第4ブロック 研究部 № 5 平成27年12月16日(水) 12月研究部会 研究保育と研究討議 於 大江幼稚園(天王寺区) 【研究保育当日の保育のねらい】 3歳児 先生や友達とかかわりながら、ごっこ遊びを楽しむ 4歳児 好きな遊びをする中で、友達や先生に思いを伝えたり話を聞いたりすることを楽しむ 5歳児 友達と考えを出し合いながら遊びを進め、満足感を味わう 大江幼稚園は4ブロックのテーマを受け、心を動かす体験を通して、聞く・話す・伝え合う喜びを味わうための 環境や援助・指導のあり方の工夫や教育課程の見直しに取り組まれています。 3歳児 〔ままごと〕 〔消防士ごっこ〕 消防士ごっこ、ままごと、電車ごっ こなど、いろいろな遊びの中で、その ものになりきって言葉のやりとりを 楽しむ姿が見られました。 「火事だー」 と共通の言葉を使ったり、「使っても いい?」「貸して」と遊びに必要な言 葉を交わしたりしながら、友達とかか 火事だー! 4歳児 〔忍者の修行〕 わって遊びを楽しんでいました。 〔忍者のレストラン〕 やー!! 何がいい ですか? 忍者のイメージをもって遊んでいま した。2つの保育室を忍者の修行道場 と、おでんや肉まんなどのレストラン の場に分けてあり、レストランでは店 員と客になって会話のやりとりを楽し んでいました。また、ダンスの舞台も あり、客が食事をしながらダンスを楽 おでん ください 5歳児 〔宇宙探検ごっこ〕 ブラックホールやトンネルなどがあり、宇宙迷路 を作って遊んでいました。共通のイメージをもっ て、クイズを出す係、案内係など役割分担をしなが ら、見に来た人とのやりとりや状況に応じた言葉を 考えて伝える姿が見られました。 しむなど、環境の工夫によってかかわ りが広がり会話も弾んでいました。 〔パネルシアター〕 グループに分かれて、自分たちで考えたお話を 役割分担しながら演じていました。 「○○さん、見 つけた」など友達同士で簡単な言葉のやりとりを 楽しんでいました。また、受付やチケット係をし て友達のグル―プを応援する姿も見られました。 <研究討議(分科会)> 活発に意見を出し合えるよう、幼児の年齢ごとに少人数の8つのグループに分かれ、下記の視点に ついて討議しました。 【研究保育の視点】 第1ラウンド…聞く・話す・伝え合う喜びを味わっている姿を見つけよう 第2ラウンド…喜びを味わうことにつながった教師の働きかけを見つけよう 第3ラウンド…この時期に大切な働きかけとは? 3歳児分科会 第1ラウンド ・ままごとやピクニックごっこでは「温かいスープです」「一緒に食べよう」など、イメージの世界を 広げて会話を楽しんだり、経験をもとにやりとりを楽しんだりしていた。 ・消防士ごっこでは「火事だー」と友達と言葉でイメージを共有していた。また、同じ目的をもって繰 り返し楽しむことで、言葉はなくても一体感を味わうことができ、心が通じ合っているように感じた。 これが伝え合う喜びにつながっていくのではないか。 第2ラウンド ・教師がより遊びが楽しくなるように、一緒になりきって遊びながら言葉をかける姿が多く見られた。 教師が遊びのイメージが膨らむよう、その世界に浸りきった言葉かけをすることが要因となった。 ・子どもの思いに寄り添い、したい遊びが実現できるよう環境を整えていた。また、3歳児が扱いやす い材料を用意していた。 第3ラウンド ・思いを実現できたり、やりたいことを受け止めてもらえたりすることで、遊びがより楽しくなり、遊 びを存分に楽しむことで言葉が増えていく。 ・今は友達と遊ぶことが楽しくなっている時期であるため、友達に関心がもてるよう子ども同士をつな ぐ働きかけをすることが大切である。 4歳児分科会 第1ラウンド ・レストランごっこでは、店員になりきって自分なりに考えて話したり、聞いたりする姿が見られた。 ・忍者になりきった言葉を使って先生や友達と話すことを楽しむ姿が見られ、話す喜びにつながるの ではないか。 第2ラウンド ・おでん入れや肉まんケースなど、本物のような環境を用意したり、忍者になりきるための雰囲気作 りをしたりするなど環境の工夫があったことで、子どもたちがなりきって遊びに入り込むことがで き、会話を楽しむきっかけとなっていた。また、レストランの中に食べる場とダンスステージの場 の配置を工夫したことで、子ども同士で自然と会話が生まれる要因となっていた。 ・「○○の術」「○○でござる」など、遊びの雰囲気を大切にした教師の言葉かけが、友達とイメージ の共有ができ、話す喜びにつながったと思われる。 ・子どもの頑張りを他児にも知らせるなど友達を意識した言葉かけや、 「お客さん来てるよ」など、子 ども同士をつなげる言葉がけや工夫がみられた。 第3ラウンド ・子どもの心の動きを読み取り、子ども同士のかかわりを広げていく投げかけをしていく。 ・具体的に認めることで実感のある満足感や達成感を味わえるようにする。そのため、共感や受け止 めによって、子どもの伝えたいと言う思いを高め、子どもの考えや思いを取り入れながら、思いが 実現できるように働きかけていくことが大切である。 ・友達同士の思いが交錯する中で、思いの通じ合いができるような仲立ちをすることが大切である。 5歳児分科会 第1ラウンド ・受付や案内係など自分の役割があり、一人一人が自分の言葉で伝えようとしている姿が見られ、話 す喜びにつながっていくのではないか。 ・自分たちの遊びの魅力やおもしろさを客に知らせたいという思いが感じられた。 ・遊びの中で困ったことやもっと楽しくなることを友達同士で考えを出し合い、遊びを作り上げてい く過程が伝え合う喜びにつながるのではないか。 第2ラウンド ・遊びの経過の中で、子どものアイデアを受け止めたり、遊びが広がっていくような投げかけをした りし て、子ども同士がイメージの共有や言葉での伝え合いができるような働きかけがあったのではない か。 ・子どもと共に考えたり、考えさせたりしながら、困ったことを解決したり遊びを再構成していくこ とが 伝え合う姿になっていくのではないか。 ・全体把握しながら、必要なところでヒントとなる言葉をかけていた。教師の言葉によって遊びがど う広がっていくか影響が大きい。ヒントの出し方や課題の伝え方に教育的意図をもっておく必要が ある。 第3ラウンド ・子ども同士のやりとりが生まれるような仕掛けを作り、聞き返したり、ルールを作ったりして言葉 と遊びがつながるような教師の投げかけが必要である。 ・遊びの中で困ったことやこうしたいと伝え合えるような場を作り、それを振り返りの時間に取り上 げることで、自分の考えたことを話したい、伝えたいという気持ちになるのではないか、それが伝 え合う喜びにつながっていく。 担当指導主事より指導講評 ○子どもの実態に応じた具体的な教師の働きかけが指導案にも書かれており、子どもの状況を踏まえ、 教師の工夫が印象的な保育であった。 ○各年齢により、成長に合わせた遊びが設定されていた。 3歳児・・・子どもの主体性を大切に、やりたいことを実現させていく 4歳児・・・子どもの主体性を大切にしながら、遊びにテーマ性をもたせて工夫していく 5歳児・・・子どもの主体性を大切にしながら、友達同士が協力して一つのものを完成させていく など 子どもがワクワクするような楽しい遊び場があることで、コニュミケーションや言葉が豊かになり、 伝え合う力が育まれていく。 ○振り返り活動では、マイクを用いて話者と聞き手を区別させたり、話に参加しにくい子どもにも目配 りや気配りを行ったりするなど、教師の工夫が多く見られた。また、5歳児では困ったことについて の話し合いも行われていて、明日につながる振り返り活動となっていた。 ○さらに振り返り活動が活発なものになるように、遊びの中で客に感想をインタビューするなど、言葉 のやりとりがうまれるような仕掛けや工夫があり、コミュニケーションの場を意図的に増やすと良い。
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