(Oide Wiesn:懐かしのオクトーバーフェスト) 「歴史的なオイデ・ヴィーズン」 は当初はオクトーバーフェスト200周年記念 の2010年にだけ復活する予定だった。 しかし、昔ながらの舞台とバイエルン 民謡による懐かしい雰囲気に約50万人もの入場者が詰めかけ、熱狂的な支 持を受けたため、 ミュンヘン市議会は 「オイデ・ヴィーズン」 を今後もオクトー バーフェストの定番とすることを決めた。 オクトーバーフェスト会場「テレジエンヴィーゼ」南端の一画に設けられた 「オイデ・ヴィーズン」エリアは、オクトーバーフェスト来場者をこの国民的な 祭りの起源にまでタイムスリップさせる。 メイン会場にある大音響のハイテク・ アトラクションからやや離れて、 このエリアではくつろいだ雰囲気を楽しむこと ができる。 「オイデ・ヴィーズン」 の昔懐かしい魅力を出すために、 アトラクショ ンや屋台は40年以上前につくられたものだけが出店を許可され、 ストリート・ オルガンや機関車のような昔の遊具が展示される。 ライヒェルト氏は「オイデ・ヴィーズン」エリアの テント、 「ツア・シェーンハイツ・ケーニギン (美人コ ンテストの女王)」の主人だ。 「オイデ・ヴィーズン」 の魅力について聞かれると、彼は60年前と同じ雰 囲気について熱く語った。愉快で、 ミュンヘン的で、 ゆったりしていて、活気に満ち、雰囲気がよく、家庭 的で、色彩にあふれ、 バイエルンならではのユーモア にあふれ、文化的・・・。 ここでは老人も若者も一緒に 伝統的な音楽を楽しむ。 ライヒェルト氏はどの客に も午前中に来るように薦めている。 というのは、バイ エルン風のバンドやダンス、歌謡漫談、音楽が舞台で繰り広げられる中での 「フ リューショッペン (Frühschoppen)」 と 「真昼のビール祭り」 が彼にとって一番 だからだ。 バイエルンで言う 「フリューショッペン」 とは白ソーセージにスィート・ マスタード、 ブレッツェルとビールのバイエルン風朝食のことである。 美食家向きの食事もここには揃っている。肉料理、菓子、飲み物、 バイエルン 名物を提供する多くの屋台が来場者を誘う。 テント 「ツア・シェーンハイツ・ケー ニギン」 ではルードヴィッヒ2世が好んだという料理を食べることができる。宮 廷料理長ヒールナイスのオリジナルレシピを再現した 「ヘヒテン・クラウト (川 かますとザワークラウトのオーブン料理)」 である。 ビールも「オイデ・ヴィーズン」はそのモットー に忠実だ。バイエルンの伝統に則った木製樽出し ビールを灰色の陶製ジョッキ「ケーファーローアー (Keferloher)」 で飲む。オクトーバーフェストが始 まってから最初の100年間は陶製ジョッキでビール を飲んでいたが、少しずつガラスのジョッキにとって 替わられたという。 www.oktoberfest.de ミュンヘン市観光局長 ヴァイスホイプル氏の話し: オーバーフランケン産 トロピカルフルーツ この 「祭りの中の祭り」 に は白と青に彩られたバイエ ルン州首都のイメージが 明確に表れています。オク トーバーフェストはその世 界的な知名度で観光の吸 引力であり、すぐれた輸出 品でもあります。世界中で 行ったアンケートでは、91%の人が「オクトーバー フェスト」 を知っていました。 ミュンヘンにとってこの 祭りの商業的価値は測りしれません。 ミュンヘンが 国内外で享受しているこの評判は、訪問者数にも表 れています。 とりわけこの比類ない国民的な祭りの おかげで、 ミュンヘンはドイツでも観光都市のトップ になっています。 オクトーバーフェストは国際市場で もかけがえのないブランドであり、 それによってミュ ンヘンのイメージも大いに高められています。 オクトーバーフェストの経済価値は約10億ユー ロです。約640万人の来場者が16日間に会場で支 払う金額は約3.9億ユーロ、1人当たり61ユーロで す。市には他所から来た訪問者が払う食事、買い物、 交通費などとして約2.5億ユーロが入ります。宿泊費 だけでも更に3.56億ユーロが支払われています。 オクトーバーフェストには、ハイテクから農業、建 設業から飲食業、手工業から通信業、エネルギーか らメディアまで、ほぼ全てのバイエルン州の産業が関 わっています。会場は独自のインフラを整備し、1万 2千人の従業員が働く都市の中の都市になります。 パンとソーセージを食べて、 メリーゴーランドに 乗って、ハート型のレープクーヘンを買って、歌を うたい、会場で知り合った人にキスをする、 これが オクトーバーフェストの醍醐味です。 オーバーフランケン地方テッタウ (Tettau)にあるハイン ツ家では中世以来ガラス製品を作っており、現在は高級香 水用の豪華な蓋付きガラス瓶に特化して製造を行っている。 将来、 この工場の周りでトロピカルフルーツの香りが漂うよ うになれば、香水瓶工場にぴったりの雰囲気になるだろう。 バイエルン州とEUの支援により、 ハインツ氏は3,500m2のガラス工場の廃 熱だけを利用した「小さな楽園」 という名の温室を建てる。温室内ではマン ゴーやパパイヤ、 バナナが熱帯の農園のように育つことになる。 自然界と同じ ような環境を作り、熱帯魚が植物の根に必要な養分を供給する。 バイエルン州経済省政務次官ヘッセル女史は8月初めに行われた起工式で、 環境にやさしく高いエネルギー効率が期待される今回のプロジェクトについ て概要を説明した。環境にやさしい温室には経済的効果も期待される。 「この プロジェクトは環境保全とエネルギーの効率的な利用を目指す革新的な試み であると共に、地方の活性化にも寄与するものです。 エネルギーを大量に必要 とする産業が、 いかに廃熱を合理的・経済的に利用することができるか、 その 可能性を示唆しています。 さらに、 このような施設が観光の目玉となりうるチャ ンスを秘めていることは、 この地域だけでなく、他の地域にも意味のあることで す。」 特許都市ミュンヘン ミュンヘンには世界で最も重要な2つの特 許庁、 すなわち欧州特許庁(EPA) とドイツ特 許商標庁(DPMA)の本部がある。1973年、 ミュンヘンにおいて16か国により欧州特許 認定を行う調印が行われ、 これにより欧州特 許庁は1977年、 ミュンヘンで特許認定機関 としての業務を開始した。 ドイツ特許商標庁の歴史は1877年まで 遡る。 当時ベルリンに帝国特許庁が開設され た。特許1号を取得したのはバイエルン人 だった。 「ニュルンベルク群青色工場」 のツェ ルトナー氏が「赤味がかった群青色の製造 方法」 で、特許第1号の認定を受けたのであ る。第2次世界大戦後の1949年に西ドイ ツ特許庁はミュンヘンのドイツ博物館で業 務を開 始したが 、1 9 5 9 年 以 降は現 在の Zweibrückenstraße12番地に移転している。 www.dpma.de ミュンヘンは株価リーグ戦のチャンピオン 大企業の本社所在地として 他を圧倒的に引き離し、 トップ の座にある都市がミュンヘン だ 。企 業 コ ン サ ル タ ン ト Simon-Kucher社の計算によれば、 ミュンヘン に本社を持つ企業の株価総額は約2,480億 ユーロ。DAX(フランクフルト証券取引所指定 30銘柄の株価による株価指数。 この30銘柄は 売上が上位30位以内のドイツ企業から選ばれる) に名を連ねるアリアンツ (Allianz)、 シーメンス (Siemens)、 ミューニック・リー(Münchener Re)、ビー・エム・ダブリュー(BMW)、 マン (MAN)、インフィニオン (Infineon) およびリ ンデ(Linde) の7社がミュンヘンに本社を置く。 この 「株価リーグ戦」 とも言える競争の第2位は ノルトラインヴェストファーレン州のデュッセル ドルフだが、株価総額はかなり引き離されて 830億ユーロ、第3位にヘッセン州フランクフル トの670億ユーロが続く。 5分間インタビュー 在ミュンヘン日本国総領事館 水谷 章 総領事 1. 日本企業はバイエルン州にどのようなイメージを持って いるのでしょうか。 また、なぜ日本企業は企業拠点としてバ イエルン州を選ぶのだと思われますか? バイエルン州は、多くの優良ドイツ企業が立地し、欧州で最も経済力が ある地域のひとつとして認識されています。 また、 同州は、 ミュンヘン大学を はじめとする優秀な大学を擁しており、優れた人材がドイツ国内外から集 まってきます。 自動車産業・ハイテク産業が盛んであり、 日本と産業構造が 似ていますし、 日本同様に世界トップレベルの技術力もありますから、 日本 企業にとってはパートナーを見つけやすいのではないでしょうか。 バイエルン州の企業立地の魅力という点では、産業クラスターが盛んであ る点も見逃せません。 バイエルン州には各地に様々な分野の産業クラスター が形成されており、大学や研究開発機関と企業との連携が進んでおります。 また、東日本大震災による原発事故に見舞われたわが国は、新たなエネ ルギー社会のあり方を世界に提示することが期待されています。バイエル ン州では、環境分野、 エネルギー分野でも新技術の活発な開発の動きが見 られますので、 日本企業の心強い味方になりうることは間違いありません。 さらに、企業が駐在員を派遣する場合、現地の治安情勢、生活の利便性 <バイエルン州駐日代表部について> バイエルン州駐日代表部は1988年に日本(東京)に設立されたドイツ・ も重要な点ですが、それらの点についてもバイ エルン州は高い評価を受けています。過去10年 間で進出日本企業数、在留邦人数ともに倍増し ており、それに伴って日本人が生活しやすい環 境も整ってきています。 2. 日本人がバイエルン州に来たら是非とも見 ておくべきお勧めの場所などがあればご紹介 下さい。 バイエルン州は産業立地として優れているだ けでなく、観光立地としても欧州随一の地域で す。風光明媚な農村や湖畔、あるいは多くの城 郭都市とそこにある博物館や美術館に足を運べ ば、 ドイツやヨーロッパの思考の根源に迫ること もできるでしょう。 アルプスの麓や湖畔といった 豊かな自然の中でゆっくりとした時間を過ごす ことは、 とかく仕事に集中しがちな企業駐在員と そのご家族の方々にとって貴重な休暇となるだ けでなく、 自らのビジネスに新たな着想を与える 機会ともなるでしょう。 バイエルン州駐日代表部 代 表 Dr.クリスティアン・ゲルティンガー バイエルン州経済運輸技術省の日本代表事務所です。日本企業のバイエルン プロジェクトマネージャー 田山 野恵 ネスパートナーとしてのバイエルン企業探しなどに関し、詳細な情報、豊富 オランダヒルズ森タワー RoP 801 州への企業進出(現地法人や駐在員事務所の設立など)や、貿易取引のビジ 〒105-0001東京都港区虎ノ門5-11-1 な実務経験に基づくアドバイスを無料で提供しています。関心をお持ちの方は TEL : (03) 6809-1416 お気軽にご相談ください。 FAX : (03) 3433-1552 E-mail : [email protected] HP : www.invest-in-bavaria.jp www.epo.org WWW.INVEST-IN-BAVARIA.JP この 「小さな楽園」 には、科学者も関心を示して おり、 バイロイト大学が研究パートナーとしてこの 栽培プロジェクトに協力することになっている。 WWW.INVEST-IN-BAVARIA.JP バイエルン州ビジネスニュース トピックス 2011年 第4号 アイディアの宝庫 バイエルン 「未来の太陽工場 −スマートグリッドシティ」計画 アイディアの宝庫 バイエルン 将来に向けての研究 バイエルン州のベスト50 ホテル不動産ブーム オクトーバーフェストの原点回帰 「オイデ・ヴィーズン」 オーバーフランケン産 トロピカルフルーツ 5分間インタビュー −在ミュンヘン日本国総領事− 「未来の太陽工場 −スマートグリッドシティ」計画 「スマートグリッド」-この言葉はそれほど遠く ない将来、今日の 「スマートフォン」 のように広く使 われるようになるだろう。エネルギー供給は間違 いなく現代の最重要テーマのひとつである。 そして 「スマートグリッド」 によって、将来の電力供給はフ レキシブルで効率的、かつ環境にやさしいものに なるだろう。 エネルギーキャンパス・ニュルンベルクがコンセ プトをつくり、バイエルン州経済省がサポートする 一大プロジェクト 「未来の太陽工場-スマートグ リッドシティ」は、オーバーバイエルン地方から行 政区一か所を選定し、革新的なモデル地域をつく る計画だ。太陽エネルギーによるエネルギー循環 社会の運用と効果についての実証実験を行い、将 来的には最適な方法でバイエルン全域に導入する。 発電だけでなく、太陽電池で発電した電気の蓄 電方法についても検証する。供給の不安定な太陽 光からどうすればエネルギーを最大限効果的に蓄 えることができるか?どのようにしてエネルギーを 分散・貯蔵し、インターネットで管理できるように するか? 「この実証実験では、選定された地域に将 来を見据えたインフラを導入する。研究者は、 それ により太陽光発電やインテリジェントな電力供給、 そして蓄電についての実際的な研究と実験を進め ることができる」 とバイエルン州ツァイル経済大臣 はこのプロジェクトに大きな期待を寄せている。 選定されたモデル地区では住民や地域経済に多 大なメリットがあるだろう。近いうちに候補地が選 ばれることになっている。 この 「未来の太陽工場-ス マートグリッドシティ」には「進めバイエルン・プロ ジェクト」 の予算から約7百万ユーロがあてられる。 バイエルン州には特に多くの発明家が住んでいる。 これは欧州特許庁お よびドイツ特許庁により授けられた約20万件の特許をバイエルン州商工 会議所が調査した結果である。このレポートはバイエルン州の企業に平均 以上の大きな革新力があることを示している。全ドイツの特許出願率に占める バイエルン州の割合は約27%だ。 レポートによればバイエルン州の企業は 「半導体部品」、 「診断・外科・個体 識別」、 「デジタルデータ処理」 の技術分野で特に強力に研究を進めている。国 際特許分類(IPC) によるこれらの特許部門において、バイエルン州の発明家 だけで全ドイツの特許出願率の42~48%を占めている。 ドイツ全体が最も力 を入れている技術分野である 「車両」、 「車両内装品」 あるいは 「車両部品」 に おいてもバイエルン州は特に強い。州商工会議所のレポートによれば、 バイエ ルン州の自動車メーカーはその開発力でこの革新的分野を支配している。 「少なくとも8つの技術分野においてバイエルン州が特に高い特許取得率 を占めており、 また、 それ以外の分野についても注目に値する高い割合で特許 を獲得していることから、 ほぼ全分野の技術革新においてドイツ国内でバイエ ルン州がその先頭を走っていることが分かる」 とこの特許に関するレポートは 結論づけている。 商工会議所のこの調査はバイエルン州が明るい将来展望を持つことができ ることを証明している。 バイ エルン州は重要な技術分 野で将来市場において優 位な位置にある。バイエル ン州の最も重要な10の技 術のうち5つが世界トップ 1 0に入っていることもレ ポートで報告されている。 写真提供: Christian Denis Mueller オクトーバーフェストの原点回帰 「オイデ・ヴィーズン」 欧州特許庁(ミュンヘン) -バイエルン州駐日代表部イベント出展情報- 11月9日~12日: メッセナゴヤ (名古屋市国際展示場) http://www.messenagoya.jp/ 11月15日: 第7回日独産業フォーラム (ホテルオークラ東京) www.gtai.com/jp/info-service/events/current/jgif2011-jap/program-jgif2011-jap/?backlink=0 WWW.INVEST-IN-BAVARIA.JP 将来に向けての研究 世界経済システムの特徴は最良のアイディアをめぐる競争だと言える。 つま り、多くの企業の将来はその研究部門に握られている。 バイエルン州の技術系 企業はそのための多大な努力をおしまない。 数字から見れば発明を量産する企業として電機メーカーのシーメンス社 (Siemens AG) を挙げることができる。現在約58,000件の有効特許を保 有している同社では世界中で3万人強の従業員が研究に従事しており、 この 研究員たちは事実、十分責務を果たしている。 シーメンスのレッシャー社長は 最近の株主総会で、 「わが社は2010年 (営業年度) には8,800件の発明、 つま り1労働日あたり約40件の発明をし」、 「世界経済危機の間も研究費を売上 高の5%以上の高レベルに維持した」 と発表している。研究開発費のうち3分 の1はグリーンテクノロジーに投じられた。 うまくいけば世界的な新発明で大 ブームを巻き起こす可能性だってある。 シーメンス曰く 「世界中で最も効率的、 かつ最も出力の高いガスタービン」 であるガス発電所“イルシング4(Irsching4)”で、 それは起こった。同社発表 によれば、 このタービンが発電量1キロワット時あたり消費する天然ガスは、 今日一般に使用されている設備の平均値の3分の2ということだ。 この新型ガ スタービンを使用すれば、環境に悪影響を与えるCO2を年間で約4万トン低 減できるという。 これは1万台の中型車が1年間、各約2万KMを走行した時 に排出するCO2量に相当する。 この驚異的なガスタービンの営業運転に先 立って、 すでに数百万ユーロ規模の注文が米国やアジアからきているという。 商工会議所の職員であるエーベル氏はエアラ ンゲン(Erlangen)の伝統的な家族企業パウ シ ュ・ テ ク ノ ロ ジ ー ズ 社( P a u s c h Technologies) をその好例として挙げる。世界 中に350人の従業員を有するこの革新的なレント ゲン装置メーカーは、少ない特許で如何にして成 功を収めるかを示してくれる。 1千台を大きく超え る泌尿器検査装置(商品名Uromat)を全世界で 販売するために取得したのは、 たった1件の特許 だった。2008年以降同社の研究・開発部を率い ているのはムルグレスク氏である。特殊な構造の スピンドルの組合せがこの画像表示診断装置の 回転メカニズムを大きく改善することになった。 「これにより医師の検査が非常に容易になったの です」 と同氏は説明する。 それでも、診察室や病院 でパウシュ社(Pausch) の名前を見つけることは、 ほとんどできない。 シーメンス社(Siemens)、 フィ リップス社(Philips)、それにジェネラルエレクト リック社(General Electric) などの大企業が、 こ の装置をそれぞれ独自の部品で補完し、 レントゲ ンシステムとして自社の名前で販売しているから である。 発明家はバイエルン州全域に 商工会議所のエーベル氏は報告書の作成にあ たり、バイエルン州の各地方の革新力も調査して いる。 そのため、居住者数、実質国内生産高および 企業数に対する特許出願数も調べた。その結果、 バイエルン州全域に革新を進める風潮があること が明らかになった。 「これについては中部フランケ ン地方が1位、 オーバーバイエルン地方、 オーバー フランケン地方、オーバープファルツ地方および ヴュルツブルグ‐シュヴァインフルト地区はほぼ同 ヘルツォーゲンアウラッハ(Herzogenaurach)の自動車部品メーカー、 列です」。中部フランケン地方で特に高い得点を ほとんどが 「診断・外科・個体識別」分野 シェフラー社(Schaeffler AG) にとっては効率向上が成功の鍵であった。 得たのは、 における革新的な発明である。 この分野において 世界で初めての全領域対応の油圧バルブ制御システムで市場参入することに はバイエルン州の全特許の61%が同地方で発明 より、 シェフラーグループは駆動技術において大きな躍進を遂げた。 この新し されている。 いバルブは、極めて複雑かつ頑丈なハイテクシステムによって、 4気筒エンジ ンに通常使用されている吸気カムシャフトに取って代わることになる。 「全領 域可変の油圧バルブ制御システムを量産レベルに達成するまでには、機械工 学や水力学、 それから制御ソフトの分野において大変な努力が必要だった」 と シェフラーグループのエンジンシステム事業部に所属しているハース開発・事 業開拓部長は述べている。 これらの課題は約45名の開発チームによって克服 された。 その成果は見ての通りだ。 この新しいバルブ制御システムで燃料消費 量およびそれに伴うCO2排出量を最大で25%削減でき、 同時にウォームアッ プ時の微粉塵が低下する。炭化水素排出量は最大40%、 さらに窒素酸化物 (NOx) は最大60%低減されるとのことだ。 特にバイエルン州の大企業において、研究は重視されている。 これは特許に 関する報告書にも数値として現れている。全出願者のうちの1%が、全特許件 数の半数以上を保有している。報告書を書いたエーベル女史は、 「そうは言え、 中規模企業にも十分にチャンスがあります。重要なのはその内容と商品化で す。 どの特許が製品として市場に出るかを決めるのは顧客なのですから」 と述 べている。 WWW.INVEST-IN-BAVARIA.JP CO2排出量を最大で25%削減 写真提供:シェフラー社 ドイツにおけるバイエルン州の特許出願比率 順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 技術分野 半導体部品 診断・外科・個体識別 デジタルデータ処理 自動車、 自動車装備品 ギア 物理的および化学的な材料分析 デジタル情報の伝達 シャフト、 クランクシャフトの個別部品、軸受 シャフトカップリング、 ブレーキ プラスチックの成形と接着 % 47.7 47.8 42.3 25.7 37.3 27.5 39.5 55.2 35.2 30.5 バイエルン州からの特許出願:出願数の多い企業 順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 出願者 2009年の第1次出願件数 シーメンス (Siemens AG) 1660 シェフラー (Schaeffler KG) 638 ビー・エム・ダブリュー (BMW AG) 619 コンチネンタル自動車 (Continental Automotive GmbH) 454 ボッシュ シーメンス (BSH Bosch Siemens Hausgeräte GmbH) 389 オスラム オプト (Osram Opt Semiconductors GmbH) 389 ロベルト ボッシュ (Robert Bosch GmbH) 329 インフィニオン (Infineon Technologies AG) 318 アウディ (Audi AG) 294 ゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン (ZF Friedrichshafen AG) 231 強さの秘訣はネットワーク バイエルン州のすべての地方が高得点を挙げ た理由の1つは、 バイエルン州に多数ある産業ク ラスターのおかげだ。個々のクラスターメンバー のネットワークが、 お金のかかる開発を中小企業 でも推進できる要因となっている。 写真提供:パウシュ・テクノロジーズ社 アウグスブルクのエコ計画 アウグスブルク市の工業団地 「環境パーク (Umweltpark)」 は先進的な環境専門複合セン ターに拡充される。市は14ヘクタールの敷 地に、大量のエネルギーを必要とする環境技 術関連企業を誘致する予定である。 この開発 地区は 「エコ (ECO)」 と名付けられ、 ここでは エネルギー供給者とエネルギー消費者双方 が効果的に事業活動を行っている。生産活 動に必要なエネルギーは隣接する市のリサ イクル工場やバイオ発電所から供給される。 この 「環境パーク」 では既に、様々な持続可能 な技術分野ならびに環境技術による知識と 経験が理想的な形で結び付いている。 バイエルン州のベスト50 バイエルン州における最も成長率の高い企業 50社が「第10回バイエルン州ベスト50」 の栄誉 を受けた。バイエルン州経済省は過去5年間で特 に高い成長を果たし、 かつ従業員数と売上が平均 以上に伸びた企業を表彰している。今回、記念す べき10周年にこの栄誉ある賞を受賞した会社を いくつか紹介しよう。 Bionorica SE(ノイマルクト市) ビオノリカ社はヨーロッパで最も成長を遂げて いる植物性医薬品のメーカーである。世界中で研 究を行っている同社の重点課題は、様々な適応症 に対応して開発されたポートフォーリオ (16のプ レパラート) を用い、科学的な研究を下敷きに、実 際の技術革新をもたらすことにある。 州の援助と企業の積極的な活動により、例えばヨーロッパ中核地域ニュル ンベルクにおいて過去数年の間に名高い医療技術ネットワークが構築された。 この 「ヨーロッパ中核地域ニュルンベルク・メディカルバレー」 はメーカー、研 EOS Elektro Optical Systems GmbH 究機関、医療サービス提供者、救済事業者、商工会議所およびその他の組織 (クライリング市) を連携させたネットワークであり、昨年ドイツ連邦教育・研究省から国のトッ EOSエレクトロオプティカルシステムズ社は プクラスターとして表彰された。 ここで評価されたのは、医療技術、医療サービ レーザー焼結分野における世界のマーケットリー スおよび医療サービス経済分野の人脈と、手段の戦略的かつ積極的なネット ダーであり、同社のレーザー焼結はプロセス指向 ワークづくりであった。 もう1つ、連邦政府のトッ のe‐マニュファクチャリング・ソリューションの要と プクラスターコンテストの勝者となっているのが、 なる技術である。多くの部品を素早く、 フレキシブ バイエルンのネットワーク、 ミュンヘンのバイオ ルに、 しかも低コストで電子データから直接製造 テクノロジー・クラスター「m4」 である。 することができる。 この方法により製品開発のス ピードが上がり、製造プロセスを最新化すること が可能となる。 今月の数字 10億ユーロ 2010年上半期には過去最高の資金がバイエルン州の中堅中小企業に貸 し付けられた。LfAバイエルン支援銀行は合計10億ユーロ以上の融資を約 束した。 これまでの最高額は8億ユーロであり、昨年のことである。旺盛な資 金需要は、全産業分野における中堅中小企業の好調な商況と、活発な投資 行動の指標だ。 LfAバイエルン支援銀行はバイエルン州の中小企業を支援するために設 立された州立特殊銀行であり、融資は各企業の取引銀行を通じて申請・提供 される。 LAMILUX Heinrich Strunz GmbH & Co.Besitz KG(レーハウ市) レーハウ市にある家族経営企業ラミルクス・ハ インリッヒ・シュトゥルンツ社は460名の従業員と 60%の輸出比率を有し、世界市場における 「隠れ たチャンピオン」 だ。 2010年にはLAMILUXファイ バー強化プラスチックとLAMILUX自然光天窓の 事業により1.14億ユーロを売上げている。 ホテル不動産ブーム Accor: Novotel München Airport: © Ingrid Jost-Freie 商業用不動産市場 でホテル物件はこれま でニッチな存在だった。 しかし、今年のEXPO REAL(商業用不動産 見本市:2011年10月 4-6日、 ミュンヘンで開 催)ではこのテーマが 上位に位置づけられて いる。ホテル不動産は ブームになっており、 バ イエルンはその中心だ。 ホテル建設予定の告知版や新規開店、広告キャンペーンなど、 ホテル業界 はバイエルン州で今後の予想がつかないほど拡大している。投資家、 デベロッ パー、 ファンド会社はホテル事業の見直しを強化しており、今年のEXPO REALでもこの部門は関心を集めている。 「ホテルビジネスは成長部門で、投 資家や出資者に新たな展望を開いている」 と云うのはEXPO REALプロジェ クトリーダー、ボイマンス女史。貸付リスク、欧州におけるアジア系ホテル チェーンの動向、 グリーン・ビルディングなどをテーマにした 「ホスピタリティ・ インダストリー・ダイアローグ」 と銘打ったフォーラムには、国際的なホテルビ ジネス業界の高名な人物の多くが顔を揃える。 ボイマンス氏によればホテル物件への大きな関心の要因は、 ホステルや低 価格ホテルから統一デザインのホテルチェーン、 さらには高級リゾートに至る まで、 目的別にコンセプトが差別化されていることにある。 これに加え、 これま ではローカルチェーンが優勢であったアジア、 アラブ諸国、欧州のマーケット が国際化していることが挙げられる。 「ホテルビジネスは拡大することが確実 視されており、 それに伴ってマーケットの国際化が進みます」。 ホテル部門にとってバイエルン州は特に魅力的な場所だ。2,800万人を超 える来客数と約7,700万泊という宿泊日数で、 バイエルン州は2010年にもあ らためて人気の旅行先であることを証明した。 ホテルの経営者はミュンヘン に特に有利な状況を見出してい る。 「ミュンヘンは欧州で格別に 強い立地場所だ」 と云うのは、 ク リスティ社(Christie & Co.) の 社長でありホテル売買の専門家、 バイケ氏。 ミュンヘンにはビジネ スと観光の大きな需要があり、 部屋を1週間のうち、7日間稼働 させることができる。 「だからミュンヘンにホテルを持つことは、 ホテルチェーン にとって非常に重要です」。 この分野にはまだ伸びしろがある、 とバイケ氏は見る。大手ホテル業者50 社のドイツ市場における2010年の売上は13.5%増加、合計68.1億ユーロ。 その多くが今年も収入増を確信する。低価格の新しいホテルチェーンは、例外 なく2桁の高い伸び率を示すだろう。 アコール社(Accor) の売上は8.15億ユーロ、 ドイツ市場で最も売上高が 大きいホテルグループだ。 このフランス系グループのドイツ支店は本拠をミュン ヘンに置く。 ドイツで最も成長率の高いホテル、モーテル・ワン社(Motel One) でも同様だ。 この低価格ホテルチェーンはミュンヘン出身のミュラー氏 が創設してブランドを確立、拡大した。ホテル・飲 食 業 新 聞( A l l g e m e i n e r H o t e l - u n d Gastronomie- Zeitung) によれば、同社は昨年 には売上を60%、事業所数を26から31に増やし た。今年末までに新たに8店、 その多くがミュンヘン に開業する。 近いうちに数物件の新規開業が予定されている にも拘らず、欧州中核地区ミュンヘン連盟(EMM) はEXPO REALで更に多くのホテル不動産を宣 伝している。 「 国際的な観光業からの需要が現在 のホテルオファーよりも大きい」 と言うのはEMM 社長のヴィルデ女史だ。 「 立地点に関する分析に よれば、 ミュンヘン地域にはウェルネスと会議に特 化したブランドホテルのような四つ星クラスホテ ルに対 するさらに多くの 需 要 がある」と言う。 EMMがEXPOで展示している2つの最新プロ ジェクトがある。ひとつはインゴルシュタット (Ingolstadt) の旧市街区開発構想において、5万 2 m のホテル併設のコングレスセンターを工場跡 地に建設する計画、もうひとつはバード・テルツ (Bad Tölz) において素晴らしい山々を展望でき る1万m2の敷地を利用した観光開発計画だ。 ホテルとレジャー 用不動産は欧州中核 地区ニュルンベルク でも今年の重点テー マとなっている。産業、 住 居 、レジャーが新 しい手法で融合され るプロジェクト 「ゴルフパーク・フュルト (Golfpark Fürth)」 と並んで、 ニュルンベルク旧市街の1等地 に新しい四つ星ホテルが計画されている。 アルト ミュールフランケン地区(Altmühlfranken) の土 地も紹介される予定で、 この土地は観光用のホテ ル立地に最適である。 投資家とデベロッパーがバイエルン州で成功す る見込みは非常に高い、 と言うのはオンラインマ ガジンwww.hospitalityinside.comの編集者 ピュッツ=ヴィレムス女史である。低価格航空路線 と新市場により、旅行ブームは世界中でさらに過 熱する。 これと並行してビジネスの世界でも国際 化が進む。直接会うことにとって替わるものはそう ない。オンライン会議やテレビ電話がホテルビジ ネスの成長を減速させることはないだろう。 「ビジ ネスパートナーと直接会うことが重要なのです。 決定的な折衝は今で も直接交渉で行われ ています」 とピュッツ =ヴィレムス氏は述べ ている。 WWW.INVEST-IN-BAVARIA.JP
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