ビッグデータの 3 つの「V」 財務計画担当者にとっての意味 1 ビッグデータが今、非常に大きな注目を集めています。 それほど遠くない過去に見られた大量のデータと比較して、 業界のオピニオンリーダーがしばしば指摘するのは、量(volume)、速度(velocity)、多様性(variety)とい 2 この 3 つの重要な属性を分析することは、財務計画や分析機能においてビッグデータがどのよ う 3 大属性です。 うな意味を持つのかを理解するためにも役立ちます。本稿では、ビッグデータへの対応に企業が殺到する状況を 生み出したテクノロジーの進歩の収束状況を明らかにした上で、データの量、速度、多様性が財務計画機能に及ぼ す影響を検討します。そうした従来とは異なるビッグデータのメリットを財務計画担当者が有効に活用し、パフォー マンス管理の向上と効果的な計画に役立てていただければ幸いです。 ビッグデータを生み出す収束状況 インターネット インメモリー ビッグデータの嵐が生まれた原因としては、複数の独立したテクノロジーの進歩が 1 つの モバイル デバイス コンピューティング 枠組みに収束統合してきた状況があります。最も重要な要素を以下に示します。 1 インターネットにより、コラボレーションと知識共有の道が開かれました。 これは事実上、誰でも参加できることを意味します。 インメモリー ストレージ ビッグ データ センサー テクノロジー 2 モバイルデバイスにより、入力ソースの所在地からレポート作成の場所が切り 離され、超高層ビルの最上階や人工衛星など、事実上どこからでも情報にアクセス できるようになりました。これは事実上、誰でも、いつでもどこでも参加できるこ クラウド コンピューティング ソーシャルメディア とを意味します。 3 センサーテクノロジーにより、データ収集は自動化されました。しかも、デバイスの ビジネスの デジタル化 コストは大幅に低下しています。その結果、費用対効果に優れた追跡機能が、ますます多くの企業 の手に届くものになっています。 4 クラウドコンピューティングにより、テクノロジーの先行投資が低減し、膨大な人々にアクセスを開放でき るようになりました。これは IT 部門による制約からの解放を意味します。典型的なオンプレミス (自社運用) 型アプリケーションの場合は必要不可欠だった IT 担当者のマンパワーがなくても、ユーザー主導でビジネ スアプリケーションを速やかに導入することが可能です。また、そうしたアプリケーションの多くは、 (プロ グラマーよって) 「カスタマイズ可能」ではなく、 (ユーザーによって) 「設定可能」であるため、時間の節約、 さらには IT 要件の軽減につながります。こうした自由は IT 部門にもメリットをもたらします。浮いた時間 を使って他の戦略的なプロジェクトに集中することが可能になります。 5 ビジネスのデジタル化は、もはや「当たり前」になっており、業務運用の副産物としてデータの大海が生 み出されています。これは業務遂行のためのデータに限ったとしても、膨大な量のデータが存在すること を意味します。 6 ソーシャルメディアは瞬く間に普及し、膨大なデータポイントを供給しています。こうしたデータポイント は短期間で明滅するため、消えないうちに把握・分析する必要があります。これは消費者を発信源とし、 低コストで利用できるデータが大量に存在することを意味します。 7 インメモリーストレージのコストはムーアの法則に従い続けており、より低コストで、より大きなストレー ジ容量を利用できるようになっています。つまり、生成されるデータのすべてを、RAM ストレージ経由で「リ アルタイム」で利活用するチャンスは、今後も高まり続けるということです。 1 著者:スティーブ・プレイヤー (Steve Player)、 プログラムディレクター、 Beyond Budgeting Round Table、北米 © 2013. Beyond Budgeting Round Table, North America. 無断での引用・転載を禁じます。 8 インメモリーコンピューティングがもたらす圧倒的な処理能力により、アナリストはデータから即座に洞察 を引き出せるようになりました。これは、以上のテクノロジーをすべて組み合わせれば、超大量のデータ から洞察を導き出し、より大きな価値へとつなげる強力な方法が実現することを意味します。 これらのテクノロジーの進歩は単独でも十分に強力ですが、現在のようなビッグデータの嵐を生み出しているのは、 これらの相乗効果にほかなりません。財務計画担当者は、この状況に正しく取り組むことで、嵐をゴールドラッシュ へと変えることができます。 ビッグデータ:量 計画策定、予算編成、事業予測を話題にするときに私がよく指摘することがあります。それは、財務計画担当者が 年次の予算編成業務において、まっさらな状態から始めるかのような指示を出すケースが少なくないという点です。 創業したばかりの新興企業なら、それでも問題ないでしょう。しかし、ほとんどの企業にとっては、もっと有効性の 高い計画にたどり着く方法があります。それは、組織を今まさに出航しようとしている船になぞらえることです。 この航海のたとえでは、関連するコスト構造を伴う一連の機能が集積したものが船である、と考える必要がありま す。この船は、次に示すような、過去に行った無数の意思決定の積み重ねの結果として形成されてきたことになり ます。 ●● 提供すべき製品やサービス IDC が予測するビッグデータの成長 ●● 対象とする顧客 ●● 雇用してきた従業員 16.9 ●● 実行しているプロセス ●● 施設の所在地として選択した場所 ●● 保有する設備 ●● および、これら以外に行った何千、 何万もの過去の意思決定 10 億 ドル 40%の 年平均成長率 (CAGR) 計画プロセスでは、これらのどの項目についても変更を選 択できる余地があります。現実問題としては、変更を行う ためには、プロジェクトまたは構想を立ち上げ、その計画 と導入に時間をかける必要があります。しかも、その変更 は航海を続けながら進めなければなりません。 財務計画において重要なのは、これから船で乗り出すの は小さな沼か池だと思っていたのに、実際は「データの大 海」だったという顛末もあり得ると認識することです。さ らに、ビッグデータが生み出す「データの大海」は、普通に 3.2 2010 2015 出典: 「Worldwide Big Data Technology and Services 2012-2015 Forecast」、International Data Corporation(IDC)発行 想像するよりも、はるかに波が高く、大きな危険が潜んで います(図 1 を参照) 。 図1 著者:スティーブ・プレイヤー (Steve Player)、 プログラムディレクター、 Beyond Budgeting Round Table、北米 えを求めなければなりません。 「何を知る必要があるのだろうか ? この情報は意思決定にどのように関連するの © 2013. Beyond Budgeting Round Table, North America. だろう ?」 無断での引用・転載を禁じます。 船乗りが大荒れの海を前にして自問するように、ビッグデータの大海に乗り出す財務計画担当者も、次の疑問の答 ビッグデータの量という属性に関する第 1 の疑問は、今まさに最も優先順位が高いものです。 ●● 顧客をより的確に理解するのに役立つ情報はあるでしょうか ? たとえば小売企業は、顧客の購入パターン と特定のタイプのプロモーションに対する反応を分析しています。計画担当者は、販売予測の精度を高め るためにこの知識を活用します。 2 ●● 業務運用をより的確に理解するのに役立つ情報はあるでしょうか ? たとえば公益事業では、スマートメー ターのデータを分析して顧客の使用パターンを理解することで、供給力を最適化し、多額の追加設備投資 を回避する取り組みを進めています。 ビッグデータの量に関する第 2 の疑問は、リスクの軽減に関するものです。 競合他社をより的確に理解するのに役立つ情報はあるでしょうか ? データ量は自社の能力とコスト構造を評価す るために役立ちますが、まったく同様に競合他社の能力とコスト構造を評価する目的にも有効です。競合他社が自 社よりどこが優れているかを特定すれば、その情報を活かして追撃することができます。もちろん、自社が優れて いる点を徹底的に伸ばすことも可能です。 ビッグデータの量に関する第 3 の疑問は、将来的な有効性に関するものです。 業務運用を より的確に理解するのに 役立つ情報は あるでしょうか ? 組織をより的確にポジショニングするために何ができるでしょうか ? この疑問に答えを出すためには、ビッグデー 顧客を タをマイニングして、自社の戦略計画と目標達成能力の両方を検証できなければなりません。また、自社と競合他 より的確に理解するのに 社のパフォーマンスに加え、環境要因も重ね合わせて検討する必要があります。さらに大きな海域へと船を進め、 より多くのライバルを相手にする場合でも、組織として目標を定め、目的を持つことは必要です。状況を把握し、 より多くの対応策を編み出せるようにするには、より多くの情報をより有効に活用すればよいのです。 役立つ情報は あるでしょうか ? ビッグデータ:速度 データ量の飛躍的な拡大を促しているのは、データ速度(データが生じる頻度)の増大です。携帯電話の改良が進 むにつれ、大きな変化が起こるかもしれないとの予感が広まりました。そして携帯電話のスマート化により、変化 のペースが加速しました。高度な機能によってツイートや Facebook への投稿が可能になり、そこからデータ速 度の爆発的な増大が始まり、いつでも誰かとつながっていたいという欲求が高まりました。そして、スマートフォン さえあれば何でもできる時代が到来しました。また iPad は消費者のイマジネーションをとらえ、どこでも活用で きる手軽さによって、データ氾濫時代の扉を開きました。誰もが先を争うようにして iPad を購入し、使い始めま した。その結果、写真、ビデオ、ジョーク、おすすめの製品やサービス、地図と道案内、考え、希望、夢など、要するに 人生そのものを、誰もが簡単に取り込んで共有できるようになったのです。ソーシャルメディアもモバイル性が高 まり、前述したようなテクノロジーの相乗効果が発揮され始めました。データ速度は爆発的に増大しました。 消費者が家庭で実現したのと同じ体験を職場でも求めるようになると、iPad の影響がビジネスにも及び始めまし た。かつては IT 導入の取り組みには、変化に対する大きな抵抗がつきものでしたが、現在の爆発的な普及は IT の コンシューマー化が原動力となっています。3 多くの IT プロフェッショナルにとって、この動きは急激すぎます。そ うした専門家の側が変化の抵抗勢力となる状況も散見されます。セキュリティと個人情報保護の問題に関して周 到な検討と対応が必要であるという観点から、そうした抵抗が正当化される場合もあるでしょう。しかし現在では、 この速度がさらに加速していることは明らかです。したがって成功の鍵は、その活用方法を見極めることです。 データ速度の急激な増大に悪戦苦闘する人々には、スポーツにたとえて考えることが役に立つと思われます。スポー ツ選手のレベルが上がると(例:高校から大学、大学からプロ) 、コーチはよく、試合運びをゆっくりにする(slow the game down)ようにアドバイスします。4 その背後にあるのは、アスリートの時間感覚は、試合で要求される レベルに対する心の準備具合によって変化するという考え方です。スポーツコーチのジェフ・ミラー(Geoff Miller)氏は次のように説明しています。 「簡単に言うと、試合運びが性急になるのは、どれだけ集中しており、どれだけ多くの情報を無意 識のうちに処理しているかに応じて、時間の感覚が変化するためです。集中力を高め、競技で必 要になる重要な肉体的スキルと精神的暗示を無意識のうちにコントロールする方法を理解するこ とができれば、試合運びのペースを落とし、プレッシャーのもとでも高いパフォーマンスを達成で きるようになります」5 3 著者:スティーブ・プレイヤー (Steve Player)、 プログラムディレクター、 Beyond Budgeting Round Table、北米 © 2013. Beyond Budgeting Round Table, North America. 無断での引用・転載を禁じます。 このアドバイスは、組織にとってもメリットがあります。 アスリートの場合と同様、どの組織にもパフォーマンスが絶好調となる「ゾーン」があります。鍵となるのは、周囲 を流れる情報、組織としての対応方法の両方について理解を深めることです。 財務計画担当者にとって、速度がもたらす最大の明確なメリットは、リアルタイムのモニタリングと分析が 可能になることと、調整や改善のために即座に行動 / 反応できるようになることです。 古い財務計画の世界では、フィードバックループがあきれるほどの遅さでした。多くの場合、月末から 3 ~ 15 日後 に月次レポートを作成するという、月次の財務レポートサイクルの制約を受けていました。レポートが上がってく るのが遅いため、結果の分析が可能となる時点では、組織としての対応が 2 ~ 3 カ月も後手に回っていることにな ります。経営レポートについても、同様の遅延が常態化していました。経営レポートは、計画した対応策が悪影響 財務計画担当者にとって、 速度がもたらす 最大の明確なメリットは、 リアルタイムの モニタリングと分析が を及ぼすことなく期待どおりの効果を上げているかどうかを確認するために、経営陣が待ち望んでいるレポート 可能になることと、 であるにもかかわらずです。リアルタイムのモニタリングが可能であれば、対策が所定の効果を上げているかにつ 調整や改善のために いて、ほぼ瞬時にフィードバックが得られます。 第 2 のメリットは、リアルタイムのモニタリングが実現すると、財務管理者がバッチ管理サイクルから解放さ れることと密接に関連しています。 即座に行動/反応できる ようになることです。 つまり、レポートの役割は、継続的なトレンドライン(傾向線)を示すことにシフトします。トレンドラインを見れば、 予測した想定に照らして実際の結果を追跡できます。経営陣としては、通常の統計変動を勘案して真の動向を見 極める必要があるものの、月次および四半期ごとのバッチサイクルから脱却できることは、業務の負担を大幅に軽 減します。 これはまた、各期の最終的な結果について、よりタイムリーに警鐘を鳴らしてくれる早期警告システムとしても役 立ちます。ローリングフォーキャストのプロセスは、想定される成果を示します。日次レポートは、その想定を基準 として最新のステータスを提示します。モニタリング機能は、ビジネスの変動に関する洞察力を高めます。売上は ボーナス商戦の販売目標に連動して急増するでしょうか ? 予算執行の締切前の年度末には支出が急増するでしょ うか ? 変動は自然なビジネスサイクルによるものでしょうか、それとも経営システムへの反応が原因となっている のでしょうか ? 業務プロセスと、そのもとになっているビジネス環境との相互作用を理解すれば、組織の俊敏性を 高めることができます。組織としての俊敏性が高まれば、ビッグデータの大海への対応力も大幅に高まります。 こうした俊敏性の向上が求められる主な理由は、ビッグデータの活用を始めると、従来型の行動サイクル分析が役 に立たなくなるためです。インメモリーコンピューティングなどのツールによって組織がビッグデータを利活用で きるようになると、情報はより理解しやすく、正確で、洞察に富んだものとなり、より効果的に実際の行動につなが るようになります。つまり、極めて俊敏に行動できるようになると、組織は実質的に試合運びのペースを下げるこ とができるのです。 ビッグデータ:多様性 爆発的に増大するデータ量の大半はデジタルですが、その内容も非常に多様化しています。財務計画担当者が従 来からのデータソースとして慣れ親しんでいるのはトランザクションデータです。最近の財務責任者はバランスス コアカードで幅広い指標を見るようになっているため、財務以外のデータ(例:活動量、要因数、品質計測値)につ いても、ある程度は精通しています。しかし、今やデータは、ありとあらゆる方向から、まったく新たな形で生まれ てきます。 そのほとんどは非構造化データです。Facebook、Twitter、ブログなどのユビキタスなソーシャルメディアを考 えてみてください。LinkedIn のようにラベルタグの機能を備えたツールもありますが、基本となるデータ構造は 限られています。また、センサーデータ、交通量、GPS(全地球測位システム)による位置情報検索、最近ではモバ イル GPS データもあります。新たなソースが常に開発されているため、すべてを網羅するリストを作成するのは 事実上不可能です。そこで、こうしたデータの大海をうまく活用することが課題となります。ここで注意すべきは、 この大海が、データの多様性によって生み出される「複雑さの大海」でもあることです。 4 著者:スティーブ・プレイヤー (Steve Player)、 プログラムディレクター、 Beyond Budgeting Round Table、北米 © 2013. Beyond Budgeting Round Table, North America. 無断での引用・転載を禁じます。 このデータを検討するとき、私はよく古い AM ラジオのダイヤルを思 い出します。左右に回すことでチューニングできるタイプです。ダイヤ 新たなソースが常に開発されています ルを正しい位置に合わせれば、信号がクリアな音声や音楽に変換され ます。位置が不正確だと、ザーッというノイズが聞こえるだけです。現 在では私たちの周囲には、情報を運ぶ電波も、さまざまな種類が飛び ータ タ Sデ P ー G デ ータ グ 量 サー 交通 イル PS デ ブロ ン バ G セ モ 交っています。しかし、それを聞く唯一の方法は、やはり正しくチュー ニングすることです。それと同じように、多種多様なビッグデータが組織の周囲を流れているのですが、そのこと を私たちは忘れがちです。こうした情報がもたらす洞察を的確に活用する人々には、とてつもないチャンスが広がっ ています。 計画担当者はすでに、予測ロジック図を活用しています。この管理ツールは、望ましい行動に至るまでの活動の変 化を視覚的に表現します。予測担当者はセールスマネジャーと協力し、現在の状況と、組織の販売ファネルで追跡 した動向を組み合わせて検討し、想定される販売予測を作成します。販売ファネルは、関心度がさまざまなレベル にあるセールス対象同士の関係性を示す、予測ロジック図として機能します。問い合わせやターゲットに働きかけ ることで、それらをリードに転換する道が開けます。リードに働きかけることで、それを提案の機会に転換すること ができ、その後は案件として販売の完了まで追跡を続けます。この過程で経験することになる仕事の規模と結果は、 将来の成果の予測に活用できる知識を提供してくれます。販売サイクルにおけるタイムラグを調べれば、現在の パイプラインから将来の成果を予測できます。 こうした予測ロジック図は、その適用範囲を将来の成果の前兆となる先行活動にまで拡張すると、さらに有効性が 高まります。センチメント(感想)分析などの新しいツールは、こうした取り組みの拡張に役立ち、顧客のフィードバッ クをいち早く手に入れ、余裕を持って対応できるようになります。こうしたツールは、計画担当者が活用方法を学 び始めている新たな領域です。 財務計画担当者向けの行動項目 ビッグデータの適用方法を検討する初期の段階では、財務計画担当者は萎縮してしまうかもしれません。初めてヨッ トで海へ乗り出すときと同様、それは自然なことです。まずはゆっくり始めることで、これを克服できます。計画の 対象領域を小さな部分に分割します。小さな部分で計画を達成することが、大きな目標に取り組む自信となります。 こうしたクイックスタートの考え方に利用できる小さな部分としては、以下のようなものが挙げられます。 1 たとえば収益明細など既存の領域について、過去に遡る形でロジック図を作成します。この場合、潜在顧 客に最初に接触した時点まで、でできるだけ遡ることが重要です。その顧客との接点をすべてリストアッ プし、ビッグデータが有益な洞察を提供できそうなところを特定します。 2 ビッグデータが管理フレームワークに及ぼす影響を評価します。現在のプロセスからフレームワーク図を 開始します。ビッグデータがすでに役立っている領域と、今後役立つであろう領域を注釈に記述します。 これはプロセス改善ロードマップの開発にも活用できます(これまでに管理フレームワークを図式化した ことがない場合は、APQC の Global Process Classification Scheme や U.S. Malcolm Baldrige National Quality Award 基準など、利用可能な汎用管理モデルのいずれかにより、このプロセスを開 始するとよいでしょう)。 3 クラウドベースのデータプロバイダーが提供している外部データソースを活用することで得られるメリッ トを検討します。たとえば OPEX Engine は、米国証券取引委員会(SEC)の公開データをすべて提供し ています。これは XBRL や Prevedere でアクセスでき、貴重な経済動向データとなります。 5 著者:スティーブ・プレイヤー (Steve Player)、 プログラムディレクター、 Beyond Budgeting Round Table、北米 © 2013. Beyond Budgeting Round Table, North America. 無断での引用・転載を禁じます。 こうした小さな部分に加え、組織はビッグデータの量、速度、多様性を処理できるようにするため、インメモリー (RAM ベース)コンピューティングへの投資も検討する必要があります。上級経営幹部の多くは、今も古いパラダ イムから頭が抜け切れていません。率直に言って、この領域で必要なアプリケーションの総所有コストは、かなり 手ごろなレベルにまで下がっています。インメモリーテクノロジーはすでに、大きな投資効果を短期間で実現でき る領域です。幸いなことに、この領域では活用法が急速に進化しています。ただし、そのメリットを活かせるのは、 使う側の企業もそれにふさわしい進化を遂げている場合に限られます。船を取り巻く潮流は激しく、運航チーム は効果的な航行方法を実地で学びながら、舵を取らなければなりません。計画責任者は、ビッグデータの進展が見 えているかどうかを部下に問う必要があります。すでに作成している情報は何であり、すぐにも捕捉して使用でき るようにする必要がある情報(例:GPS データ)は何でしょうか ? どのような新しい情報・洞察が利用できるよう になりつつあるでしょうか(例:ごく低コストで利用可能な公開データ) ? 顧客の行動に関するデータは、顧客のニー ズを予測する上でどのように役立つのでしょうか ? そして最後に、主要なトレンドのほとんどが、コスト削減の推 進と、より多くの情報の利活用という方向へ進んでいるという事実こそが、データに潜む価値を有効活用するとい う施策の重要な推進要因の 1 つである点も忘れないでください。そのことが今後も引き続き、新たな可能性を切 り拓いていくのです。 著者:スティーブ・プレイヤー (Steve Player)、 プログラムディレクター、 Beyond Budgeting Round Table、北米 1 「Harvard Business Review」2012 年 10 月特集号「Getting Control of Big Data」pp. 59 ~ 83 参照。 2 McAfee、Andrew および Erik Beynjolfsson「Big Data: The Management Revolution」Harvard Business Review、2012 年 10 月、pp. 60 ~ 68 参照。また、ビッ グデータの 3 つの V について最初に論じられた機会は、2001 年に Doug Laney が執筆し、META Group(現在は Gartner の一部)が発行した「Three Dimensional Data Challenge」であったことに注意。 3 iPad/ タブレットがいかに急速に普及しているかについては以下を参照: http://www.zdnet.com/1-in-4-tablet-owners-say-it-is-now-their-primary-computer-7000004770/ 4 Geoff Miller「Slowing the Game Down」参照:http://www.beabetterhitter.com/text/mental/SlowingtheGameDown.htm。これは野球についての考察だが、 計画担当者にとっても有益なアドバイスとなっている。 5 同上 6 単にデジタルであること以上の何がデータの爆発的な増大に寄与しているかをより深く理解するためには、次のリンクを参照: http://mashable.com/2012/06/22/data-created-every-minute/ 6 © 2013. Beyond Budgeting Round Table, North America. 無断での引用・転載を禁じます。
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