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道明三保子
民族衣装は、着ている人がどの民族ある
形や様式化された立ち木や花文などの刺繍
いはどの地域に属するかを見分ける標識と
で隙間なく埋める。この部分を見ればどの
しての役割を持っている。西アジアでは、
ヘルに属するか一目瞭然であり、着る人の
女性のドレスにしばしば見られる胸の部分
集団に対する帰属意識を高めるものでもあ
の刺繍装飾が標識に使われた。この地域の
る。胸元やスカート部分の腰の中心や脇に
衣服は、遊牧民の移動生活にも適する、頭
は、ワッテと称するビーズで作られた円形
からかぶるゆったりした貫頭型の形式が伝
装飾等が縫いつけられている。これは女性
統であった。女性の場合、これにヴェール
にとって大切な部分を守るお守りの役割を
をかぶることが多いので、隠れてしまう背
果たしている。
中や脇よりも、もっとも目立つ胸の部分に
一方、胸の矩形刺繍装飾は、イスラエル
装飾のポイントがおかれた。 建国以前のパレスチナ地域では、民族や宗
アフガニスタンの人口の大部分を占める
教による違いでなく、地域による特色が見
パシュトゥン族の中で、主要民族であるギ
られたことも指摘しておきたい。
ルザイ・パシュトゥン族は同一の祖先を持つ
このように民族衣装にはさまざまな意味
ヘルという集団に分かれている。このヘル
が込められているが、各地域の人々が難民
ごとに女性の胸のガレワンと呼ばれる矩形
となり故郷を離れると、胸の刺繍装飾に見
刺繍に特色が見られる。あたかも民族の旗
るような各地域や民族の独自性も次第に失
のように誇らしげに見えるこの部分は、女
われていくのも現状である。
性たちが最も心を込めて民族の伝統文様を
どうみょう みほこ
く けい
刺繍し、美しく堅牢に仕上がっているので、
他の部分を取り替えても生涯使い続ける。
矩形の中を、菱形や矩形などの幾何学図
ギルザイ・パシュトゥン族ミリアニ・ヘルの
女性(撮影:松島きよえ)
文化女子大学教授。東京大学人文科学研究科大学院修
士課程修了。アジア染織史・服飾史を専攻し、アジア
各地を現地調査。現在放送大学で『アジアの風土と服
飾文化』の講座を担当。
ギルザイ・パ シュトゥン 族
マラ・ヘル のドレス
(文化学園服飾博物館蔵)
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瀧本めぐみ(文化協力課主任)
心づくしの朝食
2004 年夏、第9回太平洋芸術祭を目的に
思ったが、中学生の娘さん1人の他は、親
け気づかってくれる。
パラオ共和国の首都コロールを訪れた。世
戚の子である兄弟何組かで、近所にある親
食事は含まれていないと聞いていたが、
界のダイバーが憧れる美しい海をもつ観光
戚の家を自由に行き来していることが分か
一泊した翌朝、そのおばあさんが「あなた
地ではあるが、人口2万人の小さな国。国
ってきた。ひと組の兄弟のお母さんは、ハ
さまに」と勧めてくれたのは、フライドチ
を挙げての大イベントにホテルは足りず、
ワイで働いているとのこと。別居はしてい
キン、フライドフィッシュ、漬け物のよう
私は、観光局の親切な女性職員の紹介で、
ても大家族がゆるやかに助け合っている。
なサラダと、蒸したタロイモにまっ白いお
一般家庭にホームステイする機会を得た。
奥さんかと思った女性は、実はサカイさん
にぎり、たくあん。これが典型的朝食かは
迎えに来てくれたのは、その家庭の主、
のガールフレンドで、彼女も近所にある自
不明だが、おにぎり、たくあん、いなりず
サカイさん。これは姓ではなく、名前で、
分の家との間を行き来する。みんなで居間
しなどは他でもたびたび目にしたので、普
日系ではなくても子どもに日本名をつける
でテレビを見ているときに教えてくれた。
通に食卓に上るのは確かなようだ。ボリュ
パラオ人は珍しくないそうだ。家には、高
サカイさんの亡くなったお父さんは、日
ームの多さと、あまりのしょっぱさに閉口
齢のお母さんと奥さんらしき女性の他、子
本統治時代に日本の初等教育を受け、日本
し、顔で笑って心で泣いて…。おばあさん
どもたちが居間に常時3∼6人いるが、そ
語を流暢に話したそうだ。お母さんは片言
の気持ちと丁寧な日本語が嬉しくて、私は
ながら「ごはん食べた?」
「味があるか?」
必死で平らげたのだった。
の家で寝る人の数と顔ぶれが毎日違う。
「い
ったいこの家の住人はだれ?」と不思議に
(おいしい?という意味らしい)と話しか
ACCUニュース No.347 2005 新年号
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