製品の高度化 - 北海道立総合研究機構 工業試験場

技術情報
事例
製品の高度化
当場では、皆さんからの技術相談に当場研究職員がわかりやすく回答、アドバイスをしていますの
で、どうぞお気軽にご相談ください。以下、相談事例をご紹介しますので、当場ご利用の際の参考に
してください。
【相談・照会先 技術支援課技術支援係まで(電話
人間工学で用いられる筋電位とはどのような
ものですか。
筋電位とは、運動神経の指令から生じた筋繊
維を伝わる電気信号です。これを計測器で記
録し図にしたものを筋電図と呼びます。
筋電位が生じることで筋肉が収縮し力を出すの
ですが、一般に筋電位が大きいほど筋力が大きく
なります(疲労や個人差により違いがあります)。
つまり、筋電位を測定することで、その筋肉が出
している筋力を推定することができます。また、
疲労すると周波数が変化する特性があるため、周
波数解析により筋肉の疲労度を推定することもで
きます。
これを人間工学的に応用しますと、製品を使っ
ているときに発生する特定の部位(例えば背筋や
上腕など)の筋活動や筋疲労を定量化する事がで
き、使いやすい製品の開発に役立てることができ
ます。
(製品技術部 中島 康博)
人間工学的に配慮した製品を開発するための
方法について教えてください。
まず、その製品は いつどこで誰がどのよう
に使うものなのか といった使用状況の調査
や仮説に基づいて、製品に織り込むべき人間工学
的要求仕様を明確にすることが重要です。次に、
各種データベースや設計ガイドラインを用いた
り、必要に応じて実験を行い、具体的な設計値(最
適値や限界値等)を求めます。実験や評価手法に
は、生理的方法(筋電図、心拍、脳波等)、心理
的方法(アンケート、官能評価等)
、身体動作解析、
体圧測定、操作時間解析などさまざまな方法があ
り、目的に応じて選択します。また、実験によら
ないシミュレーション手法が有効な場合もありま
す。当場では、各種適用事例を蓄積しております
ので、お気軽にご相談下さい。
(製品技術部 吉成
哲)
北海道立工業試験場技術情報
(ダイヤルイン))】
使いやすさ(ユーザビリティ)に関する規格
としてどのようなものがありますか。
高齢化や情報化が急速に進展する中、 世紀
の製品設計にはユーザビリティへの配慮が必
要不可欠とされ、これに関する国際規格として、
(翻訳版が
)や
(翻訳版が
)が近年制定されています。
では、ユーザビリティの基本概念
が有効さ、効率、満足度という 要素から構成さ
れるものとして定義されており、
では、
コンピュータを用いた対話型製品のユーザビリテ
ィ向上のための人間中心設計プロセスが規定され
ています。
人間中心設計、ユーザビリティ は、これか
らのものづくりの根幹を成す基本理念であり、現
在審議中の
(日用品のユーザビリティ
に関する規格案)など、関連する規格化の動向を
注視していく必要があります。
(製品技術部 及川 雅稔)
試作品などの複雑な曲面形状を 次元データ
化し、 次元
での形状設計に利用する
方法について教えください。
非接触 次元測定システムと高密度測定点群
データ処理ソフトウエアの利用が有効です。
まず非接触 次元測定システムにより対象物の外
形形状を測定し、高密度な点群データを得ます。
非接触 次元測定システムは従来の接触式測定に
比べて測定時間は
程度と迅速でありなが
ら非常に高精度な測定が可能です。次に高密度測
定点群データ処理ソフトウエアで点群データをポ
リゴンデータ、
サーフェースデータな
ど目的のフォーマットに変換します。その後変換
したデータを 次元
に読み込み
のモ
デリングツールを使った形状設計を進めていくこ
ととなります。当場では非接触 次元測定システ
ムを開放設備機器として整備しておりますのでお
気軽にご相談ください。
(技術支援センター 万城目 聡)