2012 年 1 月 17 日 名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター http://www.nces.is.nagoya-u.ac.jp/ 次世代車載システム向け RTOS の仕様検討および開発に関する 第二期コンソーシアム型共同研究開始のお知らせ ~AUTOSAR OS 仕様ベースの RTOS を産学共同で開発~ 名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター(NCES)では、 2012 年 4 月より、次世代車載システム向け RTOS の仕様検討および開発に関する第 二期コンソーシアム型共同研究(以下、コンソ型 RTOS の共同研究)を実施すること になり、参加企業の募集を開始しました。 このコンソ型 RTOS の共同研究では、NCES における第一期の開発成果を活用し、 AUTOSAR OS SC1/SC3 仕様をベースとした次世代の車載組込みシステム向けの RTOS の検証スイートの開発、および AUTOSAR COM 対応の通信ミドルウェア及び ドライバの実装とテストスイート開発等を行います。開発した RTOS は、将来的には、 TOPPERS プロジェクトより、TOPPERS/ATK2 としてオープンソース化する予定で す(ただし、すべての開発成果をオープンソース化するとは限りません)。コンソ型 RTOS 共同研究は、第二期目として 2 年間の計画で実施します。(契約は 1 年単位に 行います) この第二期コンソ型 RTOS 共同研究の前段となる活動として、NCES では 2011 年度 に、AUTOSAR OS 仕様をベースとした RTOS の仕様検討と実装に 12 社の参加を得 て取り組んできました。これまでに、AUTOSAR OS 仕様の問題点を修正し、マルチ コアプロセッサ対応に拡張した RTOS の仕様案を策定しました。また、AUTOSAR OS 仕様の SC1、SC3 に相当する RTOS の実装と、検証スイートの開発を行いました。 AUTOSAR OS 仕様をマルチコアプロセッサ拡張した RTOS は、国際的に見ても実装 例が発表されておらず、最先端の成果であると自負しています。 なお、このコンソ型 RTOS の共同研究は、NCES において実施中の「組込みシステム 技術に関する高度な研究開発人材の養成」の一環として実施するもので、RTOS に関 する研究開発技術者を養成することも目的の 1 つとしています。 このコンソ型 RTOS の共同研究に参加を希望する方は、以下のお問い合わせ先まで連 絡いただけると幸いです。 お問い合わせ先 本発表に関するお問い合わせは、以下にお願いします。 名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター 〒464-8601 名古屋市千種区不老町 C3-2 名古屋大学 情報基盤センター内 TEL: 052-789-4228 FAX: 052-789-4237 Email: [email protected] 組込みシステム研究センター(NCES)について 組込みシステム研究センター(NCES,センター長:高田広章)は、組込みシステム 技術に関する研究開発と人材育成を行うことを目的に、2006 年 4 月 1 日付けで、名 古屋大学 大学院情報科学研究科の附属施設として設置されたものです。 NCES では、組込みシステムに関する以下の活動に、産学官連携の枠組みで取り組ん でいます。 ・大学の持つ技術シーズを実現/実用化することを指向した研究 ・プロトタイプとなるソフトウェアの開発 ・組込みシステム技術者の教育/人材育成 NCES のコンソーシアム型共同研究とは、NCES 側で設定した研究テーマに対して複 数の企業に参加していただき、NCES を中心としたコンソーシアムで共同研究・開発 を行うものです。これまでの実施実績として、2009 年度に開始し現在も継続中の「マ ルチプロセッサ向け RTOS に関するコンソーシアム型共同研究」があります。 【補足資料】 2011 年度コンソ型 RTOS の研究参加企業 (12 社。50 音順) (株)ヴィッツ、(株)永和システムマネジメント、(株)OTSL、(株)サニー技研、(株)デンソ ー、(株)東芝、トヨタ自動車(株)、日本電気通信システム(株)、パナソニック アドバン ストテクノロジー(株)、富士ソフト(株)、富士通 VLSI(株)、ルネサスエレクトロニクス(株) RTOS とは 自動車用の制御ソフトなどのように、規定時間以内に処理が終わらないと正常に動 作 し な い シ ス テ ム を 管 理 す る リ ア ル タ イ ム ・ オ ペ レ ー テ ィ ン グ シ ス テ ム ( RTOS ) 。 Windows などの PC 上の汎用 OS は、規定時間以内にアプリケーションが動作するこ とを保証する時間保証の機能はない。 AUTOSAR とは BOSCH やメルセデス、ルノーなどのヨーロッパの自動車メーカ、車載機器メーカなど が集まって定めた車載ソフトウェアの業界標準構造。ソフトウェアの品質、信頼性を 向上させる事を目指している。併せて、開発・導入コストを下げ入手性、流通性を良 くする事も目指している。日本に AUTOSAR 仕様を導入し課題を検討するためにトヨ タ、日産、本田、三菱など自動車メーカを中心とした組織 JASPAR が設立されてい る。 マルチコアプロセッサとは 最近の PC の CPU に見られるように、1個のパッケージの中に2個あるいは4個などの 複数の演算ユニット(コア)を実装し、低消費電力で性能向上を目指したプロセッサ。 車載システム等の組込み機器、スマートフォンなどの携帯機器でも広く使われるよう になった。ある処理がどのコア上で実行されるか予測しにくくなったため、リアルタイム OS の評価が難しくなっている。 検証スイートとは 作りあげた RTOS にバグが無く、品質に問題がないことを検証するための一連のテス ト手順とプログラムの集まり。複雑化する機能をすべて検証するために数千件から数 万件のテスト項目を自動的に生成する機能も研究されている。
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