エキノコックスって何だろう?

エキノコックスって何だろう?
○寄生虫の一種です。
○単包性と多包性の2種類があり、北海道内で確認
されているものは多包性のエキノコックスです。
卵
幼虫
成虫
直径 0.03mmの球形
袋のような形をした
体長4mmほどです。
をしています。
とても小さく、肉眼で
は見えません。
原頭節(成虫のもと)
を作り出します。
細長く、白い色をして
います。
卵
⇒卵がついた木の実などを野ネズミが食べると、
肝臓のなかで幼虫になります。
幼虫⇒幼虫が寄生している野ネズミをキツネが食べ
ると、キツネの腸で成虫になります。
成虫⇒腸の中で卵をつくり、フンと一緒に排出します。
この厄介者はどこから来たのだろう???
もともと日本に分布していたものではありません。
~侵入説 その1~
流氷をつたって
感染キツネがやってきた。
~侵入説 その2~
人の交通や物通によって
感染キツネがやってきた。
1910 年代、アラスカ地方の
キツネが千島列島の中部
1930 年から 1965 年ころ、
まで人為的に移動させら
毛皮をとる目的とネズミ
れていた。
駆除のためキツネを移入
その後、流氷つたいに釧路
し、礼文島で感染拡大。
や根室地方に侵入した。
その後、全道に拡大したと
いわれています。
最近では、本州地方でも
感染者が確認されています
どんな動物に寄生するの?
幼虫が寄生する動物と、成虫が寄生する動物は
それぞれ違うことがわかっています。
○幼虫・・・ネズミ・ヒツジ・豚・馬・ 人間
など
《中間宿主といいます》
中間宿主の体内の幼虫は成虫になることがなく、
卵もつくらないので、これらの動物どうしでは
感染はおこりません。
(人から人には感染しません)
○成虫・・・キツネ・犬・ネコ・タヌキ
など
《終末宿主といいます》
腸に成虫が寄生して卵をつくります。
感染ネズミ類を食べたときだけ感染します。
(卵を食べても感染しないことがわかっています)
キツネや犬は、感染していても症状が現れません。
幼虫のための宿主と成虫のための宿主は異なります。
寄生するサイクル
成虫が腸に
寄生する
フンといっしょに
虫卵を排出する
口に入ってしまうと
感染ネズミを
たべることで感染する
腸で卵が孵化し、
血管を通って
肝臓・肺・骨・脳
に入りこみます
幼虫が内臓に
寄生する
※一般的にはネズミとキツネの間で感染を繰り返し
ますが、何かのきっかけで卵が口から入ってしまう
と、人間やその他の動物も感染することがあります。
※抵抗力が強いので、マイナス 10 度や 20 度の低温く
らいでは死にません。
※しかし、乾燥や高温には弱く、煮沸をすれば確実に
死滅することがわかっています。
※野生動物、フンを直接触ってはいけません!!
予防のために気をつけたいこと
①キツネのえさになる残飯や生ごみを放置しない。
※人間の身近に近寄らせない!
②動物の餌付けをしない。
※かわいいからと手で触れると危険!
③沢水や小川の生水は飲まない。
※万が一、卵が混入していると重大な感染源に!
④野山の果実や山菜を食べる場合には、水道の水で
よく洗うか、十分熱を加えてから食べる。
※100℃では1分以上、70℃では5分以上。
⑤犬の放し飼いはしない。
※キツネや野犬との接触を避ける。
※散歩中に拾い食いをさせない。
※フンの始末は速やかに!
●犬が感染すると、フンとともに卵を排泄するので
人間への感染源になってしまいます。
●感染が疑わしいときは⇒駆虫薬の投与が有効
※獣医師・動物病院に相談を!
⑥野山に出かけたらしっかり手洗いを!!
エキノコックス症検診を受けましょう!
血液中の「抗体」の有無を調べることで、
感染しているかどうか判定できます。
一次検診・・・町がおこなっています。
採血した血液の反応で検査します。
二次検診・・・道(保健所)がおこなっています。
採血した血液の反応と、腹部超音波で検査します。
もし感染していたら・・・
放っておくとだんだん悪化して命にかかわります。
早期に発見して早期に治療することが大切です。
治療方法は「薬物治療」もありますが、根治するために
は「外科手術」で病巣を切除します。
●感染初期は無症状、肝機能も正常。
●10 年くらい経過すると血液検査で陽性(疑陽性)
反応が出る。超音波検査で病巣が確認される。
●さらに進行すると上腹部の不快感・膨満症状が出始
める。肝機能障害・黄疸・発熱など症状がでてくる。
●腹水が溜まったり、触ってわかるような「しこり」
が出てきたりしたときは、治療が困難になる。