平成 25 年 8 月2日 在カザフスタン日本大使館 カザフスタンにおける毒蛇、毒サソリなど 例年、夏期になると毒サソリおよび毒蛇咬傷被害に関する報道がなされます。 つい先頃もカザフスタン南部シムケントにおいて毒サソリ咬傷による救急搬送 が381例にもなったとする報道があったばかりです。 つきましては、この機会をもちまして在留邦人のみなさまにカザフスタン国 内における毒蛇、毒サソリなどの有害動物、昆虫などの情報をお伝えしたいと 思います。 毒蛇: Steppe Viper クサリヘビ科に属する毒蛇で名前の通りカザフスタン全域の草原地帯に生息 します。毒は出血毒(咬まれた組織を中心に壊死、組織内出血を起こす。全身 症状として急性腎不全などを生じることがある。)であり咬まれた部分を中心と した障害を生じます。 Halys Pit Viper 上記 Steppe Viper と同様にクサリヘビ科に属する毒蛇でカザフスタン全域に 生息しています。毒も上記蛇と同様の出血毒です。 毒サソリ: Yellow Scorpion 中近東を中心に生息している毒サソリです。カザフスタンにおいては南部地 域を中心に生息し特に気温の上がる夏期に咬傷被害が多発するようです。 Death Stalker という別名を持つように強力な神経毒を持ちます。通常の健康 成人が死亡することはまれですが、幼児や高齢者の場合には死亡することもあ ります。咬まれた部分を中心に強い痛みを感じることが多いようです。 毒グモ: Black Widow (日本名 ジュウサンボシゴケグモ) ヨーロッパから中央アジアにかけて生息します。カザフスタンでは主に南部 地域に生息しているようです。神経毒の一種を持ち、咬まれると咬まれた部分 の筋肉痛、流涎、流涙、心拍数の増加がみられます。抗毒素血清による治療が 行われるようになってからは死亡例は非常にまれとなっています。オスよりも メスに咬まれたほうが重症となることが多いようです。 刺されない、咬まれない: まずは、刺されない、咬まれないことが重要です。もし、郊外においてこれ らの動物を見かけた場合は近づかないことが肝要です。 へび、サソリは日陰の藪の中に生息することが多いので、このような地域に は立ち入らない、また、立ち入る場合には、くるぶしまで十分覆うような靴を 履いてください。けっしてサンダル履きなどで藪や草原地帯を歩かないように。 また、短パンなどの軽装は避け、なるべく皮膚の露出を少なくしてください。 草原に座ったさいに驚いたサソリに咬まれることがあるようです。なるべく 地面に腰をおろすことは避けましょう。 咬まれてしまったら: ・近在の医療機関に行きましょう。もしくは救急車103を呼びましょう。 カザフスタンに生息する毒蛇などの有害動物によって死亡することはめっ たにありません。まずはなるべく安静を保って近在の医療機関に搬送するこ とを考えてください。 ・傷はしばらない。 古い救急処置法では心臓に近い部分を縛る、傷口から毒を吸い出すと教えて いますが、現在ではこれらの処置はしないよう教えています。 (理由:しばっても意味がないばかりか、長時間きつくしばることによって神 経障害をきたすことが多いため。) ・咬んだ動物を捕まえようとしない。 興奮した動物にふたたび咬まれるだけで、たいへん危険です。
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