別添10 <2014年農林水産研究成果10大トピックス TOPIC10> 農林水産技術会議事務局 <タイトル> 鶏肉のイミダゾールジペプチドの脳老化改善効果を発見 -鶏肉摂取を介した認知症予防の取組に道を拓く- <当該研究成果のポイント> 鶏肉に多く含まれる成分であるイミダゾールジペプチドについて、高含有 試験食を用いて中高齢者を対象に、長期摂取のヒト試験を行ったところ、脳 MRI画像検査と心理機能検査の結果に、試験食を摂取していない群との有意 な差が認められ、イミダゾールジペプチド摂取による脳老化の改善効果があ ることが判明した。 本研究は、農林水産省の農業・食品産業科学技術研究推進事業「鶏肉に含 まれる高機能ジペプチドを用いた中高齢者の心身健康維持に関する研究」に より実施された。 <期待される効果・今後の展開など> 鶏肉に多く含まれるイミダゾールジペプチドに脳老化の改善効果がある ことから、認知症の発症を予防する食品として活用されることが期待され る。また、血中の特定遺伝子の変化等により、脳老化防止メカニズムが明 らかにされつつあり、認知症予防に効果のある機能性食品の研究に応用可 能な、波及性の高い研究になると期待される。 <研究所名> (国)東京大学、 (国)九州大学、 (独)国立精神・神経医療研究センター、 日本ハム(株)中央研究所 <担当者名> (国)東京大学 大学院新領域創成科学研究科 准教授 久恒辰博 大学院農学生命科学研究科 准教授 戸塚 護、助教 薩 秀夫 (国)九州大学 大学院農学研究院 准教授 片倉喜範 (独)国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター センター長 松田博史、室長 今林悦子 日本ハム(株) 中央研究所 所長 森松文毅、上席研究員 松本貴之、研究員 佐藤三佳子 <連 絡 先> (国)東京大学 大学院新領域創成科学研究科 研究交流係 加藤千鶴 TEL:04-7136-5514 鶏肉のイミダゾールジペプチドの脳老化改善効果を発見 -鶏肉摂取を介した認知症予防の取組に道を拓く- 試験実施概要 中高齢者ボランティア 摂取した食品 試験スケジュール 食品摂取 3ヶ月間 無作為抽選 鶏肉ジペプチド (1日あたり1 g) 試験食群 鶏肉由来 前検査 食品摂取 3ヶ月間 鶏肉ジペプチド 不含有 プラセボ食群 同形状・同風味 募集説明会 (2013.10.27) 後検査 前検査 検査項目 心理機能検査 脳MRI検査 血液検査 後検査 脳老化に関わる脳萎縮を改善 (脳MRI検査の結果) 鶏肉ジペプチドの脳老化予防に対する効果 (心理機能検査の結果) 【総合改善スコア値】 認知機能・うつ傾向に関する 食品の摂取前後の機能を比較 脳老化を評価する心理機能検査 P < 0.005 記憶や心理機能に関する脳部位 (前頭前野: 黄色枠内の赤色部分 ) の脳萎縮が有意に改善(P<0.005) プラセボ食群 試験食群 鶏肉ジペプチドの脳老化予防作用〔推定図〕 作用機構に関わる遺伝子群 (血液検査の結果) 鶏肉ジペプチド を摂取すると 血液マイクロアレイ解析 プラセボ食群 一般に、高齢者では肉類の摂取が低下 試験食群 認知症の予防へ 脳老化予防 発現増加 遺伝子 発現減少 遺伝子 鶏肉ジペプチドの摂取により 有意に(P<0.005)発現変動した 作用機構に関わる128個の遺伝子 R カルノシン(R=H) アンセリン(R=CH3) 脳機能が高まり、 脳血流が改善し、 脳萎縮抑制 腸管より吸収され 血管系に移行し 血中でジペプチド濃度上昇 血中炎症反応低減
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