診断・検査・治療について理解しよう Q1. 診断法は?

診断・検査・治療について理解しよう
Q1. 診断法は?
⇒診断の目安はアメリカでは1990年に作成され、日本では
2006年に作成されています。痛みの場所と数およびそれら
の痛みが3か月続いていれば、線維筋痛症の可能性が高いこ
とになります。
1990年のACR(アメリカリウマチ学会)の分類基準(診断の目安)では、
全
身の特定の18か所を指先で一定の圧力(4kg:つめが白くなる程度)をかけ
ることにより痛みの場所が11か所以上あること。そして全身の痛みが3か
月続いていれば、線維筋痛症の可能性が高いです。
(最近聖マリアンナ医科
大学西岡久寿樹教授が2ポイントを追加しました。●色のところ)
関節リウマチは関節そのものの痛みが多いですが、
線維筋痛症は関節周囲の
軟部組織である筋肉や腱と骨との付着部の痛みです。その他、関節部位以外
の全身痛もあります。また、
リウマチ性疾患である脊椎性関節炎の病態と
も類似しているので他疾患との鑑別も大切となります。
過去のうつ状態、手術歴、事故歴、
トラウマ、直近のストレスも診断の参考
となります。
Q2. 検査項目は?
⇒特徴的な検査はありません。
血液検査やX線検査など一般臨床検査による特徴的な検査はありませ
ん。特に関節リウマチで特徴的なリウマトイド因子陽性、抗CCP抗体陽性、
白血球の上昇、CRP(炎症反応)の上昇やX線所見による骨びらん(骨が欠
けてくる)
もありません。
Q3. 治療方法は?
⇒全患者に共通の治療方法はありませんが、現在、新しい治療薬
の開発研究が日々進んでいます。
世界的に新しい治療薬の開発研究が進んでいますので近い将来には必ず
それぞれのタイプに効く薬が出てくるでしょう。自分の症状をよく把握する
ことも重要です。
たとえば、
・毎日一定の部位が痛むのか?
・その痛みは同じ程度か?
・周期的に痛むのか?
・痛む前に何か同じストレスはなかったか?
・痛みが消えている時期があるか?
・それは何かに夢中になっているときか?
などを把握し記録しておくことが大切です。主治医に簡潔にまとめて報告
しましょう。症状が多彩なので、過敏性大腸症候群などの合併症の有無等に
よって投与される薬剤も千差万別になります。
Q4. どのような薬がありますか?
⇒生体中のセロトニンに関連するSSRIやSNRI、痛みを軽減す
るノイロトロピン、
リリカ、神経をなだめる抗てんかん薬、抗リ
ウマチ薬アザルフィジンなどがあります。ステロイドは局所へ
の注射が有効です。
患者に共通するのは睡眠障害なので、睡眠を助ける薬が第一となりま
す。すなわち、生体中のセロトニンが睡眠を調節しているのでこれを助ける
SSRI※やSNRI※※などもその1つです。これらの抗うつ剤の少量投与は痛み
を軽減することにも役立ちます。もちろん、痛みに直接効く鎮痛薬は必要で
すが、従来の痛み止め(消炎鎮痛剤:NSAIDsやステロイド剤)では効果がな
いことが多いようです。
※SSR(
I 選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
※※SNR(
I セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
セロトニンは睡眠を調節したり不安や緊張などに関係する。
ノルアドレナリンは意欲や慢性疼痛などに関係する。
脳からの痛みの伝達をさえぎるようなノイロトロピン、
リリカなど効果が
ある場合が多いようです。
リリカは未だ日本で承認されていないので、効能
の似ているガバペンも使われています。
関節周辺の腱の痛さやこわばり
(付着部炎)には抗リウマチ薬アザルフィ
ジンが良いようです。
ステロイドの内服は可能な限り避ける方が良いのですが、痛みのある局所
への注射は有効な場合もあります。
コ ラ ム
薬の効果の出方や副作用は個人によっ
て違いますから、医師・薬剤師の注意に
従って服薬してください。たとえ、お友
達に似たような症状があってもご自分
の薬剤を勧めないようにしてください。