924 かっぱ

月
日( No .
) 「 かっ ぱ 」 ( 1 2 分 )
内容と 一致する も のに T 、 一致 し ない も のに F と 答えな さ い 。
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It was during the Genroku period [1688-1703] that a bonesetter* named
Takatori Unsho-an lived at Hakata in the province of Chikuzen. His wife was a
daughter of Miyake Kakusuke, a masterless samurai in Higo. She was noted not
only for her surpassing beauty but also for her accomplishments.
Late one night it happened that while she was in the toilet, she felt some
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strange hand touch her buttock*. As she was a stout-hearted woman she did not
become too upset but shouted: “Rascal*!”
Then she saw in the moonlight a strange, hairy little man running away
toward the river side. Nothing else happened that night. The next night the wife
went to the toilet with her precious short sword. While she was in the toilet the
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strange creature appeared and repeated his action of the night before. The wife
cried out: “Rascal!” and she cut off its hand with one stroke of the sword. The
strange creature ran away shrieking with pain. The next morning the wife told
her husband all about what had happened and showed him the creature’s hand
she had cut off. It was webbed and looked something like a snapping-turtle’s* foot.
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After examining it carefully, Unsho-an said to his wife: “Fine, fine! It’s a
wonderful thing. This is a kappa’s hand. A kappa must have fallen for you.
Anyway you did very well. A kappa’s hand is a rare thing.
“How disagreeable to think of being loved by a kappa! Don’t say such a
thing,” said the wife, glaring at the husband. But soon she softened her
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countenance and asked: “Is it really a kappa’s hand?”
That night a voice was heard by the head of Unsho-an’s bed. It said: “Give me
back my hand.” Unsho-an was not a mere doctor, but a samurai who attended the
lord. He took up his bow* from the tokonoma and plucked* the string. Then the
voice stopped. The next night and the next, the same voice was heard. By the
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third night Unsho-an was tired of hearing it, so he spoke to it saying: “What can
you want with your hand which was cut off a few days ago?”
“Your question is reasonable in the human world, but it is different with us.
We kappa can join a hand to the arm however cold it may become, and when we
join it, it will perform just as well as it ever did. So please give it back to me, I
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pray you,” said the kappa, showing himself before Unsho-an and bowing down his
head. On hearing this, Unsho-an thought to himself: “He speaks pleasingly. I will
see how he sets bones.” So then he said to the kappa: “In truth, I determined to
kill such a rascal as you on the spot with my sword the moment I saw you. But
now I will return your hand to you, provided you show me how you set broken
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bones.”
“That is an easy thing”, said the kappa, and on receiving his dead-cold hand,
joined it skillfully to his arm before Unsho-an’s eyes. The samurai watched the
kappa’s action with keen interest, murmuring: “That’s good, that’s good.” Then
the kappa thanked him and disappeared.
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The next day there were two big fish on the fence of Unsho-an’s garden. He
knew that the kappa had brought them out of gratitude, and he enjoyed eating
them with his wife. From that time on he practised the method of bonesetting
which he had learned from the kappa, and gradually he became a famous
bonesetter. His family prospered* for a long time and this method of bonesetting
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was passed on from one generation to generation.
*bonesetter; 骨接ぎ / *buttock: 尻 / *rascal: いたずら者 / *snapping-turtle: スッ
ポン / *bow: 弓 / *pluck: はじく / *prosper: 繁栄する
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1.
雲照庵の妻は、美しいことで知られていた。
2.
雲照庵の妻は、便所で三日つづけてお尻をさわられた 。
3.
雲照庵の妻は、自分のお尻にさわった手を小刀で切断した 。
4.
妻が雲照庵に事情を話すと、雲照庵は嫉妬して怒った。
5.
自分にさわったのはカッパだと雲照庵に言われ、妻は驚いた。
6.
カッパは自分に気があったに違いないと雲照庵に言われ、妻は赤面した 。
7.
カッパは手を返してくれるように、妻に頼んだ。
8.
カッパは、手をつなげると前と同様に動くようになると言った 。
9.
雲照庵は、カッパが手をつなげる様子を仕草を興味深げに見ていた。
10. 雲照庵は接骨術で有名になり、子孫は代々の家業とした 。
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1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
Class:
70
No.:
Name:
Mark:
/10
70
出題:
愛知大
出典:
解答:
75
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1.
T < l.7.
2.
F < l.9., l.13. 二日さわられた。
3.
T < l.15.
4.
F < l.17. ほめた。
5.
F < l.21. 記述はない。
6.
F < l.21. 記述はない。
7.
F < l.26. 雲照庵のところへ来た。
8.
T < l.33.
9.
T < l.41.
10.
T < l.47.
研究:
l.39. provided: 「もし∼すれば」
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和訳:
元禄年間 (1688-1703) 、筑前の国博多に高取雪照庵という骨接ぎがおった 。 妻は肥
後の浪人三宅角介の娘であった。同女は類まれな美貌のみならず、そのたしなみによ
っても知られていた。
ある夜、同女が手洗いに入っていたところ、えたいの知れぬ生き物が手で尻に触る
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のを感じたのだった。気丈な女性であったので、大して驚きもせず、「このいたずら
者!」と叱った。
すると、月明かりに、奇妙な、毛むくじゃらの小男が川岸の方へ走り去るのが見え
た。その夜はそれきり何も起こらなかった。次の夜、同女は手洗いに立つとき、大切
な短刀を携えて行った 。 用をたしていると、例の気味の悪いものが現われた。昨夜と
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同じこと繰り返すのであった。同女は、 「 悪戯を止めぬか! 」 と言いつつ、刀を振る
ってその手を切り落としたのであった 。 えたいの知れぬ生き物は痛みに耐えかねて叫
びつつ走り去った。翌朝、同女は夫に起こった事の一部始終を物語り、切り落とした
手を見せたのだった 。 それには水かきがあり、なにやらスッポンの足に似ていた 。
それを丁寧に調べて、雲照庵は妻に言った。 「 でかした、見事じゃ!素晴らしい。
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これは河童の手じゃ 。 河童はそなたにぞっこんなのじやろう。それにしても、よくぞ
やった。河童の手などというものは滅多に手に入らぬものなのじゃ。 」
「河童が私にぞっこんなど、考えるだに厭わしゅうございます!
そのようなこと
申してくださいますな 。 」と言いつつ、同女は夫を睨むのであった。だが、じきに顔
付きを和らげ、 「 本当に河童の手なのでございますか 。 」 と、尋ねた 。
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その夜、雲照庵の枕のあたりで声がして、 「 手を返せ 。 」 と言った 。 雲照庵はただ
の医者ではなく、主のある侍であった 。 床の間から弓を取ると、弦をぴゅんと鳴らし
たのであった 。 すると、声が止んだのだった 。 次の夜もまたその次の夜も、同じ声が
した。三日目の夜になると、雲照庵は聞くことに飽きて、声に向かって言ったのであ
った。 「 切り落とされてもう数日になろうというのに一体何の用があるのじゃ。 」
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「 人間界の話であれば、ご不審はごもっともでございますが、私共の世界ではさよう
ではございません 。 私共河童には、いかに冷たかろうとも、手を腕に接ぐことが出来
るのでございます 。 腕に接がれた手は、以前に変わりなく立派にその役目を果たすこ
とが出来るのでございます 。 さような訳で、どうか手をお返しくださいますよう、お
願い申しあげます 。 」 と、河童は雲照庵の前に姿を現し、頭を下げたのであった 。 河
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童の言葉を耳にして、雲照庵は、 「 こやつの話は面白い 。 どう骨を接ぐものか、見て
やろう 。 」 と , 秘かに思ったことであった 。 そこで、河童に向かって、 「 実を申せ
ば、そちのような悪い輩は目にしたとたんに切り捨ててくれようと、思っておったの
じゃ 。 じゃが、手は返してやろう。ただし、それには、わしの目の前で折れた骨を接
いで見せてくれねばならぬ。 」
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「 それならばお安い御用でございます。 」 と言って、河童は、すっかり冷たくなっ
た手を取って、雪照庵の目の前でそれを巧みに腕に接いでみせたのであった 。 雲照庵
は河童のすることに大いに興味をそそられ、じっと見守りつつ、 「 よし、よし 。 」 と
つぶやいたのである 。 事が終わると、河童は雲照庵に礼を言って、姿を消した 。
翌日、雲照庵の家の庭の塀に大きな魚が二匹置かれてあった。河童がお礼に持って
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きたものだと、雲照庵には分かったので、妻と二人で賞味したのだった 。 それから以
後、雲照庵は河童に教わったやり方で接骨を行ない、次第に有名になっていった。家
は長く栄え、その接骨術は子子孫孫に伝えられたのであった。
備考:
キーワード:
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日本文学