山歩きの楽しみ 小泉一明 私が山歩きを始めた動機は高校1年の夏中学の同級生と蓼科にキャンプに行 き、八ヶ岳の天狗岳に登ったのがきっかけです。そして翌年の夏、工藤君と天 狗岳から赤岳を経て編笠山まで南八ヶ岳の全山縦走をしたのが本格的な山歩き の始まりでした。その後大学のワンダーホーゲル部、職場の山岳部で岩登りや 冬山を経験しました。仕事や子育てに忙しかった時期が終わり60代になって からまた日本の南北アルプス、エベレスト街道のトレッキング、今年の夏のス イス・アルプストレッキングと歩いてきました。 私の 60 年の登山の経験から忘れられない日本の山を幾つか紹介しましょ う。 北アルプスでは何といっても穂高連峰の岩稜縦走です、「くさり」や「鉄梯 子」を駆使した岩尾根歩きはスリルに富んだ楽しさを味わうことができます。 一方、3,000メートルの稜線を散歩気分で楽しめるのは南アルプスの北岳 から間ノ岳(3,189 米)への縦走です。北岳と間ノ岳の間は標高差がほとんど なく快適に安全に歩けます。 また夏山では高山植物を鑑賞することも楽しみの一つです。一般に有名なのが 白馬岳や加賀の白山などです。残念ながら高山植物が年々減ってしまうのは登 山者に荒らされてしまうのが一因のようです。ですから登山者が歩かないとこ ろには素晴らしいお花畑があります。北アルプスの立山はロープウエーで気軽 に行ける山ですが黒部湖側に歩いて下山する人は滅多にいないようです。私が 数年前そこを下山した折のことですが、色とりどりの花を堪能し感激しまし た。 日本の山は四季折々楽しめますが、私が好きなのは新緑の 5 月です。谷川岳 の一ノ倉沢やマチガ沢から見る山は、空の青、岩の黒、雪渓の白そして新緑の 緑の何ともいえないコントラストです。 最後に山の楽しみの一つの温泉を紹介しましょう。日本で一番標高の高い露 天風呂は八ヶ岳の硫黄岳に登る途中にあります。山の中腹の本沢温泉小屋から 10 分ほど登った河原に沸いています。標高は2,150米です、畳 2 畳ほどの 湯船にこんこんと湧き出て水で薄めなくてもちょうどよい湯加減です。 もう一つは北アルプスの最北に近い蓮華温泉です。蓮華温泉から 20 分程度登 ったところに露天風呂があります。スキー登山の時、登りはスキーを担いで行 き、帰りはスキーで滑って下るというなんとも楽しい温泉です。 このように山にはいろいろと楽しみ方があります、頂上に登るだけが登山で はありません、自分の体力、技量、年齢に合わせて楽しんでください。 (追伸) 来年は後期高齢者になるので今年中にもう一度南アルプスの北岳に登ってみ たいと思い10月に八本歯のコルから登り、北岳山荘(北岳と間ノ岳の稜線上に ある小屋)に泊まり翌朝北岳の頂上に登頂しました。そこから標高差 1700 メー トル下のバス停までの下り道で木の根か岩に蹴躓いて前のめりに転んだところ に岩がありその岩に額をぶつけて、裂傷を負いました。だいぶ出血しましたが腫 れも痛みもなく帰宅し医者で傷口を縫ってもらいました。傷の長さは 5-6 セン チありました。気を付けて降りていたのですがやはり脚に疲労が溜まっていた のでしょう。楢戸君の情報でストックを持っていないように書かれていました が、数年前からダブルストックを使用しています。南アルプスの3000メート ルはかなりきついので今後はもう少し楽な登山をと思っています。
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