画的に職員を派遣し受講させているほか、外部講師や職員
を講師とした内部集合研修を計画的に実施している。
また、職員が自ら積極的に資質の向上のために資格の取得を目指すことを奨
励するため、福井県国民健康保険団体連合会職員自己研鑽奨励事業実施要綱(平
成21年4月1日制定)に基づき、費用補助を行っている。(これまでの実績は
医療事務資格取得者3名である。)
- 14 -
【課題】
個人情報保護やコンプライアンスといったテーマについては、顧問弁護士か
ら事故防止の観点から反復学習の重要性が指摘されている。
研修の効果測定や受講者の実践度合いの把握が明確でなく、研修計画が一律
となっているため、職員の習熟度合も考慮した計画の立案が必要である。
職員自己研鑽奨励事業の利用実績は、平成21年度の事業開始から3名に留
まっている。平成23年度に行ったアンケートでは9割の職員が制度を利用し
たいと回答しており、要望を受けて平成22年度および平成23年度と制度の
拡充を図ったが、積極的な利用には至っていない。
【今後の取り組み(方向性)】
・平成27年度からの職員育成研修計画は表9のとおりとする。
・個人情報保護およびコンプライアンス研修は弁護士の指摘を踏まえ、毎年継
続して実施する。
・研修による効果の追跡・把握のために、受講職員に対し半年後程度を基準に
研修内容の実践度合いに関する確認を調査票する。この結果を計画の見直しや
内容の企画時に反映して、研修効果を向上させる。
・職員自己研鑽奨励事業の利用促進を図るため、適宜アンケート調査を行い、
要望の収集と利用しない要因の分析・改善を図る。
【表9】職員研修計画
研修名
平成27年度
平成28年度
平成29年度
新任者研修
○
○
○
目標管理制度研修
○
―
―
人事交流研修
法制執務研修
○
○
○
―
○
―
コンプライアンス研修
○
○
○
関係法令研修
○
―
○
ハラスメント研修
―
○
―
モチベーション向上研修
職員意識改革研修
―
―
○
―
―
○
ビジネスマナー研修
○
―
―
企画立案研修
―
○
―
メンタルヘルス研修
○
○
○
ライフプラン研修
財務会計研修
―
―
○
―
○
―
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(3) 情報セキュリティの管理
【現状】
静脈認証により開錠する自動施錠システムの導入と監視カメラおよび入退室
履歴管理を導入して、事務局内への入退室の制限と管理を行っている。
また、遵守項目を定めた自己申告形式による情報セキュリティ維持のための
自主管理を実施している。
これらのほか、情報セキュリティに関する研修などを開催して、啓発と意識
の向上を図っている。
情報機器での作業環境に関しては、数種類のファイアウォールの導入を行い、
外部からの不正アクセスに備えているほか、ワイヤーロックによる機器の持ち
運びに制限をかけている。
【課題】
情報セキュリティの維持と向上に関する理解や実行の程度に差があり、情報
セキュリティのリスク増加の要因となっている。
また、情報技術の著しい進歩による機器や技術面での対策を随時必要とする
ほか、職員の知識向上も随時必要とする状況である。しかし、自己申告による
自主的な管理は形骸化の兆しが見えており、環境の再整備が必要である。
なお、情報セキュリティの維持について有効性や確実性を対外的に示す企業
認証を取得しておらず、これについても取得の検討が必要である。
【今後の取り組み(方向性)】
・平成27年度で静脈認証などの入退室管理システムが保守期限を迎えること
から、これの更改を遅滞なく行う。
・情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)
(以下「ISM
S」という。)の認証取得と維持を表10のとおり行う。
・ISMSの認証取得に合わせて、職員のセキュリティ意識の向上を図り、認
証後監査のための自主監査によりこの意識の維持を図る。
・情報機器の作業環境については、これの運用を受託している電算会社と年に
2回、セキュリティリスクに関する確認を行い、必要に応じて対処を行う。
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【表10】情報セキュリティ環境の整備
平成27年度
平成28年度
平成29年度
仕様作成
7月
業者選定
入退室管理システ
ム更改
8月
更改作業
10月末
新システム稼働
11月
ISMS認証取得と監
査対応
導入支援業者選定
内部審査
内部審査
4月
随時
随時
審査準備
外部審査
外部審査
11月末
11月頃
11月頃
文書審査
12月
現場審査
2月
認証取得
3月
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Ⅳ 計画の評価
1 計画の評価
計画の実施状況報告および評価を次のとおり行う。
・実施状況報告
各年度の2月頃開催の市町担当課長協議会にて報告を行う。
・評価
福井県国民健康保険団体連合会事業推進意見交換会議にて評価を行う。
なお、評価において情勢の変化や達成状況により、計画の見直しが必要と
なった場合は、実施状況報告の場において変更した計画を提示する。
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