事務所通信 - 成迫会計事務所

NARUSAKO a/f office
税理士法人
成迫会計事務所
事務所通信
長野県松本市巾上 9-9
TEL:0263-33-2223
■農作物に学ぶ経営ヒント『コンパニオンプランツ』
FAX:0263-33-2396
長野県長野市栗田 292 番地
■介護事業の生き残り戦略とは?
TEL:026-291-4153
■レジでもできる簡単経営分析
FAX:026-291-4163
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■ハインリッヒの法則『1:29:300 の法則』とは
農作物に学ぶ経営ヒント『コンパニオンプランツ』
耕作地が放棄され、農業人口も衰退の一途という日本の農業の現状ですが、一方で、建設業や食の安
全を追及する飲食業が農業に参入しています。若者向けの農業マガジンが発行されるなど、若い人達が
自分達で食事を作り、そしてその素材も自分で楽しんで作る、それが『おしゃれ、トレンディー』だと
いう風潮に成りつつあるのは、農業の未来を明るくする、一筋の光明に感じます。
大手種苗メーカーが初心者向けに売り出している、ベランダで作る家庭菜園セットも売れ筋好調なよ
うです。実際に作ってみると、簡単に作れるものと、そう簡単にできないと感じるものがあります。地
球温暖化防止の為に推奨されているゴーヤは、日よけにもなり、一本植えれば、ノーメンテナンスでた
くさん実をつけるため、初心者にも優しい作物です。スープセロリ、バジル、パセリなどのハーブ系、
二十日大根やリーフレタスの類も、初心者でも比較的簡単に作れます。しかし、初心者が作れる作物で
も、油断するとダメという作物もあります。たとえばトマトがその例です。家庭菜園でもプランターで
もできますし、よく農業に参入した建設業が作る作物でもありますが、作り方で差が出るなという作物、
逆に言えば差別化できる商品と感じます。このトマト、実はピーマンのそばに植えてはいけないのです
ね。以前知らずにそばに植えてしまったのですが、ピーマンの生育が悪く味も悪い。トマトとピーマン
は相性が悪いのだそうです。味や見た目ではピーマンの方が強そうに見えますが、生育においてはトマ
トに負けてしまうのが常だそうです。ピザやパスタを中心としたイタリア料理を見ても、食べるときに
は相性が良いのに、生育するときには敵対する関係になってしまうのですね。
逆に、一緒に植えると相互に良い効果を与え合う組み合わせと、ある植物が付近の他の植物に良い効
果を一方的に与える(付近にある植物が、良い効果として受け取る)組み合わせがあるのだそうです。これ
をコンパニオンプランツと呼ぶそうです。このコンパニオンプランツを利用して、野菜類等とハーブ類
等をうまく組み合わせて一緒に植え、病害虫を防いだり、成長を促進したり、収穫量が増えたり、風味
や芳香を良くしたり等、様々な良い効果を生み出す事が行われています。農薬の使用量を減らす為にも
有効な手段だと言われています。トマトだったらマリーゴールドやバジルを植えると病害虫を防いだり
して生育が良くなるので、家庭菜園で作る場合でも近づけて、ベランダのプランターで作るのなら寄せ
植え的に作るとよいそうです。この他にも、きゅうりとネギとか、レタスとキャベツとか、たくさんの
良い組み合わせが報告されています。
この『組み合わせ』、これこそ経営のコツではないのでしょうか。足を引っ張り合う関係ではなく、ど
うしたら人と人が気持ちよく仕事ができるのか、役割分担の見直しなど、人の配置のみならず仕事の分
担の見直しも、組み合わせと言えます。もっと言えば、自社の商品サービスと相乗効果の出る「組み合
わせ商品」は何かと考える事もできます。家を売るだけでなく、その家に合った薪ストーブを販売し、
その後も安価な薪の供給により顧客信頼度を高く維持し続ける工務店が代表例です。医療業界でも、眼
科と内科などが、シナジー効果を発揮できる医療モールという形で開業されるケースも増えています。
駅前商店街の組み合わせよりも、シネマコンプレックスやショッピングセンターの組み合わせのほうが
人々が集まってくる現実があります。本屋とも言えない商品組みで成長したツタヤやビレッジバンガー
ドをみても、組み合わせの大切さが分かりますし、売れ筋でないものも全部集めて魅力的なサイトにし
ているアマゾンのような本屋さんも存在します。改めて、人組みや商品サービスの組み合わせの見直し
による自社事業のブラッシュ・アップ、経営の本質を、植物がコンパニオンプランツの存在を通して教
えてくれているのかなと感じました。
成迫 升敏
税理士法人
成迫会計事務所 26.8 月号[269]
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介護事業の生き残り戦略とは?
平成 26 年 8 月 16 日の日本経済新聞に【コンビニで介護支援~ローソン、ケアマネ配置~】「ローソ
ンは 2015 年から高齢者や居宅介護者を支援するコンビニを出店する。」という記事が掲載されていまし
た。近年大手企業による、既存の強みを生かした介護事業への進出を耳にすることが多くなりました。
例えば、電鉄系・不動産系の大手企業は主要な鉄道沿線の立地を生かした介護事業を展開することがで
きますし、保険・金融系の大手企業は財務力を生かして介護人材を確保することができる、小規模事業
者にとってかなりの脅威になる事が予測できます。かつて商店街の小さな小売店が大規模ショッピング
センターにとって代わられたように、介護業界でも小規模介護事業所が、大手企業が運営する介護複合
施設にとって代わられる日も遠くないかもしれません。
【活発化するM&Aを使った新規参入】
近年大手企業が介護事業に新規参入する際、盛んに利用されるのがM&Aによる事業参入です。代表
的な大手企業としてはトヨタホーム㈱がサ高住の運営、ソニーフィナンシャルHDが介護付有老ホーム
の運営、
「すき屋」のゼンショーHDがサ高住・住宅型有老ホームの運営と、いずれも資本力を生かした
参入例が目立ちます。M&A 業界のある関係者は、介護業界を長い目で見た場合、今後中小規模の介護事
業所が生き残る戦略は以下の2つしかない、と言います。
① 医療・介護との連携・差別化により地域No.1を目指すこと
② 大手企業の傘下に入り、勝ち組の仲間入りをすること(資本提携を含む)
これはかなり究極的な結論とも感じられますが、近い将来大手の傘下に入る時が来るとしても私達中
小企業者が生き残る道としては、最終的には如何にして地域の中で「医療との連携」と「他事業所との
差別化」を図り、地域から必要とされる介護事業所をつくっていくかが重要になってきます。
【中小規模介護事業者にとってのM&Aとは?】
例えば、中小企業のM&Aについて考えてみましょう。お客様から「通所介護でどこか売りに出てい
る所ない?」と相談受ける事があります。通所介護は、平成 27 年度より小規模型の通所介護事業が地域
密着型サービスに移行する予定です。つまり県指定だった小規模型の通所介護が市町村指定になるため
に、今後新規参入がしにくくなります。また、小規模型の通所介護の基本報酬部分が引き下げられる事
が予測されるため、利用者を単に預かる機能だけで運営する通所介護は、今後経営が厳しくなりそうで
す。そのため、小規模型の通所介護を多店舗展開したい場合には、M&Aも一つの方法です。
M&Aがメリットと感じる理由
① コストをかけずに新規出店ができる
② 規制のある(許認可が難しい)介護保険の指定サービスを取得できる
③ 資格のある人材の確保できる(PT、OT、看護師等)
平成27年度以降は新規の小規模型の通所介護事業が参入しにくくなるため、コストがかかる新規出
店よりは既に事業をしている通所介護事業を譲り受けるほうが、設備・人材への投資コストを考えると
効率的です。また、小規模型の通所介護だけでなく、グループホ
ームや特定施設入居者生活介護等(地域密着型サービス含め)の
指定の取りにくいサービスを開始する場合には、許認可とノウハ
ウが早期取得できます。特に今後資格人材(PT、OT、看護師
等)を含めた介護従事者の人材不足は事業者の悩みであるだけで
なく、大きな社会問題となっています。新規募集しても獲得した
い人材は集まりにくい状況になる事が更に予測されるので、地域
で生き残れる事業所の戦略として、M&Aを一つの選択肢として
検討してみてはいかがでしょうか。
税理士法人
成迫会計事務所 26.8 月号[269]
2
レジでもできる簡単経営分析
小売業や飲食業を経営されている経営者の皆様にとっては、
売上分析の必要性を感じつつも、日々の店舗運営が忙しく、
集計すら大変な毎日だと思います。またPOSレジを導入し
たいが、価格も高いし操作が大変そう、そんな悩みを解決す
るものの1つにネットレジがあります。操作は難しくありま
せん。通常のレジスターのようのレジ精算するだけで売上集
計や売上分析ができる仕組みです。
経営改善は足元のデータ把握から
近年厳しい経営環境の中、業績を伸ばす、改善するなど考える際、基本は現状の売上の把握だと思い
ます。売上は 客数×客単価ですので、客数(客層)、客単価(商品)の把握は、何に手を打つべきなのかを考
える際の貴重なデータになります。
単純に売上の上下に一喜一憂するのではなく、何が良くて、何が悪くてその結果を作ったのか、その
原因をいち早く把握し、対策を練ることが重要です。
ネットレジの特徴
1.売上集計を効率化
(1) ネットレジでレジ精算操作をするだけで、自動的に売上日報等を作成。
お店を閉めた後、レジペーパーや売上伝票からの集計が不要になります。
(2) 売上情報をパソコンやスマホで手軽に確認可能。
店舗を離れたオーナーがどこからでも店舗状況の確認ができるので、
タイムリーに業務指示を出すことができます。
(3) 分析に役立つ帳票・グラフを自動作成
自動生成される帳票
自動生成されるグラフ
●商品別売上集計表
●時間帯別売上集計表
●日報
●月報
●日別売上集計表
●週別売上集計表
●月別売上集計表
●日別部門別売上集計表
●日別取引別売上集計表
●曜日別売上集計表
●日別売上集計グラフ
●日別客数集計グラフ
●月別売上集計グラフ
●時間帯別売上集計グラフ
●曜日別売上集計グラフ
●部門別売上集計グラフ
●週別売上集計グラフ
●商品価格帯別売上集計グラフ
●商品価格別売上集計表
税理士法人
成迫会計事務所 26.8 月号[269]
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2.簡単経営分析活用例
(1)商品×時間帯のクロス分析で売れ筋商品の需要を把握。
メニュー改定や販促企画の基礎データに。
(2)
「20 代女性の客単価が 30%減っています」
「おすすめ料理の品数が 20%減っています」
など要チェックポイントを自動お知らせ。
(3)時間帯別速報で売れ筋パンの種類と売れている時間帯を把握。
売り逃し防止や仕込み調整でロス軽減へ。
(4)時間帯別売上集計をスタッフシフトに活かす。
導入されたお客様の声
・ 今まで集計したくてもできていなかった売れ筋商品が、
感覚ではなく実数字として把握でき商品分析が可能になり、経営に活かせるようになった。
・ 夜中に目をこすりこすり売上集計していたものが不要になり、業務効率化につながった。
・ 売上分析した資料をもとに従業員と話ができるようになり、
新しいメニュー開発やキャンペーン企画、集客対策を検討しやすくなった。
経営環境が大変厳しい中では、数値・計数管理し、客観的事実から何をすべきか策を考えることは大変
重要になります。業務効率化にもつながり、欲しいデータも即座に入手できます。ネットレジに限らず
売上管理・分析を効率的に行いたい方は弊社担当者にご相談下さい。
ハインリッヒの法則『1:29:300 の法則』とは
労働災害における経験則のひとつで、1 件の重大事
故の背後には 29 の軽微な事故があり、さらにその背
ハインリッヒの法則
景には 300 の異常が存在するというものです。この
法則を導き出したハーバート・ウィリアム・ハイン
リッヒ(1886 年~1962 年)に由来して「ハインリ
ッヒの法則」と呼ばれています。米国の損害保険会
社に勤務していたハインリッヒ氏が 1930 年頃労働
災害の発生率を分析したもので、1 件の重大災害の裏
には、29 件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏
には 300 件もの「ヒヤリ・ハット」した(危うく大
惨事になる)傷害のない災害が発生していたことを
明らかにしました。
「1:29:300 の法則」とも呼ばれています。この法則はビジネスにおける失敗発生
率としても活用されています。例えば 1 件の大失敗の裏には 29 件の顧客から寄せられたクレームや苦情
があり、さらにその裏には社員が「しまった」と思っているが外部からの苦情がないため見逃されてい
る 300 件のケース、つまり認識された潜在的失敗が必ず存在していると言うことです。このように顧客
の側からの視点を加えると、顧客の不満、クレームをいかに迅速に効率的に察知するということが、重
大な失敗を回避するだけでなく、顧客の不満を満足に変え、顧客維持率を高める上で非常に重要なポイ
ントだということがいえます。ハインリッヒの法則に学ぶべき教訓とは、重大なクレームには予兆とな
るささいな失敗や異変が必ずあるということ、そしてそれを見逃さない取り組みを普段から地道に進め
る以外に、事故防止の有効な手立てはないということです。1 件のクレームを軽視することなく改善に活
かしたいものです。
統括部長 髙木 幹夫
(以上)
税理士法人
成迫会計事務所 26.8 月号[269]
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