当院における Xper-CT の臨床経験 久美愛厚生病院 放射線科 坂本直之 【緒言】 機器更新により PHILIPS 社製 Allura Xper FD20C を導入した。これにより血管撮影室 内でコーンビーム CT(=PHILIPS 社製 XperCT) 、3D-rotation angiography(以下 3DRA) を撮影することが可能となった。機器導入当初はメーカ推奨の造影剤注入方法で撮影して いたが、留置カテーテルの位置や血流速度などにより濃染タイミングが変わるため、末梢 血管および目的腫瘍の描出が困難であった。そこで、HCC への TACE において XperCT、 3DRA 撮影時の至適造影剤注入法、撮影開始時間を検討したので報告する。 【使用機器】 血管造影 X 線装置 PHILIPS 社製 Allura Xper FD20C 造影剤注入装置 根本杏林堂社製 Press Duo 【撮影条件 CB-CTAP】 XperCT の撮影において造影剤注入開始から撮影開始までの時間(以下 Delay time)の 設定が重要である。CB-CTAP については以下の条件で概ね良好な画像が得られた。 Delay time25sec Scan time10sec 造影剤注入レート 2.0m/s 造影剤量 40ml 【撮影条件検討 CB-CTHA】 CB-CTHA についてはメーカ推奨条件では良好な画像が得られなかったため患者様ごと に Delay time の変更が必要と考えた。そこで通常の血管造影を行い、目的腫瘍または血管 の濃染が始まる時間を確認し、この時間を Delay time として設定することとした。 Delay time に基づいて以下のように条件を設定した。 注入量=(Delay time+Scan time)×Flow rate Flow rate=2.0ml/s 造影剤:生食=4:6 【症例提示および考察】 CB-CTHA では通常の血管造影で最も目的腫瘤が濃染している時間を確認し、Delay time を設定、撮影することで良好な画像が得られた。XperCT のメリットとして、血管走行の 3 次元的情報を容易に描出でき、ワーキングアングルの決定が迅速に可能であること、およ び肝臓全体を同一タイミングで撮影可能であることなどがあげられる。デメリットとして FOV が 25×25×18mm と小さいため、体格が大きい患者様だと全肝の撮影が不可能であ ることである。 【結語】 CB-CTHA において造影注入方法を検討することにより、目的腫瘍および血管をより鮮明 に描出することができるようになった。これにより、ワーキングアングルの決定や術中で の支配血管領域や塞栓領域のモニタリングに有用であった。今後の課題として、現在は Flow rate 一定で撮影しているが、患者様ごとの血流速度を考慮し注入レートの変更を検討して いきたい。
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