平成25年1月15日開催 委員会概要 (PDFファイル/175.79

第 2 回えびの市公共工事入札・契約監視委員会議事録概要
開催日時
平成25 年 1 月15日(火)
場
宮崎グリーンホテル
所
出席委員
午後2時より
中会議場
井出真弓(社会保険労務士)
海野理香(税理士)
大塚孝一(公認会計士)
中澤隆雄(宮崎大学名誉教授)
町元真也(弁護士)
1.報告事項
(1)第1回委員会の意見に対する回答
委員会の意見
ア 指名競争入札を行っていることについて、対外的に説明がつくよう市の考え
方を整理すること。
イ 落札率が高いことについて、他市町村を調査すること。
ウ 過去のデータを整理すること。
回答
アについて
・市内業者の育成
・市民の働く場の確保
・山間部での工事も多いため、地理・地形に詳しいこと
(背景として)
えびの市の人口は、平成24年7月1日現在で2万1千人を下まわり人口
の流出や少子・高齢化が進んでいる状況である。
このような中、市内建設業者は、40数社でしかも小規模の業者が多数を
占め、地域の経済や雇用を支えている状況であり、また、緊急時のライフラ
インの維持管理、災害復旧等に不可欠な役割を担っている。
よって、これらの建設業に係わる業者育成や市民の働く場の確保をするこ
とで人口の流出に歯止めをかけ、災害対応等に支障がないように現状を維持
する必要がある。
その他、当市は林野面積の割合が約7割を占めており、これらの地域での
工事施工箇所も多いため、市内の地理・地形・土壌に詳しい業者による工事
施工が望まれる。
イについて
県内九市の落札率は、えびの市より高い市が3市、低い市が5市である。
ウについて
平成21年度から平成24年度上半期の工事種類ごとに整理した。
(委員)他市の一般競争入札の状況はどうなっているのか。
(市) 宮崎市6千万円以上、都城市3千万円以上、延岡市8千万円以上の建築工事
と6千万円以上のその他の工事、日向市1.5億円以上、小林市3千万円以上
の土木工事と5千万円以上の建築工事、西都市3千万円以上、日南市5千万円
以上、串間市2千万以上の建設工事となっている。
(2)入札・契約手続きの運用状況について
(委員)再度入札に付した案件の随意契約の実情はどうなっているのか。
(市) 地方自治法施行令第167条の2第1項第8号の規定により随意契約したも
のである。当市の場合は、再度入札における応札価格と予定価格の税抜き価格
の差が5%以内の場合で、最低価格で応札した者から見積を聴取し、その金額
が予定価格の税抜き価格内であれば随意契約をしている。
(委員)指名競争入札の理由として 3 つあるということだが、えびの市の業者以外の
業者が参加することはあるのか。
(市) ほとんど市内の業者だが、市内業者でできない工事や業者数が少ない場合に
指名することがある。
(委員)市外業者を指名する理由も指名競争入札をする理由にあったほうが良いので
はないか。
(市) 持ち帰って協議し、次回の委員会で報告させてもらいます。
(3)談合情報について、市の対応状況等に関すること。
該当なし。
2.審議事項
○事案 1 「平成 23 年耕地災 第 209-1025 号
長牟田地区水路復旧工事」
抽出理由:第 1 回の入札について落札者のみ他の応札者よりかなり低くなっており、
再入札についても他の応札額がほとんど同額となっていることについての経緯に
ついて。
(市) 抽出理由について、災害復旧工事であり現場は非常に厳しいところである。
よって、入札結果を見る限りにおいては落札業者のみが受注意欲を示したも
のと感じている。応札額については、第1回目の入札が不調に終わったという
ことで、1回目の最低応札額が公表され、再度の入札で1回目の最低応札をし
た業者が落札しているものである。
(委員)指名業者の指名手続きはどうなっているのか。
(市) 指名審査会の中で「指名競争入札に関する入札基準格付け表」というのを定
めている。平成24年4月1日から平成26年3月31日まで市に指名願いが
出ているものを県の書式にのっとり審査し、土木工事、建築工事、電気設備工
事、給排水工事、建築解体工事、屋根板金工事、管工事、造園工事、舗装工事、
災害復旧工事において格付けを定めている。
災害復旧工事については、市内建設業者が33社あり、これを5組に分けて
いる。それぞれAランクを1者、Bランクを1者から2者、残りのCランクを
5組に分けて1組にしている。基本的には1千万円以下の工事はこのとおりで
指名するが、1千万円以上は県の基準に沿って指名をしている。
(委員)5 組に分けて指名を行っている事例が他市町村でもあるのか。
(市) 他市町村のことは把握していない。
(委員)本事案の落札業者以外は、次回からの指名について何か影響があるのか。
(市) 影響はない。この工事は不落になった案件で指名替えをして入札したもので
あり、暗黙的に外の業者は取る意思を見せなかったと推察する。
(委員)5 組の指名方法はどうなっているのか。
(市) 順番に指名を行っているが、年度末には受注額等も考慮して平準化するよう
にしている。
(委員)基本的に各業者が均等に受注してもらいたいというのが方針ということで良
いのか。
(市) そうである。
(委員)優れた技術提案をしたところを優先しようとか、そこまでは求めていないと
いうことで理解していいのか。
(市) そうである。
○事案2 「平成 24 年度 市道京町王子原線道路維持工事」
抽出理由:落札率が 99.77%と高く、他者が入札書比較価格を超えていることについて、
経緯をお聞きしたい。
(市) 工事積算に関する情報の開示、積算システム等により応札額の精度が向上し
ている状況である。このような状況で可能な限り利益が見込めるように応札し
たものと推察する。
(委員)労務単価をどのようにするかで違ってくると思うが、入札参加者が見積もる
労務単価は均一になっているのか。
(市) 9 千から 1 万円で積算されていると思う。
(委員)各業者が積算した中で競争し、たまたま予定価格ぎりぎりのところで落札す
るので落札率が高くなるということか。
(市) 落札率を見ると高いかもしれないが、案件によっては利益の計算をし、落札
できなければあきらめるという入札もある。
○事案3 「既存飯野出張所解体工事」
抽出理由:最低制限価格以下で応札した業者が 4 者中 3 者あり、落札者の応札額が著
しく高くなっており、市の積算が適正であったのかを含めて理由を知りたいため。
(市) 解体工事の市の一般的な考え方として、積算については市、コンサル及び業
者とも非常に難しいと考えている。理由として、解体工事の積算基準が無いこ
と、物価版等による記載が少ないこと、解体物件は古い物が多く図面等が残っ
ていないため数量の拾い出しが難しいこと、産業廃棄物処分場を保有している
業者と持っていない業者で処分費に差異があることなどが上げられる。
また、発注者としては、建設工事に係る資材の再資源化に関する法律が施行
され、手作業による分別解体をする必要が有り、処分場までの輸送費や産業廃
棄物の処理費を細やかに計上する必要が出てきた。
このような中で、今回の入札に係る工事積算の再検討をした。数量、市場単
価及び諸経費については、国土交通省の既存建築物についての経費率を参考に
しているため、適当と判断をしたところである。
ここからは推察になるが、積算の難しい中でぎりぎりの積算をした公共工事
を受注したい業者とある程度の利益率を考慮した業者との差が応札額に現れた
と思われる。
(委員)積算が難しいという中で適正な積算ということだが、予定価格 600 万円ほど
の工事で落札者と他の 3 者が 100 万以上の差が有るということはおかしいので
はないか。
(市) 解体工事の 8、9 割は民間事業で発注者は安ければ良いという中で、数をこな
すことで利益を上げる考え方が働くので、民間レベルで採算が取れるぎりぎり
の解体工事ということで積算をしたのではないか。公共工事あるいは民間工事
で積算をするのかで差が出てくるのではないかと思う。
(委員)4 業者が処分場を持っているかどうか把握しているのか。
(市) 2 社が処分場を持っている。
(委員)最低制限価格はいくらか。
(市) ○○○○円である。(最低制限価格は非公開)
(委員)解体工事で一般廃棄物は出てくるのか。
(市) 解体工事では大きく分けて有害、コンクリート、木材及び混合ごみが出てく
る。
(委員)解体工事は市としての実績はあるのか。
(市) 年に 1 回程度ある。
(委員)事案 1 の工事で指名の組分けをしているが、この工事で組分けをしているの
か。
(市) 建築解体工事では、この 4 者だけである。
○事案4 「平成 24 年度 飯野出張所駐車場整備工事」
抽出理由:他の工事は、落札率が 95%程度のものが多数となっている中で、落札率が
82.78%と低くなっている理由を知りたいため。
(市) 駐車場の舗装工事であり、道路舗装と比べて信号機、交通誘導員等を必要と
しない。また、舗装箇所も1箇所に集中しているので施工監理も行いやすく、
工期の短縮が見込められるため、競争が激化したものと推察するところである。
(委員)格付けはどうなっているのか。
(市) 舗装工事につきましては 300 万円以上と 300 万円未満に分けてある。この工
事の予定価格は 489 万円であるので 300 万円以上のこの 4 者を指名していると
ころである。
(委員)積算のシステムがあるのにこんなに差が出るものなのか。
(市) 市内 A ランクの業者であり積算のミスは無かったと思うが、好条件の現場で
利益を確保し入札に臨んだ結果だと思う。
(委員)舗装材料等の種類は指定してあるのか。
(市) 指定している。
(委員)駐車場の舗装基準とかは決まっているのか。
(市) 決まっている。
(委員)最低制限価格はいくらか。
(市) ○○○○円である。(最低制限価格は非公開)
(委員)県の最低制限価格は予定価格の大体 90%、コンサル業務は大体 80%になって
いるが、決まっているのか。
(市) 建設工事は 80%から 85%で、委託業務については 80%である。
○事案5 「上江小学校校舎(17 号棟)外壁防水塗装工事」
抽出理由:随意契約の理由について「時価に比して著しく有利な価格で契約をするこ
とができる見込みのあるとき」とあるが、有利であれば予定価格に対する契約金
額は低くなると考えられるところ、落札率が 98.41%と高くなっている。
(市) 本工事については、別件発注の耐震工事に付随する工事で、通常であれば設
計変更で対応する工事である。耐震補強工事を平成 23 年度の繰越予算で実施
しており、予算額が無かったため平成 24 年度の予算で別途発注をしたもので
ある。
耐震補強工事では足場を組んで工事を行っており、外壁防水塗装のための足
場費用が削減されるため補強工事の請負業者と随意契約をしたものである。足
場費用は、諸経費を含め約 158 万 9 千円となり、これを含めると工事積算額が
291 万円となる。今回の落札額から落札率を換算すると 44.67%になるものであ
る。
(委員)随意契約を締結するときの発注額に限度は設けているのか。
(市) 設けていない。
(委員)各自治体の契約の基本的な考え方は競争入札で有り災害対策など緊急以外は
随意契約も有りうるが、それでも随意契約は限度を設けるという流れになって
いるが。
(市) 今回の場合は足場を組んでいたということで随意契約を行ったわけである。
市の財政健全化ということで、これまで随意契約が多かったため、なるべくや
めるということにはなっている。
(委員)予定価格はどう設定したのか。
(市) 本件工事の予定価格は、足場代を除いて設定したものである。
耐震補強等工事の内容としては、外壁を高所作業車により調査した数量に基
づいて発注したものである。この工事の中に塗装も入っていたが、実際に足場
を組んで調査したところ外壁の浮きが当初計画より多くあったものである。設
計変更により対応すべき事案だったが、耐震工事は 23 年度繰越による工事であ
り塗装工事を行うには予算が無かったため耐震工事を優先したものである。よ
って、平成 23 年度予算ではあるが、平成 24 年度に工事をしていますので、そ
の予算を外壁の改修に使ったため、平成 24 年度の予算で新規に本件工事を行っ
たものである。
3.市長に対する意見等
(1)市外業者を指名するに当たって、その理由を整理すること。
(2)落札率が入札制度改革の前後どのような推移になっているか整理し、どのような
効果が現れたか検証すること。また、それにより今後どのようにしたら入札制度
の充実を図れるか検討すること。
(3)健全な業者育成のため、どのような発注体制をとるか検討すること。