Space Designer 検定試験 作品審査総括 当試験は、インテリアパース、提案書といった専門知識を求められる、かなりハードルの高い試験内容で あるにもかかわらず、受験者の方々は、意欲的に作品の製作に取り組んで頂き、その姿勢は賞賛に値す るものである。 基礎課題では、特に、課題図面の読み取りが評価の中心となっているが、コーナーウィンドウなどの建具 納まりについて不正確なモデリングが目についた。このような納まりを細かなことと考える方もいると思うが、 インテリアイメージに影響を及ぼすため、課題図面に近い納まりに見えるよう、図面を理解し、しっかりとモ デリングしてほしい。レンジフードの取り付け位置、キッチンカウンターの高さ、シンクの位置・寸法・形状、 ペンダントの高さ、造作家具に台輪・幕板がない、巾木の高さの不統一などインテリアの基礎知識の不足 による問題も散見した。 マテリアルのサイズや基点といったことは、プロとして求められるテクニックであるが、きちんと設定された 作品が少なかった。短期間の間に、モデリング、マテリアルの設定、光源の設定などを行い、作品をまと めることは難題であるが、効率よくパース画を作成できるよう、使用ソフトの操作を把握しておく必要があ ると思われる。 第 1 回同様、TV や冷蔵庫などを配置しないよう指示があったにもかかわらず、その指示が守られていな い作品が多かったのは残念である。 応用課題では、プレゼンテーション能力を中心に評価を行っているが、オーナーのライフスタイルやイン テリアコーディネーターからの要望事項を無視した作品が目に付いた。インテリア小物など、受験者自身 の判断で自由に選定して構わないが、出題の意図を汲み取る必要がある。今回の試験では、北欧風と いう言葉だけが反映され、鮮やかな色のインテリア小物、女児 2 人、ホームパーティーといったキーワード を忘れた作品が多かった。 また、インテリア小物は、ただ配置すればよいというものではなく、数は少なくても、パースにした際に見栄 えがよく、イメージが膨らむものを厳選し、室内空間を中心に見せるようにして欲しい。 提案書に関しては、文章が長すぎるものが目立つ。文章を読むだけで疲れてしまうようなものは、提案書 としては不適格である。できるだけパース画などの画像によりイメージを伝え、コンパクトな文章で補うよう にすれば、より良い提案書になると思われる。 今回、応用課題の提案書は良くできているのに、モデリングなどの基礎課題ができていないという受験者 が見受けられた。インテリアパースにおいて、図面を読み、空間を把握する能力は基本的なものであり、 この能力なくして合格はありえない。残念な結果となった方に関しては、今後の研鑽を期待したい。 表彰作品とした 2 点の作品は、他の作品に比べて全体的によくまとまっている。銀賞に選定された作品 は、しっかりとしたパース画の作成能力があり、提案書としてのレイアウト、文章や文字フォント、色などが 北欧風のイメージですっきりとまとめている。しかし、女児 2 人という家族構成に対するインテリア小物等の 配慮がなかったのは残念である。銅賞の作品は、インテリア小物などについてよく考えられていたが、提 案書としての文字サイズや色、フォントなどのバランスが悪く、これらを再検討すれば、より良い作品にな ると思われる。 第 1 回目の表彰作品に引き続き、第 2 回目の表彰作品を参考に、1 枚に纏め上げるプレゼンテーション には、何が求められるのかを再考されたい。 平成 28 年 3 月 Space Designer 検定試験委員会
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